( ゚д゚)食事をするようです

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:13:58.55 ID:9T3gboVq0


パンは肉であり、ワインは血である
キリスト教の概念なんて、信じるつもりは毛頭ない

ただわかるのは 自分はミルナにとって、パンでありワインであること

ミルナの、命であること

.

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:16:40.12 ID:9T3gboVq0



( ゚д゚)食事をするようです


.


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:18:09.16 ID:9T3gboVq0

俺には、幼馴染がいた
これが可愛くて少―し発育の良い美少女ならフラグも立つのだろうが
生憎、斜向かいの家の幼馴染は もやし体系の野郎だった
近所付き合いから会話を交わすことはあったが、お互い干渉し合う程の仲ではなかった

きっかけは小学五年生
県下最大の我がラウンジ小学校は、一学年あたり四つのクラスに分かれていた
五年目にして同じクラスになったのが、ご近所の時枝ミルナだった

出席番号の問題で、俺の前の席に座っていた


( ゚∀゚)「あれ?時枝同じクラスか」

( ゚д゚)「長岡君?」

( ゚∀゚)「おうおう 斜向かいのジョルジュ君だ」

( ゚д゚)「いや、名前くらいわかるけどさ。 改めて、よろしくだね」


こんな微笑ましいやりとりから二年
中学校に上がる頃には、お互い今に近い口調で会話をするようになっていた


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:23:57.29 ID:9T3gboVq0

四年前 七月

ラウンジ中学校一年


( ゚∀゚)「ミルナ―教科書忘れたー 貸して―」

( ゚д゚)「同じクラスに借りる馬鹿が居るか 余所へ行け」

( ゚∀゚)「つめてーマジつめてー少しは心配しろよ なぁギコー?」

(;,,゚Д゚)「や、今のはお前が悪いだろ。ちょっと待ってろ 教科書持って来るから」

( ゚∀゚)「ギコさんきゅー 持つべきものは話の分かるダチだぜ」

(,,゚Д゚)「その定義ならジョルジュは俺の友達たりえないわけだが」

(;゚∀゚)「えっ」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:30:20.49 ID:9T3gboVq0

( ゚д゚)「同感だな」

(;゚∀゚)「ひでぇ」

( ゚д゚)「ふん」


ミルナが読んでいた本を閉じ、立ち上がった
そのまま席から離れてドアに向かう


( ゚∀゚)「どっか行くのか?」

( ゚д゚)「図書室。読み終わったからな」

( ゚∀゚)「んじゃあ俺も ( ゚д゚)「煩いからついてくるなよ」


釘を刺したミルナは、ぴしゃりと言い捨てて廊下に消えた
昔からあまりべたべたした関係ではなかった


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[さるよけ非常にありがたいです] 投稿日:2011/08/18(木) 02:30:47.32 ID:9T3gboVq0

帰路は一緒だ
お互い部活が終われば、相手を探しもせず下校する
が、下校時間がほぼ同じせいもあって、帰宅途中に自然と合流してしまうのだ

その日も同じバスケ部のモララーと帰路につき、住宅の塀に囲まれた狭い道路でモララーと別れた
そして前方に、猫背気味に歩いているミルナを見つけた

これはミルナが、帰宅中に本を読んでいるせいだ
ミルナは本を読みながら歩いていて、こけたり何かにぶつかったりしたことはない
何度か危険だからと注意したが、小言を言っている自分が何かに躓いてこけることが多いせいで、説得力に欠けていた

観察してみると、左手はポケット 右手に本  耳にはイヤホンが嵌っていた


( ゚∀゚)(…………)


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:35:52.56 ID:9T3gboVq0

昔から悪戯っ子ジョルジュと呼ばれた自分には、最高のカモにしか見えなかった
ほんの出来心で、少し 少しだけ、脅かしてやろうと思った


周囲に誰もいないことを確認し、足音を忍ばせてミルナに接近した
確実に背後をとった

少しだけ考え、このままタックルをかましてやろうと決めた
気付いて躱されるか ぶつかって受け身をとるか

怒られたら、本を読んでいるからだといってやろう
男子たる者、この程度に反応できなくてどうする
文化部のミルナでも、流石に大丈夫だろう

右肩を少し下げて構えた

 _
( ゚∀゚)(……いくぜっ!)


