- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:39:33.98 ID:rddx8ggl0
第六話【西を目指して】
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:41:37.81 ID:rddx8ggl0
- (;´_ゝ`)「ブーンとツンが!!」
兄者が叫んだ。
目の前で仲間がワイバーンにさらわれたのだ。
しかし助ける余裕はない。
別のワイバーンがこちらに気づいたようだ。
(;゚∀゚)「あいつらならなんとかするだろ!」
今は自分たちのことで精一杯だ。
飛びかかってくるワイバーンを魔法で弾き返す。
しかし数が多すぎる。
(;´_ゝ`)「逃げ切れねえ!」
(;゚∀゚)「船の上にいるとやられる! 川に飛び込め!」
ヤツらは水が怖いはずだ。
俺と兄者は川に飛び込んだ。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:43:43.86 ID:rddx8ggl0
- 上空でワイバーンたちが鳴き声をあげながら口惜しそうに飛び回っている。
ブーンとツンをさらったワイバーンの姿はとっくに見えなくなっていた。
(;´_ゝ`)「あーあ、あいつらどうすんだよ……」
どうすんだよと言われても。
( ゚∀゚)「とりあえず川を泳いでおまえの隠れ家とやらに行くぞ」
( ´_ゝ`)「よしきた。ついてこい」
ドクオたちの安否も気になるが、今はそれしかない。
俺たちは川を泳いで兄者の隠れ家を目指した。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:46:18.98 ID:rddx8ggl0
- 〜〜〜〜〜〜
ノパ听)「外だぁぁぁぁ!!」
ヒートがドアを蹴破って叫んだ。
(´<_`;)「バカ、大声だすな!」
ここはラウンジのどこらへんだろうか。
地下牢から出たのだから、街の外れといったところか。
俺は辺りを見回した。
なんだか街の様子がおかしい。
川 ゚ -゚)「あれを見ろ」
クーさんが空を指差す。
その先を見て俺は絶句した。
何十という黒い影が街の上空を舞っている。
(´<_`;)「あれはなんだ?」
川 ゚ -゚)「ワイバーンだな」
(´<_`;)「全部?」
ワイバーンなんて聞いたことしかない。
あんな恐ろしいもの、作り話にしか出てこないと思っていた。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:48:36.71 ID:rddx8ggl0
- そのとき、背筋が凍るような鳴き声が辺りに響き渡った。
ノハ;゚听)「なんだこれぇぇぇ!!」
地面に黒い影が映る。
(´<_`;)「上!?」
頭上で一頭のワイバーンが羽ばたいている。
クーさんが看守から奪った矢を構える。
「いたぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声とともに、ワイバーンの上から何かが降ってきた。
ノハ;゚听)「うぉっ!?」
降ってきたそれはヒートに覆い被さった。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:51:31.94 ID:rddx8ggl0
- 从*゚∀从「うおー!! マジで真っ赤だな!」
それは人間だった。
腰まである長い銀髪に中性的な顔立ち。
目を輝かせてヒートの頭を撫でている。
ノパ听)「髪にさわるな!」
从*゚∀从「なあなあ、コイツだろ?」
銀髪はヒートの言葉を無視してワイバーンに向かって叫んだ。
ワイバーンが地面へと降りてくる。
その背中に乗っていたのは、見覚えのある男だった。
( ・∀・)「そうだよハイン」
从*゚∀从「いやほぉぉぉぉぉ!!」
銀髪はヒートの頬にキスをした。
ノハ;゚听)「やめろぉぉぉ!!」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:54:07.13 ID:rddx8ggl0
- 川 ゚ -゚)「ヒートを離せ」
クーさんが矢先を銀髪に向けた。
从 ゚∀从「あ? 何おまえ?」
(´<_` )「ヒート、そいつから離れろ!」
ノパ听)「了解!!」
从 ゚∀从「おっと逃がさないよー」
銀髪がヒートの口に手を当てる。
ヒートの目が虚ろになり、そのまま倒れこんだ。
从 ゚∀从「よっこらしょっと」
銀髪がヒートを抱え上げる。
それと同時にクーさんが矢を放った。
しかし、それは銀髪に届く前に黒い炎によって燃え尽きた。
( ・∀・)「危ないなあ。ヒートちゃんに当たったらどうするのさ」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 22:56:11.26 ID:rddx8ggl0
