( ^ω^)は魔法道具屋さんのようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 20:51:55.53 ID:WYDKH4Tv0

 〜 魔法道具屋サンライズ 研究室 〜


( ^ω○)、「ここをこうして……こう……」

ペンダントを削り、術式に変更を加えて行く。
既に採掘したニスリル銀は熱して精錬し、大雑把に足してある。
あとは新たな術式を為す様に整えて行くだけだ。

(;^ω○)、「この部分を……あ、ヤベ……いや、大丈夫、ほんの一瞬だったし……」

( ^ω○)、「で、こうして、ここを繋げて……」

( ^ω○)、「よし、完成だお!」



     第十話 ニゲット山クエスト後日譚



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 20:53:03.81 ID:WYDKH4Tv0

( ^ω^)∩○、「ふぅ……。結構かかっちゃったけど、これでおしまいだお」

僕の名前はブーン。
ヴィップの町で魔法道具屋サンライズを営む魔法使いだ。

ニゲット山でのニスリル銀採掘から帰還して2日、
僕はようやくクーからの依頼の品であるペンダントの術式を変更する事に成功した。

予定よりも時間がかかってしまったのは、なるべく元の形を維持しつつ、
それでいて更に品良く仕上げるのに苦労したからだ。

途中、ちょっぴりミスって一瞬魔法が発動した気もするけど、今はもう大丈夫なはずだ。

( ^ω^)「さて、あとはこれをクーに渡せば長かった今回の依頼も終了だお」

僕は作業に使用した細々とした道具を片付け、店の方に向かう。
現在サンライズは絶賛営業時間中なので、店番をわんわんおとクーに任せている。

どちらも実際に店番が出来るわけでもないのだが、客が来たら僕を呼んでもらえればそれでいいのだ。
ただ、1度も呼ばれなかった状況を見ると、どうやら今日もお店は暇らしい。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 20:54:05.80 ID:WYDKH4Tv0

( ^ω^)ノ「おいすー。店の方はどうだお?」

(∪*^ω^)「わんわんお!」

川 ゚ -゚)「見ての通りだ。正直、これでやっていけてるのか心配になるぐらいだな」

(;^ω^)「今日はたまたま暇なだけだお」

なかなかに辛辣な物言いをしてくるクーだが、2日連続この状況ともなれば仕方のない意見かもしれない。
たまたまだと見栄を張ってみたが、早急に何か対策を打つべきだろうか。

( ^ω^)「そんなことより完成したお、ペンダント」

川 ゚ -゚)「おお、本当か?」

僕はクーにペンダントを手渡す。
クーはそれをじっくりと観察し、横にしたリ引っくり返したりして入念に調べ始める。

川 ゚ -゚)「元と何か変わった様には見えないな」

( ^ω^)「なるべく装飾は同じになる様に工夫したお」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 20:56:04.72 ID:WYDKH4Tv0

川 ゚ -゚)「そうか。ツンの話があったから少々不安だったのだが、取り越し苦労だったようだな」

(;^ω^)「だから、僕のセンスは悪くないって言ってるお!」

(∪^ω^)「わんおー?」

クーは口の端を上げ、意地悪く微笑みながらそういう事にしておこうと話を結ぶ。
少し引っかかる態度ではあるが、ちゃんと結果を示した以上、僕のセンスは信じざるを得ないだろう。

川 ゚ -゚)「それで、効果のほどなんだが」

( ^ω^)「お、試してくれお」

川 ゚ -゚)「どうやってだ?」

( ^ω^)「いや、どうやってって、それと対になる鏡があるんだおね?」

今回の依頼はペンダントにかかっていた探査魔法の解呪だ。
ペンダントから発する魔法の信号を、魔法の鏡で受信してペンダントの位置を特定するというのが一連の流れである。
故に、効果のほどを確認する為にはその魔法の鏡が必要となるのだが、僕は1つ嫌な事に気付いてしまった。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 20:59:02.36 ID:WYDKH4Tv0

(;^ω^)「ひょっとして、受信用の鏡は今持ってなかったりするのかお?」

川 ゚ -゚)「それも私が持っているのなら、解呪の依頼は必要なかっただろ?」

極めて正論で返されてしまったが、駄目元で予備の鏡とかないのか聞いてみる。
しかし、予備は存在するらしいが、それも手元にはないと無情な言葉が告げられた。

(;^ω^)「……まあ、効果の確認は出来ないけど、解呪は成功してるはずだお」

川 ゚ -゚)「ああ、わかってる。ブーンの腕は信じているからな」

苦し紛れにも聞こえる言葉に、当然だとでも言わんばかりにクーは答えてくれた。
僕自身も経過が気になるだろうから、しばらくこの町に止まり様子を見るつもりだとクーは言う。

