- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:21:16.75 ID:FzYqZVb80
第三話【終わりの旅の始まり】
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:23:21.02 ID:FzYqZVb80
- 地平線から日が昇る。
僕らは一晩中歩き続けて沼地を抜け、丘を登っていた。
ξ゚听)ξ「向こうに川があるわ」
( ^ω^)「本当だお」
( ゚∀゚)「ちょっとあそこで飯にするか」
('A`)「よっしゃ、川まで競走しようぜ!」
川 ゚ -゚)「よしきた」
ξ゚听)ξ「ビリが一位に朝食のソーセージ一本ね!」
( ^ω^)「望むところだお!」
('A`)「位置についてー」
(;゚∀゚)「おい、俺もうそんな体力……」
('A`)「よーいどん!!」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:26:22.16 ID:FzYqZVb80
- ξ゚听)ξ「ビリはブーンよ!」
( ^ω^)「僕とツンは同着だったお!」
僕らは息を切らしながら河原に腰掛け口論していた。
川 ゚ -゚)「はやく決めてくれ」
もちろんクーが一位だった。
もともとエルフの足の速さは異常なんだ。
クォーターといえど、その血はしっかり受け継がれているようだ。
最後にゴールしたのは、僕とツンがほぼ同時だった。
しかし、ここは朝食のソーセージのためにも譲れない。
('A`)「ちょっと待ておまえら。一人重罪人を忘れてねえか?」
( ゚∀゚)「ん? それは誰のことだ?」
(#'A`)「てめえだよこのクソ神父! てめえが高速移動呪文使ったの見たぞ!」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:28:13.13 ID:FzYqZVb80
- 口論はいつの間にか談笑になっていた。
僕らはパンを頬張り、朝のスープを飲みながら楽しく語らった。
ツンやクー、ドクオが旅の思い出を語る。
それをジョルジュが、時々オーバーな反応を見せながら聞く。
本当はその話の半分以上を僕は覚えていなかった。
それでも、こうやってみんなと話すのは楽しかった。
ただ、覚えていたらもっと楽しかったに違いないのに。
('A`)「なあ、ブーン」
川で鍋をすすいでいると、ドクオが隣に座った。
('A`)「本当に俺のこと覚えてないのか?」
( ^ω^)「……覚えてないお」
僕は目を合わせずに答えた。
('A`)「ま、きっとそのうち思い出すよな」
( ^ω^)「……」
('A`)「暗いこと考えてたら旅もつまんないしな! ほら、鍋洗うの手伝うよ」
( ^ω^)「ありがとうだお……」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:31:25.91 ID:FzYqZVb80
- ( ゚∀゚)「ほら、ついたぞ」
ジョルジュが門を指差した。
村の名前は書いてない。
もう日も傾き始めていた。
ξ゚听)ξ「小さい村ね」
( ゚∀゚)「隠れ村だ。名前もねえし地図にも載ってねえぞ」
ちょうど地図を開いたところだった。
たしかに何も載っていない。
門番が、僕らを見るなり村の中へ走っていくのが見えた。
川 ゚ -゚)「大丈夫なのか?」
( ゚∀゚)「たぶんな」
のどかな村だ。
途中、畑で農作業をしているお年寄りや駆け回っている子供と目があったが、とくになんともなかった。
村のどこにも、僕の顔の描かれた手配書は見あたらなかった。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:33:42.98 ID:FzYqZVb80
- ('、`*川「あらジョルジュちゃん、久しぶりじゃない!」
気のいい感じの女の人がジョルジュに声をかけた。
( ゚∀゚)「よう、おばちゃん。ヒートは元気か?」
('、`*川「元気すぎて困っちゃうくらいよ。ジョルジュちゃんが帰ってきたってきいたら喜ぶわよ」
( ゚∀゚)「親父知らない?」
('、`*川「村長さんなら村役場のほうじゃない?」
( ゚∀゚)「そっか、ありがとな」
('A`)「おまえの親父は村長なのか」
( ゚∀゚)「まあな」
川 ゚ -゚)「そりゃ大賢者の末裔だしな」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:35:50.79 ID:FzYqZVb80
- 村が小さければ村役場も小さかった。
そして言っちゃ悪いが、ボロかった。
( ゚∀゚)「親父ー。俺だぞー」
ジョルジュがドアを勢いよく開けた。
あまりにボロいもんだから、ドアが壊れるんじゃないかと心配するくらいだ。
(`・ω・´)「門番から聞いたが、本当に帰ってきたとはな」
出てきたのは、ジョルジュからは想像つかないくらい堅そうな父親だった。
