- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:12:45.34 ID:ic37JU2f0
ここは……クー? どうして? なんでお前が倒れて、俺が立っている?
どうして、血を流しているんだ? なんで、お前はそんな悲しそうな瞳で俺を見ているんだ?
誰がやったんだ。この事態を引き起こしたのは一体誰なんだ。
川 ー )「戻ったんだ、な……。良かっ……た」
(;'A`)「何言ってんだよお前。何が良いんだよ。良くねぇ! 何も良くねえだろ!」
川 ー )「お前と出会っ……て……、本当に……、良かっ、たぞ」
(;'A`)「クー?」
川 ー )
それ以降、クーから返事が来ることはなかった。
あいつは俺に出会えてよかったと言って、静かに笑いやがったんだ。
そしたら、その瞬間あいつの体から力が完全に抜けきって……。元々白かった肌が更に白く染まっていって……、冷たくなって……。
( A )「……きしょう」
誰がやりやがったんだ。この状況を作り出したのは誰だ。
許さねえ……。絶対に許さねえぞ……。
- 4 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:14:20.37 ID:ic37JU2f0
( A )「ちきしょうがあああああああああああああ!!」
「何を叫んでいるのかしら。自分で殺しておいて、何をそんなに悲観しているというの?」
誰が、誰を、殺したって? 目の前に倒れているのは? そしてその現場で立っていたのは?
俺が立っていて、その傍らにクーが倒れていて、俺の手が赤く染まって、
『俺の手が赤く染まっている?』
クーが最後に言ったセリフは……?
『戻ったんだな』
つまり、これは。
ξ )ξ「今頃気づいたの? あなたが殺したのよ。大事な相棒を」
(; A )「うわああああああああああああああああああああああああ!!」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:15:42.32 ID:ic37JU2f0
_______
( )
( )
。
.
川 ゚ -゚)「という夢を見たんだ」
('A`)ノ'ポイッ「はいはい夢落ち夢落ち」
川' ゚ -゚)「お前いい加減私に鼻くそ投げるの止めろ」
('A`)ドクオと愉快な魔法少女のようです川' ゚ -゚)
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:18:20.05 ID:ic37JU2f0
('A`)「ひかるかーぜーをー」
窓の外に半分ほど身を乗り出し、外の景色をぼーっと見ながら、
ぽろんぽろん、じゃかじゃかと、アコースティックギターをかき鳴らす。
あれからバイトは結局休みになり、今頃魔法にかかっていない内藤が必死に働いている頃だろう。
なんというか、すまんな内藤。だが恨むならあの魔法少女を恨め。あいつが全ての元凶だ。
('A`)「全く忌々しい。思い出すだけで非現実な気持ちになるぜ」
じゃらん。一曲引き終えて、俺はギターを部屋に置く。
身は乗り出したまま、俺は部屋を一瞥する。
焦げたタンス。すすけたクローゼット。ボロボロになったソファ。焼け焦げた机。明らかに不自然な刀。自称魔法少女。
やれやれ。俺の部屋が一気にデスメタルになりやがった。デスコーポレーションでもこんなことしねえよ。
よかったカヒミのCD持ってなくて。
('A`)「僕がしたかったのはこんな日常じゃない!」
……ん? 今おかしな回想がなかったか? 家具の中に何か人間が混じってなかったか?
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:20:49.92 ID:ic37JU2f0
(;'A`)「……お前いつの間に」
川 ゚ -゚)ノ「よう。非現実な気持ちにしにきたぞ」
突然でもなく、現れたわけでもなく、いつの間にそこにいた魔法少女クーさん。
相変わらずその言動と行動には似つかわしくない容姿でいらっしゃる。
服装も全く魔法と関連性を持たない一般的なもので、ごく普通の青色のスカートに、ごく普通の北高の制服を着ている。
……あん? ちょっと待ちやがれこの野朗。『北高の制服』だと?
('A`)「つかぬことをお伺い致しますがクーさん」
川 ゚ -゚)「なんだ」
黒い髪をなびかせながら、その頭頂部には黄色のカチューシャが装備されている。
そして極めつけはその北高の制服にカーディガンを羽織っているということだ。
つまり、これは皆がご存知の……。
('A`)「それ北高の制服だよな? 何でもってるの?
っていうか何で着てるの? つーかそれ俺のだよな。お前どうやって見つけ出しやがった」
そう、あの某有名ライトノベル件アニメのコスチュームである。
以前に話したように俺にはコスプレ趣味がある。勿論、誰にも明かしたことなどないのだが。あくまで俺の心に秘めたものなのだが。
が、しかしだ。何故そのコスプレセットが今ここにいる魔法少女さまが着ていらっしゃるのか。
しかも悔しいことに大きすぎず、適度な大きさの綺麗な瞳。すべすべの白い肌。顔立ちに似合った身長。
その全てが一致して長門コスが死ぬほど似合っているのだ。
勝手に着られて、しかも死ぬほど似合っているという状況に出くわして、黙っていられるだろうか? 否! 断じて否!
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:22:59.52 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「暇だから食べるもの探して物色してたら見つけたんだ」
('A`)「で、着たわけだ」
川 ゚ -゚)b「正解だ」
('A`)「創価創価。ハハハ」
川 ゚ -゚)「うははは」
(#'A`)「うはははじゃねーよ! 脱げ! 今すぐ返せこの野朗!」
川 ゚ -゚)「おやめくだされお代官様ぁん」
(#'A`)「うるせえ! この畜生!」
カーディガンが半脱げ。カチューシャはとっくに取れている。制服も半分脱げ掛けている。
あれ、ちょっと待て。この光景人に見られたり、通報されたら俺一発アウトじゃね? つーかなんか俺今までの人生で一番輝いてないか?
もしこれがフラグだとしたら、俺は……! まさか……!
卒 業 の チ ャ ン ス 到 来 か ! ?
