(´・ω・`) ホムンクルスは生きるようです
930名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:31:45 ID:.mVDc3Vo0












18 ホムンクルスと怨嗟の渦動

931名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:33:13 ID:.mVDc3Vo0

(´-ω-`) 「ふぁぁ……っててて……」

狭く堅い船の上で寝ていれば、身体が痛むのは当然か。
上半身だけを軽く動かし、こりをとる。

まだ島には遠いが、朝早い男たちそれぞれが漁に向けて舟を出している。
もう見つかっているだろうか。

たった一隻の舟で、誰も訪れない島の方角から現れたら、彼らは訝しがるだろう。
上手く言い含める理由については、何も思い浮かばない。

(´-ω・`) 「うーん……」

しばらく考えていたが、説得は無意味だと諦めることにした。
今の僕に怪しまれない要素がない。

装飾は美しい剣を携えているのに、服はボロボロでほとんど着ていないようなものだし。
身体中汚れていて、潮臭く、どう見ても浮浪者よりもひどい。
へたをすれば盗人扱い。
騎士協会へ連行されてしまえば、身動きがとりづらくなるな。

932名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:35:41 ID:.mVDc3Vo0

それに、僕が生きているということは知られないほうがいい。
ホムンクルスが死なない存在であるのは奴らにとって周知の事実だが、
海に落ちればどうなるか、殺し続ければどうなるか、それは僕らしか知らない。

ブーンがもし捕まっていなければ、という仮定の話にはなってしまうが。

島の沿岸が近づいてきて、櫂を動かす手にも力が入る。
すれ違う漁師達は皆一様に、片手をあげて挨拶をしてくる。
それに軽く答えながら、その間を通り抜けていく。

(´・ω・`) (上陸した後は、すぐに情報を集めよう……)

浅瀬にはいくつもの桟橋が並び、主たる船の帰還を待っている。
もう少しすれば、彼らは漁を終えて帰ってくる。

邪魔にならないよう、乗ってきた小舟は隅に寄せておく。
流されてしまってもいいのだから、別につなぐ必要もない。

舟を放置して島内に足を踏み入れる。
これだけ大きい島であれば、錬金術の店があるはずだ。
大抵は客に対して必要以上を聞かないため、さほど怪しまれることなく情報も手に入れられる。

「待ってえええい!!!」

(メ´゚ω゚`) 「ふぐっ……」

933名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:36:42 ID:.mVDc3Vo0

声が聞こえたかと思うと、後ろからの強烈な衝撃で前方に倒れた。
体が浮くくらいの威力を背中にくらって、僕は前に突っ伏したまま動けない。

(メ´-ω+`) (普通の人間だったら背骨にひびが入るぞ……)

「あり? 大丈夫?」

動かない僕に、少女はゆっくりと近づいて来る。
流石にやりすぎたと、反省してくれていればいいが。

(´-ω-`) 「盛大な歓迎をありがとう」

皮肉交じりに答える。
起き上がって体についた砂をはらう。

ハソ ゚−゚リ 「大丈夫ならいいか、さて金を払ってくれ」

この島ではこんな年端もいかない少女による強奪が日常的に行われているのかと危惧したが、
それは僕の勘違いだった。

934名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:37:40 ID:.mVDc3Vo0

ハソ ゚−゚リ 「桟橋!使用料!だぞ!」

(´・ω・`) 「ああ……でも僕、使ってないし」

舟を指させば、波に持って行かれそうになっている。

ハソ ;゚−゚リ 「う……でも、ここに上陸したら人、皆から貰えと……」

(´・ω・`) 「この場所に?」

足元を指さしながら問う。
きめ細かい砂浜は、流木や海藻などが一つも落ちていない。
景観を美しく保つために掃除がなされているのだろうか。
使用料というのは、その維持費かもしれない。

ハソ ゚−゚リ 「そうだぞ」

(´・ω・`) 「では、向こうに回ればいいか?」

次に指をさしたのは、水辺と陸地の区別がつかない雨林が生えている場所。
上陸するには不適切だが、お金は銅貨一枚すらない。
払いたくないのではなく、今の僕では払えないのだから。

935名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:38:35 ID:.mVDc3Vo0

ハソ ;゚−゚リ 「うぅ……」

困る少女。
別に好きで困らせているわけでもないので、解決策を提案してやる。

(´・ω・`) 「正直に言うとね、僕は今お金がないんだ」

ハソ ;゚−゚リ 「え……? き、騎士協会に連絡しなきゃ……」

(;´・ω・`) 「待って待って待って!」

まさか、無賃上陸がそこまで大事になるのか。
騎士に捕まってしまえば、説明できないことが多すぎてどうなることやら。
最悪の場合、異端審問にかけられててしまう。

(´・ω・`) (逃げるか……?)

いや、それでは事を荒げてしまうだけで解決にはならない。

ハソ ;゚−゚リ 「何考えてるの……? まさか……」

936名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:39:50 ID:.mVDc3Vo0

少女の視線が腰へと移る。
正確には、双剣へと。

沈黙は、状況を悪くしていくだけか。

(´-ω-`) 「わかった、金は支払う」

ハソ ;゚−゚リ 「でもさっき、お金がないって」

(´・ω・`) 「稼ぐから、少し待ってくれないか」

ハソ ;゚−゚リ 「それは……」

無理な提案だと思う。
だけど、なんとかしてこの場を切り抜けなければ。

( ´W`) 「困ってるのかのぉ?」

唐突に僕と少女の間に、思わぬ第三者が介入してきた。
腰は曲がり、杖なしでは歩けなさそうな細い身体。
顎鬚は頭髪と同じように白く、首元までほどの長さがある老人が立っていた。

937名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:43:17 ID:.mVDc3Vo0

指に嵌めているのは、珍しい鉱石の指輪。
錬金術師でなければ、価値が分からないはずのもの。

ハソ ;゚−゚リ 「あの、この人、お金持ってなくって。どうしよおじいちゃん」

( ´W`) 「ふむ、私が払っておこう。その代わり、話を聞かせてくれるかね?
      年寄りの楽しみは、もうそういったことしか残っておらんからの」

老人は、懐から取り出した銀貨を少女に渡し、手を振って合図した。
持ち場に戻りなさい、そう優しく告げて。

(´・ω・`) 「ありがとうございました」

後ろから声をかけた。
歩く老人は、振り向くこともなく声だけを返してくる。

( ´W`) 「なに、散歩がてらに浜まで来てみたが非常に良い出会いができた。
      錬金術師なのだろう?」

(´・ω・`) 「御慧眼、恐れ入ります」

938名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:44:11 ID:.mVDc3Vo0

( ´W`) 「ほっほっほ。そう年寄りをからかうものではないよ。
      腰に結んでおるその剣からは、只ならぬ力を感じる。
      君の錬金術ではあるまい?」

