- 2 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:21:15.77 ID:S5Dg4rhc0
出会わなければよかった。
お前なんかと関わらなければよかった。
いっそ産まれてこなければよかった。
憎い。怨めしい。お前が、お前を、私は許さない。
- 3 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:24:04.44 ID:S5Dg4rhc0
-
十一 其の一
- 4 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:27:26.09 ID:S5Dg4rhc0
- (#゚;;-゚)「凄まじいものなのだね、現代医学と言うものは」
まだ痛みは残ったままだが、破壊された部位をそれぞれ動かしてみる。
どれも、まだ完治とはいかないまでも、十分動かせるまでになっていた。
(#゚;;-゚)「たった二週間でこれほどまでとは……」
今までも確かに悲惨な状況になった事がある。
勿論、それはあの家に居た時にもあったが、殺人鬼と化してからだ。
時に現れる異常な強さを誇る鬼違い。
つけ狙ってきた公安のエキスパート。
そして『国解機関』の人間。
他にも数えれば少なからずいる。
思えばボクのこの身体の頑丈さは生まれつきなのかもしれない。
はたまた繰り返されていた暴力の日々で特化しているのかもしれない。
まあ何にせよだ。
それでも骨折だとかは自己での完治は難しいのだが。
(-@∀@)「そりゃあまあ、日々科学は進歩しているからね」
ベッドに腰掛けるボクの前に立つ、眼鏡の男はそう言った。
- 5 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:31:23.68 ID:S5Dg4rhc0
- (-@∀@)「あの人からの指示だ。それなりに治してはあげたよ」
(#゚;;-゚)「……ふん」
あの人とは、あの阿婆擦れ女のことだろう。
癪に障る話だ。
このボクが、誰かの恩恵を受けるだなんて。
だが願ってもいない話であったのもまた事実。
むしろこれから始まることを考えれば尚の事。
(-@∀@)「屍くん」
両の手を開き、閉じを繰り返していると声をかけられた。
(-@∀@)「君は、どうするつもりなんだい?」
(#゚;;-゚)「……どうする?」
それはどういった意味合いなのか?
(-@∀@)「……君は。スカウトされたのだろう。『国解機関』にも、そして『ν』にすらも」
(#゚;;-゚)「…………」
(-@∀@)「君は、どっちに」
- 7 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:34:05.80 ID:S5Dg4rhc0
- (//‰ -)「……下らないな」
頭に包帯を巻きつけ、ボクは立ち上がる。
(//‰ ゚)「理解しているだろう、あんたも。ボクはつまりはそういう存在だ」
(-@∀@)「……そうなのだろうね。ああ。分かっているさ」
そうさ。
そしてきっとあの女も、それを理解しているんだ。
(//‰ ゚)「馬鹿げた話だ。まるで夢のようで、そして陳腐でどうしようもない滑稽なお話だ。
際限の無き死だって?」
そうとも。あの女はきっとボクがそう動くであろうことも理解できているはずだ。
ボクがボクであるのだから。
(//‰ ゚)「ふざけた、本当に下らない話だ。ボクの獲物を、ボクの意義を、忘れるなよ」
これから起こるであろう事態をボクは知っている。
きっと誰もが夢物語に思えて仕方なくなるような。
そんな素敵で残虐で悲しい物語が起こることをボクは理解している。
(-@∀@)「『国解機関』は直ぐにでも動くだろう。代表が癇癪を起したそうだ」
(//‰ ゚)「……そうかい」
- 10 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:38:41.39 ID:S5Dg4rhc0
- 成程。
完全に、全てがあの女の思うつぼになってきたわけだな。
ふとあの優しい笑みを湛えた殺人鬼の顔が過る。
対峙した者全てに絶望と限りない破壊を与えるであろうあの男の顔を。
(//‰ ゚)「……再び、まみえるのだろうね、君とは」
果たして軍配はどちらに?