いやまて。落ち着け。こんなことを思っている時は大抵よくないことが起きるもんだ。
いつだってそうだ。俺は何か都合のいい解釈をすると大体の確立で悪いことが起きるんだ。
糞、俺にだってたまには幸せくれよ神様よ。平等によこせ。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:24:16.49 ID:ic37JU2f0
「うるさいよっ! 朝っぱらから騒々しい!」
(;'A`)「ちょ、まさか」
背筋が凍り、その場で硬直する。予感が的中し過ぎて自分でも怖い! ……それより怖いのはこの相手がもし俺の予想通りだった場合だ。
何せ俺の右手は今まさに手のひらに納まりそうな程良い桃を掴みかけており、加えてその相手は半分服が脱げ掛けているという状況だ。
そして叫んでくる特徴的なアニメボイスなお方。うん。やっぱり予想通りの人だよな。
あれ、なんかこの光景というか、この状況ってデジャブが……。
(*゚∀゚)「昨日の今日で何やってr……」
(;'A`)「あ、ども……」
勢いよく開かれたマイルームに繋がる扉。玄関から俺の部屋は直通しており、すぐさま何をやっているかがわかってしまう構造だ。
つまり、今のこの状況を思いっきりに見られてしまっているという。
互いに目を合わせたまま、黙り込む。
何分経っただろうか。それこそ何時間も経ってしまったのではないかと思うぐらい長い沈黙。
その間ただひしひし伝わってくるのは、言葉に形容しがたい恐怖、危機感である。その感情は俺の全身を貫いていく。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:25:43.30 ID:ic37JU2f0
(*゚∀゚)「ドクオクン」
(;'A`)「へ、へい!」
(*゚∀゚)「ナニヤッテンノ?」
(;'A`)「いや別にナニもやってないというか、そもそもナニをやろうとしていたわけでいぎゃあ」
その後、俺は静かに命を引き取りかけたが、「憤怒!」という声によって体内のトマトジュースを吐き散らし、
目の前で大事なコスプレセットが血まみれになる様を拝み一命を取り留めた。体内の色素が全部消えればいいのに。
ああ、おはようございます非現実さま。そしてさようなら二度と会えない現実さま。
第二話 毎日がえぶりでー
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:27:03.90 ID:ic37JU2f0
('A`)「不幸だ」
盛大な溜め息と共に、まだ残っていた血を吐く。
畳の色を塗り替えるつもりなどなかったのだが、綺麗な紫色に染まっていく。
川 ゚ -゚)「ナメック星人だなまるで」
('A`)「誰のせいだよこのビッチ」
何故か黒装束を纏っているクーを一瞬睨み、穴だらけの壁に段ボールを貼り付けていく。
どうしてこんなことになったのか。もうみんな分かっているだろうが、つーさんの仕業である。
赤黒い血にまみれた壁。穴だらけの壁。答えは単純明解。あの人の得意な包丁による殺意むき出しの攻撃が原因だ。
流石に修繕費は求めてこなかったが、別に補修してくれるわけでもないので今仕方なく後処理をしている。
川 ゚ -゚)「平和だな」
('A`)「そうですね平和ですね」
どこに目がついているのか、そもそもどこに脳がありやがるのかも分からないこの腐れビッチはそんなことを言う。
紫色の体液といい、赤黒く染まった壁といい、焼け焦げた畳やタンスやソファを見て一体全体どこが平和なのか。
三角木馬に載せて拷問でもしてやりたいぐらいの殺意はあるものの、そんな勇気は勿論ない。もしまた同じ事態になったら取り返しがつかないのだから。
去り際につーさんは「今回は厳重注意で済ますけど次はないからねっ!」と言っていたそうな。
断罪の鉄槌を振り下ろしておきながら、これが厳重注意だというのだから本当に次はないのだろう。
恨むはこの糞ビッチ。恨みはらさでおくべきか! と叫びながら、
人類の夢を乗せたアポロ18号を揉みしだいてやりたい気持ちでいっぱいだが、
そんなことすれば前述と同じ結果を導き出すので逸る気持ちを押さえつけ、掃除する。
それ以前にこの女に桃源郷を求めたところでどうせ返り討ちがオチだろう。畜生、三次元に二次元を挟みやがって。勝ち目0じゃねーか。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:30:00.71 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「そういえばドクオ。魔法少女について結局話せず仕舞いだったな」
('A`)「あん?」
そういえば、昨日こいつがその魔法少女のことについて話そうとしていたら邪魔が入ったんだったな。
言われて見れば確かに、俺は理解しているようですこしもわかっていなかった。
……完全に巻き込まれている今「あ、はい」と軽快に流すことも許されないだろう。
「アーアーキコエナーイ」とか言いながら無視を決め込んでやりたい気持ちでいっぱいだが、
尻穴に糸こんにゃくぶち込まれそうなので余計に無視が出来ない。畜生が。
川 ゚ -゚)「丁度いい機会だ。掃除がてら聞いてくれ」
('A`)「ああ」
そういいながら俺は掃除に勤しむ。
で、この腐れビッチは漫画片手に布団に寝転び、くつろぎながら読み始める。題名は鍋の蓋の有効活用だ。
バイトの内藤が自筆したそうだが、全く売れないとのことなので100円で買ったものである。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:31:45.42 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「魔法少女というのは、通気性に優れた穴によって湯気が噴出し、そこから水分が消失するのである」
('A`)「おい本の中身混じってんぞ」
川 ゚ -゚)「蓋をすることによって、中身はよく蒸しあげられ、熱を篭らせることによって柔らかく出来る。よって魔法少女は存在する」
('A`)「もう魔法少女がただのお鍋の具になってるけどいいのか? お前はそれでいいのか?」
川 ゚ -゚)「田代砲とギャリック砲は似ているが、全く別物である」
放置しよう。そっとしておこう。今のこいつからはまともな情報など手に入らない。
手に入るといえば、役立つかもわからない鍋蓋の有効活用法ぐらいだ。目を通した結果、鍋蓋はほとんど使ってない上に途中から作者の自伝が入ってくる。
それ以前に表紙が既にシャーペンで手書きという時点で売れる気がしない。
ううむ。しかしどうしたものか。壁はなんとかなったものの、染み込んだ血とかは処理のしようがないぞ。
……ますますデスメタルをやってる人間の部屋みたいになってきたな。アコギが死ぬほど部屋に溶け込めてない。
川 ゚ -゚)「出し汁を取り終えた後の昆布は、魔法の鍋蓋におくことで風味も楽しめる」
もうお前は熱に篭らされて柔らかい魔法少女になれ。それが存在意義だろうが。
つーか話はどうした。完全に鍋蓋講座じゃねーか。何だかんだでもらえた休みをそんな講座で潰してんじゃねー。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:33:12.34 ID:ic37JU2f0
('A`)「お前は何読み続けてるんだよ。少しは手伝え」
川 ゚ -゚)「あ。良い所だったのに。今まさに昆布が出し汁の座をかけて炒り子と戦うシーンだったのに」
('A`)「そんなシーンあるのかよこの本。どんだけネタに困ったんだよ内藤」
川 ゚ -゚)「……で、なんだ。私に手伝えと?」
('A`)「逆に手伝わずに何するってんだよ」
川 ゚ -゚)「魔法少女のことについて話す」
(#'A`)「思いっきり鍋の話してたよなお前。魔法少女の存在意義が鍋の中で蒸し揚げられることになってたよな」
川 ゚ -゚)「ええいうるさい奴め。一瞬で片付けてやろう」
うるさい呼ばわりされ、挙句その場で畳に染み込んだ血を吹いている俺を「邪魔だ」と吐き捨て蹴飛ばされる。もう嫌こんな生活。
挙句、思いっきり部屋の壁を殴り、その殴りこんだ一部分を更に崩壊させる。
川 ゚ -゚)「万事解決だ」
もう何も突っ込むまい。どうせ魔法の力とかいうオチだろうが。
何でもありじゃねーか。あれか。殴るだけで何でも出来るとか常人離れしすぎだろうが。
川 ゚ -゚)「白銀のクーの名は伊達じゃねぇ」
白銀の要素が一切ないこの女に最早何を言っても無駄だろう。
だが、部屋がみるみるうちに白く染まり、目を瞑り、開いた瞬間に崩壊した壁や、血塗られた畳は元通りになっていた。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:34:55.49 ID:ic37JU2f0
('A`)「で、どうして壁や畳は直ってるのにタンスやソファはボロボロなんだよ」
川 ゚ -゚)「私が元通りに出来るのは一時間以内の出来事だ。かつそれも人知の及ぶ範囲でのみ可能だ。
加えてそれも制限付きの力でな。魔法が関与していない力のみ回復出来るようになっている」
('A`)「ほぇー」
川 ゚ -゚)「チッ。キメェ」
露骨に舌打ちされたが気にしない。こういう時は「そーなのかー」とでも言っておけばいいんだ。
いきなり真面目な解説挟まれてもこちとらそんなテンションじゃねーんだよ。
……いやでも、便利っちゃ便利だがやっぱり制限みたいなもんはあるんだな。何でもかんでも好き放題ってわけじゃないのか。
川 ゚ -゚)「まあそれはいい。とりあえず魔法少女について話すか」
('A`)「あ、はい」
川 ゚ -゚)「ちゃんと聞けよこの包茎野朗が」
('A`)「ならちゃんと話せよこの鍋奉行が」
二度目の舌打ちを食らいながら、ようやく話に入るのかと思ったが、そういうわけではなく急に背を向け玄関に行くクーさん。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:37:24.66 ID:ic37JU2f0
('A`)「どこいくんだよ」
川 ゚ -゚)「ここでちまちま話すより組織に行ったほうが早いと思ってな。ついてこい」
('A`)「組織っすか」
川 ゚ -゚)「ああ」
どうやら魔法少女には全てを統括する組織みたいなものもあるらしい。とことんぶっ飛んでやがる。
そういえば、コンビニのおでんの汁って酒飲んで、ちょっと酔いが覚めたぐらいの時に飲むと凄く美味しいよな。
川 ゚ -゚)「じゃあいくぞ」
ゆっくりと俺も立ち上がり、ゴミ箱の横に立てかけてある刀を取る。
……つーかこれ銃刀法違反じゃね? ばれたら警察に捕まるんじゃね?
