( ^ω^)蝿の王のようです('A`)

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:49:04.81 ID:U+I5jBUBO
('A`)「そりゃねぇぜ…」

俺は目の前に広がる光景を信じる事が出来なかった。否、信じたくなかった。

( ^ω^)「ところがどっこい。これは現実なんだお」

俺が脳内であらゆる現実逃避の方法を考えている途中で、見事にそれを打ち砕いてくれたこのニヤけ面。コイツの周囲には何百、いや、何千という数の蝿が飛んでいた。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:01:01.86 ID:U+I5jBUBO
('A`)「それが最近巷で噂の猟奇殺人事件の正体か」

全くもってふざけてやがる。猟奇殺人事件なんて俺には関係無い。そう思って生きてきたはずなのに、いや、そんな事考えてすら無かったな。本当に関係無いのなら大多数の人の場合、その事柄など意識の片隅にも残さないだろう。その例に漏れず俺もそうだったはずだ。

( ^ω^)「おっおっおっ。察しの良い君ならこれを見せただけで分かってくれると思ってたお」

そいつはどうも。だが俺はそれに気付く事は出来てもそっから先の反応は出来ないぜ? なんせいきなり非現実的な光景を見せつけられたんだ。それ以上に気の効いた反応は出来んだろうさ。一般人として俺の反応は間違ってないよな? 全く…

('A`)「どうしてこうなった」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:16:33.03 ID:U+I5jBUBO
時は遡る事四時間前。俺はいつものように学校への道のりを歩いていた。

( ^ω^)「おいすー。今日も不健康そうな顔だお」

不意に後ろから声が聞こえたので振り返ってみるとそこには薄汚いニヤけ面が立っていた。

('A`)「ほっとけ。俺の半径5メートル以内に近づくな。朝からてめぇの顔なんざ見てると反吐が出るぜ」

我ながら朝からよくこんな毒々しい台詞が吐けるモンだ。この場面だけ見れば俺は友人の挨拶に対して若干キツい冗談で挨拶を返しているように見えるのだろう。だが…

('A`)「日本語を正しく扱う能力が人並みにあるのなら俺に話しかけるな。目障りなんでね」

俺の言っている事は全て本心から来るものだ。俺はこのニヤけ面、もとい内藤ホライゾンに対して確かな嫌悪感を持っている。

( ^ω^)「………」

内藤が悲しそうに顔を伏せる。だが知ったことか。これ以上俺の学校に行くためのモチベーションを下げられてはかなわん。何故俺がコイツに対してこれほどまでの嫌悪感を抱いているのかだって? そんなもんは学校に登校しちまえば分かるだろうよ

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:30:10.12 ID:U+I5jBUBO
(´・ω・')「やぁドクオ。おはよう」

('A`)「おうショボン。聞いてくれよ、朝から内藤に話しかけられちまったよ。」

俺が学校に着き教室に着くや否やすぐに声をかけてきたこのしょぼくれ眉毛はショボン。勿論それが本名なわけでは無い。確か名前は…うーん、なんだっけな。

(´・ω・')「それは災難だ。でも君は何故か内藤に好かれてるようだしそろそろ慣れてきたんじゃない?」

('A`)「笑えねー冗談だ」

俺がアイツに慣れるだって? そんな事は天地がひっくり返っても有り得ないね。なんなら今日の昼食の弁当のおかずの唐揚げを賭けても良い。

(´・ω・')「おっと…」

ショボンが気難しい顔して目線の方向を変える。それと同時に教室内の空気が変わったのが分かった。視線を移すまでも無い。お前だろ? 内藤ホライゾン。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:36:42.23 ID:U+I5jBUBO
( ^ω^)「……」

教室のこの空気を作り出した張本人であるアイツは無言で自分の席に座る。このニヤけ面が。これから自分に起こる事が分からないほど馬鹿じゃないだろう。どうしてそんな顔が出来るんだ、ええ?

