( ^ω^)は魔法道具屋さんのようです
354 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:32:54 ID:iUiFWFnc0

 〜 魔法道具屋サンライズ 〜


( ^ω^)「今日の仕事はお仕舞いだお」

川 ゚ -゚)「はい、おつかれー」

(∪^ω^)「わんわんお!」

( ^ω^)「で、これがクーの今月分の給料だけど……」

川 ゚ -゚)「ああ、前に話した通り、それはそのまま返済に充ててくれ」

( ^ω^)「把握。というわけでおめでとう、これで借金完済だお」

川 ゚ー゚)「うむ、ありがとう。ようやくここまで漕ぎ着けたな」



     第四十五話 集う者達

355 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:35:23 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)「まさかこんなに早く返してもらえるとは思ってなかったお」

僕の名前はブーン。
ヴィップの町で魔法道具屋サンライズを営む魔法使いだ。

川 ゚ -゚)「当然の事だ……と言いたいとこだが、確かに我ながら少し驚いてるよ」

彼女の名前はクー。
新米冒険者だが僕に借金があった為、普段はサンライズのアルバイトもやっていた。

(∪^ω^)「わんわんお」

この子の名前はわんわんお。
僕のペットというか家族で、見た目は子犬だが実は元竜だ。

暑い季節はもう遠く、これからどんどん寒くなっていくこの時期に、クーの借金の返済が終了した。
当初の見立てではもう少し掛かるはずだったので、それから考えるとだいぶがんばったと思う。

( ^ω^)「どういう心境の変化だお?」

川 ゚ -゚)「別に、特別何かが変わったというわけでもないのだがな……」

356 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:36:40 ID:iUiFWFnc0

そう言うクーだが、明らかに以前よりは生活態度や勤務態度に改善が見られていた。
僕やツンに頼る事無く、バーボンハウスでクエストを受けて他の冒険者とクエストに出る事も増えていたし、
随分成長したものだ。

川 ゚ -゚)「思う所なら多少はあったが」

そう言ってクーは自分の荷物を置いていた場所から剣、ダイオードを持って来る。
そして束に手を掛けるが、剣が抜ける気配はない。

川 ゚ -゚)「むう、まだ駄目か。借金を返し終えたらひょっとしてと思わないでもなかったのだが」

(∪^ω^)「わんお」

ダイオードを手に入れて以降、クーは常にそれを持ち歩いていた。
当面はそれを抜く事が目的だったらしいが、色々やっている内に考え方が変化していったようだ。

ダイオードが求める所の想いの力とは何か。
クーは自分の中で結論は出ているらしい。

川 ゚ -゚)「まだ私の事を認めてはくれんというわけか」

357 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:37:27 ID:iUiFWFnc0

残念そうに呟くクーだが、その目には落胆の色は見られない。
むしろ、そうでなくてはとどこか楽しんでいるようにも見える。

( ^ω^)「これからどうするんだお? すぐに旅立つのかお?」

川 ゚ -゚)「いや、もうしばらくはここに留まるよ」

川 ゚ -゚)「ブーンへの借金は返し終えたが、旅立つには路銀が心許無いんでな」

バーボンハウスのバイトもまだ続けるし、必要ならうちのバイトもしてくれるという。

( ^ω^)「そりゃ助かるお」

( ^ω^)「けど、しばらくは遠出の予定はないから、頼むとしてもちょっと手伝ってもらう程度になるだろうけど」

川 ゚ -゚)「他のバイトやクエストとかぶってなければかまわんよ。ここの仕事も慣れたしな」

その言葉に嘘はなく、クーは確かにサンライズの仕事を十分にこなせていた。
商品製作は流石に難しいが、接客やその他はまかせっきりでもいいくらいにうちの商品を把握している。

