ξ゚听)ξ殺人鬼は微笑むようです

3 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:14:18.17 ID:20YZcVEo0
 
真っ赤な空を見上げている。
 
笑っている。笑わなくちゃ。
 
あいつがそうしたように。
 
私も笑わなくちゃいけないんだ。

5 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:17:42.14 ID:20YZcVEo0
 
 
九 其の一
 
 
7 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:19:36.14 ID:20YZcVEo0
(;´ω`)「あっいぢぃぃいいぃい」

直射日光を浴びながらそうぼやく。

僕は今、遠くの地へと来ていた。
華の都、頭狂へと。

噎せ返る人のニオイ、唸るマフラー音。
何処となく汚らしく見える街、頭狂。

得てして、どこの国でも首都と言う奴は汚いのかもしれない。
米国も、英国も、仏も、伊も、中も韓だって汚かった。
唯一綺麗だと感じたのはシンガポールくらいだろうか?

(;´ω`)「こんな街の何がいいんだか」

歩けど歩けど人の海。蒸れる様な暑さ。
まあ、そんな街に彼らは魅了されているのだろうけれども。
微塵も理解できないね、僕には。

( ^ω^)「っと」

きゅっ、と革靴の底を鳴らして僕は立ち止まる。
目の前には地下へ続く小さな階段が。

8 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:23:30.32 ID:20YZcVEo0
襟を正し、ネクタイを締め直す。
何時も通り全身真っ黒だった。
真っ黒の背広、シャツ、ネクタイ、ベルト。
まるで葬式かなんかのような出で立ちだが、これが我々『国解機関』のフォーマルな格好だ。
少々――いやかなり重々しいが、まあ、決まりごとだ、仕方があるまい。

僕は階段を下っていく。
かん、かん、と薄い鉄板を鳴らしながら。
降り切った時、目の前には扉が。

ここはバーだ。
人知れない、あまり目立たない場所にある。
薄暗い路地を抜け、これまた少し入り組んだ所を歩いていくと、先の階段を見つける事が出来る。
この広い都市だ。ここを見つけて、尚且つ通い詰めようだなんて人、そうそう居ないのだろうな。

ましてやこんな昼間だ。普通ならばやっている筈もない。

( ^ω^)「よいせっと」

そんなバーの扉を、僕は押しあける。
鍵はされていない。「準備中」の札が下がっているのにも関わらず、だ。

まるで誰かが来るのを知っていたかのように、扉はすんなりと開いた。
僕は中へと歩み出す。

「おせーぞ、内藤」

9 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:26:53.96 ID:20YZcVEo0
間接照明が仄暗くバー内を照らす。
木の打ちつけられた床を鳴らし歩き、僕はカウンター席へと腰掛けた。
そしてカウンターで酒を傾ける髭面のいい歳をしたおっさんが、僕の名前を呼ぶ。

( ^ω^)「そう言わないでくださいお、布佐さん」

ミ#゚Д゚彡「約束の時間を一時間ほど遅れているんだけれどなあ?」

あん?と凄味を利かせて言われる。
いや、それがだね、布佐さんよ、まあ聞いてはくれないか。
そもそもがだ、この街は事あるごとに何故道は変わっているのかね。
おまけに以前まであったと思っていた店は消えているし、最早模様替え市とでも言おうか?

兎も角だ、この街は姿が変わりすぎる。
故に分からなくなる。

ミ#゚Д゚彡「つまり、迷子になっていたと」

(;^ω^)「だって何時も緒綿さんの運転つきだから迷わず会合には行けるけどお!
      頭狂の街並みなんて覚えられるわけがないだろうお!」

ちなみに僕はこの街に来たら地下鉄やらバスやら、兎に角徒歩以外の移動手段を選ばない。
何故って?さっぱり分からないからだ。

ミ#-Д-彡-3「田舎者め……」

(;^ω^)「うっせーお」

11 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:30:11.47 ID:20YZcVEo0
まったく、と言って布佐さんは僕の前にロックグラスを置く。
どうやら今飲んでいる物を僕にもくれるらしい。