( ^ω^)「それは有り難いけど、足止めしちゃう様な事になっちゃって悪かったおね」

川 ゚ -゚)「いや、かまわないよ。私としても、今回のクエストで思う所が多々あったしな……」

クーの言う思う所は、ニゲット山での戦いで何も出来なかった事なのだろう。
確かにジャバウォックとの戦いの時は何も出来なかっただろうが、あれは仕方ない部分もある。
実際、それなりの経験を積んだ冒険者であるジョルジュさん達ですら、攻撃を凌ぐ事ぐらいしか出来なかったのだし。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:00:26.66 ID:WYDKH4Tv0

川 ゚ -゚)「だったとしても、あの時私はあの場に残ろうとしてしまった」

状況を判断を誤り、正しい判断を下せず、下手をすれば死んでいたかもしれない。
自分がどこか物見遊山な気持ちでクエストに参加していた事に気付き、恥じ入るばかりだとクーは言う。

( ^ω^)「新米冒険者が遭遇するにしてはハードな場面だったから、仕方ないと思うお」

ただ、こうやって王宮の外で冒険者として旅する事が常に危険と隣り合わせだという事を理解する切欠になって、
ある意味では良かったのかもしれない。

川 ゚ -゚)「……それで、大人しく帰れとでも?」

( ^ω^)「それはクーが決める事だお」

ニューソク国民としての良識に基づいて述べるなら、帰った方が良いと言うべきなのだろうがクーも子供ではない。
自分の意思で決めればいいと思う。

それが僕が客としてのクーにではなく、友達としてのクーに言える事だ。

川*゚ -゚)「友達か……そう言ってくれるのは何だか嬉しいな」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:02:04.50 ID:WYDKH4Tv0

それほど深い意味合いを持たせたわけでなく、年も近く、共に戦った上にツンとクーは友達になったみたいだから、
僕も必然的に友達と呼んでもいいのかなと思っただけなのだが、思いの他クーは嬉しそうな顔をしてくれた。

多分立場上、王宮ではあまり友達と呼べる人間がいなかったのだろう。

川 ゚ -゚)「まあ、とにかく、私はしばらくヴィップで冒険者として色々学ばせてもらう事にするよ」

( ^ω^)「わかったお。何かペンダント絡みで問題があったらすぐにお店に来いお」

川 ゚ -゚)「そうさせてもらうお。……じゃあ、私はこの辺で」

そう言ってクーは店番用に着けていたエプロンを外し、店を出て行こうとする。
しかし僕はその肩に軽く手を置き、呼び止めた。

( ^ω^)つ「解呪代がまだだお?」

川 ゚ -゚)

( ^ω^)つ「……今更払えないとか言わないおね?」

(゚- ゚ 川「……ソンナコト イウワケナイダロ?」

( ^ω^)つ;;「おい、僕の目を見て言えお」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:04:06.00 ID:WYDKH4Tv0

露骨に目を逸らすクーに、肩に置いたままだった手に力を込める。
クエストにかかった諸費用は、目的外の魔法鉱石の入手で賄えるぐらいの実入りの予定はあるのだが、
クーがここに泊まっていた間の食費等もあるし、有耶無耶にするわけにはいかない。

なんせ僕は商売人だ。
友達といえど、お金に関しては折り目正しく付き合いたい。

( ^ω^)「ちなみに、これが費用の内訳だお」

そう言って僕はクーに請求書を突き付ける。

川 ゚ -゚)「……高いな」

( ^ω^)「これでも一般的なの金額よりは安いし、他の魔法鉱石の分け前の金額は引いてるお」

僕は費用について、1つ1つ細かく説明して行く。
クーは世間一般的な相場を理解しているとは言い難いだろうから、
ちゃんとした基準を教えてあげないとこの金額に納得出来ないのではないかと思っての事だ。

( ^ω^)「馬車は本来もっと高いんだけど、暇な時期だったのとお得意様価格で……」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:06:07.16 ID:WYDKH4Tv0

川 ゚ -゚)つ「お手!」

(∪^ω^)つ「わんお!」

(#^ω^)「って、話聞けお」

川 ゚ -゚)「さっきも言っただろ? お前を信用してるって。この値段に嘘がない事ぐらいはわかってるよ」
つ∪^ω^)

そう言ってもらえるのは嬉しくもあるが、どちらかといえばこれはクーの後学の為の部分もあったのだ。
何かしら依頼をする場合の費用とかの基準として頭に入れておけば、今後何かの役に立つはずだ。

川 ゚ -゚)「気持ちはありがたいが、今後私は依頼する側ではなく受ける側に回るからな」

( ^ω^)「まあいいお。それよりも問題は代金が払えないって事だし」

商売人とは言え、僕とて鬼ではない。
どういうつもりで代金が払えないとわかってて僕に依頼したのか、理由を説明すれば少しは考えもする。

川 ゚ -゚)「その前に1つ訂正させて欲しいのだが」

( ^ω^)「お?」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:08:05.52 ID:WYDKH4Tv0

