( ^ω^)ジュブナイルのようです

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 13:53:10.99 ID:YZDXJ0k00






■■■■■■■■■■□■


( ∵)<ジュブナイル の ヨウデス    ダイサンワ

 「ツン機械」


□□□□□□□□□□■□










4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 13:56:31.06 ID:YZDXJ0k00



 ツンがカルピスのみたいな、と言うと、自動販売機ががたたんと鳴った。
 ああ、また『いつもの』かと僕はツンと自動販売機の取り出し口を覗き込む。白くて冷たいペットボトルが転がっていた。
 手を突っ込んで取り出したツンは、不思議だよなぁ、と言いながら小さな財布を出して中を覗き込む。


ξ゚听)ξ「おばちゃーん、またジュース勝手に出てきたよー」

(゜д゜@「あれ、またかい?」

ξ゚听)ξ「うん。カルピスのみたいなって言ったら」


 駄菓子屋のガラス戸を開けてツンは言う。
 レジに座ったおばちゃんは、いつものことと慣れたのか、けれどもあきれ顔でため息をついた。
 ツンの周りで機械がおかしくなるのは『いつものこと』だ。だから村の人がきにすることはない。


(゜д゜@「全く、さすが高岡博士のお孫さんだね」

ξ;^竸)ξ「あ、あはは」


 ツンちゃんはは機械に好かれる子なんだな、とドクオ兄ちゃんはいつか言っていた。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 13:59:23.81 ID:YZDXJ0k00



ξ゚听)ξ「それってホント?」

( ^ω^)「嘘吐かないお! マジだお、マジマジ!」

ξ゚听)ξ「マジ?」

ξ*゚听)ξ(* ^ω^)「「マジ!!」」


 昨日見た映画のまねをして、僕とツンはお互いを指さし合う。
 それから、溶けだしたアイスにかじりついた。ツンはカルピスのペットボトルを呷っている。
 駄菓子屋の軒先の影は小さくて、ぎゅっと縮こまらなくては足先に太陽があたってしまう。

 僕の隣では外に出された自動販売機が低くふるえていた。
 店内には、レジのおばちゃん以外の人の影は無い。
 この村に居る子供は僕とツンを含めても八人。ドクオ兄ちゃん達までを子供に含めたとしても、十七人しか居ない。小学校は「はいこう」寸前らしい。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:03:57.34 ID:YZDXJ0k00


ξ゚听)ξ「嘘だよ、機械が反乱を起こすーなんて『袂を分かつ』じゃないんだから」

(* ^ω^)!「『袂を分かつ』見たのかお?!」

ξ*゚听)ξ「えへへ、この前お父さんにつれていってもらったんだー」

(* ^ω^)!「えええー! ずるいお! いいなぁ、僕もみたいお」

ξ*゚听)ξ「面白かったよ、アレは名作ベストテンに入る!」


 ツンは面白い映画を見ると何時でもそう言う。
『十回死ぬ』を見ても言ったし、『リプレイ』を見ても言ったし、『V』を見た時なんて泣きそうになりながらも認定していた。
 ベストテンが十個以上になっても、ツンは気にしたりしないのだ。


ξ゚听)ξ「『正義ヒーロー』の二部、見たいよね」

( ^ω^)「おっ!」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「「我を倒せるのは、魂のこもった拳のみ!!」」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:06:28.39 ID:YZDXJ0k00



 ツンが見る映画は、同級生の女の子達が見るような格好良い男の人や綺麗な女の人が出てくる映画よりも、
僕がドクオ兄ちゃんに連れていってもらうような映画が多い。

 ツンとは家も近くて、小さな頃は良く遊んだのだけれど、最近はちょっとずつ遊ばなくなっていた。
 けれど、僕が『棺桶売り』と呼ばれる映画のパンフレットを貸してあげたことから、映画の話で盛り上がるようになったのだ。



