( ^ω^)地平線よりも先にあるようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:17:12.67 ID:pFGjCWJt0


「こんな調べつくされた遺跡に?」

「おうともさ、大体、調べつくされたっつーても踏み込める領域の話だからなぁ」

複数の作業員やらの人間を連れて、先頭を行く二人は話を続ける。
手には短い棒が握られ、棒のやや上空を小さな光が漂い、周囲をうっすらと照らしていた。

そんな彼らがやがて辿りついたのは、暗い洞窟の最奥、壁に囲まれた空間だった。
しかし、一人が歩みを止めずに進むと、突然の段差に足をとられ、わあ、と声を上げる。
平らな道が続いていると思われた地面は、水面だったのだ。

「行き止まりじゃねぇか」

「いんや、下を見るといいよ」

松明代わりのライトが照らすのは、どこからか流れ込む水流が水面だ。
見渡せば、この空間は大きな湖によって造られたのが分かる。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:18:16.03 ID:pFGjCWJt0

しかし、それだけでは無かった。
極めて透明度の高い水中にあるのは、生物の姿でも、ゴツゴツした岩場でも無く、

「……これは…街か?」

遥か下方に広がる、家屋の密集した光景であった。
それも、彼らが居る空間とは比べ物にならないほどの規模を誇り、正面の壁より彼方まで続いている。

「そう、地底都市ラウンジの残骸さ」

「……地下遺跡ってのが全部ラウンジへの入り口だったってのは、都市伝説じゃなかったのか」

「別に全部がそうとは限らないけどな」

そう言って、更に背後から現れたのは一人の女性。
この探検家が集うような場所には不釣合いな白衣を着た彼女は、湖をしばし覗き込み、
やがて両側の二人に、バックルが三つほど着けられたベルトを手渡した。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:20:48.07 ID:pFGjCWJt0

二人はそれを迷うことなく受け取ると、腰に装着した。
そして互いの顔を確認すると、小さく頷き。左右に分けられたバックルのスイッチを押した。

同時に、彼等の周囲に光帯が浮かび、その姿を覆うようにしながら球体を描きながら広がっていく。
続けて現れたのは、その光に沿うように展開された六角形の立体映像だった。
その中心には【光合】の文字が浮かび、球体の内側にはいくつものメーターが出現した。

「じゃ、行きますか」

「いいけど、鮫とか居ないだろうね?」

「居てたまるか馬鹿」

一人がインカムを装着すると、目の前にはいくつかの四角い映像が浮かびあがる、
そして四角い枠の中には、他の二人の顔がでかでかと映っていた。

言いながら、一人が水面へと足を踏み入れる。
だが水は足に触れることなく、球状に広がる光によって阻まれ、大きな波紋だけを広げていく。
こうして三人は、地下に広がる湖の底へと沈んでいった。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:22:46.28 ID:pFGjCWJt0


   【あの地平線輝くのは、どこかに君を隠しているから】





ζ(゚ー゚*ζ「……それが、彼等の最後の姿だった、と?」

重い空気の中で、そう問いかけられた言葉に、ややあってから一人が頷いた。
調査団の三人が水底に向かってから、既に一週間もの時が経過している。

光合成ボールの中に居れば空気の心配こそ無いものの、連絡が完全に途絶えているのが問題だ。

ζ(゚ー゚*ζ「何かあった、と考えるのが妥当ね……」

「それで、実はあの時……おかしな事があったんです」

ζ(゚ー゚*ζ「どんな事? まさか大量の泡がぶくぶくしてたなんて言わないでしょうね?」

「いえ、あまりに一瞬だったので、気のせいかと思っていたのですが……」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:24:22.72 ID:pFGjCWJt0


ζ(゚ー゚*ζ「……湖が光った?」

「一瞬だけ洞窟内が明るくなって、何かと思って見たら湖の方がうっすらと」

「それですぐ消えちゃったんで、その時は気にしなかったんですけどね」

ζ(゚ー゚*ζ「その時点で連絡は取れたの?」

「いえ、ただその時はまだ、彼等の姿を視認できてたんです、だから」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫だと思った、ですのね」

ふう、と彼女は吐息を漏らし、手元の資料へと視線を移した。
報告書には、連絡が途絶えたのは二日目だと言う。
それまであった提示連絡が無くなり、最初は電波障害と思われたが、
何時まで待っても彼らは帰ってこない。追跡隊を送り込むも見つからない。

そんな彼らが外へと連絡を取れたのが三日目の夜。
救助隊がたどり着き、更に調査が進むこと五日、依然として彼等の足取りは掴めなかった。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:27:38.67 ID:pFGjCWJt0

そして、それらについてを纏めた報告書が作られ、
彼等の仲間だった一人が彼女の元へやってきたのが、七日目の現在であり、

 C,IS(センチュリー、アイセブン) 9499年 6月18日 

ラウンジ調査団の三名が行方不明となった事が決定された。
同時に、この日付こそ、後に起こる世界変動において、始まりの日であったとされる事になる。




  【 たくさんの灯が懐かしいのは、あのどれか一つに君が居るから 】



ζ(゚ー゚*ζ「そういえばあなたは、飛行石を知っているのかしら?」

「まあ、人並みの知識としてはあります、凄まじい力を秘めたOパーツの一種であると」

ζ(゚ー゚*ζ「付け加えるなら、固形物でありながら流動体であり、液体金属である可能性が高く、
      あるいは惑星の核からこぼれたエネルギー結晶体ではないか、等と語られる」

ζ(゚ー゚*ζ「名の由来は、その余りあるエネルギーの余波か、常に宙に浮いている事から名付けられた」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:30:28.89 ID:pFGjCWJt0

ζ(゚ー゚*ζ「……賢者の石なんかより、よっぽど流用性がある物だわ」

「そういえば似てますね、類似品でしょうか?」

賢者の石、と呼ばれるものは既に存在し、広く人々に使われている。
液体金属にして、数あるエネルギー結晶体の中でも高ランクに位置する物だ。

ζ(゚ー゚*ζ「でも本質は全く別物だわ、賢石はどちらかと言うと生命に働きかけるものだからね」

ζ(゚ー゚*ζ「でも飛行石は違う、あれは何にでも転換できる万能エネルギーの塊と思っていいわ、
      だから単純であるのと同時に、使い勝手もぜんぜん違うのよ」

「なるほど……それで、その飛行石がどうしたのです?」

ζ(゚ー゚*ζ「あら、鈍いわね…この話の流れで分からないのかしら?」

突然の問いかけに、男は困惑の表情を浮かべる。
そんな姿に彼女は、ふ、と笑みを浮かべ、

ζ(゚ー゚*ζ「この調査は、何を目的とした物だったかしら?」

「ただの遺跡調査ですが……?」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:33:28.10 ID:pFGjCWJt0

実際、彼は遺跡調査としか聞かされていない。
そして、別段おかしな事でもない、自然な話だった。

彼は史実についてを研究する学者チームの一人、
ゆえに、遺跡を調べる事が仕事のような物なのだから。

つまり明確な何かを探すのではなく、曖昧な何かを探して遺跡に潜っていたのだ。

すると彼女は、じゃあ、と続ける、

ζ(゚ー゚*ζ「これだけの大掛かりな調査には、その分、お金がかかるのも分かるわよね」

そりゃあ、とまで口にした所で、男ははっと顔を上げた。
この件については彼も聞かされていた。

自分等の発掘には、スポンサーがついている、という話だ。
国から支払われる物とはまた別として、どこか大きな企業がバックに居ると。
流石に、何かしらの目的あっての事だとは理解できていた、だから、話はすぐに繋がった。

「最初から飛行石が目的で、この調査は行われていた…!?」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:36:10.00 ID:pFGjCWJt0

ζ(゚ー゚*ζ「表立って、そんなのを探しているなんて言えないものねぇ」

「しかし、あれはXP時代の遺物ですよ!? 大体、それが実在するかも分からない!」

ζ(゚ー゚*ζ「そうね、ついでに言うとラウンジはVISTA後期に地殻変動によって沈んだ街、
      特に、というか全くと言っていいほど関わりは無いわね」

「では、何故ラウンジを?」

ζ(゚ー゚*ζ「それは―――」

『PPPPP……!』

言いかけた所で、通信が割り込んできた。
やれやれ、と言った様子で彼女は椅子を回転させ、受信ボタンを押す。

ζ(゚- ゚;ζ「……え? それ、間違いないの……?」

ζ(゚- ゚;ζ「ツンちゃ……いえ、娘さんには? ……ええ、そう……そうね」

しかし、その話を聞いた途端に、彼女は様子を一変させた。
そしてしばらく、深刻な様子で何かを話し、やがて通信を終えると俯いた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:39:27.28 ID:pFGjCWJt0

「あ、あの……? どうかしたんですか?」

彼女の背中に男は問いかけるが、返事までにはしばしの間があった。
男はこのただならぬ雰囲気に嫌な予感を感じながら、ただ息を飲む。

ζ(゚- ゚*ζ「三人の痕跡が見つかったそうよ」

「…………やはり、駄目でしたか?」

ζ(゚- ゚*ζ「それが…分からないの」

「分からない? 遺体があったのでは?」

報告によれば、

ζ(゚- ゚*ζ「三人分の荷物と、水中装備は見つかった、けれど、その三人は何処にも見当たらない、と」

「…どういう事ですか? それ?」

何かに襲われた痕跡も、装備の故障も無く、本当に人間だけが消えた。
そう、彼女は淡々と告げる。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:41:22.27 ID:pFGjCWJt0



ζ(゚- ゚*ζ「ただ…」

「?」




    【 さあ 出かけよう 】





ζ(゚- ゚*ζ「写真が見つかったそうよ、ツデ、と言う人の」

「…! それ、多分知ってます、ツデさんいつも家族の写真持ち歩いてましたから」

「ていうか……確かデレさん、あなたのご友人で」
ζ(゚- ゚*ζ「……その写真には、何か文字が書いてあったかしら?」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:43:25.41 ID:pFGjCWJt0