眉をつり上げてジョルジュを睨みつけている。
( ゚∀゚)「そんな睨むなって。まずはこいつらが用があるんだって」
(`・ω・´)「こいつら?」
ジョルジュの父親がその厳しい目つきで僕らを見た。
(;^ω^)「ど、どうも」
(`・ω・´)「これはこれは、勇者さんでしたか。さ、おかけください」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:37:53.83 ID:FzYqZVb80
- 「勇者さん」と呼ばれるのに少し抵抗を覚えつつ、僕は椅子に腰掛けた。
テーブルの上にお茶が四つ、どこからともなく現れた。
(`・ω・´)「初めまして、この村の村長のシャキンです」
( ^ω^)「ブーンですお」
(`・ω・´)「勇者ブーンさんですね。来るころだと思ってましたよ」
( ^ω^)「お?」
(`・ω・´)「私も賢者の端くれ。時の剣の呪いが発動したのは感じていました」
( ^ω^)「呪いについて知っているのかお?」
(`・ω・´)「もちろんです」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:39:45.82 ID:FzYqZVb80
- ξ゚听)ξ「じゃあ、呪いを解けるの?!」
ツンが割り込んだ。
(`・ω・´)「残念ながら、私には解けません」
ξ゚听)ξ「そんな……」
(`・ω・´)「時の剣を作った“ゲオルグ長岡”を越える賢者でなければ呪いは解けません」
(`・ω・´)「しかし歴史上ゲオルグを越える賢者というのはまだ一人もおらず……」
ジョルジュが自分と言わんばかりに腕を振ったが、全員がそれを無視した。
(`・ω・´)「しかし、呪いを解く方法はあります」
ξ゚听)ξ「本当!?」
またしてもツンが割り込んできた。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:42:16.86 ID:FzYqZVb80
- >>8
>>22
わざわざありがとうございます
- 27 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/04/22(水) 23:44:08.95 ID:FzYqZVb80
- (`・ω・´)「ゲオルグの時魔法より強力な時魔法で、ゲオルグの時の呪いを打ち消すのです」
('A`)「でもそれをできる人がいないっていうのが問題なんだろ?」
ドクオの言うとおりだ。
歴史上最強の時魔法の使い手より強力な時魔法なんて誰が使えるというのだろう。
(`・ω・´)「“人”はいません」
( ゚∀゚)「あー!」
ジョルジュが閃いたように叫んだ。
( ゚∀゚)「そうか! あのs」
彼の声は途中で消えた。
(`・ω・´)「まったく、良いところを持っていこうとするな」
今、一瞬で沈黙呪文をかけたのだろうか。
少なくとも僕にはまったく見えなかった。
ドクオを見ると、目を丸くして驚いている。
やはり賢者は魔法のレベルが違いすぎる。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:45:39.60 ID:FzYqZVb80
- (`・ω・´)「“死の山”を知っていますか?」
そんな物騒な名前の山なんて聞いたことがない。
川 ゚ -゚)「名前だけなら知っているが」
ξ゚听)ξ「私とブーンは遠くから見たことあるわ。あの黒い山のことよ」
覚えていない。
ドクオも知らないようだ。
いつのまにかテーブルの上に地図が広がっていた。
死の山は大陸の反対側にあった。
(`・ω・´)「この山の火口付近に“死の神殿”という神殿があります」
( ^ω^)「また物騒な名前だお」
(`・ω・´)「そこには五つの強力な石が奉られていて、その中でも一番強力なのが“死の石”です」
( ^ω^)「なんでもかんでも“死”をつければいいってわけじゃないお」
(`・ω・´)「黙って聞いててください」
( ^ω^)「すみませんでしたお」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:47:54.03 ID:FzYqZVb80
- (`・ω・´)「死の石はとても強力です。それを使えば人を生き返らせることすらできるといいます」
ξ゚听)ξ「それを使ってブーンの呪いを解くというわけね?」
(`・ω・´)「ええ。呪いが解ければで失われた記憶も戻るはずです」
( ^ω^)「でも、そんな大事な石を僕個人のために使っていいのかお?」
(`・ω・´)「むしろ、それに使っていただきたいのです」
シャキンがテーブルの上に一枚の紙を出した。
見慣れた顔。
それは、あの手配書だった。
(`・ω・´)「私は魔王軍の幹部に一人、スパイを持っています」
川 ゚ -゚)「スパイ?」
(`・ω・´)「ええ。その者が、先日この手配書をよこしてきました」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:49:53.73 ID:FzYqZVb80