川 ゚ -゚)「私は代金を払わないとは言ってないぞ」

( ^ω^)「お、じゃあ、お金持ってたのかお?」

川 ゚ -゚)「……出世払いという事でどうだろか?」

(:^ω^)「結局払えねえのかお」

川 - -)「すまない」

どうしたものかと考えあぐねていると、クーは突然深々と頭を下げた。

川 ゚ -゚)「私がした事が許されない事なのはわかっている」

川 - -)「しかし、言い訳をさせてもらえるなら私には時間がなかったのだ」

一時的にペンダントの魔法を呪符で封じてたとはいえ、遠からずその効果はなくなる。
そうなれば確実に自分の居場所をは突き止められ、王宮に連れ戻される事もわかっていたとクーは言う。

川 - -)「本来ならまずは解呪の代金を稼いでから、依頼に伺うのが筋だ。けど……すまない、私は……」

( ^ω^)「わかったから、もう謝らなくていいお」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:10:06.06 ID:WYDKH4Tv0

クーの言い分は、はっきり言って子供じみた言い訳だ。
社会で通用するような類のものではない。
けれど、クーの事情を考慮すれば、そういう手段を取らざるを得なかった事も理解は出来る。

川 ゚ -゚)「しかし……」

( ^ω^)「クーが訳有りなのはわかってて引き受けた依頼だお。何というか、僕にも責任の一端がないわけではないお」

ここでそんなふうに考えてしまうから、ツンからはお人好しなんて言われたりするのだが、それが僕なのだから仕方がない。
魔法鉱石による臨時収入のあてもあったし、クーも払わないと言っていないのだから、待ってあげるくらいはいいだろう。
この程度で経営が傾くほどはサンライズも困窮していない。

( ^ω^)「いいかお、待ってあげるだけだお?」

川 ゚ -゚)「ああ、必ず払う。我が名にかけて誓おう。どんな事をしてでも払ってみせる」

( ^ω^)「期待してるお」

そんな時、不意にドアが開いた。
客かと思ったらツンだったので、僕は軽く片手を挙げて挨拶する。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:12:15.33 ID:WYDKH4Tv0

ξ゚听)ξ「こんにちはー、って、こんなとこで何を──」

川 ゚ -゚)o"「任せろ。この身体できっちり払ってやろう!」

ξ;゚д゚)ξ「は?!」

拳を固め、決意を新たにするクーと、何故かそれを見て固まるツン。
大袈裟な事だが、まあ、店番要員として何かの時に雇うのもいいだろう。
精々きっちりと働いて返してもらう事にする。

ξ;゚д゚)ξ「な、何言ってんのよ、あんた達、か、身体でって……!?」

( ^ω^)「お? お金ないなら働いて返してもらうしかないお?」

川 ゚ -゚)「うむ、差し当たってはこの町でクエストをこなして地道に返して行く事にするよ」

ξ;゚д゚)ξ「え? クエスト?」

( ^ω^)「僕に用事がある時、店番のバイト頼んでもいいかお?」

川 ゚ -゚)「勿論だとも。仕事は教えてもらう必要はあるが」

ξ;゚д゚)ξ「え? 店番? え?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:14:07.65 ID:WYDKH4Tv0

(;^ω^)「ツン、さっきからどうしたお?」

ξ;゚д゚)ξ「え? いや、え?」

何だか混乱しているようなツンに僕は今の話の流れを説明する。
何故か途中ですごく安堵したような顔をしたが、全てを聞き終えると今度はクーにお小言を始めてしまった。

ξ゚听)ξ「そういう場合はまず最初に相談しなさいよ」

川 - -)「すまない。本当に迷惑をかけたと思う」

( ^ω^)「ツン、もう許してあげてお。クーの状況を考えれば仕方ない部分もあったんだお」

ξ--)ξ「あんたはまたそうやって……甘やかし過ぎよ」

ばっさりと切り捨てられてしまったが、ツンもクーの事を心配しているからこそ怒っているのだろう。

僕みたいなお人好しの店だからよかったものを、
普通の店で代金が払えないなんて事になってたらどうなってた事かとツンは言う

何故か僕もついでにお小言をもらってる気分になって来たが、ツンの言い分は概ね正しいので余計な茶々入れずにおいた。

川 ゚ -゚)「ああ、本当に申し訳なかった」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:16:04.99 ID:WYDKH4Tv0

ξ゚听)ξ「それと、多分あんたクエストだけじゃ食べて行くのにも困るわよ?」

最初は実績もなく、パーティーも組んでいない現状、受けられるクエストは少ないはずだからとツンは言う。
どこかでバイトでもしろと、至極現実的な提案を突き付ける。

川:゚ -゚)「そうか……そうだよな、うん……」

ξ゚听)ξ「この貧しい店じゃ毎日人を雇う余裕はないだろうから、いくつか掛け持ちした方がいいかもね」

(;^ω^)「サンライズはそんなに貧しくはねえお?」

ξ゚听)ξ「どっちにしろ、あんたがいる時は従業員いらないぐらい暇でしょ?」

(;^ω^)「……まあ、そうだけども」

ツンの方でも畑仕事の手伝いを出したり、バーボンハウスに相談しに行くという事でこの件は話がまとまりそうだ。
何だか僕の話じゃないのに理不尽に貶められた気もするけど、
そんな事を言うと余計とばっちりが来そうなので黙っておく事にする。