川 ゚ -゚)「何を突っ立っている」
('A`)「いや、こればれたら捕まるよな俺」
川 ゚ -゚)「馬鹿が。ばれても刀身が見えなければ意味がないだろう」
('A`)「あ! そっかあ!」
川 ゚ -゚)「(うぜえ……)」
無言のままクーがさっさと部屋から出て行く。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:39:47.38 ID:ic37JU2f0
- ……そういえばおにゃのこが俺の部屋にいたんだよな。万年に一度あるかないかの事態じゃね? これ。
いや、でも考えたら昨日も一人いたから、二人ものおにゃのこが部屋にあがってたわけだ。
天変地異でも起きるんじゃねーのか……。 いやまて俺。冷静に考えろ。あれを女だと考えるのは止めよう。
ただおっぱいがあって、バナナがついてないだけだ。女じゃねーか。まあ、いいか。三次元に興味なんざねーや。
……待てよ。こいつを三次元認定していいのか? ただの基地外じゃなく、普通に魔法使ってるんだぞ?
なら二次元じゃないのか? ということは、まさかの二次元嫁完成なわけか?
止めよう。こんな不毛な考え。どうせどうあがいても最終的に腐れビッチで落ち着くんだ。
もういいや。さっさと着いて行こう。刀持って今からピクニックだ。
川 ゚ -゚)「やっと出てきたか。準備は出てきてるぞ」
('A`)「準備?」
川 ゚ -゚)「ああ。さっさと行くぞ。私に着いて来い。あれを使えば一瞬で組織まで一直線だ」
どうやら、組織に行くために何かしら準備をしてきたらしい。
やはり魔法少女というくらいだ。魔法を使った何かで移動するのだろう。
少しやり口が横暴な部分があったからな。なんとも信用しがたいというか、絶対に信じたくなかったが、今回ばかりは信用できそうだ。
さて、その移動法でも拝むとしますかね。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:42:52.06 ID:ic37JU2f0
「まいどー」
川 ゚ -゚)「待たせたな」
('A`)「これは……」
高々と『TAXI』というキャッチコピーを上部につけている魔法の乗り物。
それはある交換条件を元に召還することの出来る通常の速度の何倍もの速さで走ることの出来る魔法具。
その名も……。
('A`)「どう見てもただのタクシーです。本当にありがとうございました」
川 ゚ -゚)「三丁目の士農田工場まで」
「あいよー」
魔法少女の組織はどうやら士農田工場らしい。
どう考えてもただの会社です本当にありがとうございました。
いや、でも考えろよ俺。やはり魔法少女というぐらいだから、
この世から姿を隠しながら闇に身を潜め活動しているのやもしれない。
川 ゚ -゚)「夕飯なんだろう。みんなで鍋とかしないかな」
あり得ない。そんなはずがない。闇に身を潜めて活動しているのならどうして今夕飯の話なんだ。
畜生。やっぱり少しでも期待した俺が馬鹿だった。こんなナリの奴を信用した俺が一番に馬鹿だった。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:44:52.45 ID:ic37JU2f0
「そういや大変だねお宅の会社も」
川 ゚ -゚)「ああ……。本当にな」
('A`)「なんだ? この人知り合いか?」
どうやらクーはこの運転手のことを知っているようだった。
魔法少女と関連しているタクシーの運転手ということは、やっぱり何か特別間柄や、情報網みたいなのがあるのかもしれない。
こんなナリをしているが、ひょっとしたら隠密だったり情報屋なのかもしれない。
川 ゚ -゚)「ああ。いつも世話になっている」
「何を言うのやら。私こそいつも世話になっているよ」
やはりそれっぽいな。タクシーの運転手などといって馬鹿にしていたが、魔法関連で繋がっているみたいだ。
侮れない魔法少女。少し話を聞いた方が今後のためかもしれない。
「しかし本当に大変だねえ……。石鹸、今の世の中売れないだろう?」
川 ゚ -゚)「ああ。全くボディソープなど使ってる奴の気がしれんよ」
(゚A゚)
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:46:44.82 ID:ic37JU2f0
「君に言われてから私も石鹸を使っているよ。やっぱり日本人は石鹸だね」
川 ゚ -゚)「そうだろう。これからも是非うちを頼む。私はボディーソープ派だがな」
(゚A゚)
どう考えてもただの石鹸屋でした。本当にありがとうございました。
え、何。魔法少女の組織っていうのは石鹸屋で、東方アレンジバンドで、ガイ長なわけか?
