('A`)ドクオが騎士になったようです

6 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:33:45.12 ID:fpKj3lBL0

漆黒の鎧を身に纏い、もう既に薄暗い城内の廊下を闊歩する。
  _
( ゚∀゚)「…気配消して近づいてくるなんて、団長のすることじゃねーだろうが」

背後の暗闇に向かって、言う。
薄暗い中でも分かる、翡翠色の鎧がゆっくりと現れる。

(,,゚Д゚)「新人を、採ったと聞きましたが」

威厳はあるが、まだどことなく幼い声で、ギコが言う。
背中に背負った槍の刃が蝋燭の明かりに照らされてちらちらと輝いている。
  _
( ゚∀゚)「ああ、ジルベルスタイン将軍の息子らしいからな。
    期待の新人、だろ?」

自分の漆黒の篭手を眺めながら、出来る限り気の無さそうな声でそう言っておく。
無論、誤魔化せるとは思ってはいないが。

7 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:34:50.26 ID:fpKj3lBL0

(,,゚Д゚)「…ジョルジュ殿、貴方はジルベルスタイン将軍の事を…」

奥歯をかみ締め、ギコの顔を睨みつける。
一瞬気圧されたような顔になったが、直ぐにギコもこちらを睨み返してきた。

無意識のうちに、手を腰の騎士剣に伸ばしてしまっていた。
柄の部分をグッと握り締め、自分の心を落ち着かせた。
壁に向かって唾を吐き、もう一度ギコを睨みつける。
  _
( ゚∀゚)「それは関係、無い」

(;゚Д゚)「しかし!」

鞘から剣を抜いた。
ギコも一瞬送れて反応するが、圧倒的に自分のほうが早い。

8 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:36:00.10 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「くどい」

首筋ギリギリに、刃を当てる。
騎士剣に伸ばしかけていた手を下ろし、ギコは視線を逸らした。
こめかみの辺りから、汗が一筋垂れている。

(;゚Д゚)「ッ…」
  _
( ゚∀゚)「別にお前が思っているようなことはしないさ、ギコ」

騎士剣を鞘に収め、そのままもとの方向へと歩き出す。

10 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:37:20.00 ID:fpKj3lBL0

(;゚Д゚)「貴方はドクオを…」
  _
( ゚∀゚)「…それ以上言うと、今度は本当に首を飛ばすぞ」

背後に向かってそう言い放つ。
ギコはまだ何か言いたそうな空気を放っているが、足音ともにその気配も消えていった。
  _
(  ∀ )「…お前の思い通りには、させねぇ…」

誰に言うともなく、暗闇に向かってぼそりと呟いた。

11 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:38:22.08 ID:fpKj3lBL0



【第四話 〜武器〜】



13 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:39:27.81 ID:fpKj3lBL0

( `o´)「よし、休憩!」

教官の一言で、一心不乱に剣を振っていた周りの奴らがその場に崩れ落ちた。
ドクオは、地面に座り込んでいる男たちの隙間を通り抜け、練武場の端にあったベンチに腰掛ける。

('A`)「ふぅ…」

空は、快晴。
たまに吹き抜ける風の中に春の匂いが微かに溶け込んでいる、気がする。
溜息を吐き出し、胴鎧を外した。

14 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:40:58.73 ID:fpKj3lBL0

( ><)「あ、ドクオ君!」

少し甲高い声に顔を上げると、ビロードが向こうから歩いてくるのが見えた。
また深く、溜息。

( ><)「お久しぶりです!」

笑顔でそう言うと、ペコリと頭を下げた。
同期に敬語を使う必要など無いだろう、と思うが。

('A`)「…あぁ」

( ><)「隣、いいですか?」

16 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:42:45.72 ID:fpKj3lBL0

断る理由は特に、無い。
軽く頷くと、ビロードはまた輝くような笑顔になる。
「ありがとうです! 失礼します」と言い、ドクオの隣に静かに座った。

(*><)「そうだ、聞いてください!
     僕、魔法騎士団に入れることになったんです!」

('A`)「へぇ…よかったな」

話によると、モララーが直接入団を許可したらしい。
「俺も勧誘されたぞ」と言おうかとも思ったが、止めておいた。
今はそんな気分じゃない。

17 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:45:06.72 ID:fpKj3lBL0

ビロードの話を聞き流しながら、ドクオはあることを考えていた。
「暗黒騎士団」について。

何故ジョルジュが自分を欲しがったのか。
「試験免除者だから」と言ってしまえばそれまでではある。
しかし、モララーの話を聞いてしまった後だと、どうも裏があるようにしか思えない。

