- 4 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 20:56:04.68 ID:Nzt16H3sO
てっこらてっこら。
森を歩いていた足が止まって、もうしばらくになる。
その理由は、亀裂。
地面に出来た大きな裂け目が、ミセリ達の行く手を阻んでいるのだ。
あの後、もう一晩泊まってからネーノが村へと戻っていった。
ネーノが帰ってから少しし、ミセリ達もレモナの元から離れて旅を再開した。
三人の間にあった異様な溝がやっと埋まって、皆がすっきりした顔。
旅立つ時、レモナは大きめの包みと薬をミセリに渡し
「このまま進めば、本物の魔女に会える。その魔女なら何とかしてくれるかも」
と言う情報を与え、ミセリ達を見送った。
その顔はひどく清々しい笑顔で、近々モナーに顔を見せるとも言っていて。
話を聞き、見ているだけだったミセリ達も、なんだか嬉しくなったもので。
そんな事を思い出しながら、ミセリはネーヨの上に座り、溜め息を吐いた。
- 8 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:00:08.39 ID:Nzt16H3sO
ミセ*゚ー゚)リ「進めないねー……」
( ´ー`)「進めネーヨ」
<ヽ`∀´>「もう諦めて泳ぐニダ?」
( ノAヽ)「あ、サカナめっけたノーネ」
( ∵)「ゴェ」
ミセ*゚ー゚)リ「平和だなー……」
( ´ー`)「現実逃避すんなヨ」
地面に走る亀裂。
それは森を二つに分けるかの様に深く、広い。
水が溜まっているその亀裂は、跨いで渡れる様な広さではなく、
しっかり泳がなければ、対岸に辿り着けない距離がある。
のんびり歩いて進んでいたミセリ達は、その亀裂を前に足を止めるしかなく
もうその場に立ち止まって、まる一日が経っていた。
そろそろ動かなきゃねーだ何だと言いながら
ミセリがネーヨの背から降りて、亀裂を覗き込む。
- 10 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:04:03.60 ID:Nzt16H3sO
透き通る水で満たされたその空間。
手を水の中に入れれば、ひんやりとした柔らかさが手を包む。
濡れた手を舐めてみると、その水は塩っぽい味がした。
塩水がなんでこんなところにあるんだ、と小さな疑問を抱いたものの
まぁこの森なら何でもありか、とすぐに疑問を投げ捨てる。
時折小さな魚が横切るのを目で追いながら、よっこらせとミセリが立ち上がった。
ミセ*゚ー゚)リ「しょーがないなー……泳ぐかー……」
( ノAヽ)「泳ぐノーネ?」
( ´ー`)「他に渡りようがネーヨ、迂回できる距離じゃねーしヨ」
(;ノAヽ)「……ノーネ、泳げないノーネ……」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリもだから大丈夫!」
(;ノAヽ)「よけー大丈夫じゃないノーネ……」
( ∵)「ゴェ?」
( ´ー`)「オマエは俺に乗ってれば良いヨ」
- 12 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:08:05.56 ID:Nzt16H3sO
取り敢えず服は脱がなければ、と言う事に気付いたミセリが
襟巻きとマントを外し、ネーヨの腰に固定した荷物の中に突っ込む。
その時、レモナに貰った包みを見て、首を傾げた。
ミセ*゚ー゚)リ「……ね、これって何?」
<ヽ`∀´>「薬じゃないニダ?」
( ノAヽ)「これゼンブは多すぎなノーネ、開けてみるノーネ」
ミセ*゚ー゚)リ「よっし来た、開けるよー!」
( ∵)
( ´ー`)「おー」
風呂敷包みの様なそれの結び目をそっとほどき、布を広げて行く。
皆が興味津々にミセリの手元を覗き込んでいると、姿を現した物。
それはつるりとした素材で出来た、服だった。
- 15 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:11:28.23 ID:Nzt16H3sO
- 包みの中から出てきた服をミセリがつまんで、持ち上げる。
ぴらりんと広がったそれは、フリルがたっぷりあしらわれた
上半身につける下着の様な形をしていた。
胸に縫い付けられたリボン、フリルがメインの下着みたいな服。
それを見たミセリは、ぱぁっと顔を輝かせる。
ミセ*゚ヮ゚)リ「かっわいいー!! 何これ、何これっ!?」
( ノAヽ)「ぴらぴらしてるノーネ……」
<ヽ`∀´>「大きさ的にミセリのみたいニダ……ん?」
( ´ー`)「大きさが合っても俺らはオスだからひらひらは着ネーヨ……」
ひらひらの女の子らしい、白の上下。
大きさやデザインからしてミセリの物らしく、ミセリは嬉しそうにはしゃぐ。
首を傾げたニダーが服に手を伸ばし、その手が他の服を掴んだ。
ぴろ、と引きずり出されたのは、オレンジと白の横縞模様。
ニダーがそれを広げてみれば、その服は袖無しのツナギの様な形。
少し微妙な顔をしてから、おずおずと自分の体に合わせる。
オレンジと白の袖無しツナギは、ニダーにぴったりの大きさだった。
- 16 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:14:54.74 ID:Nzt16H3sO
<;ヽ´Д`>「……ウリのみたいニダ……」
(;ノAヽ)「うわ、これノーネのも同じ見た目なノーネ……」
( ´ー`)「オスには容赦ネーヨ、あいつ……」
ミセ*゚ー゚)リ「イイじゃんイイじゃんスゲーじゃん!」
(;ノAヽ)「ミセリだけヒイキなノーネ……」
ミセ*゚ヮ゚)リ「ほら、ミセリ女の子だから☆」
( ∵)「ゴェェ」
ミセ*゚ー゚)リ「なんかビコに否定された気がする」
(∵ )
<;ヽ´Д`>