(; ^ω^)「って違うお! 本当なんだお!」

ξ゚听)ξ「良く出来たオモチャなんじゃないの、それ」

(; ^ω^)「ちっ、違うお! ツンも見に来れば良いんだお! 今から! 今から、暇だお?」

ξ゚听)ξ「暇だけどさ」


 ツンは『疑わしい』と書いたような顔で僕をのぞき込む。


(; ^ω^)「じゃあ来るお! ほらほら早く!」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:11:10.44 ID:YZDXJ0k00


 その視線に耐えきれなくて、僕は慌てて立ち上がった。アイスの残りを口に放り込んで、かむ。
 口の中がきぃんと冷えて痛いような、熱いような感じがする。
 木の棒にあたりの文字が無いことを確認して、ツンの着ているランニングを引っ張った。

 ツンもカルピスを飲み干して、近くのゴミ箱に放り込む。


ξ;゚听)ξ「引っ張んないでよ、行くから! 伸びちゃうじゃん」

(* ^ω^)「はっやっくっ! はっやっく!」



       ε≡  ξ;゚听)ξっ⊂(* ^ω^)
               ハヤイハヤイ       ブーン!!



 ツンがビコーズを見たら、何て言うだろう。
『カール・ツァイス』みたいだと言うかな。
『エスパク』みたいだと言うかな。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:14:49.35 ID:YZDXJ0k00









('A`)「じゃ、いくぞ? いいか?」


( ∵)*+ ゚ チカッチカッ

『ぴーぴーぴー、ぴーぴっぴー』


('A`)「んじゃボート出して」

    *゚+ 
( ∵z ウィーン ガシャッコ


川 ゚ -゚)( ´_ゝ`)「「うおお?!」」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:17:40.85 ID:YZDXJ0k00



('∀`)「まだまだ驚くのは早いぜぇえ。スピーカープラグ、挿ッ入!」

( ´_ゝ`)「挿入って何か卑猥だな」

川 ゚ -゚)「黙って死ね」

( ´_ゝ`)「ごめんなさい」


   `゚* チカッチカッ
( ∵z〜回         ウィーン

『z、……zzナゼナラバ、我々は、ビコーズ』 



( ´_ゝ`)「っお、」


   `+W チカチカッ
( ∵z〜回

『ドクオ、彼ラには』


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:22:01.62 ID:YZDXJ0k00




川*゚ -゚)(* ´_ゝ`)「「おおおぉぉおおおぉぉおおおおおお!!!!!」」


『我々に対しテの協力を望メるのだろウか』


 
川*゚ -゚)「凄い! 喋ったぞ! 喋ったぞ! 変形したぞ! メカハンドだ!」

(* ´_ゝ`)「すっげー合成音声! ぎこちねぇええ! そこに痺れる! レ・ト・ロぉおおおおお!」


('∀`)「おうよ、俺の友達だ。クーは置いといて、兄者は機械オタみたいなもんだから何かに使えねぇかなと思って」

『協力が増エるのは望まマしい。個人的に行えルプログラムでは無イ』

('A`)「え、そうなの……?」

『シカシ、我々は貴方方に期待すル』



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:28:05.25 ID:YZDXJ0k00


(* ´_ゝ`)「すげぇよこれ! 聞いた時はもうとうとうドクオも電波板行きかと思ったけど!」

('A`)「え、お前、哀れむような目で見てると思ったら……」

(* ´_ゝ`)「めっちゃすげぇじゃん! これアニメじゃん! いつの間にこの世界アニメになったの?! 俺の声優誰?! スタジオはジブリ? やっぱジブリ?!」

('A`)「おーい、戻ってこーい」

川*゚ -゚)「しかしホライゾンくんも面白い拾い物をしたな」


 顔をあげたクーさんがにこりと笑った。


                                                       スゲェェェ!!
                                                  (* ´_ゝ`)
 |゚听)ξっ⊂( ^ω^)そ                      (゚- ゚ハリ         ( ∵z〜回
                                                                    (`* )ダロー