- 銀髪が飛び乗ると、ワイバーンは羽ばたき始めた。
(´<_`;)「逃げられる!」
川 ゚ -゚)「くそっ!」
( ・∀・)「君たちはこいつらと遊んでなさい」
男が角笛を吹いた。
数頭のワイバーンがこちらに飛んでくるのが見える。
( ・∀・)「じゃあねー」
男を乗せたワイバーンは飛び立ってしまった。
(´<_`;)「や、やばいすよ」
一、二、三、四頭。
四頭のワイバーンが俺たちの周りを取り囲んだ。
恐怖で思わず足がすくむ。
(´<_`;)「く、クーさ、ん……?」
体が震えて言葉もうまく喋れない。
その鳴き声を聴くだけで凍りついてしまいそうだ。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:00:04.75 ID:rddx8ggl0
- 川 ゚ -゚)「まあ落ち着け」
この状況で落ち着けるわけがない。
しかし彼女は弓を下ろした。
まさか諦めたのだろうか。
クーさんはワイバーンに近づいていく。
ワイバーンは今にも彼女の首を食いちぎらんとばかりに牙を剥き出しにしている。
(´<_`;)「クーさん!」
そのとき、不思議なことが起きた。
ワイバーンたちが彼女の周りに静かに舞い降りたのだ。
明らかにヤツらから敵意が消えていた。
同時に体の震えも止まった。
それどころか、なんだか心地良い気持ちになってきた。
彼女から目を離せなくなった。
彼女を見ているだけで幸せだった。
こんな美しいものがこの世にあるのだろうか。
いや、きっとここは天国だ。きっと……
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:02:13.69 ID:rddx8ggl0
- 川 ゚ -゚)「目を覚ませ馬鹿者」
強烈な平手打ちを喰らった。
目の前にいるのはさっきまでのクーさんだった。
(´<_`;)「あれ? あれ?」
川 ゚ -゚)「少しくらい堪えれると思ったが」
(´<_`;)「一体なにが……?」
四頭のワイバーンはみな大人しく彼女を見つめていた。
川 ゚ -゚)「“誘惑呪文”だ。弱い心の持ち主ほど簡単に堕ちる」
要するに俺は誘惑されていたわけか。
なんだか情けなくなってきた。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:04:58.53 ID:rddx8ggl0
- クーは一頭のワイバーンに近づいた。
川 ゚ -゚)「こいつだな」
(´<_` )「何がですか?」
川 ゚ -゚)「一番元気がいい」
(´<_` )「え?」
川 ゚ -゚)「追うぞ」
(´<_`;)「えええ!?」
クーさんは有無を言わさず俺を持ち上げ、ワイバーンに乗せた。
とても女性とは思えない腕力だ。
そして彼女は俺の前に飛び乗る。
(´<_`;)「ちょっと待っt」
川 ゚ -゚)「どぅ!」
例の鳴き声に思わず耳を塞いだのが間違いだった。
次の瞬間、ワイバーンは物凄い勢いで飛び立っていた。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:06:52.21 ID:rddx8ggl0
- (´<_`;)「うおおおおっ!!」
掴む場所がない。
とっさにクーさんの腰に腕を回した。
川 ゚ -゚)「落ちるなよ」
あ、意外とこれ良い感じかも。
そんなことを考えながら下を見る。
ああ、地面があんなにも遠い。
川 ゚ -゚)「さっきのヤツらを追えるか?」
ワイバーンが鳴き声をあげる。
頼むからおまえは口を開かないでくれ。
さらに速度が上がった。
川 ゚ -゚)「よしよし良い子だ」
(´<_` )「言葉がわかるんですか?」
川 ゚ -゚)「わからん」
(´<_`;)「ですよねー」
というかなんで俺まで着いてきてしまったんだ。
あいつらを追いかけるとかどう考えても無茶だろう。
そうこう考えているうちにラウンジは見えなくなっていた。
諦めるしかないようだ。
俺はため息をついた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:09:22.12 ID:rddx8ggl0
- 〜〜〜〜〜〜
隠れ家と言っても本当にただの地下水路だった。
それを少し住めるように改造してあるだけだった。
そしてそこには既に先客がいた。
('A`)「お、無事だったか」
( ^Д^)「あ、兄者さん。お邪魔してまーす」
(#´_ゝ`)「てめーら何他人の家でくつろいでんだよ!」
( ゚∀゚)「おまえここに住んでんのか」
(#´_ゝ`)「文句あんなら出てけ!」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:11:09.19 ID:rddx8ggl0