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:38:23.87 ID:9T3gboVq0

少し離れたところから助走をつけ、ミルナに突進した
それを後悔したのは、十秒にも満たないすぐ後のことだった


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:42:04.01 ID:9T3gboVq0
 _
( ゚∀゚)「ミルナアァァァァァ!!!!」


どっ

ぶつかる
途端 開ける視界
どうやら、うっかり十字路に出てしまったらしい

うわっ と驚きの声をあげるミルナに、してやったり と口角を吊り上げる
ミルナを巻き込んで倒れ掛かる
ミルナは咄嗟の反応に、左手をポケットから出し、地面につこうとする


その腕が、左から来た衝撃によって反対側に曲がる

 _
( ゚∀゚)(……えっ)


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:48:22.38 ID:9T3gboVq0

ミルナの腰の上に落ちる自分
目の前
鼻先を掠り、ミルナの左脇腹から右の肩の上にかけて駆け抜ける 黒いもの

頭を覆う影

前方から聞こえる 衝突音


全ては、一瞬だった


( ゚∀゚)「…………」


ほぼ無傷の自分は、目と鼻の先で車に轢かれたミルナの上で、ただ茫然としていた
一瞬で肋ごと心臓を潰されたミルナからは、ごぷり と、嫌な音がした


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:54:47.20 ID:9T3gboVq0

* * *

教室での『食事』から、数日が経っていた

ミルナとはクラスが違う
合同授業でもない限り、一緒に居ることはない

そしてその日の合同授業 美術の時間


俺はモララーと、前の席ではミルナとギコが
来週提出である篆刻の仕上げに没頭していた

霞んだ白の靄がある小さな石を立て、ニードルで削っていく

隣のモララーはもう字の部分は終わらせ、柄の部分の細工を施している
自分にはそんなところを細工する余裕はなく、提出期限までに字が仕上がるのかも怪しい


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:57:19.20 ID:9T3gboVq0

( ・∀・)「ジョルジュ 顔近いよ」
 _
( ゚∀゚)「うっせ 見えねぇんだよ」

(,,゚Д゚)「手ぇ滑らせて目にニードル刺すなよゴルァ」
 _
(;゚∀゚)「ちょっ!恐いこと言うな!!」


前の席のギコが、顔も上げずに背中を向けたまま話しかけてくる
前の二人も、仕上げ段階に入っていた

 _
(;゚∀゚)「ちっくしょう……ぎゃっ!」


焦ったままニードルを使ってはいけない
石の表面を強く抉った針は、『長岡』の岡の部分を突っ切って人差し指の第二関節の辺りに一筋の線を描いた

じわり、と少量の血が浮いてくる
ミルナががばりと頭を上げた


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:59:00.07 ID:9T3gboVq0

( ・∀・)「あーやっちゃったよジョルジュ」

(,,゚Д゚)「指刺したか?」


モララーが右から覗き、ギコとミルナが振り返る

 _
(;゚∀゚)「いってー……誰かバンソコ持ってない?」


石の粉を払い落し、指を口元へ運んだ
しかしその手は正面から伸びてきた手に掴まれ、血が浮いた指はそいつの唇に押さえつけられる


( ゚д゚)「……ドジだな 気を付けろ」


ミルナの、口元に

石印を手に取り「これはやり直しかもわからんね」などと会話をしていたモララーとギコが固まる
ミルナは胸ポケットからバンソコを取り出し、視線を上げる時にモララー達の異変に気が付く


( ゚д゚)「……」

( ゚д゚ )
 _
( ゚∀゚)「こっちみんな死ね」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 02:59:48.77 ID:9T3gboVq0