確かにそりゃ、音楽で人を魅せたりというチャームの魔法や、石鹸という風呂場で大活用される魔法の泡が出る魔法具かもしれない。
……んなわけねーだろうがどう考えても。ただの石鹸屋だよこいつの組織。
つーかもう組織というかより会社じゃねーか。本当にただの士農田工場じゃねーか。
「と、言ってる間に着いたよ」
川 ゚ -゚)「お。着いたか。……どうしたドクオ。車酔いか? この距離で酔うとか情けない奴だ」
(゚A゚)
最早喋る元気も突っ込む気力も残っちゃいない。
組織というよりかは秘密結社的なものを想像して、その状況を地味に考えていた俺からすればあまりにダメージがでかすぎた。
川 ゚ -゚)ノシ「おーい。降りるぞー」
今まで幾度にも渡り騙され続けていたが、今回に関しては肥大化した俺の妄想が原因だというのだから完全に怒ることも出来ない。
そして俺は今からその石鹸屋を営む士農田工場へと入らなきゃならないわけだが、そんな石鹸を作り続けている工場に入って一体何になるというんだ。
……逃げるべきか? 全力で逃げたら流石になんとかなるだろうか。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:50:27.81 ID:ic37JU2f0
「ああクーさん。御代は後で社長から請求するからいいよ」
川 ゚ -゚)「おお。いつも悪いな」
「なに、良いってことよ。んじゃまたどうぞよろしく」
川 ゚ -゚)ノシ「てんきゅー」
そうこうしている内にタクシーから引き摺り下ろされ、首根っこを捕まれながら俺はずるずると地面とこんにちは。
ああお嬢さんお尻が痛いです。痔になっちゃいます。
('A`)「はっ」
川 ゚ -゚)「ようやく気づいたか。さっさと歩け」
逃げ出す算段を立てていたのに、もうすぐ側にどこにでもありそうな工場が見えている。
そして『士農田工場』という看板が横には立っており、目的地が目前に迫っていた。
これはもう逃げても仕方ない。覚悟を決めて行くか……。いやしかし、ここで諦めてどうする。諦めたらそこで魔法終了だ。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:53:23.29 ID:ic37JU2f0
('A`)「あばよぱっつぁーん!」
立ち上がり急いで走り出すが、
('A`)「うぐへぇ」
何かが首に引っ掛かっている。
川 ゚ -゚)「何をしているんだお前は」
('A`)「チョゲプリィイイイイイイイイイイイイ」
ふと首元を見れば、そこにはクーさんの手があった。そういえば俺は首根っこを捕まれていたんだったな。
なんでそんなことにも気づかず走り出そうとしているんだ。俺は馬鹿か。馬鹿真っ盛りか。
数を数え始めたら1、2、……いっぱい! みたいなセリフを吐くようなレベルじゃねーか。
('A`)「目が覚めたぜクーにゃん」
川 ゚ -゚)「(キメエ)」
覚悟を決め込み、口内に広がる生唾を一度飲み込む。
目の前にはシャッターの閉まった扉。そしてそのすぐ横に出入り口となり得る押し引きすることで開く、良く見るタイプの扉があった。
鍵はどうやら開いているらしく、クーはさっさと入っていく。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 02:56:29.39 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「早く入って来い」
('A`)「は、はい」
突如現れた真面目展開にびっくりな俺だが、
流石にこれからこのトチ狂った奴らのすくつ(何故か変換できない)に入り込まなくちゃならないと考えると嫌な脂汗も流れるってもんだ。
('A`)「痛く、しないでね。優しくしなさいよ」
川 ゚ -゚)「きめえ氏ね」
('A`)「酷いわくーにゃん」
一歩足を踏み入れればそこには泡立つ芳香剤の香り。などという展開はなく、工場内は割と普通だった。
どう普通かといえば、何か特別機械があって、石鹸が作られているというわけでもなく、荷物でいっぱいというわけでもない。
どちらかというと少し屋根の高い家みたいなものだった。
普通にロングテーブルやら、椅子やら、二階に昇るための階段やらと、ある意味で常軌を逸していた。
あまりに普通なので拍子抜けしたのか、俺は思わず溜め息を吐く。
「よくきたな若人よ! 歓迎するぞおおお!!」
(;'A`)「何? 何なの? 何この展開。どこにいるの? は? え?」
突然の叫び声。完全に油断していた。そうだ。ここはいうなれば敵陣だった。
そう思えば最早何が起きても動じない。例えば炎が飛んで来ようが、氷が飛んでこようが、昨日レベルのことならもう何も驚くことはないだろう。
そりゃ、ちょっとくらいびびって失禁するかもしれないが、まあ、失禁程度のレベルで済むなら安いもんだ。
最早これ以上落ちようがないくらい俺の立場は落ちてるしな。よし来い。覚悟は固まった。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:00:31.25 ID:ic37JU2f0
「ここだ少年!」
上から響いている声。そうか、上だな!
('A`)「だr……」
(´・ω・`)
__〃`ヽ 〈_
γ´⌒´-−ヾvーヽ⌒ヽ
/⌒ ィ `i´ ); `ヽ
/ ノ^ 、___¥__人 |
! ,,,ノ爻\_ _人 ノr;^ > ) 「よくきたな!」
( <_ \ヘ、,, __,+、__rノ/ /
ヽ_ \ )ゝ、__,+、_ア〃 /
ヽ、___ ヽ.=┬─┬〈 ソ、
〈J .〉、| |, |ヽ-´
/"" | |: |
レ :|: | リ
/ ノ|__| |
| ,, ソ ヽ )
.,ゝ ) イ ヽ ノ
y `レl 〈´ リ
/ ノ | |
l / l;; |
〉 〈 〉 |
/ ::| (_ヽ \、
(。mnノ `ヽnm
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:02:17.64 ID:ic37JU2f0
(゚A゚)
失禁した。何このマッチョ。背筋が永久的に凍りつくほどの衝撃的映像。
何せ目の前にいる男は赤色のふんどし一丁なのだ。加えてあのマッスルボディ。
そして極めつけは、そいつが上から見ているということだ。
つまり、今俺にはふんどしに入りきっていないはみ出たがんもと、ちくわの皮と、糸昆布という地獄絵図が広がっている。
ああ、ここはまさに極楽浄土ですね。だってもう今目からクラミジアがうつりそうですもの。
川 ゚ -゚)ノ「ようショボン。帰ったぞ」
(´・ω・`)「ふははは! よく帰還したな!」
糞……まさか視覚破壊兵器で来るとは思わなかった。魔法ぐらいならと甘く見ていた俺がアホだった。
最早あれは魔法なんかじゃねえ。あれは魔術だ。それも黒魔術の粋に達してやがる。
つーかもうそもそも魔法少女の『少女』の要素が一欠けらも感じられやしねえ。何をもって魔法少女なんだよコイツら。
そりゃ確かに俺でもなれる罠魔法少女。だってもう女でも小さくもなければ、目の前のあのマッチョに関してはどう見ても肉弾戦専用ですもの。
みつをさんよ……。この光景を見てもあんたはまだ人生は素晴らしいと思えるかい?
