- 574 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:29:20 ID:1JxBObwQ0
〜 ソクホウ西の小島 地下洞窟 〜
(;^ω^)「クッ……」
从;゚∀从「ブーン!!!」
○・ ・○ キチキチ
\/
+(´<_` )「サースガ式ワイヤー!」
;;○・ ・○;; ギッ!?
\/
第二十二話 激震の地下迷宮
- 575 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:30:07 ID:1JxBObwQ0
(;^ω^)「オトジャさん!? た、助かりました」
僕の名前はブーン。
ヴィップの町で魔法道具屋サンライズを営む魔法使いだ。
(´<_` )「無事で何よりだ。それより気を付けて、多分今の一撃でのダメージは無いに等しいからね」
彼の名前はオトジャさん。
アニジャさんの弟で、トレジャーハンターをやっていて、冒険野郎サスガイバーの異名を持つ人だ。
僕達は、オトジャさんの護衛としてソクホウの西にある小島の地下遺跡調査のクエストに来ている。
ちょっとしたアクシデントで僕とハインさんとオトジャさんはツン達と分断され、
遺跡から更に地下洞窟に落ちてしまった。
現在はそこで遭遇したモンスター、Gマンティスと戦闘中だ。
僕は危うくGマンティスの鎌の一撃を食らうとこだったが、
隠れていたはずのオトジャさんが飛ばしたワイヤーがそれを阻んでくれた。
从 ゚∀从「ここは俺が抑える。お前ら一旦下がれ」
こちらに駆け戻り、Gマンティスに斬り掛かるハインさん。
Gマンティスはそれを避けず、鎌で受け止める。
- 576 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:31:13 ID:1JxBObwQ0
(;^ω^)「頼みますお。オトジャさん」
(´<_` )「うん、距離を取ろうか」
僕達は部屋の入り口付近まで下がり、態勢を整える。
( ^ω^)「思った以上に機動力ありますおね。魔法を当てられる気がしないですお」
(´<_` )「僕が当てたみたいに攻撃の最中を狙うか、今みたいに斬りあってる最中を狙うかだね」
前者は自分の身を危険に晒す事になり、後者は誤射が怖い。
選ぶなら前者だが、魔法を維持しつつ相手をおびき寄せるのは中々に骨が折れる。
後者の場合は、うまく体勢を崩せた時を狙えればいいのだが、Gマンティスは伊達に4本足ではないのだろう。
ハインさんとの打ち合いの最中でも全く体勢がぶれていない。
( ^ω^)「いっそ、2人とも横穴に隠れてもらって広範囲魔法ぶちかましますかお」
そうすれば如何に回避能力の高いGマンティスでも逃げ切れるものではない。
それが一番確実そうだが、問題もある。
- 577 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:32:05 ID:1JxBObwQ0
(;^ω^)「でも、それやったらここ崩れそうですおね」
(´<_` )「その可能性は高いね。所々壁が剥落しているのが目立つからね」
来た道とは別の横穴に入り、最悪ここを崩す覚悟で魔法を撃つという手もあるが、
折角遺跡に戻れそうな道を見付けたのに、それも潰すのはどうだろうか。
入った先の道が行き止まりの場合も考えると、やはり避けるべき手と考えた方がいいだろう。
从#゚∀从「この野郎ッ!」
○・ ・○ キチキチ
\/
ハインさんの攻撃は、悉くGマンティスに防がれている。
状況はハインさんが押しているようにも見えるが、あの守りの堅さでは戦いは長引くだろう。
サイズの大きい、リーチで負けるモンスター相手に前面で戦う人間が1人というのは厳しいものがある。
( ^ω^)「やっぱ近距離魔法狙いで、僕も接近戦を仕掛けるしかないかおね」
僕は杖を両手で持ち、Gマンティスへ向かう。
僕の杖は木製にしてはかなり丈夫に作られているが、あの鎌の攻撃を防げるかはわからない。
正面から受け止めるのは避けたい所だ。
- 578 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:33:10 ID:1JxBObwQ0
(´<_` )「ブーン君!」
( ^ω^)「お?」
ハインさんの援護に向かおうとしていた僕をオトジャさんが呼び止める。
そして、1つ考えがあると僕に手招きをした。
∂(´<_` )「あそこの壁を見てくれないか?」
オトジャさんが指差す先は、一見何の変哲の無い壁であった。
しかしよく見ると、壁にひびが目立ち、下の方にはいくつか落下した岩が見える。
(´<_` )「僕があそこにトラップを仕掛ける。準備が出来たら、あいつをあの下に誘き寄せてくれないか?」
( ^ω^)「なるほど、落石させるつもりですね?」
(´<_` )「そういう事だ。ちょっと落石を促すための仕掛けに時間かかりそうだけど何とかしよう」、
( ^ω^)「それならこれ使ってくださいお」
(´<_` )「これは?」