青ざめるミルナの頭を叩き、バンソコをその手から奪い取る
直後、ごとりと音を立てて落ちた石印を一瞥し、落としたモララーの頭も叩いた

 _
(#゚∀゚)「んだてめぇら固まってんじゃねぇ!!」

(;・∀・)「あっ、あらら?あらららら?」
.                             _
(;,,゚Д゚)「……おぅあ?えーと、正直スマンかっ( ゚∀゚)「勘違いだから誤解をまず解け」


無意識に舐めようとした指に気付いてやめ、バンソコを貼った
ミルナは額に手をあてて青ざめていた  ミルナ死ね

 _
( ゚∀゚)「それよりハンコだハンコ モララー返せ」

( ・∀・)「あー……でもこれ、やり直しくさいよ?」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:00:20.07 ID:9T3gboVq0

放課後
長岡家 ジョルジュの部屋

 _
(#゚∀゚)「……で?」

( ゚д゚)「すまん 無意識だった」


バンソコを剥がしてゆすいだ後、ミルナが傷口を爪で割って吸い付いていた
ベッドに腰掛ける自分の前で跪いているミルナの図は、正視に耐えられるものではない

あの後、もう一度石の表面を平らに切り落としたところで、授業は終わった
ニードルを借りて、家で進めてくる宿題が出た
それをミルナが仕上げるという約束で、こうして傷口をわざわざ抉じ開ける許可を出した


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:00:58.40 ID:9T3gboVq0

 _
( ゚∀゚)「てかお前、こないだ『食事』したばっかだろ?」

( ゚д゚)「お前は二週間何も飲まず食わずでいて、目の前に水を置かれても飛びつかずにいられるのか」

( ゚∀゚)「あー……や、人間はお前ほど頑丈じゃないから。ひと月飲まず食わずでも日常生活送れるお前とは違うから」

( ゚д゚)「あれは努力の賜物だからな。平気なわけじゃない  ……それに、今は夏だしな」

( ゚∀゚)「季節関係あんの?」

( ゚д゚)「……汗、かくだろ」

( ゚∀゚)「は?…………あぁ。常にご飯の匂いがするわけか お前もう学校くんな」

( ゚皿゚)ガッ
 _
(;゚∀゚)「痛てぇよ馬鹿!傷口開けんな!!」


拳で殴りつけて床に押し付けた
傷口から溢れる血を舐め取ると、ほんのりと甘い鉄の味がする
そのまま消毒液をぶっかけ、バンソコを巻いた

足元で恨めしそうに睨んでくるミルナに蹴りを入れ、ニードルと石印を押しつけた


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:01:52.37 ID:9T3gboVq0

* * *

吸血鬼は人ではない
一度死んだ、生前に悔いを残した人間が蘇ったもの
または、吸血鬼に血を吸われた者である

古くから血液は生命の根源であると考えられており、死者が血を渇望するという考えがある
悔いを残した体から命が抜け、『生』を渇望する体は『生命の根源』である血を欲する




