( ^ω^)炎の紋章のようです

280 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:28:21 ID:nz2A6zYQ0
第8章 

暗躍


傭兵を討伐した見習い騎士一行は名のある宿場で疲れを癒し、雑務をニップの警備に任せ帰途に就いた。
ニップで出会った二人の少女、ミセリとトソンを伴っての道程であったためほんの少し遅れは出たが、
日がまだ高いうちには、王都まで戻ってくることができていた。

ミセ*゚ー゚)リ「とーちゃく!!」
  _
( ゚∀゚)「とーちゃく!!」

(;^ω^)「いい年しといてやめるお……」

(゚、゚トソン「ここがニューソク王都ですか……」

('A`)「ラウンジがどれぐらいかは知らないけど、でかいだろ?」

王都を見上げ、立ち止まるトソンに向かってドクオは自慢のように言った。
お前らもついこないだ汗まで流しながら驚いてたくせに、と直後に後ろからきたハインリッヒに小突かれ、
彼は恥ずかしそうに頭をさすった。

281 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:29:39 ID:nz2A6zYQ0
( ´∀`)「ラウンジは相当大きいモナよ」

( ^ω^)「ここよりですかお?」

川 ゚ -゚)「少し広いぐらいだと思うが、そうだな……とにかく人が多いな」

( ・∀・)「俺が行ったときは、あんまり騒がしくて戦でもやってンのかと思った」

(;'A`)「ひゃー……ここより人がいるとか考えられねぇな」
  _
( ゚∀゚)「行ってみてーなー」

(,,゚Д゚)「なーに、すぐに行くことになるさ」

( ^ω^)「?」

(,,゚Д゚)「いや、こっちの話だ。気にすんな」

从 ゚∀从「……ん? あれアニジャじゃね?」

彼らが王都に入ろうと門に向かうと、そこから一隊を引き連れたアニジャが現れた。
こちら側の門は大通りに面しておらず、出入りがしやすいので軍が出立するときによく使われる。
アニジャはこちらに気がつくと、隊を止め手を振りながら近づいてきた。

282 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:30:21 ID:nz2A6zYQ0
( ´_ゝ`)「よーう、お疲れさんだな」

( ^ω^)「どうもですお、アニジャさん」

( ´∀`)「任務モナ?」

アニジャの説明によると、ブーンらが出て行ってすぐに多数の報告が舞い込んできたらしい。
どれもほとんど似通った内容で、傭兵団に困っているから増援をくれ、ということだ。
どこも近隣の町村であるが、多くの騎士達が出払っていしまっているらしい。

( ´_ゝ`)「ったくさぁ、俺まで回ってくるとか、人手不足もいいとこだわ。
      こういうとき隊長の弟者はいいよなぁ、優先度は一番低いから」

( ・∀・)「その分アニジャの三倍仕事してるんだからな」

( ´_ゝ`)「そんなことないですぅー、せいぜい二倍ですぅー」

(;'A`)(否定はしねーんだ……)

( ´_ゝ`)「ところで、そのお穣ちゃんたちは?」

ミセ*゚ー゚)リ「ミセリでっす!!踊りを魅せに、遠路はるばる旅してきました!!」

(゚、゚;トソン「……巡礼に来ました、トソンと申します。ミセリの付き添いも兼ねて……」

283 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:31:22 ID:nz2A6zYQ0
  _
( ゚∀゚)「王都に来たいっつーから、連れてきたんだけど」

(;´_ゝ`)「……なんかお前ら、どこか行くたびに誰か彼か連れてくるな……人攫いの才能あるぞ」

(;^ω^)「おおっ?そんな気ありませんお!?」

( ´_ゝ`)「んま、いいや。んじゃお仕事に行きますわ」

そういって再び手を振り、アニジャは隊の元に戻っていった。
号令をかけて先頭に馬を走らせると、後ろには一つの乱れもなく騎士達が附いていく。
勤務態度はともかく、人望や能力はあるのだ。

