- 1 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:07:59 ID:e2ORu6bw0
自由というあやふやかつ確固たるものを、世界中のあらゆる凡人たちが追い求めている。
私は知っている。自由というものの形を。
それは、形を持たないということだ。
名前を持たないということだ。
完璧な孤独こそが、自由なのだ。
ところが愚かな人間たちは、形あるものに自由を見いだす。
だからいつまでたっても捉えられないのだ。馬鹿共め。
- 2 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:08:50 ID:e2ORu6bw0
私は完全なる自由を求めている。
身体的な自由ではない。精神というよくわからないものでもない。
私が求めているものは、想像力の解放だ。
自制という壁を払いのければ、何にも制御されることのない壮大なる宇宙が広がっていることだろう。
私は、それを見つめるために、目を閉じよう。
( ) 囚われの自由のようです
、、、
- 3 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:09:38 ID:e2ORu6bw0
- 1
青い空に雲がとんでいる。ぷかぷか、心地よさそうに。
見上げていれば自分まで重力から解放されたようで、ためしに何度か跳ねてみる。
<_プー゚)フ 「おい、そんなところで暴れんじゃねえ、殺すぞ」
lw´- _-ノv 「油でコンガリ揚げられる浮遊感が君にはわからないのかい?残念だな」
<_プー゚)フ 「いいからそのバケツをよこせ」
右手には、白いペンキがたっぷり入ったバケツがぶら下がっている。
その水面はまるで鯉が苦しんでいるかのように暴れまわっていて、リノリウムの青い床にも白い破片が飛び散っていた。
<_プー゚)フ 「何のための助手だ、これじゃただの迷惑な客人じゃねぇか」
lw´- _-ノv 「鯉の遺書だよ、このくらい許してあげて」
<_プー゚)フ 「いいからそれを、早く貸せ、っつってんだろ」
我慢強さでは蚊にも惨敗するであろう目の前の男がバケツを奪い取る。
lw´- _-ノv 「君は魚ほどの感受性も持ち合わせていないのかね」
<_プー゚)フ 「お前の戯言に付き合っていられるほど暇じゃねぇ」
目の前の得体も知れぬ物体に乱暴にペンキを塗りたくっている様には知性の一滴も感じられず――
<_プー゚)フ 「うるせぇ全部聞こえてんぞ馬鹿」
その言葉にも知性が宿る気配はなかった。
- 4 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:10:31 ID:e2ORu6bw0
lw´- _-ノv 「君にひとつ、質問をしてもいいかな」
懸命に刷毛を振り回しているのを横目で眺めながら齧るアイスキャンデーの美味さは格別だ。
そろそろ本格的な寒さがやってきそうな季節ではあるが、厳重にコントロールされた空調のおかげで、アイスはとけず、しかし私は凍えず、目の前の無粋な男は汗だく、というなかなか面白い場面ができあがっている。
<_プー゚)フ 「役に立たない助手に構ってる暇はねぇよ」
lw´- _-ノv 「ソレは、何につかうものなのかな?」
先ほどから随分と丁寧に扱われている、すでに全体が白くコーティングされた不可解な物体を指す。
私の言葉よりも大切にされるだなんて、結構なご身分ではないか。
<_プー゚)フ 「使うもんじゃねぇよ、観るもんだ。ゲージュツ作品だよ」
彼の言葉が芸術、という文字に変換されるまで数秒の時間を要した。
lw´- _-ノv 「顔に似合わない言葉を使わないで欲しいな。サンドバックが芸術だなんて、君も前衛美術という言葉を軽んじているのかい?」
<_プー゚)フ 「これのどこがサンドバックに見えるってんだ」
lw´- _-ノv 「どこも似てない。むしろ……いや、思いつかないな」
ソレは、サンドバックと形容するにはいささか硬すぎているし、尖りすぎている。
だからといって、ソレに似通ったものも挙げられずにいた。
見たことのない、形をしている。
- 5 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:11:13 ID:e2ORu6bw0
芸術というからには、そこには何かしらのオリジナリティが必要となる。という観点から見れば、見たことがないという表現は作った者にとって喜ばしいものだろう。
しかし、目の前にあるソレは、およそ芸術という範疇からは逸脱していた。
lw´- _-ノv 「見た目でサンドバックと名付けたわけじゃない。君は鏡を見たことがあるかい?」
