- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:52:40.72 ID:uswywmFVO
第二話「魔王進行」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:54:07.71 ID:uswywmFVO
- ('A`)「ふわぁーあ…」
内藤の協力依頼、もとい脅迫を受けてから二日経った。
かといって俺の日常は想像していたよりも常軌を逸した物にはならず、この上無い程安定した時が流れていた。
('A`)「このまま何も無ければ一番良いんだがな…」
「何のことだい?」
俺が恐らく有り得ないであろうifを呟いていると不意に後ろから声が聞こえた。
全く、目障りな時はとことん目につくのにこんな時は気配も感じられんヤツだ。
('A`)「盗み聞きとは良い趣味してるじゃねぇか、しょぼくれ眉毛」
(´・ω・')「お誉めに預かり光栄だね。けどそれは誤解だ、とだけ言っておこうか」
いちいち鼻につく喋り方をするヤツだ。
まぁ俺も人の事言えないんだろうがな。
('A`)「何で授業の合間の休憩時間にまでお前と面つき合わせてないといけないんだか…」
(´・ω・')「最近ますますつれない性格になったね。二、三日前ぐらいからかな?」
そりゃ状況が状況だからな。
お前みたいに中途半端に察しの良いヤツは、今の俺に言わせれば邪魔以外の何者でもないんだよ。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 20:57:17.23 ID:uswywmFVO
- (´・ω・')「まぁ僕には関係無い事なんだろう? 深く詮索するつもりは無いさ」
ところがどっこいショボン君。
突き詰めて言えばこれは全人類いや、地球上の有機生命体全てに関わる事なのだよ。
まぁコイツに話したところで信じないだろうし言う気も無い。
というより俺にはこの件に関して他言する権利が無いからな。
('A`)「まぁそういう事だ。俺は昼休みまで寝るから話しかけるんじゃねぇぞ」
(´・ω・')「はいはい。それじゃ良い夢を」
まぁ正直言うと、今ヒラヒラと手を振りながら自分の席に戻ってゆくしょぼくれ眉毛に全てを打ち明けたい気持ちが無いことも無い。
だがそれは叶わぬ願いだ。
何故かって? それは先程も言ったが俺には喋る権利が無いからだ。
俺にこの制約をかけたのは他でもない内藤ホライゾン。
こうなった原因、つまり二日前内藤が魔王モード(仮)を発現させた後の回想でもするとしよう。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:00:01.94 ID:uswywmFVO
- (;'A`)「分かった…分かったから怒らないでくれ」
俺の目の前には、脳味噌が半分消し飛んでいるのではないかと疑う程狂った眼光を向ける内藤がいた。
( ゜ω゜)「怒ってなんかいないお。ただ僕は悲しいんだお。せっかくの玩具を取り上げられたような気分だお」
じゃあ俺はさしずめ成績不振のため、親から取り上げられたゲームソフトってとこか…
って! そんな事はどうでも良い。
考えろ俺。内藤を鎮めないと手前の命はねぇぞ。
( ゜ω゜)「何を考えてるんだお?」
('A`)「…あ……ぅ」
そうか。コイツは俺が無意識でとる動作、つまり癖を見る事には抜群に長けている。
俺の考えは筒抜け、とまではいかなくとも下手は打てないという事か。
( ゜ω゜)「僕は君の事を信用したいお。お互いこんな境遇じゃなければ僕らはきっと友達になれたお。だから…」
('A`)「………」
( ゜ω゜)「腹を割って話す事を知れお。休むなんて言い訳を使って良からぬ事を考える事は許さないお」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:03:04.49 ID:uswywmFVO
- 友達になれた、か…
それこそ俺に言わせりゃくだらないifだな。
所詮世の中は全て結果論だ。
もう起こり得ない事をどうこう言って知ったような事を言うんじゃねぇよ…
(#'A`)「てめぇの下らない戯れ言なんざ聞きたかねぇよ!」
( ゜ω゜)「………」
(#'A`)「力で俺を脅しておいて言う事はそれか? ちゃんちゃらおかしいぜ! 少しでも俺と解り合う気持ちがあるんならその理不尽な言動を省みるんだな!」
言いたい事を好き勝手にブチ撒けたおかげか、俺の脳内が段々とクールダウンしていくのが分かった。
「死にたいのかお?」
('A`)「んなわけあるか。ビビり過ぎて足がガクガクだぜ」
緊張や恐怖は確かにある。
だがその中に安堵感があるのも確かだ。
まぁ、安堵感が芽生えるのも無理無いね。
何故なら…
('A`)「やっと元に戻ったか…」
( ^ω^)「人を満月を見たサイヤ人みたいな言い方するんじゃないお」
内藤がいつものにやけ面に戻ったからな。
だか内藤。お前はある意味サイヤ人よりタチが悪いぜ?