('A`)「はぁ…」

考えてみて、どうなるというのか。
自分らしくないと思い、自嘲気味な溜息を青空に向けて吐き出した。

18 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:46:38.88 ID:fpKj3lBL0

( ><)「ドクオ君、何か悩み事なんですか?
     相談なら…」

悩みといえば、今お前に自慢するほどでもない話をされていることかな。
心の中で少し笑い、ビロードの顔を見る。

('A`)「別に、お前に話すようなことじゃないさ」

我ながら突き放した言い方ではあるが。
このおせっかいには十分だろう。

ビロードは「そうですか…」と言い、少し残念そうな顔をした。

19 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:50:12.34 ID:fpKj3lBL0

沈黙。
詫びる気持ちなど毛頭無いが。

ドクオは無言で胴鎧をつけ、伸びをする。
剣を抜き、青く澄んだ刀身を眺めながら教官の様子を伺う。

( `o´)「休憩終わり!」

予想通り、か。
のろのろと立ち上がり、自分が元いた位置にのろのろと向かう。

ふと、練武場の入り口のほうから黒い鎧を着た男が歩いてくるのが見えた。

20 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:50:56.52 ID:fpKj3lBL0

不意の訪問者に、入り口のほうにいた奴等から波紋の如くざわめきが広がる。
「ジョルジュ殿だ…」と、誰かが言った。
あの男が、ジョルジュ。

厳つい体に、吸い込まれそうな漆黒の鎧を身にまとっている。
鋭い眼光で新卒の騎士たちを眺めながら、教官へと向かって歩いていく。
腰には差さった二本の剣がジョルジュが歩を進めるごとに、静かに揺れる。
  _
( ゚∀゚)「おう、やってるか」

(;`o´)「は、はい!ジョルジュ様!」

21 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:52:19.57 ID:fpKj3lBL0

教官は直立不動のまま深くお辞儀をした。
ジョルジュは教官には視線を向けずに、目を細めながら新卒たちを見ている。

( `o´)「今は素振りを行っておりま…」
  _
( ゚∀゚)「んなことは聞いてねーよ」

(;`o´)「は、はっ?」

ポカンとした顔で、教官はジョルジュの横顔を見ている。

ジョルジュが、こちらを見た。
鋭い視線が、確かにドクオの目を見ている。
  _
( ゚∀゚)「ドクオ=ジルベルスタイン、前へ出ろ」

23 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:54:00.65 ID:fpKj3lBL0

周りの奴らが一斉にこちらを見る。
心の中で舌打ちし、唾を飲み込んだ。
  _
( ゚∀゚)「どうした?
    早く、出て来い」

静かに、言う。

(;`o´)「ジ、ジルベルスタイン!
     早く前へ出ろ!」

若干慌て気味に、教官も叫ぶ。
ジョルジュの視線は、まだドクオを捕らえて離さない。
背中に嫌な汗が垂れていくのを感じながら、前へと歩き出す。

24 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:56:15.66 ID:fpKj3lBL0

ジョルジュの前に立ち、軽く頭を下げた。
  _
( ゚∀゚)「よし、お前がドクオか」

勲章授与のときのショボンとはまた違った威圧感。
ふと視線を連中のほうに向けると、ビロードが心配そうな顔でこちらを見ていた。

お節介が。
奥歯をかみ締め、ジョルジュの黒い具足を見つめた。
  _
( ゚∀゚)「それと…クー=ラリュエット!
    お前も前へ出て来い」

26 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 22:59:48.94 ID:fpKj3lBL0

川 ゚ -゚)「はい」

透き通るような声。
集団の中から女が一人歩いてきた。

どこかで見たと思ったら、勲章授与のときの女か、と思い出した。
クーはドクオの横に並び立ち、ジョルジュの顔をまっすぐと見据えている。
  _
( ゚∀゚)「よし…この二人、借りていくが」

