('A`)が異世界で魔法少女に出会うようです

3 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:11:16.79 ID:ZFbiHFco0
第三話「古代図書館」

ドクオがこの世界に来て数日が経過した。
以前ドクオがこの世界に来た理由などは判明していないようで、その件についてショボンが話があるということで、
ドクオと渡辺、ツンは校長室にやってきていた。

(´・ω・`)「ようこそバーry」

ξ゚听)ξ「それで、今日はどういうお話でしょうか?」

(´・ω・`)「あ、うん。実はね、今回の件に関して政府に報告をしたのはいいんだけど、
      過去に前例がないらしく、政府も対応に困っているみたいなんだよ」

('A`)「はあ」

从'ー'从「それと私たちが呼ばれたのに関係があるんですかー?」

(´・ω・`)「うん。政府のお偉いさんは臨機応変ってことができないようでね、どうしても資料が欲しいって言うんだよ」

ξ゚听)ξ「・・・・・・もしかして、古代図書館ですか?」

(´・ω・`)「そう。あそこにはまだ解析されていない文献がたくさんあるし、なによりこの世界の歴史を紐解く重要な場所だ。
      あそこになら今回の件の資料も残っているかもしれない」

5 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:15:05.19 ID:ZFbiHFco0
ξ゚听)ξ「でも、どうして私たちが?」

(´・ω・`)「あそこはまだ全ての謎が解き明かされているわけじゃないからね。政府も人員を割いてまで調査したくないんだろう」

('A`)「どこのお偉いさんもあんまり変わらないんですね」

(´・ω・`)「人間まず何よりも自分の命が大切なんだよ。ましてや政府の上層部の連中なんかは自分が選ばれた人間なんだと本気で信じている。
      まあ、ある意味それは正解なのかもしれないけど、あそこまで欲にまみれると、本当にひどいよ」

ξ゚听)ξ「まあ、私たちが古代図書館に調査に行くのは分かりました。でも、どうしてドクオがここにいるんですか?」

(´・ω・`)「念のため、だよ。ドクオ君が何かしらの理由でこちらに呼び出されたと仮定するなら、彼を狙う刺客がいてもおかしくないだろう?
      僕が付きっ切りで手取り足取り腰取りマンツーマンでくんずほぐれつ護衛してあげたいところだが、生憎僕も忙しいんだ」

(;'A`)(この人にだけは護衛されたくねえ・・・・・・)

ξ゚听)ξ「それならば、私たちのそばにいたほうが安全だってことですか」

(´・ω・`)「そういうこと。まあ、もし二人だけでは心配だというなら内藤君も連れて行くといい。あそこには魔物もいるしね」

从'ー'从「わーい。今回はブーン君も一緒なんだねー。楽しみだなぁー」

ξ゚听)ξ「渡辺、私たちは遊びに行くわけじゃないのよ」

从'ー'从「分かってるよー」

7 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:18:29.32 ID:ZFbiHFco0
(´・ω・`)「そういうわけで、二人とも、よろしく頼んだよ。ドクオ君、何かと大変だろうけど、頑張ってね」

('A`)「はあ」

話が終わり、校長室を出るとツンはブーンに話をしてくるといってドクオたちと別れてしまった。
残されたドクオと渡辺は、調査の準備をすることにする。

从'ー'从「明日楽しみだねー」

('A`)「そうだな」

从'ー'从「古代図書館はねー、私も一度行ったことがあるんだけど」

渡辺が古代図書館の話をしているのを流しながら、ドクオはため息を吐かずにはいられなかった。
古代図書館とやらには魔物も出るらしい。戦えない自分が行ってなんになるというのか。
ドクオが誰かの手引きによってこの世界に連れてこられたなんてのも緒戦は机上の空論でしかない。
誰かに命を狙われているだとか、ありえない話だ。自分には何の価値もない。
それならば別に部屋に引きこもっていたほうが誰にも迷惑をかけないというものだ。

('A`)「出来れば、そっとしておいて欲しいんだがな」

9 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:21:11.44 ID:ZFbiHFco0
――――――

次の日、ドクオ、渡辺、ツン、ブーンの四人は古代図書館へと向かっていた。
古代図書館はマナの大樹があった森とは正反対にある山の中にひっそりと佇んでいるらしい。
昔は山の中にある罠をかいくぐり、艱難辛苦の果てにたどり着くものらしいのだが、魔法の力というのは偉大だ。
何せ箒に乗って空を飛んでいくだけで目的地に着いてしまうのだから。

('A`)「これが古代図書館か」

( ^ω^)「相変わらずのおんぼろっぷりだお」

('A`)「ブーンたちは来たことあるのか?」

( ^ω^)「もちろんだお。テスト前にはよくお世話になってるお」

ξ゚听)ξ「学校にある書物なんかほとんどここにある魔道書の複製品なのよ」


('A`)「へー」

从'ー'从「ツンちゃーん、助けてー」

ξ゚听)ξ「あんたはいい加減一人で降りられるようになりなさいよ・・・・・・」

渡辺を箒から降ろしたあと、ドクオたちは古代図書館の内部へと足を踏み入れた。
中に入ると、ぼろぼろになった本棚がずらーっと並んでおり、腐っても図書館なんだなとドクオは思った。