川 ゚ー゚)「なぁ、ホライゾンくん」

( ^ω^)「っお! こんにちわですお!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:31:42.86 ID:YZDXJ0k00


 僕は慌ててお辞儀をする。
 隣でツンが「クーさん!」と黄色い声を上げた。

ξ*゚听)ξ「こんにちわー!」

川 ゚ー゚)「ツンちゃん、こんにちわ」

('A`)「ん、どうしたんだ? DVDでも見に来た?」

 こっちに気付いたドクオ兄ちゃんがかくりと首を傾げる。
 それから此方を向いて、「お前の部屋勝手に入ったよ。ごめん」と僕に謝った。
 あの後、ビコーズは僕の部屋に置かれる事になったのだが、クーさん達に見せる為に北座まで持ってきたんだろう。


( ^ω^)「別にいいお」

('A`)「おう、なら良かった」

( ´_ゝ`)「あ、よーう。お邪魔してまーす」


 こっちに向かって一回笑いかけたこっきり、兄者さんはスピーカーが繋がったビコーズを覗き込んでいる。
 ビコーズはぴこぴこと三つの目? を光らせていた。


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:39:41.48 ID:YZDXJ0k00


ξ*゚听)ξ「わ、可愛い!」


 ビコーズを見て、ツンが悲鳴を上げた。
 銀色で機械のつぎはぎがむき出しのビコーズを可愛いと言えるツンは、やっぱりどこか変わっているのかもしれない。


川 ゚ -゚)「ツンちゃんもビコーズを見に来たのか」

( ^ω^)「おっ! ですお!」

川 ゚ -゚)「ツンちゃんは機械に好かれるからなぁ」


 きゃー、とツンの楽しそうな悲鳴が上がった。ビコーズの電子音と兄者さんの驚きの声も混じる。
 クーさんとそちらの方を向くと、きりきりと腕? を延ばし、ツンを取り囲むようにして変形するビコーズの姿があった。




                              ビカッ!!
                    \   r√ *~ :+゚
                     ч∵z〜回

                     ピカピカピカピカッ



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:44:02.57 ID:YZDXJ0k00




\(* ´_ゝ`)ノ「ハミィだ! ハミデントだ!」

('A`;)「は、歯磨き粉……?」

川 ゚ -゚)「タフデントじゃないか?」

('A`;)「入れ歯洗浄材だ、それ」

\(* ´_ゝ`)ノ「すげぇぇえええ! ハイテクだ! 格好良い! なにこれスッゴーい!!」

('A`;)「兄者戻ってこいー!!」


 兄者さんのテンションが鰻登りな一方、ツンを取り囲んだ細い機械の腕がちかちかきらきらと光を放つ。
 慌てたドクオ兄ちゃんが「ツンちゃん大丈夫か!」と駆け寄った。
 畳に座り込んだツンは自分の周りの機械に顔を輝かせる。


ξ*゚听)ξ「うわわわわわわわ」

('A`;)「おいコラビコーズ何してんだ、よ……?」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:48:06.30 ID:YZDXJ0k00


                  ビカッ!!
      \   r√ *~ :+゚
      ч∵z〜回

『ぴっぴっぴーぴっ、ぴっぴっ、ぴーぴっ、ぴーぴっぴっ』


 甲高い電子音が高らかに鳴った。それに釣られるようにツンを取り囲む腕を走る光は早く、明るくなっていく。
 ビコーズの異様な様子に、「ひっ」とツンが小さな悲鳴を上げた。