( ^ω^)「バーボン?」

ミ,,゚Д゚彡「メーカーズマークの黒。珍しいだろ?」

(*^ω^)「ほおお、終売になった貴重品じゃないかお」

飲むか?と聞かれる。
申し分のない話だ。当然僕は首を縦に振る。

ミ,,゚Д゚彡「シングル?」

( ^ω^)「うーん、トワイスアップ」

一丁前に、とぼやいて布佐さんはバーボンを作り始める。
とは言っても、グラスにバーボンと水を同量ずつ入れるだけだ、そう対した時間はかからない。

ミ,,゚Д゚彡「チェイサーは?」

( ^ω^)ノシ「いらんお」

くっ、とまずは一口。
ふむ、流石はメーカーズ。この香る甘みはまたなんとも……。

(;^ω^)「いや美味いけど、何か話がそれてきてるような……」

ミ;゚Д゚彡「つーかお前未成年だろうが」

13 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:34:12.66 ID:20YZcVEo0
まあ気にするな、と僕は呟いてグラスを傾ける。

ミ,,゚Д゚彡「……で、だ」

カラン、と布佐さんのグラスが音を立てる。

ミ,,゚Д゚彡「態々頭狂の、しかも俺の店にまで訪ねてくるんだ」

何をしに来た。
そう布佐さんは僕に訊ねた。

( ^ω^)「…………」

僕はグラスを一気に傾ける。
喉を焼きつくすような刺激が一瞬訪れるが、それも熱を引いていく。
布佐さんはそんな様子を見ると、ロックグラスを取り出して勝手に僕の分の酒をまた作りだした。

( ^ω^)「vip」

ミ,,゚Д゚彡「っ」

その単語を出した瞬間、世界が停止した。
まるで時間が止められたような錯覚。
しかしそれはまさしく錯覚なのだ。

そう。身動きがとれないほど、世界は張り詰めているのだ。
それは目の前の布佐さんが放つ殺気の所為に他ならない。

16 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:37:58.85 ID:20YZcVEo0
ミ,,゚Д゚彡「……懐かしい響きじゃないか」

とん、と僕の前に置かれたシングルロックを手に持つ。
九月の、しかし頭狂ならではの暑さが、ガラス越しに冷やされていく。
バーの中は少しだけの冷風が流れるが、さして効果は無いのだった。

ミ,,゚Д゚彡「何故今更、そんな糞な名前が?」

布佐さんの目を見つめた。
真っ直ぐだ。それでいて濁りのない、綺麗な瞳。

この瞳を僕は知っている。嘘を知らない、偽ることのない瞳だ。
となると、やはり機関は――『国解機関』は知らないのだ。

( ^ω^)「今週中に報告書を纏めようと思ってたんだけどお」

布佐さん、と僕は彼の名前を呼ぶ。

( ^ω^)「屍と交戦したお」

それを聞いて彼の眉毛が吊りあがった。

ミ,,゚Д゚彡「……予想通り、というか、お前の作戦通り、って感じだな」

そうだろうとも。何せあの斎藤との接触が全ての決定打だったのだ。
一度喰らいついたら死ぬまで離しやしない。
それほどまでに僕等機関の情報網は侮れないと言う事だ。

17 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:40:44.94 ID:20YZcVEo0
( ^ω^)「兼ねてより僕の担当する地区に向けて移動を続けてたからお、まあちょいちょいちょっかい出しながらも、
      上手く僕の所まで誘導することには成功したお」

目的は、言わずもがなだ。
奴の持つと言われる脇差。
それこそ、僕の求めていた情報の一欠片。

ミ,,゚Д゚彡「……それで?先のvipと一体――」

( ^ω^)「まあ順を追って説明するお、布佐さん」

表情は興味無いな、と言いたげだったが、やはり布佐さんは布佐さんだ。
その落ち着きのない時の手癖をどうにかした方がいい。
先からテーブルを指先で打つ音が喧しいのだ。

( ^ω^)「まず、間違いなく、あの脇差は……あの男の。『躯』の物だったお」

そう言うと、布佐さんは己のグラスをまたも傾ける。
その仕草に倣って僕もグラスを傾けた。

ミ,,゚Д゚彡「……間違い無かったのか」

( ^ω^)「完全記憶体質ではないけれど、あれは間違いなく『躯』の持っていた脇差に違いないお」

決定づける物、とまではいかないが、それでもあの男――『躯』の情報を追っていていくつか手に入れたものがある。
その内の一つに、ある時期から、奴が打刀一本のみで殺人を犯していたという事実だ。

19 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:44:35.64 ID:20YZcVEo0
微かな目撃情報の中にも、所持している武器は刀一本のみと言うのが多かった。
となると、奴の持っていた脇差は何処へ?