从 ゚∀从「この時期にそんなに傭兵がいるってのもおかしな話だな」

('A`)「でかい戦もないのにな……」

川 ゚ -゚)「ここにも一人そんなおかしな奴がいたが……」

(,,;゚Д゚)「俺ぁお前の護衛だったろうが……」

門をくぐると、いつもどおりの大通りの喧騒が伝わってくる。
ここより騒がしいとはいったいどんなところなのだろうか、とブーンたちは未だ見ぬラウンジへと思いを馳せた。

284 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:32:50 ID:nz2A6zYQ0
( ´∀`)「さて、報告は僕だけで十分モナよ。流石に将軍も訓練しろなんて言わないし、皆は解散でいいモナ」

騎士団の詰所の前に差し掛かった時、モナーがこういって皆を解散させた。
これがもしもフィレンクトであったなら、報告に同席、またはモナーはこう言ったが訓練を続けさせたかもしれない。

(,,゚Д゚)「おぉ……じゃあ酒場でもいってくっかな」

川 ゚ -゚)「……日が高いうちからまた酒か……」

( ・∀・)「俺も行くぞ、昨日は飲まなかったからな」
 _
( ゚∀゚)「あんまし飲めないくせに……」

川;‐ ‐)「……ハイン、来ないか?人手が欲しい」

从 ゚∀从「お?おっしゃ、ならこの前の酒場行こうぜ、あの親父の飯気に入ったんだ」

('A`)「俺らはどうする?」

( ^ω^)「おー、僕ら三人もあんまり飲めないから……」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、私達に少し王都の案内してくれませんか!?」
 _
( ゚∀゚)「おお、そうだな。連れてくるだけじゃ無責任だし」

( ^ω^)「僕らもまだ来たばっかりだけどお」

(゚、゚;トソン「すみません、厚かましいお願いを……」

('A`)「いや、いいよ。予定も空いてるしな」

285 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:34:03 ID:nz2A6zYQ0
(,,゚Д゚)「んじゃあ、行ってくるぜ」

彼らはそこで別れ、ギコ達は以前出会った酒場の方へと向かっていった。
クーだけは渋い顔をしていて、面倒を押し付けたかな、と思ったがブーンは気にしないことにした。


ミセ*゚∀゚)リそ「あーっ!!大道芸やってる!!」
 _
( ゚∀゚)「スッゴーイ!!チョーウケルー!!」

三三三ミセ*゚ー゚)リ「あの髪飾り可愛いー!!」
 _
( ゚∀゚)「チョーカワイー!!」

ミセ*゚ー゚)リァ「ナニあれ!!綺麗ー!!」
 _
( ゚∀゚)「ワースゴーイ」

ミセ*゚听)リ「お腹へったー!!ん!!あれおいしそー!!」
 _
( ゚∀゚)「モウツカレタ」

(;^ω^)「こら、あんまりチョロチョロすんなお」

(゚、゚;トソン「すいませんすいません、お手を煩わせて……」

(;'A`)「いや、うちのも一緒に騒いでるし、トソンちゃんは悪くないから……」

こちら側もこちら側で、非常に騒がしいミセリにそれに同調して騒ぎ立てるジョルジュ、しきりに恐縮する
トソンをドクオとブーン二人で相手にしていると、あっという間に時間が過ぎていってしまった。

286 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:35:01 ID:nz2A6zYQ0


ミセ*゚ー゚)リ「楽しかったー!!ありがとうございました!!」
  _
(; ∀ )「ハァー ゼハァー……オフッ」

(゚、゚;トソン「すいませんでした、つき合わせてしまって……今、ライブの杖を……」

(;^ω^)「いいんだお、自業自得だお」

(;'A`)「……ところで、これからは?」

(゚、゚トソン「あ、えっと、協会にお願いして場所をお借りするつもりです。
     何日いるかわかりませんし、路銀も稼がなくてはいけないので……」

( ^ω^)「宿を何日かぐらいなら僕らでも泊まらせてあげられるお?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、じゃあお願(゚、゚;トソン「いえ!!そこまでお世話になるわけにはいきません!!」

危ないから、と説得しようと思ったのだが、町を案内されているときにも多くご馳走になったのだから、と
頑として断るトソンに、ブーンとドクオはついに折れてしまった。
彼らよりいくつか幼い少女だが、流石に聖職者なのだと感心までするほどの断りぶりだった。

287 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:36:14 ID:nz2A6zYQ0
('A`)「警備も多いから大丈夫だと思うけど……ここに居るときに何かあったら頼ってくれよ」