川;゚ -゚)「はしゃいでる場合かアホッ!!」

(; ´_ゝ(O=「ぎゃっ!!」 ゴスッ


『ぴーっぴっぴっ』

『ぴっ』

『ぴっぴーぴっ』

『ぴっ』

『ぴーぴっぴー、ぴっ、ぴーぴっぴーぴー』


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:52:41.30 ID:YZDXJ0k00


ξ;*゚听)ξ「え、な、何これ、怖っ」

( ´_ゝ( 「……とりあえず、はずせば良いんでないの?」

(; ^ω^)!「あっそうか!」

('A`;)「早く言えよぉ!」



 僕とドクオ兄ちゃんは慌てて機械の腕? を掴む。ほんのりと暖かかった。
 ドクオ兄ちゃんが持ち上げると、軽々と言った風にビコーズごと宙に上がった。
 フラフープから抜けるみたいにして、慌てたツンが四つん這いで僕の後ろに飛び込む。


ξ;゚听)ξ「わあああああ?」

川;゚ -゚)「け、怪我とかないか、ツンちゃん」



 それを確認したドクオ兄ちゃんは、顔をこわばらせたままビコーズを床に下ろした。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 14:56:03.00 ID:YZDXJ0k00

『ぴーぴっぴっ』

『ぴっ』

『ぴっぴーぴっ』

『ぴっ』


ξ;゚听)ξ「えっ、何? ねぇ、もしかしてまた壊しちゃった?!」

(; ^ω^)「な、何なんだお、兄ちゃん?!」

('A`;)「分かるか! ツンちゃん大丈夫か?」

ξ;゚听)ξ「え、うん、ぜんぜん平気だけどっ」


『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』


川;゚ -゚)「おい、何をしたんだ兄者」

(; ´_ゝ( 「えっ?! いやおれなんにもしてないよ?! いてっ殴るな!」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:00:04.99 ID:YZDXJ0k00


『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』



『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』



『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』

『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:03:17.55 ID:YZDXJ0k00


 ツンが泣きそうになりながら僕のティシャツの背中を引っ張る。
 あうあう、と僕も泣きそうになった。
 蝉の声と電子音がおかしなコーラスを始める。


『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん


ξ; )ξ「も、」



『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:07:17.50 ID:YZDXJ0k00



『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん


『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん
『ぴっぴーぴっぴっ』『ぴっ』『ぴっぴー』『ぴっぴっぴっぴー』『ぴっ』
                                                     みぃんみぃん


ξ; )ξ「もう止めて!!!」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:10:10.67 ID:YZDXJ0k00




『ぴー』『ぴーぴーぴーz…z』



      \   r√ *~ :+゚
      ч∵z〜回


          r    カシャ 
      ч∵z〜回

            …ィィン    
      [∵z〜回

            カシャン
      ( ∵z〜回



 蝉の声が止んだ。
 騒がしく鳴り立てていた電子音が止み、『しゅぅん』という音を立ててビコーズの目? からも、光が消える。
 その様子は、テレビの主電源が切れる時にちょっとだけにていた。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:13:15.86 ID:YZDXJ0k00

 蝉の声が止んだ。
 騒がしく鳴り立てていた電子音が止み、『しゅぅん』という音を立ててビコーズの目? からも、光が消える。
 その様子は、テレビの主電源が切れる時にちょっとだけにていた。


 北座が静まり返る。
 皆が遠巻きにビコーズを見る中、兄者さんが首を傾けながら近づいていった。



   (;'A`)
川;゚ -゚)                                           シーン
                  ((( ´_ゝ`)                     ( ∵z〜回
ξ; )ξ(; ^ω^)



       チョンチョン
     ( ´_ゝ`)っ( ∵z〜回


     ∩( ∵)∩ガシィイイン
     ( ´_ゝ`)?

