- 76 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/10/07(金) 01:21:58 ID:GAHUbY8Q0
- 時刻は朝日が昇る数時間前。いわゆる草木も眠る丑三つ時。
東欧のとある国に存在する森林地帯。その地下を走る一本の地下道。
もともとは地下の排水施設であったためか、その打ち捨てられた地下道の中は暗くジメジメとしていて、普通の人間ならば足を踏み入れようとは考えないだろう。
その地下道に小さな跫音を響かせながら進む3つの影。
- 77 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:23:07 ID:GAHUbY8Q0
- 全身に重い装備を身に着け、手にはゴテゴテと付属機器の付いた銃器、顔には次世代型のナイトヴィジョンを身に着けている。
銃器に取り付けられた赤外線灯光器が照らす明りだけを頼りに、目的地を目指していく。
この三人の侵入者の名前はギコ、ブーン、ツン。
と、集団の先頭の目深にニット帽をかぶったギコが左手の握り拳を上げ、立ち止る。
そして頭上のマンホールを見据えながら喉元の機器に手をやる。
(,,゚Д゚)「ここだ、全員とまれ。」
『……こちらマスティフ6、聞こえるか』
咽頭マイクが僅かな声量でも音声を伝える。
無線機によって電波に変化された信号は大気圏外を飛ぶ人工衛星まで伝えられる。
( ´_ゝ`)『こちらビーグル2、流石はお上の秘匿衛星回線だ。よく聞こえるぞ』
- 78 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:24:41 ID:GAHUbY8Q0
- 無線から後方の丘陵地帯にて待機している流石兄者の声が聞こえる。
その少し荒れた音声にギコはすぐさま答える。
(,,゚Д゚)『政府の連中に盗聴されていたらロクなことも喋れなさそうだな。オスカーに到着した』
( ´_ゝ`)『おk。そのマンホールの上は警備棟地下制御室のはずだ。0330に自衛軍の特殊部隊が陽動を行う。
確認しろ、陽動部隊のコールサインはホテルだ。その後チーム2と連携しセキュリティールームを制圧しろ』
(,,゚Д゚)『了解。アルファ、ブラボー待機する』
( ´_ゝ`)『繰り返す。陽動開始の予定時刻は0330だ。両チームとも0330に行動を開始せよ。
それとPDAでリアルタイムで情報を送る。活用してくれ』
(,,゚Д゚)『了解した。オーバー』
- 79 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:26:01 ID:GAHUbY8Q0
- 兄者との通信が終了し、ギコは後ろに控えているチームに咽頭マイクを介して声をかける。
(,,゚Д゚)「よし、PDAを起動し各自装備を点検しろ。このまま0330まで待機だ」
ギコがPDAを起動する。暗い地下道に三人分の僅かな明りが灯され、辺りの詳細な情報が表示される。
瞬間、ふいに地下道の奥から眩い光が垣間見え、三人はすぐさまそばの物陰に隠れる。
物陰から手もちの銃器を構え、その先の様子を窺う。
ξ゚听)ξ「シッ、12時方向に動作あり」
(,,゚Д゚)「身を隠せ、おそらく敵の哨兵だ。」
( ^ω^)「敵三名、軽装、一人はタックライトを所持」
- 80 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:26:53 ID:GAHUbY8Q0
- 地下道の奥からライトと小銃を手に三人の哨兵が歩いてきている。
私服に装備を着こんだPMCスタイルのいでたちだが、まさか侵入者がいるとは露とも知らず、警戒している様子はない。
「ったく、こんな場所をパトロールだなんて、隊長も心配性だな」
「おいおい、隊長に聞かれたら懲罰もんだぞ。……ま、さっさと見回って早く上にあがろうぜ」
「そうだな、ここはカビ臭くてうんざりだ」
「帰ったらシャワーが浴びたいぜホント」
無駄口を叩きながら、巡回している哨兵が3人の潜む場所へ少しずつ近づいてくる。
この地下道は中央の廃棄された排水路の両脇に連絡路が長く続いている。
基本的に分かれ道は無く、哨兵の進路方向にギコ達が潜んでいる。
遮蔽物も放置された資材程度でこのままでは発見されてしまう事は火を見るより明らかだ。
- 81 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/10/07(金) 01:27:34 ID:GAHUbY8Q0
- (,,゚Д゚)「このままじゃ不味い、騒ぎになる前に連中を片付けるぞ。
ブーンは右、ツンは左、俺は中央だ」
ξ゚听)ξ( ^ω^)「了解」
三人が物陰から僅かに身をさらけ出し、その獲物で哨兵を狙う。