(´・ω・`) 「どうしてそれが……?」

確かに、持ち歩いている双剣はクールからの借り物。
今回ほとんどすべての持ち物をなくしてしまった中で、唯一残っていたものだ。
自分のものではないからこそ、手元にあって本当に良かった。

( ´W`) 「長生きをしてるとの、色々な感覚が衰えてくるのを感じるのだが、
      逆に洗練されていくものもある」

もし本当だとすれば、衰えない僕にわからない感覚。
人間にそのような能力があるとは聞いたことがないけれど……。

( ´W`) 「今、私の言葉を疑ったかい?
      君は顔に出やすいようだからよくわかる」

ほっほっほ、と老人は声を出して笑う。
僕の方がずっと長く生きているはずだが、会話は手玉に取られている。

939名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:47:17 ID:.mVDc3Vo0

(;´・ω・`) 「すいません……」

( ´W`) 「おっと、責めているわけではない。君はあの小舟でこの島に来たのか?」

本当のことを言っていいものか。
返答に悩んでいると、老人は続ける。

( ´W`) 「おそらく違うだろう。この国は二つの島を領地としているが、
      君が来た方向には、遠く離れた大陸しかない。若いころは何度も旅行したものだが、
      どうもここ数年は不安定だと聞いている」

(´・ω・`) 「その話は……」

( ´W`) 「それにあの小舟では、大陸からは来れまい?
      見た所食料も積んでいない……。さて、あまり聞かれると困るようであるし、
      着いたよ」

港からの距離はさほどなく、畑に囲まれた小さな家。
特徴的なのは煉瓦で組まれた煙突で、付近の家々よりも大きく長い。
家の隣には、倉庫が隣接されている。
錬金術を行うための部屋だろうか。小さい窓がいくつかあるだけだ。

940名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:48:49 ID:.mVDc3Vo0

( ´W`) 「さて、中に入ってくれ。何分年寄りと子供で暮らしているのでね、
      もてなしはできないが」

部屋の中には机や椅子などの調度品が二人分。
床も丁寧に掃除されており、庶民の暮らしには思えない。

( ´W`) 「何から聞いたものかな……。それともまずは君の疑問に答えてあげる方が先かな?」

(´・ω・`) 「助かります」

( ´W`) 「私の知っていることであれば、なんでも答えよう」

(´・ω・`) 「それじゃあ……今は……何年でしょうか」
 
一番気になるっていた質問をする。
僕の不安を知ってか知らずか、老人は大きく息を吸ってはいた。
その大げさな所作は驚きを隠しているようにも見える。

( ´W`) 「……年だよ」

(´・ω・`) 「そう……ですか……」

計算すると僕は二十一年もの間、海を漂っていたのだ。
波にのまれ沈み、体の再生で浮かび上がることを繰り返し。
呼吸ができずに、意識を取り戻すことなく。

941名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:50:45 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「もう一つ、お聞きしたいことがあります」

( ´W`) 「なんだね?」

(´・ω・`) 「セント領主家、ご存知ですか?」

( ´W`) 「……ふー。やはりそのことか。
      何も持たず、向こうの方角から来たとなればそのことしかなかろう」

老人の反応は、予想すらしていなかったものだった。
どうやってかはわからないが、僕が問う前から彼は僕のことを知っていたのだ。

感覚が鋭敏になったから、では説明しきれない。
静寂を破ったのは、大きくため息をついた老人。

( ´W`) 「今から十四年前、私もまだ現役の錬金術師として錬成を行っていた。
      この島の環境を整え、人々がより暮らしやすくなるように。
      息子とその嫁も、一緒に暮らしていた。
      だが、ある日銀色の蛇をあしらった鎧を身に着けた男が私らの前に現れた」

(´・ω・`) 「銀色の……蛇……」

942名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:52:47 ID:.mVDc3Vo0

( ´W`) 「覚えがあるか?
      男は、夜中うちを尋ねてきて、こういった男を探している。
      見つけたら必ずセント領主様に連絡しろ、と。
      それだけ言うと、家にカードを置いて去って行った」

何の変哲もないカードで、表には島内の連絡先。
裏には銀色の蛇の紋章とセントジョンーズという名が書き込まれていたそうだ。

(´・ω・`) 「そのカードは今も?」

( ´W`) 「持っておらぬよ。不気味なものでな、とっくに捨ててしまった。
      数年後、私は息子を事故で失った。
      そのショックで奥さんもあの子を産んだ時にな……」

(´・ω・`) 「事故?」

( ´W`) 「船に乗って隣の島に移動していた息子は、酒に酔って海に落ちた、とそう聞いている。
      だが、息子は日頃から全く酒を飲まなかった。
      どうにも引っかかってな……。自分で調べてみたよ」

943名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:55:51 ID:.mVDc3Vo0

その船に乗り合わせていた他の人間を調べ、話を聞いた老人は真実を知った。
息子の死は事故ではなかったことを。

( ´W`) 「息子もまた錬金術師だった。それもとびきり優秀な、の。
      だからだろうな、あの集団に仲間になるよう誘われていた。
      私たちには心配をかけまいと黙っていたようだが……」

(´・ω・`) 「断り続けた結果、ですか」

( ´W`) 「痺れを切らしたのだろうな、息子を無理やり連れ去ろうと、
      夜の甲板の宴でちょっとした諍いがあったようだ。
      その日の夜、息子は消えた。海に落とされたのではないか、と教えてくれたよ
      だから忘れていなかった。あの時見せられた君の似顔絵。
      この前あった岩礁亀の鳴き声以来、毎日港に行っては待っていた。
      まさか、追われていた本人だとは思わなかったがね」

(´-ω-`) 「それで……」

昔からやり口が変わっていないな。
他人のことなど考えもしない奴らは、手段を選ばない。

944名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 18:58:21 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「銀の蛇を身に着けているのは……ある一つの目的を持った錬金術集団なんです」

( ´W`) 「調べたが、私にはその尾さえ掴むことはできなかったよ……。
      奥さんと、その時もういるとわかっていた孫を残し、私が危険を冒すわけにもいかなかった」

(´・ω・`) 「奴らは不老不死を求めて、数百年にも及ぶ危険な研究をしています。
       動物や人間を実験台にすることなどなんとも思わずに」

( ´W`) 「そうだったのか……。息子が死んでからしばらくして、セント領主家のうわさを聞いたよ。
      近隣諸国に戦争を仕掛けているとな。
      人間ではない兵士達を連れたセントに対し、他国は必死の抵抗をしたと聞いている」

(´・ω・`) 「どうなったのですか?」

( ´W`) 「セント領主家が……戦争に負けた。
      今その領土は、誰も支配していない空白の土地になっている」

大きい溜息が出る。
問題がすべて解決したわけではないが、胸のつかえが一つおりた。

945名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:00:22 ID:.mVDc3Vo0

ブーンやクールは無事なのか。
セント領主家を隠れ蓑にしていた錬金術師たちはどこに消えたのか。
知りたいことはまだ山ほどあるが、それはこの老人に聞いてもわかりはしない。
可能な限りはやく、大陸に戻って調べる必要がある。