川 ゚ -゚)「簡単な薬草ぐらいなら煎じれる用になったぞ?」

( ^ω^)「まだサンライズに出すには効力不足だお。まあ、自分で使う分には合格点あげてもいいお」

(∪^ω^)「わんお!」

358 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:38:15 ID:iUiFWFnc0

川 ゚ -゚)「なかなか厳しいな。まあ、全く駄目ってわけでもないなら良しと思うべきか」

川 ゚ -゚)「……おっと、これからバーボンハウスに行かなきゃならんので私はもう行くぞ」

( ^ω^)「この後もバイトだっけかお? がんばるおね」

川 ゚ -゚)「今日はたまたまだ。いつもはそんなに詰め込んだりは……」

不意にクーの言葉を遮る様にサンライズのドアが開かれる。
鍵こそ閉めていなかったものの、本日閉店の札は出していたはずだがいったい誰だろうか。
  _
( ゚∀゚)ノ「よう、久しぶり」

( ^ω^)「ジョルジュさん!? ヴィップに戻って来てたんですかお? 久しぶりですおねー」

(∪^ω^)「わんわんお!」

陽気に片手挙げて店に入って来たのは、未だソクホウにいるものだと思っていたジョルジュさんだった。
ジョルジュさんの話では、今日戻って来たばかりらしい。

( ^ω^)「そりゃ長旅お疲れ様ですお。今日はどうしたんですかお?」
  _
( ゚∀゚)「ちょっとお前に頼みたい事があってな。これから暇か?」

359 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:39:34 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)「サンライズの営業は終わりましたし、時間は取れますお」
  _
( ゚∀゚)「そうか、そりゃ良かった」

詳しい話はバーボンハウスでするからと来てくれと言い残し、ジョルジュさんは一足先にバーボンハウスに向かった。
急な事で、用件の想像が付かない僕はクーと顔を見合わせる。

( ^ω^)「突然何だろうおね?」

川 ゚ -゚)「さあな。ただ、わざわざ呼び出してお前に折り入って話って事は、それなりに重要な話なのかもしれんな」

(∪^ω^)「わんおー」

わからないことを考えていても仕方がないし、聞けば済む話なので、僕達は戸締りをしてサンライズを出る。
多分、ミルナさん達も来てるのだろうし、皆で話すにはサンライズの店先は不都合だから呼んだのだろう。

( ^ω^)「まあ、クエストか道具に関しての話とかそんなとこだろうおね」

川 ゚ -゚)「お前に悪い話を持ってくるとは思えないしな。そんなとこだろう」

(∪^ω^)「わんわんお」

僕達はすっかり日の落ちた道をバーボンハウスに向かって歩いて行った。

360 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:41:04 ID:iUiFWFnc0

 〜 バーボンハウス 〜


( ^ω^)「来たお」
  _
( ゚∀゚)「おう、わざわざすまねえな」

从 ゚∀从「おっす、久しぶり」

( ゚д゚)「変わりなさそうだな。元気そうで何よりだ」

(∪^ω^)「わんわんお!」

(* ゚д゚)「わんおちゃんも元気そうだねー、よしよし」
つ∪^ω^)

川 ゚ -゚)「そちらも相変わらずの……」

バーボンハウスには予想通りミルナさんとハインさんもいた。
ただ、そこにはもう1人、予想外の人物の姿もあった。

361 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:42:01 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「お久しぶりですね、ブーン殿」

川;゚ -゚)「ゲッ……!?」

( ^ω^)「フィレンクトさん! お久しぶりですお」

予期せぬニューソク王家の要人の顔に、クーはあわてて手近にあったメニューで顔を隠すがもう遅いだろう。
ばっちりと顔は見られた筈だ。

(‘_L’)「お呼びたて致しましてすみません。まずはおかけ下さい」

しかし、フィレンクトさんは苦笑しつつもクーの事には触れず、僕に席に座るよう勧めて来る。
その間にクーはバイトだからと顔を隠したまま、そそくさとカウンターの方に逃げていった。