( ・∀・)「よう内藤。お前よくまだ学校に来れるな」

( ><)「空気が汚れるから消えるんです」

ほら来た…

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:42:04.04 ID:U+I5jBUBO
( ^ω^)「僕は…っぶひぇっ」

もごもごと何か言いかけたようだが遅かったみたいだな。毎朝恒例の事だからもう眉一つ動かなくなっちまった。

( ^ω^)「あわ…あわわわわ」

殴られた内藤はそのまま椅子ごと吹っ飛び、床に尻餅をついて怯えている。お前も良い加減慣れろよ。俺は慣れたぜ?

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:51:35.03 ID:U+I5jBUBO
( ・∀・)「口を開くなゴミ」

俺も人の事言えねぇがお前もかなり性格悪いよな。委員長のモララーさんよ。

( ><)「殴られた事によってモララー君に触れられた事に感謝するんです」

お前もだよモララーの腰巾着のビロード君。俺はお前みたいなヤツが大っ嫌いだよ。俺自身を見てるみたいだからな。

('A`)「えげつねぇな」

(´・ω・')「君がそれを言うのかい?」

的確な突っ込みをありがとよ、しょぼくれ眉毛。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:01:29.15 ID:U+I5jBUBO
見ての通りニヤけ面もとい内藤ホライゾンはイジメに遭っている。しかもイジメの主犯格がクラスの中心的存在であるモララーだ。文武両道、容姿端麗、神が人類におけるパラメータ配分を間違えたんじゃないか。誰もが一度はアイツを見て思うだろう。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:04:55.84 ID:U+I5jBUBO
そんなパーフェクト超人を敵に回してタダで済む筈が無いのは火を見るより明らかだ。だから俺達凡人は…

('A`)「今日も精が出るなモララー。委員長としてクラスのゴミ掃除は当然ってかwww」

( ・∀・)「言うようになったなドクオwww」

一言で言うなら便乗。いや、保身とも言うかな?

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:09:56.14 ID:U+I5jBUBO
凡人である俺はモララーに目をつけられるのを恐れ、ヤツに同調し保身に走っている。悪いか?もし悪いなんて言う馬鹿がいるならこの状況を改善する方法を小一時間問い詰めたいね。

(´・ω・')「いくら自分の身が大事だからって煽る事もないだろう。我関せずの姿勢こそベストなんだよ」

俺だけに聞こえるようにショボンはぼそりと呟いた。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:16:23.93 ID:U+I5jBUBO
何を言うかこのしょぼくれ眉毛。我関せずの姿勢が利口だって? 馬鹿馬鹿しい。
このクラスという領域内でモララーという存在が絶対的なのは明らかだろう。
それじゃあお前の選択がベストとは言えないな、何故なら。

('A`)「お前の選択は不確定要素が多く、人間関係のバランスが不透明な環境でこそベストになりうるモンだ」

だから

('A`)「それはベストではなくベターな選択だな」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:21:17.29 ID:U+I5jBUBO
(´・ω・')「君の話はタメになるが頭が痛くなるね。このブラックストマックが」

('A`)「お互い様だな。このブラックストマックが」

小声でそんな事を言っているうちに担任のモナーがやって来た。
もういっそずっと教室にいろよアンタは。そうすりゃ俺は自分の身を守るためにこんな面倒なやりとりをしなくて済むんだからさ。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:25:48.51 ID:U+I5jBUBO
モナーが来てからはクラスの空気は平穏なものになった。
お前らホントにそういう能力には長けてるんだなゴミ虫共が。

('A`)「寝るか」

モナーが猟奇殺人事件の発生に関する注意を呼びかけているがそんなモンには興味無い。
昼休みには起きるから誰も起こしてくれるなよ。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:35:21.87 ID:U+I5jBUBO
('A`)「…ん?」

背中に違和感を感じて起き上がり、真っ先に時計を見た。
12時過ぎか。宣言通りにはいかないモンだな、最近は眠くて眠くて…と下らない事を考えつつも背中の違和感の正体を確認しようと俺は振り返った。

( ^ω^)「……」

('A`)「……」

ゴミ虫が俺のブレザーをつまんでやがるではないか。
秒の判断でその手を払いのけて俺は周囲を見渡す。

「…………」

皆さんだんまりですか。
俺だって好きでこんな状況作ったわけじゃないんだぜ?