- 579 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:34:28 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「爆発する魔法が込められた護符ですお。1度発動させた後、衝撃を与えると爆発しますお」
(´<_` )「なるほど、これは使えそうだね」
( ^ω^)「こいつを直接あいつに踏ませることも考えましたけど」
( ^ω^)「誤爆が怖いのと、避けられそうなのであんまり効果的じゃないかと思ったんですお」
(´<_` )「うん、僕も同意見だね。それじゃあ、誘導頼めるかい?」
( ^ω^)「把握しましたお」
僕は頷き、ハインさんの元へ走る。
そしてGマンティスから距離を取って仕切り直しているハインさんの隣に並び、オトジャさんの策を説明した。
从 ゚∀从「この程度、俺が斬り刻んでやる……と言いたいとこだが、オーケィ、把握した」
从;゚∀从「正直、こいつと正面から斬り合うと武器がヤベえ」
そう言ってハインさんは、右手を持ち上げ、蛮刀の1本を僕に見せる。
その刃は所々刃こぼれしていた。
- 580 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:36:13 ID:1JxBObwQ0
从;゚∀从「ったく、折角修理したってのによ」
(;^ω^)「僕の杖で受けるのは無理そうですおね。取り敢えず……」
僕はGマンティスの動きを警戒しつつ呪文を詠唱する。
Gマンティスも同様に、こちらの動きを警戒しているように見え、お互い睨み合う様な形になった。
( ^ω^)「その身を包め! エンチャンテッド・ウエポン!」
完成した魔法をハインさんの2本の蛮刀に向けて解き放つ。
魔法の効果で蛮刀が薄い緑色に光りだした。
从 ゚∀从「何だこりゃ?」
( ^ω^)「簡単に言えば魔法による武器のコーティングですお」
( ^ω^)「切れ味はそんなに変わりませんが、耐久力はこれでかなり高まると思いますお」
从 ゚∀从「へー、そりゃ助かる」
( ^ω^)b「ちなみに、色はある程度自由に決められますお」
从;゚∀从「いや、色はどうでもいいけどさ」
- 581 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:37:56 ID:1JxBObwQ0
从 ゚∀从「つか、そんな便利な魔法あるならもっと早く使ってくれよ」
(;^ω^)「使う暇がなかったというか、あんな固いとは思わなかったというか……」
理由を突き詰めれば、僕が未熟であったというだけという事になってしまう。
僕はそれなりに使える魔法を覚えているので、使う魔法の選択肢も数がある。
その中で最適なものを選び出せるかどうかは、僕の実力、経験に左右されるのだ。
僕は今回攻撃魔法でGマンティスを倒すつもりで魔法の組み立てをしたが、
ハインさんの補助に徹した魔法の組み立てをした方が戦闘を優位に進められたかもしれない。
あくまで結果論の話だけども。
从 ゚∀从「初見の敵相手ならしゃーねーだろ。人数の少ないパーティーなら全員が前衛の気でいねーとな」
そう言ってハインさんは回りこむように接近し、Gマンティスを壁際に追い込むような動きをする。
僕もそれに合わせ、Gマンティスが大きく跳ばない様な位置取りをした。
从 ゚∀从「刃こぼれの心配は無くなったんだ。遠慮なく全力で振り回させてもらうぜ!」
ハインさんはあわよくば自分で仕留めるつもりなのだろう。
牽制というには力の入った攻撃を繰り出している。
- 583 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:39:05 ID:1JxBObwQ0
○・ ・○ キチキチ
\/
( ^ω^)「ロック・スロー!」
魔法で飛ばした岩は簡単に避けられるが、この魔法の良いとこは岩なので飛ばした後の制御が全くいらない点だ。
従って術後の隙がかなり小さい。
牽制としては十分である。
(´<_` )「2人とも、準備は出来たよ!」
背後からオトジャさんの声が聞こえて来た。
僕はオトジャさんの位置を確認し、ハインさんと連携してGマンティスを誘導する。
( ^ω^)「足止めは必要ですかお?」
(´<_` )「大丈夫、あの場所まで誘導してくれればいい」
うまく誘導したとしても、岩が落ちる間に逃げられそうな気がするのだが、
オトジャさんはそれも含めて何か仕掛けているようだ。
- 584 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:40:09 ID:1JxBObwQ0
从#゚∀从「オラッ、跳んでみろよ!」
○・ ・○ キチキチ
\/
ハインさんの果敢な攻めに防戦一方のGマンティスは、ぴょんぴょんと跳んで逃げ回る。
それを僕が逃げ道を塞いで逃げる先を誘導し、その工程を繰り返してトラップの上まで誘導した。
从#゚∀从「このッ!」
○・ ・○ キチキチ
\/
( ^ω^)「今だ、オトジャさんッ!」
+q(´<_` )「サースガ式ワイヤートラップ発動!」
Gマンティスがその場に着地した瞬間、地面から2本のワイヤーが飛び出し、Gマンティスの身体を打ち、ひるませた。
更にその上からいくつもの岩が降り注ぐ。
,,,,,,,,
◇・ ・○ ギッ!?