川 ゚ -゚)「住む所はここを貸して貰えるのかな?」

ξ゚听)ξ「却下。宿賃でいつまで経っても借金の返済追い付かないでしょ?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:18:54.74 ID:WYDKH4Tv0

ξ゚听)ξ「どこか安いとこ探してあげるわよ」

( ^ω^)「それだったら別に僕はここでも──」

ξ゚听)ξ「甘やかさない!」

(;^ω^)「はい……」

ξ゚听)ξ「ブーンは向こうでわんわんおと遊んでなさい。クーの今後は私が考えてみるから」

(;^ω^)「いや、一応仕事中なんで、遊んでは……」
  _,
ξ゚听)ξ「あ?」

(;^ω^)「何でもないですお」

(∪^ω^)「わんわんお!」

僕はわんわんおを抱き上げ、カウンター内に戻る。
立ち話もなんだろうからと、2人に椅子を出した所で店内じゃなくて2階でやってもらえばいい事に気付いたが、
話に割り込めない雰囲気だったので提案するのは諦めた。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:20:22.89 ID:WYDKH4Tv0

( ^ω^)つ「あんなとこでお説教されると、客来てもすぐ帰られそうだおね」

(∪^ω^)つ「わんおー」

僕はツンに聞こえない様に愚痴を言い、わんわんおとじゃれる。
自分で言っておきながら仕事をしないのもどうかと思うが、クエストから帰って以降、
ずっとペンダントの術式の変更をしていたし、ここの所働き詰めだから少し休みたくもある。

( ^ω^)「でも、採掘した鉱石の整理だけはやっておくかお」

僕はクエスト時に採掘し、洗ってそのままカウンターの下にそのままおいてあった鉱石を取り出す。

(∪^ω^)つ○「わんおー?」

( ^ω^)「こら、それは商品になるんだから遊んじゃ駄目だお」

僕は物珍しげに鉱石を前足で転がすわんわんおから鉱石を取り上げる。
宝石ではないし、どうせ精錬して使うのだから雑な扱いをしても問題はないのだが、
わんわんおが誤って飲み込んだりするのは避けたい。

( ^ω^)「お、そういえばこれ、ジョルジュさん達に届けなきゃいけなかったお」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:22:17.84 ID:WYDKH4Tv0

採掘した中には一部魔法鉱石もあり、これは僕が引き取る事にしてその分の代金を皆に報酬として分けようと思ったのだが、
ジョルジュさん達から魔法鉱石その物を貰えないかと提案があったのだ。

僕としては、どうしてもこの魔法鉱石が欲しかったわけでもないので、それは別にかまわなかった。
単に売りさばく手間とか手数料的な損得を考えたら、
僕が引き取ってお金で報酬にした方がジョルジュさん達の取り分が多くなるだろうと思っただけだったのだし。

( ^ω^)「どうせ暇だし、バーボンハウスに行ってみるかおね」

(∪^ω^)「わんわんお!」

僕はツンとクーに店番、と言ってもどうせ客は来ないだろうから留守番を任せ、わんわんおとバーボンハウス行く事にした。
今回のクエストの件で改めてお礼を言いたかったし、シャキンさんとも少し話がしたかったので丁度いいだろう。

( ^ω^)ノ「おいすー」

(∪^ω^)「わんわんお!」

(`・ω・´)「おう、今日は早いな。店はどうした?」

( ^ω^)「ジョルジュさん達にこの間のクエストの報酬の事で用事が」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:24:06.03 ID:WYDKH4Tv0

都合よく、ジョルジュさん達3人はバーボンハウスにいたみたいなので、僕はシャキンさんにコーヒーを注文し、
3人がいるテーブルの方に向かった。
  _
( ゚∀゚)「よお、ブーン。どうした、こんな時間に?」

( ^ω^)「こんにちはですお。例の魔法鉱石、持って来ましたお」

僕は空いていた席に着き、店番はツン達に任せた事を説明して魔法鉱石を取り出してテーブルの上に並べる。
一緒に来たはずのわんわんおは既にミルナさんの膝の上に運ばれていた。
  _
( ゚∀゚)「無理言って悪かったな」

( ^ω^)「いや、別に無理ってほどのものではないですお。当然の権利ですし」

今回入手したニスリル銀以外の魔法鉱石は、ルーン石といわれる、いわゆる鉄が変質した魔法鉱石だ。
魔法鉱石の中では価値が低い方だが、それでも普通の鉱石よりは価値はあるし、質も良い。

( ^ω^)「しかしこれ、どうするんですかお?」

( ゚д゚)「武器の強化に使いたいらしいぞ」
つ∪^ω^)

( ^ω^)「お?」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:26:14.67 ID:WYDKH4Tv0