(´・ω・`) 「そうですか、色々と教えてもらって、どうもありがとうございます」

( ´W`) 「それでは私の質問にも答えてくれるかな?」

(´・ω・`) 「勿論です」

桟橋での料金、そして今の話を教えてくれた分。
その借りは返しておきたい。
僕の知っていることで、老人が納得してくれればいいが。

( ´W`) 「なぜ、君は彼らに探されていたその時の姿のままなのかね?」

確信をつくような質問。
年を取って衰えてるというのが信じられないほどに力強いその瞳は、まっすぐに僕を見つめる。
半端な誤魔化しや嘘は何の意味もないだろう。
老人は秘密を言いふらすほど愚かには見えないし、正直に答えることにした。

946名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:04:27 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「…………それは、僕自身が不老不死であるからです」

( ´W`) 「やはりそうか……。それで色々と納得がいく。君を探していた理由も。
      それで君は、これからどうするんだね?」

(´・ω・`) 「大陸に戻ります」

( ´W`) 「……残念ながら、それは不可能だ」

(;´・ω・`) 「なっ」

( ´W`) 「この国は古来より、大陸側との貿易をしておったのだが、その相手国がセント領主家だったのだよ
      現在、セント領主国との関係は崩壊したままで、クルラシア自治区も未だ戦争状態。
      月に一度の定期便が出ているが、君のような見ず知らずの人間は乗船できないだろうね」

大陸までの距離は、泳いではもちろん、少人数用の小舟では無理だ。
貿易用の大型船に乗り込もうと考えていたが、それも出来ないとなると移動手段がない。

( ´W`) 「君が乗れるよう、私が便宜を図ってあげよう」

(;´・ω・`) 「本当ですか?」

見た所有力者であるこの老人には、それを実現できるだけの力はあるだろう。
だが、そうそういい話があるわけがない。

947名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:06:02 ID:.mVDc3Vo0

( ´W`) 「ただし、条件がある」

(´・ω・`) 「……なんでしょうか」

( ´W`) 「私の息子の敵をとってはくれないだろうか」

それは予想通りの、かなり面倒な申し出だった。
十数年前の出来事を、そこまで詳細に覚えている人間はいないだろうし、
いたとしても、南の岩礁亀に置き去りにしてきているかもしれない。

(´・ω・`) 「わかりました」

だけど、受けるしかない。
たとえ嘘をつく結果に終わったとしても、島から出るために手段を選んではいられない。

( ´W`) 「ありがたい。今日はここに泊まっていきなさい。
      まだほかにも知りたいことは多くある。君と錬金術の話を、ね」

白い髭の影から、わずかに揺れた唇が見えた。
老人は子供のような目で笑う。

(´・ω・`) 「……お付き合いしますよ」

948名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:07:29 ID:.mVDc3Vo0



・  ・  ・  ・  ・  ・



ハソ ゚ー゚リ 「ただいまっ!」

勢いよく扉を開けて飛び込んできたのは、港の番をしていた少女。
肩から掛けた袋には、硬貨が見え隠れしている。

( ´W`) 「危なくはないよ、漁師達が皆で見守ってくれているからね」

僕の考えを先読みしたかのように、老人、名前はシェイブ・ホワイトというらしい、が言った。

( ´W`) 「皆が協力してくれるおかげで、私もだいぶ助かっている」

ハソ ゚−゚リ 「おじいちゃんのおかげだ、ってみんな言ってるぞ」

( ´W`) 「私は何もしていないよ。ナタリーいい子にしているから、みんな心配してくれるんだよ」

ハソ ゚ー゚リ 「えへへへ」

949名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:08:52 ID:.mVDc3Vo0

屈託なく笑う少女に、その境遇は隠れて見えない。
このあたりの住民が彼らに協力的なのは、同情してのことだけではないだろうことが見て取れる。

ハソ ;゚−゚リ 「っ! 無賃上陸の人……」

(´・ω・`) 「僕にはショボンっていう名前がある」

ハソ ;゚−゚リ 「う……ショボンはおじいちゃんと何を話していたの?」

( ´W`) 「ナタリーの話だよ。今日はショボンさんが泊まっていくから、その準備をしなきゃね」

元気な声で返事し、さっそく料理を始めた。
その年で料理をこなすことを素直に称賛すると、少女は顔を背けて作業に集中するふりをした。

(´・ω・`) 「すごいな、ご飯も作っているのか」

ハソ ゚ー゚リ 「べ、べつに大したことじゃないよ」

少女は慣れた手つきで下拵えをしていく。
島国だけあって、新鮮な魚が食卓に並びそうだ。

950名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:14:44 ID:.mVDc3Vo0

( ´W`) 「魚は嫌いかね?」

(´・ω・`) 「ああ、すいません。そういうことではなくて」

僕の視線が勘違いさせてしまったようだ。
魚を見ていたのは確かだが、気になっていたのはその種類。

錬金術の素材としても役に立つその魚は、たしか淡水魚だったはずだ。
周囲が海に囲まれているこの場所にも、湖があるのだろうか。
疑問に思い、聞いてみることにする。

( ´W`) 「ああ、結構あるよ。君はこの島をどの位だと考えているのか知らないが、
      大陸沿岸のセント領主家よりも数倍は大きい」

(;´・ω・`) 「そんなにも!?」

海を渡ったことは幾度もあり、島を訪れたことも少なくない。
ただ、そのどこも集落が点在している程度であり、
この島のように発展していることもなく、錬金術の存在が知られている方が稀だった。

951名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:20:04 ID:.mVDc3Vo0

ハソ ゚ー゚リ 「この国は大きいんだぞ!」

( ´W`) 「正確には、統一されているわけではないがね」

(´・ω・`) 「戦争とか、そういったことは……」

( ´W`) 「昔、私が生まれる前にはあったみたいだが、今は小さな争いすらおこらない。
      資源も土地も限られているため、みなで分け合って、という考え方が浸透している」

確かに、大陸と比べれば島国は様々な点で劣る。
それが逆に住む人の心を豊かにしているのかもしれない。
今朝見た港町の人々を思い出して、そう思った。

ハソ ゚ー゚リ 「出来たよ」

小麦粉を魚にまぶし、薄い油で焼き上げた魚と、野菜の付け合わせが、
一枚の大皿に乗って机に運ばれてくる。

952名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:22:32 ID:.mVDc3Vo0

こんがりきつね色に焼けた魚は、香りづけもされていて食欲をそそる。

(´・ω・`) 「美味しいな……」

新鮮な魚は海の近くでなければ食べられない。
今までいたのは内陸国であったし、
ましてやまともに食べたのはもはや数十年前だったことを除いても、
魚貝類を使った少女の料理は特別おいしいものであった。