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:06:13.55 ID:uswywmFVO
- ( ^ω^)「まぁ君の腹の内が少し分かった事だし、今は嬉しい限りだお」
('A`)「そうかそうか。じゃあ早速帰ってくれ」
( ゜ω゜)「」
('A`)「何でもないですごめんなさい早速昼の話の詳しい部分を話して下さい」
洒落にならんから本当に止めて欲しい。
上手く扱われているようで腹が立つ。
( ^ω^)「今君の扱い方が良く分かった気がするお。まぁそんな事はどうでも良いお」
断じて良くない。
これは俺にとっては死活問題だ。
これから先、何回もこのやり取りを繰り返さないといけないと思うと、正直胃が痛くなる。
内藤は俺がそんな事を考えていると知ってか知らずか、ブレザーの胸ポケットの中をゴソゴソと探っている。
( ^ω^)「はいお」
('A`)「………ん?あぁそういう事か」
内藤が胸ポケットから取り出したのは携帯電話だ。
それを突きつけてきた内藤の意をすぐに汲み取り、俺は自分のケータイを赤外線通信の画面を開きつつ、内藤のケータイに向けて突き出す。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:09:44.13 ID:uswywmFVO
- ( ^ω^)「おっ。連絡先の交換も終わったし、言う事は後一つだけだお」
('A`)「そうなのか?」
それならいちいち俺の家の前で待ち伏せする事もなかろう。
コイツは俺に心労をかけるのがよっぽど好きみたいだな。
( ^ω^)「とりあえず…この辺で人通りが少ない、かつ広い場所はあるかお?」
('A`)「お前もこの辺りに住んでんなら分かるだろ。裏のコンビニの向こうの廃工場がベストだ」
( ^ω^)「優秀な君の指示を仰ぎたかったんだお」
皮肉かそれは。
ちなみに廃工場というのは最近潰れた大手企業の下請けだった所だ。
親会社が潰れるに伴って使われなくなったってところだな。
閑話休題、話が脱線してしまったな。
それにしてもコイツは何の話をするつもりなんだ?
人通りはともかく、広さに関しては拘る事も無いんじゃないか?
( ^ω^)「先に言っておくお。これから話す事は僕の力についてだお」
('A`)「なるほどね…」
大方これから起こる事が分かった気がする。
頼むからうっかり俺を殺す真似だけは止めてくれよフリークス。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:13:07.57 ID:uswywmFVO
- ('A`)「さて…」
場所は変わって廃工場。
電力も落ちていて薄気味悪い空間がそこには広がっていた。
夜中はその辺の不良共が溜まってそうだな。
('A`)「サクサクいこうぜ。わざわざこんな所に連れて来た理由は分かってんだ」
( ^ω^)「おっおっ」
待ってましたと言わんばかりに内藤は手を翳す。
するとその部分に蝿が一匹、また一匹と集ってゆく。
('A`)「………」
集ってきた何千もの蝿が一所に凝縮されてゆき、黒い球体が形成された。
ちょうどバスケットボールぐらいの大きさか。
( ^ω^)「爆ぜろ」
内藤が手を一振りする。
すると黒い球体は俺の真横を時速100km/h程の速度で通り過ぎ、壁へぶつかった。
その瞬間、壁は小規模の爆発音を立てて崩れ落ちていった。
('A`)「それが昼間のヤツの正体か」
( ^ω^)「あの時より若干威力は高めてあるお。フルパワーなら厚さ五センチの鉄板もブチ抜けると思ってくれて良いお」
そりゃとんでもだな。
そんなもんを一度ならず二度までも俺の真横めがけてぶっ放したのか。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:19:42.87 ID:uswywmFVO
('A`)「いちいち俺の近くに投げるのに意味あんのか?」
( ^ω^)「次いくお」
無視かこのヤロ。
( ^ω^)「何か手頃な物は……あぁ、そこの鉄骨を見ててくれお」
('A`)「鉄骨ぅ?」
まぁ見てろお。と言って内藤は再び手を翳す。 今度は鉄骨に向けてだ。
( ^ω^)「暴食…」
蝿が鉄骨に集まってゆく。
それもまた何千もの大群だ。
('A`)「跡形も無く消えましたってヤツか?」
( ゜ω゜)「黙って見てろ」
('A`)「分かりましたごめんなさいすぐ死にます」
一瞬だけ魔王モード(仮)になった内藤から目を反らすため、再び鉄骨に目をやると…
('A`)「何なんでしょうねこれは」
そこには黒い鉄骨、いや黒い蝿に覆われた鉄骨があった。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:21:09.70 ID:uswywmFVO
- ( ^ω^)「こんなもんかお」
内藤がパチリと指を鳴らす。
すると鉄骨を覆っていた蝿は跡形も無く消え去った。
('A`)「溶けた…?」
そこにあった鉄骨は鈍色の液体になっていた。
あの蝿には酸でも混じってやがったのか?