\/
- 585 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:41:49 ID:1JxBObwQ0
脚や胴体の上に岩が乗るが、それでもGマンティスは生きており、必死に抜け出そうともがく。
虫型のモンスターは普通の虫と同様、生命力が高い。
色々な器官や手足がもげようが、それを切り捨てて生き延びたり出来る。
从 ゚∀从「くたばれ、虫ケラ野郎ッ!」
それを理解しているのであろうハインさんは、身動きが取れなくなったGマンティスの首を斬り飛ばした。
如何に生命力の高い虫でも首を斬られてはもう、生きてはいないだろう。
( ^ω^)「やりましたお! お見事ですお、オトジャさん!」
+(´<_` )「ハハハ、何の何の、このサスガイバーにかかればこのくらい朝飯前さ」
僕達は勝利の余韻に浸る間もなく、すぐさま遺跡へ向かう為に岩壁を登る事にする。
Gマンティスが1匹だけとは限らないので、この場に留まるのは得策ではない。
从 ゚∀从「でもこいつの鎌、持って帰りてえな。武器の素材に使えそうだ」
( ^ω^)「ああ、確かに。でも、ちょっとデカいですおね」
可能ならあとで取りに来るという事で妥協し、ひとまず鎌を1本だけ剥ぎ取り、遺跡の通路に運んで置いた。
まだ探索を続ける必要があるので、持って回るには少々邪魔だ。
アニジャさんに依頼する武器の強化は、素材もアニジャさんが用意してくれるので、無理して持って帰る必要もない。
- 586 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:43:55 ID:1JxBObwQ0
从 ゚へ从「良い値で売れそうなんだがなあ……」
( ^ω^)「そうですおね。これなら色々な用途に使えそうですお」
後ろ髪惹かれつつも鎌を置いて僕達は先に進む。
そのまましばらく通路を進み、一旦休憩を取る事にした。
从 -∀从「ふぅ……」
( ^ω^)「大丈夫ですかお?」
从 ゚∀从「ん……ああ、ちょっと疲れただけだ。心配すんな、まだまだ行けるぜ」
ハインさんはそう言うが、疲労の色が濃いのは傍目にもわかる。
戦闘スタイル的に分けると、現在の僕らはハインさんだけが前衛で、バランスが良いとは言えない。
更に1人は護衛対象だし、心労も含めてハインさんの負担は大きくなっている。
ここは僕が何とかしなければならない場面だろう。
(;^ω^)(護衛対象に助けられてる僕が言ってもなんだけど……)
多くの魔法が使え、モンスターに関する知識があっても、圧倒的に経験が足りていない事を痛感する。
冒険者としての僕はまだまだ未熟なのだと自覚せねばならない。
- 588 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:45:15 ID:1JxBObwQ0
それから軽く食事を取り、少しの時間休んで僕達は再び探索を始めた。
モンスターと遭遇する事は無かったが、遺跡は広く、迷路の様に入り組んでいて探索は難航した。
(´<_` )「うーん、何だろうね、この遺跡は。目的がさっぱりだ」
( ^ω^)「完全に迷路ですおね。迷宮というべきですかお?」
(´<_` )「そうだねえ。やはり装飾が少ないのが気になるが、迷宮といった感じだね」
大半が通路で、部屋のような物はほとんど無い。
その通路も通ると岩の格子戸が降りて来て道を塞いだり、迷った挙句戻って来ると開いていたりと、
よくわからない仕掛けが満載だ。
所々壊れた部分もあるが、例の地震の影響だけとは限らないようだ。
明らかにかなり昔に崩れた様な壁もある。
それが自然に崩れたのか、何かによって崩されたのかは難しい所だが、警戒は緩めずに行かねばならない。
(´<_` )「ジョルジュ君達ともなかなか出会えないね。彼らは無事だろうか……」
从 ゚∀从「道に迷ってるという意味では無事ではないかもしれんが、俺らよりは戦力的に大丈夫だろ」
- 590 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:47:08 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「あの3人ならよっぽどの事があっても大丈夫な気がしますお」
(´<_` )「仲間を信頼してるんだね。良いパーティーだ」
オトジャさんは人好きのする顔で笑いかける。
楽観視しているわけでもないのだが、あまりマイナスに考え過ぎても仕方がない。
僕もオトジャさんに笑顔を返した。
从 ゚∀从「また分かれ道か。ここ、さっきも来たっけ?」
(´<_` )「さっきは左に進んだね」
( ^ω^)「そしたら戻って来たんですおね」
オトジャさんは進んだ道を記録、いわゆるマッピングをしてくれている。
本職だけあって手馴れたもので、歩いた歩数で大体の距離も記録しているようだ。
从 ゚∀从「じゃあ、右だな」
そのまま通路を道なりに進むと、石造りの扉の前に出た。
その扉はこれまでとは少し趣が異なっているように見える。
- 591 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:48:56 ID:1JxBObwQ0
从 ゚∀从「まあ、進むしかないわけだがな」
(´<_` )「まずトラップの確認をしようか」
特に何も仕掛けられている様子はなく、僕達は扉を開ける。
重い扉であったが、3人がかりで開く事が出来た。
(;^ω^)「お……通路じゃなくて部屋みたいですおね」
