- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:25:52.19 ID:INLCrNry0
第二話【勇者及びその一味】
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:28:47.75 ID:INLCrNry0
- ( ゚∀゚)「あそこに山が見えるだろ? あそこだ」
ジョルジュが遠くに霞んで見える山を指差した。
('A`)「遠いな」
( ゚∀゚)「夜通し歩いて一日ぐらいだ。途中の街に寄ると二日になるが」
('A`)「その間にもブーンの記憶は消えてくんだろ?」
川 ゚ -゚)「なら街に寄ってる暇は無いだろ」
( ^ω^)「別に僕に気を使わなくてもいいお」
ξ゚听)ξ「何言ってんのよ」
ツンが僕の頭を叩いた。
ξ゚听)ξ「みんなあんたを心配してんのよ」
('A`)「長旅なら慣れてる。誰だかさんがよく迷うせいでな」
( ^ω^)「すまないお」
('A`)「気にすんなって」
ドクオが笑ってみせた。
なんでこんなに優しくしてくれるんだろう。
僕は彼のことを全く覚えていないのに。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:31:10.25 ID:INLCrNry0
- ( ゚∀゚)「ちょっと待て。まあ最速で行くのには賛成だが、街には一度寄るべきだ」
ξ゚听)ξ「どういうこと?」
( ゚∀゚)「夜にあの辺を通るのは危険だ」
( ^ω^)「魔物かお?」
( ゚∀゚)「まあそんな感じだ」
このメンバーなら、その辺の魔物ぐらい倒せそうな気もするが。
( ゚∀゚)「とにかく、夜は街に泊まるべきだ」
( ^ω^)「わかったお」
ξ゚听)ξ「でも……」
( ^ω^)「みんなの安全が一番大事だお」
ξ゚听)ξ「そうだけど」
ツンは不服そうだった。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:33:29.38 ID:INLCrNry0
- 森を抜けるとそこに広がる広大な大草原。
吹き抜ける風が心地よい。
冒険の思い出もだいぶ忘れてしまった。
でも、新しい土地に足を踏み入れる時のこの興奮はまだ忘れてはいなかった。
川 ゚ -゚)「……街までだいぶあるな」
(;゚∀゚)「いや、こっからは見えねえだろ」
川 ゚ -゚)「かろうじて見えるぞ」
ξ゚听)ξ「クーは目がいいのよ」
(;゚∀゚)「目がいいってレベルじゃねえよ」
('A`)「エルフのハーフだっけか?」
川 ゚ -゚)「クォーターだ」
クーにエルフの血が流れていたなんて、初めて知った。
いや、忘れてしまっただけなのかもしれない。
クーに関する記憶もだんだん薄れているような気がした。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:36:09.29 ID:INLCrNry0
- ξ゚听)ξ「この辺の魔物は強くないわね」
ツンが飛びかかってきたの狼の群れを一蹴しながら呟いた。
地獄の狼たちも彼女の前ではただの子犬にすぎないというわけだ。
( ゚∀゚)「頼りになるねえ」
( ^ω^)「ちっちゃい頃からツンは強かったお。喧嘩してもいつもフルボッコだったお」
ξ゚听)ξ「変なことは覚えてるのね」
( ^ω^)「あばらを2本折られたのは忘れたくても忘れられないお」
ξ゚听)ξ「なんのことかしら」
ツンが僕の腹を殴った。
まじめに痛い。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:39:08.07 ID:INLCrNry0
- 本当に、みんな頼もしかった。
空からの魔物はみんなクーが射抜いてくれる。
群れが現れてもドクオが魔法で一掃してくれる。
僕は剣を抜くことすらなかった。
街についたのは夕方になってからだった。
( ゚∀゚)「あー、久しぶりにこんな歩いたな。足パンパンだぜ」
( ^ω^)「そうかお?」
( ゚∀゚)「おまえらは普段から歩いてるから慣れてるんだろ」
ジョルジュが愚痴をこぼした。
ξ゚听)ξ「クー、どうしたの?」