- (`・ω・´)「そしてその者の情報によりますと、魔王軍は勇者を排除し、魔王の復活を企んでいると」
('A`)「魔王の復活だと!?」
( ^ω^)「いったいどうやってだお?」
(`・ω・´)「“死の石”を使ってです」
ξ゚听)ξ「阻止しなきゃ!」
(`・ω・´)「だからこそ、あなた方に先に死の石を手に入れて欲しいのです」
川 ゚ -゚)「つまり、死の石を魔王復活に使われるくらいならブーンの呪いを解いた方がマシだと」
(`・ω・´)「そうです」
なんだか大変なことになってきた。
僕の呪いを解くのが先か、魔王が復活するのが先か。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:51:59.46 ID:FzYqZVb80
- なんだか大変なことになってきた。
僕の呪いを解くのが先か、魔王が復活するのが先か。
(`・ω・´)「危険な旅になりますし、無理強いはしません」
死の山は大陸の西だ。
魔物や魔王軍だっている。
僕のためにみんなを危険に晒すわけにはいかない。
僕がここで一言、「記憶なんていらない」と言えば、みんなが危険な目にあうこともない。
このまま全部忘れてしまったほうがもしかしたら楽かもしれない。
ξ゚听)ξ「まーた長い旅になりそうね!」
川 ゚ -゚)「なに、危険な旅は馴れてるさ」
('A`)「世界救うのはブーンの呪いを解くついでだな!」
( ^ω^)「でも……」
ξ゚听)ξ「なに辛気くさい顔してんのよ! あんたの好きな冒険でしょ!」
ツンが僕の背中を叩いた。
( ^ω^)「みんな、ありがとうだお」
みんなが笑いながら僕を見ている。
感謝と申し訳なさで胸がいっぱいだった。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:54:12.59 ID:FzYqZVb80
- 宿はシャキンさんが手配してくれていた。
村の割に、宿はしっかりとしていた。
そういえばドクオの姿が見あたらない。
( ^ω^)「ドクオはどうしたお?」
川 ゚ -゚)「村長に用があるって言ってたぞ」
( ^ω^)「そうかお」
( ゚∀゚)「っぷはぁ!」
(;^ω^)「なんだお、急に」
( ゚∀゚)「やっと沈黙呪文解けたぜ!」
ξ゚听)ξ「やけに静かだと思ったわ」
( ゚∀゚)「あの野郎、本気でかけやがって」
( ^ω^)「ジョルジュのお父さんはすごいお」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:56:22.54 ID:FzYqZVb80
- ξ゚听)ξ「ところで、ジョルジュの用事って?」
( ゚∀゚)「ああ、忘れて……」
「あー!!」
甲高い叫び声がジョルジュの言葉を遮った。
「ジョルジュー!!」
僕が振り返るよりも速く、ジョルジュに赤い何かが飛びついた。
ノパ听)「久しぶりだー!」
火のように真っ赤な髪に真っ赤な瞳。
小柄な体。
そして耳に響く甲高い声。
それは、十歳くらいの少女だった。
ノパ听)「会いたかったー!」
( ゚∀゚)「よーしよし」
( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)「ロリコン?」
(#゚∀゚)「違うわ!」
ノパ听)「?」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:58:01.38 ID:FzYqZVb80
- ξ゚听)ξ「それにしても真っ赤な髪ねー。名前はなんていうの?」
ツンが少女の赤い髪を撫でながら尋ねた。
ノパ听)「ヒートだ! それと髪に触るな!」
川 ゚ -゚)「何かの種族との混血か?」
クーが彼女の髪をいじりながらきいた。
ノパ听)「知らん! それと髪に触るな!」
( ゚∀゚)「ヒートは昼間会ったおばちゃんが一人で身ごもったんだとよ」
( ^ω^)「へぇー」
ξ゚听)ξ「不思議な話があるもんね」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/22(水) 23:59:37.41 ID:FzYqZVb80
- ('A`)「ただいまー」
扉が開き、ドクオが杖をつきながら帰ってきた。
やけに疲れた様子だ。
ξ゚听)ξ「遅かったのね」
('A`)「まあな。うおっ!? なんだその赤いの!?」
ノパ听)「赤いのとは失敬な! 貴様こそ何者だ! 名を名乗れ!」
('A`)「まあ俺はドクオだけど……」
ドクオはジョルジュの膝の上に座るヒートを見つめ、それからジョルジュを見た。
('A`)「ロリコン?」
(#゚∀゚)「違うっつってんだろ!」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:01:17.31 ID:jkvKWW6l0