(//‰ ゚)「ま、いいさ。全てがボクの標的なのだから」
構わない。
あの阿婆擦れも、あの殺人鬼も、そして『躯』も、その他大勢のゴミ共も。
皆殺しだ。腸をぶち抜いて眼球を潰して四肢をもいで限りなく殺してやる。
生と死の狭間に立ち短刀を振るう者がボクだ。
死を司り生きる者全てを憎み破滅せんとする者がボクだ。
(-@∀@)「願わくば、君にも幸あらんことを」
ボクは立ち上がり、出口に向けて歩きだす。
背中にそんな言葉が投げかけられ、ボクは不敵に笑ってこう返す。
(//‰ ゚)「願わずとも叶わず」
ただ殺す。
それだけでボクの身体は出来ている。
- 14 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:40:53.30 ID:S5Dg4rhc0
-
十一 其の二
- 15 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:44:36.49 ID:S5Dg4rhc0
- 九月の終わり。
蝉の鳴き声は一体何時から聴こえなくなったのだろう。
そんなことすら忘れてしまった。
激動だったのだ。
今までの人生で、この半年に勝る濃い期間は無いだろうと思う。
( ^ω^)「目標地点到達、目標地点到達」
内藤が無線を頭に押し当ててそう言う。
その横で身を屈めながら私と空は静かに待機していた。
『ザッ……了解。そのまま進行しろ……敵の数は……?』
何処かで聞き覚えのある、渋い声。
布佐さんだ。苦労の絶えなそうな、そんな眼をしたおっさんだった。
( ^ω^)「さあ。兎に角付近を警邏してる怪しい奴等は全員ふん縛っといたけどお」
『ああ、ならいいか』
いいのかよ!
( ^ω^)「しかし手薄だお。本当にここなのかお?」
『どの情報屋もここ一点を声をそろえて御指名だぜ?何も無いとは思えないな』
- 17 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:47:57.21 ID:S5Dg4rhc0
- ( ^ω^)「……まあ、信じるとするお」
『取りあえず、中に侵入したらまた連絡を頼む』
( ^ω^)「ラージャ」
ぶっ、と間抜けな音が聞こえて、通信は途絶えた。
( ^ω^)「ってわけらしいお……津出さん?」
ξ;゚听)ξ「……あ?」
川 ゚ -゚)「……大丈夫か?お前」
気付けば、私の体は震えていた。
一体何時から?と疑問に思うが、しかし、身体とは正直な物なのだなと思う。
( ^ω^)「……まあ、仕方のない話だお」
川 ゚ -゚)「ほれ、手、繋いでやる」
ξ; )ξ「ん……」
今。
私は恐怖に竦んでいる。
それは目の前に聳え立つ寂れた洋館の所為だ。
- 19 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:52:49.03 ID:S5Dg4rhc0
- その作戦を伝えられたのはつい一日前のことだった。
ξ;゚听)ξ「え?」
内藤に収集をかけられ、何時もの廃工場に出向いてみれば。
ミ,,゚Д゚彡「おう、久し振りだね、津出さん」
何と『国解機関』の代表の布佐のおっさんが内藤の隣に立っていたのだった。
川 ゚ -゚)「おいおい、いいのかよおっさん、勝手に動いて」
私に遅れて入ってきた空が慣れた口調でそう問うた。
おま、相変わらず失礼極まりない女だなお前って奴は!
ミ,,゚Д゚彡「何、構わんさ。許可もとってきたし」
さて、と布佐さんは一つ間を置く。
ミ,,゚Д゚彡「集まってもらってありがとう。で、先に言っておく」
少しだけ言いにくそうにしていると、内藤におっさんが目を配る。
それに一つ頷くと、布佐さんは一度眼を閉じ、揺るぎない眼で私達を見つめて言った。
- 22 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 21:57:34.52 ID:S5Dg4rhc0
- ミ,,゚Д゚彡「明日。『ν』に強襲をかける」
ξ;゚听)ξ「!」
川 ゚ -゚)「!」
その言葉に私と空は動揺した。
そりゃそうだ。なんてったって、明日なんだから。
まるで計画性も糞も無い、あまりにもふざけた話じゃないか。
一体これはどんな茶番なのか。
( ^ω^)「そう思うのも仕方が無いお津出さん。けれどね」
何時何処から情報が漏れだすかも分からない。
それに、上はもう信用ならない。
ならば突発的に行動を起こさねば先手を打たれてしまう。
ξ;゚听)ξ「で、も、だからって……」
急過ぎるだろう、それは。
ミ,,゚Д゚彡「いいや。むしろ今すぐにでも行動を起こさねば不味いくらいだ」
布佐さんは言う。
頭狂から態々自ら出向いたとなれば、不信の目を向けられるのは容易。
その上最近『ν』の話で揉めているのだ、何かをしでかす合図と取られてもおかしくは無い。
- 25 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:00:51.74 ID:S5Dg4rhc0
- ( ^ω^)「場所はようやっと割れたお」
そこは、美歩町の本当に片隅にある、幽霊屋敷と呼ばれている場所だった。
一説によればそこは廃墟になっている。さらに地主がヤクザらしく、あまり人が近寄らない場所だった。
( ^ω^)「いやしかしあながち間違っては無いけどお」
実は、元『vip』本部なんだ。
そう、内藤は言った。
ξ;゚听)ξ「まじで!?」
川 ゚ -゚)「しかし、嘗ての本拠地を再利用とは……連中も考えが回らんと言うか」
ミ,,゚Д゚彡「熱狂徒なんだろう、じゃなきゃ後を継ごうとは思わんさ」
しかし、地元の人々は知っているのだろうか?