そんなものは迷信だと、信じていたかった


【+  】ゞ゚)「一定の期間を経れば、彼は人間に戻れるかもしれない」


事故の翌日
病院の薄暗い安置所に突如現れた男は、そう言った


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:02:08.99 ID:9T3gboVq0

【+  】ゞ゚)「彼が異界のものを口にしていなければ、彼は必ず帰ってくる」

【+  】ゞ゚)「今この体に、魂など入ってはいない」
 _
( ゚∀゚)「…………は?」


頭のおかしい奴だった
言っていることの意味が解らない
顔の半分を仮面で覆い隠した 厨二病を患ってそのまま大人になったかのような 人間離れした存在


【+  】ゞ゚)「彼の心臓を取り込みなさい 彼の体を支配しなさい
.        そしてお前は、彼に血肉を与えなさい」

【+  】ゞ゚)「この体に魂はない お前の『生』を、彼に与えなさい」

【+  】ゞ゚)「すれば彼は蘇る
.       与えなさい   与えなさい」


謳うように語る男の唇から覗く牙
奴はそれで、ミルナの首筋に食いついた


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:02:31.34 ID:9T3gboVq0

俺はミルナに『食事』を与えながら、自分で調べていた

あの日、死んだはずのミルナは生き返った
正確には、虚ろな目のままいきなり起き上がった
男の手によって心臓は抉り取られ、それでもミルナは意識を取り戻した

抉られた心臓は男の手の中で灰に変わり、自分はそれを飲み下した


【+  】ゞ゚)「これで、お前の体も彼の一部となった」
 _
(;゚∀゚)「はぁ!?」

【+  】ゞ゚)「彼はお前の血を欲するようになるのさ 提供してやれ
      さっきも言っただろう?血は、『命』なんだ 吸血鬼にとってね」

【+  】ゞ゚)「今彼の器には、魂が宿っていない
       魂が満たされれば、彼は人間に戻れるだろう」


せいぜい頑張りたまえ などとほざいて霧になって消えた男
あの男と、あの男に吸血鬼にされてしまったミルナ

この二つが、俺の生き方を変えた


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:04:37.72 ID:9T3gboVq0

* * *

「――― ジュ」

(# ゚д゚)「ジョルジュ!!」
 _
(;゚∀゚)「おわあああっ」


目を覚ますと、目の前でニードルをちらつかせているミルナ
どうやら寝てしまっていたらしい

 _
(;゚∀゚)「いやいやいやいや!!!!悪かったけど!悪かったけど!!ニードルあぶねーよ!!」

( ゚д゚)「何時間寝れば気が済むんだ」
 _
(;゚∀゚)「なら起こせよ!!って八時!?二時間も寝てんの!?」
 _
( ゚∀゚)「……ハンコは?」

( ゚д゚)「字だけなら終わった」


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:05:04.72 ID:9T3gboVq0

出来を見てみると、自分が授業でやった時よりも形のいい『長岡』の文字
机の上を片付けて、帰り支度を始めているミルナを見て、少しだけ嫉妬した


( ゚∀゚)「……俺の五時間…………」

( ゚д゚)「お前はもとからガサツだからな」

( ゚д゚)「……さて、もう帰るぞ」


鞄を肩にかけ、ドアノブに手をかけた
そのままついて部屋を出、玄関まで送り出す


( ゚∀゚)「また明日なー」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:05:45.15 ID:9T3gboVq0

ミルナが帰った後、さっきまで見ていた夢のことを考えていた
夢だが、記憶から消えることはない

あれは、現実にあったことだからだ


* * *

四年前
起き上がったミルナを連れ出し、病院を抜け出した
すぐに異変に気付かれるだろうし、ミルナが動いているところを見られたら大騒ぎになるだろうと思っていた

が、しかし
騒ぎになるどころか、普通に捜索願が出されていた
何も知らない自分は、二晩森林に身を隠し、自分は飲まず食わずで虚ろなミルナに『食事』を与え、
誰にも見つからないように身を潜めていた

三日目の昼
極度の疲労と貧血で倒れてしまった
二日目の夕方くらいから、やっと人らしい思考で言葉を話すようになったミルナが、隠れていた森林を飛出して行った
引き止める力は、残っていなかった


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:06:33.59 ID:9T3gboVq0

病院のベッドで目を覚ました
ミルナと二人の部屋で、点滴に繋がっていた
親は「心配させるな」と言って叱り、ミルナの親は黙ってミルナの頬を叩いた

俯いて黙っているミルナの、少し長い髪の隙間から 赤い舌がちらりと見えた

 _
( ゚∀゚)「っ……」


まだ話がと食い下がる大人を廊下に締め出してカーテンを引く
そしてここ数日そうやっていたように、ミルナに腕を差し出した

ミルナは先程までの大人しさから豹変し、牙をむいて喰いついた
犬歯が筋肉を断ち割って、皮膚の下で熱が弾ける
がっついている様を隠そうともせず、溢れてきた血で口元を濡らして