- ノパ听)「ジョルジュが村に来るのは久しぶりだ! 何かあったのか?」
( ゚∀゚)「あーそうそう、だから用事があったんだよ」
ジョルジュが思い出したように手を叩いた。
( ゚∀゚)「賢者になるために来たんだよ」
ノパ听)「おー! ついにジョルジュは賢者になったのか!」
( ゚∀゚)「いやまだなってねえって。話を聞けよ」
('A`)「賢者になるって具体的に何すんだ?」
( ゚∀゚)「別の賢者に認めて貰えばいいんだよ」
川 ゚ -゚)「しかしこのご時世、賢者なんてめったにいないだろ?」
( ゚∀゚)「ああ。みんな“賢者狩り”で殺されたからな」
賢者狩り。
魔王軍が残した忌々しい歴史の一つだ。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:04:21.72 ID:jkvKWW6l0
- ( ゚∀゚)「生き残った賢者は九人って噂だ。そのうち二人は魔王軍で、残りはどこかに身を隠してる」
('A`)「すぐに見つかる賢者は親父さんだけだろうな」
( ゚∀゚)「そうだ。それが問題なんだ」
( ^ω^)「実のお父さんなら簡単に認めてくれるんじゃないかお?」
( ゚∀゚)「言ったろ? 俺、勘当されてるんだよ」
そういえばそんなことを会ったときに言ってたような。
( ゚∀゚)「だから親父と話し合うわけよ。許してくださいって」
川 ゚ -゚)「大変だな」
( ゚∀゚)「おまえらはいつここを出るんだ?」
ξ゚听)ξ「今日はここで一泊して、明日準備が出来次第出発する予定だけど」
ツンがヒートの髪を三つ編みしながら答えた。
( ゚∀゚)「そうか。じゃあおまえらとは短い付き合いだったがここでお別れか」
ノハ;゚听)「えぇ!? ジョルジュどっか行っちゃうの?!」
(;゚∀゚)「だから話を聞いてろって」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:06:23.20 ID:jkvKWW6l0
- ξ゚听)ξ「はい、出来た!」
ノハ*゚听)「おぉー」
ヒートが鏡の前で三つ編みになった自分の髪をまじまじと見つめている。
ξ゚听)ξ「この方が可愛いわよ」
ノハ*゚听)「本当か?!」
ヒートが甲高い声で叫びながらジョルジュのもとへかけていった。
ノハ*゚听)「なあジョルジュ、可愛いか?!」
( ゚∀゚)「はいはい可愛い可愛い」
ノハ*゚听)「いやっほぉぉぉぉぉぉぅ!!!」
(;゚∀゚)「うるせえ! 耳元で叫ぶな!」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:08:11.15 ID:jkvKWW6l0
- ( ^ω^)「あー、良い湯だったお」
( ゚∀゚)「やっと足の疲れがとれたぜ」
('A`)「傷も癒えるしな」
風呂上がりに冷えた牛乳を飲み干す。
村の牛から搾った牛乳だそうだ。
これがまた最高にうまい。
ツンとクーとヒートはトランプをしていた。
( ゚∀゚)「ヒート、こんな夜遅くまでいていいのか?」
ノパ听)「いいんだ! 今日はみんなと泊まるんだ!」
川 ゚ -゚)「親には私が連絡しておいたぞ。矢文で」
(;゚∀゚)「ああそう」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:10:09.57 ID:jkvKWW6l0
- ( ゚∀゚)「それにしてもおまえら大変だな。また世界を救う旅だろ? 3」
( ^ω^)「ぶっちゃけ僕は前の旅の記憶はほとんどないお。4だお」
ξ゚听)ξ「前の旅も成り行きで決まっちゃったし、きっとそういう運命なのよ。5」
ノパ听)「6!」
川 ゚ -゚)「7」
('A`)「8」
( ゚∀゚)「ちょっと待て! おまえどさくさに紛れて5枚出したろ! ダウト!」
('A`)「バーカwwwジョーカーだよwwwww」
(#゚∀゚)「ファック」
( ^ω^)「ジョルジュの手札20枚くらいあるお」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:12:08.29 ID:jkvKWW6l0
- ヒートのいるおかげでいつもより賑やかな夜になった。
いつもがどんなだったかは思い出せないけど。
ヒートはツンになついたようだ。
ツンもヒートと気が合うみたいだった。
ξ゚听)ξ「ちょっとヒートに外で武術教えてくるわ」
ノパ听)「強い女の子になるのだ!」
と言って二人で裏庭に行ってしまった。
もう夜遅いっていうのに、元気な人たちだ。
('A`)「武術て……」
川 ゚ -゚)「強い女の子になるらしいな」
( ゚∀゚)「俺は嫌だぞ。ヒートが橋を蹴り壊したりしたら」
それから僕らは雑談したりお酒を飲んだりして時間を過ごした。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:14:20.10 ID:jkvKWW6l0