- 18 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:18:43.06 ID:Nzt16H3sO
結局、包みから出てきたのは四着の服と三つの帽子だった。
ミセリ用の服と、ノーネニダービコーズの服と帽子。
各々がそれを持って、不思議そうに頭を左右に揺らしていた。
ミセ*゚ー゚)リ「……つか、何で服?」
( ノAヽ)「知らんノーネ、イメチェンなノーネ?」
<ヽ`∀´>「今さらそれはないと思うニダ」
( ∵)「ゴェ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、ビコ似合う」
(*∵)
( ノAヽ)「ノーネも着るノーネ」
<ヽ`∀´>「折角だからウリも着るニダ」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしも!」
( ´ー`)
- 21 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:22:09.57 ID:Nzt16H3sO
ミセ*゚ー゚)リ「ネーヨ? どした……ぁ」
<ヽ`∀´>「あ…………」
( ノAヽ)「…………」
(;´ー`)「いや、き、気にしてネーヨ! 俺でけーしヨ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ごめんねネーヨ……デリカシーなかった……」
<ヽ`∀´>「ごめんニダ、ちょっと舞い上がって……」
( ノAヽ)「悪かったノーネ……」
ミセ*゚ー゚)リ「着るの、やめとこっか……」
<ヽ`∀´>「そうニダね……」
( ノAヽ)「ノネ……」
(;´ー`)「やりづれぇぇぇ!! 着ろヨ! もう着ろヨ!! 気にすんなヨ!!」
- 26 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:26:14.18 ID:Nzt16H3sO
( ∵)「ゴェ」
ミセ*゚ー゚)リ「ん? 風呂敷がどったの?」
( ∵)「ゴェェ」
<ヽ`∀´>「あ、これ……」
何とも言えない空気が漂い始めた時、ビコーズが服を包んでいた布を引っ張った。
それを見たミセリが不思議そうに布を持ち上げれば、その布は奇妙な形をしていて。
ばさりと広がった布は、大きいながらも、
ノーネやニダーが持っている帽子と、同じ形をしていた。
そしてその内側に挟まれていたらしきメモが、ひらりと。
( ノAヽ)「んぁー、っと……なになに。
きょーりゅーくんのみずぎはつくれませんでした、ごめんね。れもな」
( ´ー`)「みずぎ……? と言うか、帽子で包んでたのかヨ……」
<ヽ`∀´>「お、ちゃんとかぶれそうニダ! ネーヨかぶってみるニダ!」
( ´ー`)「は、はいはいヨ……」
- 29 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:30:15.49 ID:Nzt16H3sO
布の帽子には、一番小さいもの以外に耳を出す穴があいていた。
顎の下で結んで止めるらしい紐がついたそれを頭に乗せて、ネーヨが耳を出す。
そして顎の下で紐をきゅっと紐を結べば、古風な水泳帽の装着が完了。
それに続いて三人がツナギを着直し、帽子をかぶる。
ミセリに手伝われながら着替えを済ませた二人が、不思議そうな顔をする。
( ノAヽ)「ふく、変な感じなノーネ……」
<ヽ`∀´>「ウリもぴったりした服は初めてニダ……」
( ´ー`)「帽子すら初めてだヨ」
( ∵)「ゴェ」
( ´ー`)「オマエ違和感ネーヨ」
オレンジと白の横縞に包まれた三人、帽子をかぶった四人。
その姿は少し異様で、少しだけ面白かった。
- 32 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:34:07.51 ID:Nzt16H3sO
ミセ*゚ー゚)リ「んじゃわたしも着替えてくんねー」
( ノAヽ)「はいよー」
<ヽ`∀´>「アイゴー」
( ´ー`)「それは違う」
( ∵)「ゴェ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、覗かないでよ?」
( ノAヽ)、 ペッ
( ´凵M)、 ペッ
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「ド失礼だぞあんたらっ!!」
<;ヽ´Д`>
- 36 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:37:14.17 ID:Nzt16H3sO
ミセリが白いふりふりを片手に草むらに入って行き、ごそごそと着替えを始める。
それを背後で聞きながら、着替えの終えた四人がのんびりと地面の亀裂を見ていた。
亀裂と言うより、深い川の様なその空間。
どうやって濡らさずに荷物を向こう岸に渡すかを、ぼんやり考えていた
その時、ノーネがある事に気付いた。
( ノAヽ)「……デカイの、それなんなノーネ?」
( ´ー`)「んあ? ……あ、何だコレ?」
<ヽ`∀´>「なんか、ワッカになってるニダ」
ネーヨの足元に落ちていた、ぺったりつぶれた奇妙なわっか。
ぺろんとしたそれを持ち上げてみると、小さな栓がついていた。
用途の分からないわっかは不思議な手触りで、革の様な革じゃない様なぺたぺた。
んー、と四人が首を傾げていると、
背後の草むらから、ミセリが出てくる音がして。
- 38 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:40:39.22 ID:Nzt16H3sO
- イル*゚ー゚)リ「お待たせー! 着替えたよー!」
( ノAヽ)
<ヽ`∀´>
イル*゚ー゚)リ?