(´・ω・`)「とうっ!」
巨漢のマッチョが大きな音を立て、砂埃を撒き散らせながら目の前に着地する。
全長2メートルはあるだろうか、目を合わせようにも首が痛くなりそうだ。
というか、近い。近い近い近い。なんで半径30センチも空いてないところまで近づくんだよ。何話すんだよこの距離で。
お前拳で語り合うみたいなベタな展開誰も期待しちゃいねーぞ。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:06:23.46 ID:ic37JU2f0
(;'A`)「な、なななんですか」
心では饒舌になれても、いざ口に出すと噛みまくる俺がいるわけで。つーかこんな奴にまともに会話できる奴いるのかよ。
……いや、いたわ。それも俺より小さい、かつ女でいたわ。
(´・ω・`)「まずは……拳で語り合おうじゃないか!」
(;'A`)「だからそんな展開誰も望んでNEEEEEEEEEEEEE!!」
(´・ω・`)キュ「ふんっ!」
轟音。空を裂く音。やっぱりこいつ間違っても魔法少女じゃねえ。お前にそんな可愛らしい要素は一つもねえ。
間一髪、ギリギリで今のは避けれたが、次はない。間違いなく次はない。ああ、そんなこと言ってる間にも次の攻撃モーションに入ってるよこの人。
つーかさっきの轟音からして、あんな鉄拳まともに食らったら俺再起不能じゃね? 流石にあれはもう人知の及ぶ範囲じゃなくね? やばいよな。どう考えてもあれやばいよな。
いやあああああ止めてええええええええええこんな奴に殴られて最後とかいやああああああ!
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:08:14.86 ID:ic37JU2f0
「手前は客人に何やってんだよぼけがああああああああああああ!!」
(´・ω・`)+キュピーン「むっ!」
攻撃態勢に入っていたマッチョの体が止まる。一瞬動きが止まったが次の瞬間思いっきりサイドステップを踏み、軽やかに俺の視界から消える。
そして、次に俺の視界に入ってきたのははだけたスカートの中にある白いパンツと、殺傷能力満々の足g
Oノ<るああああああああああああ!!
ノ\_・'ヽO.<ぎゃー
└ _ノ ヽ
〉
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:11:11.69 ID:ic37JU2f0
(´・ω・`)「ハイン君か! はっはっは! 惜しかったな!」
从# ゚∀从「惜しかったな! じゃねえよ糞が! お前毎回言ってるだろうが! 何で客人にいつも殴りかかってんだよ!」
川 ゚ -゚)「おいハイン」
从#゚∀从「ンだよクー。今は社長と話してんだろうが!」
川 ゚ -゚)「いや、それはいいが、この場合だと殴るというか、蹴り飛ばしたのお前だぞ」
从;゚∀从「はい?」
そんな白パン赤髪女にやられた俺はヤムチャみたいに倒れている。
はっきり言おう。確かに良い物は見れた。だがな、仮にそんなもんが見えてもこの有様では話にならない。
そりゃ確かにあのマッチョに殴られるよりかは安いものかもしれないが、あくまであれは殺人レベルの話であって、
こっちは生きてるけど、あまりに生きてる実感が持てないレベルだ。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:14:06.45 ID:ic37JU2f0
真っ赤な血潮を吹き散らせながら、殴られる俺。死人に鞭とはまさにこのことである。
だが、ここで問題なのは殴られることで回復出来るということである。
最早神経が完全に麻痺しきって半分以上気絶状態の俺であったが、
徐々に視界もくっきりと映り始め、痛みが引いていく。
そりゃ確かに痛みからは解放されるが、毎々毎々殴られるとかなんとかならないものだろうか。
いっそこのまま楽になれたらいいのに。
('A`)「しかし待ってる現実はどう見ても復活です。本当にありがとうございました」
从;゚∀从「お、客人。すまなかったな。無事か?」
赤色の髪、恐らく手入れなどしていないのだろう。完全にぼっさぼさで、かつ色んなところが寝癖か何かで跳ね返っている。
しかし、これまでの言動を聞いている限りでは悪い奴ではなさそうだ。
ちなみに俺の目から見て中々レベルは高い容姿である。つーか俺が最近であった魔法使う奴らみんなスペック高すぎるんだよ。
なんでそんだけのものがあって、お前らやってることがこれなんだよ。アホか。アホ真っ盛りか。このパンツ食パンマンが。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:18:02.51 ID:ic37JU2f0
('A`)「あ、はい。なんかとか無事ッス。オッス」
从 ゚∀从「そうか、ならいいんだ。俺はハインだ! お前は?」
('A`)「ドクオッス。オッス」
前述でも言ったように、俺はいかに心の中でボロクソに言えても口には出せない男だ。
ましてや相手が女性となると更に状況は悪化する。もう喋るに喋れやしない。
今回に関しては完全にDQN口調なもんなんで用意に喋ることもままならない。
……と、いうのが今までの俺だったんだが何かとんでも事件が多すぎたのか頭のネジがぶっ壊れたのだろう。
普段に比べたら別に全然しゃべてはいる。二言だけだけど。
(´・ω・`)「手荒な真似してすまんな! だがこれが俺流の挨拶だ!」
从#゚∀从「テメェいっつもそれは止めろってつってんだろォが」
(´・ω・`)「止めれるぐらいならやりはしないさ。はっはっは」
从;-∀从「はァ……」
なんともバタバタしている個性溢れる連中である。
メンヘラチックなクールじゃない素直クール氏に、ショボンと呼ばれているくせに全くショボンとしていない、
むしろ全然シャキンと言った感じのショボンさん。
そしてハインと呼ばれる口とガラの悪い白パンツ。
どうみても変態の集まりです。本当にありがとうございました。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:22:28.63 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「ああ、で、ドクオ。このマッチョが私たち魔法少女を統括する社長だ」
('A`)「はい?」
川 ゚ -゚)「いや、だから社長だ」
(´・ω・`)「そうだ! 俺が社長だ!」
魔法少女……だったよな。そんな名前の集まりを統括する長が、えっと。
(´・ω・`)←これ? これなの? 本当にこれなの? いやだってマッチョじゃん。赤フンじゃん。つーか男じゃん。
しかも明らかに俺より年上じゃねーか。しかも魔法使えそうな要素0じゃん。で、え?
これがそんなお前らを統括する人なわけなの? 馬鹿なの? 死ぬの?
从 ゚∀从「信じられねェかもしんねェけどよォ。事実だゼ」
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「どうした? 固まって」
('A`)「オレ、ヨウジオモイダシタ。カエル」
川 ゚ -゚)「誰が逃がすか。よく覚えておけ。どうせこれからも会わなきゃならんのだ」
(;A;)「いやああああああ! 贅沢は言わないけどこれが魔法少女で、かつトップだなんていやああああああああ!」
(´・ω・`)「はっはっは!」
のんきに笑っていやがるしょぼくれ顔の不気味マッチョ。
ひとしきり笑い終えるとぷるん、と大胸筋を揺らす。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:26:21.85 ID:ic37JU2f0
(;A;)「いやあああああああ!」
小学生が見たらどう見てもトラウマものである。
大人の俺ですら、既に精神崩壊を起こしているのだ。散々引っ張り続けてきた魔法少女といえど、誰がこれを想像するだろうか。
これがトップで、これが魔法少女と名乗り、しかも組織名は士農田工場だぞ。
こんなオチで、一体誰が得をして、誰が喜ぶんだよ畜生。
川 ゚ -゚)「まあどれだけ悲しんでも事実は変わらんからな。それじゃ、魔法少女について話すとしようか。ハイン、お茶を頼む」
从 ゚∀从「あァん? 何、こいつは新入りとかなのか?」
川 ゚ -゚)「いや、正確には入社するわけじゃない。ほら、この前話した新戦力だ」
从;゚∀从「あァ? じゃあこの貧弱そうなのがあの無敵と呼ばれる刀を抜いたってのか?」
川 ゚ -゚)「ああ。これから来る脅威に対抗できる唯一の魔法使いだ」
从 ゚∀从「こいつがねェ……」
(;A;)「ぴゃああああああああああ!!」
从;゚∀从「(マジで……?)」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:29:18.96 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「まあいいからお茶を。とりあえず適当になだめて話をしておく」
从 ゚∀从「あ、あァ。了解だ。んじゃあまァ、茶入れてくる」
川 ゚ -゚)ノシ「頼んだ」
さて、しばらく俺置いてきぼりで話が進んだわけだが。
どうやら、今から魔法少女のことについて話されるらしい。
既にショッキングな事態を目の当たりにしておきながら、更に追い討ちをかけるってのか。
きっとまたとんでもないぶっ飛んだ話が出るんだろ? わかってんだよもう。
しかも俺が理解出来る範囲の遥か斜め上を行くんだろ?