( ^ω^)「騎士団の詰所の方は案内したおね。警備の人に言ったら伝わると思うお」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい!!じゃあ、お休みなさーい!!」

(゚、゚;トソン「本当に、ありがとうございました」

( ^ω^)「ばいばいだお」

( 'A`)「気をつけてな。……おらジョルジュ、行くぞ」
  _
(; ∀ )「スイマセン ツレテッテクダサイ」

(;^ω^)「はぁ、調子乗りすぎだお」

288 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:37:00 ID:nz2A6zYQ0


彼らがジョルジュを引きずりながら宿舎に戻ろうと詰所の近くを通っていると、鎧を着込んでいるオトジャの姿があった。
任務に行くのだろうが、もう既に夜である。

(´<_` )「ん、お帰り」

( ^ω^)「オトジャさん、鎧着込んでるけど、任務ですかお?」

('A`)「もう日も沈みましたよ?」

(´<_` )「人手が足りなすぎてな。報告がどんどん舞い込んでくるから、さっと片付けてくる」

(;^ω^)「……僕らもどこか行きますかお?」

(´<_` )「いや、今日のところはいいよ。しっかり休んでおいてくれ」

(;'A`)「すいません、頑張ってきてください」

(´<_` )「はは、まぁ明日から色々してもらうかもしれんがな。じゃあ」

( ^ω^)「なんか大変だおね……」

('A`)「俺らもしっかり休んで、明日に備えようぜ……こら、手前ぇそろそろ立てよ」
  _
( ゚∀゚)「楽だったのにー」

('A`)「……」
 _
(;゚∀゚)「痛っ、黙って蹴るな!ちょっ、ブーンもやめて……」

289 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:38:16 ID:nz2A6zYQ0


(-A-)「……スー…スー…」
 _
( ‐∀‐)「ンゴォォ……フガッ」

( ^ω^)「……」

宿舎。任務や城下の案内で疲れた二人が熟睡する中、ブーンだけは寝られずにいた。
ベッドに入ってはいるが、目が冴えてしまっている。
何か、胸騒ぎがするのだ。

( ^ω^)「……ハインさんみたいだおね」

と、初めて会ったときや、貴族のゼアフォーとすれ違った時のハインリッヒを思い出し、一人で軽く笑う。
正直あまり信じていなかったが、自分が寝られなくなるほどそれを感じるとは思っていなかった。

「起き……何だ、ブーンは起きてんのか」

入り口から、声が掛けられる。
薄暗くてよくは見えないが、同僚の兵士であるようだ。

290 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:40:08 ID:nz2A6zYQ0
( ^ω^)「お?今日は僕は夜間警備の当番じゃなかったお?」

「いやいや、違うんだ。街中で女の子がうろついていてな。夜だし危ないから、家出か何かだろうと思って保護したんだが、
お前ら呼んでこいってうるさくてさ」

(;^ω^)「……心当たりはあるお」

「ああ、やっぱりか。そんな訳で、帰るよう説得してくれると助かる」

(;^ω^)「あー……ドクオ、ジョルジュ、起きてお。僕一人じゃてこずるお」

(-A`)「……んあ?」
  _
( ‐∀‐)「……あと10分待ってくれ……」

「ほら、連れてくからさっさとしてくれ」

(;^ω^)「うーん……」

291 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:40:51 ID:nz2A6zYQ0


「んじゃ、後は頼んだぞ、俺は戻る」

ミセ*゚ー゚)リ「あー!!やっと来てくれた!!」

(;'A`)「頼れとはいったけど……」
  _
( ‐∀‐)「……zzz……」

(;^ω^)「立ち寝とか、ジョルは器用だおね……」

兵士に連れられていった先には、予想通りミセリがいた。
夜中であるというのに、その元気さは昼間と変わらないようである。

( ^ω^)「……早く帰るお?散歩なら、昼間にしないと危ないお」

ミセ;゚ー゚)リ「違うの!!あ、いや、散歩しちゃってたのはそうなんだけど……」

元気な様子はいつも通りであったが、その表情はどこか違う。
焦っているのか、気が急いているように見える。

('A`)「?」

292 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:41:58 ID:nz2A6zYQ0
ミセ*゚ー゚)リ「夜に起きちゃって、寝られなくなったからちょっとだけ外に出ようと思ったんだけど……
      そしたら、真っ黒なローブを着た二人組みが歩いてたんです」

