( ^ω^)はイキガミの配達員になるようです

92 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/09/17(土) 17:53:50 ID:5.JuDch.O

―――――――

( ^ν^)「死ぬのかぁ……あと24時間で」

( ^ν^)「……」

( ^ν^)「何すっかな」


数年前に国家繁栄維持法が施行され始めてから、真っ先にその効果の程が顕著に現れた部分がある。

それは、「NEET」と呼ばれる人種の消滅である。

NEETとは、Not in Education, Employment or Training, NEET(教育、労働、職業訓練のいずれにも参加していない状態)の略語であり、数年前の日本で大問題となった者達だ。

大人へと成り行く過渡期の中、リソース(環境)、モチベーション(自己活気)、パフォーマンス(実力)、etc……様々な要因に欠陥が生まれ

社会へのスタートを切れずに燻ってしまった数々の若者達が、これに陥ってしまった。

93 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/09/17(土) 17:58:39 ID:5.JuDch.O
しかし国繁法が生まれて以来、この命を限りあるものと実感出来た若者達は、こぞって生に対し懸命になった

皆がスタートラインに並び、皆がスタートダッシュを切ったのだ。

そのスタートさえ乗り遅れなければ、NEETと呼ばれる人種は生まれない。

結果として、このNEETはほぼ絶滅。

しかし、

( ^ν^)「……天罰みたいなもん、かな」


此度。その絶滅危惧種に、死神はやってきた。


その死神の名を、正しく言うならば。

( ^ν^)「死亡予告証……『イキガミ』……か。俺に死を渡すシニガミの名がイキガミ、ってのは……なかなかどうして皮肉が効いてるね」

さて、甚だ疑問だ。

―――――未来を見据えられない人間は、最後の一日をどう扱う?

94 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/09/17(土) 18:00:54 ID:5.JuDch.O

―――――――

君が神様のごとし価値を見いだしていたものは、そうだな。
例えば君がたった一杯のコーヒーを飲んでいる間に
ただのゴミクズに変わっちゃうんだよ。
否定すんなよ。君も人間ならば、知ってるでしょ?



第三話:「形無し味方無し(フォームレスホームレス)」

対象者:速報ニュー

96 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/17(土) 18:22:28 ID:5.JuDch.O
未だにニートやってたらイキガミが届いたwwww

1:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 13:47:27 ID:nem2r6WsO

どうしようか

2:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 13:49:47 ID:ww62r25sP

うpしろよ

3:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 13:52:22 ID:hjnw258g0

はいはい国繁死の英雄様かっけー

4:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 13:55:27 ID:4M5nJPWMO

>>1
うp
デマなら国繁取締法でお縄だな
お疲れ

( ^ν^)「……」

まぁ、当たり前の流れだろう。
1000人に一人の低確率を引き当てたやつがさらにまた低確率な人種、ニートだなんて
誰も信じないだろう。

まぁそれはどっちでもいい。
どっちにしたって、事実だから。

( ^ν^)「……うぷろだは……まぁ、どこでもいいか」

10:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 13:58:66 ID:nem2r6WsO

これでいいのか?
h ttp//:○○××…….jp


皆は、どんな反応するだろう。

102 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 05:55:01 ID:VJL9pu4UO

死亡予告証――――――――――――――
『( ^ν^)』
指名:速報ニュー
生年月日:8月13日
本籍:○○県ゆとり町7―2
住所:○○県ゆとり町7―2
死亡予定時刻:「PM1:40」
あなたの御冥福を心からお祈りします。
発行日付:○月○日
担当人:内藤ホライゾン
―――――――――――――――――――

俺に届いた死亡予告証。
それを今のID付きで貼り付ける。
名前が晒されるのも、死ぬのだから躊躇う必要もない。


( ^ν^)「……」

お、きたきた。

11:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 14:00:66 ID:rMM6p2Ws0

>>10
……え?
マジで?

12:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 14:02:00 ID:yyx2r6sBO

おい解析班急げ
もしかしたらマジで1000分の1を引いたVIPPERかも知れないぞ

―――――――

( ^ν^)「……」

増える。増える。
レスがどんどんついていく。

103 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:03:27 ID:VJL9pu4UO
13:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 14:02:08 ID:rn6emxkIO
>>10
これガチなやつじゃねえか……
俺の知り合いの友達が貰ってたやつと一緒……


14:名も無きVIPPERのようです
XX/0X/2X(月) 14:02:98 ID:k2C4rzz6zO
>>1はよく掲示板でも人を笑わせてくれるいいやつでした
死亡という事には甚だ遺憾ですが、これも国の為ならば心残り無く送り出せます。

テレビ用


―――――――

( ^ν^)「……『信じてくれた?マジなんだよ、ニートの方は証明のしようがないけど。俺も急な事でびっくりしたんで、とりあえずスレ建てたんだわ』……っと」

エンター。
さっきまでとは違う重みでクリックする。
数秒置いてF5を押せば、また言葉の波は押し寄せた。


『おお……なんか、うまく言えないけどとりあえず冥福を祈る』

『え?これガチ?釣りじゃないの?』

『国繁に関する法はキツイから、偽造だったら一瞬でタイーホされてるはずだろ。』

『マジなのか。でも死を間際にしてスレ立てって……どうなの』

『確かに。こんなスレ立てて、>>1は何がしたいんだ?』

( ^ν^)

( ^ν^)『それがわからないんだよ。死が決まって、今で30分ほどだろ?でも、何がしたいのかわからない』

( ^ν^)『残された時間で、何をすればいいのかわからないんだ』

105 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:10:42 ID:VJL9pu4UO
『なんでだよ。世話になった人とか、いるだろ?その人に感謝述べたりとかは……』

( ^ν^)『ニートだからなぁ……パッと浮かばんわ』

『ざまぁwwwはよ死ねニートwww』

( ^ν^)『あと23時間だけ待ってね』

『じゃあ養ってくれてる親になんかしろよ』

( ^ν^)『ババァに……なぁ。父親死んで、一人で俺を養ってくれてんだよな。確かに、そうかも』

『死ぬ前……俺なら童貞捨てるかなぁ。レイプしてでも』

『死亡予告証対象者が犯罪犯したら、国繁遺族年金が支払われなくなるんだろ?それだけは嫌だわ』

( ^ν^)『性欲はないんだよなぁ、なんか』

『つーかまずさ、ニューよ。なんでこんなご時世にニートなんかやってんだ?』

( ^ν^)『知らない人から名前で呼ばれんのってなんか恥ずいな』

( ^ν^)『いいよ、話す事にするわ。今までの事から、イキガミを貰うまで』

( ^ν^)『俺の人生の全てを』

106 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:18:31 ID:VJL9pu4UO
『wktk』

『手短に話せよ。ホントならお前の大事な時間を奪ってまでやるこっちゃ無いんだから』

( ^ν^)『なんだこのスレ。皆、異様に優しいんだな。やっぱガチな死は効くものがあるのか……』

( ^ν^)『まず、小学生の頃まではすっ飛ばすわ。フツーの子だったからな。お前らと同じで軽くハブられかけだがまだ輪には入れてた感じのな。で、中学生から』

( ^ν^)『俺は、イジメにあったんだ』

―――――――

イジメも、お前らが思ってる感じのやつな。
明らかな無茶振りをされたり、芸をやらされる程度だ。
後は物が無くなったりとか。

で、俺にはすぐ限界が来た。
イジメをなんとかやめさせたかったんだ。
そんで浮かんだ……ってか、よく聞く解決策があったんだよ。
簡単だよ。『反抗する』だけ。
俺は生まれて初めて心から勇気を出して
イジメっこに立ち向かったんだよ。



……カッターナイフを持って、な。
それがいけなかった。

107 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:25:21 ID:VJL9pu4UO
暴れたんだよ。
暴れ散らしたら、イジメっこもビビってやめるだろうと思ってさ。


当てる気は無かった。

俺は、ビビりだもの。

でもなぁ、向こうはガードしたかったのか、手を前に出してきてな。

次の瞬間、今でも忘れない、あの感触さ。


『ざぐりっ』、ってな。
カッターナイフ、なめちゃいけないな。

そのイジメっこの手首の健を、思いっきりぐちゃぐちゃにしたらしい。


先生がすぐに来た。
俺はかなり強引に引っ張られた。
でも俺も状況が状況だし、混乱しながら半狂乱になってるんだわ。

あろう事か先生にまでカッターナイフを振り回した。


当時の俺にとっちゃ生憎、今の俺にとっちゃ幸いだが
先生は薄皮一枚切ったレベルで済み
俺はカッターナイフを叩きおとされて……



そっからはよく覚えてない。
気づいたら生活指導部で延々と教師と話してた気がする。

108 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:32:20 ID:VJL9pu4UO
イジメっこは仮にも野球部の、それなりに有望なやつだったんだ。
でも、俺のせいで野球を続けられなくなったらしい。