 _
(; ∀ )「ぐっ…あ……!!」


掴むものを求めた腕はやがてミルナの髪を掴んで、声を漏らさないように歯を食いしばった
傷口を何度も噛みしだかれ、腕の表面は見るに堪えないものになっている
それでも食いつくことをやめさせなかった


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:07:13.06 ID:9T3gboVq0

* * *

部屋に入り、机を漁る
引き出しから出てきたのは、赤いパッケージの錠剤
鉄分を補給するための造血剤だ
一応飲んではいるが、貧血は酷いままで、気休めでしかない

錠剤を水で流し込むと、そのままベッドにダイブした


( ゚∀゚)「ぁー……マジでどうすっかね………」


二年経った今もまだ、ミルナに真実を教える決心がついていない
ミルナを死なせてしまい、しかもそれを本人に知らせないまま、人血を喰わせるというわけのわからない方法での延命を試みている

人道的にあるまじき行為だということは、重々承知している
しかし今更、死なせてしまったことを告白するには遅すぎた

 _
( -∀-)「どーすっかなぁ…………」


勿論、このままでいいなどとは思っていない


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:07:55.43 ID:9T3gboVq0

知らせてしまうことが恐い
世間に晒されてしまうこと
罵られること
ミルナに幻滅され、縁を切られてしまうこと
そのままミルナが、何も飲み食いせずに餓死してしまうこと

とにかく全てが、恐かった

 _
( -∀-)
 _
( ゚∀゚)「…………んま、結局は自己保身の為に逃げるわけだけど」


ベッドから跳ね起きて、引き出しから着替えを用意する
このまま風呂に入ってしまおう
そしてまた、少しだけ逃げてしまおう


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:08:49.03 ID:9T3gboVq0

―――

夜、大きなおっぱいがゆっさゆっさ揺れるお気に入りのAVでハッスルし、
意識が心地良い霧に包まれ思考が迷走を始めた時、不意に嫌な思考に辿り着いた

 _
(;-∀-)「あ゙―…………    俺になんかあったら、あいつどうなるんだろうなぁ…………」

 _
(;-∀-)


 _
(;゚∀゚)(って!!賢者とはいえ!なんで考えることがそれなんだ!?嫌だろ!おかしいだろ!!)

俺キモい!! まで叫んで、親から怒鳴り声がした
寒気を抑えて、そっとタオルに包まった


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:10:15.19 ID:9T3gboVq0



登校し、先に来ていたモララーに挨拶をする
挨拶もそこそこに にやり と笑ったモララーの額に、完成した篆刻を押し付けてやった

ギコとミルナが登校してきて、いつもの一日が始まる
   +
( ・∀・)「ギコーおはよー」

(,,゚Д゚)「おー……おま、なんだそのデコ」

( ゚д゚)「……『長岡?』 ……あぁ、昨日のハンコか」

(づ∀・)「え 仕上がったの!?ジョルジュが?一人で?」

(,,゚Д゚)「綺麗に彫れてる ジョルジュなはずねーだろ」

( ・∀・)「それもそっか」
 _
( ゚∀゚)「お前らそれでも友達か」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:15:10.59 ID:9T3gboVq0


日常
これが日常だ

友達をいじって、いじられて、
バカやって、楽しんで……


友達に、自分を喰わせるのは、 『日常』 ?




