( ^ω^)と失われた断片のようです

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:40:31.33 ID:V8CI34fI0
――――とある墓地霊園。

( ^ω^)「おっおっおっお〜♪」

鼻歌交じりに歩くブーンの姿があった。
ブーンの手には菊の花束と水の入った桶が握られており、ポケットには線香とロウソク、ライターが入っている。

( ^ω^)「いや〜、しかし久々だお、両親の墓参りに来るのは。このごろ忙しかったから、全然くる暇がなかったお」

現在高校生であるブーンは数年前に両親を亡くしていた。
両親を失った当初は頻繁に墓参りに訪れていたが、高校生になってからは多忙で墓参りに来ることができないでいた。
そのため今回、高校の夏休みを利用して墓参りに来たのだった。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:42:10.17 ID:V8CI34fI0
( ^ω^)「おっおっおっお〜♪」

鼻歌の調子を保ちながら、足を進めるブーン。
そのとき、あるものがブーンの目に飛び込んでくる。
思わずブーンは立ち止まった。

( ^ω^)「お……?」

墓と墓の合間、ちょうどブーンと向かい合うような形でそれはあった、いや、いた。

川 ゚ -゚)

――それはくすんだ赤色の髪の毛を持つ、少女だった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:43:48.82 ID:V8CI34fI0
墓地霊園には他に誰もいない。
いるのはブーンとその少女だけだった。

( ^ω^)「…………」

女の子が一人でこんなところにいるなんて、いったいどうしたんだろう、とブーンは思う。

川 ゚ -゚)

赤い髪の毛の少女なんて見たことがなかったためか、ブーンの目にはそれがとても鮮やかに写っていた。

( ^ω^)(めずらしいお……赤い髪の毛なんて。しかしこの子はどうしてここに一人でいるんだお?)

ブーンはそんな疑問を持った。しかし、

( ^ω^)(まあ、女の子がこんなところにいたって、なんら不思議ではないお。ブーンと同じように、墓参りに来たのだろうお)

と、ブーンは自己解釈をした。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:45:30.29 ID:V8CI34fI0
( ^ω^)(ブーンはブーンの墓参りを済ませるだけだお。早く父ちゃんと母ちゃんの墓に行くお)

そう思い、ブーンは足を一歩、二歩と進めた――が、二歩目を地に着地させた途端、眩い光がブーンのことを包み込んだ。
その光はブーンを中心に、地面から円形に伸びてきていた。

(;^ω^)「お……?」

いきなり目に映ってきた光にブーンは思わず目を閉じる。
体が浮くような感触を、ブーンは感じた。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:46:58.09 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)(な、何がどうなってるお……?)

ブーンは困惑していた。
「何がどうなってる?」という言葉が、ブーンの頭をぐるぐる駆け回っている。
しかし、それもそのはずだった。
こんなことが現実に起きれば、混乱しないものは皆無だろう。

突然謎の光に包まれ――気がつくと、今までとは異なる光景が、眼前に広がっているのだから。

(;^ω^)(何で……どうしてだお……?)

(;^ω^)(どうしてすべてのものがモノクロになっているんだお……?)

モノクロ――白と黒の明暗だけで描かれる色。
ブーンが困惑した原因は、それだった。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:49:24.57 ID:V8CI34fI0
眩い光に包まれた次の瞬間、世界はまるで白黒テレビの画面を通して見ているかのようになった。
青い空も、墓地霊園の脇に植えてある緑の木々も、自分が持っている黄色い菊の花も――

すべてがすべて、色を消失していた。

川 ゚ -゚)

(;^ω^)

いや、違う。
色を有することが許されたものが二人――ブーンとその少女だけは、もとの色を保持していた。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:51:58.79 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)(やばいお……何なんだお、この状況は……!)

ブーンの額から冷や汗がどっぷりとでてくる。

(;^ω^)(と、とにかく逃げるお!)

ブーンはきびすを返し、その場から離れようとする。しかし――

(;^ω^)(な……か、体が動かないお!)