川 ゚ -゚)「いや、追っ手が来てないか見ただけだ」
クーが来た道を振り返りながら言った。
( ゚∀゚)「はやく宿借りて風呂入りてー」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:43:06.93 ID:INLCrNry0
- ('A`)「それにしても人がいないな」
確かに人がいなかった。
こんなに大きい街なのに、人っ子一人見ないというのも変だ。
( ^ω^)「きっと夕飯どきなんだお」
ξ゚听)ξ「さっき数人見たわよ。すぐにどこか行っちゃったけど」
( ゚∀゚)「……おい」
ジョルジュがそばにあった掲示板を指差した。
同じような貼り紙が所狭しとしてある。
( ^ω^)「なんだお?」
( ゚∀゚)「手配書だ」
僕はそばによって手配書を見た。
( ^ω^)「勇者及びその一味四名。懸賞金いちじゅうひゃく……十億ルピー?!」
(;'A`)「おい、なんだそりゃ! 世界征服計画の罪にVIP国王殺害だと?!」
川 ゚ -゚)「全く覚えがないな」
( ゚∀゚)「一味って俺も入ってんのかよ」
ξ;゚听)ξ「どうすんのよこれ!」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:46:06.85 ID:INLCrNry0
- 川 ゚ -゚)「……」
クーが地面に耳をあてた。
( ^ω^)「どうしたお?」
川 ゚ -゚)「……足音が聞こえる。かなりの数だ」
ξ;゚听)ξ「もしかしてさっき私が見たヤツらが呼んだのかも」
( ゚∀゚)「くそったれが!」
('A`)「どうすんだよ、戦うのか?」
その瞬間、足下が光った。
(;'A`)「魔法陣だ!」
とっさに地を蹴り、その場から離れる。
さっきまで僕らがいた場所から火柱が上がった。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:48:46.96 ID:INLCrNry0
- 川 ゚ -゚)「来るぞ!」
空を切る音と共に、矢が雨のように注ぐ。
(;^ω^)「敵はどこだお!」
物陰に身を潜める。
川 ゚ -゚)「魔法に弓。精鋭部隊だな」
ξ゚听)ξ「ブーン、後ろ!」
ツンの声で反射的に身をかがめた。
刃の切っ先が髪を掠めるのを感じながら、剣の柄に手をかける。
さらに二撃目。
それを捌き、剣の柄で相手の顎を突く。
戦闘をしっかり覚えてくれている身体に感謝だ。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:51:14.91 ID:INLCrNry0
- ( ゚∀゚)「この街にもいられねえな」
ξ゚听)ξ「また逃げるの?」
( ゚∀゚)「それしかねえだろ。この数だ」
ジョルジュが敵をなぎ倒して道を開けた。
('A`)「ちくしょう! 俺たちが世界を救ったってのに、なんでこんな目に!」
ドクオが悪態をついた。
( ゚∀゚)「あの橋を渡れば街から出るぞ!」
しかし敵に諦める気配は全くない。
耳元を矢が掠めた。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:53:34.77 ID:INLCrNry0
- ξ゚听)ξ「みんな早く渡って!」
ツンが橋の真ん中あたりで足を止めた。
( ^ω^)「ツン、何してるお!」
ξ#゚听)ξ「ハァァァァァァァァァァァ!!!!」
ツンが足を高く上げる。
そしてそれを、真っ直ぐ真下へ振り下ろした。
目の前の光景に、僕は思わず目を疑った。
石橋に亀裂が入り、轟音とともに崩れ落ちたのだ。
(;゚∀゚)「んな無茶な……」
ああ、無茶苦茶だ。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:55:36.57 ID:INLCrNry0
- ξ゚听)ξ「ふう」
崩れ落ちる橋を背に、ツンが軽く息をはいた。
向こう岸では敵がただ呆然とこちらを見るだけだった。
もはや矢を放つ気にもならないようだ。
こんな化け物を目の当たりにしてしまったら当然か。
( ゚∀゚)「ああ、アレか。巨人族か何かとのハーフか」
ξ#゚听)ξ「違うわよ!」
川 ゚ -゚)「クォーターだ」
