- 1 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:20:05 ID:kapmMYMw0
世界で最も危険な場所が何処か、今では小学生でも知っている。
アマゾンの奥地でも、ヨハネスブルグでも、大気圏でも無い。
それは、極東の島国にある。
第一話「出発」
- 3 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:22:36 ID:kapmMYMw0
( ^ω^)「と、いう訳で、群馬に行こうと思うお」
('A`)
( ^ω^)「おっおっ」
('A`)「ど……」
(;'A`)「どうしたブーン!?就活が上手くいかなくて頭がおかしくなったか!
それともモテなすぎて頭がおかしくなったのか!?最初から頭がおかしかったのか!?」
( ;^ω^)「頭は正常だお!失礼だお!」
- 4 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:24:41 ID:kapmMYMw0
喫茶店の中で叫んだドクオに、店内の注目が集まる。
(;'A`)「群馬がどういう場所か知ってるのかよ!」
( ^ω^)「ドクオは知ってるのかお?」
(;'A`)「いや、あんまり……」
( ;^ω^)「期待通りだな!」
(;'A`)「そりゃそうだろ!あそこに入った冒険家や記者、軍隊、ほとんど死んだんだ!
五体満足で帰ってきた人間なんて聞いたことがない!」
( ^ω^)「だからこそ行きたいんだお!」
- 5 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:27:24 ID:kapmMYMw0
(;'A`)「どうしたんだよ急に!あそこにはゴールドロジャーも何も置いてきてないぞ」
( ^ω^)「ブーンの父さんのことは知ってるお?」
('A`)「ああ、確か行方不明の」
( ^ω^)「居場所がわかったんだお」
(;'A`)「そうなのか!良かったな……俺たちが小学生の頃から失踪中だったもんな。
で、場所は?」
( ^ω^)「群馬」
(;'A`)「わかってたけど!話の流れでわかってたけど!」
ブーンはカバンから一枚の紙を取りだした。
- 7 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:30:30 ID:kapmMYMw0
('A`)「これは?」
( ^ω^)「父さんは日本冒険協会、略してNBKのトップランク会員なのは知ってるお?」
('A`)「ああ。いつ聞いてもその略し方は意味が無い感じするな」
( ^ω^)「先日、NBKに長い間連絡が途絶えていた父さんから、通信が入ったんだお」
(;'A`)「これが、その通信の中身だってのか?」
「
グンマ ニテ コウセンチュウ
」
( ^ω^)「アナログな通信方法で、情報は少ないけど、間違いなく父さんからの通信らしいお。
父さんはずっと日本にいたんだお!日本の、群馬に!」
- 8 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:33:36 ID:kapmMYMw0
(;'A`)「群馬に……」
( ^ω^)「父さんが何故群馬に向かったのか、NBK職員にもわからないらしいお。
ただ、ブーンと母さんを見捨ててでも、やらなきゃいけないことがきっとあったんだお」
('A`)「お前の父さんは、公民の参考書にも名前載ってるほど、凄い人だしなあ」
ブーンは手に持ったコップをテーブルにたたきつける。
( ^ω^)「ブーンも力になりたいお!就活なんてやってられないお。
群馬に行って、父さんを助けるんだお!」
(;'A`)「そうは言っても。お前、本当にあそこがどんな場所か、理解してるんだろうな」
- 9 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:37:49 ID:kapmMYMw0
( ^ω^)「わかってるお!
特殊な電磁波によって上空で光が散乱し、群馬内部は衛星カメラからも見ることができない。
県境は、高さ一キロにも及ぶ垂直の壁。
鬱蒼としげった死の森。
得たいの知れない生き物が飛び交う地獄の壁。
人を喰う大蛇が住む底なし沼。
この四つに遮られて、内部へ侵入するのさえ難しいとされてるお。
運良く内部へ行けたとしても、中は人喰い原住民の住処。
チーターよりも早く走り、クマよりも腕力が強く、コウモリより耳がいい進化した人類が待っているお」
(;'A`)「き、聞けば聞くほど無理ゲーじゃん!死にに行くようなもんだぞ!」
- 11 名前:名も無きAAのようです[誤字 地獄の壁 → 地獄の崖] 投稿日:2012/06/24(日) 00:40:16 ID:kapmMYMw0
( ^ω^)「わかってるお!でも、今行かないと、一生後悔するんだお!」
(;'A`)「ブーン!」
( ^ω^)「ブーンの友達はドクオだけだお。だからこれは、お別れの挨拶だお。
今までありがとうだお。じゃ」
(;'A`)「おい、待てってば!」
ドクオの声を無視し、ブーンは喫茶店から出て行った。
(;'A`)「俺、金持ってねえぞ!」
ニートのドクオはただ、立ち尽くしていた。
- 13 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:41:42 ID:kapmMYMw0
数日後。
J( 'ー`)し「本当に行くのかい?」
( ^ω^)「どうしても、父さんを助けたいんだお……」
J( 'ー`)し「わかった。カーチャン、仕送りは怠らないからね」
( ^ω^)「群馬にATMあるかな……行ってくるお!」
巨大なリュックサックを背負い、母親に見守られながら、ブーンは家を発った。
心は気合いでみなぎっていた。
- 14 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:42:23 ID:kapmMYMw0
( ^ω^)「おっ?」
('A`)
( ^ω^)「ドクオ……」
('A`)「どうしても行くのか」
( ^ω^)「行くお。もう決めたんだお」
('A`)「わかった。じゃあ、この俺を倒してからにしろ!」
- 15 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:44:41 ID:kapmMYMw0
( ^ω^)「見送りありがとうだお。行ってくるお」
(;(#)'A`)「やっぱ伝説の冒険家の息子ではあるな……。
まさかいつの間にか負けてるとは思わなかった。でも待ってくれ」
( ;^ω^)「しつこいおドクオ」
('A`)「お前に話を聞いてから、俺なりに群馬のことを調べたんだ」
( ^ω^)「え?」
('A`)「そしたら、群馬に侵入し、そして生還することが出来た、三人の人物がいることが判明した」
( ;^ω^)「し、調べた?凄いおドクオ!」
('A`)「ああ。今のグーグルの検索エンジンはとても優秀なんだ」
- 18 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:49:13 ID:kapmMYMw0
( ;^ω^)「その三人ってのは、誰のことだお!」
('A`)「住んでる場所はわかってる。でも名前がわかったのは、モララーという男だけだ」
( ^ω^)「モララー……」
('A`)「モララーという男は、世界で最も犯罪件数が多い修羅の国、福岡にいる!
もう一人は、暗黒組織、筑波研究学園都市!
最後の一人は、この世界で最も天国に近い、青森県の恐山だ!
ブーン!まずはこいつらを仲間にするんだ!」
( ^ω^)「ドクオ……お前……」
- 19 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:50:48 ID:kapmMYMw0
('A`)「俺にはこれしか出来ないけど、応援するよ」
( ^ω^)「ありがとうだお。お前の就職が決まるのも応援するお」
('A`)「そこは触れないでやって」
( ^ω^)(まずは……福岡!修羅の国で生き残れないなら、どうせ群馬に行っても死ぬお!)
( ^ω^)「行ってくるお!」
('∀`)「おう!」
朝日を受けて歩き出したブーンを、いつまでもいつまでも、ドクオは見つめていた。
- 20 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:52:46 ID:kapmMYMw0
次回 第二話「修羅の国」
政府から見捨てられた大地では、法律が効力を無くしていた。
過激派組織ヤクザ、ストリートチルドレン、ヤンキー。
暴力が支配している街で、ブーンはモララーを見つけ出すことができるのか。
今回はこれで終わり
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