「あ、と……文字ですか? い、いえ? 何も無かったと思いますが?」

そう、と彼女はもう一度言葉を溜める。
小さく、吐息を漏らすような深呼吸をして、


ζ(゚- ゚*ζ「写真には、こう書かれていたそうよ」







『 飛行石地上に在り 』







21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:45:59.82 ID:pFGjCWJt0





 【 君を乗せて  【 全ては  【 その先に在るから 】







( ^ω^)地平線よりも先にあるようです








23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:48:39.42 ID:pFGjCWJt0

。。。。。。。


( ・∀・)「えー、2000年目に発展した世界はー、2500年目の戦争にて一度滅びた訳だが」

( ^ω^)「イエス先生、とりあえず年数がアバウト過ぎると思いますおー?」

( ・∀・)「では、その理由についてを……そうだなぁ」

一部からの抗議の声を聞き流し、教卓から生徒を見回すその人は、やがて一人の名を呼んだ。
「はい」と答える声と同時に立ち上がったのは一人の生徒。

川 ゚ -゚)「当時はまだ創作の面においては未発達の時代であり、人は狩り等による他生物搾取の生活しか出来ず、
     それゆえに重火器などの武装が生まれ、それらは人間同士の争いにも使われるようになった、
     こうして争いの中で火気兵装は発展を続け、激化した火力によって世界は一度焼かれたからだ、です
     尚、最終的に地上を焦土と化させたのは、レーヴァテインと呼ばれるロケット爆弾だった、ですね」

教科書に目を落とせば。

【2504年 ラグナロクによって世界人口は半数以下に】

書いてあるのはそれだけであり、それを気に留める者も居ない。
数千年も前のことだ、生徒たちには寝耳に水、馬の耳に念仏だった。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:51:37.90 ID:pFGjCWJt0

そして、それは教師にとっても同じである。

( ・∀・)「うんうん、まあ野蛮な民族だった頃だからね、要約すれば馬鹿だったんだよねぇ」

それが最初の二千年、ME時代と人は呼ぶ。今にしてみれば化石のような歴史だった。
尚、当然ながら死んだのは人だけではなく、動物も、植物も、戦火に巻き込まれ、

( ・∀・)「んで、まあ結局もう二千年くらい? そのくらいは、再興までにかかった訳だが」

( ^ω^)「あんた本当に歴史の教師かお?」

( ・∀・)「よし、うざいからそろそろ突っ込むんでやる、ブーン、お前は関係ないから座ってろ」

( ^ω^)「うぃー」

( ・∀・)「んじゃそこのパッド娘、XP時代についてを誰にでも分かりやすく」

ξ#゚听)ξ「誰がパッド娘ですか!!」

あさっての方向を見ながら言った教師の言葉に答えたのは、
長いツインテールを揺らしながら勢いよく立ち上がる、金髪娘だった。
そんな彼女の、ほどよく育っているように見える胸部の膨らみへと視線が注がれる。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:54:20.85 ID:pFGjCWJt0

同時に、ひそひそと周囲にささやく声が漏れ出した。

「ひそひそ、なあ、あれってさ、認めたって事か? 認めたって事だよな?」
「ひそひそ、だよなぁ……やっぱ偽乳かよあれ、くっそーなんか悔しいぞ」
「ひそひそ、実際さぁ、あんだけの勢いで立ち上がっても揺れないもんなぁ」

そしてそんな声をたしなめるように、一人がすっと立ち上がり、机を軽く叩いた。
皆はその音に反応し、そろって音がした方向を見た。


lw´‐ _‐ノv

そこに立っているのは、映画館で小学生一人、と言い張れるだけの背丈を持った少女だった。
何を言うつもりだろうと皆が期待の目を向ける中、やがて彼女はすぅと深呼吸して。


lw´‐ _‐ノv

また座った。

(座った……)
(座るのかよ……)
(何か言えよ…)


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:55:12.12 ID:pFGjCWJt0
わっしょいわっしょい!! そいやそいやぁ!!

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:57:06.03 ID:pFGjCWJt0

続けて今度は前方より、お、という独特の語尾をつけた声が響く。

( ^ω^)「いや大丈夫だお、あれは嘘偽りのない本物だお、本物の夢が詰まっているんだお、
       そして、あまり揺れないのも発育の途中という粘り強い弾力による物なんだお」

( ゚∀゚)「……信じても、いいのか?」

( ^ω^)「当然だお、この手に誓って……あれは紛れもない、イイカップであると……!」

その形を表現するかのように、彼は手を嫌らしくわきわきさせながら宣言する。
おお、と歓声があがるが、同時にそこで一つの疑問の声が上がる。

何故そうまで確信が持てるのだ?という物だった。
だがしかし、すぐに一つの事柄が皆の頭に巡る。

「まさか……ブーン、お前……!?」

( ^ω^)「ふふふだお……そう、僕の手は一度、あの豊満にして芳醇なる果実をこの手に、おや?こんな時間に誰か」

「死亡フラグ乙」

言葉も途中だったが、ブーンの姿に影が落ちる。
彼の背後には、机を掲げる金髪娘の姿があった。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 05:59:29.48 ID:pFGjCWJt0

ξ# )ξ「 死ね 」

(;^ω^)「ちょ、そんな単純な言葉じゃいやん、だお?」

(;^ω^)「ツンちゃんステイステイ、せめてもうちょっと面白可笑しい突っ込みつきで…あっ、あっ」

ひぃ、と逃げの姿勢を取るブーンだったが、頭上から問答無用に放たれた机が押しつぶされた。
そしてそんな彼へ「無茶しやがって……」と周りからは敬礼が送られる。

( ´∀`)「大丈夫モナよツン、例え胸が偽者でも、君はとってもチャームだモナ」

ξ#゚ー゚)ξ「よーしよし、モナー君、いい度胸だこっち来たまえ」

( ・∀・)「あーあ、こりゃもう学級崩壊だなぁ、生徒がまったく言う事聞いてくれないし」

ξ#゚听)ξ「あんたが元凶だ!!」

そんなこんなで騒動も一段落して、授業は進む。
しかしツンは先のでストを起こしたので、代わりに一人が指名された。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:02:44.40 ID:pFGjCWJt0

( ФωФ)「……」

彼は名を呼ばれると、黙ったまま静かに立ち上がった。
獣人である彼は、頭の上にある耳をぴくりと動かし、やがて教科書を読み始める。


( ФωФ)「XP時代は、はってん場黄金期と呼ばれるほどに文明が発達した年代だった、
       その名残は今でも、オーパーツやロストテクノロジーとして発掘され、
       うほっいい機械。ヤラナイカ、等と、地域によって様々な文明の痕跡を残している」

( ФωФ)「だが、そんなXP時代だったが、4500年頃に謎の文明崩壊を起こしており、
       その原因については今でも様々な説が題登されている」


隕石が落ちてきて、氷河期が来たとか。(どうやって人類生き延びたのさ?
宇宙人が攻めてきて、侵略されたとか。(あれ? じゃあ俺等宇宙人デスカー?

更には機械に頼りすぎた人類は、反旗を翻した機械たちにターミネイトされたとか。
とにかく、よく分かっていないのが現状である。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:05:29.87 ID:pFGjCWJt0

( ・∀・)「はいご苦労、それじゃこの続きを……おっと、もう10分前か」

( ^ω^)「じゃあもう終わりにしましょうおー」

( ・∀・)「そうはいかんざき、じゃあブーン」

( ^ω^)「先生、実は僕ってば教科書忘れもうしたお」

( ・∀・)「そうか、じゃあ座れ」

( ^ω^)「はい」

( ・∀・)「だから座れよお前」

( ・∀・)「くそっしょうがねぇな……流石兄弟、残りの説明しろ」

(´<_`;)「先生その、兄弟、で括るのいい加減やめてくれませんか?」

( ・∀・)「エー」

( ´_ゝ`)「ていうかあんたさぁ、絶対ぇ俺等のこと判別できてないっすよねぇ、
       そんな覚えの悪さでほんとに、よく教師名乗れるもんだ」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:08:21.61 ID:pFGjCWJt0

( ・∀・)「んな事ねぇよー、いくら同じ顔でも見分けはつくさー
     ていうか、教師に向かってあんたはねぇだろお前、えーと……」

( ´_ゝ`)「あ、弟者っす」

( ・∀・)「そうそう弟者、あとで点数引いておくからな」

(´<_`;)「ちょ、待てこら、ふざけんな!! 弟者は俺だ!!」

( ・∀・)「黙れ弟者、騒がしいぞ」
( ´_ゝ`)「そうだ黙れよ弟者、授業中だ」

(´<_`;)「え、何これ? 虐め? 苛めなの?」

( ・∀・)「あー、ほら、あと5分になったー、早くしろ、もうダイジェストでいいから」

(´<_`;)「ダイジェストって……」

( ´_ゝ`)「んじゃー、ちょっと年表にでもしますか」


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:10:39.90 ID:pFGjCWJt0

そう言って、兄の方が携帯端末の赤外線キーボードを広げ、軽快に良く叩いていく。
すると彼の目の前に、白い半透明な幕が現れた、続けて文字が走っていく。


6000年〜8000年 VISTA時代 (以下 V.C)

一度、完全に文明を失った世界は、より原始的な物へと帰還する事になった。
人々はより野性的な生活を営み、それに伴い、生活圏を一気に広げていく事になる。
(大地も衰退しており、数が増えれば土地を変えるしか無かった)

そうしていくつもの国と、宗教等が生まれ、様々な生活の違いが生まれていった。
文明によって育まれていた前時代と違い、文化によって生きる彼らは互いを認められない。
小競り合いのような争いは絶えず存在し、徐々に拡大していく事になる。

そして6500年頃、第一次世界大戦が勃発。

7000年頃には大国ラウンジが世を統べる、帝国制が定着。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:13:21.15 ID:pFGjCWJt0

だが迎える7500年頃、第24次世界大戦によってラウンジは追い詰められ、
ついには地底へと逃げるが、その後の地殻変動によって完全に崩壊する。

ラウンジを打ち倒したのは、圧制に反発した共和国だった。
彼らはその後、数百年の時を経て、いくつもの条約をかけ平和を作り上げた。

尚、このVISTA後半は英雄時代とも呼ばれる。

何故なら、戦争によって活躍した者、その後の平和に貢献した者など、
今の平和を作り上げた、いわゆる立役者たちは今でも崇められているから、
詰まりは、沢山の英雄を生んだ時代だから、そう呼ぶものも居る。

