- 358 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:31:04 ID:eNX4I4tM0
- 第10章
笑顔のために
時間はまだブーンがツンと話している頃、同じくジョルジュとドクオが将軍の部屋に着いた頃。
場所は騎士団の修練場の前。ここを通ると、城内からは兵が寝泊りする兵舎に続いている。
そこでモララーは一人、舞うように戦っていた。
「……ウッ……」
( ・∀・)「なんだよもう……気持ちよく寝てたッつーのに」
周囲には幾つもの死体が転がっている。
モララー一人を、多すぎる人数で襲撃者は囲んでいた。
しかしそれでも、モララーには傷一つ付いていない
(;・∀・)「……うぷっ」
そのモララーの動きが、急に鈍った。
夕方、ギコに付き合って酒をしこたま飲んでいたのである。
酔いは醒めているが、激しい運動をすればもちろん、吐き気を催すだろう。
(; ∀ )「おぅっ……動いたら余計気持ち悪……」
「……!!」
その隙を見逃すほど襲撃者も甘くない。
一人が素早く、モララーに飛び掛る。必中の間合いだった。
- 359 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:32:14 ID:eNX4I4tM0
- その男の額に、音も無く一本の矢が突き刺さった。
「ウグッ……」
(; ∀・)「……あん?」
从 ゚∀从「ったく、あんな飲むからだ。馬鹿ヤローめ」
背後の暗闇から現われたのはハインリッヒだった。
弓を構え、警戒しながらゆっくりとモララーに近付いてくる。
(;・∀・)「あら、寝てなかったの」
从 ゚∀从「ずっとここにいたさ……なんか嫌な予感がしてたからな」
( ・∀・)「なーんだ、わかってたなら教えてくれりゃ良かったのに……」
从 ゚∀从「何が起こるかまではわかんねーだろ」
話している間にも男達は襲い掛かるが、持ち直したモララーは器用にいなしていく。
ハインリッヒも近付いてくる者達を彼らの間合いに入る前に射殺していった。
だがそれでも、減ったとは思えないほどの人数が残っていた。
( ・∀・)「ふーん……ま、いいや。まずはこいつらを皆殺しだ」
从;゚∀从「おいおい、流石に俺らだけじゃ……」
「ゴルァァァァ!!!!」
- 360 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:34:01 ID:eNX4I4tM0
- 突然、襲撃者達の後方で騒ぎが起こった。
見る見る間にモララーたちの前の空間は開け、彼らにあらたな増援が登場した。
(,,゚Д゚)「っと、よう。俺も手を貸そうか」
( ・∀・)「あれ……俺より酔いつぶれてたのに」
(,,゚Д゚)「はっ、戦士たるもの、戦いが起こりゃ酒の酔いなんて醒めちまうのさ。
(,, Д゚)「……そのときゃ逆に『闘争』に酔っちまうがな」
从;゚∀从「うわぁ、めんどくせぇ酔っ払いだ」
(,,゚Д゚)「あ?何言ってんだ、酔ってるわけ……な」
(,,゚ж゚)
(,, Д )「おぶぉぉぉ……」
( ・∀・)「分かる、分かるよ……急に動いたら気持ちわりいんだよ……」
从;゚∀从「……」
- 361 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:34:53 ID:eNX4I4tM0
- ひとしきり吐いたあと、ギコは口を拭いながらハインリッヒに話しかけた。
酔いはとりあえず醒めたようである。
(,,;゚Д゚)「はぁ……おい、ハイン。お前は宿舎にいる兵がいたら起こしてこい。
城内のほうも酷い騒ぎだ」
从;゚∀从「あぁ、でもあんたら二人で大丈夫なのか」
( ・∀・)「俺一人でも大丈夫だッつーの」
(,,゚Д゚)「まぁ問題ない。……つーか、行く必要もなくなったか」
どっどっどっ、と、重そうな足音が聞こえてきた。兵舎のほうからモナーがやって来ている。
その後ろには、寝ていたところに急いで準備したのだろう。