<_プー゚)フ 「似合わねぇ、とか言いてえんだろ」
lw´- _-ノv 「よくわかっているじゃないか。君が芸術という言葉を知っていたことに私は驚いているよ」
<_プー゚)フ 「仕方ねぇだろ」
<_プー゚)フ 「作らねぇと、いけなかったんだ」
いまいましいと首を振り、作業に戻る彼の姿に、私は言葉を継ぐことはできなかった。
手元に目を見やれば、食べかけのアイスキャンデーが溶けかかっていた。
彼の挙動に違和感は多少なりともあったけれど、砂糖水が足にまとわりつく気持ち悪さのほうが勝っていた。
水場に向かうため、私はその部屋を後にした。
- 6 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:11:56 ID:e2ORu6bw0
lw´- _-ノv 「いやはや、ご苦労なことだねぇ」
私や先ほどの彼と同じ白い服を身につけた少年たちが、庭で列をなしている。
普段と変わり映えのしないこの景色にも面白みを与えられないかと、私は地べたに座り込んで考えてみる。
lw´- _-ノv 「あの服に、さっきのペンキで絵を描きたいな」
白い服に白いペンキ。きっと素晴らしく映えることだろう。いやいや、服に合わせて肌を白く飾り立ててやるのも美しいかもしれない。
何はともあれ、今、目の前で繰り広げられている光景よりは、ずっと美しいことだろう、と。
飛び散った赤いペンキで汚れるのを免れるという幸福を掴み取ったごくわずかな草に、指を絡め、引きちぎる。
青臭い、味がした。
それにしても、白いペンキとアイスだった液体に汚れたから、それを洗い流すために部屋の外に出たというのに。
何故、さらに汚れているのだろうか。
腹ばいになっていたおかげで衣服の前面は白いままであったが、無防備にさらされていた背中は無残にも赤く染まってしまった。
私は、赤が嫌いだというのに。
これでは、赤毛のペンギンだ。
(,,゚Д゚) 「お前、服はどうした」
- 7 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:12:37 ID:e2ORu6bw0
lw´- _-ノv 「ペンギンは気に食わなかったから仕方ない」
(,,゚Д゚) 「おう、そうか」
脱ぎ捨てた服は庭に投げ捨て、そのまま家に入ってきてしまった。身に付けているものといえば、白いペンキとアイスキャンデーのおもらしだけだ。
なかなかスマートな衣装ではないか。シャネルの5番なんかより、ずっと気が効いている。
lw´- _-ノv 「ペンギンが脱皮して人間になっただけだよ」
(,,゚Д゚) 「おう、そうか」
lw´- _-ノv 「うん」
私はこういう沈黙が好きだ。気まずそうな表情、彷徨う視線、そこからはあらゆる可能性が取り払われ、答えが無くなる。
(,,゚Д゚) 「エクストを、探しているんだが」
lw´- _-ノv 「庭にはいないみたい」
(,,゚Д゚) 「そうか」
これ以上の答えは望めないとでも思ったのだろうか。踵を返し、家の奥へと消えてしまう。
焦らずに真理が現れるのを待て、と、父様に教わらなかったのだろうか?
ギコという男は、この家の住人にしては随分と現実的で、効率を求めているようだ。
- 8 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:13:23 ID:e2ORu6bw0
まだ日の高いこの時間には、家の中に人気がない。
退屈だ。
庭に出れば、赤に塗れた少年たちと遊ぶこともできるが、また汚れてしまったらもう脱ぐものがない。
だからといって水場に行けば、足に付着している唯一の装飾品であるペンキが落ちてしまう。さすがに素っ裸で家の中を闊歩できるほどのおおらかな羞恥心は持っていない。
となれば。
lw´- _-ノv 「だれか、遊び相手を探そう」
青い床に、足を進めた。
この広い家の全てを、私は自由に歩き回ることが許されているわけではない。
青い床、および庭。ここからは一歩も出ることができない。
出られないことで発生する不自由など、何一つとして存在しないのだけど。
白い階段を見過ごし、廊下をまっすぐ進みながら人を探す。
遊び相手は、案外すぐに見つかった。いや、見つけてくれた。
- 9 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:14:14 ID:e2ORu6bw0
ノパ听) 「シュー!何で裸なんだよおおお」
lw´- _-ノv 「これが裸に見えるというなら、まだまだ修行が必要だね」
ノパ听) 「んえぇ!馬鹿には見えない服だとでも言うのか!」
lw´- _-ノv 「ホレ、ここにちゃんと着てるじゃないか」