銃器に搭載された光学照準機器のレティクルに未来予測位置の敵兵を乗せる。
グリップが汗で滑らないよう、少し隙間を開けて握る。
- 82 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:28:32 ID:GAHUbY8Q0
(,,゚Д゚)「静かに、確実に決めろ。合図を待て…………3……2……1」
辺りの音が少し遠くなり、哨兵の動きが手に取るように解る。
敵の哨兵はどんどん三人に近づいているが、哨兵の一人がふと何かに気づく。
「ん? 奥に何かが……」
その瞬間、三人の頭胸部へ目がけて、鋭い飛来音を伴った弾丸が放たれる。
着弾のエネルギーは硬直した哨兵の身体を向こうに押し倒す。
哨兵が倒れると、三人はすぐさま体を起こし、敵兵の元へ周囲を警戒しながら接近する。
( ^ω^)「タンゴ・ダウン」
(,,゚Д゚)「よし、時間がない、急いで死体を隠すぞ」
哨兵の即死を確認すると、三人は物言わぬ敵兵の死体を排水路だった溝へと移し始める。
と、死体の腰にあるものを発見する。
- 83 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:29:32 ID:GAHUbY8Q0
- ( ^ω^)「お? これは敵の無線機とカードキーだお。頂くしかないおね」
ξ゚听)ξ「ラッキーね、持っていきましょう。少しは仕事が楽になるわ」
(,,゚Д゚)「しかし、こいつらの装備……RPKMに、これはAK-103か? まるでシベリア軍だな」
( ^ω^)「しかも高級な最新モデルだおね」
倒れた死体を足で転がすとシベリア製の装備で固められていることがよく解る。
死体から無線機とおそらく警備用のものであろうカードキーを回収する。
( ^ω^)「ふむむ……私兵部隊というよりはシベリアの正規兵にしか見えないお」
ξ゚听)ξ「何か怪しいわね……SMGとシベリアに裏があるのかしろ」
(,,゚Д゚)「まあ、今此処で考えてもしょうがない。
……そろそろ攻撃の時間だ。準備しろ」
- 84 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:30:25 ID:GAHUbY8Q0
- ツンが背嚢から指向性爆薬を取り出し、頭上のマンホールへ取り付ける。
ドアブリーチ用のそれは味方の被害なしにマンホールを吹き飛ばすことができる。
そしてブーンはギコの背中へ掛けられたフラッシュバンを抜き取り、身構える。
と、その時ギコの無線がなる。
( ´_>`)『チームマスティフ、こちらチームシエラ。攻撃の準備が整った』
『オールチーム、こちらホテル6、陽動の準備ができた。これより攻撃を開始する』
(,,゚Д゚)『オールチーム、こちらマスティフ、了解だ。頼んだぞ!』
「よし、陽動が始まった。派手にやれ!」
ギコが声を上げるとすぐさまツンがマンホールを指向性爆薬で吹き飛ばす。
そこにブーンの手からフラッシュバンが投げ込まれると、辺り一帯から音という音が甲高い耳鳴りに取って代わる。
ギコは頭上の眩い閃光を確認すると、甲高い耳鳴りをBGMに頭上の大穴目がけて梯子を駆け上る。
(,,゚Д゚)「おらっ」
- 85 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:31:21 ID:GAHUbY8Q0
- マンホールから頭をだしたギコが辺りに転がる警備兵へ向けて即座に弾丸を叩き込む。
瞬く間に部屋にいた数名の男たちを沈黙させる。
そこはあまり大きくない部屋で、発電施設の制御室だった。
素早く部屋に上がると、周囲を確認し、ブーンとツンが続いてマンホールから出てくる。
(,,゚Д゚)『ビーグル2、セクション1を制圧した。これよりセクション2を目指す』
( ´_ゝ`)『ビーグル2了解。これより誘導を開始する。指示に従え』
と、そこで突如として起きた爆発に、扉の向こうが急に騒がしくなる。
が、そこへツンが壁越しに銃弾を叩き込む。薄い石膏とコンクリートを貫いた7.62oが外の敵兵を絶命に追い込む。
近くの敵はそれだけだったようで、辺りには一時の静寂が訪れる。
ツンは構えていたFN社製SCAR-Hライフルを腰だめの位置まで落とし、軽く呟く。
ξ゚听)ξ「あら、失礼」
すかさずブーンは取り出したC4を発電機の燃料タンクに仕掛け、全員が部屋の入口に集まる。
(,,゚Д゚)「よし、C4も設置したな。次行くぞ!」
ξ゚听)ξ( ^ω^)「了解!」
―――――そしてギコ達は扉から素早い動作で駆け出る。
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- 86 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:32:04 ID:GAHUbY8Q0