ろくに装備の整っていない兵士達がついて来ていた。
( ´∀`)「何だ、君達が居たモナか。通りで誰も来なかったモナ」
(,,゚Д゚)「手間が省けたな」
( ・∀・)「じゃあ始めますか……の前に、あんた等この騒ぎについてなんか知ってんじゃないの」
(,,゚Д゚)「あ?」
- 362 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:35:49 ID:eNX4I4tM0
- ( ・∀・)「アンタは言わずもがなどっかの宿に帰ってたはずだし、モナーも何かが来るって分ってなきゃ
アンタだけしっかり装備整えて、兵を叩き起こすとかできねぇだろうさ」
从 ゚∀从「……」
( ´∀`)「うーん……きっと後で説明されるモナよ」
( ・∀・)「ま、いいや。俺は修行代わりにとにかく戦えればいいんだからな」
从 ゚∀从「適当だねぇ」
(,,゚Д゚)「それでいい。戦ってる最中に余計なことは考えんことだ」
( ・∀・)「はっ、言われないでも分ってるよ。ブーンやドクオじゃねーんだから」
( ´∀`)「そうそう、ちょっと前に出かけたのを見たから、きっとあの子達も戦ってるモナ。
僕らも早く応援に駆けつけるモナ」
(,,゚Д゚)「よし、行くぞ!!」
- 363 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:39:44 ID:eNX4I4tM0
- ※
時は進み、謁見の間へと続く廊下。
サスガ兄弟を残し、安全であるという隠し部屋までツンを送り届けるべく急ぐ彼らは、
特に何も起こることなく、謁見の間まで辿り着いていた。
(;^ω^)「よし、もう少しだお!!」
('A`)「……あの男達がこっちから来たんだ、こっちに本隊みたいなのがいると思う」
_
( ゚∀゚)「気を付けろよ、皆」
謁見の間の前に、ひらけた空間がある。
その入り口に付いた途端、その光景に彼らは酷く驚いた。
(;^ω^)「これは……」
「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」
(;'A`)「……この数、どうすれば」
そこに居たのは姫への迎えなどではなく、大勢の刺客達。
謁見の間への扉へと続く階段などにも彼らが立っているのが分かる。
何人いるかなど、一目でわかる筈もない。
- 364 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:41:23 ID:eNX4I4tM0
- _
( ゚∀゚)「やるっきゃないだろ……っ!!」
一足先にジョルジュが駆け出した。
暗殺者の群れの中に飛び込み槍を振るい、次々と倒していく。
ブーンとドクオはツンから離れず、次々襲い掛かってくる者を退けていた。
( ^ω^)「らぁ!!」
(;'A`)「くそ、湧いてくるみたいに……」
_
( ゚∀゚)「キリがねぇぞ!!……!!」
小一時間も立ったのだろうか、だが相手の数は減らない。
やはり三人では多勢に無勢だった。
最前線で戦うジョルジュの疲労は強いようで、徐々に動きが鈍っていく。
一人の男から振るわれた一撃を、浅くではあるが受けてしまった。
直後の反撃でその者を倒し、素早く仲間の元へと引いた。
_
(;゚∀゚)「いっ!!……だらぁっ!!くそっ!!」
ξ;゚听)ξ「大丈夫!?【ライブ】!!」
「……!!」
ξ;゚听)ξ「!?」
- 365 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:42:34 ID:eNX4I4tM0
- (;'A`)「!! さっきの奴らか!!」
背後からは追いついてきたシーンらの部下が襲い掛かる。
ドクオが素早く回り込み、ツンを守って立つ。
此方の方は数も多くなく殲滅にさほど時間は掛からなかったが、
(;^ω^)「はぁ、はぁ……」
(;'A`)「ちっ……」
前方で戦うジョルジュと同様、二人の疲労もかなり濃い。
身体の傷は回復術で治るが、疲労を取ることは出来ない。