- ('A`)「ん? ブーンとツンは?」
ドクオが俺らを見回して言った。
俺も兄者も言葉を詰まらせた。
(;゚∀゚)「あー、それがだな」
(;´_ゝ`)「まあいろいろあってだな」
(;゚∀゚)「ワイバーンがこう、ゴオッと飛んできてだな」
(;´_ゝ`)「二人をさらっていってだな」
(;゚∀゚)「見えなくなってしまったんだな」
ドクオもプギャーも絶句していた。
( ゚∀゚)「まあ一番辛いのは俺たちだよな」
( ´_ゝ`)「仲間を目の前で二人も失った辛さがおまえらにわかるかっ!」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:13:20.43 ID:rddx8ggl0
- (;'A`)「何開き直ってんだよ! 一大事じゃねえか!」
ドクオが机を叩いた。
( ゚∀゚)「いやいや、俺たちも自分の身で精一杯でよ」
( ´_ゝ`)「まああいつらなら自分たちで何とかするだろ、という結論に達したわけだ」
ドクオは頭を抱えてベッドに崩れた。
プギャーが四人分のお茶を注いで持ってきた。
( ´_ゝ`)「弟者もクーも助け出せなかったし、作戦大失敗だな!」
兄者が舌を出して笑ってみせた。
ぶん殴ろうかと思ったが遠かったのでやめた。
('A`)「そうだ、そのことなんだ」
急にドクオがベッドから身を起こし、話し始めた。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:15:44.54 ID:rddx8ggl0
- ( ゚∀゚)「……要するに、クーたちは無事ってことか?」
('A`)「ああ。嘘をついてるようには見えなかった」
ただ、この街にいるかぎり安全というわけではないだろう。
まあクーがいれば心配はないと思うが。
しかしまたしても厄介なことになった。
( ゚∀゚)「ヤツらは俺たちに罪を着せるためにワイバーンの群れを放したってわけかよ」
('A`)「明日にはもう世界中に広まってるよ」
勇者のパーティーも、もはや世界の滅亡を企む悪の集団か。
俺はため息をついた。
('A`)「とりあえずワイバーンが去ったらクーたちを探すか」
( ゚∀゚)「だな」
朝になればワイバーンたちもいなくなるだろう。
それまでにあいつらが食われてなければいいが。
ブーンたちのことはどうしようもないな。
まずニュー速に向かうことは決まっていたし、生きていればそのうち会えるだろう。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:17:21.30 ID:rddx8ggl0
- 翌朝。
もうワイバーンの不快な鳴き声は聴こえなくなっていた。
しかし街は酷い有り様だった。
建物は破壊され尽くされ、いたるところに死体が転がっている。
(;´_ゝ`)「あいつら本当に生きてんのか?」
( ゚∀゚)「死んでるとしたら見つけんのは無理だな」
俺は上半身が食いちぎられた死体を見ながら言った。
服装からかろうじて男だとわかる。
('A`)「とりあえず手分けして探すか」
( ´_ゝ`)「よしきた」
( ^Д^)「俺、そのクーって人見たことないっすよ」
( ´_ゝ`)「それくらい勘で探せ」
(;^Д^)「はぁ……」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:19:26.10 ID:rddx8ggl0
- しかしいくら探してもなんの手掛かりも見つからない。
街の人々にも聞いたが、たいした情報は得られなかった。
みんな逃げるのに精一杯で他を見ている余裕などなかったのだろう。
( ゚∀゚)「あーあ、こりゃマジで死んじまったのかなぁ」
俺はため息をつきながら壁に寄りかかった。
すると、そばにいた子供たちの会話が耳に入ってきた。
「マジだって! 犯人見たんだって!」
「嘘つけー!」
「犯人って勇者だろ?」
「ちげえよ! すっげえ美人の姉ちゃんと冴えない顔の兄ちゃんがワイバーンに乗るの見たんだよ!」
「ワイバーンに?」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:21:20.76 ID:rddx8ggl0
- 俺は子供たちの元に駆け寄った。
( ゚∀゚)「おいガキども」
「うわっ、なんだよおまえ!」
( ゚∀゚)「その女はどんな見た目だった?」
「えっと……物凄い美人だった!」
( ゚∀゚)「あー、だから髪とか外見とかだよ」
「髪は黒くて長かったな。あと弓矢を持ってた!」
弓矢を持った黒髪ロングの美人。
十中八九クーだろう。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:23:48.87 ID:rddx8ggl0