(´<_`;)「結構広いね……ん?」
オトジャさんが急に部屋の奥に向かって走り出した。
何事かと驚きつつも、僕達はそれを追う。
从 ゚∀从「おいおい、単独行動すんじゃねえよ」
(´<_` )「すまない、少々舞い上がってしまってね」
( ^ω^)「これは……壁画ですかお? それに、古代文字」
(´<_`*)「うん、それもこの遺跡の歴史、作られた経緯みたいだね」
- 592 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:50:43 ID:1JxBObwQ0
ここに来てようやくこの遺跡に関する資料が見付かったらしい。
オトジャさんが興奮するのも無理の無い事かもしれない。
( ^ω^)「この壁画が描かれた壁、ルーン石ですおね。再加工すれば武器に使えそうですお」
(´<_`;)「止めてくれ。貴重な歴史資料だ」
从 ゚∀从「何て書かれてるんだ?」
(´<_` )「解読するから少し時間をくれないか。取り敢えずこの遺跡の名はクノッソスというみたいだね」
僕も少しは古代文字は読めるが、この文明独自の表現も多々入って難解なので、ここは専門家に任せるべきだろう。
僕とハインさんは周囲を警戒しつつ、その場に座って休む事にした。
(´<_` )「うん、大体読めたよ」
从 ゚∀从「で、ここは何なんだ?」
(´<_` )「そうだね、簡単に言うと牢獄かな」
( ^ω^)「牢獄? この迷路みたいなのがですかお?」
(´<_` )「元は少し違ったみたいだけど……いや、ある意味最初から牢獄なのかな?」
オトジャさんの説明によると、ここはあるモンスターを閉じ込める為に作られた施設らしい。
今いるこの場所は、丁度施設の中心部に当たる場所のようだ。
- 593 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:51:39 ID:1JxBObwQ0
从 ゚∀从「何でモンスターなんか閉じ込める必要があんだ? 倒しちまえばいいだろうに」
(´<_` )「倒せない理由があったみたいだね」
从 ゚∀从「そんだけ強かったって事か?」
(´<_` )「いや、そのモンスターは元々この文明の王族の1人だったらしい」
詳しい経緯は書かれていないが、王族に生まれた子供が牛の頭をしたモンスターだったらしく、
当時跡継ぎのいなかった王はその子を殺すに殺せず、この中に閉じ込めたらしい。
(´<_` )「王がその子をどうするつもりだったかはわからないが」
(´<_` )「その後、罪人もこの迷宮に放り込むようになったみたいだね」
王が何をしたかったのかわからないが、その結果は何となく察しがつくとオトジャさんは言う。
恐らくそのモンスターは、その罪人を食料として生き延びたのではないかと。
( ^ω^)「記録が無かったわけは、その事実を知られたくなかったからという事ですかお」
(´<_` )「恐らくね。王が結局その子をどうしたかったのかはわからないけど、事実はそんなとこだろう」
- 594 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:53:21 ID:1JxBObwQ0
从 ゚∀从「ふーん……じゃあ、ここは大した物は無さそうか」
(´<_` )「そうだね。宝という意味では外れだろうね。歴史資料としては十分興味深いけど」
つまりこの時点で僕達は目的を達成したといえる。
遺跡の謎はひとまず解明出来た。
从 ゚∀从「しかし、何でこんな部屋があるんだ?」
(´<_` )「それはわからないけど、知られたくない事とはいえ何かしらの言い訳はしたかったのかもしれないね」
从 ゚∀从「何に対する言い訳だよ?」
(´<_` )「後世の歴史家とか、僕らみたいなトレジャーハンターに対するかな?」
从 ゚∀从「何だそりゃ」
(´<_` )「権力者って、結構自分の死後の事まで考えてたりするんだよ」
(´<_` )「だから、自分のした事に間違いがなかった事をここに記そうとしたのかもしれない」
今一つオトジャさんの言う事がよくわからないが、権力者の自己顕示欲のようなものだと僕は理解した。
何にせよ、記録を残してくれていた事お陰で助かったのは確かだ。
- 595 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:56:28 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「それじゃあ、ツン達を探して一旦外に出ますかお?」
(´<_` )「そうしようか。持ち帰れる資料も探したいけど、ひとまずは目的がわかっただけで十分かな」
僕達は再び石の扉を開け、通路に出る。
心なしか空気が重く感じるのは気の所為だろうか。
从 ゚∀从「……そのモンスターって、文明が滅んだ後はどうなったんだろうな?」
(´<_` )「何百年単位もの昔だからね。恐らくは……」
( ^ω^)「でも、ひょっとしたらその後もここを見付けて入り込んだ人もいたかもしれませんおね」
(´<_` )「あるいはね。……それでそのままここから帰れず、って可能性の話かい?」
(´<_` )「だからこの遺跡の話が広まっていない、と」
( ^ω^)「あくまで可能性の話ですけど……うん、可能性の話だったら良かったなあ……」
从 -∀从「全くだ」
- 596 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:57:43 ID:1JxBObwQ0
空気の淀みが更に深まる。