そして8001年、戦争の終結と、平和の証として世紀名をアイセブンとする。


8001年〜


『おっ昼やっすみはウキウキウォンテッド! あっちこっちそっちこっちギャランドゥ〜♪』

( ´_ゝ`)「む、チャイムか」

( ・∀・)「チッ……まあいい、授業終わりだ、日直ーーー」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:17:33.27 ID:pFGjCWJt0

( ^ω^)「そっこらー中に落ちてるギャランドゥを♪ 処分♪処分♪」

( ^ω^)「あれ? どうしてこんな所に落てるんだ?」(台詞)

( ・∀・)「そこの歌ってる奴、お前だよ、お前」

ようやく現代へと歴史が戻ってきたところで、更に彼等を今へと引き戻す音が響く。
生徒たちは、その声に安堵と歓喜の声を漏らしつつ、やんややんやと騒ぎ出す。

( ^ω^)「はーい、きりーつ」

( ・∀・)「ほれ静かにしろ、おわらんぞ」

ガタガタと立ち上がる音と、ざわつく音が混ざる。
何食べようか、どこ行こうか、生徒たちの意識はもう他所へある。

( ^ω^)「ちゅうもーく」

そこへ響くのは、間延びした声。
皆はそれを習い、正面にある頭を見る。


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:20:21.23 ID:pFGjCWJt0

( ^ω^)「………」

そして、それを見た日直はゆっくりとふりかえると、
皆の視線が集まる中で、やがて指二本を立てた。


             _,,..r'''""~~`''ー-.、
            ,,.r,:-‐'''"""~~`ヽ、:;:;:\
           r"r          ゝ、:;:ヽ
   r‐-、   ,...,, |;;;;|       ,,.-‐-:、 ヾ;:;ゝ いぇーーい
   :i!  i!  |: : i! ヾ| r'"~~` :;: ::;",,-‐‐-  `r'^! みんな見てる〜?
    !  i!.  |  ;| l|  ''"~~   、      i' |     
     i! ヽ |  | |    ,.:'"   、ヽ、   !,ノ
    ゝ  `-!  :| i!  .:;: '~~ー~~'" ゙ヾ : : ::|
   r'"~`ヾ、   i! i!   ,,-ェェI二エフフ : : :::ノ~|`T
  ,.ゝ、  r'""`ヽ、i! `:、   ー - '" :: : :/ ,/
  !、  `ヽ、ー、   ヽ‐''"`ヾ、.....,,,,_,,,,.-‐'",..-'"
   | \ i:" )     |   ~`'''ー---―''"~
   ヽ `'"     ノ



その直後。

うぜえ、という罵声と沢山の物が飛び交う教室の様子を、
たまたま廊下を歩いていた生徒は目撃した。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:22:07.98 ID:pFGjCWJt0

。。。。


川 ゚ -゚)「どうしてあんな事をしたんだ?」

(メメω^)「注目が集まるとつい……」

(;'A`)「何があったのさ」

ξ-听)ξ「知らない方がいいわよドクオ、馬鹿がうつるわ」

「注目だと!?」

ざわめく食堂にて、4人は食事を乗せたトレイを運び、人ごみを行く。
だが、そんな彼等の前に、背景に花びらを背負った変態が現れる。

ノハ;゚听)「誰だ!? 注目を浴びてるやつってのは!!??」

ξ;゚听)ξ「ああまた騒がしいのが来やがったわ…」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:24:38.22 ID:pFGjCWJt0

( ^ω^)「何を隠そう、ええ、僕です」

ノハ#゚听)「ぶぅううううん!! またぁあああ、貴様かぁああああああああああ!!
     おのれ、私よりも目立つなんて、そんなのゆるさん、ゆるさんよおおおおおおおお!!」

( ^ω^)「ふふん、騒がしいだけしか脳がない奴に、目立つ資格ないんだお」

ノハ#゚听)「ぬぅあにぃいいいいいいいいいいいいっっ!!??」

叫びと共に、背景の花びらが四散、代わりに光帯が伸びていく。
輝く羽のような紋章を背中に生やし、全身に赤いオーラを纏いながら叫ぶ彼女に、
周囲は自然と距離をあけ、慣れた様子ではやし立てたり避けたりを始める。

ノハ#゚听)「こうなったら、勝負だぶぅううん!!」

( ^ω^)「望むとこだお馬鹿妖精、今度こそ幻想郷にゴーホームさせてやるお」

ノハ#゚听)「わ た し は精霊だぁあああああああああああ!!!」

('A`)「はいはいステイステイ」

人ごみの中に開けられた穴の中、騒ぐ二人の中心に割ってはいる者が居る。
そんな彼の手のひらには、赤髪の彼女の背にある羽と同じ形の刻印が存在した。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:26:49.56 ID:pFGjCWJt0

('A`)「とりあえず飯食ってからにしなさいよ」

( ^ω^)ノパ∀゚)「はぁいマスター」



「ってぇ、何でブーンまでマスター言うかなこのやろぉおおおおおおおお!!」

「あははははははははははは」


と、そんな騒がしい空間からやや離れた窓際にて、その先を睨む者が居た。
彼女は空のコップに刺したストローを吸い、ずずーーっと音を立てる。

从#゚∀从「あいつら、うるせぇなぁ毎度毎度……ガキかよ」

(*‘ω‘ *) 「ハインも充分、子供じみてるっぽ」

( <●><●>)「それが見た目を意味しているのは分かってます」

( ><)「それって何ですか?」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:30:13.57 ID:pFGjCWJt0

从#゚∀从「うるせぇ三馬鹿」

(*‘ω‘ *) 「ああ、ほら、口の周りにケチャップが…」

从;゚∀从「む……」

( <●><●>)「ほら、アイスもありますよー、これが欲しいのも分かってます」

从#゚∀从「うがーーーーー!! 子供扱いすんなぁーーーーーーーーーー!!」

( ><)「アイスいらないなら、僕が欲しいです」

从#゚∀从「ふざけろ! これはあたしのだ!!」

( <●><●>)「はっはっは、ちゃんと二つありますよ」

( ><)「わあああああい」

(*‘ω‘ *) 「ハインハイン、ああ、ほら、袖のとこにご飯粒が……」

从;゚∀从「え、どこさ?」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:32:19.60 ID:pFGjCWJt0

そんな、傍から見れば仲睦まじい家族のような様子を見せる彼らと、
さっきの目立ちたい二人による騒ぎが静まる頃、校舎の外にて異変が起きる。

誰も見ていない、誰も居ない校庭の中心に、青いうずのような物が現れた。

だが、それに気付くものは、まだ、居ない。


けれど、それを予兆する者は居た。
ここは職員室、そこでは教員たちがそろって食事を取っていた。

(,,゚Д゚)「……だよなぁ」

(*゚∀゚)「どったんだ? 真面目な話?」

(*゚ー゚)「もうじきNightmareですね、という話です」

(*゚∀゚)「ああ、来年だっけ、500年目の悪夢は」

この世界には、とある有名な悪い噂が存在すると、大きな機械腕を持つ女性が言う。
ノストラアダムスの予言よろしく、500と名がつく年に、必ず悪いことが起きるという物だ。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:35:07.54 ID:pFGjCWJt0

(*゚∀゚)「でも今のとこ何もないしなぁ、迷信じゃねえの?」

(*゚ー゚)「けど、歴史はそれを証明しています、かつての文明が滅びたのも、かつての戦争も、
    そしてまだ記憶に新しい、あの隕石衝突の事件だってそうでしたよ」

( ・∀・)「おおー、さっすがはガイノイド、史実についてもお手の物だー」

(*゚ー゚)「とりあえず、モララー先生はもう少し知識を持つべきかと」

(*゚∀゚)「そーだぞ反面歴史教師」

(,,゚Д゚)「そうだ、お前、もっと真面目に授業しろってクレーム凄いぞ」

( ・∀・)「ははは、何を言ってんだか…テストなんかどうせ教科書から出すだけなんだし、
     別にこっちが知らなくても、適当に教科書読ませておけばいいんだよ」

/ ,' 3 「……何か、今不穏な台詞が聞こえたようじゃが?」

( ・∀・)「ん? 誰このじじい」

(,,゚Д゚)「さあ? 誰このじじい」

(*゚∀゚)「誰このじじー」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:37:17.86 ID:pFGjCWJt0


/ ,' 3 「……………」


(*゚ー゚)「校長先生、どうなさいました?」

( ・∀・)「えっ」
(,,゚Д゚)「えっ」

(*゚∀゚)「えっ?」


/ 。゚ 3 クワッ


「校長の怒りは大地の怒りじゃああああああああああああ」

「ぎゃああああああああああああああああ」


。。。。。


('A`)「しかし、君らは相変わらず仲がいいね」

場所は戻り食堂、ドクオは正面に座る二人を見据えて言った。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 06:39:26.64 ID:pFGjCWJt0
対するは、ブーンとぴったり密着して食事を取るクー。
彼女はそんな言葉にああ、と頷き、

川 ゚ー゚)「家族みたいな 物 だからね」

( ^ω^)「あれ? なんでそんなに"物"ってのを強調?」

(;'A`)「はは、ちょっと目が怖いよクーちゃん」

ξ--)ξ「ま、同棲してるくらいだものねぇ、仲悪いわけないわ」

川 ゚ -゚)「ふむ、嫉妬かい?」

ξ#゚听)ξ「誰がよ!!」

川 ゚ -゚)「ムキなると怪しいのか?」

ξ#゚听)ξ「聞くな!!」

ノハ#゚听)「きむきむきーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

ξ#゚Д゚)ξ「唐突にやかましい!!」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:35:16.67 ID:pFGjCWJt0