( ´ー`)「誰だヨ、オマエ」
イル;゚ー゚)リ「み、ミセリ! ミセリだよ!?」
( ´ー`)「どー見てもイルリだヨ、何だヨそれ」
イル;゚听)リ「カチューシャ外したんだもんしょうがないじゃん!?」
( ´ー`)「まぎらわしーヨ、メンドクセーヨ、誰だヨ」
_,,
イル;゚Д゚)リ「だぁからミセリはミセリだってば!! しょーがないじゃん!!」
( ノAヽ)「あ、ミセリなノーネ」
<ヽ`∀´>「あの顔は確かにミセリニダ」
( ∵)゙
( ´ー`)「ホンモノなのは分かったヨ」
_,,
イル;゚Д゚)リ「こいつら……」
- 42 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:43:11.14 ID:Nzt16H3sO
カチューシャで上げていた前髪を下ろせば、誰だか分からなくなったミセリ。
一瞬それが誰か判断出来なかった四人がやっと頷き、その姿を見つめる。
ニンゲンと言うのは、髪型一つで誰だか分からなくなる物なのか
そう頭の片隅で思うノーネ達を、水の中から見つめる二つの目。
久しぶりに見た人の姿に驚く、水の中の生き物。
水面に頭を出していたそれは、とぷんと沈み
水の底に居る人物に、その事を告げる為に潜って行った。
ミセリ達がきゃんきゃんと賑やかに話す中
水面は元の静けさを取り戻して、波紋すら広げていない。
その水底で涙を溢す人物の悲しみを表に出す事もなく
水はただただ、静かに透き通っていた。
- 45 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:46:16.19 ID:Nzt16H3sO
深い深い水の底。
彼女は静かに涙を溢し、懺悔を繰り返しては泣き続ける。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
あなたを虐げたから
だから私は、こんな体になり果てた。
彼女を支える小さな彼らは朗らかに
にこにこ笑って、彼女を泣き止ませようとくるくる踊る。
それでも彼女は泣き止まず、水嵩は上がる一方。
森の中に出来た海。
そのしょっぱさは、涙の味。
- 47 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:49:19.09 ID:Nzt16H3sO
【ミセ*゚ー゚)リ 変な森のようです】
第六話 『ひたんにくれる。』 前編
海の中へおいでよ、ここはとても綺麗だよ。
ttp://imepita.jp/20090503/675920
- 48 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:51:11.85 ID:Nzt16H3sO
やっと落ち着いたのか、髪を下ろしたミセリが自分の服を畳む。
切れた背中は繕ったが、あらゆるところが擦り切れ、薄汚れてしまったブラウス。
どんなに洗っても落ちなくなった染みは血による物で、
黒く変色した染みと、自分の左腕を見比べた。
包帯を外した腕は、繋がったものの醜い傷跡を残している。
分厚くなった皮膚を指でなでれば、少し悲しい感触。
普段は見えない背中の傷も、腕よりはマシだが跡が残った。
怪我は完治したし、命があるだけ十分。
そうは思うが、どうしても傷が残ったのは悲しくて。
これから着替えの時などに、あの惨劇を思い出して胸を痛めるのだろう。
それを考えるだけで、ミセリは胸の辺りが苦しくなるのを感じた。
それもこれも、自分が弱いから。
もっと、強くならなきゃいけない。
- 51 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:54:32.58 ID:Nzt16H3sO
服を畳み終わり、ネーヨの背中から外した荷物の上に重ねる。
そしてゆっくり立ち上がり、
白いフリルを揺らして、水辺でたむろする皆の元に向かった。
イル*゚ー゚)リ「何してんのー?」
( ノAヽ)「あ、イルリ」
イル#゚ー゚)リ「ミセリ」
<ヽ`∀´>「イルリ、これ何か分かるニダ?」
イル#゚ー゚)リ「こいつら……あん? 何? わっか?」
( ´ー`)「落ちてたんだヨ、変な素材で何なのかわかんネーヨ」
イル*゚ー゚)リ「ありゃ、また人間のが紛れ込んだのかな」
- 54 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 21:58:04.73 ID:Nzt16H3sO
ぺたんこの不思議な輪を拾い上げたミセリが、小さな詮を開けて口に銜える。
そして、ぷーっと輪の中へ息を吹き込んだ。
すると輪はみるみるうちに膨らんで行き、あっと言う間にぱんぱんに。
空気がいっぱいになると口から離して詮を閉め、ぽんぽんと軽く叩く。
ドーナツ状になったそれは艶のある素材で、
ミセリは手慣れた動きで、それに自分の体を通し、腰で止めた。
( ノAヽ)「…………なんなノーネ、それ」
イル*゚ー゚)リ「ん? 浮き輪だよ浮き輪、わたしが居たとこではいっぱいあったよ」
<ヽ`∀´>「って事は、また紛れ込んだニダ?」
イル*゚ー゚)リ「んー……ビニールだから、たぶんそうだね」
( ´ー`)「びにーる? つか、それ何に使うんだヨ?」
イル*゚ー゚)リ「これはねー……そぉい!!」
(;ノAヽ)「あ゙っ!!」
- 57 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:01:31.45 ID:Nzt16H3sO
浮き輪に体を通したミセリが、それを叩いて破れていないかを確認すると
ぴょん、とそのまま水の中に飛び込んだ。