川 ゚ -゚)「それじゃ、話すか。おいドクオ。ここじゃなんだからとりあえず、そこに座れ」
('A`)「ふぁい」
指されている方向に向かい、椅子に腰掛ける。目の前にはロングテーブル。
そしてクーが座って、トップと呼ばれる男、ショボンという名の魔法少女が座っている。
しかし一度真面目に話をしたかったとも思っていたから丁度いい機会だ。
今のうちに理解しておかなければ俺がついていけない。そもそもついていきたくなくとも既に完全に巻き込まれているのだから状況を理解しなきゃ話にならない。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:31:31.94 ID:ic37JU2f0
(´・ω・`)「さて……。ドクオ君だったな。君はどこまで魔法少女について知っているんだ?」
急に真面目なトーンで喋りかけてくるしょぼくれマッチョ。
いや、確かに真面目に話したいとは思ったが。思ったが、なんでお前なんだよ。さっきまであんなことしておいていきなり真面目かよ。
流石の俺でもその変貌ぶりはついていけねーぞ。……と愚痴をぼやける辺り、少しは余裕が出てきたみたいだな。
ここ二日で成長したもんだぜ俺。
('A`)「いや、全くといっていいほど知りません」
(´・ω・`)「そうか……なら、まず何故魔法少女が存在するかを話さなくてはならないな」
('A`)「はあ」
(´・ω・`)ン□カンペ「『世界征服』を目論む悪い魔法使いをやっつけるための組織だ。
また、警察が太刀打ち出来ない相手を倒す依頼や、裏商売として闇討ちなんかもやっている」
物凄い棒読みです。本当にありがとうございました。全然真面目な会話になりませんほんt(ry)
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:34:37.78 ID:ic37JU2f0
いやでもしかし、まさか本当に活動していたとは。警察が太刀打ち出来ない相手と戦うとか、完全に隠密行動だよな。
それを倒すとなると、完全に一つの組織じゃねーか。……しっかりやってるとはやっぱり驚きだわ。
確かに、魔法は使えるし、この人の筋肉凄いってレベルじゃないし、ハインって人も何だかんだで人間離れした運動神経だったし。
真面目な話が出来るの今ぐらいだろうな。だとすれば聞けることを聞いておこう。
('A`)「あ、悪い魔法使いとかも、何か全て統括して呼び名とかあるんじゃ……」
(´・ω・`)「ああ。勿論ある。が、混乱を招かなぬように、はぐらかしていたんだ」
('A`)「……その、名前は?」
ごくり、と生唾を飲み込む。だがしかし、飲み込めども飲み込めども溢れて来る。
と、描写してみたのはいいが、別段びっくりするような発表でもない。
何せただの総称なんだから、別にかしこまることもないだろう。
どうせ厨二病ネーム満載のぶらっく☆きゃっととかそんなもんだろうよ。
(´-ω-`)「……津野田建設だ」
(゚A゚)
……わかってた。薄々気づいてたさ。どうせまともな名前じゃないことぐらい。
そりゃな、魔法少女、もとい士農田工場という時点で期待なんか出来なくなったさ。
でも、でもだぞ? いくら何でもライバル的ポジションであるお相手さんの方までこうなるとは誰が想像するってんだ。
仮に想像できても現実問題そうなってるなんてあり得ないだろうが。……あり得てるんだけどな! 今こうして! 糞が!
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:37:19.13 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「ショックな話かもしれないな。あの大手の建設会社、津野田建設が相手なのだから」
いや、そこじゃねえよ。別に大手会社が敵だとかそんな論点じゃねえよ。
そもそも現実の会社をそこに出してくるなよ。どう考えてもTHE・場違いだろうが。
何でこうもっとファンタジーチックな名前が出てこないんだよ。普通形から入るべきだろうが。変に現実味増さしてんじゃねーよ。
从 ゚∀从「茶ァ持ってきたぜー」
川 ゚ -゚)「お、せんきゅー」
コト、と音を立て、木材で作られているロングテーブルに湯のみが置かれる。
その湯のみに士農田工場と掘られているのは敢えて気にしない。むしろもうそんなところに構っている余裕はない。
('A`)「どもっす」
だがお礼は忘れないのが人間である俺の最低限のモラル。そういえばモララーさん誕生日おめでとうございます。
(´・ω・`)「そこでだ。君の力が必要なんだ」
('A`)「ほえー?」
最早どうにでもなーれ☆ 私ケーキ屋さんになるの! えへへ!