- ( ゚∀゚)「で、そいつらはワイバーンに乗ってどうしたんだ?」
「飛んでった!」
それじゃあわかんないだろ。
これだからガキは。
( ゚∀゚)「どっちに?」
「あっちに!」
子供は南西を指差した。
ニュー速の方角だ。
( ゚∀゚)「よし。ありがとよ、ガキども」
子供に金貨を一枚やると目を大きくして喜んだ。
やはり子供の笑顔はいいものだ。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:25:59.88 ID:rddx8ggl0
- 俺たちは昨日ブーンたちがいた店に集まった。
ただし天井は崩れてしまっていて、空が見える。
当然のことだが、店員も客もいない。
俺は瓦礫に腰掛けた。
('A`)「なんか手掛かりはあったか?」
( ´_ゝ`)「なんも」
ドクオはため息をついた。
('A`)「ジョルジュはどうだ?」
待ってましたと言わんばかりに立ち上がる。
( ゚∀゚)「クーたちの行き先がわかったぞ」
('A`)「ほんとか?」
ドクオの顔が明るくなった。
俺は話を続ける。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:28:22.34 ID:rddx8ggl0
- ( ゚∀゚)「ワイバーンに乗って西に向かったっていう目撃情報がある」
( ´_ゝ`)「ワイバーンに乗って?」
( ゚∀゚)「ああ。おそらく……」
( ^Д^)「はいはいはい!」
プギャーが俺を遮って手を挙げた。
( ゚∀゚)「なんだようるせえな」
( ^Д^)「俺も人が乗ったワイバーンの情報手に入れましたよ!」
だから俺が今話してんだろうが。
俺はプギャーを睨んだ。
プギャーはそれを無視して続けた。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:30:31.43 ID:rddx8ggl0
- ( ^Д^)「でも俺が聞いたのは髪の真っ赤な子供を抱えた二人なんですよ」
( ゚∀゚)「なんだと?」
( ^Д^)「だから、髪の赤い女の子を抱えた銀髪の女が乗ってたらしいんですよ」
( ´_ゝ`)「やけに派手な組み合わせだな」
('A`)「ジョルジュ」
( ゚∀゚)「ああ」
ヒートだ。
まさかこの街にいたのか?
( ^Д^)「西に向かったみたいですけど」
('A`)「西……オカルト山脈を越えるとニュー速だな」
( ゚∀゚)「クーと弟者もそこに向かってるってわけだな」
(;´_ゝ`)「ニュー速!?」
兄者が驚いて声をあげた。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:32:55.81 ID:rddx8ggl0
- (;´_ゝ`)「おいおいちょっと待て。弟者もニュー速に向かったのか?」
( ゚∀゚)「クーと一緒にいた冴えない顔の兄ちゃんっていうのはおまえの弟だろ」
兄者は明らかに動揺していたが無理もない。
ニュー速には第二の魔王城と呼ばれたニュー速城がある。
今でも魔王軍の残党がたくさんいるだろう。
('A`)「クーたちはヒートを追ったのかな」
( ゚∀゚)「だろうな」
(;´_ゝ`)「ちょっとタンマ。ヒートって誰だ?」
( ゚∀゚)「魔王の手下にさらわれたガキだ。俺たちはそいつを助けるために旅してる」
(;´_ゝ`)「で、なんで弟者はそれについてったんだ?」
( ゚∀゚)「知るかよんなもん」
兄者はへなへなとその場に座り込んで頭を抱えた。
(;´_ゝ`)「なんでこんなことに……」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:34:38.49 ID:rddx8ggl0
- ('A`)「そうとわかったら準備をして明るいうちに出発しよう」
( ゚∀゚)「だな」
俺は茫然自失している兄者の肩を叩いた。
( ゚∀゚)「心配すんな。ついでにおまえの弟も助けてきてやんよ」
兄者は返事をせず空を見つめていた。
(;^Д^)「ニュー速に向かうんですか?」
( ゚∀゚)「ああ」
プギャーも信じられないという顔をしている。
('A`)「じゃあ、俺らは行くから」
(;^Д^)「は、はあ。お気をつけて」
俺たちは呆然としている二人を置いて店を出た。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:38:19.20 ID:rddx8ggl0
- ( ゚∀゚)「あいつら、ニュー速に行くのは自殺行為だとでも言いたそうだったな」
('A`)「俺もそう思うけどな」
ドクオが笑ってみせた。
('A`)「それにしても食料買う店がないな」
通りをいくら歩いてもやっている店など無かった。