( ´W`) 「小さいころからずっと料理をしているからな。
      ナタリーの味は近所でも評判だ」

ハソ ゚ー゚リ 「もっと褒めてくれてもいいよ?」

自慢げに両腕を組む少女。
味にはよほどの自信があるのだろう。

おいしいよ、ともう一度繰り返して伝える。
少女は満面の笑みで自身も食事に取り掛かった。

( ´W`) 「明日は頼むよ」

953名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:23:21 ID:.mVDc3Vo0

夜中、寝るために研究室を貸してもらうことになった。
藁をひいて簡単な寝床としたものだが、海底の岩礁よりはずっといい。

扉を閉めるとき、老人が静かに言った。
その言葉の意味は考えるまでもなく、ただどのような手段をとるべきか、それを決めかねていた。



・  ・  ・  ・  ・  ・



カードは失われていたが、シェイブ老人はその住所を覚えていた。
彼の家から三日、馬車に揺られてたどり着いたのは大きな街。
僕がいた南の大陸と同じ石造りの家は、質素な色彩を基調としていて派手さはない。

教えてもらった場所を訪れると、小さく古びた教会があった。
唯一目を引くのは、鮮やかなステンドグラスの大きな円形窓。
金色の装飾で彩られた扉は、新品のように磨かれている。

954名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:25:03 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) (ここが……?)

疑問を禁じ得なかった。
銀の蛇は、戦争に負けてセント領主家を失ったはずだ。
それは国家規模の財源から横流しできなくなったことも意味する。

それがどうして、これだけの規模の教会を改築する財力を持っている?

「答えは簡単だよ、ホムンクルス」

(;´・ω・`) 「誰だっ!?」

「覚えていないかね?」

(;´・ω・`) 「っ!?」

拙い継ぎ接ぎだらけで、薄汚れた深緑のローブ。
顔に刻まれたシワは、二十一年前よりも深く一目では同一人物だと気づけなかった。

「久しぶりの再開に立ち話は無粋だろう。入りたまえ。茶くらいはだせる」

(´・ω・`) 「まさかまだ生きているとはね……セント領主!」

('e') 「……さすがに気づいたか。その名前はもうやめてくれ。
     我が国は滅びたのだよ。あなたとその仲間たちに破れてね」

955名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:26:49 ID:.mVDc3Vo0

蝶番が高い音をあげて、門は開く。
暗闇に待ち受けるのは、罠ではないのか。
躊躇っていると、元領主は僕を待たずに教会に消えた。

(;´-ω・`) (ついてくるかは、自由にしろと言うことか)

幸いクールの双剣は持ってきてはいる。
荒事になっても乗りきれる自信はある。
だが、そうはなはならない予感がした。
元領主には当時あった刺々しい雰囲気はなく、ただの年寄と何ら変わらない弱々しさすら垣間見えた。

とはいえ、かつて僕らを罠にはめた狡猾さが残っているかもわからない。
僕は気の緩みをただし、教会に踏み込んだ。

ステンドグラスからとれる光は少なく、足元が見える程度の明かりしかない。
信徒たちだろうか、想像していたよりも人は多く、それぞれが静かに神に祈っていた。

「こちらへどうぞ」

通された小部屋は、質素だがどこか落ち着く空間。
勧められた椅子は、教会には不釣り合いな一人掛け用のもの。
室内の調度品は時代も材質もバラバラで統一感がない。

956名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:28:38 ID:.mVDc3Vo0

(’e’) 「入ってくると思っていたよ。
     さて、何から話したものか。君にとってはついこの前の出来事かもしれないが、
     私にとって二十年はあまりに長い期間だった」

(´-ω-`) 「僕は目覚めてからさほど時間がたっていない。
       お前のことは昨日のように覚えているし、許すつもりもない」

(’e’) 「赦しを乞うつもりはない。私もあのときは必死だったのだ」

(´・ω・`) 「それで、何のために僕を招き入れた?」

(’e’) 「今、セント領主家がどうなっているか知っているか?」

(´・ω・`) 「誰も統治していない空白の国じゃないのか」

(’e’) 「そうだ、国としてはもはや機能していない。
     住んでいた民衆は、そのほとんどが他国に逃れてしまっている。
     だからこそセントショルジアト城は未だ奴らの根城となっている」

領主も人民もいない国で、果たして何をしているのか。
その答えは、元領主が接触してきた理由だろう。
僕は彼が再び口を開くまで待った。

長い沈黙。
信徒たちの囁く祈りの声だけが漏れ聞こえてくる。

957名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:31:58 ID:.mVDc3Vo0

(’e’) 「今は、あなたの連れてきた少年が指揮を執っている」

(;´・ω・`) 「え?」

年齢的には、中年に差し掛かる頃合いだろうか。
無事に生きていれば、そのくらいの年になっているとは思っていた。

もしかしたら、洗脳されていいように利用されているかもしれない。
そうは考えたが、現実は最悪の予想をさらに下回った。

(’e’) 「あなたの連れていた少年は、錬金術師としては破格の天才だった。
     あなたを恨むように仕向けてからというもの、昼夜を問わず勉強し、五年で我々のレベルに追い付いた。
     しかし、その時には戦争はほとんど終結していたよ。我々の敗北という結果でね」

(´-ω-`) 「モララルドが……」

(’e’) 「そしてその一年後、あなたを陥れてから六年後、私は国を去った。
     セントとは我が国の代名詞のようなものだ。我が国の領主は皆、この名を与えられる。
     St.jones
     自身の目的のために何百人も殺した私が、聖人とは片腹痛いがな」

元領主は自嘲気味に笑った。
こんな屑に利用され、殺された人間達はさぞ浮かばれないだろう。

958名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:34:09 ID:.mVDc3Vo0

(’e’) 「老い、衰え、先の行き止まりが見えている中、私が考えたことは何だと思う?
     いや、ホムンクルスのあなたにはわからないだろうな。
     人生の清算だよ。自分が始めたことは、自分で終わらせたい。
     しかしそのための力がない」

(#´・ω・`) 「自分勝手な……」

(’e’) 「はっは……年を取れば何事にも興味がなくなる、そう思っていたが実際は違った。
     私の研究、強化兵士の研究は失敗に終わったのだ。
     大人しく手を引こうと思っていたのに、その研究をかってに引き継いだ天才がいた」

(#´・ω・`) 「それがモララルドってことか。悪いが、僕はお前の都合よく動くことはない」

(’e’) 「いえ、あなたは私の目的をかなえますよ。必ず、ね。私は、人体強化の研究が失敗に終わった、
     その事実が欲しいだけです。その結果を得るためならあなたが欲しい状況も差し上げましょう。
     どうです? あなたの求めるものと何か違いがありますか?」

反論することはできない。
当面の目標はモララルドを救出することであったし、
本人が禁術の研究に勤しんでいるのであれば、阻止するつもりだ。
そのための情報提供を厭わないというのであれば、確かに僕にとってもいい話だ。
元領主の話を全面的に信用するのであれば、だが。