嘗てそこで殺戮の限りが行われていたことを?
少なくとも私は知らなかった。
まあ幼かった所為もあるが、そのような話を聞いたことも無い。
まあそんな無暗矢鱈にできる話でもないし、そもそも誰もが知っていたとするならそれはそれで恐ろしい。
ξ;゚听)ξ「いやまあ、それはいいとして」
私は疑問を口に出す。
- 26 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:04:24.62 ID:S5Dg4rhc0
- ξ;゚听)ξ「誰が行くの?」
いやまあ誰が、ってのは変な言い方なのだが。
聞けば相手は約二百名の構成員でできていると言うではないか。
いやはやたまげた数だね。なんたって二百名だ。
凡そ我が高校に在籍する人数より少し少ない程度だ。
そんな数をまさか私達だけで相手するなんて話なわけが無いよな?
流石に警察だとかも動いてくれるよな?
ミ,,゚Д゚彡「津出さん」
しかしそんな私の考えを布佐さんは消し去る。
ミ,,゚Д゚彡「君と、ブーンと、空でだ」
ξ;゚听)ξ「……は?」
今、何て?
ミ,,゚Д゚彡「だから、君達三人で」
…………。
ξ;゚听)ξ「はあああああああああああああああああ!?」
- 27 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:08:33.72 ID:S5Dg4rhc0
- こいつ、馬鹿か?
頭イかれてんのか?
ミ,,゚Д゚彡「前から言われている通り、この機関は外部の機関とは関わっちゃいけない。
そもそも、警察事態、この件に介入を許されていないし、する気も無いだろう」
ξ;゚听)ξ「い、や、でも、え?」
ミ,,゚Д゚彡「大丈夫だ。君達には先遣隊として侵入してもらう。やってもらいたいことはだ」
布佐さんに出された指示。
それは、まず敵地の視察、敵情の把握、そして可能な限りの戦闘。
ミ,,゚Д゚彡「流石に二百を三人で相手は辛いだろうしな。君達が敵地に侵入したと同時に、
各地から機関員に急行してもらう」
ξ;゚听)ξ「…………」
なんだろう。
今までとは違う。
今まではただ、出会った、事件を起こした鬼違い共を殺してそれで終わった。
なんというか、これはまるで。
ミ,,゚Д゚彡「そうだ。これは戦争だ。奴等鬼違い共と、俺達殺人鬼との」
- 29 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:11:31.29 ID:S5Dg4rhc0
- 戦争。殺し合い。
その言葉が頭の中を駆け巡る。
( ^ω^)「……よし、行くお」
今、私は恐怖に竦んでいる。
これは今までとは違う。
闘争だ。血で血を洗う戦争になるのだ、これは。
まるで映画のようだ。夢物語のようだ。
私のような人間が、こんなことに関与する羽目になるなんて思っても見なくて。
川 ゚ -゚)「……ツン」
肩にライフルを担いで、私の手を引く空。
ξ゚听)ξ「……あんたは怖くないの?」
きっと目茶苦茶になるだろう。
想像できないほどの。
だって殺人集団なんだぞ?
例え数は過去のそれには遠く及ばなくても、それでもそれなりの事をしている奴らなんだぞ?
そんなのが溢れかえっているあの施設の中に突入だって?
そんなの、そんなの自殺行為じゃないか。
- 30 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:14:14.42 ID:S5Dg4rhc0
- 川 ゚ -゚)「それでも私達は戦わなきゃならないんだ」
空が強い眼差しで私を見つめる。
川 ゚ -゚)「守るべき物の為に」
ξ )ξ「!」
守るべき、もの。
ξ )ξ(……守るべきもの)
誓った言葉は偽りではない。
もしも私の見ている所で誰かが傷つき、殺されそうになるのなら私は力を行使しよう。
もしも何の罪も無い人が悪戯に傷つけられるのなら私は守ろう。
決めたのは誰で、誓ったのはいつだ。
今までの、心身を痛めてまで手にしたかった力は何のためだ。
ξ゚听)ξ「…………」
両の手を握る。
この拳の中に、何があるのか?