ばしゃん! と水しぶきを上げて水の中に入ったミセリに
ノーネが驚いた声をあげて駆け寄ると、ミセリに起きた現象に、更に驚いた顔。
イル*゚ー゚)リ「いえーい! きもちーぞー!」
(;ノAヽ)「う……浮いてる……!?」
イル*゚ー゚)リ「浮き輪だからねー、これがあったら沈まないってすんぽーよ!」
(;ノAヽ)「す、すげぇノーネ! 貸せ!」
イル;゚ー゚)リ「いきなり!?」
<;ヽ`∀´>「て言うかミセリ……服のまま……」
イル*゚ー゚)リ「え、でも水着でしょ?」
<;ヽ`∀´>「みずぎ? って、何ニダ?」
イル*゚ー゚)リ「あぁ……こっちじゃいらなそうだからなぁ……」
- 60 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:04:07.03 ID:Nzt16H3sO
イル*゚ー゚)リ「水に入る時に着る服の事だよ、だから水着」
( ´ー`)「風呂の時も着るのかヨ?」
イル;゚ー゚)リ「お風呂は体を洗うために入るんだから……着てたら洗えないじゃん?」
<ヽ`∀´>「あ、なるほどニダ
じゃあウリたちも、このまま水に?」
イル*゚ー゚)リ「そのまま水に」
(;ノAヽ)「気持ち悪そうなノーネ……」
イル*゚ー゚)リ「とか言いながらすぐ慣れるんでしょ?」
(;ノAヽ)「そうだろうけど……」
( ∵)
( ´ー`)「オマエは木の実のカラ持って入れヨ」
( ∵)゙ コロコロ
- 62 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:07:12.28 ID:Nzt16H3sO
イル*゚ヮ゚)リ「せっかくの水着なんだから、ちょっと遊ぼう!」
とミセリが言い出したのが引き金となり、各々が好きな様に水遊びを始めた。
ニダーは水に釣糸を垂らして魚がかかるのを待ち、
そんなニダーを乗せながら、ネーヨは自分の尻尾を釣糸の代わりに垂らしていた。
小さな水着と帽子を着こんだビコーズは
固い木の実の殻で作った浮きを腰に結び付けて、のんびりと水の上を漂う。
そしてミセリとノーネは、一つの浮き輪を奪い合いながら
釣りの邪魔にならない場所で、ばしゃばしゃと水を堪能していた。
ゆっくりのんびり羽を伸ばすぞと言わんばかりに、楽しげに遊ぶミセリ達。
久々に何も気にせず出来る息抜きが、楽しくてしょうがなかった。
- 66 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:10:16.32 ID:Nzt16H3sO
イル*゚ー゚)リ「ちめてー! でもきもちー!」
( ノAヽ)「ちー」
( ∵)「ヂィィ」
<ヽ`∀´>「釣れんニダ」
( ´ー`)「釣れネーヨ」
イル*゚ー゚)リ「そんなエサに釣られクマー」
<ヽ`∀´>「エサつけてないニダ」
イル;゚ー゚)リ「釣れよーがねぇ!!」
( ノAヽ)「ウキワ貸せなノーネ」
_,,
イル;゚Д゚)リ「ひ、引っ張るな! 溺れるから!」
( ´ー`)「あーミセリだヨ」
<ヽ`∀´>「ミセリの顔ニダ」
_,,
イル;゚Д゚)リ「だからあんたらはっ!!」
- 69 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:13:17.95 ID:Nzt16H3sO
きゃいきゃいとはしゃぎ回るミセリ達。
こういった形で水に入るのは初めてなのか、ノーネやニダーも非常に楽しそうで。
そこへ飛び込んだりはしないが、ネーヨもビコーズも水を楽しんでいた。
そして遊び疲れたノーネが水から上がり、少し疲れた顔で地面に座る。
亀裂では、浮き輪を独占して泳ぐミセリとぷかぷか漂うビコーズの姿があった。
<ヽ`∀´>「お疲れニダ」
( ノAヽ)「ちかれた」
( ´ー`)「マンキツしといて何いってんだヨ」
( ノAヽ)「ハラヘリなノーネ、飯なノーネ」
<ヽ`∀´>「サカナが釣れないニダ」
(;ノAヽ)「だからエサつけろなノーネ……」
- 72 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:16:27.71 ID:Nzt16H3sO
( ´ー`)「つーかヨ」
( ノAヽ)「んぁ?」
( ´ー`)「あのメスは、泳ぐの分かってたんだな」
<ヽ`∀´>「レモナ、ニダ?」
( ´ー`)「おうヨ、みずぎ渡すくらいだからヨ」
( ノAヽ)「教えとけよババァ……」
<;ヽ`∀´>「ノーネ、口悪いニダ」
( ノAヽ)「ハラヘリフルレリロ〜」
<;ヽ´Д`>
( ´ー`)「まーたしかに腹は減ったヨ、そろそろ飯にするか」
( ノAヽ)「てめぇ無視なノーネ」
( ´ー`)「ツッコミ マンドクセ」
- 74 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:20:03.12 ID:Nzt16H3sO
イル*゚ー゚)リ「やっぱいーなー泳ぐのー」
( ∵)「ゴェ」
イル*゚ー゚)リ「きもちーよねー?」
( ∵)「ゴェェ」
イル*゚ー゚)リ「さっきごぇ以外言わなかった?」
( ∵)「ゴェ?」
イル*゚ー゚)リ「なに言ってるかわかんないけど、楽しいねー」
( ∵)゙ コクコク
イル*゚ー゚)リ「なんて分かりやすい意思表示……っと、そろそろ上がろっか?」
( ∵)「ゴェ」
透明な浮き輪にしがみついたまま、ミセリがばた足で岸まで戻ろうとし。
ビコーズもそれにくっつき、ちまちまとばた足をして泳いでいた。
その時
- 77 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:23:43.33 ID:Nzt16H3sO