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(,,゚Д゚) GIFTのようです Contract1−『ロンゲスト・プレゼント』 chapter3
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- 87 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:33:47 ID:GAHUbY8Q0
- ここで、時はさかのぼり、作戦決行の数日前。
『Black.Dog』の事務所に全員が集まっていた。
全員で大きな机を椅子で囲み、その上の大量の資料を眺めている。
と、兄者が背後のプロジェクターの電源を入れると、おもむろにギコが口を開く。
(,,゚Д゚)「よし、皆集まったな。それじゃクー、頼んだぞ」
作戦前の最終調整のためにチーム全員が集まっていた。
今回の作戦の具体的な立案はクーと兄者が行っている。
クーが椅子から立ち上がり、机上の図面の上へ手を付き話し始める。
- 88 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:34:29 ID:GAHUbY8Q0
- 川 ゚ -゚)「それじゃ再度、今回の作戦の概要から説明しよう」
川 ゚ -゚)「今回我々が襲撃する研究所は非常に強固な防御陣地を強いている。
対空兵器も含めて正規軍並みの防御能力が推定される。正面突破や空中機動はまず無理だろう」
_
( ゚∀゚)「おちおちヘリで近寄れないってことだな」
川 ゚ -゚)「そうだ。そこで我々はこの廃棄された地下道を使う。
これは元々排水に使われていたらしいが、現在使われてはいない。ここなら警備も非常に薄いはずだ」
クーがプロジェクター上の図面に描かれた細長い廃道を指し示す。
その廃道は研究所付近の湖からまっすぐ伸びている。
- 89 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:35:58 ID:GAHUbY8Q0
- 川 ゚ -゚)「この地下道は研究所北西部の警備棟の真下を走っている。
そこで二手に分かれ、強襲チームが警備棟のセキュリティールームと北部のAA兵器を制圧し、
狙撃チームは近くの丘陵より近接狙撃支援を行い、その後合流して朝日を捜索する」
( ^ω^)「んー、それって相手を考えるとちょっとリスクが高そうな作戦だおね」
( ´_ゝ`)「そこで俺の出番だ。セキュリティールームを制圧したら通信機器を取り付けてほしい。
研究所は閉鎖ネットワークだが、それでこちらから遠隔で警備装置を使ったかく乱ができるはずだ」
兄者が部屋のプロジェクターに研究所のセキュリーティー情報を表示する。
( ´_ゝ`)「どうやらオートターレットなんて代物も研究所に設置されてるようだ。
乗っ取ることができればかなり役に立つ」
- 90 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:36:38 ID:GAHUbY8Q0
- クーは机の周りをゆっくりと歩きながら説明を続けている。
川 ゚ -゚)「研究所の警備は高度にコンピューター管理されているが、裏を返せば兄者の強力な武器になる」
そして兄者とジョルジュは10マイル後方で待機、AA兵器の制圧を確認し、合図で回収に向かってくれ」
(,,゚Д゚)「それじゃチーム分けだ。強襲チームは俺とブーンにツン、ガチンコで行くチームだ。
コールサインは……、そうだなマスティフでいこう」
ξ゚听)ξ「またまた勇猛な名前ね」
( ^ω^)「ギコは犬の名前ばっかりだおねー」
( ´_>`)「それじゃ狙撃チームは俺とクーか。観測手は好みじゃないんだがな」
川 ゚ -゚)「そう文句を言うな。どちらにしろ最後は直接乗り込むんだ、我慢しろ。
それとチーム2のコールサインはシエラだ」
- 91 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:38:23 ID:GAHUbY8Q0
- ( ´_ゝ`)「それで? また俺はジョルジュのためのコパイロットか。勘弁だぜ」
_
( ゚∀゚)「できれば俺だって野郎は勘弁してもらいたいんだがな」
ξ゚听)ξ「何のためにヘリの操縦免許を取りに行ったと思っているのよ。
こんな時ぐらい現場で仕事しなさい」
(;´_ゝ`)「お前らが無理やり養成所に押し込んだくせに何言ってんだ。この鬼め」
川 ゚ -゚)「まあ兄者は置いといて、今回の作戦には自衛軍の特殊作戦群も支援に参加するそうだ」
ξ゚听)ξ(……!)