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:17:13.85 ID:YZDXJ0k00


 何時もの形のままで固まったビコーズを、兄者さんが人差し指で突っつく。
 それから丸い本体を持ち上げて、裏を覗き込んだ。
 それに釣られて僕らも裏側を覗き込む。


( ´_ゝ`)「あ」



              \ /      チカッ チカッ
  ┌──────┐ /
  │ sleep mode・│
  └──────┘




『sleep mode』と書かれた小さなランプに、オレンジ色の光がともっていた。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:19:35.89 ID:YZDXJ0k00



('A`;)「電源無いのに、スリープモードはあるのかよ……」


 ドクオ兄ちゃんが、何だか疲れたように溜息をはいた。


川 ゚ -゚)「あっおい見ろドクオ、電池入れるところがあるぞ!」

('A`)「え、嘘、まじで?」

川 ゚ -゚)「ほらこれ、電池のカバー」

('A`)「うわぁ、本当だ……なんか生々しいなぁ、動力電池ってお前……」

( ´_ゝ`)「動力電池なのか、ハミデント!」

('A`)「ハミィじゃねぇよヴォケが……ツンちゃん、大丈夫だったか? 何かごめんな」

ξ;゚听)ξ「うっ、うん、……大丈夫、です」

川 ゚ -゚)「ほんっとうにツンちゃんは機械に強いというか、機械がツンちゃんに弱いというかだな」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:23:54.69 ID:YZDXJ0k00


 呆れた、というよりも感心した、と言った風にクーさんが言うと、ツンが僕に向きなおって頭を垂れた。


ξ; )ξ「……ブーン、ごめん」

(; ^ω^)「おっ?! え、別に壊れちゃった訳じゃないお?」


 慌ててドクオ兄ちゃんに問いかけると、兄ちゃんはビコーズを振り向いてから、頷く。
 ただのスリープだから、とつぶやいた。ツンは畳に座り込んだまま、俯いている。
 僕のゲームを貸して、おかしな表示のまま戻らなくなって帰ってきた時も、ツンはこんな顔をしていた。


ξ; )ξ「で、でも、若しかしたら壊しちゃってたかもしれないし……」

(; ^ω^)「だっ大丈夫だお! なんたってビコーズは『成長する機械』だお? 壊れたりする訳ないお」

ξ; )ξ「そう、かな?」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:28:05.84 ID:YZDXJ0k00




(; ^ω^)「おっ! それより、怖がらせてごめんお? 何時もはこんなん、無いんだけどお、」

ξ; )ξ「……」


 あ、しまった、と僕はツンの顔を覗き込む。


ξ;;)ξ「怖゛かっだぁあああああ!!」

(; ^ω^)「でっ、ですよねー!!」


 ツンの泣き声につられたように、黙っていた蝉がまた泣き出す。
 映画のように頭を撫でたりするのを思いついたけれど、恥ずかしくて出来ない。
 顔を覗き込んで、考え付く言葉を片っ端から並べることにした。




35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:31:06.44 ID:YZDXJ0k00




( ´_ゝ`)「何だろう、泣くロリと慰めるショタ……か……」

川 ゚ -゚)「死ねばいいと言おうかと思うんだ」

( ´_ゝ`)「よし、言い直そう。とても微笑ましい光景、で」

川 ゚ -゚)「よし」

('A`)「いや、よしじゃねぇよ」

川 ゚ -゚)「ん、お茶を用意するのか? 手伝おう」

( ´_ゝ`)「俺も俺もー」

川 ゚ -゚)「邪魔したら悪いもんな」

( ´_ゝ`)「な」

('A`)「ちょ、こっちこないでくれる?」




37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:34:08.89 ID:YZDXJ0k00


(; ^ω^)「泣かないでおー」

ξ;;)ξ「う、宇宙人に連れて行かれるかとっ!」

(; ^ω^)「ビコーズ宇宙人じゃないお」

ξ;;)ξ「ば、バラバラにされちゃうとおもっ、……箱に入れられてっ、舌っ、舌だけっ」

(; ^ω^)「えっちょっと、それ違うお!?」










(´・ω・`)「ホライゾン、五月蠅い、また目覚まし付けっぱなしにしたのかよ、」


 離れから顔を出したショボ兄ちゃんは、僕らの様子を見て、気まずそうにすぐ引っ込んだ。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/28(火) 15:35:16.65 ID:YZDXJ0k00

第三話おわり


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