( ・∀・)七把一絡げのようです*(‘‘)*

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:18:00.82 ID:+rlIlTyb0

帰宅する際は常に警戒しているが、最近は特に最新の注意を払っていた。
意味の無いことなのはわかっていたが、だからといって無防備な自分を晒したくなかった。


( ´_ゝ`) ……


自宅アパートの扉に挟まっている紙切れを見つけたとき、
自分の認識の甘さに気がつくこととなった。



「 そうさをヤメロ
 弟 コロスゾ 」


( ´_ゝ`)(そこまでするかね、ショボンさんよ)


( ´_ゝ`) あーあ…苛つくな

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:19:44.94 ID:+rlIlTyb0





 ( ・∀・)七把一絡げのようです*(‘‘)*




双生児:ソウセイジ
 一つの受精卵が分裂して生まれたものを特に一卵性双生児と呼ぶ

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:22:39.33 ID:+rlIlTyb0


 ( ・∀・)七把一絡げのようです*(‘‘)*


第九話


( ´_ゝ`) もしもし、弟者か?

 「兄者?」


弟者の携帯番号を電話帳に記録してはいなかった。
また弟者も同様で、声を聞くまで兄者だとわからなかった。


( ´_ゝ`) 久しぶりだな

 「よく電話番号を覚えていたな」

( ´_ゝ`) 記憶力はいいんだ。足し引きが苦手なだけでね

 「何の用だ」

( ´_ゝ`) 元気か?

 「もう一度訊くぞ。何の用事だ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:26:22.80 ID:+rlIlTyb0

( ´_ゝ`) そうカリカリすんなよ。女に嫌われるぜ?気の短い男は

 「気の短い女なら近くにいるが……ぐっ!」

( ´_ゝ`) どうした?

 「痛っ……何でもない。で、用事は?」

( ´_ゝ`) 最近変わったことないか?

 「最近?……いや…………特にない。
 そうそう、母者が時々は家に帰ってこいよって言ってたぞ」

( ´_ゝ`)


( ´_ゝ`) ほう…そうか。最近帰ってないからなあ



それは兄者だけが気がつける、弟者なりのメッセージだった。

( ´_ゝ`)(電話が盗聴されているのか。こりゃあ、打つ手無しかな…)

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:30:07.64 ID:+rlIlTyb0

母親の性格を知っていればすぐに理解できる。
彼女がそんなことを言うはずがない。


( ´_ゝ`) まあ、そういうことなら年末には帰ってやらなきゃな

 「それともう一つ」

( ´_ゝ`) 何だ?


 「仕事ほっぽり出して帰ってくるくらいなら、年越しは警視庁でやれってさ」


( ´_ゝ`) ………!

 「伝言、伝えたぞ」

( ´_ゝ`) いいのかな…

 「とにかく伝えた。じゃあな」プツッ ツー ツー



( ´_ゝ`)(ふん。あいつらしいな。しかしいざとなったら、俺が何とかしねえと)

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:34:24.68 ID:+rlIlTyb0



弟者探偵事務所。


ξ゚听)ξ 今のお兄さんですか?警部やってるっていう

(´<_` ) ああそうだ

ξ*゚听)ξ 警視庁の警部とか、超エリートじゃん!
       うちの人気ない探偵とは大違いですね

(´<_` ) まあ、そうだ

ξ;゚听)ξ え?あの…嘘ですよ。冗談です



ソファーに深く腰を下ろし、これからの予定を考える。

(´<_` )(まさか兄者もショボンコーポレーションに関わってるとはな。
      これも兄弟のサガってやつかね…あーあ。ここは兄の顔を立ててやるかな)


ちらりと目を落としたのは、机の上に置いてある海外旅行のパンフレットだ。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:39:02.13 ID:+rlIlTyb0


(´<_` )(こちらの動きを悟られる前に手を打っておく必要があるな)

ξ;゚听)ξ あの…っ!さっきのはあれですよ、ただのジョークで…
       私別に、弟者さんのこと尊敬してないとかそういうのじゃなくて…
       むしろ尊敬を越えて…いや、変な意味じゃないですけどね!
       ただ……その………モゴモゴ

(´<_` ) ん…?ごめん、聞いてなかった。どうした?


