( ^ω^)ジュブナイルのようです

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:31:46.61 ID:F52CnJQV0







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( ∵)<ジュブナイル の ヨウデス    ダイゴワ

 「博士のへやと」


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37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:33:54.12 ID:F52CnJQV0











(* ^ω^)「ツーンー、きーたーおー!」

ξ゚听)ξ「はいはいはいはいっ!」


 離れの方から階段をかけおりる音が庭にまで聞こえてくる。
 庭石が無い分、僕の家よりも幾分広いツンの家の庭の片隅には、ちいさなほったて小屋があった。
 今すぐにでも飛び込みたい気持ちを押さえ、ツンが玄関を開けてくれるのを待つ。

 がら、と引き戸を開けたツンの向こうには、ツンのお母さんが見えた。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:38:34.11 ID:F52CnJQV0


ξ゚听)ξ「お茶飲む?」

( ^ω^)「飲む飲むお」

ζ(゚ー゚*ζ「あら、ブーンくん久しぶりねぇ、ゆっくりしていって」

( ^ω^)「おじゃましますおー!」

ζ(^ー^*ζ「はい、どうぞ」


 今日も朝から太陽が照りつけていて、暑いなぁ、と汗を拭いながら僕はツンの家にあがった。
 ツンの部屋に通される。クーラーが効いていて、羨ましいな、と僕は汗を拭う。
 僕の家にはクーラーが無いのだ。


ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、お茶置いておくわね」

ξ゚听)ξ「うん、ありがとー」

ζ(゚ー゚*ζ「で、何をするの?」

ξ゚听)ξ?「……お母さん?」

ζ(^ー^*ζ「ゲームするならお母さん、一緒にしたいなー
          この前ツンちゃんが教えてくれたあれ、大乱闘? スマッシュブラジャーズ?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:42:07.47 ID:F52CnJQV0


( ^ω^)「ブラジャーズ?」

ξ;#゚听)ξ「でてって! あと、ブラザーズ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「あらあら、冗談よ?」


 おばさんはにこにこと笑って、ツンに追い出される。
 ドアの外に押し出しを決めてふうとため息をついたツンは、ぱんぱんと手をはらった。
 お茶飲んだら作戦開始だからね、と釘を刺されて、部屋から出たくないなぁ、と僕は内心口を尖らせた。





43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:45:23.22 ID:F52CnJQV0






ξ゚听)ξ「おじいちゃんのパソコンがあるの」


 ツンがそう言った時、ツンはアイスの棒をくわえていて、喋りにくい、とそれを吐き出した。
 駄菓子屋の店先での『ビコーズって何なんだろう会議』の途中でいきなり言いだしたその言葉に、僕は首を傾げてしまった。


( ^ω^)?「何のことだお?」

ξ゚听)ξ「何って……ビコーズが言ってたでしょ、どーきが知りたいって」

( ^ω^)「……ああ」




44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:48:21.13 ID:F52CnJQV0


 頷いた。
 そういえば、ドクオ兄ちゃん達が首を捻らしていたのを思い出す。
 死んだひとの動機が分かるかよぉ、というのがドクオ兄ちゃんによる弱音だった。


ξ゚听)ξ「ほら、ウチの庭のすみっこに、ちっちゃい家あるでしょ?」

( ^ω^)「あの小屋かお?」

ξ゚听)ξ「そう、それ。それね、昔おじいちゃんが生きてた頃に使ってた部屋なんだって」


 時々お母さんが掃除してて、其れについてくの、とツンが言う。
 みんみんしゃあしゃあと鳴いていた蝉が一瞬泣き止んで、またみんみんしゃあしゃあと言い出す。
 暑いな、と僕は日差しから逃げるように足をちぢこめた。


ξ゚听)ξ「それでね、掃除手伝うときに、ノートパソコン見つけたことがあるの」

( ^ω^)「お?」

ξ゚听)ξ「もしかしたら、パソコンに何か残してるかもしんない。ほら『戦い護る』の」

( ^ω^)「クルト博士みたいに?」

ξ*゚听)ξ「そう!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:51:49.65 ID:F52CnJQV0


 確かに、もう居ない博士が何らか、日記なんかを遺すというのは映画なんかでもよくある。
 高岡博士も、似たような事をしているかもしれない。
 考えると、むずむずしてきた。ツンも似たような顔をしている。


(* ^ω^)「に、兄ちゃんたちにも教えるお!」

ξ*゚听)ξ「うん!」


 立ち上がって、僕の家の方に走り出す。
 ツンは足が遅いので、僕はちょっと走ってはツンを待って足踏みすることになった。


(* ^ω^)「ツンツン! 早く!」

ξ;*゚听)ξ「あっ、まっ、待ってよ!」

(* ^ω^)「急ぐお急ぐお! 今なら、多分兄ちゃんどっちかは居るお!」

ξ;*゚听)ξ「待ってってば! ブーン、早い!」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:54:35.54 ID:F52CnJQV0