('A`)「それがどうかしたのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「こんな真夏の夜にそんなの着てるなんて、怪しいでしょ?
      だから、少し後をつけてみようと思って……」

(;^ω^)「そんなことしたら危ないお!」

ミセ;゚ー゚)リ「……でも、そしたらそっちに近寄っていた警備の人が……急に倒れて……」

(;^ω^)「……!」

ミセ*゚ー゚)リ「誰かに言わなきゃって思って……急いでこっちに来たんだけど」
  _
( ゚∀゚)「何か、嫌な雰囲気だな」

('A`)「起きたのか……ちょっと見てこないか?」

( ^ω^)「急いで準備するお。あぁ、ミセリはここにいてくれお。警備兵もいるから、勝手に出ちゃ駄目だお」

ミセ*゚ー゚)リ「でも!私も踊りで……」
  _
( ゚∀゚)「駄目だ。……見てくるだけだから、な」

ミセ;゚ー゚)リ「……」

( ^ω^)「よし、行くお」

293 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/02/21(火) 01:43:07 ID:nz2A6zYQ0


ニューソク城下の裏路地。闇の中、明かりは月から降り注ぐ優しく淡い光のみ。
そこに二人の女が立っていた。彼女らの頭から足までを覆う黒いローブは、実際以上に黒く映え、
周囲に溶け込む筈のその色は、逆に目立ってしまっているようにも見える。
その足元には、この町の警備兵が、ひとつ。

(〈 、 *〉::)「あーあ……あんたのせいで足ついちゃうじゃない。どーしてくれんのよぉ」

(::〈 々〉)「あはは、あは!!殺、ころころ、殺した!!うふふふふふふふ!!!!」

(〈 、 *〉::)「はぁ……せっかくだから試しに、って連れてきたのが失敗だったわぁ……」

(::〈 々〉)「しししっし、ぱい!?失敗い、? ししししししししししししし」

(〈 、 *〉::)「……いくらマシだからって、こんなんじゃ使い物にならないわねぇ。使わざるを得ないのが痛いけど……」

(〈 、 *〉::)「んま、さっさと逃げなきゃねぇ。痕跡も消して一応ナイフで刺しといたし、馬鹿は死因はこっちだと思うでしょ」

294 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:45:24 ID:nz2A6zYQ0
( ^ω^)「動くなおっ!!」

(〈 、 *〉::)「!!」

('A`)「騎士団だ。怪しい動きをした時は斬る」

逃げ出そうとした彼女らの背後から、ブーン、ドクオ、ジョルジュの三人が現れた。
手にそれぞれの獲物を持ち、必要とあらば何時でも飛び掛ることができるだろう。
 _
( ゚∀゚)「目的は、何だ?どうしてそいつを殺した」

(::〈 々〉)「あ、あはははあ!!ももももくててえてき!!そいつ!?コイツ!?どどど都々逸?」

(;^ω^)「……何なんだお」

(〈 、 *〉::)「動きが早いのねぇ、意外に。甘く見てたわぁ」

('A`)「とりあえず、大人しくついてきてもらうぞ」

(〈 、 〉::)「嫌よぉ、怒られちゃうもの。しょうがないわぁ、疲れちゃうんだけど……」

片方の女が動いた。その動きに対応しようと彼らが身構えた瞬間、二人の女の周囲が黒く染まった。
暗くなったのではない。そこに吸い込まれそうな、漆黒が広がったのだ。

295 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:46:50 ID:nz2A6zYQ0
(〈 、 〉::)「ごめんねぇ。これ、お詫びよぉ、遊んでいってぇ。じゃあねぇ。」