- しばらくしてドクオが席を立った。
('A`)「疲れたから先寝るわ」
( ゚∀゚)「おう」
時計を見るともう十一時だ。
まあ、次にゆっくりできるのも当分無いかもしれないから遅くまで話しているのも悪くないけど。
あの二人はまだ遊んでいるのだろうか。
ちょうどそんなことを考えていたら、部屋の扉が開いた。
ξ゚听)ξ「ただいまー。汗かいたからまたシャワー浴びちゃったわ」
ノパ听)「楽しかったー!」
ξ゚听)ξ「ヒートったらすごく筋がいいのよ! 呑み込みも早いし! まるで私の子供の頃みたいだわ!」
ツンが興奮した様子で話した。
そんなにすごかったのだろうか。
ξ゚听)ξ「ちゃんと習えば間違いなくすごく強い武闘家になれるわ!」
ノパ听)「本当か!」
ξ゚听)ξ「本当よ! いつかちゃんと教えてあげるわ!」
ノパ听)「よっしゃぁ!」
二人の興奮ぶりは尋常じゃなかった。
もしかしたら、本当にヒートが橋を蹴り壊す日が来るかもしれない。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:16:40.50 ID:jkvKWW6l0
- 真夜中。
ドクオの声で目が覚めた。
(;'A`)「二人とも、起きろ! 村が!」
窓の外が赤く輝いている。
(;゚∀゚)「嘘だろ……」
僕は目を擦りながら窓に駆け寄った。
村が燃えている。
炎に照らされてたくさんの人影が見える。
いや、人じゃない。
(;'A`)「オークだ!」
(;゚∀゚)「魔王軍か!」
まさか魔王軍が僕らを追って来たのか。
何十体というオークの中に一人、人間らしき影が見える。
( ^ω^)「誰かいるお!」
(;゚∀゚)「あれは……」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:18:08.40 ID:jkvKWW6l0
- 魔法使いのローブを身に纏い、オークに指示を出しているように見える。
左手には、長い杖を持っている。
(;゚∀゚)「あの杖……」
ジョルジュがドアへと走る。
( ^ω^)「どうしたお!」
( ゚∀゚)「おまえらは身を隠してろ! 狙いはおまえらじゃない! これは“賢者狩り”だ!」
そう言うなり、ジョルジュは部屋を飛び出した。
('A`)「あの杖、賢者の杖だぞ……」
ドクオが窓の外の男を指差した。
賢者狩りを賢者が仕切っているというのか。
たしかに賢者と戦えるのは賢者くらいだ。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:20:54.78 ID:jkvKWW6l0
- ξ;゚听)ξ「大変!」
ツンが息を切らしながら部屋に駆け込んできた。
('A`)「どうした?」
ξ;゚听)ξ「ヒートが部屋を飛び出して行っちゃった!」
(;^ω^)「なっなんだってー!?」
ξ;゚听)ξ「『村を救う』って……」
(;'A`)「外はオークだらけだぞ!」
川 ゚ -゚)「こうしてる暇は無いぞ。はやく探し出そう」
クーがいつの間にか部屋の入り口に立っていた。
彼女の言うとおりだ。
事態は一刻を争う。
僕は立てかけてあった剣に手をかけた。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:23:49.17 ID:jkvKWW6l0
- 〜〜〜〜〜〜
(#゚∀゚)「邪魔だぁ!!」
力の限りに杖を振る。
オークの群れが崩れ、道が開く。
人影が見えた。
(;゚∀゚)「親父!」
(`・ω・´)「ん?」
親父がオークを吹き飛ばしながら振り向いた。
(`・ω・´)「何の用だ。私は今オーク掃除で忙しいんだ」
親父の指の動き一つで数十体のオークが吹き飛ぶ。
( ゚∀゚)「ハァ、ハァ、ちくしょう、心配させやがって……」
(`・ω・´)「おまえに心配されるほど落ちぶれたつもりはないが」
( ゚∀゚)「わかってんだろ! これは“賢者狩り”だぞ!」
(`・ω・´)「安心しろ。狩られるつもりはない」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:26:13.86 ID:jkvKWW6l0
- 親父は余裕こいてるが、さっきの敵の賢者がいるはずだ。
俺は辺りを見回した。
ちょうどその時、オークの群れがぱっと別れた。
「久しぶりだね」
長い杖を指で回しながら近づいてくる人影。
強力な魔力を肌で感じる。
(`・ω・´)「どっちが来るかと思えば、おまえかモララー」
「そんな怖い顔して睨まないでよ」
男がフードを脱ぐ。
( ・∀・)「せっかく久しぶりに会えたんだから」
若い。
整った顔立ち。
女のように白い肌が炎に照らされてより綺麗に見える。
しかし、その外見からは想像つかないくらい邪な気を放っているのが手に取るようにわかる。
男が薄ら笑いを浮かべながら親父に近づく。
(`・ω・´)「私もなめられたものだな。貴様なんぞが送ってこられるとは」