地面に臥している者は何人も居るが、目の前には比べ物にならないほどの数の敵。
その点も、彼らの士気に強く影響していた。
「……なかなか頑張るじゃあないか」
その時、男達の背後から声が響いた。
それは、ブーンたちもほんの僅かではあるが聴いたことがある物。
彼らの前に出てきたのは仮面を被った貴族、ゼアフォーだった。
ξ;゚听)ξ「!!」
( ∴)「……ご機嫌麗しゅう。我が愛しの君」
ξ;゚听)ξ「ゼアフォー……様」
- 366 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:43:19 ID:eNX4I4tM0
- ( ∴)「貴女をお連れに参りました。騒がなければ、貴女に無闇に危害を加えるようなことは御座いません」
ξ;゚听)ξ「……」
(;^ω^)「近付くなお!!」
近付こうとするゼアフォーとツンの間に、ブーンが割って入った。
その姿からはかなりの気迫が感じられるが、顔には大粒の汗。
疲労は隠しきれるものではない。
( ∴)「まだ元気があるか。よく鍛えられているな」
(;'A`)「……」
( ∴)「しかしまだまだこちらの配下は大勢いるぞ?さぁ、今一度遊んでみるか」
そういってゼアフォーが下がると、暗殺者の波が押し寄せてきた。
一気に、彼ら三人を目指して襲い掛かる。
(;'A`)「くそっ、おらぁ!!」
_
(;゚∀゚)「ふんっ!!」
(;^ω^)「おぁっ!!!」
人数のせいか先程より勢いが増している。
彼ら三人は守勢に周るので精一杯だった。
- 367 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:44:41 ID:eNX4I4tM0
- _
(;゚∀゚)(このままだといつかやられる……!!)
(;'A`)(……こいつら、俺らしか狙ってきてない……?なら)
(;^ω^)(わかったお)
先程のゼアフォーの宣言どおり、暗殺者達はツンへは危害を加えないように命じられているのか
三人へと攻撃が集中していた。
それに気付いた彼らは、一瞬のアイコンタクトで作戦を決め、実行に移した
(;'A`)「すいません、姫っ!!」
ξ;゚听)ξ「えっ?」
ツンを置き去りにするように、無理矢理攻勢に出た。
一箇所の敵のみを対象としてそこをこじ開けるように、攻撃を仕掛ける。
その隙間から、まだ後退しきっていないゼアフォーの姿が現われた。
(;'A`)「……開いたっ!!」
_
(;゚∀゚)「行け!!ブーン!!」
(;^ω^)「おおおおおおおっ!!」
その姿目指して、ブーンが飛びかかる。
間に居た者達を振るった斧の一撃で吹き飛ばしていき、
その勢いを保ったままゼアフォーに迫った。
- 368 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:45:36 ID:eNX4I4tM0
- (#^ω^)「おっ!!」
( ∴)「……ふん、無駄な足掻きを、っ!!」
しかし、全くの考え無しでゼアフォーは姿を現した訳ではないようだ。
腰から剣を抜き、ブーンを迎え撃つ。
勢いの乗ったブーンの一撃を、ゼアフォーは弾いた。
(;^ω^)「おっ……くぅっ!!」
( ∴)「しぃっ!!」
(;゚ω゚)「がっ!!」
体勢を崩したブーンに、ゼアフォーの銀の剣が襲い掛かった。
鮮やかに輝くその刃が、ブーンの胸に大きく傷を付ける。
( ∴)「疲労が溜まっているか?そのような状態で向かってこようと、私には届かん」
ξ;゚听)ξ「ブーン!!」
_
(#゚∀゚)「あああああ!!うざってぇ!!ドクオ、そっちはいけねぇのか!!」
(;'A`)「無理だよ!!こっちも手一杯だ!!」
何とか助けに行こうとする二人だが、あまりに多い敵の数に動くことが出来ない。
地面に臥すブーンの前に立つゼアフォーの表情は読めない。
しかし、その仮面の下では、愉悦の表情を浮かべている事だろう。
- 369 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:47:49 ID:eNX4I4tM0