それもそうだろう。
ワイバーンに襲われた後なのだから。
( ゚∀゚)「店員もいねえし、盗っててもいいんじゃね?」
俺の提案にドクオは少し考えた様子だった。
('A`)「ま、いっか」
( ゚∀゚)「そう来なくちゃな」
手頃な店を見つけ、肉や野菜もやらを少し頂いた。
それに、日持ちしそうなクラムも頂戴した。
( ゚∀゚)「これくらいありゃ十分だな」
('A`)「さすがにレンバスはないか」
ドクオが残念そうに呟いた。
('A`)「昔、旅のエルフに貰ったんだ。あれは美味かったなあ」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:40:02.13 ID:rddx8ggl0
- 街の門は開きっぱなしだった。
門番は見当たらない。
その代わりにあの二人がいた。
('A`)「あいつらじゃん」
兄者とプギャーだ。
二人とも旅用の装備を身に着けていた。
プギャーは大きな荷物を背負っている。
( ゚∀゚)「よう。どっか旅行か?」
俺が茶化したが兄者はそれを無視した。
いつもと違って真面目なようだ。
( ´_ゝ`)「俺たちもニュー速へ行く」
本気かどうかは彼の目を見れば明らかだった。
ただしプギャーは兄者の言葉に驚きを隠せないようだった。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:42:02.43 ID:rddx8ggl0
- (;^Д^)「あのー」
('A`)「危険だぞ?」
( ´_ゝ`)「分かってる」
(;^Д^)「俺、隣街に引っ越すから準備しろって言われただけなんスけどー」
( ゚∀゚)「自分の身は自分で守れよ?」
( ´_ゝ`)「当然さ」
兄者は腰に差した剣を抜いて見せた。
オリハルコン製。
そうとう値の張る代物のはずだ。
どうせ盗品だろう。
('A`)「ま、二人より四人の方がいいだろうし」
(;^Д^)「もしもーし」
( ゚∀゚)「よおし、目指すは西のニュー速!」
( ´_ゝ`)「なにしてんだプギャー。早く行くぞ」
( ^Д^)「……」
こうして俺たち四人はラウンジを出発した。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:43:41.28 ID:rddx8ggl0
- 〜〜〜〜〜〜
川 ゚ -゚)「おい」
振り返ったクーさんの横顔を月明かりが微かに照らす。
半分寝かけていた俺はその声で目を覚ました。
こんなとこで寝たら地面へ真っ逆さまだっただろう。
(´<_` )「なんですか?」
川 ゚ -゚)「こいつの名前、どうする」
クーさんはワイバーンを指差した。
またこの人は変なことを言い出して。
ワイバーンはワイバーンでいいじゃないか。
しかし彼女の目は真剣だった。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:45:37.87 ID:rddx8ggl0
- (´<_` )「んー、ワイ子とか」
川 ゚ -゚)「雄だぞ」
(´<_` )「じゃあワイ太郎で」
川 ゚ -゚)「安易すぎる」
(´<_` )「じゃあクーさんも何か挙げてくださいよ」
川 ゚ -゚)「ワイ・バーン太郎」
(´<_` )「長いですね」
川 ゚ -゚)「略してバンタ」
ワイバーンが久しぶりに鳴き声をあげた。
今ので一気に眠気が吹き飛んだ。
川 ゚ -゚)「気に入ったみたいだぞ」
(´<_`;)「そんな好意的な鳴き声には聞こえませんでしたけど」
川 ゚ -゚)「よし、おまえの名前は今日から“バンタ”だ」
“バンタ”が嬉しそうに(?)鳴き声をあげた。
頼むから彼に話しかけないでほしい。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:47:32.01 ID:rddx8ggl0
- (´<_` )「ん?」
遠くに灯りが見える。
(´<_` )「クーさん、あれ村じゃないですか?」
しかしクーさんからは返事がない。
(´<_` )「クーさん?」
俺はもう一度クーさんに声をかけた。
彼女の身体がゆっくりと傾く。
そして、落ちた。
(´<_`;)「おい、バンタ! 助けろ!」
バンタが急降下し、彼女の下に入り込む。
俺は彼女の体をそっとキャッチした。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:49:11.51 ID:rddx8ggl0
- (´<_`;)「クーさん! 大丈夫ですか!」
川 ゚ -゚)「うぅ……」
明らかに顔色が悪い。
川 ゚ -゚)「腹が……」
(´<_`;)「腹がどうしたんですか? 痛むんですか?」
川 ゚ -゚)「減った」
(´<_`;)「……」