だってもう真面目にやろうが、どうしようが結局待っているのはこういうオチなんだ。
ならもういいじゃないか。いっそ楽になっちまおう。その方が人生楽しめるってもんだ。だって人間だもの。
- 40 名前: ◆fMqrvr1rTs 投稿日:2009/04/12(日) 03:42:19.58 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「お前はあの伝説の刀を抜いた男だ。あれは『勝利』を呼ぶ刀だ」
('A`)「おい待てそれ以上は流石に不味い。リアルタイムに残ってるのは駄目だ」
川 ゚ -゚)「……無敵と呼ばれるものなのだ」
言い直しやがった。
(´・ω・`)「その刀を使えるものを探したんだ。魔力を持つ者を手当たり次第に当たって来たがみんな駄目だった。
諦めかけていた時、ぎらぎらと光を放っている魔力を持っている者がいるとクーが言ってきたんだ」
('A`)「そーなのかー」
……あ。そういえばだが、今日は新作ゲームの発売日じゃねーか。
発売決定して、予約受付をした瞬間誰よりも早く予約して、この日のためにずっと手付けずの現金を持ち歩いているんだった。
大家さんに渡す金はなくとも、これだけは絶対に使うまいと心誓っているこの金を使う時がようやく来たか……。
まあ、今はPCが使えないが、それでも初回特典、予約特典がついているからな、問題ない。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:45:49.41 ID:ic37JU2f0
川 ゚ -゚)「その力を、私たちに貸して欲しい。というか貸せ」
今何時だ? 店が開いてから恐らくすぐに初回限定特典はなくなるだろう。
しかもあの競争率の高い店のことだ。確実に限定ポスターもなくなっちまう。
川 ゚ -゚)「おいドクオ」
やばいな。こうなると流石の俺でも太刀打ち出来ない。
そういえば初回限定はあの店に限り、マウスパッドと限定フィギュアがついてくるんだったよな。
こうしちゃいられねえ。もう昼を過ぎてんだ。ここにいた時間すらタイムロスじゃねーか。
このままだと不味い。急いでいかなくては。
川#゚ -゚)「また無視か」
言葉など待たず、問答無用と言わんばかりに、拳を振り下ろしてくるクールさん。
しかし毎度毎度と食らってなどいられない。とっさに身を半回転させ、ボクサー顔負けのフットワークで避ける。
('A`)「悪いな! 急ぎの用事を思い出した!」
(´・ω-`)「まあ待って貰おうか。まだ答えを聞いていない」
思いっきりに飛び出そうとした瞬間、突然前に現れたマッチョに羽交い絞めにされる俺。
ちょっとまて、俺が何をした。むしろ何かされっぱなしじゃないか。
それ以前にたまには俺にもいい格好させろ。毎回毎回やられっぱなしな上に何もしてないだろうが。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:48:14.20 ID:ic37JU2f0
从 ゚∀从「話を聞いてねェのかお前。 力を貸せってんだよ」
(;'A`)「はい?」
やばい。何も聞いてなかった。そういえばクーが何か俺に言ってた気がするが、ゲームのことに完全に気をつけられていた。
で、何だって? 力を貸せって? なんだ、石鹸の仕事か? いや、しかしこの状況は流石に不味い。
仮に今逃げ出せても、あのマッチョに追いかけられたらひとたまりもない。
そうなれば、とりあえずここは了承しておこう。どうせ石鹸を作ることぐらいだろう。
(;'A`)「ああ! 貸してやる! だが今は勘弁してくれ! また後で頼む!」
(´・ω・`)「よし! いい返事だ! ならばその用事とやらを済ませてくるがいい!」
(;'A`)「よし、じゃあまた!」
从 ゚∀从「んだよ。何急いでんだあいつ」
川 ゚ -゚)「さあ?」
そんな暢気な声が聞こえたきたが、それは無視して俺は急いで某ゲームを買いに行く。
そのゲームの名は『魔法少女みらくる☆ぺいんと さーど』だ。
どう見てもロリロッリのパッケージだが、この世界に出てくる登場人物はみんな18歳以上である。
やれやれ。最近のゲームやアニメといった業界は大変だな。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:51:17.96 ID:ic37JU2f0
―――――――色々ありましたが長すぎるため省略されました―――――――
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:53:40.89 ID:ic37JU2f0
(;'A`)「ふう……。なんとか手に入れたぜ」
場所は近所の公園。今日はどうやらサラリーマンもカップルもいないみたいである。
おかげで俺は今こうして、目的のブツを手に入れ、汗をかきながらも緩んでしまう表情をなんとか抑えながら色々な特典+現品を袋越しに眺めることが出来る。
給料が入ったらなんとか液晶を買おう。くそう、やっぱりいいなあ。可愛いなあメインヒロイン。
だってスク水だぜ? スク水が魔法少女の正装だぜ?……どっかの魔法少女は赤フン一丁だが。
……止めよう。今はこのことについて考えるのを。
あと、勝手に俺の武勇を省略すんな。どんだけ必死に汗苦しい中で?ぎ取ったと思ってんだ。手を抜きやがって。
そういえば、久しぶりに自分のために動けた気がする。昨日といい今日といい完全に振り回されてたからな。
いやー、空が綺麗だ。金髪美少女が振ってくるぐらいだし、な……?
(;'A`)「はいい!?」
「聞いたわよ。アンタ、あの刀抜けるみたいね」
('A`;)「……やべえ」
着地点は既に砂埃にまみれているが、既にそこにあの女の姿はない。
何せ、俺の後ろに今立っているのだから。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 03:58:15.32 ID:ic37JU2f0
ξ゚听)ξ「面倒なことになる前に、あんた、消えてもらうわよ」
(;'A`)「ず、図に乗るなよ! お前らが恐れる刀の力、ここで試してやるぜ!」
そうだ。何を怖がっているんだ俺は。相手の能力がコピー出来て、無敵と称されるあの刀があれば、なんとか倒せるんじゃないか?
……随分と俺もゲーム脳になってきてしまっているが、現実問題、そんなことが起きているのだから仕方ない。
それに加えて、俺に力があるというのだから試したくなるというものである。
ξ゚听)ξ「ふーん……。で、あんた」
(;'A`)「な、なんだよ」
ξ゚听)ξ「その、刀はどこよ」
(;'A`)「え?」
俺が握っているのは初回限定版特典ポスター『魔法少女みらくる☆ぺいんと』のヒロイン三人が描かれているものである。
もう片方の手には、そのヒロインのフィギュアと、ゲームソフトの入った袋である。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:01:43.96 ID:ic37JU2f0
('A`)「どう見ても組織に忘れてきました。本当にありがとうございました」
ξ#゚听)ξ「氏ねえええええええええええ!!」
(;'A`)「うわ、ちょおまっ」
前方がいきなりの大爆発。こんな公園内でいきなりメラゾーマですか。
今はただでさえ下手に攻撃できないというのに、なんてことしてくれやがる。
……しかし困った。武器もなければ、今ここにネタ的なオチがつけられる要素もない。
加えて、クーさんもいなければ、味方と呼べる者が0の状況だ。これは、流石に死んだんじゃないか俺。
(;'A`)「冷静に考えてる場合じゃねー!」
ξ#゚听)ξ「でぇりゃあああ!」
(;'A`)「ひぃー! 誰かお助けー!」
「助けてやろう! 少年よ!」
そんな声と共に突風。天候は全く悪くなく、むしろ快晴である。なのにも関わらず突然強烈に風が吹き荒れ始める。
目を閉じて、物が飛んできても顔に当たらないようにと、両腕で顔を隠す。
しばらくして、風は止み、目を開くとそこに立っていたのは……。
(´・ω・`)「怪我はないか!」
変態だった。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:06:34.64 ID:ic37JU2f0
ξ゚听)ξ「……」
('A`)「……その、どうして野外でもその格好なんですか」
外だというのにも関わらず、この人は全身の筋肉を晒しながら、男たちの大和だけはしっかり隠すように赤い布が覆っている。
つまり、あの赤フン一丁の姿でやってきたのだ。
(´・ω・`)「馬鹿者! これが俺の正装だ!」
そんなことを叫ぶ変態野朗。その叫び声に呼応して、
赤フンの垂れ下がった布が大きく舞い上がる。
(´・ω・`)「きゃっ」
小さく悲鳴をあげるその変態の顔は微妙に紅潮していた。
正直これ以上見てられないぐらいの変態っぷりだ。
(´・ω・`)「覚悟するんだな! この私が相手をするのだから!」
そういってようやく戦闘モーションに入る。
しかしながら全くといっていいほどに格好がついていない。
どうしてこうも魔法少女というのは変態ばかりが多いのだろうか。
それ以前にこいつを魔法少女と認めてもいいのか? いや駄目だろ普通に。少女じゃないし、赤フンだし。
そんな相手を倒さなきゃならないツンデレ少女をちらっと見てみると、完全に戦意喪失していた。
目は宙を泳いでおり、最早戦う意思は全くといっていいほどにないだろう。
考えてもみれば、いきなり赤フンの変態が現れて戦いを挑んでくれば誰でもこうなるだろう。ましてや彼女は女性だ。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:09:23.45 ID:ic37JU2f0
そんな彼女が取るべき行動は、もはや一つ。
俺はその行動に期待しながら、見つめている。そしてようやく言葉を紡ぎ始める。
ξ゚听)ξ「……日を、改めるわ私」
('A`)「その方がいいと思います。本当に」
ξ゚听)ξ「は、はは。ありがとう。じゃ、また……」
('A`)「出来れば二度と会いたくないですが、ええ」
そういうと彼女は思いっきり膝を曲げ、一気にジャンプしたかと思えば宙に浮いていた。
ξ*////)ξ「お、覚えてなさいよー!! キィー!」
あんな典型的なセリフを吐く子初めて見た。
しかし、こんな簡単に毎回適当に戦わずに済んでるけど、いいのか?