(::〈 々〉)「お、おわ、おわびびび、びびびび!!」

(;'A`)「何だ!?」
 _
(;゚∀゚)「……随分お客が増えたな」

そして、漆黒が薄れたと思うと、そこに二人の姿は無く、代わりにあったのは人型の闇。それも多数。
ふらふらと蠢き、手と思わしき箇所からは武器らしきものが伸びている。

(;^ω^)「襲い掛かってくるお!!」

闇は一斉にこちらに向かってきた。
しかし動きは鈍く、返り討ちにするのは容易だと思われた。
もちろんその手に受け止められることも考慮して、一撃を加える。

('A`)「?」
  _
( ゚∀゚)「こりゃあまるで手応えが……」

( ^ω^)「……なんだったんだお?」

怪しい影に、大した実力は無かった。
数回打ち合えば、簡単に攻撃を当てられる。
人数が少々多かったが、それも大きな問題ではない。

あっという間に、周囲を囲んでいた黒い影は消え去ってしまった。
攻撃が当たると、煙のように消え去ってしまったのだ。
  _
( ゚∀゚)「あいつらは逃したか……?」

296 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:47:36 ID:nz2A6zYQ0
('A`)「!! まだだ!!」

安心しかけたところに、ドクオの声が響く。
気配がしたほうへと注意を向けると、そこには新たな影が一つ。
それは、先程まで倒れていたはずの見回りの兵士。

「あ、あ、ああぁぁぁ……」
 _
( ゚∀゚)「!! まだ生きてたのか!?」

( ^ω^)「……違うお」

兵士の足取りはたどたどしく、ふらふらとこちらに近づいてくる。
暗さのためはっきりとはしないが、表情からはとても正気だとは思えない。
涎を垂れ流し、視線はあらぬ方向を向いてしまっている。

「あ、う、うぁっ」

(;'A`)「……何をしたんだよ」

彼、いや、それは胸に刺されていたナイフを無理やり引き抜いた。
傷口からは真っ赤な血液が噴出し、足元に赤い水溜りを作る。

「う、あぁぁあ、ぁあああああああああああぁぁぁぁぁああ」

(;'A`)「くっ!!」

兵士は先程の足取りからは考えられない速さで、近くにいたドクオに切りかかる。
フェイントも何も無い、見え見えの攻撃であったため受け止めるのは容易だったが
ナイフに込められたその力は、胸に空いた傷穴からは信じられないほどであった。

297 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:48:46 ID:nz2A6zYQ0
(;'A`)「……糞っ!!」

ドクオは鍔迫り合いの状態から、受け流して兵士の体勢を崩す。
いくら力があろうとも、技術が無ければそれは大したものでは無いのだろう。
兵士は、踏みとどまることもできないようだ。そのまま地面に伏してしまった

「あ、あ、うぅ」
 _
(;゚∀゚)「……死んじまってるんだよな? この人」

(;'A`)「その筈だ……本当に、あいつ等何をしたんだ……?」

兵士は立ち上がるが、それは生きた人間では考えられないような、
何か見えない力で無理やりに動かされたように起き上がった。
そして再び襲い掛かろうと、ゆっくりこちらに向かってきている。

その表情はもはや人間とは言えないかもしれないが、どこか悲しく見えた。
  _
( ゚∀゚)「……あいつら、悪趣味だぜ……」

('A`)「…………ちっ」

( ^ω^)「……」

二人の前に、ブーンが一歩踏み出る。
斧を持つ手には力が込められているようだが、その顔に浮かんでいる感情は、分からない
無表情で、こちらに向かってくる死体であるはずの兵士と向かい合った。

298 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:49:33 ID:nz2A6zYQ0

「あああああああああああ」

怨嗟の声か、それとも悲鳴か。おぞましい叫びを上げながら兵士は走り出す。
迎え撃つブーンは、斧をゆっくりと振り上げた。





(#^ω^)「……おおおおおおぉぉぉぉッ!!!!!!!」



「あっ」





ブーンの斧は、受け止めようと構えられたナイフごと、兵士の胴体を切り裂いた。
上半身と下半身、二つに分けられた兵士の体はもう起き上がることは無い。
今度こそ本当に、物言わぬ死体となったのだろう。

299 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:50:28 ID:nz2A6zYQ0
(#^ω^)「……フーッ…………ふーっ……」