(’e’) 「随分と疑っているな」

959名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:35:10 ID:.mVDc3Vo0

考え込んでいると、領主が温かい紅茶をカップに入れて差し出してきた。
どうやら部屋の中に備え付けにされている錬金術の器具を用いて作ったようだ。

お茶には口をつけず、思考に戻る。
嘘をついているのだとすれば、罠が仕掛けられている、か。
大陸側の港に待ち伏せされていれば、それは話を聞こうと聞かまいと同じ。
出会ってしまった瞬間に、どうせ向こうには連絡がなされている。

この男を信じるのはどうかしている。
組織に属する人間だ。何をしでかすかわからない。
今の時代に関する情報は、大陸を渡ってからクルラシア自治国に向かえばおそらく手に入る。

(’e’) 「一つ、約束をしよう」

(´・ω・`) 「なんだ」

(’e’) 「この教会はアルギュール・フィズィの隠れた資金源の一つだ。
     維持管理費の名目で信徒から徴収した金銭の大部分を、未だに大陸側に送金している。
     その流れを止めよう」

(´-ω・`) 「そんなことをすれば、お前は」

(-e-) 「言っただろう、長く生きることに興味はない。
     私の目的は一つしかなく、それが達成されるのであれば他のすべてを失っても構わない」

960名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:36:38 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「………………」

どうせ代わりがたてられるだけであろうが、それでも一時的な影響は与えられるかもしれない。
話を聞くだけなら、別に損はないはずだ。

(´-ω-`) 「わかった、お前の知っていること全部話せ」

(’e’) 「やっと聞く気になったか……悪いようにはならないはずなんだがな、まぁいい」

あなたを海に叩き落とした日のことから話そうか。
一錬金術師を騙っていた元領主はそう語り始めた。

あの日、僕とブーンが城に攻め入ることは予想されていなかった。
そもそも、ホムンクルスは僕一人だとジョルジュに教えられていたせいで、
戦闘の準備には時間がかかるとよんでいたのだ。

ジョーンズがわざわざリスクを負って多方面に同時展開したのには理由があった。
一つに、ジョルジュがネールラントとの同盟の話を持ってきたこと。
クルラシア自治国は周辺国家の中で最大規模、人口もセント領主家よりもずっと多く、
その国と戦争して勝つためには、疲弊している当時を於いてなかった。

結果はクルラシア大代表の大軍錬金術に嵌り、戦線の均衡を余儀なくされる。
ジョルジュが同盟を結んだネールラントもまた同様に動けずにいた。
そのため、西側戦線は完全に膠着してしまい、兵力の下手な移動が出来なくなってしまう。

961名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:38:00 ID:.mVDc3Vo0

クナド・オラト両国は常備軍の規模も小さく、すぐにつぶせるかと思いきや、
噂に違わぬ傭兵の男とその一団が、強化兵士相手に獅子奮迅の活躍。
犠牲を出しながらも、百を超える兵士たちを退けることに成功した。

そのまま、傭兵部隊とグラント王侯領との同時侵攻。
それに対し、西側の戦力を薄くすることにより防衛線を引き下げたジョーンズ。
ジョルジュはその状況に呆れ、国を出ていったそうだ。

当たり前のことだが、彼らには戦争の知識が圧倒的に足りていなかった。
より強力な兵隊とより多い人数で戦えば、
必ず勝利するとすら声高々に主張している錬金術師もいたそうだ。

追い詰められたセント領主家はとある策を実行し、なんとか生き長らえることができた。

そして戦争が拮抗して二年が経つ。
クラト・オラト両国、そしてグラント王侯領もまた、
セント領主家に対する致命的な攻略方法が思いつかなかったようだ。
クルラシア自治区は東側を警戒しつつも、ネールラントとの戦争に力を傾けていく。

四国同盟により、陸路を完全に封鎖されてしまったセント領主家は、
年月が経つほど如実にその力を衰えさせていった。
アルギュール・フィズィの支援により、辛うじて研究体制を整えていたセント領主家。

962名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:39:30 ID:.mVDc3Vo0

セントショルジアト城に閉じこもった錬金術師達は、逆転の一手を打つために研究をし続けた。
まともな政が行われず、困窮にあえぐ領民たちは流れるように他国へ逃走する。

戦争が始まってから四年と八か月、ジョーンズはその日のことを正確に覚えていた。
全く進歩しない強化兵士の研究。
食料は足りなくなり、仲間内で揉め事がよく起こるようになった。
そんな中、わずかな資源で奇跡的に完成した一滴の薬。

彼らはそれを≪戦女神の涙≫と呼んだ。
長年の研究をついに完成系まで持っていった。
実際のところ薬は未完成だったわけだが、これで戦況を打開できると最後の宴が催された。

クナド、オラト両国とセント領主家が国土を交える地。
そこに集結したジョーンズら錬金術師と、
アルギュール・フィズィからの使者。

薬を飲んだのは、一人の少女。
大病を患い、寿命も残りわずかと宣言されていた。
身体のあちこちに人体禁術を施し、辛うじて生きているような状態。

彼女が選ばれたのは必然だった。
度重なる錬金術による耐性の上昇。
命すら、もう幾許か。
かなりの副作用が予想されたため、錬金術師たちは誰一人飲もうとはしなかった。

963名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:41:19 ID:.mVDc3Vo0

ただ一人反対していた男は、仲間の手によって城に閉じ込められていた。
実験開始から一週間ほどが経った頃、
牢屋にある食料は底をつき、男は爪を齧って生きながらえていた。
同じく城に残された少年は、自らの知識を高めることにのみ心血を注ぐ。
閉じ込められている年寄りには興味を欠片もよこさない。

帰ってきたのはたった一人。
アルギュール・フィズィの使者のみだった。
全身がぼろ雑巾のように乱れ、息も絶え絶え。

ジョーンズの前まで歩いて来ると、負けた、その一言だけ発しその場で絶命した。
その男が持っていた武器と錬成品で牢をこじ開け、ジョーンズは脱出した。

城内の蓄えを適当に持ち出し、馬をかけさせる。
実験の場所は聞いていた。その地点に向かえば、何が起きたかわかるはずだった。

その場に残っていたのは、惨殺された死体。
数多の屍が打ち捨てられていた。
見知った顔もあれば、そうではない兵士達の姿もある。
バラバラになった肢体と、どす黒く変色した大量の血液。

この世の地獄と形容してもまだ生易しい。

964名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:45:03 ID:.mVDc3Vo0

その場において息をしていたのは、たった一人。
最期までジョーンズ達の計画を阻んだ男がいるだけだった。

変わり果てた娘の姿をそこに見て、ジョーンズはアルギュール・フィズィを抜けようとした。
勿論、教団も優秀な錬金術師をそう簡単に抜けさせるわけにもいかず、
妥協案として、彼を北の島であるこの地のまとめ役とした。