そんなこと言われても、食糧など何も持っていない。
もうすぐ村に着くだろうし、そこで調達するしかない。
(´<_` )「後もう少し我慢してくださいね」
川 ゚ -゚)「ああ」
意識を失いかけるほど腹が減るって、この人どんだけ物食ってないんだ。
(´<_` )「バンタ、急いでやってくれ」
バンタが返事をした。
俺は話しかけたことを後悔した。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:50:54.71 ID:rddx8ggl0
- それからしばらくして村についた。
バンタは人目につかないよう近くの森の中で待っていてもらうことにした。
(´<_` )「クーさん、村ですよ」
川 ゚ -゚)「ん? 飯か?」
(´<_` )「いや、村です。歩けますか?」
川 ゚ -゚)「ああ、大丈夫だ」
大丈夫とか言ったそばから彼女は地面に崩れた。
仕方がないので俺が負ぶってやることにした。
川 ゚ -゚)「すまないな」
(´<_` )「いえいえ」
背中に当たる柔らかい感触に満足しながら村の門をくぐった。
静かで良い雰囲気の村だ。
まあ深夜だから静かなのも当たり前だが。
そびえ立つオカルト山脈が月に照らされ、また美しい。
標高も少し高いからだろう。
空気が澄んでいる。
しかしこんな夜中に飯屋がやっているのだろうか。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:52:20.02 ID:rddx8ggl0
- 川 ゚ -゚)「ん」
クーが指差す先には灯りのついた店があった。
(´<_` )「やってるんですかね」
川 ゚ -゚)「ん」
クーさんが看板を指差した。
“バーボンハウス 旅人歓迎”と書いてあるのが読める。
さらにその扉には“営業中”と書かれた板が立てかけてある。
川 ゚ -゚)「ん」
また彼女が店の中を指差す。
入れという意味だろうか。
余計なエネルギーを消費しないようにしているのだろう。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:54:15.89 ID:rddx8ggl0
- (´<_` )「ごめんくださーい」
戸を押すと鈴の音が鳴る。
店内は見た感じ酒場みたいな雰囲気だ。
俺たちの他に客は見当たらない。
(´・ω・`)「やあ」
カウンターの奥から店主らしき男が出てきた。
歳は40代といったところか。
“しょぼくれた”という表現がこんなに合う人間は初めて見た。
(´・ω・`)「ようこそバーボンハウスへ」
店主はグラスを二杯出した。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:55:47.17 ID:rddx8ggl0
- (´・ω・`)「このテキーラはサービスだから……と言いたいところなんだけど」
しかし中身はどう見ても水だ。
(´・ω・`)「昼間にすごい数の客が来てね、全員にサービスしたから今切らしてるんだ」
店主が申し訳なさそうに言った。
(´・ω・`)「じゃあ、注文を聞こうか」
(´<_` )「彼女が腹を空かして今にも死にそうなんです。なんでもいいから食べ物をください」
店主は俺の横の席でぐったりしているクーさんをちらりと見た。
(´・ω・`)「そりゃ大変だ。すぐに用意するよ」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:57:29.35 ID:rddx8ggl0
- (´<_`;)「……」
(;´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「ふぅ、ごちそうさま」
五人前の料理を一瞬で平らげてしまった。
いったいこの細い体のどこにあの量の飯が入ったんだ。
川 ゚ -゚)「ここんとこずっと飲まず食わずだったからな」
クーさんはそう言って水を飲み干した。
まあ元気になってなによりだ。
(´・ω・`)「お客さん、旅の人?」
(´<_` )「まあそんな感じです」
店主、ショボンさんと言うらしいが、ショボンさんは俺たちの服装を見た。
(´・ω・`)「とてもそうには見えないね」
まあそりゃそうだろう。
旅の道具も装備も何もないのだから。
あるのはクーさんが背負った弓矢だけだ。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/17(日) 23:59:17.21 ID:rddx8ggl0
- (´・ω・`)「どこから来たんだい?」
(´<_` )「ラウンジです」
(´・ω・`)「ラウンジか。その格好でよく来れたね。あの辺の魔物は強いからね」
(´<_` )「はぁ」
ワイバーンに乗って飛んできましただなんて言えないな。