いつの間にかミセリの背後に迫っていた、黄色い何か。
それは親指くらいの太さで、紐状の物。
うねうねと動きながらミセリに近付いてくるそれは、触手と言うのが相応しく。
ぬる、とミセリの脇腹を撫でた。
イル;゚ー゚)リ「うへぁ!?」
( ∵)「ゴェ?」
イル;゚ー゚)リ「あ、な、なんか、お腹んとこに……うぎゃあっ!?」
(;∵)「ゴェェ!?」
_,,
イル;゚Д゚)リ「ぎゃっ、きゃああ!! うきゃわぁぁぁぁ!!?」
(;∵)「ゴェェ!! ゴェェェェ!!?」
- 82 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:26:29.28 ID:Nzt16H3sO
悲鳴を上げたミセリの足に絡み付いた触手が、ぬるぬるとその体を捕える。
水着の隙間から腹や腰に絡まるそれに、ミセリがじたばたともがく。
それを見たビコーズが濁った声をあげると、
異常に気付いたノーネ達が、慌ててミセリの元へ駆け寄った。
(;ノAヽ)「イルリ! どしたノーネ!?」
<;ヽ`∀´>「イルリ大丈夫ニダ!?」
(;´ー`)「どーしたヨ、イルリ!?」
_,,
イル;゚Д゚)リ「あんたら後でふっとばす!
助けっ、ぎゃー!! きもちわりー!!」
(;ノAヽ)「イルリー!!」
<;ヽ`∀´>「イルリー!!」
_,,
イル;゚Д゚)リ「えー加減にせんかーい!!」
- 85 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:29:42.31 ID:Nzt16H3sO
浮き輪から外れた体に、ぬらぬら絡み付く黄色い触手。
溺れかけるミセリを見て、ネーヨが一歩踏み出した。
そして首を伸ばし、ミセリの首根っこを銜えて持ち上げた。
_,,
イル;゚Д゚)リ「ぎゃー……って、あれ?」
( ´ー`)「はいひょふはよ」
_,,
イル;゚Д゚)リ「やっぱりなに言ってんのかわかんないけど……あんがと」
( ´ー`)「ひょう」
<;ヽ`∀´>「イルリ無事ニダ!?」
(;ノAヽ)「イルリ大丈夫なノーネ!?」
イル#゚ー゚)リ「うん大丈夫、ちょっと面貸して」
( ´ー`)「よいせ、やっと釣れたヨ」
- 88 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:31:40.29 ID:Nzt16H3sO
ネーヨに助けられたミセリがノーネとニダーに鉄拳を食らわせてから、
疲れた様に地面にペタリと座り込む。
その傍らには同じ様に疲れたのか、ビコーズがちょんと座っていた。
イル*゚ー゚)リ「はービックリした……何だったの、あれ……」
( ´ー`)「シラネーヨ、取り敢えず釣れたけどヨ」
<ヽ#)∀´>「まぁ無事でよかったニダ」
( #)Aヽ)「ノネ」
( ^^ω)「ホマ」
イル*゚ー゚)リ
( ノAヽ)
<ヽ`∀´>
( ∵)
( ´ー`)
- 91 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:34:14.05 ID:Nzt16H3sO
いつの間にか、薄青い頭の下から黄色い触手を生やした生物が
ちょこん、とノーネの隣に座っていた。
その姿は大きなクラゲの様な形で、顔は奇妙にむにょっている。
それを一斉に見たミセリ達は、さっと顔色を変えて
_,,
イル;゚Д゚)リ「なんかいるーっ!!」
(;ノAヽ)「蹴るノーネ! 蹴るノーネ!」
<;ヽ`∀´>「撃つニダ!?」
( ´ー`)「踏むヨ」
( ∵)「ゴェェ」
(;^^ω)「ちょ、ま、ホマァァァァァァ!!」
- 95 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:37:24.65 ID:Nzt16H3sO
( メメ#)ω)「ホントにもうしわけございませんホマ……悪気はなかったホマ……」
_,,
イル;゚−゚)リ「な、何でわたしを襲ったのよ……」
( メメ#)ω)「イキモノが水に入るのめずらしいホマ……だから、敵かと……」
<;ヽ`∀´>「勘違いしたニダ?」
( メメ#)ω)「ホマ……それでビックリして……つい」
(;ノAヽ)「……」
_,,
イル;゚−゚)リ「てゆーかあんた……何?」
( メメ#)ω)「ほ、ホマは……」
( ´ー`)「ちんじゅーだヨ、マルタスニム」
_,,
イル;゚−゚)リ「マルニタ……って、なんか聞き覚えが」
( ´ー`)「マルタスニムだヨ」
- 97 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:40:41.46 ID:Nzt16H3sO
イル*゚ー゚)リ「ま、まあその、わたし達は別に悪いこととかしないから……」
( ´`ω)「ごめんホマ……うっかり絞め殺しかけて……」
_,,
イル;゚Д゚)リ「こぅえぇ!!」
<ヽ`∀´>「まあ勘違いでよかったニダ、マルタスニムは水の中に住んでるニダ?」
( ^^ω)「ホマホマ、みんな水の中で住んでるホマ」
( ノAヽ)「水のなか……」
( ^^ω)「ホマ?」
( ノAヽ)「泳げるノーネ?」
( ´ー`)「それはグモンだろうヨ……」
( ∵)「ゴェ?」
( ^^ω)「泳げるホマ!」
- 100 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:43:25.39 ID:Nzt16H3sO
( ^^ω)「そうホマ!」
イル*゚ー゚)リ「ん?」
( ^^ω)「ゴメイワクおかけしたお詫びに、水の中に招待するホマ!」
イル;゚ー゚)リ「はい?」