川 ゚ -゚)「やあ相変わらず突っ込みにバリエーションの無い子だなぁ」

( ^ω^)「ねー、ツン、つまんない子っ」

ξ#゚听)ξ「……」

(;^ω^)「おおっう、ツンステイステイ、ここで机は不味いお」

『PPP、、、』

ξ゚听)ξ「あら?」

(;゚ω゚)「うわあああああああ、ツンの股間から卑猥な表現をした音がするおーーーーーーーー!!」

ξ;゚听)ξ「は、はあぁ!? ちょ、あんたねぇ…!!」

(;゚ω゚)「規制音! 規制音ですお!! えっちなのは規制ですかお? Pの奥にはどんな妖艶な輝きが?
      でも耳を澄ませば聞こえてくるのはヴィーム音、ぺロ、こここれは振動の音!!」

ξ; )ξ「……」


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:36:48.68 ID:pFGjCWJt0

(;゚ω゚)「ツン!! まさか君は……!! 入れたままですか? 入れたままなんですか?
      え、何をって? そりゃ決まってますお、ああ駄目っ、そんなの僕の口からはとても言えません!!」

川 ゚ -゚)「バイブだな」

ξ#゚Д゚)ξ三つ#)ω゚)「ああん、そんなにされたら僕の心がバイブレーショッッ」

打撃音は数にして3、しかし一瞬の事であった。
連続した単音に貫かれたブーンの体はふわりと浮き上がり、そのまま後方へ、
しかし、後方のテーブルの人たちは既にこうなる事を予測していたのか、退避完了済み。

こうしてブーンは一人むなしく、もんどりうって机の上を転がって、椅子と共に潰れた。


ξ;゚听)ξ「はあっ、はあっ……」

川 ゚ -゚)「さらさらさら、っと」

ξ゚听)ξ「ってクー、あんた何を書いて……」

クーはそんな騒動には目もくれず、筆ペンで大きく何かを書いている。
ツンはそれを見るなり固まった、クーもばつが悪そうに固まった。


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:38:18.60 ID:pFGjCWJt0

なかなか流麗な字で書かれたのは、とある4文字熟語。


【 エロ担当 】


ξ゚听)ξ「……」

川 ゚ -゚)「……」

ξ゚听)ξ「聞くけど、それをどうするつもり?」

川 ゚ -゚)「いえ、別に」

ξ゚听)ξ「じゃあ、何でセロテープを上に貼ってるの?」

川 ゚ -゚)「いえ、別に」

川 ゚ -゚)「ああん、それよりツン、電話じゃないのかお?」

ξ;゚听)ξ「AAの間違いじゃないのが腹立つわね……ええと、あら? デレさんからメール?」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:39:53.66 ID:pFGjCWJt0

そして、ツンはメールの内容を確認するなり、表情を凍りつかせた。
しばしの間があって、ようやく捻りだした第一声は、え、という疑問符。

川 ゚ -゚)「……ツン?」

ξ )ξ「…………」

まるで石になったように、身動き一つ取らないツンにクーは手を伸ばす。
合わせて、彼女の携帯が手からこぼれ、音を立てて床を転がった。

(メメω^)「む?」

幸か不幸か、その携帯はパンツを狙って床を這うブーンの側へ。
続けて、今度はツン自身も、バランスを崩したように方膝が折れ、倒れそうになる、
だがそんな彼女を、クーは抱きかかえるようにして支えた。

川 ゚ -゚)「……何があった?」

ξ;゚ -゚)ξ「…………お、」

「お母さんが……行方不明になった、って……」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:45:23.11 ID:pFGjCWJt0

川 ゚ -゚)「……!」

クーはそれを聞き、彼女の母についてを思い返す。
確か、旧時代の遺跡発掘を行っていた、それも、最近はラウンジ関係。
その狙いは恐らく、飛行石だろう。"本国からの報告が正しければ、だが"。


「おい、何だあれ!?」

そして、更に異変は続く、数名の生徒が何かを見つけたのか、窓の外を指差した。
集まってそれを見据える生徒たちの視線の先、校庭の中心から、それは現れる。

陽炎のように空間を歪めていたに過ぎなかった青いうずが、ここにきて肥大化。
瞬く間に、校舎をも覆い尽くすほどのサイズになって、辺りの景色をどんどん歪めていく。


ノハ;゚听)「な、なんじゃこりゃああああああああああああああああ!!」

(;'A`)「っ……なんだ、これ、何か来る!?」

( ^ω^)「む…?」

数人の生徒は、地脈の乱れによって何かに気付いた。
それは、あの青いうずから、というより、その真下だ、何かが這い上がってくる感覚。


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:47:45.28 ID:pFGjCWJt0

( ^ω^)「……異変かお? クー」

川 ゚ -゚)「ええ、異変みたいですね主さま」

それを、少し離れた位置から二人は見据える。
一人は待ち望んでいたかのように、一人は彼に従うように。

川 ゚ -゚)「チャンスですよ、これで何かできれば……ホライゾン家に戻れます」

( ^ω^)「もち、分かってるお」

ξ゚听)ξ「……え?」

呆然としながらも、二人の会話が耳に入ってきたツンは、己が耳をも疑った。
今、自分を支えている彼女は何と言ったのか。

ホライゾン家と言えば、何百年も昔に、隕石衝突の危機からこの星を救った英雄にして、
今もその栄誉が称えられる、名家のうちの名家ではなかったか。

ξ;゚听)ξ「ね、ねえ、ちょっと、今なんて」

ツンは尋ねようと顔を上げた、しかしそれをかき消すような騒ぎが窓際で起きる。
何かが、うずの下から這い上がってきた、声はそう言っている。


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:49:07.49 ID:pFGjCWJt0

ノハ;゚听)「なななな、なんだあの馬鹿みたいな魔力はぁあああああああ!??!?」

(;'A`)(魔力? いや、違う……あれはそういう類の物じゃない)

這い上がってきたのは、青く、そして大きな石だった。
石は淡い輝きを放ちながら宙に浮かび、先のうずを吸い込んでいく。

かに見えたが、実際は違う。

石の周りの空間そのものが、吸い寄せられ、消えているのだ。

それも、その速度は一秒ごとに増していく。
青いうずの陽炎に包まれていた世界が、今度は黒に染まっていく。


世界が、侵食されていく―――――。





こうして、その日。





彼等が住むヴィップ国のとある学校の生徒たちは "この時空間" より消失した。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 07:54:48.63 ID:pFGjCWJt0
さるってる間に朝の空気によって僕の意識も消失寸前。
それにしても暑い日だな! お客様の中に冷房さま、冷房さまはいらっしゃいませんか!!
暑いと体がちくちくするんだよね、しかも地味に痛い、痛っ、痛いっ、かゆうま。
それにしたって眠い、眠いよパトラッシュ、というわけで切のいい所でちょっと寝ます。
ZZZ、といった感じの擬音と共に。

あと、しつこいようですが、これは妄想なので悪しからず。
あと、居ないとは思いますが、これをまとめようと思う殊勝な方、おやめになってぇええええ!!

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:49:38.35 ID:pFGjCWJt0
まだだけど、おまけ。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:50:18.48 ID:pFGjCWJt0


    【 シィ先生に感謝するでしゅ! 一次元目 】


(*゚∀゚)「シィ先生ぇい! 教えてくりゃれーーー!!」

(*゚ー゚)「前から思っていたのですが、あなた自分も教員であるって自覚あります?
    それと何でしょう?」


(*゚∀゚)「普通に物を訪ねただけなのにこの扱い……! やばい何かに目覚めそうだよ!目覚めそうだよ!
    大事な事なので二回言いました、それとホライゾン家って何さ? 」


(*゚ー゚)「それを語るにはまず、VISTAにおける二度の悪夢についてを語る必要がありますね、
    一つ目はかつての戦争、第20次〜24次世界大戦において目覚ましい活躍を見せたことが始点です」

(*゚∀゚)「おk、何事も無かったようにスルー把握
    それで詰まりあれだね、戦争における英雄って奴だね」

(*゚ー゚)「ええ、中には戦闘機1000機、戦車320両、母艦78隻を沈めるという、
    化物じみた記録を持つ事でも知られていますね、教科書にも載ってます」

(*゚∀゚)「たまに生徒が言ってる奴だな、覚えるときは、センダ・ミツオ・ナハナハ」


102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:51:37.58 ID:pFGjCWJt0

(*゚ー゚)「そして次が、VC,850'年頃に起きた悪夢です、隕石によって地球が滅びるという物でした、
    8200年を境に始まった、宇宙開発期において偶然発見された物ですね、以下は表にしましょう」


8169年 7月16日 :人類は初めて月に到着、うさぎと一緒に餅をつく映像が全国に流れる。(真偽が問われる)

8243年 7月10日 :宇宙開発スタート。(毎年、宇宙戦争と間違える生徒が居る)

8497年 9月4日 :軌道エレベーター(きぬ)、宇宙ステーション(オービタルリング)が完成
            それを記念したお祭りが毎年行われている。おにぎりわっしょいのAAが流行る。

8501年 10月7日  :隕石襲来を検知され対策が練られる、おにぎりわっしょいのAAが完全に廃れる。

8502年 1月1日  :ホライゾン家が造り上げた機動兵器、セブンススコアの活躍もあり、隕石の爆破に成功。
             日の出前に始まったこの作戦(隕石から地球を護り隊)は、初日の出と共に終焉した事もあり、
             後にこの事件は映画化され、大ヒットして全米が泣いた。タイトルは「アルマゲズドン」


(*゚ー゚)「大事な部分を要約するとこんな感じになりますね」

(*゚∀゚)「おにぎりわっしょいはそんなに重要なのかしら、しらしら。
    でもあれ、ちょっと待ってよしぃ、セブンスコアってなんじゃらほい?」

(*゚ー゚)「超高密度光子力結晶体、メタハラによって動く人型機械の事です」

(*゚∀゚)「ち、ち、ちょち…こう…ど? なにそれこわい」


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:52:58.99 ID:pFGjCWJt0

(*゚ー゚)「ガソリン要らずのすっげぇエンジンの事です、なのでどこまでも走れます、
    しかし大変貴重な物で、世界に七つしか存在しないと言われていますね。
    ゆえに、それを使用した機械の事をセブンスコアと呼びます」