- ( ∴)「ふっ、無様だなぁ、新人騎士よ」
(; ω゚)「くぉ……」
( ∴)「他の者も余裕が無い様だな……さぁ、そろそろ幕引きと行こうか」
(;'A`)「あぁ糞!!」
_
(#゚∀゚)「ふざけんなこのぉぉ!!」
勢いをさらに強めるゼアフォーの部下に二人は押される。
ゼアフォーはツンに聞こえるように、安心させるように叫んだ。
( ∴)「ああ、姫!!貴女にだけ危害は加えないようにしてありますので、ご心配なく」
ξ;゚听)ξ「……」
その時、二階の階段から密かに駆け下りてくる一団があった。
その数は五人。
敵陣に降り立った彼らは周囲の敵を蹴散らし、その内の一人はゼアフォーへと向かっていき、剣を降りかぶった。
( ∴)「!?」
「覚悟っ!!」
(;∴)「むぉっ!?」
「大丈夫か?ブーン君」
(; ω゚)「お……お?」
- 370 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:48:57 ID:eNX4I4tM0
- 振り下ろした一撃は直前でゼアフォーに防がれるも、彼を押し切ってその場から引かせることに成功した。
ブーンの傍らに、ゼアフォーを睨み付ける様に闖入者は立っていた。
( ∴)「……貴様」
「多大な恩義に報い、我が忠義を尽くすべき人物を守るため、馳せ参じた」
(;'A`)「あんた……」
(メ._,)「誇り高きニューソク貴族 ウサギ家18代当主 ウサギ=サンガツ。
覚悟しろ、国に弓引く逆賊が」
- 371 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:49:41 ID:eNX4I4tM0
- ( ∴)「ふん……見放された腹いせか。
それとも今更王族に尻尾を振りに来たか?
貴様風情が調子に乗りおって」
(メ._,)「貴様が何を言おうと、もう私には響かん。
私は決めたのだ。自分に忠を尽くすと。身分は、問題ではない」
( ∴)「ふん……まぁいい。今すぐ死ぬだけだ」
ゼアフォーの周囲に、すぐさま大勢の部下が集結した。
そして命ぜられるままに、サンガツへと向かっていった。
(メ._,)「ふん、この程度っ!!!!」
だが見る見るうちにその数は減っていく。
彼の部下の働きももとよりサンガツが、強い。
一振りで、二、三人は沈んでいっているのではないか。
以前ドクオが彼と戦った際とは、大きく違っていた。
_
(;゚∀゚)「すげぇ……」
ξ;゚听)ξ「ほら、今のうちに……【ライブ】」
相手の多くがあちらに向かったため余裕が出来た二人は、
戦いながらツンの治療を受けつつ、彼の戦いに見入っていた。
ドクオなど、不謹慎にも自然と笑みがこぼれてしまっていた。
(;'A`)「はは……何だよ、やっぱ本気じゃなかったじゃねーか」
- 372 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:50:42 ID:eNX4I4tM0
- (メ._,)「は、はは!!」
――――嗚呼、何と、何といいものだろう。
自分が信じる、自分の尽くすべき忠義。只それだけに従って、
自分の力、自分の全てを思うままに振るうというのは。
今まで二十何年と剣を握って来て、ここまで喜びに溢れたのは初めてだ。
ここにいるのは彼らの為ではあるが
私は今、私の為に戦っている。
(メ._,)「貴様が下らない連中とつるんで手に入れた力は、この程度か!!」
(;∴)「く……」
(メ._,)「どうした?……既に貴様の周りはがら空きだぞ」
瞬く間にゼアフォーのハイかはその数を減らしていき、ゼアフォーの守りは散漫になっていた。
その隙を見逃さず、再びサンガツはゼアフォーに襲い掛かる。
(;∴)「く、くああああ!!!!」
防ぎ損ねた一撃は、その顔を覆い隠す仮面を叩き割ることに成功した。
(メ._,)「……ほう、仮面の下はそうなっていたか」
( )「き、貴様が……貴様ごときが……!!!!」
(# )「おおおおおおおお!!!!!!!!」