从 -∀从「……こないだのクエストでさ、俺らあのジャバウォックとやらに全く歯が立たなかったじゃねえか?」

あの戦いで自分達の腕がまだまだである事を理解したと同時に、
今の手持ちの武器ではダメージを通す事すら出来ないモンスターがいる事を考えると、その必要性に至ったらしい。

( ^ω^)「なるほど。確かにあれは腕云々より装備の問題の方が大きかったですおね」

全くの想定外の相手という事もあったし、あれはジョルジュさん達の腕の問題よりそちらの所為だと僕は思う。
あんなモンスターがいるとわかっていたら、もう少し装備や何かしらの対策を整えてから向かうものだ。
  _
( -∀-)「そう言ってもらえると少しは気が楽になるんだが……」

从 -∀从「あれは明らかに俺達の手落ちだ。無駄に依頼人を危険に晒しちまったしな」

すまなかったと、あれから何度目になるかわからない謝罪を2人からされる。
正直、あれは仕方なかったとしか思ってないのだが、プロとして護衛を引き受けた以上、それでは気が済まないのだろう。

( ゚д゚)「俺からも謝らせてもらおう。すまなかったな」

(;^ω^)「いや、もうホント謝らないでくださいお。結果的に皆無事だったんですし……」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:28:16.32 ID:WYDKH4Tv0

(`・ω・´)「いい機会だ。上には上がいる事を知って反省しろよ」

コーヒーを運んで来たシャキンさんが、楽しそうに茶々を入れて来る。
今回の事は既に聞いているらしいが、暇なのかシャキンさんも僕達のテーブルに着いた。
  _
( ゚∀゚)「調子に乗ってたつもりはねえが、返す言葉もねえな」

从 ゚∀从「もっと強くならねえとな」

(`・ω・´)「……お前らにこうも殊勝な態度を取られると調子狂うな」

(;^ω^)「自分で振っておいて……」

ジョルジュさん達はヴィップの町に来てまだ半年にも満たないはずだが、
シャキンさんとかなり気心の知れた仲になっている様だ。
そこには冒険者とギルドの窓口という関係を越えた親しみが感じられる。

(`・ω・´)「しかしジャバウォックか」

(`・ω・´)「ここしばらくニゲット山へ向かった冒険者はいなかったとはいえ、随分珍しいモンスターに出くわしたな」

これまでニゲット山へのクエストで、
ジャバウォックともバンダースナッチとも遭遇した冒険者はいなかったはずだとシャキンさんは言う。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:30:08.71 ID:WYDKH4Tv0

( ^ω^)「多分、最近住み着いたのか、山を降りて来たかのどちらかだと思いますお」

僕はあの時コボルドとの遭遇から推察した考えをシャキンさん達に説明する。
長くあの場に住み着いていたのなら、ああもコボルドとは遭遇する事はなかったはずだ。

ただ、そうなると魔法鉱石があの場にあった説明に齟齬が生じそうだが、それは元々何かがあそこにいて、
それをジャバウォックが追い払ったと考えれば辻褄は合う。

(`・ω・´)「なるほどな。確かに」
つ∪^ω^)                   (゚д゚ )

そう考えると問題は、何故ジャバウォックがあの場にいたのかなのだが、それは考えてもわかり様がない。
ここ最近の異変を天空竜の件と結び付けて考える事も出来るが、その話はここでは出来ないし、
ニゲット山は若干距離が遠い様にも思えた。

この話は後でドクオさんに相談しようと結論付け、僕は違う話をする。

( ^ω^)「武器の強化って、どこでやるつもりなんですかお?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、その件もブーンに相談したかったんだが」

( ^ω^)「お?」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:32:23.86 ID:WYDKH4Tv0

ジョルジュさんの相談とは、僕に武器職人の知り合いはいないかという事だった。
この町には武器を販売しているお店はあっても、武器を作成している、いわゆる鍛冶屋はいない。
この町の武器屋は別の町で仕入れた武器を販売しているだけだ。

( ^ω^)「残念ながら、武器職人の知り合いはいないんですおね……」

むしろ僕が紹介して欲しいぐらいである。
武器職人と知り合いになれば、武器作成時に余った鉱石の端財とか安く仕入れられそうだし、
魔法道具屋としては繋がりが欲しい所だ。
  _
( ゚∀゚)「じゃあ、やっぱメシューマで良さそうなやつを探すしかないか」

( ^ω^)「ついでに言うと、全員分の武器を強化するとなると、ルーン石もこれじゃ足りないかもしれませんお」

从 ゚∀从「だよなあ……」

武器の強化と一口に言っても、いくつかやり方がある。
一番手早く強化できるのは、既にある武器に魔法鉱石でコーティングを施し、切れ味や硬度を高めるやり方だ。
当然、コーティングに使う魔法鉱石の質で効果のほども上下するが、ここにあるルーン石ならそれなりの強化が期待出来る。