感じるのは魔力、モンスターの気配。
ここに何かがいるのは確かだ。
それも、こちらに近付いて来る。
( ^ω^)「エンチャンテッド・ウエポン」
从 ゚∀从「さて、何が出るのやらね」
先の反省も踏まえ、ハインさんが構えた蛮刀にすかさず魔法をかける。
ここから先の分かれ道までは一本道だ。
このまま進めばこの先の通路で鉢合わせる事になるだろう。
僕らの後ろはさっきの部屋があり、実質行き止まりだ。
ここを突破するためには確実に一戦交える必要がある。
( ^ω^)「来ますお」
通路の奥、闇の中からそれはゆっくりと姿を現した。
┗(`・・´)┛
- 597 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 22:59:02 ID:1JxBObwQ0
大きな2本の角のある、雄牛の頭をした人型のモンスター。
その背丈は僕の2倍はあるだろう。
頭を除く上半身はまるで人間のようだが、かなりの筋肉質で、下半身は体毛に覆われた蹄のある牛の脚だ。
(´<_`;)「あれがミノタウロス……生きていてたのか……」
ミノタウロスというのがその王子、いや、モンスターの名前らしい。
人との間に生まれたとはいうが、言葉は通じず、凶暴なモンスターそのものの様だ。
从 ゚∀从「んじゃ、倒しちまっていいわけだな」
(´<_`;)「ああ、あれを人間と思わない方がいい。というか、ここは逃げるべきだと思うが」
(;^ω^)「つーか、閉じ込められてたのに武器持ってるって……」
ミノタウロスはその身の丈には少し小さい長柄の斧を持っていた。
小さいといっても、ジョルジュさんの斧よりは大きいかもしれない。
(´<_`;)「過去に侵入した冒険者の遺品かもしれないね」
( ^ω^)「道具を使えるくらいの頭はあるというわけですおね」
- 598 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:01:31 ID:1JxBObwQ0
対峙して思うのは、正面切って戦うのは避けたいという事だが、相手のサイズと地形を考えるに、
横を走り抜けるのは無理がある。
僕1人ならスペシャルで突破出来る可能性もあるが、厳しい状況だ。
┗(`・・´)┛「ブモォォォッ」
考えている間にも大斧を振り上げ、こちらに襲い掛かってくるミノタウロス。
こうなれば腹を括るしかない。
( ^ω^)「ウインド・カッター!」
ミノタウロスの一撃をハインさんは背後に大きく跳んでかわす。
僕は攻撃を空振りしたミノタウロス目掛けて風の魔法を放った。
┗(`・・´)┛「ブモッ」
( ^ω^)「ヒット、でも、きいてないっぽいお」
ウインド・カッターはミノタウロスの胸に着弾したが、その皮膚を僅かに切り裂くだけで、出血すらさせられない。
魔法は使えなさそうな顔だが、その身に宿す魔力は高いのだろう。
- 599 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:03:17 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「ハインさん、オトジャさん、一旦下がってこいつから距離を取ってくださいお」
从 ゚∀从「どうするんだよ?」
( ^ω^)「こうしますお」
尋ねながらも素直に下がるハインさんを尻目に、爆破の護符を地面に置く。
既に発動させてあるからミノタウロスが踏めば爆発するはずだ。
(´<_`;)「通路は崩さないでくれよ?」
( ^ω^)「最悪、崩れても倒せればおkですお!」
僕は護符の方にミノタウロスをおびき寄せながら後ろに下がる。
ミノタウロスは全く警戒する素振りも見せずにずんずんと近寄って来た。
┗(`・・´)┛「ブモッ」
護符を踏み、爆発の衝撃がミノタウロスを襲う。
1つの爆破が連鎖的に次の爆破を生み、辺り一面轟音と煙に包まれた。
- 600 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:04:38 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「ついでにこれも食らっとけお、ファイヤー・アロー!」
火の精霊の力を借りた魔法を唱え、ミノタウロス目掛けて解き放つ。
魔法は煙の中のミノタウロスに直撃し、爆ぜた。
( ^ω^)「やったかお?」
残りの爆破の護符全てと火の魔法を当てたのだ。
並のモンスターならこれで倒せないはずが無い。
┗(#`・・´)┛「ブモォォォッ」
(;^ω^)「クッ、伊達に長生きしてないってわけだおね」
煙の中からくぐもった牛のような鳴き声と共に大斧が振り下ろされる。
僕は後方に飛び退きつつ向こうのダメージを確認するが、脚部に黒い焦げは目立つものの足取りはしっかりしている。
残念ながら僅かな足止め位にしかならなかったらしい。
从#゚∀从「この野郎がッ!」
下がった僕の代わりに、今度はハインさんがミノタウロスの攻撃の空振りを狙って飛び掛かる。
その隙に僕は次の魔法の詠唱を始めた。
- 602 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:05:47 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「ハインさん!」
从 ゚∀从「あいよ、っと」
僕の合図にハインさんが再び後方に下がる。
僕はミノタウロス目掛けて唱えていた魔法を解き放った。
( ^ω^)「サンダー・ボール!」