ξ#゚听)ξ「だから違うって!」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 23:58:51.76 ID:INLCrNry0
- 辺りはだいぶ暗くなっていた。
('A`)「あーあ、ヒーローから一気にお尋ね者か……」
ドクオが呟いた。
ξ゚听)ξ「魔王軍にはめられたわね」
( ゚∀゚)「ちくしょう、ミルナの野郎、俺まで入れやがって」
川 ゚ -゚)「ブーンは似顔絵まで載ってたな」
最悪だ。
僕はもう完全にお尋ね者じゃないか。
( ゚∀゚)「しかし、これで敵が全国民になっちまったな」
向こうが僕らの命を狙っていたとしても、さすがに守備隊や一般市民と戦うのは気が引ける。
僕らは仕方なく、直接村を目指すことになった。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:01:12.61 ID:olS046vR0
- ξ゚听)ξ「あー、最悪。何これ」
ツンが悪態をついた。
道といえる道はほとんどなくなっていた。
地面はぬかるみ、一歩ごとに足にまとわりついてくる。
しかも灯りはドクオとジョルジュの杖だけときたもんだ。
ξ゚听)ξ「足がもうぐちょぐちょよ」
( ゚∀゚)「まだこんなもんじゃねえぞ。この先の沼地を横断するんだ」
('A`)「こんな悪条件の旅も久しぶりだぜ」
川 ゚ -゚)「沼地なんて一回通ったきりだな」
沼地なんて僕は初めてなんですけど。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:02:38.71 ID:olS046vR0
- ちょっとトイレ
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:16:17.92 ID:olS046vR0
- 水かさも進むにつれて増していき、腰まで浸かるほどになった。
みんな、肉体的にも精神的にも疲労がたまっていくのがわかった。
('A`)「おい、その村についてもまた追いまわされるってことはないだろうな」
( ゚∀゚)「あの村なら大丈夫だ。手配書すら届いてないだろうよ」
('A`)「ならいいけど」
ξ゚听)ξ「あー、はやく村についてお風呂はいりたーい」
ツンがわめいた。
( ^ω^)「同感だお」
ときどき足を深くまでとられて転びそうになる。
もう全身泥まみれでずぶ濡れだった。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:18:29.75 ID:olS046vR0
- 川 ゚ -゚)「なんか臭くないか?」
ξ゚听)ξ「たしかに」
まるで卵の腐ったような、鼻をつくような臭いがする。
前の女子二人が僕をにらんだ。
( ^ω^)「僕じゃないお」
( ゚∀゚)「俺でもねえ」
みんな一斉にドクオを振り向く。
(;'A`)「ちょっと待てって。俺じゃ……」
ドクオの姿が泥の中に消えた。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:20:11.53 ID:olS046vR0
- ξ;゚听)ξ「ドクオ!」
泥の中で何かが蠢くのを感じる。
(;^ω^)「下になにかいるお!」
川 ゚ -゚)「そういえば、夜は危険だって言ってなかったか?」
(;゚∀゚)「やべえ、すっかり忘れてた!」
ジョルジュが頭を抱えた。
魔物がいるというのか。
この人は重要なことをどうして忘れられるんだ。
沈黙。
ドクオの灯りが消えたせいで、辺りはいっそう暗闇に包まれた。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:23:16.84 ID:olS046vR0
- (;'A`)「ぶっはぁ!!」
ξ゚听)ξ「ドクオ!」
ドクオが泥の中から這い出てきた。
( ^ω^)「大丈夫かお!」
(;'A`)「げほっ……あの野郎、俺を絞め殺そうとしやがった!」
見ると彼の肩には焼け切れた触手が絡みついていた。
(;゚∀゚)「みんな、ごめん。ダッシュで逃げるぞ」
そう言うなり、ジョルジュは泥をかき分け走り出した。
(;^ω^)「どういうことだお」
