(  )人間の証明をするようです

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:23:58.90 ID:UgG585nG0






その三
 『電波を受信しました』







79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:25:28.97 ID:UgG585nG0


 始めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。


( ^ω^)「光あれ」


 こうして、光があった。神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。第一の日である。
 神は言われた。


( ^ω^)「水の中に大空あれ。水と水を分けよ」


 神は大空を造り、大空の下と大空の下に水を分けさせられた。そのようになった。神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。
 神は言われた



                           た。



( ^ω^)「腹減ったお」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:28:38.83 ID:UgG585nG0







 神様は変な人らしい。そして嘘を吐かないらしい。
 だから、その人に『神様ですか?』と問い、『そうですよ』と言って貰えればそれで万事解決なのだ。
 そんな感じで、杉浦の部屋に集まった方々はうだうだと悩んでいた。


 手当たり次第に声をかけるにはこの街には人が多すぎる。

 世間一般で言う『変な人』に的を絞らなくてはならないのだ。


lw´‐ _‐ノv「変な人かー、変な人ね。変な人変な人変な人」


 シューが変な人を連呼している。

 変な人だ、と杉浦は思った。


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:33:08.92 ID:UgG585nG0


lw´‐ _‐ノv「フくん、居るかい? 変な人て」

ミ,,゚Д゚彡「そっすねー、変な人変な人変な人」

lw´‐ _‐ノv「変な人ねー」


 お前等が変な人だと言いたい。
 というかフサギコのふさからとってフさんなのに其れを君にしたらお前。

 変な人達が部屋に集まっているという状況に杉浦は泣きたくなった。
 ちらと傍らに立っているミセリに目をやる。


ミセ*゚ -゚)o「……ふぁいと」


 この少女がアパートに来て早一週間。毎日一つ屋根の下をしていれば、流石に親密度も上がるというものだ。

 ついでに時を同じくして入居した内藤青年とも殆ど同年代ということもあってか、中々に打ち解けていた。
 そういう過程とかは描写するのが面倒なので地の文の権力を行使して省かせていただく。


85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:37:36.42 ID:UgG585nG0


ミ,,゚Д゚彡「変な人ぉおおおお」

   !
ミ,,゚Д゚彡

 変な人が唸り、唐突にぱふっと柏手を打った。
 ぴっこーんとばかりに頭上で電球が光った、気がする。


 そして、


ミ,,゚Д゚彡「そうだ! 大学行こう!」

lw´‐ _‐ノv「逃げる気か貴様」


 どぐしゃ、と吹っ飛んできたテレビに潰された。
 フサギコは悲鳴もあげずに床に倒れ込み、代わりと言わんばかりにテレビがけたたましい音を吐き出して床に落ちる。


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:42:27.10 ID:UgG585nG0
 ああ我輩ん家のテレビ……、と少しだけ杉浦は眉をしかめる。
 一応心優しいミセリはテレビの下を覗き込んでいた。床が凹んでいないか気になったらしい。
 心優しいという形容詞は破棄しよう。


 ブラウン管テレビアタックをもろに食らったフサギコは、数瞬死んだゴ○ブリの如く痙攣していたが、おもむろに口を開き、


ミ,,゚Д;彡「……ごふ」


 血を吐いた。
 どうやら口の中を切ったようだ。


ミ,,゚Д゚彡「違うもん……大学に……大学に居る教授が変な人だから……その人がもしかしたらって……」


 うぜぇと杉浦は思った。


( ФωФ)「はいはい泣かないである」

ミ,,゚Д゚彡「いだい……」

(-@∀@)「良く投げれるねぇこんな重いブラウン管テレビ」

lw´‐ _‐ノv「そりゃあまぁ淑女の嗜みっすよ」

(-@∀@)「嫌な淑女だなぁ……」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:46:58.32 ID:UgG585nG0


 向こうではシュールと朝日がテレビ台にテレビを直している。ふざけすぎの後の後片付けだった。
 ミセリは体育座りで部屋の端っこに居る。
 しかし一応ヒロインのこの幼女、やる気がないにも程があった。