(*゚∀゚)「わおキャシィ、そいいつはグレイトフルサウンドだ!さて気になるお値段は!?
    ちなみにそいつはOOPとは違うのか?」

(*゚ー゚)「ダブルオーは違います、あれはA級の……
    いえ、とにかくすっげぇ古代の遺物ですので、単純なオーパーツですよ」

(*゚∀゚)「ふーん」

(*゚ー゚)「ところで、その無知加減は説明のためにわざとなんですよね?
    ぜんぶ素だとか言われましたら、どうしたものかと」

(*゚∀゚)「あー! そうそう、んで今はどうなってるんだっけ!? 宇宙開発は進んでーー!?」

(*゚ー゚)「分かりました、では徹底的に教えましょう」

(*゚∀゚)「……いえ、触りだけで…」


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:54:13.60 ID:pFGjCWJt0

8700年頃になると、オービタルリングでの生活も確固たる物となっていき。
平穏なまま、世紀は9000年、アイセブンへと変わっていく。

しかし、近年は文化による問題が勃発している。


(*゚ー゚)「天冴(あまつさえ)信仰はご存知ですね?」


(*゚∀゚)「太陽と月を神、星をその眷属としたやつだろ? シベリア方面の山奥に住んでて、
    そいつらは上に居る人間ほど神に近い、詰まりは偉いって風習がある、馬鹿と煙はなんとやらやねぇ」

(*゚ー゚)「ええ、それで実は宇宙開発当初から彼らによる反発があったのですが、ここに来て態度を変えてきました、
    要約すれば自分等に、そこに住むべき者を選抜させろと言っています、天人思考とでも言うのでしょうかね」

(*゚∀゚)「面倒なやっちゃなー、んでどうしてんの?」

(*゚ー゚)「今のところは、行動には出ていないため国家間での懸念事項に収まっています」

(*゚∀゚)「んんー、なんか嫌なフラグ満載だなー」


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:55:32.83 ID:pFGjCWJt0

(*゚ー゚)「ええ、ですがそれについてはもっと嫌な話があります」

(*゚∀゚)「なにさー?」

(*゚ー゚)「天冴と犬猿の仲である、マタヨシ教が彼らに敵対意識を強めている事です、
    彼らは人類平等説を唱えているため、思い切り意見が合わないのです」

(*゚∀゚)「マタヨシの方が今じゃどこにでも広まってるしなぁ、
    んでも、それって昔からだろ? 何で問題なんだ?」

(*゚ー゚)「確かに、マタヨシは戦後の世界恐慌などにおいて民衆を支えた物として知られますが、
    その実在、信仰心の高さからか暴力的な面も多かったと伝えられています、
    異端を排除したり、自分等を有利にするために事実を捻じ曲げたり、様々です」

(*゚∀゚)「……おいおい、大丈夫かよそれ」

(*゚ー゚)「まあ、それも一部だったみたいですけどね、それで……」

『ぶるぁああああああああああああああああああああ』

(*゚ー゚)「あ、休み時間おわりですね」

(*゚∀゚)「む、いいとこだったのに」

(*゚ー゚)「それでは、また、二次元目にお会いしましょう」

(*゚∀゚)「あばよーーー!!」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:57:26.84 ID:pFGjCWJt0

【 ( ・∀・)「あ、2年C組ー!?」 「モララー先生ーーー、ちゃんと授業しろ!!」 】

 ブーン系はAAだけ出せば、紹介せんでも保管してくれるから楽だよね、な人物設定資料。
 (ネタバレもあるよ! でもまだ加減しているよ!)



( ・∀・) モララー 29歳 3月12日生まれ B型
     歴史教師であるのと同時に、ブーンのクラスの担任でもある。
     あまりにも勉学面が適当なため、色々文句を言われているが、
     彼の優れた面は戦技指導にあるため、文句以上は出ない。



( ^ω^)ブーン、17歳 5月5日生まれ、地球の学校にやってきて二年目。
      彼の家系には隕石の爆破から、かつての戦争の英雄までが居て、父も混迷するVIPをまとめた凄い人。
      ほんとうはそれを自慢に思っているが、父親からそんな格好悪いことするな、と言われ、勘当同然で追い出された。
      そして、何か偉大なことを成し遂げたら帰ってきてもいいと言われ、目下思索中だけどそれも隠している。


川 ゚ -゚) クー 年齢不詳 、ブーンと同学年で同棲中。
     頭脳も運動も人並み異常だが、人並みに合わせている。人当たりもよくブーン以外には愛想がいい。
     ホライゾン一家のメイドであり、ブーンの友人を装いながら彼を守護している万能メイド。
     OOP(ダブルオーパーツ)と呼ばれる武装と、セブンスコアの名を冠する機動兵器を所有する。

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/16(木) 18:58:59.30 ID:pFGjCWJt0

ξ゚听)ξ ツン 17歳 7月7日生まれ ブーンと同じクラス エロ担当
     いきなり母親が居なくなって困惑中、金髪巨乳に進化する可能性を秘めている。ブーン曰く、      
     「制服のきめ細かい肌触りと、その奥にあるブラの硬質感、しかしそれがあって尚も余りある、
      柔らかい肉質的な感触、しかし反発する弾力が、美しさを決して損なわせない、
      それを制服のしわごと握りながら、指を真ん中に押し込んで挟みこむ感覚はまさに一級品、
      ただ柔らかいだけでは得られない、確かな揉み応え、嗚呼、この時間が永遠に続けばいいのにおっぱい」


( ゚∀゚) ジョルジュ 16歳 3月16日生まれ 
     おっぱい大好き、エロに関してのみブーンと仲良し。


lw´‐ _‐ノv シュー 17歳 12月28日生まれ
       このクラスの委員長、何を考えているのか分からない人。
       でも実は……。


( ФωФ) ロマネスク ??歳 樫の月生まれ
       虎の獣人、ぜんしん毛むくじゃらで耳まで生えてる。いや耳は皆あるけど。
       鋭い爪を持ち、野性的な風貌をしているが、どちらかというと知性派。



ここまで!! あとはそのうち本編に戻るでしゅ!
ミーに感謝するでしゅ!!

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 05:16:05.57 ID:Q1Jw/Tf70

校舎の一端から広がりを見せ始めた漆黒の空間は、そのまま辺りの景色に虫食い穴を開けるように広がった。
空と街が見えていたはずの世界は、生徒たちが見守る目の前で消えていく。

それはあたかも、世界の終わりだった。
生徒たちは突然の状況に混乱し、あるいは絶望し、嘆きの声をあげる。

「嘘だろ……今日は見たいテレビがあるのに…!」
「帰りにゲーセン行こうと思ってたのに…!!」

从#゚∀从「おいお前等どけ! 見えねえじゃねぇか!」

「うおすげっ!! なにあれなにあれ!! なんかクライマックスっぽい!!」
「ラスボスとの最終決戦ごっことかできそうだな」

川;゚ -゚)「……あ、ぁー…!!」

( ^ω^)「どうしたお?」


147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 05:17:14.16 ID:Q1Jw/Tf70

川;゚ -゚)「……どうしよう、実は家の鍵閉め忘れたから早く帰ろうと思ってたのに…!」

(;^ω^)「えええーーーーっ、そりゃ不味いおクー!! 具体的には何がまずいのか分からないけど、
       とりあえず驚くべきかな、という優しさを込めて驚きますお、ええええーーーっ!!」

川 ゚ -゚)「はっきりとは言い辛いんですけど、めっちゃうざい」

( ^ω^)「超ストレート、ぞくぞくした、でもクーが粗相するなんて珍しいお」

川 ゚ -゚)「今週は、あうっ、と転んで頭をこつん、とするようなドジっ子メイドで行こうと思いまして」

( ^ω^)「想像つかねぇ……」

「もう我慢できねぇ、外に遊びに行こうぜ!!」
「よっしゃ、行こうじぇ!!」

「「わあああああああああああああああああああああああい」」

まさに阿鼻叫喚、生徒たちはみな怯え、泣き叫び、この事態がいかに深刻であるかを物語る。
果たしてこれは何なのか、これからどうなってしまうのか、不安は尽きない。


148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 05:19:07.95 ID:Q1Jw/Tf70

「「イィィィッッッヤッッホォオオオオオオオゥ!!!」」

尽きないのだ。


('A`)「ヒート、どう?」

ノパ听)「うーん、駄目みたいだぞぉ、完全に繋がりが消えてる」

('A`)(……地脈は途絶え、外に連絡も遮断されている、か…理由はどうあれ空間隔離されたのは間違いない、
   でも、それならどうしてヒートは平然としているんだ? 精霊が大地との繋がりを経たれて平気な筈は…)

('A`)「考えられるとしたら…」

( ФωФ)「あの石か」

('A`)「うん、何かのエネルギー物質だとは思うんだけど、それにしたって出力が異常だ、
   あんなの見たことないぞ……ロマ猫、そっちはどう? 何か感じた?」

問われた寡黙な獣人は、しばし窓の外を見据えて目を閉じる。
そして深呼吸するように、大きく息を吐き、髭と耳をふるわせた。


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 05:21:19.14 ID:Q1Jw/Tf70

( ФωФ)「しいて言うなら、空気」

('A`)「それって、どういう意味?」

( ФωФ)「この辺りの空間全てが、別物になっている」

(;'A`)「……まさか、隔離じゃなくて転移されたって言うの?」

( ФωФ)「分からん、だが今、この空間は一つの庭園と化しているようだ」

そこまで聞いて、ドクオは思う。そんな事がありえるのかと。
何故ならロマネスクは、庭園と言ったのだ、閉鎖を意味するような箱庭ではなく。

その意味をそのまま解釈するなら、大地の活力とも言える地脈が存在し、
この空間は今、一つの世界として成り立っていると、そう言っているのだ。

確かにそう考えれば、断絶された世界でない以上、地脈に活かされる精霊とて問題なく動けるだろう。


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 05:23:31.22 ID:Q1Jw/Tf70

だが、そんな事があるのだろうか、少なくとも目の前でこの敷地は閉ざされている、
仮にこの空間そのものを転移したとして、それは電線の一区画を切り取るようなものだ、有り得ない。