雷の球体がミノタウロスに直撃する。
ミノタウロスは身体を震わせ、後方によろけた。
( ^ω^)「きいたかお?」
从 ゚∀从「ナイスだ! 次は俺が行く!」
ハインさんは一気に間合いを詰め、よろけたミノタウロスの首目掛けて斬り掛かる。
刃がミノタウロスを斬り刻み、血飛沫を上げるが、その身の深くには届いていないようだ。
┗(`・・´)┛「ブモッ」
从;゚∀从「こいつ、地肌剥き出しの癖に固いにも程があるぞ」
- 603 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:07:52 ID:1JxBObwQ0
再びハインさんがミノタウロスの攻撃をかわしつつ下がり、僕が魔法を唱える。
そしてまたハインさんが斬りかかるという連携で、僕達はミノタウロスに挑む。
しかしながら決定打となるようなダメージは与えられず、僕達は徐々に通路を後退していた。
(´<_` )「さっきの部屋に一旦閉じ篭ってやり過ごすかい?」
( ^ω^)「その手もありですおね」
篭ってやり過ごせるかどうかは難しい所だが、人数では勝ってるので部屋の中で戦う方が戦いやすいと思う。
ただ、ミノタウロスの背丈では入り口の扉はくぐれなさそうである。
しかし、途中で見かけた遺跡の破損がこのミノタウロスの仕業なら、入り口を壊して入って来るかもしれない。
(´<_`;)「僕としては、あの中で戦って貴重な資料が壊されるのは勘弁願いたいけどね」
从 ゚∀从「守るのも隠れるのも性に合わねえ。ブーン、一点集中だ!」
( ^ω^)「お……」
ハインさんがミノタウロスの首を指差し、そこを狙えと怒鳴る。
よく見ると、これまでの攻撃で首元に他と比べて大き目の傷が付いている。
- 604 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:08:57 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「把握! んじゃ、これで仕留めるつもりで、デカいの行きますお!」
( ^ω^)「これまでよりちょいと詠唱に時間かかるんで、それまで頼みますお」
从 ゚∀从「オーケィ、頼まれたぜ!」
僕は集中し、呪文の詠唱を始める。
本当はスペシャルで威力を高めたい所だが、走りながらピンポイントで首を狙うのは骨が折れる。
かと言ってブーン・クラッシュだと狙いが大雑把過ぎるので使えない。
そもそも、この通路でのパーティ戦で僕のスペシャルは使える間がないと思う。
こういった所は不便で仕方がないスペシャルだ。
元々、個人戦用のスペシャルである側面が強い。
┗(`・・´)┛「ブモォォォッ」
从;゚∀从「ちっとは疲れる素振りぐらい見せやがれ」
ハインさんは大上段から振り下ろされる斧の一撃をかわし、付かず離れずの距離を保つ。
今は回避に専念し、僕の魔法に合わせて攻撃するつもりだろう。
- 605 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:09:49 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「此の地に宿る風の精霊よ、我が刃となりて全てを切り裂け……ハインさん!」
詠唱を終え、完成した魔法を維持し、ハインさんに呼び掛けた。
察したハインさんが飛び退いた瞬間、僕は魔法をミノタウロス目掛けて解き放つ。
( ^ω^)「ウインド・ブラストォッ!!!」
突き出した右の手から空気を切り裂く轟音と共にいくつもの風の刃が密集して出現し、
螺旋状に旋回しながら高速で直進する。
┗(`・・´)┛「ブモォォォッ!?」
魔法は僕の狙いと寸分違わずミノタウロスの首を抉り、その身を大きく仰け反らせる。
从#゚∀从「うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁッ!!!」
そこにすかさず飛び込んだハインさんの蛮刀が薙ぐ。
バットスイングの要領で振るわれた2振りの蛮刀は、どちらもミノタウロスの首を深く切り裂いた。
┗(`・・´)┛「ブモォッ……」
从 ゚∀从「手応えあり──」
- 606 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:11:15 ID:1JxBObwQ0
┗(#`・・´)┛「ブモッ!」
从; д从「ぐッ……」
(;^ω^)「ハインさんッ!」
驚くべき事にミノタウロスは、2本の蛮刀が首の半ばまで食い込んだ状態のまま反撃をして来た。
蛮刀に手をかけたままだったハインさんは、至近距離で打ち込まれた左の拳をかわせず、
腹部にまともに食らって吹き飛ばされて壁に激突した。
┗(#`・・´)┛「ブモォォォッ!」
(;^ω^)「くっ……」
今の一撃でハインさんは負傷しただろう。
あの勢いなら肋骨ぐらいは折れてるだろうし、後頭部も打った様だ。
戦闘復帰は難しい所か、打ち所によってはその生命も危険かもしれない。
(;^ω^)「何とかしなきゃだけど、自分の方も人の心配ばかりしてられる状況じゃないお」
滅茶苦茶に振り回される斧の攻撃を転がるようにしてかわし、態勢を整える。
決めるつもりで魔法を撃った直後だ。
その反動で身体の動きが鈍くなっていて、疲労が激しい。
- 607 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:13:07 ID:1JxBObwQ0
┗(#`・・´)┛「ブモォォォオォォォッ!?」