(-@∀@)「しかしあれだね……大学教授が変人とは、世も末だね」


 はたはた、と埃のついた手を払うと、日の光に照らされてきらきらと光った。
 朝日はそう言うが、世間一般では割と変な教授って結構居る。
 が、それを知らない杉浦はそうですねと相槌を打った。向こうではシュールがミセリに蜜柑の皮を押付けられてショックを受けている。


(-@∀@)「さて、で、大学に行くのかい、杉浦くん」

( ФωФ)「ん? ああ、はい。まぁ」


 折角フサギコが提案してくれたのだから、と杉浦は頷く。
 其処には母の日の子供が作ってくれたあまり良い出来ではないカレーライスを笑顔で頬張る母の愛があった。
 うんうん、と朝日は頷く。


(-@∀@)「よし、じゃあ僕は家で寝てるから」

( ФωФ)「はい?」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:48:56.79 ID:UgG585nG0
ミ,,゚Д゚彡「……しかし展開早いな」

ミセ*゚ -゚)リ「……あきしょう?」

lw´‐ _‐ノv「早くフルメンバー揃えないと話が進まないんだぜ」

ミ,,゚Д゚彡「まじすか」


 何だかあれな会話をしている方々を後目に、朝日は野暮ったい眼鏡を外してしぱしぱと瞬きをした。
 ふう、とアンニュイな溜息を吐いて、肩を竦める。


( ・∀・)「杉浦君……締め切りって言葉、知ってるかい?」

( ФωФ)「え? ああ、はい、確か朝日さんを殺しに来る諸悪の根源であろう?」

ミ,,゚Д゚彡「え?」

( ・∀・)「うん、それ、うちに来るから」

ミ,,゚Д゚彡「えぇ?! だ、騙されてる! 騙されてるぞ杉浦くん!」

(; ФωФ)「な、なんと」

( ・∀・)「僕はそいつを迎撃せねばならない! 家は必ずや僕が守る! だから君たちは行け!!」

ミ,,゚Д゚彡「駄目だこの人!!」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:54:21.19 ID:UgG585nG0


(; ФωФ)「ひ、一人で大丈夫なんであるか?! なんなら我輩も手伝いますよ?!」

( ・∀・)「いや、良いんだ……奴と戦い、傷つくのは僕一人で十分なんだ……!!」

ミ,,゚Д゚彡「駄目だ! 両方とも駄目だ!!」











 ゆとり大学、通称ゆ大は広い敷地と歴史ある建造物を保有する、国内でも有数の大学である。
 フサギコに連れられて入った教室も、広々としていて年季が篭っており、それでいて清潔な印象を持つ。
 分野によっては虚勢でも無く本当に国内でもトップクラスの成績を上げていて、一応一流校で通っている。

 とするとそこに通うフサギコも、実は頭が良かったりするのかなぁなどと思いながら杉浦は、


91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 16:58:13.42 ID:UgG585nG0


川 ゚ -゚)「死にたい」

ミ*゚Д゚彡「鬱田教授ぅぅぅううううう!!!」

川 ゚ -゚)「うざい」

ミ*゚Д゚彡「今日もお綺麗ですねああん髪の毛さらさらー! お目目ぱっちりー!」

川 ゚ -゚)「死ねばいいのに」


( ФωФ)「……」

ミセ*゚ -゚)リ「……」


 めっちゃ引いていた。


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:02:03.70 ID:UgG585nG0


ミ*゚Д゚彡「いいじゃないですかどうせ中身は男同士なんですからぁああ」

川 ゚ -゚)「中身も外見も女だ愚か者め。死ね。爆発して死ね。四散しろ」


 大学まで三十分ほど歩き、ミセリがへたった為負ぶった杉浦をとある教室に招き入れたフサギコは、
中に居た人間を見るなり目にも止まらぬ早さで彼女に抱きついた。

 抱きつかれた女性は物凄い勢いでカウンターパンチを放つ。
 その反動で飛んできたフサギコを、避けるわけにも行かずに杉浦は突き飛ばすようにして迎撃した。


ミ*゚Д(#彡「ぅげふぅうっ!」


 杉浦におぶられたミセリだけが病気になった野良犬を見るような目で見下ろしていた。
 哀れなフサギコくんだった。


川 ゚ -゚)「……こいつ本当死ねばいいのに」


 忌々しげにフサギコを蹴り飛ばす女性は性別の割に身長が高く、すらりとしたシルエットをしている。


川 ゚ -゚)「……で、お前らは何だ?」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:05:35.25 ID:UgG585nG0