(;^ω^)「えーっと……」

僕は居並ぶ面々の顔を順に眺めつつ、恐る恐る椅子に座った。
ジョルジュさん達がフィレンクトさんと行動を共にしているのは聞いていたが、
ニューソク騎士団長であるフィレンクトさんが、わざわざヴィップまで一緒に来るとは一体何事であろうか。

(‘_L’)「御心配なく。彼女の……クーさんの事で何かを言いに来たわけではありませんので」

(;^ω^)「はあ……」

362 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:43:06 ID:iUiFWFnc0

それは立場的にどうなのかと思いつつも、ひょっとしたらフィレンクトさんもビコーズさんとグルで、
クーの事は黙認してくれているのかもしれないと考える。

(‘_L’)「ニューソク騎士団長ともあろう者が、姫の事を放置でいいのかと御心配ですか?」

(;^ω^)「あ、いや、その……」

どうやら顔に出てしまっていたのか、フィレンクトさんは珍しく意地の悪い笑みを浮かべつつ問うて来る。
僕が答えるより早く、フィレンクトさんはジョルジュさん達から聞き及んでいるので御心配なくと言い添えられた。

( ^ω^)「なるほど。……って、何でそんな事バラしちゃってんだお?」

( ゚д゚)「すまんな」

从 ゚∀从「馬鹿が口滑らせやがってよ」
  _
( ゚∀゚)「悪い」

フィレンクトさんが見逃してくれているから良かったものの、
クーの事は王家の要職に就く人に気軽に話していいものではない。
下手をすればクーレリア姫の略取とかそんな感じの罪で、僕ら全員捕まってしまう可能性もあるのだ。

363 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:44:39 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)「まあ、ビコーズさんも黙認してる事だし、大丈夫だとは思うけど」

(‘_L’)「流石に宮廷魔術師殿も御存知なのですね」

( ^ω^)「ええ、知ってて旅立たせたっぽいですおね」

(‘_L’)「知ってて? ブーン殿が教えたわけでも、独自に調べたわけでもなく?」

( ^ω^)「だと思いますお」

僕の返事にフィレンクトさんは一瞬険しい表情を見せ、そうですかと深々と頷いた。
その表情の意味がよくわからない僕は、ミルナさん達の方に顔を向ける。

( ゚д゚)「そろそろ本題に入ろうか」

从 ゚∀从「だな」
  _
( ゚∀゚)「その前に何か頼もうぜ? 大人数で席陣取って、注文なしはシャキンにも悪いし」

ジョルジュさんの言う事ももっともなので、僕達は飲み物を頼む事にする。
取り敢えず一通り話が終わるまで、アルコール入れない方が良さそうな雰囲気だ。

365 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:47:05 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)ノ「おーい、こっち注文頼むおー」

川={- -})「はい、御注文をどうぞ」

( ^ω^)「……何してんだお?」

川={- -})「はい? 何か当方に不都合でもおありでしょうか、お客様?」

他に空いている人がいなかったのか、注文を取りに来たのは紙袋で作ったと思われる即席の仮面を付けたクーだった。
もうバレてるので、そんな事をしなくてもいいのだが、面白いので黙っておいた。

( ^ω^)「ぶどうジュース頼むお」

(‘_L’)「私もそれでお願いします」

( ゚д゚)「俺はりんごジュースを頼む」

从 ゚∀从「オレンジで」
  _
( ゚∀゚)「ビールね」

(∪^ω^)「わんわんお!」

1人全く空気を読まず、お酒を頼むジョルジュさんだったが誰もそれを止めなかった。
この面子なら、主に話すのは恐らくフィレンクトさんなのだろうから僕も何も言わない事にした。