それは決して手放してはいけない信念。
譲れない、譲らない大切な物。
- 31 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:16:36.54 ID:S5Dg4rhc0
- この手の中には、きっと空や、内藤や、零も入っているのだ。
守りたい、傷つけたくない、大切な人々。
それが友達であったり、家族であったり。
内藤に渡された二連のガンベルトのようなものからダーツを一本、引き抜いた。
装弾数合わせて六十発。どれもアーチェリーの矢と同等の速度と破壊力を持つ。
そうだ。行こう。
誰かが傷つくと言うのなら、私は戦う。
ξ゚听)ξ「行こう、空」
川 ゚ -゚)「……ああ」
もう、身体の震えは無い。
何が二百だ。そんな少数で私達を止められるものかよ。
全員返り討ちにしてやる。
( ^ω^)「おー。やる気まんまんだおね」
そんな私の様子を見て、内藤は嬉しそうにそう言った。
今の私は負ける気がしない。
見せてやろう、鬼違い共。
あの最強のもとで鍛えられた私の強さは、伊達なんかじゃないのだ。
- 32 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:18:49.49 ID:S5Dg4rhc0
-
そして目の前に聳える扉を蹴破る。
( ^ω^)「行くお!!」
さあ始めよう。
川 ゚ -゚)「血が滾るな!!」
戦を。
ξ#゚听)ξ「ボッコボコにしてやんよ!!」
守るための戦を!!
- 34 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:22:34.07 ID:S5Dg4rhc0
- ξ゚听)ξ「…………」
屋敷の玄関は。
驚くほどに静寂で満ちていた。
ξ;゚听)ξ「……えぇぇ〜」
いやいや、いまさっきの気合いのさ、入りまくって意気込みまくった突入がさ。
安っぽっちな三流ドラマみたいになっちまったじゃねえか!
川 ゚ -゚)「……おい、内藤」
( ^ω^)「……どういう」
内藤が言いかけた所で、吹き抜けの階段の上から何者かが降ってきた。
( ^ω^)「おっ」
すかさず内藤は体を回転させると、その落ちてきた奴を蹴りで吹き飛ばした。
( ^ω^)「っと……どういうことだお、こりゃ」
ξ;゚听)ξ(うわあ……ありゃ痛いなあ)
ふいに似たような蹴りを食らっていたのかと思い、身震いする。
蹴り飛ばされた奴は、端の壁に頭から突っ込んでいった。
- 35 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:25:37.57 ID:S5Dg4rhc0
- ( ^ω^)「……とにかく、散策を始めるお」
布佐さんに連絡を入れ、私達は三人で行動を始めた。
中は思った以上に……静かだった。
時折敵と思わしき奴が襲ってくる時もあったが、進行の妨げにすらならない雑魚ばかり。
各所を色々と見て回るが、別段気になるものも無かった。
川 ゚ -゚)「おい、本当にここなのか?」
( ^ω^)「間違いないはず、だお」
ξ゚听)ξ「まあ、あっちも襲ってきてるから、敵だと認識されてるみたいだけど」
普通の人間なら見かけた人間を襲おうとなんてしないに決まってるだろう。
私は先ほど投げたダーツを、地面に転がる意識を手放した雑魚の足から引き抜く。
しかし、予想以上に静かで何も無い。
もっとこう、湧いて出てくるものだと思っていたのだけれども。
( ^ω^)「……おっ……」
一階を調べ尽くし、二階に差し掛かる。
この洋館はどうやら二階までの作りとなっていて、縦はそこまででもないらしい。
だが一階一つの広さが半端ではないため、下手したら迷子になりそうだ。
- 38 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:28:40.68 ID:S5Dg4rhc0
- どうにも内藤はここで暮らしていたようなので、迷う事は無いようだった。
そんな奴が、ふと変な声を上げる。
ξ゚听)ξ「? どうしたのよ」
( ^ω^)「……いや」
……ああ、そうか。
ここで生活していたからこそ、嫌な思い出もある。
少し無神経だったやも知れない、と思い、反省する。
( ^ω^)「……この部屋、かお」
三人で立ち止まったのは、他の扉とは少し雰囲気の異なる扉の前でだった。
どこか、何と言うか……おどろおどろしいというか、不穏な雰囲気が漂う。
あの吸血兄弟の部屋を思い出す。