一応こういう展開があると、戦うってのはセオリーだろう。
しかも今は新キャラ的ポジションが二人もいて、その二人ともの力も見えずに終わるってのはいいのか?
……まあ、俺としては戦わずに済むならそれでいいんだが、ただこれは、いいのか?
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:13:14.21 ID:ic37JU2f0
(´・ω・`)「何やら、不満そうだなドクオ君」
('A`)「へ? え? 何で……」
(´・ω・`)「ふふふふ。顔にそう書いてあるぜ」
('A`)「い、いや。別にそんなことは……」
(´・ω・`)「どうやら、俺の力が気になるようだな」
(;'A`)「い、いや別にそんな」
不味い。この展開は非常に不味い。
これは間違いなく「ならば、俺の力をその身をもって知るがいい!」といった感じのフラグだ。
(´・ω・`)「ならば、俺の力をその身をもって知るがいい!」
(;'A`)「こういうときだけ思い通りに進んでんじゃねー!」
(´・ω・`)「では行くぞ! 歯を食いしばっておくんだな!」
……前略お父様、お母様。僕は都会の街へと夢見て飛び出して、もう何年も経ちました。
都会の街というのは凄いもので、毎日毎日飽きることなく新しい発見がありました。
でも、僕の目の前にいるのは凄いなどというレベルの話で片付くものではありません。
だってあれ……どうやって攻略すんの? ってくらいの無理ゲーです。まず姿が見えない上に、全方位から魔方陣が出てきている始末です。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:16:16.85 ID:ic37JU2f0
(´・ω・`)「さあ、パーティの始まりだ!」
ど派手な爆発が起きた後、魔方陣が一挙に光を放ち始める。
……これ、身を持って知るとかいうレベルの話じゃなくね?
いやまて、いつものパターン的に、こうなると大体夢オチが待ってるってもんだ。
毎回毎回、そうやって何だかんだ危機から救われてきたんだ。だとしたら、きっと今回もそうなるはずさ。
そうだろ? なあクーさんよ。
その頃クーさんはというと、
川 ゚ -゚)「お、ロン」
345 88 三四五 (345) 東東東 西 ドラ 北
从;゚∀从「はァ!? また地獄単騎かよ!」
「やるねえ嬢ちゃん。裏まで乗って倍満ったあ怖いねえ。」
从#゚∀从「きぃいいいいいいいいいいいい!」
ハインたんと一緒に雀荘へ行ってましたさ。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:20:48.39 ID:ic37JU2f0
あれから何秒経ったのだろうか。一瞬の刹那から感じ取れる痛みは耐え難いものだった。
無限に続いているのではないか、と思うぐらいの爆発に、消えることのない魔法陣。
力の差は歴然だろう。この人がいかに強いかはよくわかった。
そして、また夢オチが待っているだろうと思っていた俺は今、こうしてヤムチャになっている。クーさんに期待した俺が馬鹿でした。
(##A##)「どう見ても現実です。本当にありがとうございました」
(;´・ω・`)「やべえ。やりすぎた……どうしよう」
それだけ聞こえて、俺の意識は完全に断たれた。状況的に言えば、フルボッコにされて、致命的なダメージを受け、倒れこんだというものである。
意識が戻ってから聞いたことだが、どうやらあの後ショボンさんは組織がらみの病院へと連絡し、俺は救急車に運ばれた。
治療費などといったものはショボンさん負担である。いや、当然なんだが。普通に考えて暴行罪だし、殺人未遂だし。
……とはいえ、こいつらにそんな常識は勿論通じないだろう。畜生が。つまり、完全にあの人の良識な判断のおかげで今こうして病院のベッドで横になっている。
ありがとうショボンさん。心からありが……
(#'A`)「誰が礼なんか言うかこの糞マッチョが!」
小さな個室の中、俺は体を起こし思っていることを全て一言にまとめて叫ぶ。
今目の前には、この数日間で出会った人が全員揃っている。店長は除くが。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:27:35.18 ID:ic37JU2f0
(;´・ω・`)「はっはっは、すまんかった。本当にすまんかった」
(#'A`)「第二話で全治1ヶ月の怪我を負ってる主人公なんざいねえよ!」
川 ゚ -゚)「運命、だな……」
(#'A`)「しみじみ言ってんじゃねー!」
これが運命だってんなら神様はどんだけ俺に苦労を強いてやがるんだ。ふざけろ神畜生野朗。
まだこれが何話か引っ張った後に現れた強敵と戦い、それによって大怪我を負った。
ってんなら話は別だが、今回は変態のフルボッコのせいなのだ。
しかも相手は味方なのだ。敵ならまだ納得しよう。俺が弱かった。それだけの話で済ませられる。
しかしどうだ! 相手はあれだぞ! 味方のトップで、赤フンで、かつ石鹸屋な最強だぞ!
加えて病院にまで赤フンで来てんじゃねえ! 捕まれこの野朗!
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/12(日) 04:29:12.20 ID:ic37JU2f0
いきり立ち、立ち上がろうとすると全痛覚がデラベッピン状態になり、うずくまるが、せめて何かしてやろうと腕を振り上げるのだが、
(*#゚∀゚)「うるさいよっ! 病人はおとなしく寝てな!」
そんな俺の痛みを全く理解してくれないつーさんは思いっきりに俺にリバーブロー。
嗚咽と共によだれを垂れ流しながらベッドへと蹲る。
(;'A`)「ち、畜生……悪いのは俺じゃないのに……」
そんな俺の愚痴は誰の耳にも届かず、半強制的に布団の中へ入る。
……これから俺はどうなるんだろうか。一ヶ月間はこの病院にいるものの、それから一体どうなるんだろうか。
一ヶ月もバイトを抜けていれば、当然ながらクビだよな……。となると、
……まさか。
あの組織で働くのか?
(;'A`)「ぜ、全力で嫌だあああああああ!!」
(*#゚∀゚)「うるさいって言ってんでしょうがっ!」
……ああ、さようなら三次元的生活。そしていらっしゃい、糞みたいな二次元的生活。
第二話 おわり
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