- 92 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:39:21 ID:GAHUbY8Q0
(,,゚Д゚)「狙撃支援と陽動、撤退の時間稼ぎをやってくれる。
いけ好かない連中だったがきっちり仕事はこなすんじゃないかな」
突然、ブーンとツンの表情が強張るが、それに気付いている者はいない。
( ^ω^)(…………)
ξ゚听)ξ(…………)
(,,゚Д゚)「よし、質問は無いな? あとは前日にもう一度会議を行う。
各自装備を確認しとけよ。……じゃあこれで解散だ」
ギコの一言を最後に皆が帰り支度を始める。兄者が机の資料をまとめている。
_
( ゚∀゚)「腹が減ったな。流石兄弟、飯にいこーぜー」
川 ゚ -゚)「ギコ、ショボンの所に用事があるんだが行かないか?」
(,,゚Д゚)「あー、構わんぞー」
- 93 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:41:39 ID:GAHUbY8Q0
- さっそく流石兄弟とジョルジュがどたどたと扉から出ていき、クーとギコもそれに続く。
騒がしかった事務所に急に静寂が訪れる。
そんな中、会話らしい会話もなく、ブーンとツンだけが扉の前にポツンと立っている。
と、重い沈黙をものともせず、ブーンが口を開く。
( ^ω^)「ツン……」
どこかツンを気遣うような口調。しかしツンは少しうろたえながらも、
ξ゚听)ξ「ううん、気にしないで。さ、早く行きましょう。
すこし寒くなってきたけど、どこか寄ってから帰りたいわ」
( ^ω^)「……うん、そうだおね。暖かいコーヒーでも飲みたいお。
近くの喫茶店にでも寄るかお」
二人とも外套掛から外套を手に取り、事務所を出る。
共用のカギを掛け、電子セキュリティーを起動させる。
ふと気が付くと、いつの間にか秋も終わりが近づき、外には冬の近づきを思わせる肌寒い風が吹いていた。
ブーンはそっとツンの腕をとり、秋空模様の空の下を帰り道沿いの喫茶店目指して歩いていく。
_____________________________________________________
- 94 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:43:05 ID:GAHUbY8Q0
深い暗闇の中、まるで世間の目から逃れるかのような奥深い森林地帯に建てられた建物がある。
鬱蒼とした森を抜けると、突如として森を切り開いた土地に巨大な施設がそびえ立っている。
SMGの製薬研究所として建てられたはずのそれは余りにも強固な警備のせいか、もはや一種の軍事施設としか思えない。
時はまた戻り、作戦決行日。
研究所外壁から約200m先の、施設全域を見下ろすことができる小高い丘にて。
そこに流石弟者は偽装用に草木をくくり付けた布を背中から被り伏せている。
傍らには同じく草木を身に纏い、草むらに伏せた素直空が奇妙な形の狙撃銃を構えている。
辺りの暗闇には、虫の鳴く音だけが鳴り響いている。
- 95 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/10/07(金) 01:44:14 ID:GAHUbY8Q0
川 ゚ -゚)「まったく、わらわらと敵兵が群れているな。これじゃマスティフも一苦労するだろう」
弟者の前には小さな三脚に立てられた軍用の汎用双眼鏡。
そのスコープ越しの視線は施設を巡回する哨兵に向けられていた。
するとその施設の外壁を周る哨兵が前門に到達する。
哨兵を向かい入れるために大きな鋼鉄の門が開かれ、内部の警備状況が露わになる。
( ´_>`)「正面ゲートに動作あり。……ワオ、物騒なもん用意しているな。
重機関銃……おそらく無人化されている。例のオートターレットだな」
双眼鏡で得た情報を手元の手帳に書き加えていく。
その手帳の手製の地図には地形、敵の陣地、目標などが弱蛍光性のペンによって細かに記されている。
すると隣のクーが口を開く。
川 ゚ -゚)「距離は?」
僅かな月明りを頼りに、手帳とスコープの情報から大まかな距離をだす。
( ´_>`)「あー……、重機まで250m。右奥のAA兵器まで360m」