366 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:48:27 ID:iUiFWFnc0

川={- -})「お待たせしました」

(‘_L’)「どうも」

再び苦笑を浮かべながら、クーから飲み物を受け取るフィレンクトさん。
僕らの前に注文の品と、わんわんおの前にお水が並べられる。

いつもならわんわんおが来たら自分で注文を取りに来たりするシャキンさんが来ない所を見ると、
同席している騎士団長に遠慮しているのかもしれない。

(‘_L’)「さて、それでは本題に入りたいと思うのですが……ふむ、まずは何から話すべきでしょうかね」

( ^ω^)「そんな複雑な用件なんですかお?」

(‘_L’)「いえ、目的はシンプルなのですが、頼む以上ブーン殿にもちゃんとした説明をするべきかと思いまして」

そう言ってフィレンクトさんはミルナさん達の方を見る。

( ゚д゚)「そうだな、まずは俺達の目的を話すべきかな」

从 ゚∀从「ブーンさあ、俺達とメシューマうろついた時の事覚えてる?」

( ^ω^)「そんな事もあったおね。それがどうかしたかお?」

367 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:49:53 ID:iUiFWFnc0

从 ゚∀从「あの時さ、見たじゃん? 闘技大会が開かれるってやつ」

( ^ω^)「お……それは知ってるけど、というか、知らないわけないお?」

闘技大会自体がどうという話ではないが、その賞品となっている物が僕らが色々と煩わされた千年紀絡みなのだ。
その事を知らないはずがない。

( ゚д゚)「そうだったな。こちらもそれで少々ややこしい話になったのだしな」

( ^ω^)「ややこしい話?」
  _
( ゚∀゚)「まあ、その辺の話は置いといて、要するに俺らの目的はそれに参加する事さ」

(‘_L’)「正しくは、それに参加し、ある人物を捕らえることです」

( ^ω^)「おー……」

思わずわかった風に頷いてしまったが、この段階ではまだまだわからない事だらけだ。
ただ、わかった事もあり、少なくとも何故僕がここに呼ばれたかの理由は想像がついた。

( ^ω^)「えーっと、つまり、それに……」

368 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:51:43 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「ですので、我々はブーン殿に東の賢者殿への仲介を頼みたいのです」

(;^ω^)「へ? ドクオさんにですかお? そりゃまた何で……」

てっきり僕に手伝ってくれというものだと思っていたら、それを飛び越えてドクオさんと来た。
しかし、どう考えてもドクオさんが王家の人間の頼みを聞くとは思えない。
それ以前に問題はもう1つある。

( ^ω^)「てか、ドクオさん、ここしばらくずっと帰って来てなくて音信不通ですお」

(;‘_L’)「なんと……」

僕の返答に露骨に落胆するフィレンクトさん。
残念ながら居場所も全くわからないことを言い添えると、更に難しい表情を浮かべた。

从 ゚∀从「ったく、肝心な時にいねえとか使えないにも程があんだろ」

( ^ω^)「全くだおね。でもまあ、多分いても断られたと思うお」

僕は落胆するフィレンクトさんを慰めるつもりで、ドクオさんの王家嫌いを説明した。
どの道断られていただろうし、それはフィレンクトさんの所為じゃないと。

369 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:53:41 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「ああ、それなら大丈夫ですよ。騎士団は辞めましたから」

( ^ω^)「へー、それなら……」

(;^ω^)「って、騎士団を辞めた!? どういう事ですかお?」

さらっととんでもない事を言い出すフィレンクトさんに、僕は思わず立ち上がって身を乗り出してしまう。

( ゚д゚)「気持ちはわかるが落ち着け、ブーン」

(∪^ω^)「わんお」

(;^ω^)「いや、でも、割と大事ですおね、それ? 一体何があったんですかお?」

東の賢者であるドクオさんに助力を求めて来た事といい、フィレンクトさんが騎士団長を辞めた事といい、
どうやら事態は思った以上に深刻な話のようだ。
僕は椅子に座り直し、最初から順を追って説明してくれる様に頼む。

(‘_L’)「驚かせない様に順を追うつもりでしたが、少し話が性急過ぎましたね、すみません」

そう言って軽く頭を下げるフィレンクトさん。
どう説明されても驚いたとは思うが、とにかく詳しく話を聞くしかないだろう。

370 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:56:02 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「先ほど言いました、我々が捕らえたいある人物というのは、件の灰衣の魔法使いです」