事務所に張り手の音がこだまする。






|(●),  、(●)、| 今の音は何だ?クラッカーを鳴らしたような音がしたが…

( ゚∋゚)

|(●),  、(●)、| しかしまあ、冴えない探偵の事務所なんて盗聴したところで
           何も出てこねえと思うんだがな

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:42:26.12 ID:+rlIlTyb0

弟者の事務所に負けず劣らずシンプルな作りになっている部屋で、
ダディとクックル、その他数人のショボン直属のSPが待機していた。

彼らは護衛を一番の任務としているが、様々な裏の業務にも携わっている。




|(●),  、(●)、| いやになるぜ、むさ苦しい部屋でじっとしてんのは

( ゚∋゚)

|(●),  、(●)、| 誰か面白いジョークでも言えよ

 「いや、自分らはそういうの苦手なので」

|(●),  、(●)、| 知ってるっつ〜の。あーあ、こういうのはもっと下っ端がやりゃあいいのに…

( ゚∋゚) 逃げる気だ

|(●),  、(●)、| は?

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:45:48.67 ID:+rlIlTyb0

( ゚∋゚)

|(●),  、(●)、| 何だって?

 「今、逃げる気だ、と」

|(●),  、(●)、| は?誰が

( ゚∋゚)


|(●),  、(●)、| こいつ…たまに喋ると思ったら変なことばっか言いやがる

( ゚∋゚) こちらの盗聴に気がついてる。弟者は逃げるつもりだ
     おそらく国外。我々の手が届きづらい場所。シベリア辺りか

|(●),  、(●)、| 根拠は?

( ゚∋゚)

|;(●),  、(●)| だからお前…肝心な部分までちゃんと話せよ!
そういうんだから友達できねえんだぞ

( ゚∋゚)

|(●),  、(●)、| 俺と組んでもう十年以上経つだろうがよ
どうしてチームワークってのわかってくれねんだろうな

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:48:23.31 ID:+rlIlTyb0

 「どうします?」

( ゚∋゚)

|(●),  、(●)、| どうもこうもねえだろ

 「はあ…」


|(●),  、(●)、| 逃げる前に捕まえる。それだけだ

 「クックルさんの言うことは確かなんですか?」

|(●),  、(●)、| 経験上100%当たってる。だから今回も当たりだ

 「そ…そうですか」


|(●),  、(●)、| 良かったな、俺と一緒でよ

( ゚∋゚)

|(●),  、(●)、| さあ、出かけようかね

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:53:00.82 ID:+rlIlTyb0




( ・∀・)

(・∀・ )



( ・∀・) 十人以上いるぞ

*(;‘‘)* 何よこの包囲網は!
     せっかくの休日なのに落ち着いて服も買いにいけないじゃん!

( ・∀・) 向こうに敵意がある訳ではないだろうから、気にしなければいい話だ
      ただの護衛だろ

*(;‘‘)* 気にするっつーの!ごっついおっさんが周りにうじゃうじゃいる中で
     るんるん気分でショッピング出来るような精神的タフネスは無いわ!

( ・∀・) その筋の人間がこれだけいればチンピラに絡まれたときも安心だろ

*(;‘‘)* もう絡まれてる気分だっつーの!

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:56:42.73 ID:+rlIlTyb0

( ・∀・) 大体、こんな状況で服を買いに行こうとする君の気持ちもよくわからん

*(;‘‘)* あー言ったわね!ヘリカルちゃんって去年もその服だったよねー
     なんて憎たらしく同級生に言われた私の気持ちもわかんないんでしょうね!

( ・∀・) わからないね。キュートに替わろうか?

*(‘‘)* もういい!ふんだ!




*(‘‘)* あ…あの公園って確か

( ・∀・) どうした?む…そうか、あの公園か

*(‘‘)* ちょっと遠回りしようよ…あんま近寄りたくないし

( ・∀・) 気にすることでもないだろ

*(;‘‘)* だってまたあいつが覚醒したら…っ

( ・∀・) 覚醒条件に場所は関係ない。まあ…思い出したくないだろうし
      回り道して駅に向かおうか

*(‘‘)* おー今日は聞き分けがよろしいね

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/21(月) 23:59:55.70 ID:+rlIlTyb0

( ・∀・) あれから四年が経つってことか

*(‘‘)* 覚えてるの?