( ^^ω)「エンリョせずにどうぞどうぞホマ! さあ!」
イル;゚ー゚)リ( 「へ? ぇ、あ? はい? ぃ、いゅわああああああ!!?」ゴェェェ!!」
(;ノAヽ)「ミセリーッ!?」
<;ヽ´Д`>「引きずり込まれたニダーッ!!」
(;´ー`)「そ、それはネーヨ……!」
(;ノAヽ)「おおお追っかけるノーネ!」
<;ヽ´Д`>「ええぇ!? で、でも今度こそ助けるしか!!」
(;´ー`)「一番チビこいのは待っ…………あん?」
(;´ー`)「……ビコーズ……?」
- 103 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:46:06.74 ID:Nzt16H3sO
またもマルタスニムの触手に捕らわれたミセリが、水の中へと引きずり込まれた。
どうやらそれと同時にビコーズも引きずり込まれたらしく、その姿が見当たらない。
三人は顔を見合せ、深く頷いてから、水の中へと飛び込んだ。
耳元で、空気が上って行くぼこぼこと言う音が聞こえる。
全身を包む冷たさと圧迫感が、今は恐怖に感じた。
鼻をつまんで飛び込んだノーネが、
息を止めながら苦しさに眉間に皺を寄せて、ゆっくり瞼を持ち上げる。
水に沈んだであろうミセリの姿を探そうと、ぼやけた視線を泳がせると
ミセ*゚ー゚)リ(ノAヽ;)
目の前に、居た。
- 106 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:48:30.58 ID:Nzt16H3sO
(;ノAヽ)「のぎゃぶぇぼぶぁっ!!」
ミセ;゚ー゚)リ「落ち着け落ち着けー」
(;ノAヽ)「みみみミセリのイキリョウなノーネ! アクリョータイサン!!」
_,,
ミセ;゚Д゚)リ「あくりょーかい……」
<;ヽ`Д´>「ミセごべらぼべぇ!!」
_,,
ミセ;゚Д゚)リ「ニダーも落ち着いて!?」
( ∵)「ゴェェ」
_,,
ミセ;゚Д゚)リ「ビコ…………は、いつもどーりだね」
( ∵)「ゴェゴェ」
- 109 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:51:17.39 ID:Nzt16H3sO
水の中、随分深いところに潜ったにも拘わらず
ミセリはいつもと変わらず話をして、息も出来ている様だった。
ふとノーネが自分の口に手を当てると、息苦しさを感じない。
それに続いてニダーもそれを確認すると、驚きを隠せない顔をした。
<;ヽ`∀´>「これは……?」
(;ノAヽ)「息ができるノーネ……?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、なんか出来るみたい。ね、ビコ」
( ∵)「ゴェ」
(;ノAヽ)「なんでまた……ノネ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
(;ノAヽ)「イルリが……ミセリに……!?」
ミセ#゚ー゚)リ「水で前髪がもちあがってんのよ」
- 113 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:54:20.60 ID:Nzt16H3sO
( #)^ω)「早く来るホマー!」
ミセ*゚ー゚)リ「う、うん! ちょい待って!」
( ノAヽ)「なんでアイツ顔はれてるノーネ……」
(#´ー`)「殴ったからだヨ、セツメーもなく引きずり込むからヨ」
<;ヽ`∀´>「ネーヨ……水の中で殴って顔を腫らせるほどの力が……」
(#´ー`)「火も吐けそうだヨ」
<;ヽ`∀´>「ネーヨ……恐ろしい子ニダ……」
更に水底へと進んで行くマルタスニム。
そのクラゲらしい後ろを、ミセリ達もぎこちない泳ぎでを追いかける。
- 115 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 22:57:29.38 ID:Nzt16H3sO
不思議と明るい水の中、息が出来る奇妙な水。
魚が辺りをひらりと泳ぎ、突然の来訪者を歓迎する。
あぶくがぷくぷく上がって行くのを見ながら、ミセリがマルタスニムに問いかけた。
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇホマ、なんで息ができんの?」
( ^^ω)「ホマ? ああ、それはこの水が涙だからホマ」
ミセ*゚ー゚)リ「へい?」
( ^^ω)「涙だからホマ、だから息ができるホマ」
ミセ;゚ー゚)リ「せ、説明になってないよね?」
( ^^ω)「ホマ?」
ミセ;゚ー゚)リ「えぇ……?」
疑問をぶつけたところで納得できる答えが帰ってくるはずもなく。
ミセリが難しい顔で「LCLみたいなもんか」と呟いた時、
やっと、その体が底へと辿り着く事が出来た。
- 117 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:00:33.52 ID:Nzt16H3sO
とん、と水の中で地面に降り立つ。
髪や水着は水に任せてゆらゆらと波打っているにも拘わらず、
その足はしっかりと地に立ち、目を開けても痛まず、息苦しさも感じない。
変な水の中だと小さく思いながら、無重力の様な世界で、くるりと回った。
長い海草が揺らめき、貝殻や珊瑚が辺りにいっぱい落ちている
否、落ちているのではなく、その貝殻や珊瑚は、家の形にも見える。
ミセリがふわりと、歩く様な泳ぐ様な動作で貝殻に近付く。
小さな窓や小さな扉が作られた貝殻は、確かに家。
ミセリが目を丸くしてそれを見ていると、背後でノーネが小さな悲鳴を上げた。
(;ノAヽ)「のぎゃあああ……」