あの部屋とまさに似ていて、血のニオイが外まで漂ってきているのだ。
川 ゚ -゚)「……行くのか?」
空が私達の背後で、後方支援用に銃を構える。
私も内藤の少し後ろにつくと、ダーツを構えた。
( ^ω^)「……おおっ」
そして、内藤はその腰に差す呆れるほど恐ろしい包丁――鯨包丁を構えると、扉を蹴破った。
- 40 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:31:29.02 ID:S5Dg4rhc0
- 鈍い音が響いて、扉が吹き飛ぶ。
すかさず内藤が先陣を切り室内へと乗り込んだ。
後に続いて私がダーツを両の手で構えながら全方位を確認。
続いて空が後方を見ながら静かに室内へと入ってきた。
ξ;゚ n゚)ξ「うぐっ!?」
その光景は……見るも無残、という一言に尽きた。
部屋の中は異常であった。
壁の色は元は何だったのだろう?それは浅黒く変化し、鉄のニオイが部屋に香る。
床は何かの高級そうな毛皮で覆われていたのだろうが……それも壁の色同様な変化をしていた。
頭上では蛍光灯が揺れていて、その周りを蠅が周回している。
川;゚ -゚)「……ムゴい」
そして。
その部屋の中央で、腸を引きずり出され、あばら骨を露出し、四肢をもがれた少年と思しき死体があった。
それを囲むようにあるのは撮影器具。
照明だとか、よくは分からない機材が立ち並ぶ。
( ^ω^)「……糞がお」
凄まじい形相の死に顔を見て、内藤は死体に向けて歩みを進めた。
そして彼の目元をそっと伏せてやる。
ξ;゚ n゚)ξ「……これが」
これが『ν』か。これが、あの。
- 44 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:33:46.80 ID:S5Dg4rhc0
- 全てが糞だった。何もかも救いのない程。
この少年はきっと生かされたまま殺されたのだろう。
生かされたまま腹を斬られ、内臓を引きずり出され、四肢を床に落ちている鋸で切り落とされたのだろう。
生命維持装置が怪しく部屋の片隅で光っている。
ξ# )ξ「下種……最低だ……っ!!」
あまりにも救いようのない連中だと言う事はよく分かった。
もう、怒りやらなんやらで頭が爆発しそうだった。
そんな時だ。
急に部屋の中に、機械音が響いた。
いや、これは、ノイズ?
川 ゚ -゚)「内藤、無線が鳴ってるぞ?」
( ^ω^)「いや、これは僕のじゃ――」
- 46 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:35:47.77 ID:S5Dg4rhc0
-
言いかけた時。
『あっはははひゃはははああははははひゃははあああああははっっ!!!!』
バカみたいな笑い声が部屋に響いた。
- 48 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:38:27.96 ID:S5Dg4rhc0
- ξ;゚听)ξ「――!?」
即座に身構える。
一体、何処から?
川;゚ -゚)「……おい、内藤」
( ^ω^)「…………」
内藤は少年の剥き出しになっている腹の中を凝視する。
先から、その中から笑い声が響いているのだ。
内藤は戸惑わず、その中に手を突っ込み、件の物を引きずり出す。
ξ;゚听)ξ「無線――」
どす黒く染まった無線機が内藤の手の中にはあった。
『あーははっ……はー……笑い疲れちゃった』
何かのフィルター越しに喋っているように、変な声。
これは恐らく変声機か?
( ^ω^)「……貴様は?」
内藤は冷めた声で問う。
『貴様はって?そうだなあ。うーん。ああ、まあ、お探しの人、かなあ?』
- 49 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:40:42.09 ID:S5Dg4rhc0
- 何ともふざけた調子じゃないか。
こいつは人をおちょくっているのだ。
『残念だったねー、検討が外れちゃって……』
( ^ω^)「……やはり情報は筒抜けだったかお」
『舐めちゃだめよ。君達の上層部は私達の駒なんだから。優秀よ、優秀』
成程。
つまり、またあの役立たずの上の連中がしでかしてくれたと言うわけだ。
ξ#゚听)ξ(糞っ)
結局、無駄だったと言うのか。
ここまで来て。
『ねえ』
そんな事を考えていると、相手は突然雰囲気を変える。
『人が死ぬ様は、何よりも美しいとは思わない?』
……?