一瞬ミルナから向けられた目は、野生の狼のような、餓えた目だった


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:20:39.49 ID:9T3gboVq0

( ・∀・)「おっ チャイム」

(,,゚Д゚)「朝礼かったりぃな……行こうミルナ」

( ゚д゚)「あぁ。 じゃ、また放課後に……」

( ・∀・)「あ、ギコ ミルナ 今日飯食い行かね?」

(,,゚Д゚)「お、いいな。」

( ・∀・)「ジョルジュは?」

( ゚∀゚)「んあ?……あー…考えとく」

( ・∀・)「ミルナは?」

( ゚д゚)「俺は遠慮しておく。財布が寂しいんだ」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:26:01.08 ID:9T3gboVq0

ギコとミルナが教室に帰ってから、モララーは声を落とし、ぽつりと呟いた


( ・∀・)「…………ミルナ、食いもんになるとノリ悪いよな」
 _
( ゚∀゚)「……体重が気になるお年頃じゃね?」

( ・∀・)「なーんか隠してそうなんだよなぁ」
 _
( ゚∀゚)「……」

( ・∀・)「ま、いーんだけど。 ジョルジュも行くか決めといて」


肩を軽く叩き、モララーは自分の席についた
自分もしぶしぶ席につき、朝礼を待った


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:31:18.45 ID:9T3gboVq0


三時間目
歴史の選択授業
自分とモララーは世界史 ミルナとギコは日本史を選択している

授業中、ポケットの携帯が震えた
担当の高岡が黒板に地図を書いているのを確認し、携帯を開く


From:ミルナ
お前は行け


メール
しかも、この一文だけだった
気にかけていることを悟られたのか、友達付き合いのためか はかりかねた

 _
( ゚∀゚)(…………あー……)


めんどくせぇ
もう一度高岡が後ろを向いていることを確認し、返信をしたためた


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:35:41.87 ID:9T3gboVq0

To:ミルナ
財布が寂しいのは俺も同じだっつの
ミルナちゃんが気にするんじゃ、行かないでやってもいいんだぜ

From:ミルナ
死ね


( ゚∀゚)(……ははっ)


律儀にツンデレ返しの流れを踏んでから携帯を机に仕舞った
財布から札を引き抜き、ポケットに隠した


( ゚∀゚)「これでよし、と」

从 ゚∀从「なーにが、よし なんだ?」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:36:42.16 ID:9T3gboVq0
 _
( ゚∀゚)「…………」


顔を上げると、さっきまで壇上にいたはずの高岡が 目の前にいた
乗り出している高岡の顔の下で、豊満なFカップがたゆんと揺れている


( ゚∀゚)「…………ははっ……」

从 ゚∀从「言い訳は許す」

( ゚∀゚)「……おっぱいおっぱい」


飛んできた拳を、頬で甘受する
拳骨は容赦なく、頬骨をごりごりと削っていた


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:40:25.29 ID:9T3gboVq0

( )∀゚)

( ・∀・)「ばーかwwwwなにやってんだよwwww」

( づ∀゚)「いてー……高岡、容赦ねぇよ」

(,,゚Д゚)「携帯も見事に折られてんな」


ファミレス
高岡に殴られ、携帯を折られ、金を隠そうとしたのがモララーにバレ、ミルナに蹴り出され
結局モララーとギコと共にここに来ていた


( ・∀・)「何してたんだよ高岡の授業で」

( ゚∀゚)「メール」

(,,゚Д゚)「お前、馬鹿だろ」

( ゚∀゚)「馬鹿で結構」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:45:27.42 ID:9T3gboVq0

夕食を済ませ、ドリンクバーで居座る
部活の話、先生の話、彼女の話、おっぱいの話
馬鹿な話を繰り返し、店を出たのは十時過ぎだった


(,,゚Д゚)「じゃーな」

( ・∀・)ノシ「ばいばーい」

( ゚∀゚)「んじゃーなー」


ふたりと別れ、帰路につく
少し迷って、近くの公園に入った

夏といえど、夜は涼しい
自販機でジュースを買い、ブランコに座った


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/18(木) 03:49:50.71 ID:9T3gboVq0

( ゚∀゚)(門限守る必要もねーし、少しくらい な)


家にいると、逃げてしまう
きちんと考える時は、静かな夜に外に出る

一区切りつくまで考えてから帰ることにした


( ゚д゚)食事をするようです 中編・了



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