( ^ω^)「そしてやはり、『屍』は『躯』と接点があるようだったお」

恐らく偶然であの脇差を手に入れたわけではないだろう。
それに奴本人も、あの男を将来的には殺すと言っていた。

ミ;-Д-彡「……しかし、凄まじい組み合わせだな。殺人鬼(スプラッター)に虐殺者(マサークラー)か」

僕だって想像したくない二人組だ。
『屍』だって殺人鬼の名は伊達じゃない。
はっきり言えば機関に匹敵する強さだった。

( ^ω^)「まあ、戦闘に関しては、また追々報告書を読んでもらいたいお」

で、と僕は肝心な部分に移る。

( ^ω^)「……『躯』の居所を、突き止めたお」

ミ,,゚Д゚彡「…………」

布佐さんは、まるで呆れたように僕の顔を見た。
そのまんまで懐からゴールデンバットを一本引きぬくと、火を灯す。

ミ,,゚Д゚彡-~「……あれ程言ったはずなんだがな?」

その目は真剣そのものだ。

21 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:47:38.21 ID:20YZcVEo0
( ^ω^)「まあ聞いてくれお」

僕はそんな彼の様子にさして戸惑うでもなく、バーボンを煽りながら続ける。

( ^ω^)「屍もどうやら、個人的なやり方で色々と情報を漁っているようだったお。
      僕達『国解機関』の事についても色々と知っている様子だったし」

ミ,,゚Д゚彡-~「……続けろ」

( ^ω^)「そんな奴に僕は訊いたお。『奴の居所は?』って」

カラッ、と氷が鳴る。
僕は手元の空になったグラスを見つめながら続けた。

( ^ω^)「そして出てきたのがvipだったんだお」

ミ,,゚Д゚彡-~「……ふむ」

と、そこまで聞いて布佐さんは唸った。
そりゃそうだろう。今更になってその名前が出てくるとは誰も思うわけがない。

何故ならあの組織は再起不能なまでに、徹底的に破壊されつくしたのだから。
当時を知る数少ない彼や、それを経験している僕だ、そう思うのも無理は無い。

ミ,,゚Д゚彡-~「……やはり分からんな。既にあれと関係のある組織も見当たらないだろう」

そりゃそうだ。
なんたってvipは十と数年前に無くなった過去の遺物なのだから。

23 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:50:20.70 ID:20YZcVEo0
( ^ω^)「……あるんだってお、残党が組織するものが」
  _,
ミ,,゚Д゚彡-~「……何だと?」

そう言うと、またも空気は張り詰めた。
布佐さんの顔を見れば、あり得ない、と言いたげだった。

( ^ω^)「……でも、もう感づいたような顔だおね?」

やはりこの男は頭が冴えるのだろう。
誰よりもいち早く危険を察知することに長けているとも言える。

ミ,,゚Д゚彡-~「……まあ、当時を知る一人だからな」

成程、と呟いた。

ミ,,゚Д゚彡-~「あの時だって情報の操作は当たり前、上からの謎の圧力に加えて各組織、機関での抗争。
       混乱の渦中だったからな」

結局、全ては上が――国が管理し、そういう状態を作り出していたに過ぎなかったのだ。
それに気付いて刃向ったのが、この布佐さん達だ。

ミ,,-Д-彡-~「成程。未だに関係は根強いのかもな。しかもその残党組織とやらの情報が微塵も漏れていない」

逆にあり得ないくらいだな、と零す。

25 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:53:20.49 ID:20YZcVEo0
そうだろう。
当時はそれこそ混乱の渦中で、やれ宗教的組織やら過激派機関、色々な勢力の争いがあった。
そんな中では様々な情報やら各組織の名が飛び交った。

だが現代。
今ではほとんどの組織、機関が潰れ、結果的に残ったのは我々と、微々たる組織達だ。
それらは未だに水面下で静かに活動をしていると聞くが、それでも時には名前を聞きもする。

( ^ω^)「なんつーか、色々と見えてきた感じだお」

ミ,,-Д゚彡-~「知らないふりしていたいんだけれどな、本当ならよ」

まったくこいつは、と布佐さんは燃え尽きそうになる煙草を灰皿に押しつけてぼやく。

ミ,,゚Д゚彡「あの糞『躯』を追ってると思えば、今度は『屍』で、最終的にあの『vip』の名前を出したと思えば、
      その後釜となる組織があることを突き止めて?」

( ^ω^)「あ、『躯』、どうやらその組織に正式に雇われたらしいお」

ミ;-Д-彡「……最悪な情報をどうもよ」

ああ糞めが、と布佐さんは呟いた。
最近、ストレスでも溜まっているんだろうか?