(;゚∀゚)「あー、ようするにあれだ。この辺はモルラックっていう魔物の住処だ」
ξ゚听)ξ「聞いたことないわ」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:25:25.78 ID:olS046vR0
- 突然クーが沼の中に矢を放った。
耳を塞ぎたくなるような轟音とともに地面が震える。
(;゚∀゚)「何やってんだよ!!」
ジョルジュが叫んだ。。
川 ゚ -゚)「足下に何かいたから」
(;゚∀゚)「ムダに刺激すんなよ!!」
川 ゚ -゚)「そのまま引きずりこまれろと言うのか」
(;゚∀゚)「そういうわけじゃないけど……」
さらにもう一発。
(;゚∀゚)「やめろって!!」
川 ゚ -゚)「断る」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:27:46.11 ID:olS046vR0
- 水面が盛り上がり、それが姿を現した。
体長十メートルはあるだろうか。
何本もの触手を周りで蠢かせ、口を大きく開いている。
その悪臭は思わず鼻を覆うほどだった。
目があるのかはわからないが、間違いなくこちらを見ている。
ξ;゚听)ξ「何これ……植物?」
(;'A`)「どちらかというと虫じゃないか?」
( ^ω^)「じゃあその中間で」
川 ゚ -゚)「で、どうする?」
選択肢は3つだ。
この醜悪な怪物と戦うか、逃げるか、諦めて食われるか。
('A`)「決定権はリーダーのブーンにあるんだぞ!」
(;^ω^)「僕かお?!」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:29:31.38 ID:olS046vR0
- そんな、僕に決定権があるだなんて初耳だ。
しかし今はそんなの覚えてないだなんて言ってる暇はない。
ぶっちゃけ、逃げてもこの沼地じゃろくに走れもしないしすぐに捕まる気がする。
( ^ω^)「じゃあ戦うってことで」
僕は剣を抜いた。
('A`)「よしきた! やっぱブーンはそうでなきゃ!」
ξ゚听)ξ「最近逃げてばっかでつまんなかったのよね!」
川 ゚ -゚)「久しぶりのでかい相手だな」
みんな一斉に武器を構える。
( ゚∀゚)「あーあ、どうなっても知らねえぞ」
ジョルジュも渋々と杖を取り出した。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:32:25.90 ID:olS046vR0
- 川 ゚ -゚)「来るぞ」
その動きは予想以上に速かった。
足下の悪さもあるせいで、避けるので精一杯だ。
触手が物凄い速さでこちらに伸びてくる。
( ゚∀゚)「まかせろ」
ジョルジュが杖を地面に刺し、呪文を唱える。
触手の動きが遅くなる。
( ゚∀゚)「数秒しかもたねえぞ」
('A`)「数秒あれば十分だ」
今度はドクオが呪文を唱え、触手を炎が包み込む。
魔法使い2人の素晴らしい連携だ。
怪物の悲鳴で空気が震えた。
ξ;゚听)ξ「うるせえ……」
(;^ω^)「耳が壊れそうだお……」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:35:00.55 ID:olS046vR0
- ('A`)「危ない!」
触手が薙ぎ払う。
気づいたときには、僕の体は宙に舞っていた。
横っ腹に鈍い痛み。
骨が軋むのを感じる。
さらに触手が僕に向かって振り下ろされる。
(;^ω^)「このっ!」
空中で体勢を整え、向かってきたそれを剣で切り落とす。
それと同時に足を気持ち悪い感触が包んだ。
触手に捕まったのだ。
(;^ω^)「おおおっ?!」
視界が一回転する。
そして目の前に大きく開かれた怪物の口。
そこから舌のようなものが伸びてくる。
(;^ω^)「食われてたまるかお!」
舌を斬りつける。
怪物が悶え、僕の足は解放された。
それと同時に僕の体は投げ出される。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:37:17.99 ID:olS046vR0
- (;^ω^)「あああああ!!!」
そのまま僕は地面に叩きつけられた。
沼地で良かったと初めて思った。