( ^ω^)「腐らせたんだお」
('A`)「はぁ?」
鉄を腐らせる?
全くもって意味が分からん。
蝿の能力が凄いのは分かった。
だかな内藤、いくら何でも世界の物理法則を歪めるのはやりすぎだと思うぞ?
( ^ω^)「疑うなら匂ってみろお」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:24:01.89 ID:uswywmFVO
- ('A`)「どれ…」
言われた通りにその液体に顔を近づけ、臭いを嗅いでみる。
(・A・)「」
( ^ω^)「理解したと見て話を進めるお」
殺意だけでいうなら今の俺は魔王モード(仮)の内藤にも勝てそうだ。
しかし何なんだこの臭さは…
生ゴミを一世紀放っておいてもここまではならないと思うがな。
( ^ω^)「鉄を腐らせる。まぁ常識的に考えてそれは不可能だお」
確かにな…じゃあこの状況はなんだ?
( ^ω^)「だけど僕の力に物理的法則は一切通用しないお」
さいですか。
過去の偉人達の苦労をこうも見事に一蹴出来るのは、世界中のどこを探してもお前だけだろうな。
( ^ω^)「鉄を腐らせたい。僕がそう思う気持ちさえあればこんな事も出来る」
言いながら内藤はドロドロに溶けてしまった液体を指す。
なるほどね。
段々頭が回ってきたぜ。
('A`)「お前が力を発動させれば物理法則はそれに通用しなくなる…つまりだ。お前の力に抵抗しうる自然的要素の無効化。それも含めてお前の能力ってことか」
( ^ω^)「百点満点だお」そいつぁどうも
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:27:22.34 ID:uswywmFVO
- ( ^ω^)「これらの能力を使って僕が指定する条件下で人を殺す。その為の案を君に考えてもらうお」
('A`)「それで服従…いや、協力か」
服従か、と言いかけたが止めた。自分でそれを言ってしまっては俺の自尊心はどうなる。
こんな下らない事を考える辺り、俺は下らないプライドが高い人間なんだろうな。
( ^ω^)「それと…僕と君の間で制約を決めておくお」
('A`)「手短に願おうか」
これぐらいの要望なら聞いてくれても良いだろう。
良い加減、俺も疲れてきた。
( ^ω^)「君はこの事を他言するな。僕を出し抜こうとするな。自分の立場を理解しろ。それだけだお」
('A`)「制約…というより一方的な命令だな。それを破ったら…」
( ^ω^)「死、あるのみだお」
ですよねー。
最後のはともかく、最初の二つはほぼ大丈夫だろうな。
だが何にしても用心し過ぎって事は無いだろう。
それなりの心構えはしておくか。
( ^ω^)「今日のところはそれだけだお。殺すターゲット、日時、場所が決まったら逐一報告するお」
('A`)「はいはい。んじゃ俺は帰らせてもらうよ」
( ^ω^)ノシ「ばいぶー」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:28:32.16 ID:uswywmFVO
- すみません。ケータイの充電が切れそうなので一時間程間が空きそうです
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:31:48.37 ID:uswywmFVO
- 呼び出す時は強引極まりないくせに帰らせる時はあっさりなんだな。
まぁ良いさ、内藤からの指示が無い限り俺が考える事は無い。
今度こそゆっくり休ませてもらうさ。
さて…
('A`)「帰って寝よ…」
殺人依頼、ベルゼブブ、腐敗の力。
やれやれだ。今日だけで俺の脳味噌のスペックじゃあ到底把握しきれないような事ばかり起こりやがった。
('A`)「ただいまーっと」
考え事をしていると時間ってのは早く過ぎるもんだな。
そうこうしてる内に家についた。
('A`)(誰もいない……か。まぁいつもの事だな)