ミセ;゚ー゚)リ「どしたー……うおぉぉぉ……」
- 121 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:03:54.48 ID:Nzt16H3sO
( ^^ω)「ただいまホマー」
( ^^ω)「おかえりホマ! そのヒトたちはどうしたホマ?」
( ^^ω)「あ、そのヒトたちはホマが報告しに行こうとしてたとこホマ」
( ^^ω)「あ、知ってたホマ?」
( ^^ω)「ホマ、久々のお客さんだからカンゲイしようと思ったホマ」
( ´`ω)
( ^^ω)「オマエ何したホマ」
( ´`ω)「うっかり襲ったホマ……だからお詫びに招待したホマ……」
( ^^ω)「このキクラゲが……」
_,,
ミセ;゚Д゚)リ(どれがどれだかわかんねぇ……!!)
- 123 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:06:19.60 ID:Nzt16H3sO
( ^^ω)「あ、みなさんこっちにどうぞホマ!」
( ^^ω)「なかまがボケたお詫びにゴチソウを用意しますホマ!」
ミセ*゚ヮ゚)リ「ゴチソウ!?」
( ノAヽ)「ハラヘリなノーネ!」
<ヽ`∀´>「あ、ありがとうございますニダ!」
( ∵)
( ´ー`)「クラゲ料理かヨ?」
_,,
ミセ;゚Д゚)リ (;ノAヽ) <;ヽ`∀´>
( ^^ω)「クラゲはないけどサカナやエビがありますホマ!」
( ^^ω)「いや、今のはホマたちが食われかねなかったんだホマ」
- 126 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:08:31.76 ID:Nzt16H3sO
大きな貝で出来た机に並べられる、魚や貝や海藻の料理。
生魚を綺麗に切って並べれば、まるで花の様な美しさ。
焼かれた貝に海藻のサラダも美しく並べられ、
ここが水の中だと言う事を忘れてしまいそうなほどだった。
なぜ水の中で物が焼けるのか、
もうそんな事はどうでも良いし、考える事を放棄した。
だからミセリ達は、ただただ目の前に広がる料理によだれを溢れさせる。
時折、料理を運んでくるクラゲが食材に見える事もあったが
料理が全て並び終えたその光景に、腹がきゅるると鳴いた。
( ^^ω)「さあ、召し上がれホマ!」
ミセ*゚ー゚)リ「いっただきまーす!!」
<ヽ`∀´>「いただきますニダ!」
( ∵)
( ´ー`)「いただくヨ」
( ノAヽ)
- 129 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:11:14.87 ID:Nzt16H3sO
ミセ*゚ー゚)リ「うわうまっ! おいしー!」
<ヽ`∀´>「サザエウマー」
( ´ー`)「エビか? これ……うめぇヨ、食うか?」
(;∵))
ミセ*゚ー゚)リ「ネーヨ、ロブスターをカラごと食べるのは無茶だと思うなー」
( )´ー`))バリボリゴリ
_,,
ミセ;゚Д゚)リ
( ノAヽ)
<ヽ`∀´>「? ネーヨ、食べないニダ?」
( ノAヽ)「んぁ? ……あー……」
( ´ー`)「ウメーヨ?」
- 132 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:13:43.01 ID:Nzt16H3sO
( ノAヽ)「……ノーネ、アレルギーなノーネ」
ミセ*゚ー゚)リ「え?」
( ノAヽ)「ギョカイルイ食べたらかいかいになるノーネ」
<ヽ`∀´>「え……でもノーネ、さっき……」
( ノAヽ)「ヤキザカナはいけるのーね、クサミなくなるから」
(;´ー`)「じゃあオマエ、これ……ナマばっかり……」
( ノAヽ)「食うモン、ないノーネ」
ミセ;゚ー゚)リ「ぇ、あ、う……か、貝は!? 焼いてるよ!?」
( ノAヽ)「それ焼いててもベツワクなノーネ、イソクササが売りなノーネ」
<;ヽ`∀´>「サラダは!?」
( ノAヽ)「エビ乗ってるノーネ」
(;´ー`)「……食うかヨ?」
( ノAヽ)「だからオマエそれはロブスターなノーネ、でっけーエビなノーネ」
- 134 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:16:02.22 ID:Nzt16H3sO
( ∵)「ゴェ」
( ^^ω)「ホマ?」
( ∵)「ゴェゴェェ」
( ^^ω)「ホマ? ホマホマ……」
( ∵)「ゴェェェ」
(;^^ω)「ホマホマ!?」
( ∵)「ゴェゴェェゴェ?」
(;^^ω)「ホマ! ホマホマホマ!!」
( ∵)゙「ゴェェ」
(ω^^;)三「ホマー!!」
- 136 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:19:15.99 ID:Nzt16H3sO
ミセ;゚ー゚)リ「どうしよう……ノーネ、食べるもんないよ……」
<;ヽ`∀´>「参ったニダ……」
( )´ー`))バリボリゴリ
( ノAヽ)「もう良いノーネ……気にせず食えなノーネ……」
(;^^ω)「緑のホマー!!」
(ノAヽ;)「緑のホマ!?」
(;^^ω)「間違えたホマ! 緑のヒトホマ! これをどうぞホマ!!」
(;ノAヽ)「ノネ……?」
いじけていたノーネに差し出されたお皿には、
ぷるりとした丸い物や、板状のサクッとした何かが乗っていて。
それを受け取ったノーネは、不思議そうに首をかしげた。
- 141 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:21:31.60 ID:Nzt16H3sO
( ノAヽ)?