ミ#゚Д゚彡「おお、誰かさんのお陰で胃が痛くなったよ。まるで一カ月デスワークしてた気分だ」

( ^ω^)「おっおっ。まだ若い証拠じゃないかお」

ミ#;Д;彡「お前なあ、少しは労るってことしてくれよ、マジでさあ」

27 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:56:29.73 ID:20YZcVEo0
ああ、この人も苦労人だなあ。
まあ仕方があるまい。機関に属する人間は皆若いし、それだけ手間のかかることもやっている。
それらの尻拭いを日夜行い、こうして時たま趣味でやっているバーだけが彼の憩いの一時なのだろう。

ミ#;Д;彡「分かってるんだよなあ……分かってるのにこの仕打ちなんだよなあお前……」

(;^ω^)「ええい、恨むなら自分の肩書を恨めお!」

『国解機関』の総監督、つまり組織のトップ。
それが今の布佐さんの肩書だ。
嘗てその地位に居た姉さんの代わりに、今では彼が立つ。

当然と言えば当然だろう。
あれから数年が経ち、彼も少し老けたと言えど、それでも実力は僕の引けを取らない。
序列二位と言っても、恐らくは僕と同程度の力を持つ。

ミ,,゚Д゚彡「……まあ何だ、ご苦労だったな、ブーン」

そう言って、彼は一瞬しまった、というような顔をした。
僕は少しだけ苦い顔をする。

( ^ω^)「……兄さん」

だから僕もそう返した。
嘗てそう呼んだように。

ミ,,゚Д゚彡「……ずっと、聞いてなかったことがある」

30 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 21:59:21.92 ID:20YZcVEo0
僕は何となくそれを察した。

ミ,,゚Д゚彡「なあ、ブーン」

鶴子は笑っていたのか?
そう、彼は僕に訊いた。

ミ,,゚Д゚彡「あいつは、死んでしまう……その最後の時まで、笑っていたのか?」

脳裏に過るのは姉さんの笑顔だ。
何時いかなる時も、決して絶やす事の無かった、あの柔らかな、温かい笑み。
あの優しい微笑み。

( ^ω^)「…………」

真っ白の景色の中。僕は彼女の最後を看取った。
血に塗れ、大袈裟な斬り傷を作りながらも、それでも彼女は僕に戦えと、生きろと言った。

脳裏には未だに焼き付いている。
彼女の最後の瞬間。徐々に冷めていく体温、震える体。

それでも。

( ^ω^)「……笑っていたお、姉さんは」

32 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:01:47.73 ID:20YZcVEo0
ミ,,゚Д゚彡「……そうか」

彼は決意したのだろう。
長らく、彼は戦ってこなかった。
その地位も無暗に動けなかった要因の一つでもあるだろうが、
それでも彼は懐の銃を仕舞ったままでいたのだ。

ミ,,゚Д゚彡「なあ、ブーンよ」

彼が懐から抜きだしたのは一つの銃。
そこに彫られているのは、嘗て愛した人の名前が。

だいぶ前に、彼はそれを自作の銃だと言った。
とある女性をイメージした銃だと。

弾道は鋭く、重量はそれでも軽く。
まるで戦う為だけに作られたようなそのゴツゴツとした銃。
五点七ミリメートル弾を使用する、その凶暴な銃。

ミ,,゚Д゚彡「今更撃鉄に指をかけるのは、遅いことだろうか?」

そう彼は問うた。
その揺るぎない目で僕を見つめながら。

( ^ω^)「……いいや、今だからこそだお、兄さん」

彼はにやりと笑う。
僕も、吊られて笑った。

33 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:04:38.40 ID:20YZcVEo0
 
 
九 其の二
 
 
34 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:07:06.42 ID:20YZcVEo0
ξ;゚听)ξ「………ふぅ」

深く息を吸って私は力を込める。
視線は私の先にある缶だとか瓶へと。

ξ;゚听)ξ「おりゃっ!!」

指先に込めた力をそのままに、私は腕を振り上げると、それを放り投げた。
投げ出されたソレは、右端にある缶の真ん中に風穴を開ける。
命中だ。

ξ;゚听)ξ「ほりゃ、とりゃっ!」

続けざまに私はソレ等を放った。
どれもこれも見事に目標を貫き、吹き飛ばす。

ξ;゚听)ξ「……ふいーっ」

うん、悪くないじゃないか。
まだ投げ始めてそこそこだが、自分自身で褒めてやる。

ξ;゚听)ξ「どうよ、空」

川 ゚ -゚)「……少し驚いたな」

36 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:10:26.35 ID:20YZcVEo0
私と空がいるのは、毎度お馴染の廃工場だ。
空は後ろから私に歩み寄ると、そう言って手に持つ何かを私に差し出す。