ブーンの体は菊の花束と水の入った桶をもったまま、硬直していた。
何度動かそうとしても、体が動かない。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:53:48.18 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)

(;^ω^)

少女が、ブーンの体が動かないことをいいことに、ゆっくりと近づいてきた。

(;^ω^)

――多分この状況を作り出したのは、目の前の少女だ、とブーンは思う。

川 ゚ -゚)

――まだ十代前半だろう。
モノクロの世界では、少女の赤い髪が余計に鮮やかさを増して、ブーンの目に入り込んできた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:54:50.73 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「く……くるんじゃ……ねえ……お」

微かに動く口元を必死に動かし、ブーンは少女に停止するように言う。
しかし、少女はそんな警告を気にも留めない様子だった。

川 ゚ -゚)

(;^ω^)

少女がブーンのすぐ目の前で立ち止まる。
ブーンは焦った。

(;^ω^)「な……何を……するつもり……だお」

川 ゚ -゚)

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 14:57:41.04 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「……離れ……る……お……近づ――」

川 ゚ -゚)「シーッ、静かにしてください」

少女が、ブーンの唇に人差し指を付ける。

(;^ω^)「…………」

ブーンは押し黙った。
それはしゃべれなくなったからではなかった。

少女がまとう冷たい雰囲気に、ブーンは気圧されてしまっていたからだ。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:00:43.14 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「……大丈夫です。心配しないでください」

(;^ω^)

――いったい何が大丈夫なんだ、とブーンは思う。
さっきから不可思議なことの連続で、ブーンの思考は理解に追いついていなかった。

川 ゚ -゚)「多分……混乱しているのでしょう。わかります」

川 ゚ -゚)「今までの人たちも皆、そうでした。混乱しない人は誰一人としていませんでした」

(;^ω^)(……な、何のことを話してるんだお、この少女は)

混乱するブーン。
少女は続ける。

川 ゚ -゚)「大丈夫です。もしもあなたが『特別』なら、死んだりはしません。ただ――」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:05:09.22 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「もしもあなたが『特別』でなければ、命の補償はしませんが」

(;^ω^)(え・・・…い、命の保障はしないって……?)

川 ゚ -゚)「それでは――――始めます」

少女の右腕がブーンの左胸を鷲づかみにする。

(;^ω^)「お……」

熱いエネルギーのような『何か』が、少女の手から伝わってくるのを、ブーンは感じた。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:06:00.35 ID:V8CI34fI0
(; ω )「お――――」



(;゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!――――」



――――熱い。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。

熱い。

ブーンは菊の花束と水の入った桶を投げ捨て、地面に平伏していた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:10:09.55 ID:V8CI34fI0
少女の手から熱い『何か』が流れ込んできた瞬間、体の硬直は解けていた。
今、ブーンは地面の上でのたうち回っている。

(;゚ω゚)(何なんだお!! この熱いのは!!)

――心臓が焼けるように熱い。いや、全身だ。全身のいたるところが熱い。

ブーンの中に流れ込んできたその『何か』は、血液と一緒にブーンの体内を駆け巡っている。
その度に、細胞の一つ一つが焼けただれるような感触があった。

川 ゚ -゚)

そんなブーンを尻目に、少女は平然としたまま、ブーンを見下ろしている。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:13:08.10 ID:V8CI34fI0
(;゚ω゚)「お――――お…………」

全身が熱を帯び、気が飛んでしまいそうなブーン。
意識が朦朧としている中、ブーンは思う。

(; ω )(何でこんなことになっているんだお……)

(; ω )(ブーンはただ、父ちゃんと母ちゃんの墓参りに来ただけなのに……)

(; ω )(なのに……それだけなのに……)

川 ゚ -゚)

(; ω )(……ああ、そうだお……こいつだお、すべての元凶は……)

(; ω )(こいつさえ……いなければ……)

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:17:42.06 ID:V8CI34fI0
ブーンは最後の体力を振り絞り、地面を這いながら、少女に近づく。
激痛に耐え、全身の熱さに耐え。

そして、少女の足首をつかみ、強く握り締めた。

川 ゚ -゚)

しかし、少女はそれに微塵も反応を示さない。

(; ω )(……もう無理、だお……)