何をいきなり……。
(;^ω^)「……そうかお。今度の首領は鬼違いなのかお」
- 51 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:43:27.66 ID:S5Dg4rhc0
- 内藤は舌打ちする。
どこか焦りのような物まで見受けた。
『ねえ、もう目的は分かる?私の?』
(;^ω^)「……何をする気だお、お前」
その時だ。
遠くの方で、何かが爆ぜる音が響いた。
それが相次ぎ、また別の方角から、また別から、と、爆発の音が響く。
川;゚ -゚)「うわっ!?」
ξ;゚听)ξ「な、何!?」
少なくとも、今この屋敷は爆発してなどいない事は確かだ。
が、振動がここまで伝わり、まるで地震でも起きたかと思う揺れに見舞われる。
(;^ω^)「……お前」
『ああー……いいっ……いっぱい死んだかなあ』
いやらしい声をそいつはする。
(;^ω^)「何を!!」
『焦んないでよ。別にただ警察庁とか高速道路だとか、そんなところを爆破しただけだからさ』
- 53 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:47:00.78 ID:S5Dg4rhc0
- 『外界との経路を遮断。自治体団体の排除。見事でしょ?』
(;^ω^)「……何をする気だと、僕はさっきから訊いてんだお」
何が、何が起きていると言うんだ、今。
さっぱり状況も糞もつかめやしない。
『もう分かってるくーせーにー☆きゃはっ』
(;^ω^)「おい!!」
内藤が叫んだ。
お、落ち着け、内藤、お前が冷静さを見失ったら元も子もない。
『ったく……こっちが下手に出ていればつけあがりやがる』
暫くの沈黙を置くと、相手は急に態度が変わった。
『何をだと?決まっているでしょうが、殺すんだよ。いっぱい、沢山、限りなく、殺すんだよ』
まるで当然のようにそう言い放つ。
ξ;゚听)ξ「……え?」
夢、だろうか。
何だか、嫌な光景が思い浮かんだ。
- 54 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:49:20.55 ID:S5Dg4rhc0
-
まるで途方も無くそれは起きる予感がした。
誰もが余儀無く死を突き付けられるような。
誰かが嬉々として殺していくような。
そんな光景が思い浮かんで。
そしてきっとそれは確実に起きるのだ。
何せ私は全ての危機を察知するのだから。
何せ先から無線機越しに嫌な音が聞こえるのだから。
それは銃器、それは刃物を弄る音だ。
鉄の擦れる音が響くのだ。
まるで死がそこで飢え、食いかからんとしているのだ。
それは、死、そのものの塊だった。
- 55 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:51:29.00 ID:S5Dg4rhc0
-
『絶え間なく起きていかなきゃ』
『ずっとずっと待ち焦がれていたんだよ、私達は』
『君達に気づいてもらえる日まで』
『君達がその重い腰を上げるまで』
『ずっと耐え忍んできた』
『その手段も方法も、私達はついに取り戻した』
『後は、後はきっと君達が引き金を引いてくれるのだろうと』
『そう。私は間違っていなかったの』
『ありがとう殺人鬼。ありがとう「国解機関」』
『これで私はようやく見られる』
『限りない死が』
- 56 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:53:56.09 ID:S5Dg4rhc0
- 夜の街から色々な音が響きだした。
さながらそれは殺戮のオーケストラだった。
銃声だとか、人の叫び声だとか、泣き声だとか。
そんなものが至る所から溢れて。
やがて全てを呑みこんでいく。
( ;゚ω゚)「……貴様等……お、前、は」
内藤が眼を見開く。
『ねえ、早く来なよ。ぐずぐずしていたら、席は埋まっちゃう』
ξ;゚听)ξ「ね、え、何?何がさ、お、おき、起きて」
川; - )「…………」
『始まったの。最大の死のお祭りが。きっと最高の催しになる。
誰もが無慈悲に死んで殺されて死んで死んで死んで綺麗に汚く殺されて死ぬの』
- 58 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:56:37.45 ID:S5Dg4rhc0