川 ゚ -゚)「腕前にもそうだが、よもやこれがお前の武器なのか」

そう言って手の中で転がしている物は……。

川 ゚ -゚)「ダーツ、か」

そう。空の手の中に握られているのは、先端が針状のハードダーツだった。
おまけに、少しだけ改造が施されているのが分かる。

川 ゚ -゚)「いやしかし、ある意味お似合いかもしれないな。狩る側からすれば」

何でも、ダーツの起源は狩猟などに使っていた尖頭器であるらしいが、
それからは歴史的に完全なスポーツと化した。

しかし手のひらサイズの小さな矢。
射的という攻撃方法。
何もかもが私にとって最高の武器だった。

川;゚ -゚)「……しかしツンよ」

ξ゚听)ξ「ん?」

投げ尽きてしまったダーツを拾っている私に、空が変な声色で尋ねた。

38 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:14:00.37 ID:20YZcVEo0
川;゚ -゚)「何か、さっきからとんでもない速度で射出されているように見えるんだが……」

ξ;゚听)ξ「ああー……うん」

そもそも、この矢は少し――いや、かなりか――普通の物とは形もサイズも違う。
ポイントは普通の針よりも鋭く、長い。
バレルとシャフトの間には、何か妙なスイッチがついていたり。
そしてフライトなんて螺旋状になっている。

ξ;゚听)ξ「まあ、一応、武器、だからだってさ」

そう。お気づきだろう。
そもそも普通のダーツなんかで戦闘だなんて、お話にもならない。
かといって弓矢なんて、持ち運びも不便なうえに無駄に大きい。

ならばこの小さな矢をどう活かすか?

川;゚ -゚)「……いや分かる。分かるが……加速装置尽きとはな」

そうだろうとも。
目の前で風を凄まじい速度で切り裂いていったら、驚きもするだろうさ。

そうなのです。
これは、内藤お手製のダーツなのです。

話は少し遡る。

39 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:17:58.84 ID:20YZcVEo0
あの屍との戦闘から数えて三日目だった。
内藤の身体もようやっと傷が癒えてきた頃、私はこのダーツを渡された。

ξ;゚听)ξ「……何これ?」

( ^ω^)「君の相棒だお」

内藤に渡されたダーツを色々な角度から見る。
凡そ一本一本が掌と同じくらいの大きさで、しかし細さは小指と同程度。
フライトなんてある意味無いようなもので、螺旋状の――まるでジェットみたいな形だった。

( ^ω^)「君の飛刀、実に見事だったお。あれがなかったら、最悪な形にまでなっていたかもしれないからお」

ちょっと貸して、と言われてダーツを内藤の手に渡す。
内藤はバレルとシャフトの間にある小さなボタンを押した。
途端に、空気の唸るような音が微かに聞こえてくる。

( ^ω^)「銃を君は好まないと言った。かといってナイフも嫌だと。ではその腕前をどうするか?」

すっと内藤は構える。
目標は恐らく、少し遠くに配置されているダーツボードだろう。

( ^ω^)「手に収まり、本来投げて使われる用途で、その上射的類の武器」

ぶん、と腕を振るう。
その瞬間、まるでダーツが空気を取り込むような、ひゅごっ、と変な音を微かに漏らした。
そして、それは普通の速度じゃない速さでボードに突き刺さる。

( ^ω^)「つまり、この小さな矢――ダーツこそが君に似合いの武器なんだお」

41 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:22:26.64 ID:20YZcVEo0
確かに言われた通り、それは私の手に馴染んだ。
速度も拳銃よりかは遥かに遅い物の、それでも十分な速度が出る。
ノーモーションからの投擲でも十分に通用する早さだった。

川 ゚ -゚)「ふーむ、しかし変わったモノを使うな、お前も」

ξ゚听)ξ「そう言えば、あんたは何を使うのよ?」

そうだ、そう言えば空の戦闘している姿なんて見たことが無い。
というか、空は自分の武器を持っているのか?