('A`)「大丈夫か!」
( ^ω^)「大丈夫……じゃないお」
立ち上がろとしたが立てない。
体の半分近くが泥にはまってしまったのだ。
顔を上げると、怪物がこちらに物凄い速さで迫って来るではないか。
(;^ω^)「やば」
その瞬間、ツンが僕の前に飛び出した。
そして十メートルあろうかという巨体を蹴り飛ばしたのだ。
あの、橋を破壊した蹴りで。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:39:58.90 ID:olS046vR0
- ξ゚听)ξ「情けないわねえ」
ツンの手を借り、なんとか泥から抜け出せた。
怪物を見ると、相当効いたようで地面を揺らしながらのたうち回っている。
そこにクーの矢が雨のように注ぐ。
怪物の標的が、僕からクーへと変わった。
ξ゚听)ξ「クー、危ない!」
川 ゚ -゚)「ちっ!」
一瞬、触手が彼女を叩き潰したかのように見えた。
しかし、彼女はそれを間一髪の所でかわしていた。
だが触手の追撃は止まない。
( ゚∀゚)「彼女を助けろ!」
ジョルジュとドクオが魔法を放つ。
一瞬だけ、怪物の気がそちらへ逸れた。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:41:37.70 ID:olS046vR0
- 怪物に隙ができた。
僕は剣を握りしめ、怪物へ向かって走った。
遅れて怪物が僕に気付く。
( ^ω^)「遅いお!」
振り下ろされる触手をかわし、怪物の懐に飛び込む。
渾身の力をこめ、剣を奴の腹に突き立てた。
緑色の体液が僕に降りかかる。
さらにもう一撃。
怪物が悲鳴をあげながら体を起こす。
ちょうどその瞬間をクーは見逃さなかった。
その喉元を、彼女の矢が射抜いた。
断末魔の叫びが沼地に響き渡る。
ξ゚听)ξ「ブーン、はやく!」
怪物の下敷きはごめんだ。
僕は急いでその場を離れた。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:43:22.08 ID:olS046vR0
- ( ^ω^)「はぁ、はぁ……倒したお……」
一気に足の力が抜けた。
僕はその場に座り込んだ。
怪物の体液のせいで体からひどい臭いがする。
( ゚∀゚)「まさか倒しちまうとは……」
ξ゚听)ξ「どっと疲れたわ」
ツンもへなへなとその場にしゃがみ込む。
('A`)「でっけえなあ。ギルドから幾ら報酬貰えるかな」
( ゚∀゚)「俺たちゃお尋ね者だぜ」
('A`)「そうだよなー」
ドクオが横たわる怪物の死体を眺めながら、残念そうに呟いた。
川 ゚ -゚)「休んでる暇はないんじゃないのか?」
( ゚∀゚)「それもそうだ」
('A`)「俺ははやくこの沼地を抜けたいよ」
僕もみんなに従い立ち上がる。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:45:43.59 ID:olS046vR0
- ξ゚听)ξ「ちょっとブーン」
ツンが座ったまま僕を呼んだ。
( ^ω^)「どうしたお?」
ξ///)ξ「……手貸して」
どうやら泥に深くはまってしまい立ち上がれないようだ。
( ^ω^)「まったく、しかたがないお」
ツンの手を取り、引き上げる。
ξ゚听)ξ「あ」
顔と顔が近づく。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/19(日) 00:47:24.30 ID:olS046vR0
- ξ///)ξ「ち、近いわよ!」
ツンは顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。
( ゚∀゚)「おいそこの二人。いちゃついてないで行くぞ」
( ^ω^)「ツンはなんで怒ってるんだお?」
('A`)「照れてるんだろ。いつものことじゃん」
( ^ω^)「照れてる?」
僕はなんとも思わなかった。
ツンの顔があそこまで近づいても。
ツンはそれが恥ずかしかったのだろうか。
ただ、顔が近づいただけなのに。
つづく
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