- ( ;゚ω゚)「くぅっ!!」
内藤は駆けだす。
落とされた無線機はまだ戯言をほざく。
『綺麗……素敵。やっぱり人は死ななくちゃ。こうでなくちゃ嘘なのよ。
そう、これでいい。でもまだ足りない。ねえ、もっと限りなく、お願いだから』
私は混乱を極めていた。
そうさ。理解していたが理解なんてしたくなかった。
始めやがったんだ。この鬼違いは。気狂いは。
何もかもを巻き込んで、始めたんだ、己が望むがままに。
私はその無線を拾い上げる。
震える唇が、言葉を紡いだ。
ξ )ξ「名前すら知らないけどさ、この糞鬼違い」
ぎゅっと拳を握りしめる。
ξ゚听)ξ「――殺してやるよ。あんたを。際限なく。殺してあげる」
その言葉に奴は笑う。
大きな声で、嬉しそうに、高らかに。
『ああ、そう、そうなのね!!いい……待ってる。是非、殺しに来て!!』
- 61 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 22:59:29.22 ID:S5Dg4rhc0
- 私と空は走る。
内藤の辿った道を追うように。
『ザッ……津出さん、大丈夫か!!』
私の持つ無線に連絡が入る。
ξ;゚听)ξ「何とか無事です!!」
走る、走る。捻挫の痛みすら忘れて。
音と色は町の栄えている中心で先から絶えなかった。
『内藤と俺は既に交戦している!!他の奴等も後少しで着くそうだ!!』
ξ;゚听)ξ「!」
元より全機関員の集結による殲滅作戦。
しかし、これでは殲滅処の騒ぎではない。
『いいか!!津出さん!!とにかく最優先すべきは民間人の保護!!敵は……君は、殺してはいけないぞ!!』
こんなときでも、しかしそこは越えてはいけないラインだ。
だが、果たして今の私に加減が出来るだろうか?空もそうだ。
川; - )「…………」
先から一言も喋らず、暗い表情のまま私の後をついてくる。
- 62 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:02:48.91 ID:S5Dg4rhc0
- ξ;゚听)ξ「っ……了解です!!」
『無事を祈る!!』
そこで乱雑に切断音が響いた。
ξ;゚听)ξ「空!!一旦家に行くわよ!!」
川;゚ -゚)「は!?何故だ!?」
ξ;゚听)ξ「急がばマワれ、よ!!」
きっと、このままじゃ間に合わない。
丁度我がマンションに差し掛かったところで、私はとあるものがあるのを思い出した。
足は我が家へは向かわず、駐輪場へ。
川;゚ -゚)「おい、一体何を」
空の言葉を無視して、私はそのかけられているシートを引っぺがした。
川;゚ -゚)「――おぉ」
そこには真っ黒なボディに鋭いビキニカウルの、我が愛車GSX750Sが。
- 63 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:04:22.27 ID:S5Dg4rhc0
- 川;゚ -゚)「……お前、免許は?」
キーを捻り、セルを押しこむ。すると鋭い音が辺りに響きだした。
ξ;゚听)ξ「……そんなもん、ヤンキーにはいらないのよ。大体、あんただって車運転してるでしょうが」
さあ、と私は空を手招く。
川;゚ -゚)「……車で来ればよかった」
ξ;゚听)ξ「私はこれでも安全運転、よ!!」
一気にスロットルを開け、ウィリーしたまま駐輪場から発進する。
川;゚ -゚)「おい!!」
ξ;゚听)ξ「急いでんだからいいのよ!!」
そうだ。急がねばならない。
きっともう、あそこは地獄だ。
ξ;゚听)ξ(……内藤)
あの馬鹿、一人で突っ込みやがって。
ξ;゚听)ξ(無事でいなさいよ……!!)
私は突っ込んでいく。その殺戮のオーケストラの中へ、爆音を響かせて。
- 65 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:06:38.31 ID:S5Dg4rhc0
-
さあ、始めよう。
地獄を。
続
- 67 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:08:37.91 ID:S5Dg4rhc0
-
問 三
彼女は何処に居たのか?