川 ゚ -゚)「私か?」

そう言うと、空は懐から何かを取り出す。
黒光りの、ごつごつとした、淫らな――

川 ゚ -゚)「いやいいから。無理にそっちに持っていこうとしなくていいから」
  _,
ξ*゚听)ξ「ちっ、ノリの悪い奴めが」

そんな空が取りだしたのは拳銃だったのだ。
以前私が渡されたトカレフとか言うのとはまた違う、それでも刑事ドラマとかで見る様な銃。

川 ゚ -゚)「まあ、本当はライフル系が好きなんだがな。中距離を強いられるような拳銃やアサルトライフルは嫌いなんだ」

だからこれは万一の時のためのものさ、と言う。
空よ、万一の時の為に拳銃を持ち歩く女子高生などこの世にはいないだろうよ。

43 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:25:50.40 ID:20YZcVEo0
しかし、そうなると空は遠距離からの攻撃を好むと言う事だ。

川 ゚ -゚)「お、もしかして気付いたのか?」

ξ*--)ξ「ふふーん、まあねっ」

そう、気付いたこととは。
恐らく私と空と内藤は、チームとしては非常にバランスがいいのだ。

内藤は超近接戦闘型、そして私は中距離型、そして空は遠距離、後方支援型だ。

川 ゚ -゚)「まあ、大概は内藤が終わらせてしまうから、私達の出番なんて無いだろうがな」

ξ;゚听)ξ「……確かに」

そもそも、あいつは私達に自ら殺させようだなんて考えていないだろうしな。
そうさ。私だってそうだ。

確かに戦うとは決めた。だがまだ、殺すことに関しては答えは出せないままだ。
以前言われた言葉も、私に判断を鈍らせる材料になっている。

何れ人を殺すようになるかもしれないと。
そう、あの言葉。嘗て内藤と空に言われた言葉だ。

人を殺すようになったら、それはもう、ダメな気がする。
きっと私は完全な鬼違いに成り果てる気がするのだ。

44 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:28:49.98 ID:20YZcVEo0
空だってそうだ。今は内藤が殺しているから、それを見ているだけで目標は果たされている。
だが自分で殺すようになったら?

多くの鬼違い達と一緒になってしまうのではないか?
抑制せず、ただ本能のままに人を襲うようになるのではないのだろうか?

ξ;゚听)ξ(つーか、よくよく考えたら、これ超ギリギリじゃん)

内藤は自らも戦えるようになれと言った。
だが殺すことはするなと、遠回りに空から言われている。

なんとも目茶苦茶じゃないか。
募る所、全ての管理も責任も内藤にかかっているわけで。
そう言った最悪の状況――私達の完全鬼違い化――に陥った時、苦労するのは内藤だと言うのに。

川 ゚ -゚)「……ん」

そんな風に私が考え事をしていると、ふいに空が携帯を取り出した。
どうやらメールでもきたらしく、その内容を見ると小さく頷く。

川 ゚ -゚)「すまんな、ツン。野暮用が出来てしまったようだ」

ξ゚听)ξ「あら、珍しいじゃない」

何に対しての珍しいかなのかと言うと。
普段携帯を弄っていない空が携帯を操作したこと、そしてメールが来たこと、さらに野暮用があることだ。

川 ゚ -゚)「これでも人気者なのでね。誰かさんとは違って?」

ξ;皿;)ξ「こいつうううう!!」

45 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:31:45.42 ID:20YZcVEo0
別に悔しくねーし、寂しくねーし。
だって一人とか慣れっこですから?
そもそも友達とか、いらないですもんね!空以外!

川;゚ -゚)「何か色々とアブノーマルだぞお前」

Σξ;゚听)ξ「はっ!また百合フィールドがっ!」

何のこっちゃと言って空は苦笑いする。

川 ゚ -゚)「まあなんだ、あまり長くまでやるなよ」

そう言って、空は手を振り廃工場を去って行った。

ξ゚听)ξ「……さて」

再び私はダーツを構えた。
的は周囲、上方に立ち並ぶ不規則に設置された瓶や缶。

ξ゚听)ξ「そりゃっ!」

ようやく手に入れた私だけの武器、永遠の相棒。
一日でも早く使いこなせるようにならなければ。

ξ;゚听)ξ「しっかし、この反動は速度故かしらねえ……」

内藤よ、威力は申し分ないが、私が女の子であると言う事を忘れるなよ?
結構半端ない衝撃だぞ。

私は風穴を開け吹き飛ぶ缶を見ながらそう思った。

46 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:34:08.99 ID:20YZcVEo0
 
 
九 其の三
 
 
47 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:37:26.21 ID:20YZcVEo0
饐えたニオイがする路地裏。
それは全国どこも一緒だった。