握っていた手の力が抜けていき、全身の力も抜けていく。
意識が――――なくなる――――そのとき、

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:20:16.56 ID:V8CI34fI0
(; ω )「お……」

(;^ω^)「お?」

(;^ω^)「痛みが……痛みが消えたお?」

さっきまでの熱と激痛が嘘だったかのように――
ブーンの体内を駆け巡っていた『何か』は――突然消えた。

(;^ω^)「…………」

ブーンの頭はもう滅茶苦茶だった。
助かったという安堵と、なぜ助かったのかという疑問の念が入り混じっていた。

そしてその感情は怒りとなって、少女へと矛先が向けられる。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:23:43.55 ID:V8CI34fI0
(#^ω^)「て、てめぇ――」

――てめぇ今何しやがったんだお。

そう叫びながら少女を問いただそうとしたブーン。
しかし、

(;^ω^)「お……おお?」

川;゚ -゚)

少女はガクガクと体を震わせていた。
それと同時に少女の目元には、うっすらと涙のようなものがにじんでいた。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:26:55.96 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)(な……何で泣きそうなんだお?)

少女の涙に弱いブーンは、即座に怒鳴るのを止めた。

(;^ω^)「…………」

ブーンは沈黙した。
何を言えば良いのか、何から訊けば良いのか、少女のその涙のせいでわからなくなっていた。

しかしいつまでも黙っているわけにはいかなかった。
自分の身に起きたことを、この少女に尋ねないと――

(;^ω^)「あ、あのさ、き、君って――て、うわあ!?」

川*゚ -゚)

ブーンが尋ねようとしたそのとき、少女がタックルするような形で、ブーンに抱きついてきた。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:30:31.04 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「え、ちょ、ちょっと……」

川*゚ -゚)

困惑するブーンを無視し、よりいっそう強く抱きつく少女。
その少女は涙を流しそうなのにもかかわらず――どこか喜んでいるようにも見えた。

川*゚ -゚)「やっと――やっと出会えた」

川*゚ -゚)「『特別』な人、に――」

(;^ω^)「……と、『特別』な人?」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:31:14.02 ID:V8CI34fI0





       ( ^ω^)と失われた断片のようです





41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:43:03.50 ID:V8CI34fI0
――――とある喫茶店。

「いらっしゃいませー。二名様でよろしかったですか?」

「そ、そうだお」

「それではこちらの席にどうぞー」



(;^ω^)「……はあ」

川 ゚ -゚)

ブーンと少女は向かい合うように喫茶店の席に座った。
世界は今までの色を取り戻している。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:48:42.15 ID:V8CI34fI0
なぜ二人が喫茶店へ来たかというと、少女の提案によるものだった。
少女が言うには、ブーンの身に起きたことをすべて説明するにはかなりの時間が必要らしい。
それなら、何か飲みながらゆっくり話そう、ということでブーンはそれに同意した

(;^ω^)(しかし……まあ……)

川 ゚ -゚)

(;^ω^)(何でこんなことになっているんだお……)

――一応父ちゃんと母ちゃんの墓参りは済ませてからここに来たものの……。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:52:23.33 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)(結局何が起こっているのか全然把握できてないまま、ここに来てしまったお)

(;^ω^)(まあ、それをこの子が今から説明してくれるのだろうけれど……)

川 ゚ -゚)

(;^ω^)(うーん……なんだか心配だお)

ブーンは本当に何もわかっていない状態だった。
円形の眩い光、モノクロになった世界、体の硬直、少女の手から流れてきた『何か』、そして『特別』な人。
どれについても、うまく自分の中で説明ができないでいた。

だが一つだけわかったことがあるとすれば、あの眩い光のことくらいだった。
ブーンの自説によれば、どうやらあの眩い光は、この世界をモノクロにするためのものらしい。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 15:56:48.47 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)(……ブーンはあの眩い光に包まれ、気がつけば世界はモノクロになってたお)

(;^ω^)(そして元の世界……色合いのある世界に戻ってくるときも、あの眩い光に包まれたお)