- 68 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:09:56.39 ID:S5Dg4rhc0
-
解 其の三
- 70 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:12:27.32 ID:S5Dg4rhc0
- 川 ゚ -゚)「…………」
先ほど来たメールの内容をもう一度確認する。
『図書室へ』
それだけだった。何とも簡素なメールだ。
私はつけていた煩わしい猫耳を手に握りしめ、ずかずかと歩いていく。
川 ゚ -゚)「……やあ」
そして扉を開けば、其処に居たのは。
ζ(^ー^*ζ「あ、どうも」
零ちゃんだった。
そう。件のメールの送り主は彼女だったのだ。
唐突にあのようなメールを送られて何事かとも思ったが、しかし好都合だった。
私も聞きたいことが山ほどあるのだ。
他でもない、彼女に。
川 ゚ -゚)「一体、何の用かな」
彼女の向かいの席に座る。
こうして真正面から見ると、やはり可愛らしい。
どことなく、ツンに似た雰囲気があるのにも気づいた。
- 73 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:14:33.32 ID:S5Dg4rhc0
- ζ(゚ー゚*ζ「用があるのは、実は直さんなんじゃないですか?」
そう言って、くすくすと笑う。
川 ゚ -゚)「……おかしな話だ。君から呼び出しといて」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、私の事は後でいいんですよ。それより」
と、彼女はぐいと私の眼前に顔を近づける。
ζ(゚ー゚*ζ「聞いてもいいんですよ、何でも」
川 ゚ -゚)「…………」
やはりだ。
この笑顔。この雰囲気。
似ている。非常に、あいつに。
川 ゚ -゚)「……確証はない。ただのあてずっぽうに過ぎない。むしろ勘違いであってほしい」
全て、彼女がそういった存在であると仮定したうえで私は問う。
川 ゚ -゚)「君、暗部の人間ではないのか」
- 74 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:16:52.13 ID:S5Dg4rhc0
- ζ(゚ー゚*ζ「…………」
川 ゚ -゚)「…………」
あの時。
あの声は、間違いなく彼女の物だった。
別にそれが決定打ではない。むしろ説得力のあるものは何一つない。
だが私の直感は、彼女が普通ではない事を告げている。
ζ(゚ー゚*ζ「……前、聞きましたよね、直さんに」
お姉ちゃんの事、どう思うのか、と。
そう、彼女は言う。
ζ(゚ー゚*ζ「安心しました。嘘でも友達って言ってくれて」
川 ゚ -゚)「嘘なんかじゃない」
ζ(゚- ゚*ζ「わお」
即座に否定すると、少し驚いた調子でそう言う。
ζ(゚ー゚*ζ「……意外。ううん。でも、尚良いわ」
- 76 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:19:23.20 ID:S5Dg4rhc0
- 川 ゚ -゚)「君は普通じゃない。どうせ私の事も知り尽くしているんだろう」
ならばもう説明する必要も無い。
否定もしない、疑問にも思わないのなら、つまりはそれが答えだと言う事だ。
川 ゚ -゚)「何故だ。何故あの時、ツンを助けなかった」
ζ(゚ー゚*ζ「…………」
ふっ、と彼女は眼を伏せる。
ζ(- -*ζ「さあ?」
川#゚ -゚)「――こいつ」
さあ、だと?
とぼけると言うのか、お前は。
あの状況を知っていたにも関わらず。
危うく死ぬところだったんだぞ。
お前の姉が、私の友達が。
それを貴様、この糞尼。
ζ(゚ー゚*ζ「貴女の目的が死を見る事ならば、それは可笑しな意見ですね」
川;゚ -゚)「――!?」
- 79 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:21:20.23 ID:S5Dg4rhc0
- 今、こいつ、何と。
川;゚ -゚)「何故、お前が、それを」
つまり、こいつは私が鬼違いであるということも、知っている……。
いや、だが、しかし、どうやって。
なまじ普通の情報網じゃない。
むしろこの事は『国解機関』が全力で隠蔽している情報なんだぞ。
ζ(゚ー゚*ζ「好きな人ほど、いじめたくなっちゃうんです、私」
椅子から立つと、彼女は歩きだし、窓辺で立ち止まる。
そこから、彼女は下の、中庭を見下ろしていた。
ζ(^ー^*ζ「私、お姉ちゃんの事、世界で一番愛しているの」
そう、素敵な笑顔で言い放った。
川;゚ -゚)「…………」
そうだ。やはり、その笑顔。
私には通用しないぞ、それは。
その殺人鬼特有の、笑顔は。
- 81 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/08/16(火) 23:23:18.22 ID:S5Dg4rhc0
- ζ(゚ー゚*ζ「だから、お姉ちゃんの友達であるあなたに、今日は話があって来たの」
こつこつと、彼女は近づいてくる。
私は身動きが取れないまま、接近を許してしまう。
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫。悪いようにはしない。あなたにも、そしてお姉ちゃんの為にもなるのよ」
川;゚ -゚)「(……ツ、ン)
間違いなく、彼女は内藤と同等の何かだ。
何故今まで気づかなかったのだろう。
ζ(゚ー゚*ζ「さあ、お話をしましょう、直さん?」
誰か……内藤、ツン。
助けて、くれ。
終
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