(;`o´)「は、はいっ! 問題ありません!」

教官は緊張気味にそう言う。
ジョルジュは軽く頷き、小さい声で「行くぞ」と言った。

27 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:01:44.27 ID:fpKj3lBL0

******************************

カーテンが閉め切られた薄暗い城内の廊下を、三人は無言で歩く。
どこからか、人の話し声が聞こえる。

普段ならどうとない沈黙が、耐えられない。
鎧の下着が汗で背中に張り付いているのが分かった。

緊張、している。
柄にも無い話ではあるが。

奥歯を噛み締め、視線をジョルジュの背中に向ける。
やがて話し声も聞こえなくなり、鎧の立てるカチャカチャという音だけが辺りに響く。

29 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:05:29.13 ID:fpKj3lBL0

と、ジョルジュが立ち止まった。
それにあわせ、ドクオも歩みを止める。

三人の目の前には、古びた大きな木製の扉があった。
  _
( ゚∀゚)「よし、ここだ」

ジョルジュはクーの目を見つめながら、言った。
扉の取っ手に手をかけ、ジョルジュが力を込める。
ギィッ、という音とともに扉がゆっくりと開く。

中には、武器が大量に置かれていた。
  _
( ゚∀゚)「ドクオ、窓を開けろ」

('A`)「…はい」

30 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:07:12.02 ID:fpKj3lBL0

埃と黴の匂いに顔を顰めながら、窓の鍵を外す。
力を入れると、窓は次第に開いた。
夕日の光が、窓から差し込む。
  _
( ゚∀゚)「見てのとおり、ここは武器庫だ」

剣を手に取りながらジョルジュが言う。
  _
( ゚∀゚)「それで、他でもないお前らをここに呼んだ理由は…」

手に持った剣で、クー、ドクオと順に指す。
夕日を浴びて、刃が銀色に輝いている。
  _
( ゚∀゚)「お前らに専用の武器を選んでやろうと思ってな。
    この俺が、直々に…だ」

31 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:08:46.63 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「話は聞いたと思うが…お前らはすでに暗黒騎士、だ。
    騎士団員は各々に専用の武器を持つことが許されている…」

ジョルジュは手に持った剣を、棚に向かって放り投げた。
金属音の後、埃が舞う。
  _
( ゚∀゚)「クー=ラリュエット」

川 ゚ -゚)「はい」

凛とした顔で、クーが言う。
夕日を浴びているせいか、顔が薄っすらと高潮しているように見える。

32 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:10:37.71 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「お前の武器はもう決めてある」

そう言いながら、壁に飾ってあった剣を取るジョルジュ。
白塗りの鞘に、湾曲した刀身。
  _
( ゚∀゚)「体格的にもこの武器が適しているだろう。
    東邦の国伝来の剣、『カタナ』だ」

ジョルジュがクーにカタナを手渡す。
クーは一礼してそれを受け取り、腰に携えた。

川 ゚ -゚)「ありがとうございます」
 
33 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:11:54.02 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「…よし、クー。
    悪いが、もう戻ってていいぞ」

クーは顔色一つ変えずに「はい」と言い、踵を返して武器庫から出て行った。
木製の扉が閉まる音の後に、ジョルジュとドクオの間に沈黙が流れる。
  _
( ゚∀゚)「…ドクオ」

(;'A`)「は、はい」

声が上ずってしまった。
しまった、と思ったときにはもう遅い。
嘲る様な目でジョルジュがこちらを見ている。
 
35 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:13:10.31 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「何を怯えている?
    取って食われるとでも思ったか?」

(;'A`)「いえ…」

拳を握り締め、ジョルジュの顔から視線をそらす。
  _
( ゚∀゚)「騎士に怯えや恐れといった感情は不要だ、特に暗黒騎士にはな」

冷ややかな口調でジョルジュが言う。
心の中で舌打ちし、ゆっくりと顔をあげる。

36 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:15:37.72 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「…ついてこい、お前の得物はここには置いていない」

ジョルジュは扉を開け、武器庫から出て行く。
バタン、という無機質な音と共にドクオは部屋に取り残された。
今度は本当に舌打ちし、扉の取っ手に手をかける。

('A`)「……めんどくせぇ」

誰に言うとでもなくそう零す。

扉を開ける。
廊下は先ほどよりも、薄暗い。

39 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:17:13.68 ID:fpKj3lBL0

二人は無言で歩く。
すれ違う人も、ない。

「得物」とやらがある場所にどこなのだろうか。
ジョルジュに聞こえないように、溜息を吐き出す。
  _
( ゚∀゚)「…もうすぐだ」

聞こえていたのか、癪な男だ。
ジョルジュの真紅のマントを睨みつける。

不意に、二人以外の鎧の音が聞こえた。
ふと、顔を上げると白い鎧を身にまとった男が二人の前に立っていた。

40 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:18:40.19 ID:fpKj3lBL0

ジョルジュに負けないくらいの体格を白い鎧で包んでいる。
背中には、刃の部分が三本に分かれている槍を背負っている。
  _
( ゚∀゚)「これはこれは、モナー殿ではありませんか」