(´・ω・`)「これからどこへ向かうんだい? まさかオカルト山脈とか?」
(´<_` )「まあそんな感じです」
もちろんワイバーンに乗ってだが。
ショボンさんは呆れたような顔をした。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:01:15.55 ID:5IDsrgrn0
- (´・ω・`)「そんな装備じゃ絶対無理だよ。ウチで揃えていきなさい」
(´<_` )「ウチで?」
川 ゚ -゚)「知らないのか? バーボンハウスは世界各地に展開する旅人用の店だぞ」
(´<_` )「知ってるんですか?」
川 ゚ -゚)「うむ。会員証も持ってるぞ」
そう言ってクーさんはポケットを探った。
川 ゚ -゚)「あれ?」
(´<_` )「どうしたんですか?」
川 ゚ -゚)「財布がない」
(´<_` )「……」
(´・ω・`)「……」
もしかして牢屋に入れられたときに財布も取られたんじゃ。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:02:56.27 ID:5IDsrgrn0
- (´<_` )「じゃあちょっとここで失礼しますね」
川 ゚ -゚)「先を急いでるからな」
(´・ω・`)「待てやコラ」
帰ろうとした俺たちをショボンさんが捕まえた。
“さりげなく食い逃げ作戦”は失敗に終わった。
(´・ω・`)「お金無いの?」
川 ゚ -゚)「いや、本当はあるはずだったんだ。それもかなり」
確かにあの財布の中身はほとんど金貨だった。
川 ゚ -゚)「しかしこいつに盗まれてだな」
(´<_`;)「違うでしょ! 牢屋に入ったときに取られたんですよ!」
川 ゚ -゚)「む。そうだったか」
(´・ω・`)「呆れた。おまけに前科者ってわけか」
ショボンさんは声をあげて笑った。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:04:57.79 ID:5IDsrgrn0
- (´・ω・`)「まあ商売がら、金のない客はよくみるけどね」
川 ゚ -゚)「タダにしてくれるのか?」
(´・ω・`)「最後まで話を聞きなさい」
ショボンさんは何枚かの紙を取り出した。
手配書だ。
(´・ω・`)「うちはギルドにも加盟しててね。金のない旅人にこういう仕事も紹介してるんだ」
(´<_` )「これで金を払えってわけですか?」
(´・ω・`)「そーゆーこと」
俺は手配書に目を通した。
魔物退治から貴重な鉱石の採掘、犯罪者の逮捕。
どれも大変そうなものばかりだ。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:06:25.24 ID:5IDsrgrn0
- 川 ゚ -゚)「じゃあこの一番金額が高いのにしようか」
クーさんが壁に貼ってあった新しい手配書を取った。
(´・ω・`)「正気かい?」
川 ゚ -゚)「ああ。この十億っていうのは全員で十億か?」
(´・ω・`)「そうだけど」
川 ゚ -゚)「じゃあ一人二億だな」
一体なんの話をしているんだ。
クーさんは手配書を机に広げた。
“勇者及びその一味四名”と書いてある。
勇者の一味ってまさか。
川 ゚ -゚)「私がその一人だ」
(´・ω・`)「……」
ショボンさんの目つきが変わった。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:08:40.14 ID:5IDsrgrn0
- 川 ゚ -゚)「こいつに二億くれてやってくれ」
(´<_`;)「クーさん?」
川 ゚ -゚)「弟者、おまえはその二億で装備を買って待ってろ」
(´<_`;)「クーさんは?」
川 ゚ -゚)「すぐに戻る」
すぐに戻るって。
一度ギルドに彼女を引き渡さなきゃ懸賞金は貰えない。
そのあとに自力で逃げるのは不可能に近い。
(´<_`;)「無理ですよ」
川 ゚ -゚)「なんとかする」
(´・ω・`)「逃げれる自信があるのかい?」
川 ゚ -゚)「まあな」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:10:12.46 ID:5IDsrgrn0
- (´・ω・`)「はっはっは! これは参った!」
ショボンさんが腹を抱えて笑った。
(´・ω・`)「弓使いのクー?」
川 ゚ -゚)「そうだが」
一瞬。
俺にはショボンさんがナイフを投げたのすら目で追えなかった。
しかしクーさんはそれを片手でキャッチしていた。
驚異的な反射神経だ。
(´・ω・`)「本物みたいだね」
ショボンさんはテーブルの上の手配書をしまった。
(´・ω・`)「タダでいいよ」
(´<_` )「え?」
今、タダって言った?