と、そこで先の言葉が脳裏をよぎった。
待てよ、と続き、

('A`)「……さっき、別物って言った?」

ロマネスクは目を伏せ、静かに頷く。
ドクオは更に視線を外し、壁にかけられた時計を見る。

時計の針は、頂点から動かない。

まるで写真のように、切り取られた世界。


(;'A`)「………隔離でも、転移でもない、まさかこれって……」


その時、再び窓際から歓声とも悲鳴とも取れる声が沸いた。


154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:01:03.79 ID:Q1Jw/Tf70

。。。。。。。


「なにあれ!! なにあれ!?」
「人!? 人がーーー!!?」

グラウンドの中心にある、青い石の周りに集っていた生徒たちは、
今再び目の前で起きた異変に対し、とても分かり易い驚きの声を上げる。

その現場から、円状に距離を取る生徒たちの中心には、倒れこむ人の姿があった。

ミメ Д 彡「……ぅ…」

その姿は満身創痍、体のいたる所に傷を負い、衣服はまっ赤に染まっている。
あまりにもただならぬ雰囲気に、誰もが動けなかった。

と、そんな集団へとのんきに歩み寄る姿があった。

(*゚∀゚)「何してんだお前らー」

「あ! つっちー! いい所に!!」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:02:21.85 ID:Q1Jw/Tf70

「ちょっと来て!! ここに誰か倒れてござるの巻!!」

(*゚∀゚)「あー?」

何処か緊張感に欠ける返事をしつつ、その体育教師は人ごみの中心へと向かう。
そして、その先にあった光景を見ると、流石に驚いた様子で、

(*゚∀゚)「うわっ……」

身を引いた。

(*゚∀゚)「何だこれ、どういう状況だよ……お前らがやったの?」

彼女はすごく嫌そうな顔をしながら、指をさして言った。
周囲に並ぶ頭が、一斉に横に振られる。

「さっきね、またあの変な青いうずが出てきたんだけど、そしたら今度は人の手が生えてさ!」

「そうそう! それでこう、ズズズ、って感じで飛び出してきたんだよ!!」

(*゚∀゚)「つまり、あの石から沸いて出てきたのか?」


156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:04:22.85 ID:Q1Jw/Tf70

すると、今度は縦に首が振られ、教師はしばし考える素振りを見せた。
生徒たちは、そんな姿に焦れったさを覚えたのか、何とかするように懇願する。

(*゚∀゚)「んな事言ってもなぁー……」

「つっちー頼りないー!!」

ツーは後ろ手に頭をかきながら、明後日の方向を向いた。

(*゚∀゚)(参ったなぁ……どういうこったよこれ)

何から何まであからさまな不審人物を前に、彼女は戸惑っていた。
もちろん、それは傷だらけな事や、あの血塗れな姿であるのもある、

だがそれ以上に気になるのは、地に伏せる男の着ている衣服に刻まれた紋章。

彼女とて歴史は詳しいわけではないが、流石にこれくらいの事は知っている。
それは今より遥か昔、帝国と呼ばれたラウンジの掲げていた紋章、その物だったのだ。


157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:06:59.64 ID:Q1Jw/Tf70

(*゚∀゚)(……どうなってんだ、あの変てこな空といい、この人間といい……)

だが、今は自分が困惑している場合ではない、
彼女はそう思い直し、周りの生徒に校舎へ戻るよう促した。

だが、そんな時。
二人組みの生徒がその倒れる男へと近づいていく。
そして、すぐ側にまでやってくると、心配そうに声をかけた。

「あのぉ……大丈夫ですか〜?」
「ね、ねえ、よそうよ、危ないってば……」

(*゚∀゚)「あ、おーい、お前ら」

大人しそうな女生徒だった、その優しさはいい事だが、時と場合がある、
ツーは慌てて二人を止めるべく、静止の声をかけようとして、


「きゃ!?」


158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:09:22.27 ID:Q1Jw/Tf70

ミ#゚Д゚彡「ッ!!!!!」

突然、まるで機を伺っていたかのように、男が面を上げ、
そのまま両手を地面に叩きつけ、その反動で勢い良く立ち上がった。

ミ#゚Д゚彡「おのれ……貴様等なぞに…!!」

「ひっ、ちが、私はただ…」

そして男は手にした剣を正面に、切っ先を怯える女生徒に向けた。

同時に、今度は本物の悲鳴が混じったどよめきが起こる。

何の変哲もない直刃の剣は、よく見れば刃こぼれが酷く、ノコギリ状になっており、
切れ間にはいくつもの布きれや赤黒い塊が、所々に付着していた。

その薄汚れた姿は、彼女等にとってあまりにも異質だった。
故に、ろくに口を開くこともできず、完全にすくみあがってしまう。

ミ;゚Д゚彡「…? な、民間人か…?」


160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:11:33.26 ID:Q1Jw/Tf70

(*゚∀゚)「まてやこんにゃろ……!!」

そこへ、弾かれるように飛び出したツーが、両者の間に割って入る。
だが、それよりも先に男は何かに気付いたのか、向けた切っ先を下ろし、

ミ;゚Д゚彡「何だ………どこだ、ここは…?」

酷くうろたえながら、周囲を見渡した。
そうこうする間に、騒ぎを聞きつけた生徒や教師が、次々に集まってくる。

グラウンドは、すぐに全校生徒の視線が注がれる舞台となった。

(*゚∀゚)「…ありゃ?」

ミ;゚Д゚彡「どうなっている…? 我は、今まで波動の間に……いや、それより奴等は…!?」

「……あ、あの……?」


161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:15:13.75 ID:Q1Jw/Tf70

訳も分からず、と言った様子で立ちすくむ男に、やがて女生徒はおそるおそる問いかける。
すると、男は先ほどの様子からは一変し、剣の切っ先は地面に埋め、小さく会釈をし、

ミメ゚Д゚彡「先ほどは失礼した……」

彼はまさに役者に相応しい素振りで姿勢を正し、凛とした声を張り上げ、

ミメ゚Д゚彡「我が名はフッサール卿、"地底都市ニューソク"が誇る波動石の守護者――――円卓の騎士が一人也」

はっきりと、そう言い放ち。
ある者は固まり、ある者は疑問符を浮かべた。

だが、そんな中に、明確な反応をすぐに示す者も居た。

川;゚ -゚)(何!?)

ξ;゚听)ξ「えっ……?」

(*゚ー゚)「……!」

彼女等は一様に、フッサールと名乗った男の放った単語を内心にて反復する。
何故ならば、この世界にその名を冠するものはたった一つしか無いからだ。


162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 07:18:29.04 ID:Q1Jw/Tf70

その名は地底都市。

聞けば、全ての人が連想するのはラウンジである。
だが、一つだけ、その歴史についてを追及する際、どうしても衝突する問題点があった。

誰もが、疑問に思う。

同時に、そういう物なのだと、理解するしかない。

納得するしかなかった。

だがしかし、彼は言った、ニューソクと。




一つ目の世界は、真実の歴史。

開幕を知らせるように、校舎からは高らかに始業のベルが鳴り響く。
そして今、その幕が開けられた。


202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:42:53.12 ID:Q1Jw/Tf70



「なあ、今、何だって…?」
「騎士とか、え? 騎士って言った?」

今しがた宣言された言葉に、やや遅れて周囲の生徒たちが反応を示した。
更に男の衣服には、よく見れば各所に鈍い輝きを放つ装甲が存在し、その言葉の信憑性を高めている。

そして、次の瞬間。

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」」

巻き上がったのは大歓声。
あまりにも唐突なその反応に、不意を突かれたフッサールはびくりと体を震わせた。
しかし、そんな事は気にも留めず、生徒たちは目をキラキラ輝かせ、声を張り上げ、

「すっげー! かっこいいーーー!!」
「円卓の騎士って何!? おいしいの!?」
「ねえ、その着てるのって特殊兵装か何か?」
「剣ぼろぼろだけど、何? 戦時中?」

質問攻めを始めた。


204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:44:52.47 ID:Q1Jw/Tf70

こうしてあっちへこっちへ疑問符が飛び交う中。
その中心で、しばし呆気に取られていたフッサールだったが、いつしか額に青筋を浮かべ、

ミ# Д 彡「……ご」

「おろ?」

ミ#゚Д゚彡「ごちゃごちゃうるせえええええええええええええええええええええ!!!!」

あまりの鬱陶しさに我慢できなくなったのか、怒りをあらわに剣を引き抜いた。
続けてなぎ払うように振りまわすと、生徒たちがわーと悲鳴をあげて、蜂の子素用に散らすように逃げ惑う。

ミ#゚Д゚彡「なんだ手前ら、人が下手に出てればこの野郎、舐めとんのかァ!! 」

「大変だ! 騎士様がお怒りになられたぞーーー!!」

「うわーーーー!!」

ミ#゚Д゚彡「待てごるぁーーーーーーーーーー」

「総員、戦略的撤退だ!! 繰り返す、戦略的撤退せよーーーーーー」

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:49:00.77 ID:Q1Jw/Tf70

(*゚∀゚)「はいはい、どうどうどう」

しかし、そこへツーが再び割り込み、その剣を受け止めた。
剣を止めたのは、黒色の紐つきナイフ。そのサイズ差を見れば考えられない事だが、
事実として、剣とナイフは両者の中間にて金属音を周囲にかち鳴らし、静止する。

ミ;゚Д゚彡「……ッ!?」

(*゚∀゚)「いやすまんね、うちの子等はちょっと自制心が足りなくてさあ」

ミ;゚Д゚彡(軽い…? 何だこの手応えの無さは!?)