(´・ω・`)「パソコン?」


 北座で寝そべってノートに向き合っていたショボ兄ちゃんは、困ったみたいな眉毛を更に下げて言った。
 ドクオ兄ちゃんは、と聞くと『しらねぇよ』と吐き捨てるように言われてしまった。


(* ^ω^)「そっ、だお! 高岡博士の、パソコン!」

ξ*゚听)ξ「あの、ノートパソコンだったから、多分持ってこれると思うんです」

(´・ω・`)「……何か手がかりがあるかなぁ」

(* ^ω^)「おっ! もしかしたら高岡博士のどーきだって分かるかもしれないお!」

(´・ω・`)「うーん、でも、持ち出して大丈夫なのか?」


 畳にあぐらをかいて、兄ちゃんはツンに問いかける。
「う、うぅん、」とツンは首を捻った。


ξ;゚听)ξ「た、多分大丈夫だと、思うんですけど……
         うち、お父さんもお母さんも機械とか、苦手だから、なんとかごまかせば」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 16:57:22.77 ID:F52CnJQV0






ξ゚听)ξ「それじゃ、行くよ」

( ^ω^)「おっ!」


 お茶を飲んで、扇風機でちょっと涼んでから、僕とツンは立ち上がった。
 台所で晩ご飯の下拵えをしているらしいおばさんに声をかけずに、玄関からでる。
 さんさん照っている午後の太陽を遮りながら、庭を横切った。

 庭の端っこのほったて小屋には、鍵がかかっている。
 ツンを振り返ると、得意げにポケットから小さな鍵を取り出した。


ξ*゚听)ξノю「持ってきたよ、ちゃんと」

(* ^ω^)bそ「ナイスだお!」



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:01:14.20 ID:F52CnJQV0


 がちゃがちゃやって、引き戸を引く。
 むわりと熱気が僕らをおそった。


(; ^ω^)「あつっ」

ξ;゚听)ξ「ムされてるから……」


 一部屋、八畳くらいの小屋の中は、定期的に掃除されているからか埃は積もっていない。
 代わりに、何だか分からない機械がそこらじゅうにあって、ドクオ兄ちゃんの部屋に勝るとも劣らない汚さだった。
 みぃんみぃん、と窓越しの蝉の声がうるさい。


(; ^ω^)


 ここで高岡博士は死んだのかも知れない。
 そう思うと、暑いはずなのに背筋が凍るような気分になった。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:03:23.16 ID:F52CnJQV0


(; ^ω^)「お、パソコンは……?」


 何となく声をひそめながらツンに聞く。
 頷いたツンが、たっと床を蹴って部屋の端の机に向かった。
 三番目の引き出しをあけて、ごちゃごちゃしたコードと一緒に、兄者さんが持っているのよりも遙かに分厚いノートパソコンを取り出す。


(; ^ω^)「じゃあ、早く出ようお」

ξ;゚听)ξ「うん」


 思ったより重かったのか、ふらつくツンからパソコン本体だけを持たせてもらって、コードやなんやかを任せる。



ζ(゚ー゚*ζ「何するの?」




(; ゚ω゚)ξ;゚Д゚)ξ「「っひぎゃああああ?!」」


ζ(゚ー゚*ζ「あら」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:06:18.29 ID:F52CnJQV0



 ひょこりと顔を出したのは、おばさんだった。
 にこにこと笑って、入り口から顔をのぞかせている。


ζ(゚ー゚*ζ「悪戯はしちゃいけないわよ。あら……それおじいさんの、」


ξ;゚听)ξ「あっ、あのね! 私、そろそろパソコン欲しいなって思ってて!」

(; ゚ω゚)「えっ?」


 隣でツンが口をぱくぱくとさせていた。僕のシャツをぐいぐいと引っ張る。


ξ;゚听)ξ「でね、このパソコンいいなって思ってたんだけど、壊れてるみたいだから、直して貰おうと思って!」

(; ^ω^)「そっ、だお! 僕の兄ちゃん、……の友達! 兄者さんが、得意だからって!」

ζ(゚ー゚*ζ「兄者さんって、流石さんの家の? 兄者くん?」

(; ^ω^)「おっ!」


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:07:01.50 ID:F52CnJQV0


 ぱちくり、とおばさんは瞬きをする。必死の形相の僕らが不思議なようだ。
 暫くそうしていたおばさんは「そうなの」と頷いた。


ζ(゚ー゚*ζ「お母さんそういう機械とかよく分かんないけど、ゲーム、やりすぎちゃだめよ? ツンちゃん」

ξ;゚听)ξ「げ、ゲームじゃないもん」


 ゲームなんかじゃないもん、とツンが呟く。
 世界を救うんだもん。ゲームじゃないもん、と。
 聞こえなかったのか「そっか」と笑うおばさんを見て、


ξ;゚听)ξ「それじゃあ、今から行って来るから!」

ζ(゚ー゚*ζ「一日一時間よ?」

ξ;゚听)ξ「だから違うってば!」


 確かに機械が苦手っていうのは本当らしい、とツンに手を引かれながら思った。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:10:56.67 ID:F52CnJQV0