足を持ち上げ、振ってみせる。
まじまじと見つめてくる視線は、やがて怪訝そうな瞳に変わる。
ノパ听) 「これが服だというのなら、お前のほうがずっと馬鹿だぞ?」
lw´- _-ノv 「ひまひま。ねえ今は何をしてたの?」
彼女が先ほど飛び出してきた部屋に入ると、大きなキャンバスが堂々と立ちふさがる。
ノパ听) 「ごらんの通り、絵を描いていたよ!」
lw´- _-ノv 「今度は何に出すんだい?」
ノパ听) 「それは父様が決めるさ!」
- 10 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:14:56 ID:e2ORu6bw0
ノパ听) 「シューはまだ何も作らないのか?」
lw´- _-ノv 「何かを作る必要があるのかい?」
純粋で大胆な目の前の少女は、ためらうことなく大きく頷く。手に握っていた筆から絵の具が飛んだ。
ノパ听) 「私たちは作るためにこの家にいるじゃないか!」
lw´- _-ノv 「うん。だからといって、作らなくちゃいけない理由にはならない」
ノパ听) 「む……」
押し黙って答えを考えている。私はただ意味もない言葉を並べ立てているだけに過ぎないのに、それに対して真剣に悩んでくれているようだ。
素直。
彼女の美点でもあるその性質は、彼女の描く絵画にも顕著に表れている。
lw´- _-ノv 「いい絵だね」
ノパ听) 「ああ!ありがとう!」
キャンバスに視線を戻した彼女は、一心不乱に筆を揮う。
先ほどの言葉のやり取りも、はたまた私の存在すらも、すでに忘れてしまっているのだろう。
彼女は、この家の優等生だ。
- 11 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:15:40 ID:e2ORu6bw0
また、青い廊下へと戻る。
空調は年中同じ温度で保たれているはずだが、足の裏に感じるひやりとした床に季節の移ろいの予感を知る。
lw´- _-ノv 「退屈だ。退屈で……靴。靴を履く?」
lw´- _-ノv 「靴を履いたら、人間になっちまうじゃねぇか!」
lw´- _-ノv 「上等だ!てやんでい!」
(,,゚Д゚) 「おう」
lw´- _-ノv 「ふむ…おもちゃがやってきた」
どうやら言葉遊びにはおもちゃを呼ぶチカラがあるようだ。なかなか興味深い事実を知った。
(,,゚Д゚) 「何をしているんだ?随分と大きな独り言だったな」
lw´- _-ノv 「召喚術だよ。どうやら呪文が正しかったようだね」
(,,^Д^) 「ギコハハハ、俺が今ので召喚されたってか」
普段エクストと力比べをして一日を過ごしているだけの、ただの筋肉の塊のようなこの男はどうやら今の冗談がお気に召したらしい。
- 12 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:16:41 ID:e2ORu6bw0
lw´- _-ノv 「君のほうこそ何をしているんだい?」
(,,゚Д゚) 「あ、ああ。エクストの様子がおかしいから、誰か呼びに行こうと思っていたんだ。丁度よかった」
lw´- _-ノv 「邪魔して悪かったね」
そそくさと逃げようとするが、すでに無骨な手によって肩をしっかりと掴まれていた。
(,,゚Д゚) 「別に危険なわけじゃねえよ、ただちょっと、珍しいんだ」
lw´- _-ノv 「知ってる」
(,,゚Д゚) 「あいつ、」
lw´- _-ノv 「作品を作ってる、でしょ」
(,,゚Д゚) 「それはもう一心不乱に、って、知ってたのか?」
lw´- _-ノv 「私は何でも知っているよ」
引きずられるようにエクストがいる部屋へと連れて行かれる。
先ほどと同じように黙々と作業していた。
違っている点は、ソレがもう白くもなく、尖ってもいないということ。それともうひとつ、エクストの手にはもう何も道具が握られていないということだ。
完成していたのだ。
- 13 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:17:22 ID:e2ORu6bw0
(,,゚Д゚) 「あ、れ……おかしいな、あれは、何だ?」
ギコはフラフラした足取りで、ソレのほうへ引き寄せられている。そして、私の足も同じように、自然とソレに向かっているのだ。
おかしい。何かがおかしい。
何故ソレは、そんな形をしている?そんな色をしている?ほんの数十分前に見たときのソレは、どんな形をしていた?
そもそも、何故エクストが、ソレを作ることができたのだ。
何故。一体、何が目の前で起きているのだろう。
ソレとは、なんだ?
気づけば目の前にソレがあった。驚いて足を止める。
止める?
今、私は歩いていたのか?