当然ながら、本気で切りかかっていた訳ではない。
だがそれでも、こうまで容易く止められたことにフッサールは驚いた。

更に言えば、衝突時に起こるはずの衝撃がまるで無かった、
むしろ、上質な羽毛に押し当てたかのような、奇妙な弾力感だけが手に残る。

(*゚∀゚)「…? なんだ、止められたのが不思議なん?」


208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:51:31.59 ID:Q1Jw/Tf70

しかも相手には、特別な変化は見られない。

額を、冷や汗がつたうのを感じた。
それと同時に、

ミ; Д 彡「う……」

激しい眩暈が襲い掛かり、全身の感覚がなくっていく。
既に限界に達していたにも関わらず、ついカッとなって無理をしたせいだった。
そして、そのままフッサールは再び地面に倒れ伏せる。

(*゚∀゚)「ありゃりゃ……」

続けて、歓声。

「うわああああああああああああああああ!」
「つっちーすげぇ!! キルった! キルったでぇ!!」
「騎士様をたった一度の斬り合いで仕留めてもうたーーーーー」
「見えなかった! 殺る瞬間が、あまりの速さに見えなかったでござる!!」

(;*゚∀゚)「殺ってないよおばかさん共ッ!! いいからこいつを運んでやれ!!」


210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:54:54.05 ID:Q1Jw/Tf70




。。。。。。


そして、時は戻り。
フッサールがぶち切れるより少しだけ前へ。

とある二人は、そんな騒ぎを遠巻きに眺めていた。


川 ゚ -゚)「…何故こうまで大興奮なんだ?」

( ^ω^)「そりゃあーた、浪漫だからだお、こんな不思議な状況の連続を前にして、
       どうして平静でいられましょうかと、そう、これが思春期、思春期ロマンス街道まっしぐらで」

(;-Д-)「頼むから自重してくれ思春期」

そんな大盛り上がりのサイドエリアにて、彼等を見守る二人の側へ、
教師が頭を抱えてやってきて、ブーンは空気椅子の姿勢のまま彼を出迎えた。


212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/17(金) 22:58:02.73 ID:Q1Jw/Tf70

( ^ω^)「おやギコ先生、悩み事ですかお?」

(,,゚Д゚)「ああ、現在進行形でな……生徒の順応性ってレベルの下げ方について…」

( ^ω^)「まあまあ、泣き叫ぶよりはいいじゃないですかお」

(,,゚Д゚)「そっちのがまだマシだっての……つーか、お前はなんでこんなとこで空気椅子してんだ?」

川 ゚ -゚)「先生、目障りでしたらどうぞ遠慮なく仰ってくださいね」

(;^ω^)「ああっ、説明を先にするか突っ込みを先にするか戸惑う…! 戸惑うよッ…!!」

川 ゚ -゚)「彼は今、ぜんぜん目立てないから不貞腐れているのです」

(,,゚Д゚)「不貞腐れると空気椅子するのか……んで、お前は混ざらないのか?」

( ´ω`)「迷ってる間にどっちもできなかったお……
       あ、それなんですが、もう聞きましたかお? さっきの地下がどうとかって」

(,,゚Д゚)「ああ、それがどうかしたか?」


227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 04:07:59.80 ID:vzzdXyMF0
AX-EL-改

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 05:50:18.42 ID:vzzdXyMF0

( ^ω^)「それで思い出したんですけおー、地下都市ラウンジは、
       共和国に追い詰められた人間が逃げ込んだ場所、でしたおね?」

ほう、とギコは目つきを変え、ブーンの言葉に耳を傾ける。

何故なら、確かにブーンは目立ちたがりで、アホな事ばかりしてるので有名ではあるが、
その見た目よりはずっと利口である事を、家庭の事情も含めて、ギコは知っているからだ。

故に、そうだな、と続け。

(,,゚Д゚)「そして共和国はラウンジの後を追い、打ち倒した」

けれど、とクーが繋ぎ。

川 ゚ -゚)「にも関わらずラウンジは地殻変動によって崩壊した、と伝えられ、
     現在は、その地下都市は遺跡としてその痕跡だけを残している」

もう一度、ギコが問う。

(,,゚Д゚)「正解だ、何かおかしい所でも?」


230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 05:51:49.63 ID:vzzdXyMF0

( ^ω^)「んー……どうして、共和国は地下にまで追いかけたんだろう、って」

(,,゚Д゚)「数百年分の帝国への怨みゆえか、反撃を恐れたか、そう解釈されるのが多いな」

( ^ω^)「でも、史実においてラウンジは地下に逃げた、と言われてるお、
       軍を下げたでも篭城したでもなく、明確に逃げたと……
       それって、白旗を上げてたって事じゃないのかお?」

(,,゚Д゚)「屁理屈だな、相手が文字である以上、そんな物は見方によっていくらでも変わる」

( ^ω^)「それがそうとも言い切れないお、少なくとも、地下に潜るって時点で、
       ラウンジは既にその戦力と、皇帝を失っていた可能性があるからだお」

(,,゚Д゚)「何故そう思う?」

( ^ω^)「単刀直入に言いますと、ラウンジ皇帝は天冴教徒だったかもしれないから、ですお」

天冴信仰を行っている民族は、選民思考を文化とし、異常なまでに階級というものに執着している。
それは自分より下に居る者を見下し、奴隷の如く扱うという風習を持っていたからだ。


231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 05:55:26.74 ID:vzzdXyMF0

それは正に、帝王制の縮図。あるいは起源とも取れる。
つまり、高いところに住んでいた人間が地下に逃げることは考えにくい、という話だ。

(,,゚Д゚)「そうかな? ただの強欲な人間ってだけではないのか?」

( ´ω`)「しかし、その前時代は文明時代だったんですお、だから王政などは存在しなかった、
      なのに帝国の名を掲げ、民を虐げ、全てを支配化に置こうとしたグリードはどこから生まれたのか、
      そして…ああシリアスってつまんないお…上流階級への執着は、元々持っていた宗教的観点だったのでは」

(,,゚Д゚)「もうちょっと我慢しろ、まあ、そこまでは分かる、だがそれも一説に過ぎないのではないか?
     何か物的に、いや、歴史においてそれを証明できる物はあるのか?」

ギコは、まるで試すように問いかける。
するとブーンは、ふと視線をそらし、

( ^ω^)「あ……なんか、向こうは楽しそうだお…」

響いてくる怒声に、完全に意識を奪われていた。
それを見て、駄目だこいつと、ギコはがくりと頭を下げる。


232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 05:58:15.59 ID:vzzdXyMF0

( ^ω^)「証明できるもんなんて、あるわけ無いお」

しかし、そっぽ向いたままブーンは呟き。

( ^ω^)「そんなのがあれば、とうの昔に知られている筈だお」

それも正解だと、ギコは思う。
ここまでは誰もが思いつく事だからだ。

しかし、実は一つだけある。

形として、そう解釈できるだけのものが、確かに存在する。

(,,゚Д゚)(さて、こいつはどこまで理解しているのかね?)

単純であるが故に、それは深く追求しなければ見えてこない、故にそれを知るとすれば、
よほど酔狂な歴史好きか、学者しか知らないような物だが、それでも気付いているのだろうか。


233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 06:00:48.83 ID:vzzdXyMF0

ギコは、沸いてくる好奇心に胸を躍らせていた。

ブーンという少年は、まあ、アホである事には間違いは無いが、
その実、どの程度の能力なのか、という点においては判断がつき難い性質だ。

原因は恐らく、家柄を隠さなければならないという一点。

自覚の有無はともかくとして、ひけらかすのを抑えるのと同時に、自分をも抑えている節がある。
だから、こういった条件下において、何かしでかすのではないかと期待してしまう。
ミーハーだとは思うが、自分とてまだ若い身、その名を前にして気にかけずには入られない。

そして今こうして異変が起き、この場に、かの英雄一家ホライゾンの児が存在する。

これから起こる何かに期待してしまうのは、
(,,゚Д゚)(しょうがないよなぁ?)


234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 06:03:26.57 ID:vzzdXyMF0

けれど、そんな教師の思いなど知る由もなく。
ブーンは両足を震わせながら、空気椅子の姿勢を必死に維持しつつ、

(;^ω^)「で、でも…!」

川 ゚ -゚)「先生、突っ込んだら負けですよ、相手に止め時を与えるだけです」

(,,゚Д゚)「ああ、分かってるから安心しろ」

(;゚ω゚)「くそっ、くそっ……こうなったら絶対突っ込まれるまでやめねぇ…!!」

(,,゚Д゚)「んで、でも何だ?」

(;゚ω゚)「で、ででででも、ほら、あれ、あれあるじゃないですかお、ラウンジのもんしょー、
      あれってこう、大きな丸とブーメランみたいな形で構成されてるますおじゃないですか」

(;゚Д゚)「……もう許してやれば?」

川 ゚ -゚)「駄目です、私の生きがいなんで」


235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 06:06:37.39 ID:vzzdXyMF0

彼の辛そうな姿を見てると、ぞくぞくするんです。
クーはどこか恍惚の表情を浮かべ、ほう、と息を漏らし、うつろな目で囁く。

(;゚Д゚)(病んでるな……)

(;゚ω゚)「あれほら、あれが、ほら! あれってなんか、何だったかな!
      そう、太陽と! 月! それを現してる気がするってばっちゃが言ってた!!
      ってああっ、これやばいやばい、攣るッ! 足がつる! つります!!」

川*゚ -゚)「大丈夫ですよご主人様……その時は私が介抱してさしあげます、
     その激痛走るおみ足に触れ、苦痛に歪める顔をもっと引き攣らせてみせます」

( ;ω;)「見せんでいいから突っ込んで!! 後生ですから!! 何してんのとか、あんた馬鹿ぁ? とか、
       そんな一言があればいいだけだったのに、何で今回は無いの? ツンは!? ねえツンちゃんは!?
       いつもの地味で面白みの無い突込みが今ではこんなに恋しいよ! ヘルプツンちゃん!!」

川*゚ -゚)「……あぁ…」

(,,゚Д゚)「ま、がんばれ」

(;゚ω゚)「あれあれ先生! ねえ先生!? あれ、ちょっと何処行っちゃうの!?
      あ、ちょっと本当に行かないで!! スルーは嫌!! スルーは嫌ぁ!!」


236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 06:09:45.90 ID:vzzdXyMF0

ひとまずは満足のいく答えを得られたかのか、
ギコはやたら騒がしいブーンに背を向け、校舎に向かって歩き出した。

そろそろ、浮き足立ってる生徒たちも冷静になる頃合だろう。
ひとまずは状況を整理せねばならない、まず向かうべきは、

(,,゚Д゚)(さっきの血塗れ男のとこか、それとも……)

まあ、こっちが妥当だな、と思い。
更に大きく一歩を踏み出す。

探すべき人影は、機械腕のサイボーグ娘シィ。
その理由は単純明快。

(,,-Д゚)(ここに居る中で、たぶん一番まともそうだからねぇ、困ったことに)

自分も含めてだが、そう思い、頬をかいた。



237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 06:11:44.28 ID:vzzdXyMF0