モノクロになった世界で、少女との一悶着があった後――
ブーンは少女にある指示を出された。
それは、あの眩い光が出てきたところに、もう一度立ってくれ、という指示だった。
ブーンは少女の言われた通りに、円形に光が出てきたところの中心に立った。

すると、あの眩い光がまたブーンのことを包み込み、気がつけば元の世界に戻っていた。

(;^ω^)(だからあの光はスイッチに違いないお……この世界をモノクロにしたりするための……)

(;^ω^)(と言っても、それが正解かどうかはわからないけど……)

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:04:36.59 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)(お……そういえば……)

( ^ω^)「名前をまだ、聞いてなかったお」

川 ゚ -゚)「あ、たしかに名前をまだ教えていませんでした」

川 ゚ -゚)「私はクーといいます。あなたは?」

( ^ω^)「ブーンはブーンだお。よろしくだお、クー」

川 ゚ -゚)「こちらこそよろしくお願いします、ブーンさん」

( ^ω^)「お……わざわざ『さん』付けなんてしなくていいお。普通にブーンでいいお」

川 ゚ -゚)「そうですか。ならブーンと呼びます」

( ^ω^)「お、それでよろしく頼むお」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:08:57.84 ID:V8CI34fI0
そう言って、ブーンは近くのウェイトレスの方を見やった。

( ^ω^)「クーは何を飲むお? ブーンはコーラにするお」

川 ゚ -゚)「なら、オレンジジュースで」

( ^ω^)「わかったお」

ブーンは近くのウェイトレスを呼び、コーラとオレンジシュースを注文した。



――数分後。
ウェイトレスがコーラとジュースをお盆にのせて運んできた。
ブーンは目の前に置かれたコーラを、コップの半分近くまで一気飲みした。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:12:50.33 ID:V8CI34fI0
( ^ω^)「んぐんぐんぐ……ぷっはー! 生き返ったお!」

川 ゚ -゚)「…………」

それに対しクーは、この人テンション高いな、としみじみしながら少しずつオレンジジュースを飲んでいた。
クーはオレンジジュースに何度か口を付けた後、コップを静かに置き、一息ついた。

川 ゚ -゚)「さてと、喉も潤ったことですし、そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか?」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:16:56.54 ID:V8CI34fI0
( ^ω^)「お、やっと話をしてくれるのかお…………げふっ」

川 ゚ -゚)「ええ。……それでは話しますね、あなたの身に起きたことを」

( ^ω^)「なるべくわかりやすいように頼むお」

川 ゚ -゚)「努力します。と、話をするその前に」

( ^ω^)「お、何だお?」

川 ゚ -゚)「これから私がする話は、常識の範疇を超えた話になります。……なので、簡単に信じることはできないと思います」

川 ゚ -゚)「ですが信じてほしいのです。わたしがこれから話す、常識の範疇を超えた話を」

( ^ω^)「……大丈夫だお。なんとか信じてみるお」

川 ゚ -゚)「そうですか……ありがとうございます。……突然ですが、私は魔女です」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:21:30.37 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「魔……女」

川 ゚ -゚)「はい……魔女です。そして私は魔力というものを持っており、その魔力をエネルギーとし、魔法を使えます」

川 ゚ -゚)「……実際にやってみましょうか」

(;^ω^)「……え」

クーはテーブルの脇に置いてあった塩の入ったビンを指差した。
えい、とクーが指を上げると、それにつられるようにビンが宙に浮く。
ビンはテーブルの上から十センチくらいのところまで上昇し、少し止まった後、また元の位置に戻った。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:23:48.87 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「……他の人たちがいるので、あまり大きなことはできませんが、まあこういうことです」

(;^ω^)「…………」

ブーンは沈黙したままだったが、さほど驚いているわけでもなかった。

――なるほど、魔女か、たしかにそれなら、自分の身に起きたことも説明がつくかもしれない。

ブーンは先ほどの経験から、彼女が科学では説明不可能なものであることに、逆に安心感を得ていた。
もしもブーンの身に起きたことのすべてが科学で説明がつくなら、科学者の今までの努力は水の泡となってしまうだろう。