( ・∀・)「ひどいなあ。先輩だからってあんまり調子乗ってると殺すよ?」
モララーと呼ばれた男が杖を構えた。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:29:15.74 ID:jkvKWW6l0
- (`・ω・´)「ジョルジュ」
( ゚∀゚)「な、なんだよ」
久しぶりに親父に声をかけられたせいか、一瞬戸惑ってしまった。
(`・ω・´)「下がっていろ」
( ・∀・)「賢明だね。“流星”」
モララーが杖を振る。
数千という火の玉が親父に降り注いだ。
激しい光と爆音で感覚が奪われそうになる。
( ・∀・)「生きてるかなー?」
(`・ω・´)「もちろんだ」
( ・∀・)「!」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:31:34.25 ID:jkvKWW6l0
- 親父はモララーの背後を取っていた。
瞬間移動呪文。
空間魔法と時魔法の混合魔法だ。
( ・∀・)「おっと」
親父の右手に剣が現れる。
モララーは炎に乗って移動して距離を取った。
(`・ω・´)「勝負あったな」
( ・∀・)「なにg」
彼のちょうど着地したところに、魔法陣が張ってあったのだ。
(`・ω・´)「おい馬鹿、よく見ておけ。これが“時間停止呪文”だ」
親父が指差した。
モララーはぴくりとも動かない。
彼の“時”は止まっていた。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:33:52.56 ID:jkvKWW6l0
- (`・ω・´)「これが出来るようになったら賢者と認めてやろう」
( ゚∀゚)「なっ……」
(`・ω・´)「そのために帰って来たんだろう?」
( ゚∀゚)「なんで知ってんだよ」
(`・ω・´)「おまえの考えていることぐらいわかる」
( ゚∀゚)「けっ」
俺は親父に背を向けた。
頭を捕らわれたオークたちが戸惑っている。
( ゚∀゚)「てめーら、俺の練習台になりたくなかったら……」
鈍い、嫌な音が響き渡った。
ゆっくりと振り返る。
そして見た。
親父の胸を、黒い炎に包まれた剣が貫いているのを。
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:37:36.20 ID:jkvKWW6l0
- ( ・∀・)「賢者は最後まで油断しちゃいけないんだよ?」
モララーが親父から剣を引き抜いた。
親父は血を吐き、その場に膝を着いた。
(;゚∀゚)「親父!」
(;`・ω・´)「来るな……」
( ・∀・)「息子想いの父親だね」
さっきまでとは明らかに魔力が違う。
禍々しいオーラがモララーを包んでいる。
(;`・ω・´)「黒い炎……」
( ・∀・)「この世で最もかっこよくて、最も邪悪で、最も強い“闇魔法”だよ。それと炎魔法を混ぜたら黒くなったんだ」
(;`・ω・´)「古代の魔法か……」
( ・∀・)「そーなの? まあどーでもいいけど」
モララーが手元で剣を回しながら笑った。
( ・∀・)「暗黒の炎に焼かれて死ぬのもいいけど、賢者狩りの決まりだからね」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:40:28.75 ID:jkvKWW6l0
- 全てがスローモーションに見えた。
モララーの振り上げた剣が、黒い炎を纏いながら風を切る。
低い音。
首を失った親父の体が地面に崩れ落ちる。
(#゚∀゚)「ああああああああ!!!」
地面を蹴る。
( ・∀・)「怒りや憎しみは“闇”を強くするよ。“影炎”」
黒い炎が、俺の肩を貫いた。
(#゚∀゚)「ぐっ……」
目の前のにやついた顔を潰してやりたい。
殺してやりたい。
( ・∀・)「いいねえ、その目」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:42:59.53 ID:jkvKWW6l0
- 焼けるような肩の痛みをこらえ、杖を振る。
( ・∀・)「その歳で高速移動か、筋もいいね」
(#゚∀゚)「なっ……」
モララーの後ろに回ったはずだった。
しかしそれより速く、奴が俺の背後を取っていた。
( ・∀・)「弟子にしてあげよっか?」
(#゚∀゚)「ふざけるなぁ!!」
剣を抜く。
それと同時に足を炎の槍が貫いた。
( ・∀・)「そっか、残念」
地面に倒れ込んだ俺の首もとに剣が突きつけられる。
( ・∀・)「じゃ、さよならだ」
剣が振り上げられる。
ちくしょう。
その瞬間、モララーの身体が宙を舞った。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:45:09.73 ID:jkvKWW6l0
- (;・∀・)「なに?!」
モララーは空中で体制を整え着地した。
明らかに気が動転している。
頬が焼けただれていた。
ノパ听)「助けにきたぞっ!!」
(;・∀・)「子供?」
ヒート?