自分の足が、自分のものではなくなったような気がして慌てて見下ろせば。
白いペンキが飛び散っている。
足にも、床にも。
思い出した。
さっき、ソレは、白かった。
- 14 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:18:06 ID:e2ORu6bw0
霧がかかったかのようにぼやけていた意識が晴れる。冷水をかけられたように、ハッキリと。
振り向かないようにして逃げ出すことしかできなかった。
近づけばきっとまた、ソレの虜になってしまうから。
走る。青い廊下を、全速力で。
庭にはまだ、大勢の人がいるはずだ。
庭へ。外へ。
勢いよく飛び出し、そのまま草地へころがる。
まだ赤いペンキをつかって遊んでいたのか、体中に赤が塗される。
赤い。体が、赤い。そして空は青い。
先ほどまで嫌悪していた赤い色を見て、思わず涙が零れる。
色が判る、というのは、なんて素晴らしいことだろう。
笑いながら体になすりつけた。
背後の気配に、振り向くまでは。
- 15 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:19:29 ID:e2ORu6bw0
ソレは、私を追ってきた。
どこにも、足のようなものなど、ないのに。
lw´- _-ノv 「エ、エクスト……」
ソレの生みの親であるエクストの姿が見えたから、助けてほしくて、名前を呼んだ、のに。
<_プー゚)フ 「さhdぎゅいrへんgんgっびおk」
( )
ソレに、話しかけている。
( )
もうどこにも、逃げ道など、ない。
( )
- 16 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:20:09 ID:e2ORu6bw0
( )
――その時から、私とソレは、ひとつになった。
、、、
- 17 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:20:50 ID:e2ORu6bw0
lw´- _-ノv 「えっ」
( ゚д゚ ) 「何度も言わせるな。父様が御呼びだ」
私たちと同じ形をした服を着ているが、目の前の男の服は真っ黒だ。世話人である。
住人は白い服、世話人は黒い服。
( ゚д゚ ) 「分かりきっていることを何故呟く。時間を無駄にするな」
lw´- _-ノv 「これだから乱暴な男は困るよ」
乱暴に腕をつかまれ、躊躇なく白い床のエリアへ引っ張られる。
lw´- _-ノv 「はじめては…もっと優しくしてほしかったのに」
ちょっとした軽口は黙殺された。
- 18 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:21:31 ID:e2ORu6bw0
それにしても、今日はあまりにも刺激が多すぎる。まるで台風の目にでもなったような気分だ。
ソレは、私だけを追いかけていた。追いかけられて、追いつかれて。
そして今、私の背中にいるのだ。
重さも感触も、追いかけられている間は不快で堪らなかった感覚も、今は感じない。ただ、そこに在るということが分かるだけだ。
何故あんなに怖かったのだろう?
思い出せない。何も。
( ゚д゚ ) 「そっちではない。きちんと着いてこい」
おやおや。何をボーっとしているのだろう。今はあの世話人について行かなくては。何しろ父様にお会いするのだから。
- 19 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:22:18 ID:e2ORu6bw0
lw´- _-ノv 「むむん」
(´・ω・`) 「やあ。呼びつけてすまないね」
この家の中では強大な権力を持つ名前、父様。しかしその実態は、穏やかな表情の中年男性である。
ただ、初めての会話が「むむん」なんて言葉で始まってよかったのだろうか。
(´・ω・`) 「そんなもの気にしなくていいさ。僕たちは家族なんだから」
lw´- _-ノv 「おや、また口に出ていましたか」
(´・ω・`) 「君は面白い作品だ、シュー」
lw´- _-ノv 「……む」
(´・ω・`) 「何故ここに呼んだか、理由は分かるだろう?」
(´・ω・`) 「次の品評会が、君の晴れ舞台だ」
- 20 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:23:25 ID:e2ORu6bw0
lw´- _-ノv 「……」
(´・ω・`) 「……」
どうやら父様と名乗るこのとぼけた男は、自分から会話を進める気は無いようだ。
作品と呼ばれた私は、口を開いていいのだろうか。
(´・ω・`) 「ふは。もちろん良いに決まっているだろう」
lw´- _-ノv 「私が作品にならなくちゃいけないのは、いつまでたっても自分で作ろうとしないから?」
(´・ω・`) 「まさか。最初からこうする予定だったよ」
lw´- _-ノv 「最初?」
(´・ω・`) 「うん、君とエクストがここに来た時からね」
思ってもいなかった答えだが、不思議と素直に受け止めていた。
lw´- _-ノv 「エクストは?」
(´・ω・`) 「彼はどうなるのか、って質問なら、どうもしないよ。今まで通り生活させるつもりだ」
lw´- _-ノv 「…じゃあ、私は?」
- 21 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/11/04(金) 22:24:27 ID:e2ORu6bw0
(´・ω・`) 「品評会で売り飛ばすよ。他の子たちの作品と一緒に」
昨日までの私ならば、きっと断っていただろう。泣きじゃくって、暴れまわって、駄々をこねていただろう。
しかし今となっては、断る理由がない。
lw´- _-ノv 「うん、わかった」
(´・ω・`) 「もう質問は終わりかな?」
lw´- _-ノv 「…これは、何?」
振り向かずに指先だけを自分の背後に向ける。
父様の表情がここに来て初めて緩んだ。
(´・ω・`) 「それはね、シュー」
(´・ω・`) 「自由、とでも言っておこうか」
歪んだ笑みには、理想と現実が刻まれていた。
つづく
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