- 1 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:16:24 ID:QKpWW53g0
照りつける太陽から、フードを目深に被って身を隠した。
しかし砂漠の砂が下から光を反射し、熱が体を包み込む。
最後に食事をしたのは、二日前のことだ。
水の気配を辿り、オアシスを中継しながら歩いているので、乾きには苦しんでいない。
問題は空腹と、塩分だった。
lw´‐ _‐ノv「そろそろ死にそう?」
上空を飛んでいる、黒い布きれを纏った白髪の少女が、無表情で言った。
- 2 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:19:41 ID:QKpWW53g0
('、`*川「絶対死なない」
ペニサスは剣を杖代わりにし、大きく一歩踏み込んだ。
足の裏が砂に埋もれ、体が沈み込む。
lw´‐ _‐ノv「あと一日あればなあ」
自分よりも大きい鎌を持った少女は、やはり無表情に呟いた。
彼女の言葉を無視し、ペニサスは地平線に漂う街の影を睨み付けながら、また一歩、足を踏み出した。
- 3 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:21:01 ID:QKpWW53g0
第一話「旅立ちの街」
- 4 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:25:20 ID:QKpWW53g0
巨大なオアシスを囲むように作られた街だった。
交易路の中継としての街ではなく、完全に下界と孤立しているらしい。
ペニサスが街にやってくると、住人たちが盛大に出迎えてくれた。
広大な砂漠の真中に位置しているこの街に、外から人がやってくるのは、
長い歴史の中でも両手で数えるくらいしかいないらしい。
(’e’)「君は勇敢な人だ。我々は君に最大限のもてなしをするよ!」
街を統括している男は、独特な訛りで言った。
- 5 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:28:07 ID:QKpWW53g0
('、`*川「そう。ありがと。でもとりあえず宿に泊まりたい。
シャワーを浴びて、それから食事を」
(’e’)「私の家に泊まりなさい。食事はもちろん出そう。
その代わり、夜になったら旅の話をしてくれないか?」
ペニサスは街の正門で取り囲まれていた。
旅人が珍しいにしても、この反応は異常だと思ったが、大人しく従うことにした。
路銀が節約できるなら、それに越したことはない。
オアシスが近いからか、街の中は少し気温が低く、水を含んだ涼しい風が吹いていた。
ペニサスはフードを取り、腰まである長い髪を指でとかした。
- 6 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:31:46 ID:QKpWW53g0
男はセントジョーンズと名乗った。
中年だが、顔はみずみずしく、生気に溢れている様子は実年齢より若く見えさせた。
セントジョーンズの家に招かれ、シャワーを借りた。
髪に砂が絡みついていたが、水で流しきると、元のつやのある髪に戻った。
lw´‐ _‐ノv「よく体を洗った方がいい。
きっとあとでお代は体で支払ってもらうよ……とか言われるよ」
('、`*川「そのときは全員しばき倒す」
lw´‐ _‐ノv「暴力反対!」
宙に漂う少女は、決してペニサスから離れず、彼女が体を洗っている間もそばを浮かんでいた。
- 7 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:35:36 ID:QKpWW53g0
シャワーを終えると、さっそく食事を出してもらった。
クラーンの実をすり潰したスープが前菜として運ばれる。
畑から取れた野菜のサラダ、それからシーモと呼ばれる家畜の肉が後に出された。
癖のある味がしたが、残さず食べる。
好き嫌いがある訳ではないが、出されたものは全て食べることにしている。
lw´‐ _‐ノv「私も食べたい! 食べたいよぉペニサス!」
('、`*川「うるさい」
(’e’)「はい?」
小首をかしげたセントジョーンズに、ペニサスは何も答えなかった。
- 8 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:37:56 ID:QKpWW53g0
やがて夜になった。
広場に街の者たちが集まり、中心にセントジョーンズとペニサスが椅子に座っていた。
(’e’)「下界から街にやってきた勇者に、皆の者拍手を!」
外の人間を追い出す街もあるが、これほど歓迎されるのも逆に居づらい。
ペニサスは広場に集まり、好奇の視線で見てくる人間たちを、ぼうっと眺めていた。
(’e’)「旅のお話を聞かせて頂いても?」
('、`*川「特に、聞いて面白いような話はありませんけど」
- 9 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:40:01 ID:QKpWW53g0