 パーカーにジャージという、一歩間違えずとも学生にしか見えない格好の見目麗しい女性になんとも言えない気分になりながら、
杉浦は背負ったミセリが落ちないように頭を下げた。
 フサギコは数分前に女性が放ったアッパーカットによってノックダウンされている。


( ФωФ)「杉浦と言うのである。こっちはミセリ。こいつの家を探す為、神様を探しているのである」

ミセ*゚ -゚)リ「……」

( ФωФ)「それで、そこのフさんがあなたを神様かもしれないと言ったから、来て見たんであるよ」

川 ゚ -゚)「ふーん」

( ФωФ)「あなた、神様か? ミセリを家に帰してやってほしいんだけど」


 言われて、女性はぱちくりと瞬いて頬を掻き、



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:09:48.65 ID:UgG585nG0








川 ゚ -゚)「私は神様じゃない。魔法使いだ」








 尊大なまでの態度でそう言った。

 魔法使い。
 随分昔に絶滅したとされる種族だった。
 神様だっているこの世界だが、魔法使いというのは中々お目にかかれない。


98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:14:27.92 ID:UgG585nG0
ミセ*゚ -゚)リ「……でんぱ? ですか」

( ФωФ)「違うぞミセリ、そういう事は言っちゃ駄目だ。こういう方々はそっとしておくのが一番いいのである」

ミ*゚Д(#彡「電波でも美人なら良いですよ鬱田教授ぅううう!! 俺は厨二病でも女装でも構いませんんんん!! 俺は鬱田教授(女)のみを愛しますぅうう!!」

川#゚ -゚)「もうフサギコお前ちょっと黙れよ話しが進まないだろうが。というか女装癖じゃない。女だ!! おっぱいもある! Eカップだ!」

ミ*゚Д(#彡「おっぱーい!!」


 ルパンダイブをしてくるフサギコと、それを見事なジャンピングニーで迎撃した女性の発言を聞いて杉浦は、


( ФωФ)「……」

ミセ* - )リ「ふぎゃっ」


 とりあえず、手近にあったマフラーでミセリの頭部をぐるぐる巻きにした。


ミセ* - )リ「なっ、な何!?」

( ФωФ)「……」

ミセ* - )リ「もふーっ! もふもふーっ!」

( ФωФ)「……ミセリ、許せ」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:17:50.63 ID:UgG585nG0


 幼女に爛れた会話を聞かせまいと言うティーンの苦肉の策だった。
 杉浦のそんな頑張りを知ってか知らずか、フサギコと女性は何か嫌な会話を続ける。


川#゚ -゚)「って言うかドクオと私は別人だと何度言えば気が済むんだ! 女装じゃない! あいつにちんこがついていても、私にはついてない!」

ミ#゚Д゚彡「むしろ女装ですよ! 逆にち○こついて無かったら俺ショックですよ!」

川#゚ -゚)「なんでやねん!!」

( ФωФ)「……」

ミセ* - )リ「もがーっ!」


 主人公ズ、置いて行きぼり。
 何だこの状態。


川#゚ -゚)「えぇい埒が開かないっ! 要は私だからお前は五月蠅いんだな?! わかった今ドクオになってやるよ!」


 女性が叫び、ばっとパーカーの裾を掴んで脱ぎ捨てる、と。


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:20:41.37 ID:UgG585nG0




('A`)「……爆発しろや」

ミ#゚Д゚彡「ぁああぁぁあぁぁああ……!」


 パーカーの下からまず覗いたのは白いティシャツ。
 其れから長いみどりの黒髪、ではなく、黒いぼさぼさの短髪だった。


('A`)「ほんと爆発しろ。弾け飛べ」


 その主は、心底からだるそうに呟き、失意のフサギコにバックハンドブローを打ち込んだ。
 ワンヒット、KO


( ФωФ)「……」

ミセ* - )リ「もがぁあ!」


 いい加減可哀想なのでマフラーを外してやる杉浦だった。
 其れをそのまま自分の首に巻き付け、ミセリに謝る。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:24:01.17 ID:UgG585nG0