。。。。。




青い霧のようなもやを放つのは、グラウンドの宙に漂う、青い大きな石。
その物体は今も、視認できるほどのエネルギーを循環させながら淡く輝く。

と、そこで一つの変化がおきた。

霧は突如として不安定な揺らぎを見せ始め、ついにはうずを巻き始める。

三度目の異変が、起きようとしていた。




。。。。。



269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 20:52:53.56 ID:vzzdXyMF0

(*゚ー゚)「そういう見方も確かにあります、まあ、それでも想像の域を出ませんが、
    他にも、帝国の所在地は、標高が高い位置に建造されていたなど、プラス要素は他にもありますね」

(,,゚Д゚)「ああ、けどそこで大事なのは、その疑問点を知ってるから凄いんじゃなく、
     ちゃんと知っているか、又は何故知っているか、だ」

(*゚ー゚)「そうですね、一般的な生徒にしてみれば、全く不必要な知識ですし、
    やはり行動原理は不明ですが、探究心と知能は決して低くは無いと判断できます」

特に探究心は大事な物だ、知識はいくらあっても困る物ではない。

とある偉人も、著書にてこう書いている。

「天は人の上に人を作らず」

よく勘違いされがちだが、これは平等であると説かれた物ではなく、むしろその逆だ、
だからこそよく学び、見識を深めよという、文字通り、学問をすすめる言葉である。

しかし先の言葉、原理が不明とはまた、妙な表現をするものだと、ギコは笑った。


271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 20:55:05.99 ID:vzzdXyMF0

(*゚ー゚)「どうか?」

(,,゚Д゚)「いんや、やっぱシィは可愛いなぁと思ってさ」

(*゚ー゚)「からかわないでください」

(,,゚Д゚)「結構、マジなんだけどなぁ俺」

/ ,' 3 「なんじゃ、この非常時だと言うのに発情期かのギコ先生?」

(;゚Д゚)「げっ!? じ、校長!」

/ ,' 3 「ふん、げとじが余計じゃ、
    …それでシィ、この状況について何か分かったかの?」

(*゚ー゚)「はい、一部生徒たちの協力もありまして、先ほどイメージ化も済んでいます」

(,,゚Д゚)「んで、これがその結論だそうですよと」

背もたれにへそを向けて座りながら、ギコは手にした紙面を荒巻へと手渡した。
老眼鏡居るかい? という問いにも答えず、しばし荒巻は凝視する。


273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 20:57:08.14 ID:vzzdXyMF0

/ ,' 3 「ふむ……つまり、わし等は時空間からはみだしてしまった訳じゃな?」

(*゚ー゚)「はい、恐らく現実の時間は今も、私たちの存在を消したまま、何事も無く進んでいる筈です」

(,,゚Д゚)「時間に置き去りにされたってか……? タイムトラベルだなまるで」

(*゚ー゚)「そうですねトラベルも可能でしょう、しかし、ここには既に時間という概念が存在しません、
    この空間は今、平行時空間にて停滞し、膨大なエネルギーによって一つの世界として確立しています」

(,,゚Д゚)「エネルギー…あの石か」

(*゚ー゚)「ええ、つまり例えるなら、この状況は波をかきわけないひょっこりひょうたんワールドですね、」

(;゚Д゚)「分かるような分からんような…」

(*゚ー゚)「……?」

その時、シィが何かを察知した。
小さく疑問符をこぼし、視線は窓の外、グラウンドの方へと向かう。


274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 20:59:18.46 ID:vzzdXyMF0

気のせいか、外からまた生徒が騒いでいる声がした。
何かあったのか? と問いかけると、シィは間髪居れずに答える。

(*゚ー゚)「空間の歪みを検知しました」

(;゚Д゚)「そいつは歪みねぇな、ってあーーーー、あいつら! 何やってんだ!?」

ギコは見るなり叫んだ。
眼下に広がるグラウンドにて、数人の生徒が石に近づいていく。

というか、前を行く誰かに引きずられるように、
それによく見れば、あの先頭を行くのは、あのフッサールとか言う怪我人だった。




。。。。。。。。





(*゚∀゚)「だから待てってのに、怪我人はじっとしてろ!!」

ミ#゚Д゚彡「そうはいかんと言った! 我には成すべき事がある!」


276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 21:02:13.22 ID:vzzdXyMF0

ぐぎぎ、と一進一退の攻防が繰り広げられる中、ギャラリーばかりが続々と増えていく。
誰か手伝え、ツーが叫ぶ。 だが、生徒達はみな面白おかしく見守るばかりで、
若干離れた位置から手をふったり、どっちもがんばれーと間の抜けた応援をしてみたりと、実にやる気が無い。

どうやら、早くもこの状況に飽きてきたらしい。

「んで、右に16歩でたんけんセットを使ってっと……」
「あ!! 馬っ鹿お前!! 右じゃなくて左だ!!」

「え!? アッーーーーー!! レポートしちまったああああああああああああ、
 うわっ、うわっ、なぞのばしょ、から出られねぇ!!!」

「あーあ、オワタ」
「オワタな」

从 ゚∀从「ざまあwwwwww」
「なんだとそこのガキんちょ!!?」

从#゚∀从「ガキ言うな!!」


279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 21:05:07.35 ID:vzzdXyMF0

( <●><●>)「そうですよ、ハインはただ、少しばかり幼児体系で、精神年齢も少し幼くて、
       猫舌で熱い物が食べられなくて、見た目は120%お子様で、あれ?」

从#゚∀从「いい度胸だこの、」

(*゚ー゚)「あなた達、また学校にロケットモンスターなんか持ってきて……没収しますよ?
    そうそう、ところで、先日劇場リンクでナルセウスを数体入手しましたが、欲しい生徒は居ますか?」

( ><)「ああっ、僕欲しいんです!!」
「俺も俺も!!」
「さっすがシィ先生!! あんたは最高の教師やーーーーーー」

群がる生徒達に囲まれて、シィは腕にある拡張コネクタにウィフィと書かれたパーツを装着した。
混迷する状況はここに来て、更にカオスを極めていく。

そんな状況を見ながらギコは思った。

(,,゚Д゚)(慣れるのも飽きるのも早いなぁ、こいつら……)

それとシィ先生、犯罪行為は程々に。


281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 21:08:51.61 ID:vzzdXyMF0

あれ? てんさんの笛を入手とかじゃなくて直接ナルセウスを転送?
そんな生徒の声を耳に挟みながら、ギコは視線を外した。

(*゚∀゚)「おーい、ぼさっと見てないでさ、とーめーろーよーーーーー」

(,,゚Д-)「へいへいっと」

そして、未だ足の引っ張り合い。この表現が合っているかは不明だが、
とにかく、水上スキーのような姿勢で引きずられていくつーへと向きなし、
メガホン片手に歩いていく。


(,,゚Д゚)「あー、犯人に告ぐー、無駄な抵抗は止しなさい、
     バグ技でロケモンってゲームのデータを消すしかなくなった生徒が泣いてるぞー」

ミ#゚Д゚彡「自業自得!! バグ技を使っていいのは、バグって消える覚悟がある奴だけだ!!」

(*゚∀゚)「てーか、お前、自分の! 状況! 分かってんのかよー!」

ミ#゚Д゚彡「見当はつくとも、我は波動の間であの石に触れ、気付いた時には今に至るのだから!
     もう一度あの石に触れれば、戻れるに違いない!!」


283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 21:11:19.96 ID:vzzdXyMF0

(,,゚Д゚)「あの石は、波動石ってのかー? 知ってるのかー?」

ミ#゚Д゚彡「当然だ!! あれは我等ニューソクの民が護り続けた奇跡の石だ!!
     あと耳元でその変な筒を使うのをやめろ!! やかましい!!」

(,,゚Д゚)「嫌がらせだからやめない、
     戻れるなんて保障ないだろおおおおおお、なのにどうしてそう思えるんだあああああああああああ
     それと、あんたも結構順応性が大概っすよね、もしかして土地柄とかある? あるの?」

(*゚∀゚)「ギコってばマジはんぱじゃねっす、つまりええと、中途半端じゃないって何だ? 全快?」


ミ#゚Д゚彡「ええい、どいつもこいつも……心の底から鬱陶しいことこの上ないッ!!
     我はこんな所で留まっている場合では無いのだ! 早急に戻らねば、このままでは……ッ!!
     …その為ならあらゆる手を講じる、それだけだ!! それに、見ろ――――」

フッサールが指差すのは、漂う青い石と、その正面。
青い霧がうずを巻き、空間を歪ませていく姿だった。


285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 21:14:17.36 ID:vzzdXyMF0

ミ#゚Д゚彡「思い返せば、確か石に触れるとき、あれと同じものが発生していたのだ!」



高らかに叫ばれた声。黒が蠢く空によく響き、
この場に居る誰もが、示す先を見た。

そして誰もが、え? という表情のまま固まった。

ミ;゚Д゚彡「………え?」

指を向けるのは青いうずの中心、その中心に、何かの姿が見える。
それも動いている、きゅい、と言った駆動音を鳴らしながら、もがくように、

ぱっと見は、腕のように見える。

しかし肉質的な物ではなく、純粋な機械の、骨組みが丸見えなアームだった。

フッサールはそれを確認すると、目を見開き、肩を震わせこう言った。
まさか、

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/18(土) 21:16:22.75 ID:vzzdXyMF0

ミ;゚Д゚彡「ドロイドだと!!?」

それを聞いた生徒達は、瞬間、目にキラキラ輝く星を宿し、

「ドロイドですって!!??」

非常にテンポよく、驚愕と、歓喜の声をあげた。

。。。。

その直後、機械腕は引っ掛かりが取れたように穴から突き出され、
合わせて青いうずは一気に巨大化し、奥に大量の影を映し出した。

そこに見えたのは、正に大群であった。
骨組みで構成された機械歩兵、どれも同じ顔を持つ彼らはその小脇に銃を構え、

( ∵)「生き残りを発見、ただちに排除を開始スルーーー」

( ∵)「らじゃらじゃ」

( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)「「らじゃらじゃー」」( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)


学校側へ向けて、すぐさま進撃を開始した。



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