しかし俺がイジメられていたと言う事実が判明して、生活指導も何を加味してくれたのか
俺は謹慎だけで済んだんだ。


ずっと家で罪悪感に飲まれ続けたよ。
憎んでるやつとは言え、人一人の人生を奪ったんだから。

そいつの親もうちに来た。
最初のうちはその親もイジメに関してひたすら謝っていたが
最終的には、俺のカーチャンがその親に土下座していた。

もう、ホントに死にたかった。

何よりカーチャンに申し訳なくてな。





……で、謹慎で自宅待機してた。
浮かばない反省文の続き。
誰も自分を邪魔をしない部屋の中。

いろんな条件が揃ってな、俺はすぐ浮かんだよ。


『あれ、部屋の中がこんなに楽なら、このままでよくね?』って。

109 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:40:27 ID:VJL9pu4UO

『いやその理屈はry』

『いや確かにそうだろうが……なんか違うだろ。逃げてるだけじゃねーか』

( ^ν^)『今にしてもおかしいと思うよ。だが、体が楽を覚えちまってな。今や、カーチャンへの罪悪感なんか無くなってるよ』

『はよ死ね糞ニート』

( ^ν^)『だからあと23時間待てよ』

『お前がニートになるのをカーチャンは認めたのか?』

( ^ν^)『認めたっていうか……なぁ』

―――――――

最初はそりゃあ部屋に喋りかけてきたよ。

J( 'ー`)し「ニュー、学校は?いかないの?」

( ^ν^)「……行きたくない」

J( 'ー`)し「……そう。まだ心が重いのね」

J( 'ー`)し「でも安心してね、カーチャンは、いつまでも味方だから。あんたが大丈夫と思えた時、また学校に行けばいいよ」

母は誰より俺の事を考えてくれて、心地よかった。
そのぬるま湯を、俺は手放したくなかったんだと思う。


―――――――

( ^ν^)『それが今……まぁ俺は24なんだが、今まで続いてる、と』

『甘えだな』

( ^ν^)『俺もそう思うよ』

( ^ν^)『そして、今日が来た』

110 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:46:41 ID:VJL9pu4UO
―――――――

J( 'ー`)し『ニュー。ニューよ』

ドア越しに、カーチャンの声が聞こえてきたんだ。
確か、VIPの糞スレでも見て笑ってた頃だったかな。

( ^ν^)『うっせぇな。なんだよ糞ババァ』

J( 'ー`)し『……あなたにお客さんよ』

( ^ν^)『は?お前が処理しとけよバカじゃねーの?話しかけてくんなよ』

J( 'ー`)し『……』



そして数分後だ。

J( 'ー`)し『……ニュー』

ドア越しでもわかるくらい、カーチャンの声は震えてたんだ。
だから、ちょっと違和感は感じてたよ。

( ^ν^)『あ?また?今度はなに?』

J( 'ー`)し『……あんたに渡すものがあるの。ドア、開けて頂戴』

( ^ν^)『は、なに?金?』

J( 'ー`)し『……違う』

( ^ν^)『んだよキモいな。じゃあ知らねーよお前が勝手にやってろよ。なんでもいいから俺にやらすなってんだ』

J( 'ー`)し『……じゃあドアの下から入れるから。必ず見といてね』

そんでさ、俺のドアの下から何かが入ってきたんだよ。
それがさっきお前らに見せたやつ。
イキガミ、だよ。

111 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/20(火) 06:54:14 ID:VJL9pu4UO
(;^ν^)『……は?』