(;メ._,)「ぬ、な……」
(;メ._ ,)「ぐぉっ!!!!」
- 373 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:51:29 ID:eNX4I4tM0
- 激昂したゼアフォーは、怒りの声と共に右手の剣を鋭く振りぬく。
その激しい一閃は、防いだサンガツを弾き飛ばすほどの威力があった。
地面に倒れこんだサンガツを心配し、彼の部下はすぐさま駆け寄って周囲を固める。
「サンガツ様!!無事ですか!!」
(; ω )「サンガツさ……ん」
(メ._,)「……何ともない、躓いただけだ」
_
(;゚∀゚)「なんだ、アイツの顔……」
ξ;゚−゚)ξ「……」
( ゚益・)「……見えますか姫。覚えがあるでしょう?」
仮面の下にあったのは、酷く焼け爛れた醜い顔面。
その顔を露にしたゼアフォーは、ツンに向けて語りかけた。
( ゚益・)「貴女に突き飛ばされた先は赤く燃えた暖炉、その炎によってこの顔は焼け爛れた……
忘れたとは言わせますまい、この私の顔を!!」
ξ;゚听)ξ「じ……自業自得じゃない!!貴女が無理矢理に迫ってきたから……」
(#゚益・)「黙れッ!!!!!!」
- 374 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:52:42 ID:eNX4I4tM0
- ξ;゚听)ξ「っ……」
(#゚益・)「私が……!!この私がだ……貴様ごときを娶ってやろうと!!
貴様を我が覇権の礎にしてやろうとしたのにだ!!
それを拒み、その上私の顔を……この顔を!!!!!」
(;メ._,)「……」
激怒し叫びだしたゼアフォーは、一呼吸付いて落ち着き、
今度は静かに、復讐の念を込めるように、再び話し出した。
( ゚益・)「……ふぅ、いや、安心していいぞ。貴様を簡単に殺しはしない。
縛り付けて、一生地下牢に閉じ込めてやろう。なに、寂しくは無い。
飢えた豚共でもたまに寄越してやろう。さぞ愉しませてくれるだろう」
(;'A`)「……糞野郎め」
(´<_` )「……全くその通りだな」
( ´_ゝ`)「……大層な趣味をお持ちですなぁ、ゼアフォー殿」
_
( ゚∀゚)「アニジャさん、オトジャさん」
( ´_ゝ`)「いや、ゼアフォー。この反乱を目論んだ首謀者として貴様を処罰する。
覚悟はいいな」
( ゚益・)「……ふん、ナオルヨとシーンはやられたか」
- 375 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:53:43 ID:eNX4I4tM0
- (メ._,)「……もう貴様の取り巻きの数も僅かだ。抵抗は無駄だぞ」
( ゚益・)「……誰がこれだけしかいないといった?」
_
( ゚∀゚)「あ?」
( ゚益・)「少しぐらいは今後のために取っておこうとも考えていたが……」
部下は僅か、側近の二人が倒されたにもかかわらず、ゼアフォーは余裕を見せていた。
その彼が右手を掲げ、呪文らしき言葉を叫ぶ。
魔方陣が現われ、一瞬周囲が闇に包まれたかと思うと、現われたのは多数の影。
ブーンたちが先程相手にした、人型の黒い影だった
(;メ._,)「……何と」
( ゚益・)「は、ははは……あの魔術師から見せられた時には驚いたが……
中々に素晴らしいではないか、この死者を操る魔術は」
(;'A`)「まさか……」
( ゚益・)「そう、こやつらは死者だ。魔術によって、その魂を有効利用してやっているのだよ。
人の魂というのも、なかなかいいものだろう?」
_
( ゚∀゚)「……糞野郎め」
( ゚益・)「なんと言われようとも、貴様らはここで死ぬのだ。関係ないな」
(´<_`;)(……何としても姫だけは……)
( ´_ゝ`)「……」
- 376 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:54:35 ID:eNX4I4tM0
- ( ゚益・)「さぁ!!この数を相手に何ができるか!!