(’e’) 「信じてくれるかな」

(´-ω-`) 「多少は、ね」

ジョーンズの話には論理的整合性がある。
咄嗟の作り話ではここまでうまくはいかない。

かといって、全てを信じるのは危険。

(´・ω・`) 「いくつか質問がある」

(’e’) 「答えよう」

965名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:46:10 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「ブーンは、僕と一緒にいた太ったホムンクルスはどうなった」

(’e’) 「逃げられたよ」

無事と言わないのは、現在はわからないという意味か。
彼が無事だということは、書庫番も恐らくは助けられただろう。

(´・ω・`) 「ではもう一つ、ここから三日ほど言った港町に、
       ホワイトという錬金術師の老人が住んでいる。
       知っているか?」

(-e-) 「……ああ、知っている」

これまでのやり取りで初めて、ジョーンズが答えに窮したように見えた。
気を使ってやる様な仲ではない。
僕は淡々と質問を続ける。

(´・ω・`) 「彼の息子が船から落ちて亡くなる直前、お前の仲間たちと言い争いがあった。違うか?」

(’e’) 「私は直接見たわけではない。ただ、セントにおいて失敗したせいで、
     アルギュール・フィズィはそれなりの痛手を被った。
     その補充をしようと躍起になっていた頃の話だ。
     ある有能な錬金術師が港に住んでいると聞き、数人が教団へ加入させるために説得に向かった」

966名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:47:51 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「それがホワイト一家の錬金術師」

(’e’) 「話はすぐに終わったようだ。ホワイト氏の息子は考える間もなく入団を拒否した。
     その一カ月後、私はある報告を受けた。
     大陸に向かう船の上で、逆上した教団の男が錬金術師を殺してしまった、とね」

(´・ω・`) 「その男は今でも教団に属しているのか?」

(’e’) 「当時下っ端だった男は、今では幹部にまで上り詰めている。
     おそらく彼は教団内に強力なコネがあるのだろう。何故か名前の登録が存在しない。
     皆、好きに呼んでいるが、たいていはNO NAMEからとってノーネと呼ばれている」

(;´・ω・`) 「!!!」

僕が島に置き去りにしてきた教団の信徒。
その中にいたリーダー格の男は確かにその名を呼ばれていた。

(´・ω・`) 「今はどこにいる」

(’e’) 「……岩礁亀の調査に出ている」

(´・ω・`) 「それは、資料庫のことか?」

(;'e') 「なっ!?」

今度はジョーンズが驚く番だった。

967名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:48:50 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「僕が最初に目を覚ましたのが、あの島だった。
       地下にある資料も見せてもらった。そして、ノーネといったか。
       その男は確かに島に来た」

(;’e’) 「……ノーネと他の信徒はどうした?」

(´・ω・`) 「僕だけが脱出してきた。運が良ければまだ生きているかもな」

あれから何日か過ぎた。食料は木の実でも何でもあるだろうが、飲み水は不足しているだろう。
助けに行くのであれば、今すぐ向かって間に合うかどうか。

(’e’) 「ノーネが本当に教団内にコネを持っているとすれば、厄介なことになるぞ」

(´・ω・`) 「昔の教団と比べれば訳はない。規模は大きくなったけど、それだけ有象無象が増えた」

平気で人を騙し、脅し、痛めつけ、殺す。
おおよそ想像できる人間のすべての尊厳を奪っていた連中だ。
仲間内ですら秩序などなく、あるのは暴力と恐怖による不文律のみ。
気づかず一線を踏み越えてしまえば、二度と日の光は浴びれない。
人の皮を被った悪魔の巣窟。

そして、その教団を今現在でも支えているであろう男。
主人を裏切り、あまつさえ手をかけた。

968名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:50:32 ID:.mVDc3Vo0

(´-ω-`) 「最後に一つ聞きたい」

(’e’) 「なんだ」

(´・ω・`) 「ワカッテマス。ワカッテマス・ヴァン・ホーエンハイムの居場所を知っているか?」

(’e’) 「不老の錬金術師……。名前だけは聞いたことが有るが、今どこにいて何をしているのか。
     それを知っている人間は教団の中でも一握りだけだろう」

(´-ω-`) 「そうか……」

残念ではないと言えば嘘にはなるが、
国一つ纏めている者に対しても自らの情報はほとんど明かしていないその慎重さは、
昔から何一つ変わらない。すぐに居場所がつかめるとは思っていなかった。

話は終わり、黙って席を立つ。
一口分も減らないまま、紅茶は冷めてしまった。

(’e’) 「別に報告はいらん。この場所にいればいやでも結果を知ることになるだろう。
     私が生きているうちに耳にすることが有れば、約束は果たそう」

969名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:51:27 ID:.mVDc3Vo0

(´-ω-`) 「好きにしろ。僕はただ僕の目的を果たすだけだ」

教会の中には数人。
未だ熱心に拝み続けている。

それを横目に、外に出た。
湿った空気で肺の中を入れ替える。
教会内の埃っぽい空気よりはましだ。

(´・ω・`) 「面倒だが……一度岩礁亀地帯に戻るか」

シェイブ老人の頼み事は、思ったよりも簡単に達成できそうだ。



・  ・  ・  ・  ・  ・



( ´W`) 「そうか……」

アルギュール・フィズィの協会を後にして、再び老人宅を尋ねた。
ナタリーはやはり出払っており、室内には老人が一人座っている。
その対面に座し、自分の聞いてきたことを必要な部分のみ話す。

970名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:53:11 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「敵の居場所はわかりました、シェイブさん。どうしますか?」

老人の息子の敵である男は、放っておいてもいずれ死ぬ。

( ´W`) 「報いを受けておるわけか」

(´・ω・`) 「ええ」

( ´W`) 「十数年経とうと、この恨みが褪せることはない。
      出来るのならば、目の前で同じ目にあわせてやりたいとすら思う……。
      よく調べてくれた。有難う」

(´・ω・`) 「いえ……」

実際に僕がしたことと言えば、往復一週間程度の旅だけ。
シェイブ老人本人が向かったところで、教えてもらえなかっただろうが、
僕が直接足を使って調べたわけではない。
礼を言われるのは、なにか違う気がする。

( ´W`) 「これはただのお願いなのだが、その男。ノーネに私の言葉を伝えてくれないか?
      船の出航まではまだ半月ほどある」

971名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:55:37 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「一応聞きましょう」


( ´W`) 「私の息子、アラン・ホワイトを君は覚えているだろうか。
      今君の身に訪れている理不尽は、その時の罪が返ってきたのだ。
      生まれるはずの娘を見れなかった我が息子の後悔を、君が想像できるかはわからない。
      ただ、君を恨む者がいたということ。
      君は事故で死ぬのではなく、人に恨まれて死ぬのだと知ってていてほしい」