(;^^ω)「ミズマンジュウとアナゴパイですホマ!」
( ノAヽ)「スベスベマンジュウガニ?」
<;ヽ`∀´>「違う違うニダ」
(;^^ω)「サカナとかじゃないお菓子だから食べれると思うホマ!」
( ノAヽ)「ぇ……」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ、何で知って……?」
( ^^ω)
( ∵)
( ´ー`)
ミセ*゚ー゚)リ「なにそのフォーメーション」
- 144 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:23:35.63 ID:Nzt16H3sO
ミセ*゚ー゚)リ「でも良かったねノーネ! これで食べれるよ!」
( ノAヽ)「ノネ……あ、ありがとなノーネ……」
ブルァァァァァ
(;ノAヽ)!?
( ´ー< ^^ω)「あ、パイがたまに吠えるホマ。そのまま食べて問題ないホマ」
<;ヽ`∀´>「ネーヨ! ペッしなさいニダ!!」
( )ノ〜ヽ))「パイウマウマなノーネ」
( ∵)゙
Σ ^^ω)「喜んでもらえて何よりホマ!」
<;ヽ`∀´>「ホマ減ってる! 減ってるニダ!」
ミセ;゚ー゚)リ「自由だなー……」
- 148 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:25:57.81 ID:Nzt16H3sO
それから、各々が好きな料理をお腹いっぱい食べて、満足げに腹を撫でる。
ノーネはお菓子を、ネーヨは数匹のクラゲを丸飲みにして満足したのか
気分の良さそうな顔で、その場に寝っ転がっていた。
幸せそうにぽんぽんになったお腹を撫でていると、一匹のクラゲが声をかけた。
( ^^ω)「皆さーん」
ミセ*´ヮ`)リ「お腹いっぱーい……どしたのー?」
(*ノAヽ)「ぐぇふ……どしたノーネ?」
( ^^ω)「折角だから、人魚に会いに行きませんホマ?」
ミセ*´ヮ`)リ「人魚……人魚までいるんだー……すげー……」
(*ノAヽ)「すげーノーネ……」
- 150 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:28:01.32 ID:Nzt16H3sO
<ヽ`∀´>「どこに居るニダ?」
( ^^ω)「この奥に泳いでったら、そこに居るホマ! いくホマ?」
ミセ*´ヮ`)リ「いくー」
(*ノAヽ)「ノネー」
( ∵)゙
( ´ー`)「折角だから行くヨ」
<ヽ`∀´>「らしいニダ、ご案内よろしくお願いしますニダ」
( ^^ω)「喜んでホマ! こっちホマー!」
ひらりと泳ぎ始めたクラゲを追いかけて、ミセリ達がのをびりと水をかく。
満腹で動きがのんびり過ぎるミセリとノーネをネーヨが引っ張り
珊瑚の森の向こうへと、更に潜って行った。
- 153 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2009/05/03(日) 23:30:16.37 ID:Nzt16H3sO
- 海藻や珊瑚、磯巾着の隙間をすり抜けて辿り着いた場所は
先程までよりも更に美しい、真珠や磨かれた珊瑚が輝く空間だった。
その中央に存在する、大きな大きな薄い桃色の二枚貝。
様々な物に見とれながら、ミセリ達が二枚貝に目を向けた。
すると、道案内をしていたクラゲがその二枚貝を軽く叩いた。
( ^^ω)「お嬢様、お客様ホマ! ちょっと顔を見せてくださいホマ!」
そう元気に告げたクラゲの言葉に頷く様に、
二枚貝が、ゆっくり軋むように口を開く。
流れ込む水によって踊る、長い髪。
青や紫が混ざった、きらきら輝く鱗を纏わせた魚の尾。
大粒の真珠をあしらった装飾品、水掻きのついた細くて白い手。
川 ゚ -゚)
そして、冷たく涼しい、その美貌。
六話 前編、おわり
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