(’e’)「またまた! 勿体ぶっちゃって!」
('、`*川「いや、マジで」
(’e’)「お願いしますよ。例えば、旅の目的とか」
セントジョーンズは決して譲らなかった。
旅、彼を含めて、街の者たちはこのキーワードに異常な執着を示しているようだ。
('、`*川「死神がついているんです」
ペニサスが話し始めると、小声で会話をしていた街に者たちが黙り込み、
広場はしんと静まりかえった。
- 10 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:43:13 ID:QKpWW53g0
('、`*川「死神を追い払うのが旅の目的です」
(’e’)「死神?」
('、`*川「これを退治しないと、私は近い内に死ぬんですよ」
lw´‐ _‐ノv「えーそうなの!? ペニサス可哀想!」
ケラケラと笑う、宙を漂う少女に、街の者たちは誰も反応しなかった。
ペニサスだけが、彼女を睨み付けていた。
ぽつぽつと旅の話を始めたペニサスに、街の者たちは興奮を抑えきれない様子だ。
何人かは、酒を口に入れていて、赤い顔をしていた。
- 11 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:45:36 ID:QKpWW53g0
一時間ほど話をすると、ようやくみんな満足したようだ。
その後は、ただの宴会となった。
ペニサスも酒を勧められたが、断った。
('、`*川「訊きたいことがあります」
(’e’)「何でしょう?」
('、`*川「私の他に、最近、この街に来た旅人がいるでしょう?」
(’e’)「ほう、ご存じなのですか、あの人を」
('、`*川「少し。その者が何処に向かったか、わかりませんか?」
- 12 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:47:53 ID:QKpWW53g0
セントジョーンズは申し訳なさそうな顔をした。
(’e’)「すみません。北へ向かったのはわかりますが、正確な場所は」
('、`*川「そう」
別に、有益な情報は期待していなかった。
lw´‐ _‐ノv「私の勘では、彼女はおそらく西へ向かったはず」
('、`*川「たった今北っつったろ」
(’e’)「はい?」
セントジョーンズが、また首をかしげた。
- 13 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:50:49 ID:QKpWW53g0
('、`*川「それにしても、旅人が来たくらいで宴会って、ちょっと大げさ過ぎませんか」
(’e’)「大げさではありませんよ。私らにとっては一大事。
それに明日、旅立ちの儀式があるのですよ。前夜祭も兼ねています」
('、`*川「旅立ちの儀式?」
(’e’)「旅立ち! 旅立ちですよ! 何て胸が躍る言葉なんでしょうかね!」
lw´‐ _‐ノv「リアクションが鬱陶しかったら斬り捨ててもいいのよ。ペニサス」
('、`*川「何ですか、それ」
(’e’)「その名の通り、この街を旅立つ者を見送る儀式です」
- 14 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:54:13 ID:QKpWW53g0
('、`*川「へえ。この街の人も旅をするんですか」
(’e’)「ですが、一度旅に出たらもう二度とこの街には戻ってこれません」
('、`*川「どうして?」
(’e’)「旅とは、そういうものなのです」
何処か違和感を覚えたが、追求はしなかった。
追求は、するのもされるのも、好きではない。
('、`*川「畑も家畜も豊富にあるのに、旅に出たがる人がいるんですね」
(’e’)「旅とは心をくすぐられる魅力がありますからね!」
- 15 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:57:05 ID:QKpWW53g0
lw´‐ _‐ノv「じゃあお前も旅に出ろ! 今すぐ身支度せえ!」
死神と、同じことを言いたくは無かったが、
('、`*川「あなたは旅には出ないのですね」
言ってから後悔する。
皮肉を含んだニュアンスになってしまった。
(’e’)「私は無理ですよお。街を統治する使命がありますしね」
会話が止まった。
ペニサスはぼんやりと広場を眺めていたが、一人の少女に目が留まった。
- 16 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/22(金) 23:59:58 ID:QKpWW53g0
彼女の周りを何人もの大人が取り囲み、酒を飲みながら口々に何か言い交わしている。
中心にいる彼女は、ぴくりとも笑わず、時折口を開くだけだ。
街に漂う平和な空気に、彼女だけが馴染んでいなかった。
(’e’)「彼女が、明日、旅に出る少女です!」
ペニサスの目線に気がついたセントジョーンズが、彼女を見ながら言った。
(’e’)「名前はつー。小さいのに、勇気がある! いや、結構結構!」
セントジョーンズは上機嫌だった。
旅が好きなのか、旅に出る者が好きなのか、それとも……。