( ・∀・) いや。ただ意識が奪われたような感覚は覚えてる

*(‘‘)* 私は…忘れられないよ

( ・∀・) 早く忘れた方が精神衛生上いいぞ

*(‘‘)* わかってるけど…


*(‘‘)*(無理だよ……おにいちゃんの姿なのに、あんなに怖かったんだもん。
    忘れたくても…忘れられないもん)






( ´_ゝ`)(ここがあの公園か)

同時刻、兄者はヘリカルたちが避けた公園にいた。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/22(火) 00:03:11.85 ID:ooDec65l0


かなりのニアミスであったが、兄者とヘリカルたちが出会うことはなかった。



( ´_ゝ`)(ホームレスだらけだな。都内のホームレス撤去運動が一時期盛んになったが
      大きな公園ばかりで運動を行ったから、これくらいの中規模の公園が
      見過ごされてきたのか)



( ´_ゝ`) なあ、あんた

 「…………?」

( ´_ゝ`) あんた、いつからこの公園に住んでる?

 「お…お前、市の職員か?」

( ´_ゝ`) いや、警察だ。別に逮捕しにきた訳じゃない。ちょっと話を聞きたくてな

 「話って…」


( ´_ゝ`) あんたはいつからここに住んでる?

 「わしは…三年くらいか」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/22(火) 00:07:06.81 ID:ooDec65l0

( ´_ゝ`) 四年以上住んでる人っている?

 「いや…ワシより古いのはたぶん…あー」

( ´_ゝ`) いるのか

 「荒巻のじいさんがたぶん…四年くらいだったと」

( ´_ゝ`) そのじいさんは何処に?

 「会いたいのか?」

( ´_ゝ`) 頼むよ。たばことホップくらいなら奢ってやるから

 「お…約束だぞ」



ホームレスの老人に連れられ、公園の中を散策した。

一つの大木の前まで案内されたが、そこにはブルーシートがあるだけで誰もいなかった。


 「荒巻のじいさんは色んな場所で生活してて、ここに来たのは四年前だったらしい」

( ´_ゝ`) ちょうどホームレス狩りが盛んだったときだな

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/22(火) 00:09:57.69 ID:ooDec65l0

 「そう! じいさんもそう言っとった。で、そのガキ共から逃れるために
 別の場所からここに来たらしいのに、またガキ共に目をつけられた」

( ´_ゝ`) それで、荒巻さんってのは何処にいるんだ?
      ここで待ってたら来るのか

 「じいさんは今月死んだよ」


兄者の目が見開いた。



( ´_ゝ`) …どうして

 「雨に打たれて、よわっちまった。そのまま死んだ。寿命みたいなもんだ」

( ´_ゝ`) そりゃあ…お気の毒に

 「いつもこの場所におった。でも死んだ…可哀想になあ。じいさん」



木の前に敷かれたブルーシートに向かって男は手を合わせる。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/11/22(火) 00:14:27.17 ID:ooDec65l0

( ´_ゝ`) まあ…案内してくれたんだから、約束は守るさ
      コンビニまでついてきてくれるか

 「じいさんは色々と面白い話をしてくれた」

( ´_ゝ`) 昔話なら俺より暇なやつを見つけてくれよ

 「その中でも一番面白かったのが、悪魔の話じゃ」

( ´_ゝ`) じいさんは頭が弱ってたのか?



 「四年前、この公園で悪魔を見たらしい。それ以来じいさんは、目が弱くなった」



( ´_ゝ`) 悪魔って…

 「少年の姿をした悪魔…可哀想。荒巻のじいさん、可哀想」


男は手を合わせたまま、取り憑かれたように口の中でぶつぶつと言葉を呟いていた。


( ´_ゝ`) 悪魔なんていない…いるのは人間だけだ


兄者の言葉は、もう男の耳には届いていなかった。


戻る 次へ

inserted by FC2 system