為すすべも無く、人の魂に埋もれるがいい!!」
ゼアフォーの命令の声に合わせて、雪崩の様に黒い影が向かってくる。
圧倒的質量を前に、しかしジョルジュとドクオは比較的落ち着いていた。
先程の対峙では、この数でもそれほどの危機では無いと判断した為だ。
しかし
(;'A`)「ぐっ!?」
_
(;゚∀゚)「……さっきと様子が違う……!?」
最初の一太刀で動きの精度がまるで違うことに気付かされた。
見れば輪郭がハッキリしており、外見も若干違うことがわかる。
( ´_ゝ`)「らっ!!」
(´<_`;)「くそ、どうにも……」
_
(;゚∀゚)「やばいかも……」
その圧力にまさに飲み込まれんとするその時。
頭上から、何かが飛来した。
それは数体の影を貫き、抗う彼らの負担を軽くする。
- 377 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:55:31 ID:eNX4I4tM0
- ( ゚益・)「む?」
从 ゚∀从「は、やっとまともな出番ですかよ」
(,,゚Д゚)「城内は兵士達に任せてきた」
( ・∀・)「残りはここに居るだけかよ。不満だぜ、ゼアフォーさんよ」
( ´∀`)「もうひと踏ん張りモナか」
二階から弓を構え影を狙い打つのはハインリッヒ。
さらにその背後からはギコ、モララー、モナーが現われる。
( ゚益・)「ふん……貴様ら数人程度が増えても支障は無い。
……掛かれ、亡者ども!!」
从 ゚∀从「……っ!!」
ゼアフォーは増援に若干眉をひそめるも、彼らに亡者を差し向ける。
それをハインリッヒは、寸分の狂いも無く撃ち抜いていく。
_
(;゚∀゚)「ヒュー、さっすが」
- 378 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:57:47 ID:eNX4I4tM0
- ( ・∀・)「よーう、何人やったか競うか?ドクオ」
(;'A`)「そんな場合じゃねぇッつーのにお前は……」
(,,゚Д゚)「はっ、お前も無駄口叩いてる場合じゃねーよ」
(;メ._,)「……騎士団には猛者が多いのだな……とんでもないところに喧嘩を売っていた……」
「……本当ですね……」
ハインリッヒの援護を受け、後ろから駆けて降りてきたモララーとギコは、
余裕たっぷりに、瞬く間に周囲の影を薙ぎ払っていく。
少し遅れてきたモナーは、彼の職務を果たすため、敵に目を向けずすぐさま姫の下に駆け寄った。
( ´∀`)「さ、姫様は僕の後ろに……」
ξ;゚听)ξ「いえ、私も前で皆の傷を……」
( ´∀`)「駄目ですモナ。これは僕の職務モナ」
ξ;゚听)ξ「だけどこんなとこで見ているだけなんて……」
( ´∀`)「聞き分けてくださいモナ」
モナーに窘められるも、何かを思いつき、ツンはにやりと笑った。
同じくその周囲を固めていたサスガ兄弟に向き直り、一言つぶやいた。
- 379 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:58:38 ID:eNX4I4tM0
- ξ;゚ー゚)ξ「……さっきの約束」
(;´_ゝ`)「……持ち出すのが早すぎる。確かに宝石なんて買えんが、
言葉のあやみたいなもんだろうに……」
(´<_`;)「……すまん、モナーよ。
俺達は騎士であるゆえ、約束を違える事はできん」
(;´∀`)「はぁ?」
( ´_ゝ`)「しょうがない。無茶して一人で動かれてもゴメンだ、俺達が守ればいい。
……姫の仕事は、その拙い回復術だ。
ケガだらけで、でも真ん中で戦いを続けているあの男を、その杖で治してやれ」
そういって、アニジャは敵陣のど真ん中を見る。
影の合間から見えるのは、ふらふらで、傷だらけでも戦っている男の姿。
(メ;^ω^)「お……おおおおおお!!!!」
ξ;゚听)ξ「……ブーン」
その姿を見て、ツンは杖を握り締める。
- 380 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 01:59:24 ID:eNX4I4tM0
- そしてアニジャとオトジャは、寸分違わず歩みを進め始めた。
進行方向には多数の影があるが、襲い掛かるそれは彼らの前で消え去るのみだ。