('A`)「……」
 _
( ゚∀゚)「……ブーン、落ち着いたか?」

( ^ω^)「…………あいつら、人の命を奪うだけじゃなく、その後の体まで弄んで」

( ^ω^)「……一体、何をしやがったんだお」

('A`)「わからん、何が目的なのかもな」
  _
( ゚∀゚)「とにかく、報告が必要だ。オトジャさんはいなくなったけど、フィレンクト将軍ならいるだろ」

('A`)「とにかく、戻ろうぜ」

( ^ω^)「……分かったお」

300 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:52:26 ID:nz2A6zYQ0






(〈 、 〉::)「……ふーん、急造だと全然使い物にならないのねぇ。
       やっぱり時間をかけて作らなきゃいけないのかしらねぇ。
       新鮮な体もあるならいい感じみたいだけどぉ……」

(::〈 々〉)「ゴ!!!ゴゴッゴゴッゴミ!!!!ミミミ耳ミ」

(〈 、 〉::)「……あんたと一緒ねぇ。まぁ、まだ改良する余地はあったし、いいデータが取れたわぁ」

(::〈 々〉)「一緒!!??しょっしょしょしょしょしょ」

(〈 、 〉::)「さぁ、帰るわよぉ。これから面白いことが起こるけど、あんたのせいで面倒なことになったら嫌だからぁ。
       気付かれないようにぃ、とーおいところから見物しましょ」

301 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:53:55 ID:nz2A6zYQ0


ξ゚听)ξ「……あら、あんた達」

(;'A`)「姫こそどうしたんですか、こんな夜中に」

(;^ω^)「危ないですお」

将軍の部屋へと続く城内の廊下に、真夜中であるにも関わらずツン姫が歩いていた。
聴くと何か胸騒ぎがして寝られないため、誰にも言わず抜け出して歩いていたらしい。
城内とはいえ無用心な行いに、彼女らしい、と三人は同じことを思っていた。

ξ゚听)ξ「あんた達こそどうしたのよ」
  _
( ゚∀゚)「ちょっと将軍に伝えなきゃならないことがあって……」

ξ゚听)ξ「……なんか面白そうね、教えてよ」

(;'A`)「や、急を要する話で……」

ξ゚听)ξ「教えなさいよ、私も部屋に戻るから」
 _
(;゚∀゚)「あのさぁ……急いでるんだけど」

ξ゚听)ξ「私は一応次期統治者よ。色々知っておかなきゃいけないんじゃない?」

(;^ω^)「……しょうがないお。御部屋にお送りしますから、その間に聞かせますお。
      ドクオとジョルジュは二人で将軍に話を伝えてお」

(;'A`)「……頼んだ」

302 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:55:56 ID:nz2A6zYQ0
根負けした三人はツン姫を伴い、途中で分かれてジョルジュとドクオは将軍の私室の方へ、
ブーンとツン姫は王女の部屋へと歩き出した。
その短い道中で、ブーンは先程あったことを話す。
不審な二人組、現れた影、動き出す死体。少々怒りが込み上げたが、表には出さずに飲み込んだ。
姫は一言も言葉を挟まず聞いており、話し終わる頃には既に部屋の前であった

( ^ω^)「さぁ、お部屋ですお……姫?」

ξ;゚听)ξ「……」

( ^ω^)「どうかしましたかお?」

ξ;゚听)ξ「……い、いえ?別に動く死体が怖いとか、そういうことはなくて……」

(;^ω^)「……」

ξ;゚听)ξ「……め、命令よ!!私が寝付くまで、付き添いなさい!!」

( ^ω^)「……はいですお」

ξ;゚听)ξ「寝るまでだからね!!いなくなるんじゃないわよ!!」

(;^ω^)「はぁ……」


第8章 終

303 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:56:56 ID:nz2A6zYQ0
ユニット

無し

304 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/02/21(火) 01:57:53 ID:nz2A6zYQ0
部隊表

Character
      名前       クラス        Lv 
( ^ω^) ブーン     村人        14 
('A`)    ドクオ      剣士        12 
( ゚∀゚)  ジョル      ソルジャー    12 
( ´_ゝ`) アニジャ    ソシアルナイト  10 
(´<_` )  オトジャ     ソシアルナイト  10 
从 ゚∀从  ハインリッヒ  アーチャー    9 
(,,゚Д゚)   ギコ       傭兵        11 
川 ゚ -゚)   クー       魔道士       8 
( ・∀・)  モララー    剣士        12 
( ´∀`)  モナー     アーマーナイト  10 
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ      踊り子       4 
(゚、゚トソン   トソン      僧侶        4


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