挑発するような口調。
ジョルジュの顔は見えないが、恐らく鼻で笑いながら言っているだろう。

( ´∀`)「…慣れない敬語を使うと、貴方の品格を下げますよ?」

対して、モナーの口調は穏やかだった。
ドクオの視線に気づき、モナーはニコリと笑った。

41 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:21:27.77 ID:fpKj3lBL0

( ´∀`)「ドクオ君ですね、お話は聞いています。
      モナー=サルヴェールと申します、聖騎士団の団長を務めております」

('A`)「はぁ…よろしくお願いします」

軽く会釈をしておく。
  _
( ゚∀゚)「よろしく、だなんていう必要ねーよ、ドクオ。
    で…モナー『殿』はなんでこちらに?」

先ほどより、馬鹿にしたような口調。
会話をしている当人ではないが、少し気分が悪くなるほどの。

( ´∀`)「ええ、宝物庫へ向かう人影が見えたので…。
      賊ならば、切り捨てようかとここへやってきた次第です」

42 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:23:40.48 ID:fpKj3lBL0

笑顔を崩さずに、モナーが言う。
一瞬、槍の刃が鈍く輝いた、気がした。
  _
( ゚∀゚)「それはとんだ的外れな…。
    私はこの新人に見合った武器を選ぶために、宝物庫へ向かおうとしているんで」

飄々とした口調で、ジョルジュが言う。

( ´∀`)「何故宝物庫に?
      武器を選ぶならば武器庫に行けば事足りるでしょう?」

44 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:24:35.28 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「貴方には関係の無い話ですよ、モナー殿。
    ショボン将軍の許可証も頂いていますので」

そう言うと、ジョルジュは再び歩き始めた。
顔を顰めながら立ちすくむモナーに再び軽く会釈をしながら、小走り気味でジョルジュを追う。

( ´∀`)「……このままでは、不味いな…」

モナーが、つぶやいた一言は、二人の耳には入らなかった。

46 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:25:49.88 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「ここだ」

通路の行き止まり。
ジョルジュが立ち止まった前には、重々しい鉄の扉があった。
扉には、これもまた重々しい鉄の錠前がついている。

懐から鍵を取り出し、鍵穴に乱暴に捻じ込む。
ガチャン、という鈍い音と共に鍵が開く。

錠前と、鍵を再び懐にしまい、一瞬チラリとドクオを見る。
  _
( ゚∀゚)「開けるぞ」

ジョルジュが扉を押す。
ゆっくりと、ゆっくりと、鉄の扉が開く。

47 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:26:52.52 ID:fpKj3lBL0

中は、当に豪華絢爛、という表現がうってつけなほど美しかった。
今までの寒々しい廊下とはうってかわって、あたり一面がまばゆく輝いているようにすら感じられる。
まるでそこらの石ころのように転がっている宝石にドクオが目を奪われている間に、ジョルジュはもう手に目的のものを握っていた。

大鎌、だ。
三日月のような刃と、敵を突けるように槍状の刃の二つが組み合わさっている。
そして、刃の根元の部分に青い宝玉が埋め込まれている。
  _
( ゚∀゚)「…これだ」

表情一つ変えずに、ジョルジュはドクオの手に大鎌を押し付けた。
手渡された大鎌の柄を握り、持ち上げてみた。
ずっしりと重いが、相手を切り裂くにはこれくらいの重さが必要なのだろう。
  _
( ゚∀゚)「それがお前の武器だ」

49 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:28:02.62 ID:fpKj3lBL0

('A`)「…ありがとう、ございます」

この気持ちに嘘はない。
素直に、嬉しかった。
やっと自分の実力を認めてくれる人に出会えた、気がした。

鞘を手渡しながら、思い出したようにジョルジュが言い出す。
  _
( ゚∀゚)「…そうだ…その宝玉は、俺が預かっておこう」

('A`)「え?」
  _
( ゚∀゚)「戦闘には必要ない、ただの装飾だからな…その宝玉は」

半ば無理やり、ドクオはジョルジュに大鎌を奪われる。
ジョルジュは手早く刃から宝玉を抜き取り、再びドクオの手元に大鎌を押し付ける。

50 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:29:03.20 ID:fpKj3lBL0
  _
( ゚∀゚)「…よし。
    さて…飯でも、食いに行くか?」

少しの不信感。
眉を吊り上げながら、ジョルジュが懐に宝玉をしまうのを見つめる。

('A`)「…遠慮、しておきます」
  _
( ゚∀゚)「…そうか、なら部屋に戻るといい。
    もう練習も終わっているだろうしな…」

('A`)「…はい」

踵を返し、宝物庫から出て行こうとするジョルジュの背中の赤いマントがはためいた。
大鎌の刃の部分に写る自分の顔を見つめる。

何故か、溜息が漏れた。

51 名前: ◆6Ds5WeBHwU 投稿日:2009/04/30(木) 23:29:48.98 ID:fpKj3lBL0



〜第四話 END〜




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