(´<_` )「さぁ兄者よ行くぞ。疲れはないか?」
( ´_ゝ`)「何を言う。普段働きづめな弟者こそ疲れが出ているのでは?」
(´<_` )「いや、兄者は運動不足がたたっていないかと思ってな」
( ´_ゝ`)「運動ならしているさ、毎晩、ベッドの上でな」
(´<_` )「……この場で下に走るとは、流石だな兄者。
しかも一人寂しい夜を暴露する自虐とは、恐れ入った」
(;´_ゝ`)「そうじゃない!!今のはこう、ダンディな感じをだな」
(;´∀`)「……よく漫才しながら戦えるモナ、君達」
(;゚益・)「何だと言うのだ……こいつ等は……
糞っ!!わらわらと現われおって……」
次々と数を減らす亡者の魂を見て、ゼアフォーは焦りを露にしていた。
そしてその表情は、徐々に怒りへと変わっていく。
(#゚益・)「もう少し……もう少しでこの国を……
忌々しい、ツン・デレート・ニューソクを思いのままに出来るのだぞ……
貴様らにっ、邪魔立てされてたまるものか!!!!」
「……勝手なことをゴチャゴチャと……ずいぶんと煩いおね……」
- 381 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:01:53 ID:eNX4I4tM0
- (;゚益・)「!?」
周囲に居た亡者の奥から声が聞こえたと思うと、それらはすぐに掻き消えた。
そこに現われたのは、傷だらけの青年。
ゼアフォーに付けられた胸のものだけでなく、至る所に切り傷が出来ている。
(;^ω^)「……また来たお、ゼアフォー……」
(;゚益・)「ふ、貴様か……驚かせるな……
先程私に殺されかけた貴様が、傷だらけの貴様が、何を出来るというのだ」
(;^ω^)「……あんたから、姫を守るお」
( ゚益・)「……は、は、ははははは!!!」
( ゚益・)「先程の醜態を覚えていないのか!?
ああ、あの時に頭でも打ったのか?それはすまなかった」
(;^ω^)「そうかもしれないおね……」
( ゚益・)「……もういい。貴様にかまっている暇は無い。死ね」
笑っていたゼアフォーは、興が醒めたかのように表情を一変させた。
冷酷な目付きでブーンを睨み付け、止めを指すために距離を詰めた。
(;^ω^)「でも、アンタにツンを渡すわけには行かないお……
ツンは友達も居ない。ずっと一人で、孤独を感じていた……
そう聞いて僕は、ただ友人になるって、そういっただけだお」
(#^ω^)「……それで、それだけでツンは、めちゃくちゃ喜んだんだお!!たったそれだけで!!
そんな子を、また一人になんてさせられるかお!!!!」
- 382 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:02:43 ID:eNX4I4tM0
- (#゚益・)「ほざけ!!!!」
ブーンの声を遮るように、ゼアフォーは銀色に輝く剣を振るう。
受け止めるブーンは弾き飛ばされるも、しかし闘志は薄れない。
(# ω )「ぐっ……ふぅ」
立ち上がり、ゼアフォーを睨み付ける。
そしてゆっくりとゼアフォーに向かって歩き出した。
(;゚益・)「……」
その歩みは、徐々に早まっていく。
そして、駆け出した。
(#^ω^)「あんたに……あんたに彼女の笑顔の火を消す権利は無いんだお!!!!」
(#゚益・)「黙れ!!」
しかしその足取りは正直、勇猛とはとても言えないほど覚束ないもの。
それでも段々と、彼らの距離は詰まっていく。
その時、サスガ兄弟とツンは彼らの元にたどり着いた。
彼らの眼にも、ぼろぼろのブーンが返り討ちにされようとしている姿しか見えない。
助けようと駆け出すも、間に合うような距離ではない。
- 383 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:03:29 ID:eNX4I4tM0
- (;´_ゝ`)「不味い!!」
(´<_`;)「くそ、間に合わん!!」
焦る彼らの背後から、ツンは素早く飛び出した。
杖を前に掲げ、叫ぶ。
ξ;゚听)ξ「……『ライブ』っ!!!!」
初歩の回復術は至近距離でのみ発揮される。
当然、彼女と彼の間の距離では、効果は望むべくも無い。