川 ゚ -゚)「……信じられますか?」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:27:45.75 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「お……何がだお?」

川 ゚ -゚)「私が魔女である、ということです」

( ^ω^)「…………」

ブーンは押し黙る。
本来ならばここで、信じられる、と素早く言うべきなのであろうが、できなかった。
ブーンは先ほど、クーの話を信じると言ったばかりだったのに、だ。

――単純に、返事をすることができなかった。

ブーンが体験したことのすべて、それは揺るぎようが無く、真実だ。
だが、だからこそ、ブーンはクーの問いかけに即座に答えられなかった。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:31:58.51 ID:V8CI34fI0
( ^ω^)「し……」

程なくして、ブーンがその重たい口を開く。

( ^ω^)「信じられるお」

意を決し、ブーンはそう言葉にした。
もう、日常には戻れないことを、自覚する。

川 ゚ -゚)「そう、ですか。では、続きを話します」

ブーンのその言葉を聞いたクーは、どこか安心しているようであった。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:34:14.32 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「私たち魔女は、魔力を持っています。では、この魔力はどうやって、生成されると思いますか?」

( ^ω^)「魔力の生成?」

川 ゚ -゚)「はい、そうです」

クーは手元のオレンジジュースを一口飲む。

川 ゚ -゚)「魔力と言っても、ただではありません。無限では、ないんです」

たとえば、石油だって、同じ事。
使えば、いつかは果ててしまう。
クーはそう説明を付け加えた。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:36:18.16 ID:V8CI34fI0
( ^ω^)「んー……想像もつかないお」

少し考えてみたが、分からなかった。
魔女はいろいろな魔法を自由自在に際限なく使える、それがブーンのイメージだったからだ。

川 ゚ -゚)「分かりませんか。では、お答えします」

川 ゚ -゚)「私たち魔女は、人の魂から魔力を生成します」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:40:15.95 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「人の、魂……」

川 ゚ -゚)「はい、そうです」

川 ゚ -゚)「まず肉体が死にますよね? 病気や事故とかなどで」

川 ゚ -゚)「するとその肉体から、魂が剥離するんです。それを私たち魔女は、体内に取り込み、魔力に変換します」

(;^ω^)「…………」

川 ゚ -゚)「あ、少し言い方を間違えました。正確には、人間は死ぬと、魂を剥離しやすくなるんです」

川 ゚ -゚)「それで、私たちはその剥離しやすくなった魂を、肉体から剥がしてあげるんです」

川 ゚ -゚)「そして、それを体内に取り込み……後は先ほど言ったのと同じです」

(;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくれお」

動揺を隠せないブーン。
淡々と話すクーの言葉を一旦遮る。

川 ゚ -゚)「どうかされましたか?」

(;^ω^)「ま、まず根本的な話、魂って本当にあるのかお?」

川 ゚ -゚)「……え?」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:44:52.91 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「……それ、本気で言っているんですか?」

(;^ω^)「ほ……本気だお」

川 ゚ -゚)「そう、ですか」

はあ、とあからさまにクーが落胆する様子を見せる。

(;^ω^)(あ、あれ……ブーン、そんなに変なこと言ったかお?)

人の肉体に、魂というものはない。
魂とはあくまでも観念的なものであって、実在するわけではない。
物心がついたときには、ブーンはそう思っていた。
人の思考をつかさどるのは、人の脳だ、と。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:47:14.48 ID:V8CI34fI0
そんなブーンのことを見かねたのか、クーがため息混じりに言葉を漏らす。

川 ゚ -゚)「……ほとんどの現代人が、魂は無いものだと考えていますが、それは違います」

川 ゚ -゚)「魂はあります。器である肉体と、その中身である魂、これら二つにより、人は成り立っています」

川 ゚ -゚)「いえ、人だけではありません。どんな動物であっても、そうです」

川 ゚ -゚)「魂なき動物など、この世では存在し得ません」

(;^ω^)「そ、そうなのかお……」

川 ゚ -゚)「はい、そうです。これは揺るぎようの無い事実です」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:50:21.31 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「まあ、先ほども言ったように、死んだからといって、すぐに魂が剥離するわけではありません」