(//‰ ゚)「いってて……」

破壊された部位を庇うようにボクは路地裏を歩く。
幸いにも両の足は被害を被っていないため進行を妨げる事は無かった。

(//‰ ゚)「ったく、まいっちゃうよなあ……」

右脇腹、右肩、左腕の付け根。全てあの殺人鬼に破壊されていた。
何とも情け容赦のない破壊じゃあないか。
これじゃまともな戦いが出来やしない。

(//‰ ゚)「けどまあ、殺せるけれどね」

足元で血の池を作る物体を蹴る。
つい先ほど、金目当てか何なのか襲い掛かってきたボンクラだ。
痛みによる苛立ちの為、普段よりも過剰な殺人をしてしまった。

「随分じゃない、酷い有様」

後方で声がする。可愛らしい声だ。
だが本質は違う。ボクはそれを知っている。
舌を打つとボクは振り返りもせず、頭をかきながら後方の人物へと声をかけた。

(//‰ -)「……果たしてそれはどっちに言ってるのかな」

「両方かな。うん」

49 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:40:23.65 ID:20YZcVEo0
成程?
この足元に横たわる、四肢を切断され、頭部を解体された奴とボクを同列扱いするのか。

「あれ、怒っちゃった?」

(//‰ ゚)「五月蠅いよ阿婆擦れ」

懐に仕舞っておいた脇差を抜く。
構えては見るが、破壊された右肩にはあまり力が入らず、だらしなくぶら下げる形となってしまった。

(//‰ ゚)「何か用?」

「何か用って?」

ボクの言葉にクスクスと相手は笑った。
相も変わらず気に食わない奴だ。

「まあ落ち着いて。それにしても、まだこの街を離れないの?」

(//‰ ゚)「離れる気にはなれないね。色々とやることがある」

「色々?」

もう一度笑い。

「あと一つの間違いじゃないの?」

そう言った。

51 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:43:12.27 ID:20YZcVEo0
(//‰ ゚)「…………」

ボクは振り返った。
この糞尼めが、今ここで殺してやろうか?

「怖いよ、落ち着いてって言ってるのに」

(//‰ ゚)「の、割に君は煽るのが上手いようだね、阿婆擦れ」

だが殺すわけにもいかないのだ、ボクは。
ボクはこの女の価値を知っているから。

「……動いたそうよ、彼ら」

(//‰ ゚)「……へえ」

ふと頭を過るのは、ボクを破壊したあの殺人鬼の顔。
どこか穏やかそうで、柔らかい笑みを湛えた奴だった。
だのにも関わらず、その戦闘技術たるや異常を地で行く狂人だった。

(//‰ ゚)「存外動くのが早かったね」

だがそれは良い方向にいったということだ。ボクにとって。
……だが。

「その身体じゃあねー」

思っていたことを代わりに言われて尚更腹が立つ。

(//‰ ゚)「しかし、君も可笑しな人だ」

53 名前: ◆hrDcI3XtP. 投稿日:2011/07/13(水) 22:46:46.24 ID:20YZcVEo0
暗闇の中で彼女は微笑んだ。よく知る笑みだ。
それはボクや、彼や。つまりはそう言った人種にしかできない類の笑みだ。

(//‰ ゚)「……ん」

そんな彼女の後ろに影が立つ。
何処かで見た顔だ。

「遅かったね」

「…………」

(//‰ ゚)「……本当、訳分かんない話だよ」

まったく何がどうなっているのやら。
だがボクに直接関係ないのならそれでも構わない。
ボクの思うように行くのなら何でもいいのだ。

(//‰ ゚)「まあ、兎に角情報ありがとう」

「あなたはいつ動くの?」

その問いにボクは微笑む。

(//‰ ゚)「そりゃあ、決まってるさ」

殺したくなったら、ね。
 
 


55 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 22:55:36.47 ID:20YZcVEo0
 
 
問 一
 
彼女達は何時出会ったか?
 
 
56 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 22:56:15.54 ID:20YZcVEo0
 
 
解 其の一
 
 
58 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 22:57:14.65 ID:20YZcVEo0
川;゚ -゚)「あっぢいいいぃぃぃぃいいいいい」

みんみんと蝉が忙しなく叫びたてる季節。
私はどうにもこの季節が好きにはなれない。
出来れば今すぐにでも冬に来てほしい物だ。

川;゚ -゚)(まあ来たら来たで夏が恋しくなるのだがな)

まあ、きっと皆一緒だろう。
だが今年の夏は異常に暑い。

八月も終わりに近づき、夏休みもあと一、二週間と言ったところだろうか。
特にやることも無く、内藤もいないため私は暇を持て余していた。

だからこうして夕暮れの片田舎を散歩してみる。
何故夕方に?とも思うが、昼間に歩いてみろ、熱中症で死んでしまう。

川;゚ -゚)「けどまあ、あまり変わりないかなあ」

時刻は夕刻なのだが、それでもまだ日は昇ったままだった。
うっすらと月が見えてはいるが、それでも空は茜色に染まったままだ。

川 ゚ -゚)「ふう、少し休憩」

道半ば、自販機を見つけて適当に飲み物を買ってみる。
しかし便利だよなこれ。
ボタン押すだけで冷たい飲み物が出てくるとか、世界最大の発明だろ。

59 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 22:58:20.36 ID:20YZcVEo0
空っ風が吹き抜けて、私の髪を靡いていく。
爽やかな香りが身を包んだ。
夏の香り。青春の香り。
何処か儚くて、切ないような、そんな香り。