( ФωФ)「其れはどういう仕組みになっているであるか?」


 杉浦は、床に脱ぎ散らされたパーカーを指さしながら言った。
 目の前の人間は、パーカーを脱いだ瞬間に顔が、体つきが一辺した。服と一緒に着ていた皮も脱ぎました! とでも言うように。

 其れを摘み上げながら、ドクオと名乗った青年は左上を睨んだ。
 それから、へらっと口の端を歪める。


('A`)「……魔法魔法」

( ФωФ)「魔法であるかー」

ミセ*゚ -゚)リ「はじめて見た」

('A`)「あっはっはっはっは」


 杉浦は頭が悪かった。
 小さな頃に読んだ絵本に魔法が実在したから、
 今目の前に居る男性が不思議なことをして、其れを魔法というのだから、きっと本当に在るんだと思ってしまうほどには。


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:28:46.69 ID:UgG585nG0


ミ,,゚Д゚彡「杉浦君騙しちゃ駄目っすよぉ教授ー」


 が、その「そうかそうか魔法って本当にあったんだへー」という納得は、フサギコによって一瞬で崩された。


ミ,,゚Д゚彡「魔法使いなんてとっくの昔に滅んだじゃないすかー。聖書の中のまして現象みたいなもんですよ?
       そりゃ教授の女装……もとい女体化は魔法みたいですけど」

('A`)「お前ほんとに俺の授業聞いてる? あの聖書って奴には腐るほど隠喩があるんだぜ?」

ミ,,゚Д゚彡「(女)の時は聞いてます。寧ろ男性バージョンでは聞いちゃいません」

('A`)「本当爆発してくれないかなこいつ」

ミ,,゚Д゚彡「だって聖書の中の人物を自分だなんて言い出す人の授業だなんて、ねぇ」

('A`)「だって本当だもん。っていうか何でそんなら俺の授業取ってるのお前」


( ФωФ)「……フさん」

ミ,,゚Д゚彡「ん? どうした杉浦くん」

( ФωФ)「せーしょってなんであるか」


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:32:01.39 ID:UgG585nG0


('A`)

ミ,,゚Д゚彡

ミセ*゚ -゚)リ

 沈黙が流れた。重ね重ね言おう、杉浦ロマネスクは頭が悪い。
 思考回路が悪い訳では無いが、決定的に知識が足りていないのだ。

 ついでに物覚えも悪い。

(; ФωФ)

 白ける場の中心で、ミセリの残念な視線を浴びながら杉浦は神様に会ったら賢しさを貰おうと心に誓ったのだった。


('A`)「神様ねぇ……俺達も探してるけど、最近はとんと会ってないな」


 沈黙を破ったのは、ドクオだった。
 杉浦の発言は無視することにしたらしい。


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/04(日) 17:36:28.18 ID:UgG585nG0


ミセ*゚ -゚)リ「過去に会った事があるんですかと小一時間」

('A`)「……難しい言葉知ってるなぁ嬢ちゃん。そっちの兄ちゃんの妹?」

( ФωФ)「預かりっ子である」

ミセ*゚ -゚)リ「お母さんとお父さんに、置いていかれて、……家、探してる」


 斯く斯く然々とばかりにミセリの状況を説明すると、ドクオは軽く頷き


('A`)「幼女の為なら人肌脱ぐぞ。おもしろそうだから俺達も混ぜろ」

( ФωФ)「おもしろそうってあんた……」

('A`)「フサギコが勇気、そこの兄ちゃんが賢しい脳味噌、この少女が家と言うならば、魔法使いがいなきゃ話しが締まらねぇよ」



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