男たちが生きているかどうかはわからないし、
話を聞いてくれるかどうかもまた、不明。

(´・ω・`) 「伝えるかどうかはわかりませんよ」

だからこそ老人に伝えた。
定期便まで日数があっても、危険を冒し岩礁亀に戻る必要はない。
他に時間を潰す方法なんていくらでもある。

( ´W`) 「構わないよ」

老人の答えを聞き、彼の家を後にした。
港に向かうと、僕が乗ってきた舟が丁寧に結んであった。

972名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:56:41 ID:.mVDc3Vo0

日陰で休んでいるナタリーを見つけ、軽く手を挙げてあいさつする。
少女もこちらに気付き、小さく手を振ってくれた。
大樹にもたれ掛り、眼をこすりながら欠伸をしている。

固く結ばれた紐を解く。
海までの距離はそう遠くなく、一人で押していけば十分だ。

(´-ω-`) 「何やってるんだろうなぁ……」

どうも自分自身ががぶれている気がする。
人間同士の争いに首を突っ込み、一時は自らの記憶を失った。
そのせいだろうか。
自分の信念や、立ち位置が揺らいでしまっている。

昔の僕ならばどうしただろうか。
銀の蛇に所属している者であれば、殺すことに躊躇いはなかった。
それは私怨という考え方と、大衆のためという信念が根本にあったからだ。

973名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:57:41 ID:.mVDc3Vo0

尽きることない寿命を持つ僕は、長い年月で教団への興味を薄れさせてきた。
教団に属する個人とぶつかることは何度かあったが、
今回のように教団そのものと本格的に敵対したのは主人の件以来僅か数度目。

久々生まれてくる感情をうまくコントロールできず、判断を誤ったようにも感じる。
いや、現在進行形で間違い続けてるかもしれない。

島に置き去りにしてきた中に、一般人の信徒がいたというジョーンズの話。
その真偽は、行ってみなければわからない。


行くべきか、行かざるべきか

自らの欲望の為に、全てを投げ捨てた男がいた。
巻き込まれ、犠牲になる者がいた。
そういう人間を救いたいと、願ったホムンクルスがいた。

974名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 19:58:27 ID:.mVDc3Vo0

(;´-ω-`) 「っ!」

頭の中を痛みが奔る。
思い出そうとした記憶そのものが、触れられるのを拒否したかのように。
それでも、一つの答えは導き出せた。
座って悩み続けるなんて、僕らしくもないということを。
物事の真偽は、自分の腕で、自分の足で確かめる。

それが錬金術師。

それがホムンクルスである僕のやり方。

舟を力いっぱい海に向かって押す。
砂浜を滑り、勢いに任せて飛び乗った。
岩礁亀地帯を目指し、大きく櫂を動かす。


波に逆らい、舟は進む。
急いで向かっても二日程度はかかる。

(; ´W`) 「待ちなさい!!」

下半身まで海につかりながら、シェイブ老人が追いかけてきた。
櫂を動かす手を止め、身を乗り出す。

975名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:00:36 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「どうしたんです」

(; ´W`) 「食料と、それから錬成品だ。持っていきなさい。役に立つかもしれない」

舟に投げ入れられたのは、大きな麻袋。
中には一目でよくわからないものまで入っていた。

(´-ω-`) 「ありがとうございます」

(; ´W`) 「なに、気にしなくていい。無事戻ってきて来るように」

(´・ω・`) 「ええ、大丈夫です」

僕は僕自身をやっと思い出した。
やるべきこともはっきりしている。
それなら迷うことはもうない。老人に礼と別れを告げ、再び舟を動かし始めた。

976名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:02:00 ID:.mVDc3Vo0


・  ・  ・  ・  ・  ・



( メAヽ) 「まさか、引き返してくるとは。一体どんな心変りがあった?」

(#´・ω・`) 「…………お前っ!!」

一人の男が砂浜にある大きめの岩に腰かけていた。
他に人影は……ない。

( メAヽ) 「っち。五月蠅い。傷に響く」

フードから除く顔の横には大きな切り傷。
固まった血液は黒ずみ、膿んでいる。

( ノAヽ) 「人が多けりゃ、それだけ消費する。貴様が残してくれた土産は少なかったんでね」

錬金術師がいるわけじゃない。だけど、少し調べれば知らなくても気づけたはずだ。
この島には緊急時のために、ある程度の仕掛けが為されていることに。
食用の実がなる草に、水分を多量に含む樹。
それらに全く気付くことなく……・

977名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:04:11 ID:.mVDc3Vo0

(#´・ω・`) 「殺したのか……」

( メAヽ) 「向こうで眠ってる。さて、俺には抵抗する体力はない。どうする?」

(#´・ω・`) 「一つ伝えておかなきゃいけないことがある。」

怒りに支配されないように両手を強く握りながら、
シェイブ老人の言葉を、抑揚もつけずにそのまま伝えた。
手紙のほうがまだ幾分気持ちが伝わっただろう。

( メAヽ) 「はぁー……。あの時の錬金術師か」

男は緩慢な動作で葉巻を取り出して咥えた。
どうやら火をつける道具を持っていないようで、こちらに確認するように視線を向けてくる。
黙って首を振ると、葉巻を指に挟み口を開いた。

( メAヽ) 「ジョーンズ司教に話を聞いたのか?」

(´・ω・`) 「そうだ」

( メAヽ) 「あの人にこの話を伝えたのは俺だ。あんたの言うことは、何一つ間違っていない。
        さ、どうにでもしてくれ。抵抗する気力はない」

978名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:05:27 ID:.mVDc3Vo0

(´・ω・`) 「僕はお前は殺さない。本島に連れ帰って然るべき罰を受けてもらう」

例え何人殺したとしても、それを裁くのは僕ではない。
自分を過信して、首を深く突っ込み続けた結果失敗した。
同じことは繰り返さない。

( メAヽ) 「てめぇが殺した二人を除いて、残りはみんな俺が殺してんだが、
        ……なんでそんなすました顔してやがる。
        お前は特別か、ああ? 人を殺しても許されるとでも?」

(´-ω-`) 「人を殺して、許されるわけがない。
       だけど……」

命を狙われて、その敵を助けてやるほどお人よしじゃない。

( メAヽ) 「てめぇも、俺も同じってことさ」

(´-ω-`) 「そうかもしれないな。それでも僕はアルギュール・フィズィを許しはしないし、
       それに所属していれる人間が、こちらを脅かすのであれば容赦はしない。
       そう"決めて"僕はここにいる」

979名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:06:07 ID:.mVDc3Vo0

( メAヽ) 「はっ……」

島の中心には七つの死体が放置されていた。
そのほとんどが激しく傷んでいる。。

一人ずつ、順番に運び海に流していく。
力が抜けている状態の人間の体は重く、手間取ってしまった。
島国では死者を海に還す地域もある。
形だけのものではあるが、せめて彼らが安らかに眠れるように。