川 ゚ -゚)「個人差はありますが、死亡してからしばらくは、魂は肉体に留まろうとします」

川 ゚ -゚)「しかし、肉体が死んだことにより、その留まろうとする力も弱まります」

川 ゚ -゚)「それを無理やりはがして、自分の体内に取り込み、魔力に変えるわけです」

川 ゚ -゚)「……ご理解いただけましたか?」

(;^ω^)「お……なんとなくだけれど、わかったお」

(;^ω^)「ひ、ひとつ、訊きたい事があるお」

川 ゚ -゚)「? 何ですか?」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:53:01.03 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「そ、その、魔力を生成するとき、人の魂じゃないといけないのかお?」

川 ゚ -゚)「どういう意味ですか?」

(;^ω^)「つ、つまり、他の動物の魂では駄目なのかお?」

クーはどんな動物にも、魂があると言った。
ならば、わざわざ人の魂じゃなくても、他の動物の魂で、魔力は作れるのではないだろうか。
ブーンはそう考えた。

川 ゚ -゚)「…………」

クーは何か、言葉を選んでいる様子だった。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 16:58:09.52 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「あの、このようなことを言うと、他の動物たちを差別することになってしまいますが」

(;^ω^)「?」

川 ゚ -゚)「実際のところ、人間の魂の方が、他の生物の魂よりも高等なんです」

(;^ω^)「高、等……」

川 ゚ -゚)「はい、そうです」

川 ゚ -゚)「踏み込んだ話になりますが、人間の魂の方が、エネルギーとしては高密度なんです」」

川 ゚ -゚)「なので私たち魔女は、人間から魔力を生成するんです」

(;^ω^)「…………」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 17:00:47.00 ID:V8CI34fI0
川 ゚ -゚)「まあ、他にも魔力を作る方法はあるんですが、これは少し危険ですね」

(;^ω^)「危険?」

川 ゚ -゚)「はい。……悪魔の魂から魔力を生成する方法です」

(;^ω^)「悪、魔……」

悪魔――
ブーンは突然出てきた「悪魔」という単語に戸惑いの表情を浮かべた。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 17:03:53.54 ID:V8CI34fI0
(;^ω^)「ク、クー……悪魔って一体何のことだお?」

困惑するブーン。
するとクーは申し訳なそうに言った。

川 ゚ -゚)「あ、すみません。これはまだお話していませんでしたね」

川 ゚ -゚)「……実のことを言うと、私たちが住んでいる世界以外にも、世界はあるんです」

(;^ω^)「お……それって」

川 ゚ -゚)「はい……この世には異世界があります」

ここでクーは一口、オレンジジュースを含む。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 17:52:19.80 ID:mfugDxuU0
川 ゚ -゚)「……まあ、この話はまた今度にしましょう。少々、込み入った話になりますので」

(;^ω^)「お……わかったお」

――本当のことを言えば、今この場でその話を詳しく聞きたかったが、ブーンは我慢した。
クーに話の流れを任せよう、そういう気分になっていた。

川 ゚ -゚)「さて、それでは話の続きに入りましょうか」

(;^ω^)「お……わかったお」

――ブーンはため息をつく。
重たい話の連続で、ブーンは息切れをしそうであった。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 17:54:30.84 ID:mfugDxuU0
川 ゚ -゚)「ここからが私が真にお話したいことなので、しっかり集中して聞いてください」

(;^ω^)「お、わかったお」

川 ゚ -゚)「……それではまず、前提条件からお話しましょう」

川 ゚ -゚)「私は魔女です。魔力という絶大なエネルギーを有しており、それで魔法を扱うことができます」

川 ゚ -゚)「ここまではよろしいですか?」

(;^ω^)「お、大丈夫だお」

川 ゚ -゚)「そうですか。なら次に行きましょう」

川 ゚ -゚)「私の体には、魔力がめぐっています。……しかし、この魔力には大きな問題点があるんです」

(;^ω^)「問題点?」

川 ゚ -゚)「はい……その問題点とは、その魔力が持つ力があまりにも強すぎるということです」

川 ゚ -゚)「あまりにも強すぎる力ゆえに、私の体には様々なガタがきています」

(;^ω^)「ガタ?」

川 ゚ -゚)「はい……副作用と言えば、よろしいでしょうか」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 17:56:36.80 ID:mfugDxuU0
川 ゚ -゚)「例えば、この髪……赤くなっていますよね?」