- 17 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:02:32 ID:4jtUvCI20
宴は夜遅くまで続いた。
ペニサスは一滴も酒を飲まずに、セントジョーンズの家で眠りについた。
翌日、まだ日が昇るまでにペニサスは目を覚ました。
朝日が顔を出す頃になると、街にちらほらと人影が見え始める。
朝食の時間になって、一度セントジョーンズの家に戻った。
食べ終えると、さっそく旅の支度を始めた。
同じ街に留まるのは、用事が無ければ一泊だけと決めていた。
(’e’)「もう少しゆっくりしていってもいいのに」
- 18 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:04:42 ID:4jtUvCI20
('、`*川「時間が無いので」
(’e’)「死神ですか?」
セントジョーンズの言葉に、面白がっている気色を感じた。
彼は死神の存在を、冗談半分に受け止めていた。
返事はせずに、一礼だけすると、彼の前から歩き始めた。
街を出ようとしたとき、人だかりが出来ているのを見つけた。
中心には、昨夜見かけた少女、つーがいた。
(*゚∀゚)「行ってくるよ!」
- 19 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:07:33 ID:4jtUvCI20
彼女の家族らしき者たちに手を振り、名残惜しそうに何度も振り返りながら、
街の外へ歩いて行った。
つーを追う訳ではないが、彼女は北に向かっていったので、
背中についていく形でペニサスも街を発った。
およそ、三十分ほどした頃、つーは後ろを歩いているペニサスの存在に気がついた。
(*゚∀゚)「あんたもこっちなんだ!」
仲間が出来たと思っているのか、明るい声でペニサスに声をかける。
まだ言葉遣いも怪しいほど、幼さの残る少女だ。
- 20 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:09:05 ID:4jtUvCI20
('、`*川「そうみたい」
(*゚∀゚)「一緒に行く?」
ペニサスはさっとつーの格好に目を通した。
ぱんぱんに膨らんだバックパックに、革袋に包まれた剣が見えた。
つーに比べると、ペニサスは軽装だ。
旅をするには、持ち物は必要最小限に抑えておかなければならないことを、ペニサスは知っている。
('、`*川「街に戻った方がいい」
(*゚∀゚)「え、何で?」
- 21 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:11:50 ID:4jtUvCI20
('、`*川「旅は、あんたには早いよ」
(*゚∀゚)「やだよ! あの街は退屈なんだ。人生一度きりなんだよ。
旅に出ないと損だよ。子供の頃からの夢だったんだ」
('、`*川「旅が何か、知ってるの?」
(*゚∀゚)「冒険でしょ?」
('、`*川「戦いだよ」
足下の砂が、様相を変えたのを、ペニサスは感じた。
焼けた砂の臭いに混じって、気になる臭いが風に運ばれてくる。
- 22 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:17:03 ID:4jtUvCI20
(*゚∀゚)「嘘だ! 旅に出ないと人は成功しないんだ。
同じ街で、ずっと同じものを見て、同じものを食べても、下らないよ」
('、`*川「同じ日なんてある訳無いじゃない」
(*゚∀゚)「同じだよ! ずーっと同じ! 退屈なの」
('、`*川「それが幸せなの。きっとあんたの街で、旅に出ない人間は、心の奥底でそれを知っている。
旅がどういうものなのか、本当は理解しているんだ。だから、旅を恐れてる。
それでいて、憧れている」
(*゚∀゚)「どういうこと?」
('、`*川「死に魅せられている。だから旅立ちを夢見る。
そこで踏みとどまれる人間こそ、幸せを掴めるの」
- 24 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:19:45 ID:4jtUvCI20
(*゚∀゚)「アタシ、わかんないや」
('、`*川「幼いから。ものを知らないの」
(*゚∀゚)「でも」
('、`*川「旅に出る者が希望を掴むんじゃない。
旅に出る者がいる、それこそがあの街の人間たちの希望なの。
あんたは、偶像。偶像のために犠牲にされた」
(*゚∀゚)「よく、わかんない……」
街を出発してから、数時間が経とうとしていた。
砂に泥が混ざり始め、黒く濁った地面を二人で進んでいた。
- 25 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:22:28 ID:4jtUvCI20
足下に、ごつごつした堅い感触を感じた。
ペニサスと死神は、地面に埋まっているものの正体を悟った。
('、`*川「私の後ろに隠れて」
(*゚∀゚)「え?」
('、`*川「今から、旅がどういうものか、教えてあげるから」
lw´‐ _‐ノv「ペニサス! これ、やばいよ! 死ぬ? 死ぬ?