俺の家は親は共働きで兄弟はいない。
思春期の学生達には羨ましい環境だがそれを意識しなくなったのはいつからだろうな…
('A`)「……………」
まぁ俺にも色々と思う事はある。
俺自身の命にも関わる事だしな。
だけど…
('A`)「寝る…!」
そのまま数分もしない内に俺の意識は微睡みの中に溶けていった。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:40:33.85 ID:uswywmFVO
- 以上、回想終わり。
ぐだぐだと回想している内にもう授業が始まったみたいだ。
英語教師のデミタスが教卓越しに何か言っている。
知ったこっちゃない。
こんな授業聞いても聞かなくても差し支え無いだろう。
それより俺は眠たいんだ。
今度こそ寝よう。
昼休みまで誰も起こしてくれるなよ。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:42:19.20 ID:uswywmFVO
- ('A`)「ぼるどぅるぁーあ…」
昼休み開始から10分オーバー。
寝ても寝ても足りないのは俺のデフォ設定なのかもな。
(´・ω・')「今の何?もしかして欠伸だったりする?」
('A`)「そーだよわりーか」
コイツは俺以外に話すヤツはいないのか?
まぁ激しくどうでも良い事だが俺も人事とは思えないところもあるので、ここでスルースキルを発動させる訳にはいかない。
('A`)「そうだ。図書室で調べたい事があるんだ。お前もちょっと付き合えよ」
(´・ω・')「君の方から誘いが来るなんてね。明日は蝿の雨でも降るのかな?」
笑えねー、笑えねーよ。
こうも無自覚に核心をつくヤツが他にいるだろうか。
後学の為にもその察しの良さの秘密でも聞きたいね。
('A`)「来ないなら一人で行くぜ?」
(´・ω・')「分かってるんだろ?僕も行くさ」
正直言うなら、コイツが来てくれると助かる。
このしょぼくれと俺が一緒にいる限りは内藤もむやみやたらに接触してきやしないだろう。
この件のカタがついたら、しょぼくれには飯でも奢ってやるか。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:45:05.01 ID:uswywmFVO
- (´・ω・')「で、何について調べるんだい?」
('A`)「猟奇殺人事件」
図書室に入るや否や話しかけてきたショボンの問いに、俺はぶっきらぼうに答えた。
(´・ω・')「あぁ、最近この辺りで起こってるあれか……」
そうだ。と短く答え、俺はこの部屋の一角にある新聞コーナーへ向かう。
(´・ω・')「そんなの調べてどうするつもりだい? 犯人でも検挙するつもりかな?」
いちいち五月蠅いヤツだな。
やっぱり連れて来たのは間違いだったか。
('A`)「お前にゃ関係無い事だよ。良いからここ一ヶ月分の新聞を集めるぞ」
(´・ω・')「はいはい」
コイツが喋らなくなったらきっと誰よりも順応な駒になりそうだな。
素直に言う事を聞くのは良いが、なんせ口数が多過ぎる。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:48:52.66 ID:uswywmFVO
- (´・ω・')「これで全部だよ」
('A`)「ごくろーさん」
色んな新聞社の記事を一ヵ月分も集めりゃ、かなりの数になるもんだな。
今、俺とショボンの目の前にはこれでもか、と言うほどに積み上げられた新聞紙の山がある。
('A`)「じゃあ猟奇殺人事件の記事があるのだけこっちに渡してくれ」
(´・ω・')「把握した」
ショボンにそう指示を出して、俺は早速一枚目を手に取る。
('A`)「ビンゴ」
そこにはデカデカと一面に取り上げられた殺人事件の記事があった。
内藤よ。一介の高校生であるお前はここまで世間を騒がしてるんだぜ?