 脳天に直下の日差しが刺さっている。


('A`)「あっちぃな」


 顎に垂れてきた汗を拭い、ドクオは呟いた。


ノパ听)「ドクオさんだらしないぞー!」

('A`;)「うおー、うっせー。あのね、俺は君らと違って若く無いのよ。
     もうあれだからね、なだらかにきてるからね、老化が」

(´<_` )「老化って」


 ドクオはハーと盛大に息を着いて、膝から手をはなす。山道独特の土臭い空気が肺になだれこんだ。
 先を行く弟者とヒートは、軽く汗こそかいているが、疲労の色は薄い。運動不足か、とため息をつく。
 ろくに部活動もしていないからこうなるのだ。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:12:25.45 ID:F52CnJQV0


('A`)「……しかし、結構近いもんだな」


 額に浮かぶ玉の汗を拭き、さっきまで上っていた山を振り返る。


ノハ*゚听)「これならダッシュで往復三分は切るな!」

('A`)「うん、危ないから止めとこうな?」

(´<_` )「まぁ立地が良いのはありがたいですよね」

('A`)「弟者くんも、新居見に来た人じゃねぇんだから……」


ノパ听)『下見にいくぞぉおっ!』と叫んだヒートを出迎えたのは、ショボンでは無くてドクオだった。
 ドクオはショボンを呼ぼうとしたのだが、
(´<_` )『いや、ビコーズ持ってきてくれりゃ誰でも良いんで』という弁に引きづられて、柄にもない登山をする羽目となったのだった。



('A`;)「ヒート組おそるべし……」


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:15:59.86 ID:F52CnJQV0


 流石歴代最高の行動力、などとわけの分からないことを言った。
 肩にかけたエナメルバックからは、ビコーズの電子音がかすかに聞こえてくる。


('A`)「ビコーズ、どうだった?」


   +゚ チカッ
( ∵)


 ジッパーをあけて問いかけるが、スピーカーが無いので、電子音が鳴るばかりだ。
 ぴこぴこと光るビコーズから目を逸らす。
 様子を見るに、悪いという訳ではないようだった。夜なら、花火をするのもいいな、などとドクオは後ろを仰ぐ。


(´<_` )「でも此処って私有地ですよね」

('A`)そ「……はっ」

(´<_` )「此処に忍び込むんですか、夜中に」

ノハ;゚听)('A`;)「「……」」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:17:18.80 ID:F52CnJQV0

(´<_` )「怒られないかなぁ」

ノハ;゚听)('A`;)「「……」」

(´<_` )「っていうかそれ以前に、夜子供だけで出歩くって……」

ノハ;゚听)「おっ、おおおぉぉおおぉお?!」


 ヒートが上げた大声に、若干引いた弟者が顎を引く。



ノハ;゚听)「そっそんなことっ!」

(´<_` ;)「そんなこと?」

ノハ;゚听)「言っていて、世界が救えるかぁああっ!」




( ・∀・)「夜中に子供は集まっちゃだーめよー」

ノハ;゚听)「えっ」

(´<_` ;)「えっ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:19:08.57 ID:F52CnJQV0



('A`;)「……え?」




 見慣れた青い服。この暑い下で、かっちりと警察の制服を着た『おまわりさん』がいた。
 この村出身の『おまわりさん』はドクオの先輩である。
 見回りなのだろうか、自転車を押している。


( ・∀・)「この辺は家も少ないし、もし何かあったら危ないから、花火なんて言語道断だよ」


 ゴンゴドーダン、と海外の俳優か何かの名前のように繰り返す。
 擬古さんトコの私有地だしね、とぱんぱん弟者の肩を叩きながら言う。弟者は軽く引いていた。
 フレンドリーが過ぎる警官はその様子を軽く笑った。


ノハ;゚听)「花火なんかじゃないぞぉおっ!」

( ・∀・)「うん? そうなの? 花火の下見なのかと思ったんだけど」


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/08/12(水) 17:21:28.25 ID:F52CnJQV0


 どうやらヒートの叫びなんやかは冗談だと思っているらしい。
「俺が花火した時なんかあわや山火事だったからねぇ!」などと笑えないことを言いながら笑って、ドクオを振り向く。


( ・∀・)「まぁ、何するにせよ逮捕されない程度にしなよ」

('A`;)「ああー、はい」


 顔見知りのドクオは体の良い愛想笑いを浮かべて対処する。
 ちりりん、と自転車に乗り込み、警官は去っていった。
 職務怠慢? という弟者のつぶやきが聞こえる。






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