なんでこんなとこに?
( ・∀・)「どんな魔法を使ったのか知らないけど、大人の邪魔しちゃいけないなあ」
モララーが手をかざす。
(;゚∀゚)「やめろぉ!!」
( ・∀・)「“火蜥蜴”」
炎が蜥蜴の形となり、ヒートを襲う。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:47:38.56 ID:jkvKWW6l0
- ( ・∀・)「あーあ、かわいs……!!」
ノパ听)「うおおおお!!」
(;・∀・)「ええ!?」
ノパ听)「くらえっ!」
( ・∀・)「おっと」
ヒートの蹴りをモララーが腕で防ぐ。
(;・∀・)「熱っ……」
ノパ听)「そこぉっ!!」
ヒートが腰をひねり、反対の足で蹴りを繰り出す。
速い。
前にツンが使った技だ。
(;・∀・)「あぶなっ」
モララーが身体を反らしてそれをかわす。
ノパ听)「貰ったぁ!!」
ヒートが空中で踵を振り下ろした。
それをモララーは杖で受け止め、弾き飛ばす。
ヒートはとっさに受け身をとった。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:49:49.24 ID:jkvKWW6l0
- ( ・∀・)「すごい身体能力だね。そして……」
モララーが左手で焼けただれた頬に触れた。
蹴りを防いだ右腕も火傷を負っているようだ。
モララーは彼女をじっくりと見回した。
( ・∀・)「炎の“エレメンタル”だね。連れて帰ったらハインが喜ぶかな」
ノパ听)「?」
エレメンタル?
( ・∀・)「かっこよくないから使いたくないんだけど、炎が効かないんじゃしょうがないなあ」
モララーが呪文を唱える。
杖から大量の水が吹き出し、それが大蛇のごとくヒートを襲った。
ノハ;゚听)「うおっ!?」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:51:57.47 ID:jkvKWW6l0
- (;゚∀゚)「ヒート!!」
地面に叩きつけられ、彼女は動かなくなった。
( ・∀・)「よっこらせっと」
モララーがヒートを担ぎ上げた。
(#゚∀゚)「てめえ、ヒートを!」
立ち上がろうとするが足に激痛が走る。
( ・∀・)「おっと、息子の方を忘れるところだった」
モララーが剣を左手に歩みよって来る。
その瞬間、奴の左腕を矢が射抜いた。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:54:05.95 ID:jkvKWW6l0
- (;・∀・)「痛っ……」
モララーが振り返る。
あいつらだ。
ξ;゚听)ξ「クー、ヒートに当たらないよう気をつけて!」
川 ゚ -゚)「わかってる」
さらに矢が放たれる。
それをモララーはバックステップでかわした。
(;・∀・)「援軍かあ。さすがにキツいなあ」
モララーが杖を振った。
(;'A`)「下がれ!」
( ・∀・)「“流星”」
再び轟音と光に辺りが包まれる。
目を開けると、モララーとヒートの姿は消えていた。
オークたちが慌てて逃げ帰って行く。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:56:01.14 ID:jkvKWW6l0
- ( ^ω^)「助かったお、ドクオ」
(;'A`)「防ぐので精一杯だったぜ……」
川 ゚ -゚)「逃がしたな」
ξ゚听)ξ「ヒートが……」
(#゚∀゚)「くそっ!!」
親父の首のもとへ這う。
(#゚∀゚)「くそっ! くそっ!」
親父が殺された。
ヒートがさらわれた。
全部、俺が弱かったからだ。
俺のせいだ。
悔しくて悔しくて地面を引っ掻いた。
爪が剥がれても痛みは感じなかった。
ただ悔しかった。
俺が強ければ。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 00:58:40.22 ID:jkvKWW6l0
- 〜〜〜〜〜〜
火は夜のうちに消された。
僕らは宿に戻り、ジョルジュの手当てをしていた。
( ゚∀゚)「わりいな」
( ^ω^)「気にするなお」
包帯を巻いていると、ドアをノックする音が聞こえた。
川 ゚ -゚)「ジョルジュ、客だ」
部屋の入り口に立っていたのは、昨日の昼間あったおばさんだった。
( ゚∀゚)「おばちゃん……ごめん……」
('、`*川「ジョルジュちゃんが気にすることないのよ」
( ゚∀゚)「……」