別の方法だと、今ある武器を完全に溶かしたり分解して別の素材を加えて打ち直すやり方がある。
オーダーメイドで作り直す様なものだと考えればわかりやすいだろうか。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:34:05.51 ID:WYDKH4Tv0

こちらは鉱石もモンスターの素材も色々と必要となるし、時間もかかり、
また武器職人の腕にも因っても出来が大きく変化したりする。

それ以外だと、より良い出来合いの武器を買うという手段もあるが、そう都合よくいい武器が出回る事は滅多にないだろう。

( ゚д゚)「我々の懐具合も考えると、コーティングの方しかないか」
つ∪^ω^)                   (・ω・´)
  _
( ゚∀゚)「そうなるが、今後の事も考えるとなあ……ここら辺で1つ派手に強化しておきたいんだよな」

武器は冒険者にとって己の生命を預ける物だ。
安易に妥協したくない気持ちはよくわかる。

从 ゚∀从「そうなんだが、現実問題、俺の獲物は早急に何とかしねえと刃こぼれがヤベえしな」

ジャバウォックに斬り付け、バンダースナッチの顎を裂いた事でハインさんの蛮刀はかなり傷んでしまった様だ。
強化以前に修理しないと使い物にならない。
  _
( ゚∀゚)「こないだのコカトリスの素材も少し残ってたよな?」

(`・ω・´)「あれは珍しくはあるが、強度があまりないから武器には向かんぞ?」
つ∪^ω^)                   (゚д゚ )

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:36:16.29 ID:WYDKH4Tv0

从 -∀从「あの固いジャバウォックの鱗でもありゃいいんだが」

( ゚д゚)「それは本末転倒だな」
つ∪^ω^)                   (・ω・´)

いつかはジャバウォックにリベンジするとジョルジュさん達は決めている様だ。
その為の武器強化でもあるのだろう。

(`・ω・´)「まあ、まずは地道に資金と素材を集める事だな」
つ∪^ω^)

( ^ω^)「それがいいと思いますお、ってか、わんわんおを取り合わないでくださいお」
つ∪^ω^)                   (・ω・`)(゚д゚`)

僕はシャキンさんからわんわんおを取り上げ、自分の膝の上に置く。

何かしら協力できる事があれば協力したい所ではあるが、昨日の今日でまたニゲット山に行くのも勘弁願いたいし、
現状の戦力では危険性が高い。
僕のお店にもジョルジュさん達に役立ちそうな素材も鉱石も在庫がない。
  _
( ゚∀゚)「何にせよ、俺らは1度メシューマに行ってみようかと思ってる」

ハインさんの武器の修繕と、武器強化の下調べにメシューマの町に行くとジョルジュさんは言う。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:38:07.17 ID:WYDKH4Tv0

(`・ω・´)「そうか……それは寂しくなるな」

从 ゚∀从「まあ、別にもう2度とここに来ねえわけじゃねえからさ」

( ゚д゚)「わんわんおと別れるのは断腸の思いだが止むを得まい」

僕はものすごく目で訴えて来るミルナさんに仕方なくわんわんおを手渡し、
それならばと今日は僕がお酒を奢ると提案した。
  _
( ゚∀゚)「気持ちはありがてえが、迷惑かけちまったお前に奢ってもらうわけにはいかねえよ」

( ^ω^)「気にしないでくださいお。お得意様にまた帰って来て欲しいという計算も込みですから」

从 ゚∀从「しかし、儲かってない店の店長に奢らせるのは気が引けるな」

(;^ω^)「一応サンライズの経営は順調なんで、人聞きの悪いこと言わないでくださいお」

どうにも誤解されがちだが、サンライズは赤字経営というわけではないのだ。
収入は多くはないが、仕入れが自給自足の様なものなので支出も少ない。

ドクオさんの様に大量に商品を買い上げてくれる客もいるので、十分やっていけてはいる。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:40:07.01 ID:WYDKH4Tv0

从 ゚∀从「まだ日の高い内に店ほったらかしでここにいるやつに言われてもな

(;^ω^)「ちゃんとバイトに店番任せてますから……」

ξ゚听)ξ「コーヒーとベリーパイ、あ、代金はブーンにつけといて」

川 ゚ -゚)「私もそれを。代金もブーンに」

(;^ω^)「って、何でお前らここにいるんだお?」

聞き慣れた声がしたと思ったら、後ろの席にいつの間にかツンとクーが座っていた。
店はどうしたのかと問い質すと、どうせ客は来ないだろうから閉めて来たと悪びれもせずに言われてしまった。

ξ゚听)ξ「そもそも、あんたが勝手に押し付けたんでしょうが」

(;^ω^)「そうだけども……」

僕自身も、どうせ暇だろうと判断して店番を押し付けたという自覚はあるので強くは反論出来ない。
ただ、コーヒー代を僕につけられるのは如何なものか。

ξ゚听)ξ「店番のバイト代よ」

(;^ω^)「はい、どうぞお召し上がりくださいお」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:42:03.73 ID:WYDKH4Tv0