('A`)「何の用だゴミ虫。気安く俺に触れたからにはそれなりの理由があるんだろうな」
まぁモララーならこんなこと言うだろ。
俺は適当な言葉をチョイスして内藤にぶつけてやった。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:41:08.62 ID:U+I5jBUBO
( ^ω^)「ついてきて欲しいお」

('A`)「断る」

我ながら見事な即答だったな。なんで俺がヤツの言うことを聞かねばならんのだ。
もうね、アホかと。
コイツはまだ自分の此処での立ち位置に気づいてないのか。

( ^ω^)「ついてきて欲しいお」

ふぉわっつ?

( ^ω^)「ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:48:10.90 ID:U+I5jBUBO
(;'A`)「分かった…」
なんだよコイツ。壊れたってレベルじゃねーぞ。
もう何か犯罪が起きそうな臭いしかしねぇよ。俺、もしかして…

殺されるんじゃねぇか?

( ^ω^)「ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。ついてきて欲しいお。」

(;'A`)「分かったって言ってるだろ! てめぇ殺されてぇのか」

ドスの聞いた声を出そうと努めたがそれは失敗に終わった。
微妙に裏返った情けない声が頼りなく教室に響いた。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:59:12.96 ID:U+I5jBUBO
('A`)「こんなとこに連れて来てどうするつもりだ?」

( ^ω^)「ベルゼブブって知ってるかお?」

この野郎、俺の質問は華麗に無視か。
ベルゼブブなら名前ぐらいなら知っている。
だが、体育館裏でする話じゃないだろう。

('A`)「お前はオカルト話をするために俺をここに連れて来たのか?」

俺は思った事をストレートに言ってやった。
誰しもが疑問に思うところだろうからな、そうだろ?

( ^ω^)「僕の質問が理解出来ないのかお?」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 05:08:22.85 ID:U+I5jBUBO
('A`)「調子に乗ってるみてぇだな…」

( ^ω^)「おっおっおっ」

何が可笑しいんだニヤけ面。
その面、整形不可能なまでにつぶしてやるよ。

(#'A`)「おらぁっ!」

俺の拳は内藤の頬を捉える…筈だった。

.:ω゜)「調子に乗るなよ俗物」

地獄の底より響くような声。
いや問題はそこじゃない。何でだ。何でなんだ…

何で俺の拳は蝿の塊の中に埋まっているんだ…

(;'A`)「うわあぁぁああああ!!」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 05:17:33.51 ID:U+I5jBUBO
.:ω^)「君の立場は理解出来たかお?」
(.^ω^)「これで僕の話を聞いてくれるのなら」

( ^ω^)「この力を見せて良かったお」
('A`)「………」

見間違いじゃねぇ…
見間違いじゃねぇぞ…
アイツの頬が蝿の大群になった。
蝿になりやがった…!

('A`)「夢であってくれ…」

俺は心の底からそう願った。

( ^ω^)「この力で僕は君を殺す事が出来る。でもしないのは話を聞いて欲しいからだお」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 05:25:56.21 ID:U+I5jBUBO
('A`)「手短に願おうか」

まだ虚勢を張る余裕があるんだな。グッジョブ俺。

( ^ω^)「僕は魔王の力を持っている」

簡潔でありがたいね。
まだ自分には余裕がある事に気付くなり、俺は冷静に状況を分析しつつあった。

('A`)「おいおいコイツぁ」

猟奇殺人とやらもコイツの仕業だろうな。
至る所に蝿、蝿、蝿。
特に内藤の周りはもう見れたもんじゃない」

( ^ω^)「驚いたかお?」

此処でようやく時系列が当初のものに至るわけだ。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 05:32:00.33 ID:U+I5jBUBO
( ^ω^)「どうしてこうなったかというと…」

間を置いて一言。

( ^ω^)「君は選ばれたからだお」

('A`)「は?」

まともに会話をしたのはこれが初めてだったな。
これがまともか否かは別として…
コイツのこの一言から俺の人生はとんでもないベクトルへ進むことになる。
まったく……
運命なんて言葉で片付けていいもんかね。


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