(´・ω・`) 「来い、帰るぞ」

( メAヽ) 「帰って死刑になるくらいなら、俺はここで死ぬ」

(;´・ω・`) 「何を言って……!!」

ノーネの動きは俊敏だった。
止める間もなく、足元に転がった刀で自らの腹を真横に断ち切った。
迸る鮮血と、それに比例して湿っていく砂。

980名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:07:20 ID:.mVDc3Vo0

(;´・ω・`) 「自殺なんて……」

( メAヽ) 「俺の……したい、は……この……しま……に……」

息も絶え絶えに呟いた一つの希望が、ノーネの最期の言葉となった。

(´-ω-`) 「…………」

ノーネの手によって行われた虐殺は、僕が原因でもある。
名もなきこの島で、八つもの命が失われた。

僕の選択が間違っていたとは思わない。
島に来た教団に命を狙われて、放っておけばおそらく本島でも同じことが起きていた。

アルギュール・フィズィ
 銀 の 蛇

最近になって動きが露骨になってきている。
以前であれば、裏方を演じ歴史の表舞台に現れることはなかった。
それがこの数十年で国を乗っ取り、戦争までも引き起こした理由。

(´・ω・`) (何が目的だ……)

981名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:08:15 ID:.mVDc3Vo0

銀の蛇が発足したのはあの事件の後。

不老不死の錬金術を欲した男は、あろうことか自らの師を手にかけた。
そこまでしても、手に入れたのは目的の半分。

不老となった男は、完全なる不死を求め、
ホムンクルスであり、亡き主人のすべての知識を受け継いだ僕を執拗に狙ってきた。
その度に返り討ちにし、教団は次第に勢力を弱めていく。
機を見計らって僕は主人とその家族の仇をとるために教団に潜り込んだ。

教団が弱体化しているとはいえ、不老不死という餌に踊らされた地方の有力者達の支援を受けていた。

僕は一人。
対する相手は、周辺国の協力を得た万の軍勢。

騙し、奪い、謀り、欺き、誑かした。
血で血を洗う戦、裏切り、背後からの不意打ち。
おおよそ汚いと思われるすべての手段を用い、僕は男と再会した。

982名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:10:07 ID:.mVDc3Vo0


教団の創始者、ワカッテマスを後一太刀というところまで追い詰め……そして敗れた。
その時のことは詳しく覚えていないが、海に落ちて意識を失ったのはそれが最初だった。

それからというもの、教団は直接僕を狙ってくることがなくなり、
僕もまた教団の本体を見失ってしまった。
教団の活動は歴史の裏側に潜んでしまい、今に至るまで、教団の本拠地は見つけられていない。
手足である小さな研究施設はいくつか破壊したが、その影響はたいして出ていなかったのだろう。



死体をあさる肉食の海鳥が、島の上空を旋回している。
その甲高い鳴き声は青空に響き渡った。


(´-ω-`) 「眠れ……」

表面上の言葉だけだが、無いよりはましかもしれない。

そう言い残して島を後にした。
波が荒く、思うように進まない。
本島に戻れたのは、出発してから五日後のことだった。



・  ・  ・  ・  ・  ・

983名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:11:13 ID:.mVDc3Vo0

事の顛末をシェイブ老人に伝えると、手のひらサイズの薄い板をくれた。
そこには複雑な図形が書き込まれている。
半分に割った二つの欠片を合わせることで乗船確認とするらしい。

( ´W`) 「これがあれば船に乗れるよう手配しておいた」

(´・ω・`) 「ありがとうございます」

( ´W`) 「乗船日時は一週間後の早朝、板をもって東港で一番大きい船に向かいなさい。
      東港への道は馬車に乗っていれば、間違えることはないだろう」

(´・ω・`) 「大陸まではどのくらいかかるのですか?」

( ´W`) 「沿岸沿いを進み、早くて三週間。風の影響にもよるが一月かかることはないだろう」

相手方の港は、セント領主家とクルラシア自治区の境界線上。
荷卸しの場として整備されていた港は、先の戦争で被害を受けたものの、
今はもう以前の姿を取り戻しているらしい。

( ´W`) 「錬金術の準備があるなら、私の研究室から持っていきなさい。
      もう長いこと放置していたから、使えるものはないかもしれないが……」

984名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:12:27 ID:.mVDc3Vo0

有難く好意に甘えることにした。
使い古された実験器具、乱雑に式が書き込まれた机。
鼻をつくような錬金術独特のにおい。窓が小さいせいで息苦しく感じるが、懐かしいとも思える。
埃が積もり、灰が降ったように見える使研究室には、保存のきく素材だけが残っていた。
いくつかめぼしい物だけど袋に詰めておく。

(´・ω・`) (研究内容に関する書物がないな)

部屋の有様は、実験途中で放置されていたようにも見えるが、
本棚には一冊も見つからない。
かといって外から見た時の研究室は隠し書庫がある構造ではない。

( ´W`) 「私の研究が知りたかったかね?」

(´・ω・`) 「あ、いや、その……すいませんでした」

研究結果は錬金術師にとって命よりも大事なものだ。
それを無粋にも詮索してしまったことを詫びる。

985名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:13:07 ID:.mVDc3Vo0

( ´W`) 「構わないよ。安全な航海のため、そして漁業のための錬金術。
   これからの旅で、君も直接目にすることが有るだろうな」

(´・ω・`) 「成程……」

港町に住む錬金術師として、皆に慕われていたのも納得できる。
その研究結果は惜しみなく住民に還元されていた。

(´・ω・`) 「これで十分です。少し島内を見て回りたいので、そろそろ出発します」

旅支度を整えるのに、老人は力を貸してくれた。
おかげで不慮の事態に備えることができる。

馬車はまだ出ているだろうか。
今日の便がなければ、歩いてもいいな……。

(´・ω・`) 「それでは」

( ´W`) 「機会があれば、また」

短い挨拶を交わし、僕らは別れた。
扉を閉じた後、中から漏れ聞こえてきたのは老人の小さな呟き。




( W ) 「自ら命を絶つとは……卑怯者め……」

986名も無きAAのようです:2015/02/01(日) 20:13:53 ID:.mVDc3Vo0













18 ホムンクルスと怨嗟の渦動  End


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【時系列】

ホムンクルス生誕
   ↑
   ↓
6 ホムンクルスの忘却と少女の幸福のようです
7 ホムンクルスの罪と少女の難のようです   
8 ホムンクルスと少女のようです
   ↑
   |
   |
   ↓
1 ホムンクルスは戦うようです
   │
2 ホムンクルスは稼ぐようです
   │
3 ホムンクルスは抗うようです
   │
4 ホムンクルスは救うようです
   │
5 ホムンクルスは治すようです
   │
9 ホムンクルスは迷うようです
   |
10 ホムンクルスと動乱の徴候 戦争編・前編
11 ホムンクルスと幽居の聚落
12 ホムンクルスと異質の傭兵
13 ホムンクルスと同盟の条件
14 ホムンクルスと深夜の邂逅
15 ホムンクルスと城郭の結末

17 ホムンクルスと絶海の孤島 戦争編・後編
18 ホムンクルスと怨嗟の渦動
    │
    │
16 ホムンクルスは試すようです






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