川 ゚ -゚)「うむ、頂こう」

( ^ω^)「クーの分はバイト代から引くからな?」

川 ゚ -゚)「何と横暴な」

勿論冗談だが、ツンと違ってクーには店番のバイト代は出す予定なので、
今後は飲み食いの代金は自分で持ってもらうつもりだ。

まあ、バイトやクエストが安定するまでしばらくは困窮するだろうし、
たまに食事を奢るくらいはしてあげようとは思っているけど。

( ^ω^)「というわけで、今日は僕の奢りで飲みましょうお!」
 _
(;゚∀゚)「いや、今のやり取り見ててお前にたかれるわけないだろ」

从;゚∀从「コーヒー代すらケチる店長に奢ってもらうのはなあ……」

( ゚д゚)「結局店も閉めてるしな」
つ∪^ω^)「わんわんおー」

(;^ω^)「だから、あれは冗談ですってば。お店の方もたまに早く閉めた所で問題ないですお」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:44:12.36 ID:WYDKH4Tv0

結局、最初の1杯だけ僕が奢るという事で話が付き、僕らはささやかならがクエスト成功のお祝いに飲む事になった。

( ^ω^)つU「色々ありましたが、クエストは成功ですお。皆さん、お疲れ様でしたお! 乾杯!」
  _
( ゚∀゚)U( ゚д゚)U从 ゚∀从Uξ゚听)ξU川 ゚ -゚)U「乾杯! お疲れー」

僕らはグラスを掲げ、労を労う。
まだお酒の味がわかるほど嗜んでもないし、強くもないが、酒の場の楽しい雰囲気は嫌いじゃない。
行き過ぎなければだけれど。

基本的に冒険者の人は酒好きで酒が強い人が多く、宴会となると羽目を外し過ぎて大暴れする人もいたりするから、
それに付き合うのは骨が折れるのだ。

ξ*゚听)ξ「へー、メシューマ行っちゃうんだ」

从*゚∀从「長くはいねえと思うがな。そうだ、ツンも一緒に来ねえか」

ξ*--)ξ「だから私は冒険者にはならないってば」
  _
( ゚∀゚)「そういやクーは全国を旅してるんだよな?」

川 ゚ -゚)「ああ。しかし、まだソクホウとメシューマぐらいしか行ってないがな」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:46:04.61 ID:WYDKH4Tv0
  _
( ゚∀゚)「王都ならいい武器職人とかいそうだな。クーは有名な武器職人とか知り合いはいないか?」

川 ゚ -゚)「そうだな……。有名ではないが変わった武器職人なら1人知ってるが」

(*^ω^)「変わった武器職人? どんな人なんだお?」

川 ゚ -゚)「腕はいいんだが、やたらと武器に変わったギミックを付けたがるんだ」

川 ゚ -゚)「魔法とは違う、よくわからん仕組みで変に可動したり伸びたり分かれたり」

(* ゚д゚)「話だけ聞くと想像付かんな」

(∪^ω^)「わんわんお!」

川 ゚ -゚)「からくりと呼んでたかな、その変な技術は」

(*^ω^)「からくり……」
  _
( ゚∀゚)「聞いた事あるのか、ブーン?」

(*^ω^)「うろ覚えですけど、金属とかを組み合わせて色々な効果を生み出す機工と呼ばれる技術の1つだったような」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:48:22.57 ID:WYDKH4Tv0

(*^ω^)「魔法と似たような事も出来るらしいですけど、魔法使った方が早いから研究してる人は少ないはずですお」

(* ゚д゚)「なるほど、面白そうだ。1度見てみたくもあるな」

从*゚∀从「武器はシンプルな方がいいだろ。ミルナって意外と細々したもの好きだよな、顔の割に」

(*゚д゚*)「顔は関係なかろう」

从*゚∀从「こっち見んな」

(∪^ω^)「わんおわんお」

ξ*゚听)ξ「で、その武器職人は何て名前なの?」

川 ゚ -゚)「……何だっけ?」

(*^ω^)「いや、クーしか知らねえお。こっちに聞くなお」

川 ゚ -゚)「ええっと……確か……そうそう、思い出した」

川 ゚ -゚)「サースガだ、武器職人の名前」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:50:37.99 ID:WYDKH4Tv0

川 ゚ -゚)「町の人からはからくり・サースガと呼ばれてたと思う」

ξ*゚听)ξ「何か、胡散臭い名前ねー」

川 ゚ -゚)「実際、胡散臭い人柄だな」

从*゚∀从「人柄が胡散臭いってどんなんだよ」

川 ゚ -゚)「でも、腕は確かなんだぞ?」
  _
( ゚∀゚)「そうか、サンキュー、一応覚えておくよ」

(* ゚д゚)「メシューマで何も収穫がなかった時はソクホウまで足を伸ばすのも考えるか」

ξ*゚听)ξ「北や南はどうなんです?」

(*^ω^)「北は結構いるかもしれんおね。武器も必要だっただろうし、その辺の技術は発達してるはずだお」

川 ゚ -゚)「戦いが多かった地域だからな」
  _
( ゚∀゚)「でも、北も南もちょっと遠いからなあ」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:53:45.68 ID:WYDKH4Tv0