びっくりした。
びっくりって言葉が軽く感じるくらいびっくりした。

(;^ν^)『おいババァ!!おい!!』

ドアを開けずに叫んだよ。
今思えば、こんな時まで引きこもってる自分が恥ずかしい。

J( 'ー`)し『……なに?』

(;^ν^)『ほ……ホンモノか、これ?』

意味のない確認だ。ホントはわかってる。
人の死を扱うこのイキガミに、偽造されたモノなんかあるわけないって事に。

J( 'ー`)し『……ホンモノね』

(;^ν^)『……おい、どういう事だよ……なんだよ!!』

(;^ν^)『どうにかしろよババァ!!早く!どうにかしろ!!』

J( 'ー`)し『……無理ね』

(;^ν^)『あああああ!!!使えねーな糞が!!もういい消えろ早く!!』

謎のストレスがのし掛かってかて、思わずドアを全力で蹴ったよ。
その反動は、いつもより足が痛く感じた。

115 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 07:34:52 ID:JpxEJ6ucO

『カーチャン……(´;ω;`)ウッ』

『母親は悪かねーだろ。何当たってんだよゆとり』

( ^ν^)『んな事言ってもなぁ……切羽詰まってたもんだから』

『で、今は落ち着いて、カーチャンに謝りたいとでも思ってんの?』

( ^ν^)『うん、あ、いやぁ……んん?なんか違うかな。謝りたいとかは別に……』

『死ね』

( ^ν^)『違うよ。違うんだよ。そりゃ、罪悪感とかはあるよ?でもなんかなぁ……』

『わけわからん。ニートの甘えだろそれ』

( ^ν^)「ううん……うん。多分そうなんだろうね。よくわからん」

『俺、>>1の気持ちわかるかも。』

( ^ν^)「お?」

( ^ν^)『どゆこと?』

『要するにさ、カーチャンへの気持ちが曖昧なんだろ?こっちがどんな対応しようが、お前にずっと優しくしてくれたカーチャンに、お前はどんな感情で持って向き合っていいかわからなくなってんだろ』

( ^ν^)『……』

『そりゃあ何したって尽くしてくれんだから、こっちが何するかなんか考えなくていいし楽だわな。だけど、それって良い事なのかな』

( ^ν^)『……良い事ではない事はわかるよ。でもな、どうしたらいい』




『じゃあ、向き合え。恥ずかしいだろうが、最後の一日だろ』

( ^ν^)

117 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 07:46:37 ID:JpxEJ6ucO
( ^ν^)『向き合うって、何さ』

『とりあえず部屋から出て、カーチャンと喋れ。なんでもいい。とりあえず他愛ない話でいい』

『で、話が途切れたら、感謝を伝えろ。今までありがとう、って』

( ^ν^)『……』

『そっから次は、いじめっ子のとこに行け』

(;^ν^)『…………え?はぁ?』

『まずは、謝れ。あの時は悪かった、ってな。自分のせいで、とは言わなくていいから』

(;^ν^)『……いや、いやいやいや。コミュ障の俺にそんな事……』

『最後の一日だろ』

(;^ν^)『最後の一日だからこそだよ!なんで貴重な時間をそんな憎ったらしいやつの為に使わなきゃいけねーんだよ!』

『貴重な時間、ってなんだよ?』

『お前はその時間を、貴重に使えんのか?何をするんだよ、その貴重な時間とやらで』

(;^ν^)

『いいか、ニュー。お前は今から、嫌が応にも『未来』が無くなる。これから真っ当に生きていこうったって、もう出来ないんだよ』

『ならば、過去を真っ当にしていくところから始めればいいんじゃないのか?』

(;^ν^)

( ^ν^)

『マジレスすまん。けど、俺の友人の一人もイキガミで名誉の死を受けたんだ』

『周りのやつはそれを名誉だと例えたけど、本人は最後の一秒まで言ってたよ』

『死にたくない、って』

( ^ν^)

118 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 08:14:15 ID:JpxEJ6ucO
『綺麗事だけど、ない未来は作れないんだよ。なら、あった過去を取り繕えよ』

( ^ν^)『……うん』

『それがお前が、真っ当に生きた証になると思う』

( ^ν^)『……初めてだよ。ここまで綺麗に論破されたの。なんか清々しいわ』

『良かったなお前。負ける喜びも知れて』

『なんかわろたwwww』

( ^ν^)『そうだな。俺も人生頑張らなきゃだ。もう頑張れないが、ラスト一日くらい変えてみるか』

( ^ν^)『今からカーチャンと向き合ってくる。んで、次はいじめっこと。そっからは……街をぶらついたり、昔の友達に会いにいったりするかな』

( ^ν^)『それをずっとここに実況する事にしよう。それが俺が生きた証の一つになればいいな。暇なやつはその証人になって欲しい』

そう打って、力強く押したエンターキー。

( ^ν^)