自覚してるんならやっぱりお前はかなりぶっ飛んだ野郎だよ。
(´・ω・')「どうしたんだい? 身内が殺人事件でも起こしたような顔してるよ」
黙ってろしょぼくれ。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:50:48.30 ID:uswywmFVO
- 結果から言うと、猟奇殺人事件についての記事はあまり多くは無かった。
それでも参考になった事は多い。
先ず第一に死体の状況だ。
かなり腐敗が進んだ死体が多い事から犯人は内藤で間違いない事が分かる。
それだけじゃない。
恐らく内藤の力は物を腐らせる力が主流のはずだ。
腐乱死体が全体の八割を占めているのに対して、内藤があの黒い球体を使って殺したであろう爆発死体はかなり少ない。
新聞の記事一つ取っても色々見えてくるもんだな。
(`A')「こんなもんか…」
(´・ω・')「ホントに何なんだい? 最近の君の行動は理解に苦しむよ。と言っても教えてくれないんだろうね」
(`A')「分かってるなら聞くな」
まぁこれだけ言っとけばそれ以上は深入りしないのがコイツの良いところなんだがな。
さて、そろそろ教室に戻るとするか。
今日初めて行動らしい行動をしたから眠くて敵わん。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 21:58:10.91 ID:uswywmFVO
- それからの事は言うまでも無いだろう。
完璧に睡眠モードに入った俺は、午後の授業どころかホームルームの間もぶっ通しで寝続けた。
そして友人(仮)であるしょぼくれ眉毛と一緒に帰り、俺は現在、誰もいない自分の家の居間でぼんやりとテレビを見ている。
('A`)「俺が殺人事件の片棒を担いでるって知ったら母ちゃん何て言うんだろうな…」
俺が親だったら息子が殺人に関与してるって分かっただけで卒倒するだろうな。
何にしてもこの件は隠密に進めたいんだが……
まぁそれも内藤次第だろうな。
('A`)「…………」
何気なくケータイの電話帳画面を開いてみる。
内藤ホライゾン…
何だかんだでまだ一回もコイツから電話かかってきて無いんだよな。
と思い、ケータイを閉じようとした瞬間。
初期設定のままの嫌に耳につく着信音が鳴り響く。
('A`)「全てはここから…ってか?」
着信:内藤ホライゾン
まぁこのまま終わるはずが無いよな。
俺は一呼吸おいて通話ボタンを押した。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 22:08:14.57 ID:uswywmFVO
- ('A`)「留守番電話サービスセンターに接続します…」
「馬鹿な事言ってるとそのケータイ腐らせるお」
全く、コイツには冗談ってもんが通じないのかね。
怪物と常に気を張って話す一般人の気持ちも考えて欲しいもんだ。
「君はホントに要領が良いお」
('A`)「何のこっちゃ」
「惚けるなお。あのしょぼくれ眉毛と一緒にいたのは僕を近付けないようにするためじゃないのかお?」
気付いてやがったか。
まぁ俺が逆の立場でも気付くだろうし、はっきり言って想定の範囲内なんだがな。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/08(日) 22:09:46.69 ID:uswywmFVO
- ('A`)「お前は学校での自分の立ち位置を分かってないのか? いじめられっ子と話してたら俺まで巻き込まれるじゃねぇか」
「屑人間の発想だおwww」
そこまでツボにはまるような事を言った覚えは無いんだがな。
電話越しに内藤の高らかな笑い声が聞こえる。
('A`)「で、要件は何なんだ」
自分の発言をここまで嘲笑されるのは正直気分が悪い。
俺はさっさと話を本軸に切り替える事にした。
「殺しのターゲットが決まったお」
きた…
「ターゲットの名前は津出 麗子。僕達が通う高校の二年八組の生徒だお。時間は今日から三日以内、条件は……喜びの中で死なせる事」
('A`)「把握した」
俺は短く了承の返事をし、電話を切った。
ついに来たか。
それにしても喜びの中で、とはどういう意味なんだ?
まぁ何にしても…
(;'A`)「全てはここから……だな」
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