10 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:23:04.37 ID:ZFbiHFco0
ξ゚听)ξ「この辺にはたぶんめぼしい物はないと思うわ」

( ^ω^)「とすると、最奥部まで進むことになるのかお?」

从'ー'从「最奥部って・・・・・・」

ξ゚听)ξ「そうね。調査団もまだ足を踏み入れたことのない領域ね。とはいっても、隠し扉とかいっぱいあるだろうから、
      たどり着けるかどうか分からないけど」

('A`)「大丈夫なのかよ、それ」

( ^ω^)「この辺の魔物はそんなに強くないんだお。ただ仕掛けが簡単には解けないってだけなんだお」

ξ゚听)ξ「調査団の報告では結構えげつない罠が仕掛けられたりしてたみたいだしね」

从;'ー'从「うう、私たちそんなところまで行くのー?」

ξ゚听)ξ「つべこべ言ったって行くしかないのよ。ほら、さっさと歩く」

从'ー'从「ふえーん」

11 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:26:28.09 ID:ZFbiHFco0
二人の後に続いてドクオとブーンも奥へと進んでいく。
道中のブーンの話では、古代図書館の大まかな地図はすでに作成されており、
ある程度の罠であれば対処は十分に可能なのだという。
確かにブーンの言うとおり、出てくる魔物はドクオ以外の三人があっけなく倒していったし、
罠も簡単に解除していた。

( ^ω^)「おっおっおっ、これくらいはブーンの手にかかれば楽勝だお」

ξ゚听)ξ「はいはい。あんまり油断してると足元見るわよ」

从'ー'从「ツンちゃーん、範囲魔法の術式ってどんなだっけー?」

ドクオの前を行く三人はこんなものなんでもないかのように進んでいく。
しかし、ドクオは魔物が出れば後ろで見ているだけ。
罠があれば何も出来ず解除されるのを待っているだけ。
何も出来ない。

('A`)「・・・・・・」

ドクオは無意識のうちにぎゅっと握りこぶしを作っていた。

14 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:29:08.65 ID:ZFbiHFco0
――――――

古代図書館の罠もあらかた解除し、マップが用意されている最後の部屋に差し掛かっていた。
ここからはどう進めばいいのかも分からないので自分たちで考えなければならない。

( ^ω^)「行き止まりだお」

ξ゚听)ξ「さて、どうしましょうか」

从'ー'从「隠し扉とかあるのかなぁー?」

ξ゚听)ξ「間違いないでしょうね」

( ^ω^)「でも、見渡す限り本棚だらけだお。もしかしたら、本棚の後ろとかに隠れてるのかお?」

ξ゚听)ξ「そんな安易な仕掛けだったら調査団が見つけてるでしょ」

( ^ω^)「それもそうだお」

从'ー'从「それじゃあ、秘密のスイッチとかかな?」

( ^ω^)「きっとそれに違いないお!黒尽くめの怪しい男が見張ってるポスターの裏とかにスイッチがあるはずだお!」

ξ゚听)ξ「それはポ○モンでしょ!」

15 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:31:10.77 ID:ZFbiHFco0
ツンたちがこの先の仕掛けについてああだこうだと相談している中、ドクオは周辺にあった本を一冊手にとってみた。
表紙からして何が書いてあるか分からない。中を開いても意味不明な記号と言葉がつらつらと書かれているだけで読めるなんてものではない。

('A`)「やっぱり、役立たずだな、俺」

三人が一生懸命先に進むための考察をしているというのに、何の役にも立てない。
元の世界でもそうだった。
自分の要領の悪さ、頭の悪さ、境遇の悪さ。
こんな人間が、何故彼女たちに守られているのだろう。
いや、そもそも何故自分は死んでいないのだろう。
何度も何度も考え、ドクオはやるせない気持ちになった。
と、ドクオが手に取った本を棚に戻したときだった。

('A`)「ん?なんだ、この音」

ドクオが辺りを確認していると、ドクオが立っていたはずの床には穴が開いていた。

17 名前: ◆r6WlJKDcuM 投稿日:2011/07/30(土) 23:32:34.89 ID:ZFbiHFco0
(;'A`)「ちょ・・・・・・」

ドクオは何も出来ず、まっさかさまに落ちていく。

(;^ω^)「ドクオ!」

上のほうでブーンが手を伸ばしていたが、当然届くわけがない。

('A`)(ああ、なんだ、俺死ぬのか)

ドクオはそう考え、安らかに目を閉じる。
自分にはお似合いの最後だ。
自分がいないほうが、あの三人も楽に先へ進めるだろう。
そう考えて、ドクオの意識はぶっつりと途切れた。

第三話「古代図書館」終


戻る 次へ

inserted by FC2 system