クーが自身の髪をいじくる。
ブーンはそれにうなずいた。

( ^ω^)「たしかに……赤いお」

川 ゚ -゚)「これは、魔力の影響によるものです」

川 ゚ -゚)「私の場合、魔力の影響が髪に対して、顕著にあらわれてしまったんです」

( ^ω^)「魔力の、影響……」

川 ゚ -゚)「はい……色が抜け落ちてしまったんでしょうね。こんなにも赤くなってしまいました」

川 ゚ -゚)「そしてまた、私の場合、この身体にも影響が及んでいます」

川 ゚ -゚)「あの、一つお尋ねいたしますが」

( ^ω^)「お、なんだお?」

川 ゚ -゚)「私って、何歳に見えますか?」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 17:59:13.50 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「お……何歳かって、それは……」

川 ゚ -゚)「できるだけ正確に、正直にお願いします」

――見た感じは、12歳とか13歳とか、そんな感じがする。
なので、ブーンは言われたとおり、正直に答えた。

(;^ω^)「12歳くらい、かお?」

川 ゚ -゚)「お、これは素晴らしいですね」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:00:20.98 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「お、あってるかお?」

川 ゚ -゚)「はい、正解です、が……」

(;^ω^)「お……なんだお?」

川 ゚ -゚)「それは、不正解でもあります」

(;^ω^)「……どういうことだお?」

川 ゚ -゚)「たしかに、私の肉体年齢は12歳です。しかし、精神年齢は16歳です」

(;^ω^)「お……」

――一瞬、どういう意味なのか理解できなかった。
そしてすぐさま、その意味を飲み込む。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:01:47.78 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「肉体の成長がストップしている……?」

川 ゚ -゚)「……カンが鋭いですね」

川 ゚ -゚)「はい、その通りです。私は魔女になったときから体の成長が止まっています」

(;^ω^)「お、ちょっと待ってくれお!」

川 ゚ -゚)「? 何ですか?」

(;^ω^)「今クー、『魔女になった』と言ったかお?」

川 ゚ -゚)「え、ええ、言いましたけど、何か?」

(;^ω^)「魔女って生まれつきではなく、『なる』ものなのかお?」

川 ゚ -゚)「え、ええ、そうですが……あ」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:03:23.46 ID:mfugDxuU0
川 ゚ -゚)「すみません、それはこれからお話をしようと思っていました。ちょっと聞いてもらえますか?」

(;^ω^)「お、わかったお」

ブーンは残りのコーラを飲み干す。
クーは話を続ける。

川 ゚ -゚)「いいですか……私たち魔女に、生まれつきのものはいません」

川 ゚ -゚)「皆、悪魔と交わって、魔女になるのです」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:04:41.14 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「あ、悪魔と交わる!」

ブーンの脳内に、いかがわしいイメージが浮かぶ。
しかし、クーはそれを一蹴した。

川 ゚ -゚)「交わると言っても、何も変な行為ばかりではありません」

川 ゚ -゚)「キスをするとか、血を交わすとか、そういうのでも魔女にはなれます」

川 ゚ -゚)「まあ、要するに体液を交わせばいいわけです」

(;^ω^)「た、体液を交わす!」

川 ゚ -゚)「変なこと考えないで下さい」

(;^ω^)「お、ごめんお……」

クーに怒られ、しゅんとするブーン。
そんなブーンはさておいて、クーが続ける。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:07:04.66 ID:mfugDxuU0
川 ゚ -゚)「はあ……まあ、いいです。説明を続けます」

川 ゚ -゚)「私たちが悪魔と交わったとき……あるものが私たちの体に流れてきます」

川 ゚ -゚)「さて、それは一体なんでしょう?」

( ^ω^)「お、もしかしてそれって、魔力かお?」

川 ゚ -゚)「はい、ご明察です」

川 ゚ -゚)「私たち女性が魔力を受けたとき、その魔力は体に定着します」

川 ゚ -゚)「そして私たち女性は、魔女になるのです」

( ^ω^)(……お?)