ここで死んでくれたら特大サービス! 地獄まで割り引きでお届けするよ」
- 26 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:26:06 ID:4jtUvCI20
('、`*川「会員割引みたいな?」
lw´‐ _‐ノv「ペニサスはゴールド会員だよ!」
(*;゚∀゚)「な、何だあれ!」
砂が大きく盛り上がり、巨大な山となった。
砂の山から手足が生え、赤い眼が浮かび上がり、砂が流れるにつれて表皮も表に出てきた。
体長二十メートル以上もある、ムカデのようなフォルムをした、サンドワームだった。
ペニサスは革袋から剣を取りだした。
剣身に青い文様が入ったそれは、太陽の光に鈍い色を反射した。
- 27 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:32:35 ID:4jtUvCI20
サンドワームはムカデに似ているが、手と足が二本ずるあるだけで、
直立して歩くことが出来る。
サンショウウオにも似ている、とペニサスは思った。
サンドワームが体を翻した瞬間、死角に隠れていた尻尾が大きな輪を描いて地面を滑空した。
ペニサスはぎりぎりの跳躍でしっぽの攻撃をかわし、正面から駆け込んでいく。
大口を開けたサンドワームは、顔を横に傾けて、ペニサスの胴体を噛みちぎろうとした。
ぎざぎざに尖った牙が体に触れる直前、片足を牙に引っかけて、さらに上空に跳躍する。
ペニサスが降り立った場所は、サンドワームの顔の中心、ちょうど両目の間だった。
('、`*川「"私は炎を愛す"」
- 28 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:35:13 ID:4jtUvCI20
両手で持った剣を高く振り上げると、剣身に炎が纏った。
('、`*川「"炎はお前を嫌う"」
炎がとぐろを巻き、圧縮していく。
('、`*川「"燃えて乾いて散って死ね"」
ペニサスの声に呼応し、炎がいっそう激しさを増した瞬間、剣は眉間に振り下ろされた。
直後閃光が辺りを覆い、サンドワームとペニサスを光の渦に呑み込んだ。
- 29 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:39:15 ID:4jtUvCI20
つーは空気が爆発的に膨れあがるのを感じた。
体から皮一枚上に熱がのし掛かる感覚がし、数歩後ずさる。
しばらく目を瞑っていたが、再び目を開けたとき、全ては終わっていた。
サンドワームの頭が円を描いてぽっかりと消滅していた。
涼しい顔で剣を布で磨いているペニサスが、横たわった死体のそばにいた。
(*;゚∀゚)「なに、こいつ」
('、`*川「この辺りの主らしいね。
たぶん、あんたの街から旅立ったやつは、みんなこいつに喰われたんだろう」
lw´‐ _‐ノv「当たり! 死の気配がそこら中からする。墓場にいるみたいだ」
- 30 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:42:28 ID:4jtUvCI20
('、`*川「意地張らずに答えてちょうだい。帰りたくなったでしょう?」
(*゚∀゚)「……うん」
('、`*川「退屈って、幸せよ」
(*゚∀゚)「うん」
('、`*川「旅は、逃げるためにやるもんじゃない。
あんたは自分の街から……自分の人生から、逃げちゃいけない」
(*゚∀゚)「うん」
('、`*川「帰っちゃいけないって掟だけど、たぶん、大丈夫。帰りなさい」
半ば放心していたつーだったが、力なく頷いた。
今から逆戻りすれば、夜になる前に街に帰れる時間だった。
- 31 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:45:51 ID:4jtUvCI20
('、`*川「じゃあね」
(*゚∀゚)「うん。ばいばい」
つーは小さく手を振って、足跡を辿って帰り始めた。
lw´‐ _‐ノv「あの子、たぶん死ぬけど、いいのか旦那?」
('、`*川「どうせ旅に出ても死ぬから」
lw´‐ _‐ノv「ああいう外界から閉ざされた街ってのは、掟が何よりも絶対なんだ。
なぶり殺しにされるんだろうなあ。可哀想になあ。うひうひ」
('、`*川「どこで生きたって、戦いは避けられない」
- 32 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 00:49:38 ID:4jtUvCI20
腰につけた短刀を取りだし、サンドワームへ近寄っていった。
味は不味いが、栄養は豊富なのを知っていた。
切っ先を体に突き刺し、乱暴に肉をはぎ取っていく。
('、`*川「どこで闘うか。なにと闘うか。それを選択するだけ」
lw´‐ _‐ノv「旦那は何と闘ってんの?」
宙を舞う死神は、体を逆さにして、ペニサスの首に抱きついた。
('、`*川「運命よ」
肉を取り終えると、ペニサスは一度来た道を振り返った。
つーの姿は、既に砂の山の向こうに消えていた。
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