(´・ω・`)「旅の装備もタダで譲るよ」
(´<_`;)「ええ?」
ショボンさんは俺たちに微笑みかけた。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:11:39.95 ID:5IDsrgrn0
- (´・ω・`)「まさかこんなところで勇者のパーティーと会えるなんてね」
ショボンさんは微笑みながら俺たちを店の奥へと招いた。
(´・ω・`)「世間ではいろいろ言われてるけど、僕は勇者を信じてるよ」
ショボンさんが扉の鍵を開ける。
立派な倉庫だ。
(´・ω・`)「好きに持ってっていいよ」
(´<_` )「本当ですか?」
そばにあった帷子を手に取った。
まるで羽根のように軽い。
(´・ω・`)「さっき面白いやり取りも見せてもらったしね。まさか自分の懸賞金を貰おうだなんて」
川 ゚ -゚)「それが一番早いし儲かると思った」
クーさんが弓を品定めしながら答えた。
川 ゚ -゚)「これにしよう」
(´・ω・`)「さすがお目が高いね。黄金の森のエルフの弓だよ」
そういえばこの人はエルフの血が流れているんだっけか。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:13:17.88 ID:5IDsrgrn0
- (´<_` )「ほんと何から何まですいませんでした」
(´・ω・`)「もう出発するのかい? 一晩泊まっていったら?」
バーボンハウスの二階は宿になっているらしい。
さすが旅人のための店だけある。
俺は今夜ぐらい泊まってもいいと思ったが、クーさんはそれを認めなかった。
川 ゚ -゚)「ヒートを一刻も早く助け出さなくては」
(´<_` )「ですよねー」
(´・ω・`)「じゃあ気をつけて。勇者さんによろしく言っといてね」
俺たちはショボンさんに見送られて店を出た。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:15:10.06 ID:5IDsrgrn0
- (´<_` )「良い人でしたね」
川 ゚ -゚)「うむ」
食糧まで少し分けて貰えた。
少し重くなっただろうが、ワイバーンにはそれくらいなんてことないだろう。
クーさんは新しい弓を眺めている。
早く使ってみたくて仕方がないようだ。
(´<_` )「眠いですね」
俺は欠伸をしながらバンタに跨った。
川 ゚ -゚)「寝てもいいぞ」
(´<_` )「落ちちゃうでしょ」
クーさんが踵でバンタを蹴った。
再び夜の大空へと飛び立つ。
バンタの鳴き声にも少し慣れてきた。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:18:27.85 ID:5IDsrgrn0
- (´<_` )「このままオカルト山脈を越えるんですか?」
川 ゚ -゚)「そうだ」
俺はふと疑問に思った。
ヒートは一体どこに連れて行かれたんだろう。
クーさんは行き先を知っているのだろうか。
(´<_` )「あのー」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
(´<_` )「俺たち、どこへ向かってるんですか?」
川 ゚ -゚)「ニュー速だ」
風の音のせいで聞き間違えたのだろうか。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:20:15.07 ID:5IDsrgrn0
- (´<_`;)「もっかい言ってもらえますか?」
川 ゚ -゚)「ニュー速だ」
(´<_`;)「ニュー速ってあのニュー速ですか?」
(´<_`;)「あの魔王軍占領地域のニュー速ですか?」
川 ゚ -゚)「そうだ」
とても冗談を言ってるようには見えない。
まさか本当にニュー速に向かっているのか?
あそこには何万ものオークがいるんじゃないのか?
マジであそこに行くのか?
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/05/18(月) 00:21:55.86 ID:5IDsrgrn0
- (´<_`;)「まさか一人で乗り込むんですか?」
川 ゚ -゚)「二人と一頭だ」
当然俺も含まれているようだ。
(´<_`;)「引き返しませんか?」
川 ゚ -゚)「ダメだ」
(´<_`;)「せめて俺だけでも」
川 ゚ -゚)「ダメだ」
俺はため息をついた。
そういえばこの人は勇者のパーティーだ。
何万もの魔王軍と戦ってもおかしくない人だ。
それに俺は付いて来てしまったというわけか。
なんだかとんでもないことに巻き込まれたのかもしれない。
つづく
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