そのとき、ブーンはクーの言い方に引っかかりを持った。

……女性?
なんだか女性という言葉ばかり、強調していないか?
つまりそれって……

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:09:31.95 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「男は魔力を持つことができない、ということかお?」

川 ゚ -゚)「あ、よくわかりましたね。その通りです」

川 ゚ -゚)「男性は魔力を持つことができません。それは、太古からの揺るぎようのない事実です」

(;^ω^)「で、でも何でだお? 何で男は魔力を持つことができないんだお?」

川 ゚ -゚)「ええっと、それがよくわからないんです」

川 ゚ -゚)「様々な説があって、どれが正しいのかもわかりません」

川 ゚ -゚)「ただ一ついえることは――」

――魔力を流された男性は、人ならざるものになってしまうということです。

そこまで話し終えたところで、クーはオレンジジュースを飲んだ。

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:14:34.01 ID:mfugDxuU0
そこでブーンの脳裏に、あることが思い浮かぶ。

(;^ω^)(あれ……もしかして……)

(;^ω^)(あのとき……ブーンの体内を駆け巡った『何か』って……まさか……)

川 ゚ -゚)「もう、お気づきのようですね」

(;^ω^)「!」

川 ゚ -゚)「あのとき、ブーンの体内を駆け巡った『エネルギー』……その正体は魔力です」

(;^ω^)「ち、ちょっと待つお!」

川 ゚ -゚)「? どうされましたか?」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:16:51.56 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「ク、クーの言ってること、なんだか矛盾してないかお?」

川 ゚ -゚)「?」

(;^ω^)「だって、クーは言ったお! 魔力を流された男性は、人ならざるものになるって!」

あのとき――
あのときクーは、「命の補償はしない」と言った。
おそらく、それも関係あるはずだ。

川 ゚ -゚)「……ええ、たしかに。そう言いました」

(;^ω^)「ならブーンだって、その人ならざるものになるはずだお! けどブーンは人のままだお!」

(;^ω^)「これって一体――」

そこで、クーがシーッと人差し指を立てる。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:18:17.15 ID:mfugDxuU0
川 ゚ -゚)「……ブーン、少し落ち着いてください。そのことについてはちゃんとお話しますから」

(;^ω^)「お……」

( ^ω^)「わかったお」

ブーンは残りのコーラを飲み干し、落ち着きを取り戻す。

川 ゚ -゚)「それでは、話を続けます」

川 ゚ -゚)「たしかに、ブーンの言ったことは正しいです」

川 ゚ -゚)「魔力を流された男性は、人ならざるものになる……これは事実です」

川 ゚ -゚)「しかし、中には例外な人がいます」

( ^ω^)「例外?」

川 ゚ -゚)「それがブーン、あなたです」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:19:27.73 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「え、ブ、ブーンがその例外なのかお!?」

川 ゚ -゚)「はい、そうです。私、言いましたよね? あなたは『特別』だ、と」

川 ゚ -゚)「本当にごくまれに、そういう男性が生まれるようなんです。魔力に対抗できる、男性が」

川 ゚ -゚)「事実、今のあなたからは魔力の流れを感じません」

川 ゚ -゚)「おそらく、魔力が消え失せたんだと思います。そのせいで、今のあなたからは、魔力の流れを感じない」

(;^ω^)「…………」

川 ゚ -゚)「そこで――私の目的とつながります」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/05(金) 18:20:06.35 ID:mfugDxuU0
(;^ω^)「クーの、目的?」

川 ゚ -゚)「はい……私にはある望みがあるんです」

(;^ω^)「……望み?」

川 ゚ -゚)「はい。私の望み、それは――」


「――魔女から普通の人間に、戻ることです」


第一話【クーの長い話(前編)と、クーの望み】終了


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