1つだけ幸いなのは、向こうも決してダメージは軽くないという事だ。
首は半ば千切れかけてるし、攻撃も未だ鋭くはあるが、狙いが滅茶苦茶で、恐慌状態にあるのだろう。
もう一撃、強力な魔法を首に当てられれば倒せると踏んでいる。
(;^ω^)「でも、詠唱の間が取れねえお」
何にせよ、まずはこいつを僕の方に引き付けてハインさんをオトジャさんに救出してもらわなければならない。
いっそ反対側に抜けて、追いかけさせて引き離す方べきか。
(;^ω^)「オトジャさん、ハインさんを!」
+d(´<_`;)「あ、ああ、任せるんだ、こ、この冒険野郎・サスガイバーに!」
僕はハインさんがいる方の壁と反対側の壁にへばりつく様に回り込んでミノタウロスの気を惹く。
┗(#`・・´)┛「ブモォォォッ!」
(;゚ω゚)「危ねッ!?」
上手く釣る事は出来たが、思いの他鋭く的確な攻撃が僕を襲う。
寸での所でかわしはしたが、向こうは既に恐慌状態から立ち直りつつあるのかもしれない。
- 608 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:14:09 ID:1JxBObwQ0
(;^ω^)「かわしつつ大技……いや、今らな距離取ってスペシャルで……」
またも振り上げられる大斧。
僕はミノタウロスを倒す手段を考えながらも、大斧を持つその手の動きにはしっかり注視していた。
しかし、注視していたが、それには気付けなかった。
┗(#`・・´)┛「ブモッ!」
(;^ω^)「えっ……?」
突如、大地が揺れた。
それが振り下ろされたミノタウロスの脚が生み出した振動だと気付いた時には足がもつれ、僕は通路に無様に転んでいた。
(;゚ω゚)「しまッ──」
┗(#`・・´)┛「ブモォォォッ!」
そこに振り下ろされる巨大な斧。
対抗魔法を唱える所か避ける事もままならぬ僕は、無駄と知りつつもその一撃を受け止めようと杖を頭上にかざした。
┗(#`・・´)┛「ブモォォォォォォッ!」
(;゚ω゚)「うわぁぁぁぁぁッ!!!」
- 609 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:15:16 ID:1JxBObwQ0
┗(:`・・´)┛「ブモッ!?」
(;^ω^)「え!?」
突然、ミノタウロスが僕の視界から消える。
それが何かに殴り飛ばされたのだと気付いた次の瞬間、彼女は僕の視界に飛び込んで来た。
ノ从∀ 从ト「ルォォォォォォォォォォォォ……」
(;^ω^)「ハ、ハインさん!?」
ボサボサの髪は逆立ち、前傾姿勢で低い唸り声を上げる人物。
それは紛れも無く僕の知るハインさんではあるが、明らかに様子がおかしい。
目の焦点は合っておらず、呼びかけても応答が無い。
(;^ω^)「助かりましたお! でも、ハインさん、傷は……」
ノ从д゚从ト「ルォァッ!」
(;゚ω゚)「ちょ!?」
- 610 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:16:54 ID:1JxBObwQ0
突如として僕に殴りかかってくるハインさん。
僕はそれを必死でかわし、状況を整理しようとするもよくわからない。
ハインさんが何かしらヤバい状態にあるのはわかるが、それが何で何故なのかさっぱりだ。
┗(#`・・´)┛「ブモォォォッ!」
(;^ω^)「ああ、もう、この忙しい時に!」
ハインさんの攻撃をかわしはしたが、位置取りを間違えた様だ。
僕はハインさんとミノタウロスに挟まれる格好になってしまった。
はっきり言って絶体絶命のピンチである。
┗(#`・・´)┛「ブモォォォッ!」
ノ从∀ 从ト「ルォァッ!」
(;^ω^)「ああ、もう、迷ってる時間すらねえお!」
僕は反射的に前進し、ハインさんの拳をかわしつつ腰にタックルをして押し倒した。
何とかハインさんを正気に戻す、出来なくとも動きを封じて戦場から離脱させたい。
- 611 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:20:24 ID:1JxBObwQ0
(;^ω^)「ハインさん! 正気に戻ってくださいお! ハインさんッ!!!」
ノ从∀ 从ト「ルォォォォォォォォォォォォ……」
(;゚ω゚)「え、ちょ……」
ハインさんは倒れたまま、信じられないほどの力で僕を引き剥がし、壁に放り投げた。
突然の事に、僕は受身も取れずに壁にしこたま背中をぶつける。
軽く意識の飛び掛けた僕が次に見たのは、倒れているハインさん目掛けて振り下ろされるミノタウロスの大斧だった。
(;゚ω゚)「ハインさんッ!!!」
(# ゚д゚)「させぬッ!!!」
┗(;`・・´)┛「ブモッ!?」
聞き覚えのある大音声と共に、何かがミノタウロスの背を打つ。
それがミルナさんのモーニングスターだと理解する間もなく、
僕はハインさんを守るべく飛び込んでその身に覆いかぶさった。
- 613 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:22:47 ID:1JxBObwQ0
(;^ω^)「ハインさんッ!」
ノ从∀ 从ト「……」
_
(#゚∀゚)「くたばりやがれぇぇぇぇッ!」
┗(`・・´)┛「ブモォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
意識を失っている様に見えるハインさんを助け起こし、その場から離れようとしたが、
それよりも早くジョルジュさんの斧がミノタウロスの首を跳ね飛ばし、長かった戦いは思いの他あっさりと終了した。