だから、その行動に意味があったかはわからない。
しかしブーンは加速した。
(#^ω^)「おおっ!!!!」
(;゚益・)「!?」
- 384 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:04:32 ID:eNX4I4tM0
- ゼアフォーは、ブーンの一撃についていけなかった。
その中で彼の目に強く映ったのは、ライブの杖の光に紛れ、燈色に、炎のように輝く彼の胸元。
(#^ω^)「あああああああああああああ!!!!」
(; 益 )「ぐあああぁぁぁっ……!!!!!!」
放たれたブーンの一撃は、そのままゼアフォーの胸を切り裂いた。
一瞬の静止の後、傷口から血液を噴出したゼアフォーは、その場に倒れこんだ。
そしてその口はうわ言のように、言葉を紡ぐ。
( 益 )「あ、あぁ……私の国が……野望が……
……ツ……姫を……私のもとに……」
(;^ω^)「……はぁ……はぁ……」
( 益 )「あ、あ?わ、私の顔が?あ、あつ……熱いぃ……
ひ……た、たす……ロ…マ………スク……ま……」
(;^ω )「……ロ…マ…?」
最後の一言に何か感じながらも、体のほうが言うことを聞かなかった。
このまま倒れ硬い地面に身を預けてしまえば、あとは意識を手放すだけである。
- 385 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:05:21 ID:eNX4I4tM0
- (; ω )「……」
ξ;゚听)ξ「ブーン!!」
「っと」
しかし背中に当たったのは冷たい床ではなく、温かい二本の腕。
ぼやける視界の中、目を凝らすとそこに居たのは昔からよく知る親友の顔。
('A`)「おいおい、今回は気絶すんな」
_
( ゚∀゚)「毎回そんなんじゃ、かっこつかねぇっての」
(;^ω^)「はは……そうだおね……」
( ´_ゝ`)(……策より上手くいくなんてのは、何時観ても楽しいもんだわ。
……それにあの光……ここまで行くと怖いぐらいだ……)
(´<_` )「?どうした兄者」
( ´_ゝ`)「いやぁ、何でもないさ、弟者」
第10章 終
- 386 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:06:48 ID:eNX4I4tM0
- ツン ξ゚听)ξ 移動 5
王女 重量 6
LV 7 EXP 22
HP 21/21
Personal Date 速さ 6
力 3 幸運 9
魔力 8 守備 3
技 6 魔防 6
持ち物 E ライブ
ニューソク王女
周りの人物を よく困らせている
- 387 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:07:33 ID:eNX4I4tM0
- ゼアフォー ( ∴) 移動 6
ジェネラル 重量 27
LV 3 EXP 00
HP 46/46
Personal Date 速さ 10
力 17 幸運 5
魔力 5 守備 16
技 13 魔防 4
持ち物 E 銀の剣
ニューソクの地を治める 貴族の一人
奇妙な仮面を 常に被っている
- 388 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/03/21(水) 02:10:13 ID:eNX4I4tM0
- 部隊表
Character
名前 クラス Lv
( ^ω^) ブーン 村人 17
('A`) ドクオ 剣士 15
( ゚∀゚) ジョル ソルジャー 16
( ´_ゝ`) アニジャ ソシアルナイト 13
(´<_` ) オトジャ ソシアルナイト 13
从 ゚∀从 ハインリッヒ アーチャー 10
(,,゚Д゚) ギコ 傭兵 14
川 ゚ -゚) クー 魔道士 8
( ・∀・) モララー 剣士 16
( ´∀`) モナー アーマーナイト 13
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ 踊り子 4
(゚、゚トソン トソン 僧侶 4
ξ゚听)ξ ツン 王女 7
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