ζ(゚ー゚*ζ「あれ?」

川 ゚ -゚)「おや?」

ぼーっと突っ立ってそんな事を考えていると、見知った顔が近付いてきたのが分かった。
この子は確か、津出の妹の……。

ζ(゚ー゚*ζ「直さんじゃないですか、どうしたんですか?」

川 ゚ -゚)「ああ、ええと、零ちゃん、か。いや何、どうにも暇でね、少し散歩さ」

小さな背に、くりくりと大きな瞳。
軽くウェーブのかかった髪の毛に、年相応に発達した乳房。
  _,
川;゚ -゚)(本当にあの糞女の妹なのか?)

疑うのも無理は無いだろう。
何せあれは不良だしナイチチだし不良だしナイチチだ。
絶対別の遺伝子が入ってるだろ。

60 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 22:59:01.53 ID:20YZcVEo0
ζ(゚ー゚*ζ「そうなんですか……あっ、そうだ!」

直さん、と名を呼ばれる。

ζ(゚ー゚*ζ「よかったら家に来ませんか?」

川 ゚ -゚)「え?」

唐突にお呼ばれしてしまった。

ζ(^ー^*ζ「お姉ちゃんもいますし、ご飯もあげますよ?」

川*゚ -゚)「是非行かせてもらおう!」

別にあの糞ゴミのことはどうだってよかったが、彼女の作る飯には大変興味がある。
というか以前に食べた時から既に虜となりつつある。
それほどまでに彼女、零の作る飯は美味いのだ。

ζ(゚ー゚*ζ「直さんって、お姉ちゃんの友達ですよね?」

川;゚ -゚)「え?」

津出家へと向かう道中、そう訊かれる。
果たして何と返せばいいのだろうか。

んなわけあるか、と言ったらきっとこの子は傷つく。
ならば答えは。

川;゚ -゚)「んー……まあ、な」

61 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 22:59:59.53 ID:20YZcVEo0
友達、か。
そんなもの、私には到底あり得ない話だ。
今まで生きてきた中で触れ合ってきた人の数などたかが知れているし、
そもそも出来るだけ他人と関係を築いてこなかった。

川 ゚ -゚)(……臆病者だな)

過去の記憶が蘇る。
繰り返される両親からの暴力の日々。
呪詛は果てしなく続き、救いを求めては涙を零した。

そんな私だったから、人というものをあまり信用できないでいた。
きっと何かしら裏があるのだろうから、と。

川 ゚ -゚)(……津出、か)

不思議とあいつとは最初から素で話せた。
最も、その最初と言うのはあの夜――初めて奴が殺人現場に居合わせた夜――から考えてだが。

裏表の無い、馬鹿正直な奴だなと思った。
きっと幸せな家庭で過ごしてきた奴なんだろうな、と。

川 ゚ -゚)「……いや」

ちら、と隣を歩く零を見る。
そんな分けが無い。
この子も、あの馬鹿も。

63 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 23:00:43.77 ID:20YZcVEo0
きっとこの子は全て覚えているはずだ。
これだけしっかりしているのがその証拠とでも言おうか?
いや、それは人間性の問題か。

ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、直さん」

川 ゚ -゚)「ん?」

考えている私に声がかかる。

ζ(^ー^*ζ「お姉ちゃんと、ずっと仲良くしてあげて下さいね」

そう言って彼女は微笑んだ。

川 ゚ -゚)(……あれ)

いや、まさかな。
けれどその笑み、何処かで――

ζ(゚ー゚*ζ「さ、着きましたよー」

川;゚ -゚)、「ん?あ、ああ」

いつの間にか目的地に到着していたようだった。

64 名前: ◆hrDcI3XtP.[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 23:01:13.82 ID:20YZcVEo0
ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃん、ちゃんと宿題やってるかなー」

玄関を開く。その後についていく。
何故だか私は、大事なことを忘れてしまったような気がした。
そう、もう後戻りができないような。

川 ゚ -゚)(まあ、気のせいだろう)

さて、津出は元気にしているだろうか。
貸してやったあの『人類撲滅説論』はちゃんと読んでいるだろうか?
 
 



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