名残惜しそうに数秒貯めてから、ようやく指を離す。
そしてすぐに、F5ボタン。


『おk、頑張れ』

『頑張れニュー。なんか胸が熱くなってきた……』

『もしかしたら俺は歴史の一瞬に立ち会ってるのかも知れない……応援してるよニュー!』

( ^ν^)『ありがとう。そして……』

( ^ν^)『ついでに死に場所も、予告しとくわ』

119 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 08:24:23 ID:JpxEJ6ucO

( ^ν^)『明日、ゴールとして俺は都内の鬼女公園に1時に行く。そしてそのまま死ぬ事にする』

( ^ν^)『明日暇なやつがいたら、見届けてくれたら嬉しいな。別に、死体見たさに来てくれてもいいから』

( ^ν^)『それが俺の生きた証、その2だ』


『行くわ!そしたら直接、話を聞かせろよ!』

『よし、もしお前がちゃんとカーチャンといじめっこに話をつけられたら行く!頑張れ』

『そうやって俺らが集まった事がニュースになり、生きた証その3が生まれるのか。胸熱』


( ^ν^)

( ^ν^)『ありがとう、みんな』

( ^ν^)『じゃあまず、カーチャンと話してくる』

『いけ!ニュー!』

『遅れた脱ニートだ!明日から働くって行ってこい!』

『それはねーよwww』

( ^ν^)『wwwwいやまぁ、ちゃんと感謝をのべてきますよ』

そのレスを最後に、ニューはパソコンを付けたまま席を立った。

自分を繋ぎ止めていた堰を断った。
今まで負ってきた責を、断った。


明日の価値を見出だせないその男は、
明日の価値を見出だす為に、今日を使う事にした。

121 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 13:27:39 ID:JpxEJ6ucO
ドアは、重たかった。
頭の中で一日の予定を反芻しながら、一捻り。

行くは、一階へ。

( ^ν^)

:J( ー )し:「……」

母はリビングで、小さく震えていた。
その背中はみすぼらしくて、見ていられなかった。

( ^ν^)「なぁ……母さん」

J( 'ー`)し「……あら、ニュー。気分は?」

( ^ν^)「なんともないよ」

J( 'ー`)し「そうかい。お出かけ?」

( ^ν^)「……いや」

母さんに話が会って、と。
そう言おうとしたけど、なかなか口に出ない。

J( 'ー`)し「?」

( ^ν^)「……いや、あの」

J( 'ー`)し「なに?」

( ^ν^)「……なんでもない」

畜生。何してんだ俺。
変わるんだろうが。
最後までこんなんで、どうする。
後回しにする未来はもうないんだぞ。

122 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 13:33:23 ID:JpxEJ6ucO

J( 'ー`)し「……」

そんな俺を見て、母は力無く近寄ってくる。

( ^ν^)「……」

J( 'ー`)し「いつからか、まぁ」

そして、俺の体の大きさを確かめるよいに、肩をさする。

J( 'ー`)し「こぉーんなに、大きくなっちゃって……」

J( 'ー`)し「昔は死んだ父さんを目指して、『ぼくは消防士さんになる!』ってのが口癖だったちびっこがねぇ」

( ^ν^)「母さん、あの」

今だ。今言え、ニュー。

(;^ν^)「今まで……引きこもってて……その…ごめん……」

違う。ちがうんだよ。謝るんじゃない。
ごめんじゃないんだ。言うべきは、ありがとうだろう。


J( 'ー`)し「いいのよ」

しかし母は、優しくそう言ってくれた。

124 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 19:26:22 ID:JpxEJ6ucO





J( 'ー`)し「どうせ今から動かなくなるんだし」

そうやって肌を這わせるように、突然母は俺の首に手を―――――

(;゚ν゚)「かっ――――!!!?」

首を、絞めあげてきた。


J( 'ー`)し「ごめんねニュー。今まであんたただのゴミだと見くびっていたけど」

J( 'ー`)し「やっぱり違ったわ。あなたはちゃーんと、お金のなる木だったわ」



(;゚ν゚)「―――!!!??――!!!――あ゛っ!!!はぁっ!!」

なんで。母さん。どうして。
やめて。苦しい。助けて。
痛い。辛い。怖い。嫌だ。


声にしたいけど、声は出ない。

(;゚ν゚)「―――――」

J( 'ー`)し「いつまでもクズのままだから……そろそろ処分しちゃおうかな、なんて思ってたら、最後の最後で国繁年金ですって」

J( 'ー`)し「ありがとうねニュー。これでカーチャン、大金持ちよ」

(;゚ν゚)「……!!」

待って。

待ってくれよ。

お母さん?