ジョルジュは黙って俯いた。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 01:00:35.37 ID:jkvKWW6l0
- ('、`*川「しかしなんであの子なんかさらって……」
( ゚∀゚)「敵は“エレメンタル”って言ってたけど、心当たりは?」
おばさんは首を振った。
全く聞いたことのない単語だ。
川 ゚ -゚)「“hin Eruo”か」
( ^ω^)「今くしゃみしたかお?」
ξ゚听)ξ「バカね。エルフ語よ。たぶん」
( ゚∀゚)「何か知ってるのか?」
川 ゚ -゚)「聞いたことはある」
( ゚∀゚)「教えてくれ」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 01:02:29.53 ID:jkvKWW6l0
- みんなの視線が彼女に集まった。
一瞬クーは面倒くさそうな表情をしたが、ジョルジュの真剣な目を見て口を開いた。
川 ゚ -゚)「生まれつき人間の範囲を超えた強力な魔力を秘めた人のことだ。共通語では“エレメンタル”っていうらしい」
( ゚∀゚)「そんな人間がいるのか」
川 ゚ -゚)「知らん。私だって祖母から聞いた話だ。ただ、千年に一人生まれるかだそうだ」
('A`)「通りで聞いたことがないわけだ」
しかし、それならおばさんが一人で身ごもったという話もなんとなくわかる気がする。
ξ゚听)ξ「珍しいからさらったのかしら」
( ゚∀゚)「十分ありえるな」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 01:04:38.58 ID:jkvKWW6l0
- ( ^ω^)「決まりだお」
僕は立ちあがった。
今、何よりもやらなくてはならないのはヒートを助けることだ。
( ^ω^)「この旅の最優先の目的はヒートの救出だお。僕の記憶は後回しだお」
川 ゚ -゚)「そうと決まったら朝にはここを出よう。急げば追いつくかもしれない」
ξ゚听)ξ「そうね」
('A`)「おまえら、世界救うの忘れてないか?」
(;^ω^)「忘れてたお」
どうやら大変な旅になりそうだ。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 01:06:33.37 ID:jkvKWW6l0
- 朝。
旅の準備も整えた僕らは村の門の前でドクオを待っていた。
ξ゚听)ξ「遅いわ。あいつは何をしてるの?」
川 ゚ -゚)「忘れ物だそうだ」
走ってくる人影が見える。
( ^ω^)「来たかお?」
川 ゚ -゚)「ジョルジュじゃないか」
ξ゚听)ξ「ジョルジュ?」
たしかにあの派手な金髪はドクオじゃない。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 01:08:42.68 ID:jkvKWW6l0
- (;゚∀゚)「はぁ、はぁ、おまえら俺を置いてくつもりだったろ!」
ξ゚听)ξ「置いてくも何も、朝起きたら居なくなってたじゃない」
( ^ω^)「来ないと思ってたお」
(;゚∀゚)「おまえらがこんなに早く出るとは思わなかったんだよ!」
( ^ω^)「ケガはもう治ったのかお?」
(;゚∀゚)「そんな早く治るわけねえだろ!」
今めっちゃ走ってたのは気のせいだろうか。
川 ゚ -゚)「どこに行ってたんだ?」
( ゚∀゚)「ちょっと、親父の墓にな」
川 ゚ -゚)「そうか」
( ゚∀゚)「いちおう実の父親だし、仇は取っとかなきゃだからな」
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/23(木) 01:10:57.25 ID:jkvKWW6l0
- ( ^ω^)「じゃ、4人揃ったことだし、出発しますかお!」
ヒートを助け、シャキンさんの仇を取って、僕の記憶を取り戻す。
そして魔王の復活を阻止する。
この旅を終えて、やっと全てが終わるんだ。
(;'A`)「おーい、俺! 俺!」
叫び声が聞こえる。
よく見たらドクオだった。
ξ゚听)ξ「すっかり忘れてたわ」
川 ゚ -゚)「覚えてたけどあえて触れないでおいた」
( ^ω^)「せっかく僕がいい感じに仕切ってたのに台無しだお」
(;'A`)「おまえらなぁ……」
( ゚∀゚)「まあ気を取り直して、出発といきますか!」
(;^ω^)「それ僕のセリフだお」
僕らは村の門を出た。
真のエンディングへの旅。
終わりの旅が、今始まった。
つづく
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