(* ゚д゚)「行くならそれこそ装備を整えてからだろうな」

从*゚∀从「街道を行けば特に危険はないだろ」
  _
( ゚∀゚)「武器傷んで今一番戦力にならねえやつが言うなよ」

(* ゚д゚)「それに、街道が大丈夫でも町自体の状況次第では、戦う事もあるだろうしな」

ξ*゚听)ξ「やっぱり、北も南もここらより情勢は不安定なんですかね?」

(*^ω^)「どうだろうかおね。北はだいぶ落ち着いてるはずだけど、南は情報がないおね」

从*゚∀从「南の、ナカノヒトやキマスタの町の話は全然聞かねえな」

川 ゚ -゚)「ニューソク大陸の中でも特に独立色が強いからな」

(* ゚д゚)「同じ大陸とはいえ、文化的なものも違って来てるのかもな」
  _
( ゚∀゚)「ナカノヒトはともかく、キマスタはどうしても海絡みの話が多くなるからな」
  _
( ゚∀゚)「自然、クエストも船上が多かったりだいぶ勝手が違うらしい」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:55:28.84 ID:WYDKH4Tv0

(*^ω^)「ラウンジとの小競り合いもあるとかいう話も聞いた覚えがありますお」

ξ*゚听)ξ「ナカノヒトは山の中にあるのよね」

(*^ω^)「あんまりいい噂を聞かないし、この大陸では一番物騒な場所だおね」

(* ゚д゚)「それを言うなら、メシューマも裏通りに入ればかなり物騒だがな」

川 ゚ -゚)「人や物が集まれば、それに伴い、ごく自然に暗部が形成されるのが世の常か……」

(`・ω・´)「何だお前ら? 随分と真面目な話してんだな」

从*゚∀从つU「おう、シャキン、酒お代わり!」

(* ゚д゚)つU「俺も頼む」

(`・ω・´)「おう、グラスはそこに置いとけ。それと、こいつは俺の奢りだ」
  _
( ゚∀゚)「肉!」

(*^ω^)「肉!」

(∪*^ω^)「わんわんお!」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:56:52.72 ID:WYDKH4Tv0

ξ*゚听)ξ「がっつかないの! ……また太るわよ?」

(;^ω^)「またって……べ、別に僕は太ってないお……?」

(∪;^ω^)「わんわんお……」

(*`・ω・´)「太ってる方がかわいいじゃないか」

(* ゚д゚)「うむ、子犬は少しぽっちゃりしてるくらいがいいぞ」

(∪*^ω^)「わんわんお!」

ξ;゚听)ξ「いや、私はわんわんおに言ったわけじゃないんですけどね……」

(*^ω^)「肉うめえwwww肉うめえwwwww」

ξ#゚听)ξ「お前に言っとんのじゃ! 1人で食うな!」

川 ゚ -゚)「やれやれ、賑やかな事だ。ふむ、これは美味いな。ツンも早く食べないとなくなるぞ?」
  _
( ゚∀゚)「そうだぞ、ツンはもっとがっつり食って大きくなるべきだな」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 21:58:13.97 ID:WYDKH4Tv0

ξ#^竸)ξつ「ジョルジュさん、どちらをご覧になって仰っておられるのかしら?」
 _
( ゚∀(U三「へぶしッ!?」

(∪;^ω^)「わんわんお!?」

从*-∀从「相変わらずジョルジュは馬鹿だなあ……」

(* -д-)「うむ、馬鹿だな」

(*^ω^)「ほら、わんわんおもお肉食べるお」

(∪*^ω^)「わんわんお!」

こうして、僕達は楽しく食事をし、クエストの成功を祝い、ジョルジュさん達の旅の無事を祈った。

僕自身、大掛かりなクエストに参加したのは随分と久しぶりの事だった気がするが、無事成功し、
楽しい時間を過ごせたので、たまにはこういうのもいいなと思った。

ジョルジュさん達がしばらくこの町を離れるという事なので少し寂しくもあるけれど、
また会える事を願って笑顔で送り出そうと思う。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/01/22(日) 22:00:08.44 ID:WYDKH4Tv0

 〜 翌日 〜


( ^ω^)「……完成だお」

( ^ω^)□「名付けて、薬草お守りだお!」

( ^ω^)□「これで3人の旅の無事を祈るお!」

ξ゚听)ξ「へーお守りかあー、薬草入りなんてすっごく霊験あらたかそうねー」

ξ#゚听)ξ「って、薬草関係ねええええええッ!」

                        ゲフゥッ!?
           ξ#゚听)ξ三⊃(#)゚ω゚).・。 ’



     第十話 ニゲット山クエスト後日譚 終


戻る 次へ

inserted by FC2 system