川 ゚ -゚)「よし、その距離までならこの銃でも問題ない」
( ´_ゝ`)「これ以上の距離は自衛軍の狙撃チームに任せよう。
連中は研究所を越えた向かいの丘に待機してるはずだ」
- 96 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:44:56 ID:GAHUbY8Q0
研究所をはさんで向かい側に待機しているのはヤーパン自衛軍の狙撃チーム。
クーが所持している狙撃銃の名はヴィントレス、射程が400mと短く弾道も安定しないが良く消音された狙撃銃だ。
そのため施設全域をカバーする、長距離からの狙撃支援が必要となったのだ。
川 ゚ -゚)「わかった。それと狙撃後の侵入ルートは?」
( ´_>`)「ポイントパパの監視塔を制圧後、予定通り再度地下から侵入する」
クーたちの役割は施設前方から強襲を仕掛ける自衛軍の特殊部隊を支援することだ。
陽動の役目を負った特殊部隊は敵を引き付けるために徐々に後退する。
その隙を見計らってクーたちは施設内に侵入する手筈だ。
川 ゚ -゚)「了解だ」
- 97 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:45:57 ID:GAHUbY8Q0
- 弟者が腕時計を覗きこむ。
時刻は午前3時28分。
暗視スコープの先には、暗がりに潜む陽動部隊が見えている。
( ´_>`)「……よし、もうすぐ予定の時間だ。もう大まかな敵配置も把握した」
川 ゚ -゚)「よし、やってやろうじゃないか。今日のエースは私だ」
弟者が腰の無線機の周波数を調整し、咽頭マイクを起動する。
( ´_>`)『ホテル6、こちらチームシエラ。配置についた。よく見えているぞ』
若干の間の後にイヤホンに少し荒れた音声が返ってくる。
聞こえてきたのは陽動を行う特殊部隊隊長の力強い声だった。
落ち着いた渋い雰囲気の声だ。
- 98 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/10/07(金) 01:48:08 ID:GAHUbY8Q0
- 『こちらホテル6、了解だ。よろしく頼む。敵の配置は解るか?』
( ´_>`)『そちらの前方の正面ゲートに約20名ほどの哨兵と固定陣地、それと無人化された重機関銃に灯光器がある。
監視塔には固定の軽機関銃がある。戦闘を開始したらスモークを焚いた方が良い。それでは、幸運を祈る』
『了解だ、シエラ。予定通り攻撃を開始する。オーバー』
無線が切れると、弟者は双眼鏡を持ち直し、正面ゲート監視塔の哨兵を見据える。
( ´_>`)『チームマスティフ、こちらチームシエラ。攻撃の準備が整った』
弟者の通信のほぼ直後に先ほどの声が連なる。
『オールチーム、こちらホテル6、陽動の準備ができた。これより攻撃を開始する』
(,,゚Д゚)『オールチーム、こちらマスティフ、了解だ。頼んだぞ!』
- 99 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:48:48 ID:GAHUbY8Q0
ギコからの無線を合図に弟者は隣のクーへ声をかける。
( ´_>`)「クー、監視塔にいる機関銃手が見えるか? ニット帽を被った奴だ。……ソイツを殺れ」
川 ゚ -゚)「見えてるぞ……、見えてる」
クーは短く息を吸い込むと、ゆくっりと引き金を引く。
すると、短い金属音がしたかと思うと、直後に隣からボルトの作動音のみまで消音された銃声が聞こえる。
クーが限界まで消音された銃声の後に息を軽く吐き出し、狙撃銃のストックを握りなおしている。
そして、双眼鏡から目を離さずに小さくつぶやく。
- 100 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2011/10/07(金) 01:49:28 ID:GAHUbY8Q0
( ´_>`)「ターゲット・ダウン」
――――そうして監視塔の哀れな機関銃手は二度と目覚めぬ眠りへと突き落とされた。
next chapter is coming soon.....
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