あそこまで弱っていれば、ジョルジュさん達の敵ではなかったのだろう。
ξ;゚听)ξ「大丈夫、ブーン、ハイン!」
(;^ω^)「ぼ、僕は何とか。でも、ハインさんが……」
僕は駆け付けてくれたツン達にこの場で起こった事の説明をする。
その間にミルナさんがハインさんの様子を見てくれていたが、気を失っているだけとの事だった。
(;^ω^)「気を失ってるだけって……で、でも、何か変でしたし、ケガもしてると思いますし……」
( ゚д゚)「……」
_
( ゚∀゚)「……」
(;^ω^)「お?」
- 614 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:24:53 ID:1JxBObwQ0
ジョルジュさんとミルナさんは無言で目を合わせ、頷き合った。
それが何を意味するのかわからなかった僕は、どういう事なのか聞こうとしたが、後で話すとはぐらかされてしまった。
( ゚д゚)「ひとまずここを出よう。話は後だ」
_
( ゚∀゚)「ハインは俺が運ぶ。なに、大丈夫だ。こいつがそう簡単にくたばるわけはねえから安心しろ」
(;^ω^)「……そうですおね。まずは外に出ましょうかお」
ξ゚听)ξ「……そういえば、オトジャさんは?」
(;^ω^)「あ……」
予期せぬ事態にすっかりその存在を忘れていたが、オトジャさんの姿が見えない。
元々、ハインさんの側にいたはずなのだが、あの状態のハインさんといたとなると悪い予感が頭を過ぎる。
+(´<_`(#)「僕ならここさ。全然無事だから安心したまえ」
(;^ω^)「えーっと……」
無事と言う割には顔にひどく殴られた跡がある気がするのだが、多分ハインさんに殴られたのだろう。
まあ、無事といえば無事なので、遺跡を出る事を優先した。
- 615 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:26:14 ID:1JxBObwQ0
( ^ω^)「道はわかるんですかお?」
_
( ゚∀゚)「途中にパンくず撒いて来たから大丈夫だ」
(;^ω^)「いや、それ、全く大丈夫な気がしないですお」
ジョルジュさんはともかくとして、ミルナさんがちゃんと道順を記録してたみたいなので脱出は出来そうである。
途中、落とし穴などのトラップに引っかからなかったのは幸いだ。
_
( ゚∀゚)「しっかし、ようやく追い付いたと思ったら、調査は終了な上、遺跡のボスは既に満身創痍だもんなー」
( ^ω^)「その分こっちは大変だったんですお」
遺跡内部には他のモンスターの姿は見受けられなかったようだ。
外壁の壊れた部分から入り込んだりしたモンスターがいたの可能性もあるが、
軒並みミノタウロスに倒されたのかもしれない。
+(´<_` )「どんな困難があろうと、このサスガイバーにかかればなんて事は無いさ!」
( ^ω^)「そもそも、誰の所為で分断される事になったのか忘れないでくださいお?」
あれだけ苦労させられたのだ。
助けられた部分もあったとはいえ、少しぐらい愚痴ってもいいだろうと思う。
結果論で言えば調査は完了し、クエストは成功なのだがハインさんの負傷もあるし、手放しには喜べない。
- 616 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:28:25 ID:1JxBObwQ0
ξ゚听)ξ「何だかよくわからない遺跡ね。結局あのミノタウロスってやつ、何で殺さなかったんでしょうね」
(´<_` )「親心ってやつじゃないのかな」
(´<_` )「王としては殺さねばならないとわかっていても、親としては直接手を下す事は出来なかった」
オトジャさんはそう言うが、あまり納得出来る話ではないと感じるのは、僕が人の親になった事がないからだろうか。
それならいっそ、ちゃんと自分の子として育てれば良かったのではないかと思う。
王としての立場や人の目を考えればそれが難しかったのはわかるが、
その方が自分として納得出来たのではないだろうか。
(´<_` )「難しい話だね。本当の所はどうだったのか、結局の所、本人に聞くしかないのかもしれない」
それが出来れば苦労はないが、出来ないからこそこうやって遺跡の調査をしているのだとオトジャさんは言う。
( ^ω^)「ちょっと興味も湧きましたし、何かわかったら教えてくださいお」
(´<_` )「ああ、いいとも。その時は君達の所に遺跡通信を送ってあげよう」
( ^ω^)「是非お願いしますお」
- 617 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/04/04(水) 23:31:23 ID:1JxBObwQ0
( ゚д゚)「もうすぐだな」
ξ゚听)ξ「あら、ここってブーン達が閉じ込められた所よね?」
( ^ω^)「お、岩扉が開いてるお」
_
( ゚∀゚)「あの後調べたんだが、こちら側から開ける手段は見付からなかったのにな」
(´<_` )「この遺跡は所々、トラップを自動的に戻す機能があるようだね。なかなか高度だ。興味深いよ」
(;^ω^)「また引っかからないでくださいお?」
+(´<_` )「ハハハ、この冒険野郎・サスガイバー、同じ過ちを繰り返すほど愚かでは──」カチッ
_, _, _, _,
从;;( ゚∀゚)( ゚д゚)ξ゚听)ξ( ^ω^)「あ……」(´<_`;)
結局、僕達が全員揃って無事に遺跡を脱出出来たのは、それから更に数時間後の事であった。
第二十二話 激震の地下迷宮 終
戻る 次へ