125 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 19:40:48 ID:JpxEJ6ucO
J( 'ー`)し「ふふふ……」

笑っている。いつもの顔で。
『肩を震わせながら』、笑っている。

首から手は離れない。
自分がどれほど力をこめても、少し力が緩むだけで、その手は離れない。

本気で殺す気なんだ。母は。


(;゚ν゚)「ざけ…な……離せ……離せ……よっ……!!」

J( 'ー`)し「あら、あなた、毎日のように私に『ぶっ殺すぞ』って言ってたじゃない。そんな見下してた私に、力ですら勝てないの?」

J( 'ー`)し「20過ぎの男が、40後半を迎えた女に力負けしちゃうの?笑えちゃう(笑)」

(;゚ν゚)

J( 'ー`)し「ありがたい話よね、国繁死ってのは。その名誉死性からか、死体検証をまったく行わない。だからこんな細い女が首を絞めた後なんか、見つかるわけないしね」

J( 'ー`)し「あなたは死はただの国繁死扱い、ってわけよ。だから、大人しく死んでくれたら嬉しいな」

(;゚ν゚)「な……ん、で……」

なぜ殺す必要がある。
ほっといたって、俺は23時間後には死ぬんだ。

なぜこの母は、今になって俺を殺そうとする?

J( 'ー`)し「それくらいわからないかな、ニュー?」

J( 'ー`)し「あんたが痛みなく名誉死扱いなんて気にくわないからよ」

(;゚ν )

126 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 19:47:54 ID:JpxEJ6ucO

(; ν )「俺はっ!あんた…ッ…の……息子……だろうが…………」

J( 'ー`)し「大丈夫、あなたは今から息をしなくなるからね。文字通り、息する子……『息子』じゃなくなるわ。なーんて(笑)」

(; ν )「……」

J( 'ー`)し「……つーかね、あんた、バカじゃない?母親は何があっても子を愛すって言いたいの?んなわけないじゃない」



J( 'ー`)し「それはただ単に母親の仕事の一つが、『息子に、いつも家族に優しいと思わせたり、いつも自分を愛してるんだって勘違いさせる事なんだってだけよ』」

( ^ν^)

127 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 20:11:34 ID:JpxEJ6ucO
J( 'ー`)し「何よ『母さん』って。最後の一日になって、いきなりキモいわよ」

( ^ν^)

J( 'ー`)し「最後の一日でいきなり頑張って報われようったって、そんなムシのいい話があるわけないでしょ」

( ^ν^)

J( 'ー`)し「……死んだか」

J( 'ー`)し「さよならニューちゃん。そしてあなたの甘ったれた人生に、お疲れさま」

130 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/09/22(木) 20:50:29 ID:JpxEJ6ucO

『なぁ、結局速報ニューって釣りだったの?』

『いや、アレが釣りなら捕まってニュースにでもなってるだろ……イキガミ偽造とか、重罪だぞ』

『でも結局、鬼女公園には誰もいなかったしな。他にいったやついる?』

『お前ら知らないの?国繁は実は某国のテロ運動なんだぜ!その情報が漏れるかも知れないから規制されたんだよ!』

『まぁいきなり音信不通ってのは怖いよなぁ……』


そんな話題も数日後には、政治家の暴言や芸能人の離婚といった話題にかきけされていた。

うまく行けば書籍化されたかも知れない、ドラマのようなあるニートの最後の一日は
まとめブログにすら乗らず、情報の山に埋もれていった。

―――――――


( ^ω^)「……いまだにあんなやつ、いたんだなぁ」

この世界は、生き易い。
でも人生は、息苦しい。

それが最後までわからなかったであろう男、ニートの速報ニュー。

あまり同情の念が出てこないのは、僕が
それとも心のどこかで彼を見下してたからか。

( ^ω^)「……」

本音が漏れる場所、2ちゃんねる。
ふいに思いつき、そこにスレを立ててみた。

『お前ら、明日死ぬとしたらどうする?』

( ^ω^)


すぐさま返ってきた答えは、こうだった。





『そんな事より好きなラーメンの話しようぜ!!』

131 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 20:52:55 ID:JpxEJ6ucO
死亡予告証――――――――――――――
『( ^ν^)』
指名:速報ニュー
生年月日:8月13日
本籍:○○県ゆとり町7―2
住所:○○県ゆとり町7―2
死亡予定時刻:「PM1:40」
あなたの御冥福を心からお祈りします。
発行日付:○月○日
担当人:内藤ホライゾン
―――――――――――――――――――

第三話:「形無し味方無し(フォームレスホームレス)」

終了。


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