(‘_L’)「とある筋から、奴が闘技大会に参加するとの情報を得たのです」

なるほど、それならば4人が闘技大会に参加する理由はわかる話だ。
しかしながら、同時に不自然な話でもある。

( ^ω^)「何でそれがわかってて、わざわざ参加して捕まえるって面倒な手段を取るんですかお?」

相手はニューソク王国が追っている犯罪者だ。
メシューマに引き渡すように要求するなり、騎士団が捕らえに行くなりすればいい話である。

(‘_L’)「……それが許可されなかったのですよ」

(;^ω^)「お? 何でまた……」

(-_L-)「理由は色々と並べ立てられましたが、要約すればメシューマとの関係が不安定な為という事になります」

(;^ω^)「何ですかお、それ? ちょっと所じゃなく、色々納得いかない部分が山ほどあるんですけど」

そんな事はフィレンクトさんもよくわかってるのだろう。
沈痛な面持ちで深く頷く。

372 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:57:53 ID:iUiFWFnc0

(;^ω^)「てか、関係云々以前に何かおかしいですお」

ニューソク王家の権力の失墜も心配だが、いくら関係が不安定とはいえ、
何人もの人間を殺している犯罪者の捕縛に強力しないのは人道的に問題がある。

そもそもそんな犯罪者が闘技大会に参加したら、メシューマ自体も危険なのではなかろうか。
  _
( ゚∀゚)「向こうさん、そんな奴は参加していないの一点張りらしいぜ」

从 ゚∀从「まだ参加者募集してる段階で、何で断言出来るんだよって話だよな」

( ゚д゚)「要するに、向こうはまともに話し合う気がないって事だろうな」

(;^ω^)「わけわからんお」

(∪^ω^)「わんわんおー」

(‘_L’)「まともな対応ではないと言わざるを得ませんね」

(‘_L’)「メシューマの上層部に何かあったとしか思えません」

僕はフィレンクトさんの言葉に顎に手を当て、俯いて考える。
何であれ、そういう状況なので闘技大会に参加するしかないという結論に至ったとフィレンクトさんは言う。

373 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 21:59:23 ID:iUiFWFnc0

だが、今の話ではその結論に至るのはまだ早い。
もう1つ、おかしな点があるのだ。

( ^ω^)「何で騎士団、ないし聖騎士団を動かさないんですかお?」

( ^ω^)「この状況なら動かす正当な理由はありますおね?」

僕は視線を上げ、フィレンクトさんに問う。
僕達の席からそう遠くない位置に袋を被ったままのクーの姿が見えた。
どうやら僕らの話を盗み聞きしているらしい。

僕としては、クーにも聞いてもらっておいた方が良さそうな話だと思うので何も言わなかった。

(‘_L’)「それは王命により禁じられました。理由は先に述べた通りです」

( ^ω^)「それは……」

どう考えてもおかしい。
そう言おうとしたのだが、それはフィレンクトさんも重々承知のはずだ。
だからこそ、騎士団を辞めて一個人として参加しようとしてるのだろうから。

374 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:00:31 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)「取り敢えず、フィレンクトさん達が闘技大会に参加する理由はわかりましたお」

( ^ω^)「次に気になるのは、モナー王の……まあ、これは後回しにしますかお」

ここは多分考えてもわからない部分であろう。
気にはなるが、フィレンクトさんが騎士団を辞めるに至った経緯を推し量れば、答えは簡単には出そうもない。

( ^ω^)「その灰衣の男は、何で闘技大会に参加するんですかおね?」

(‘_L’)「優勝賞品が目的と聞き及んでいます」

( ^ω^)「優勝賞品……魔王の朱玉かお」

以前、オトジャさんから、魔王の朱玉は単体で魔力の増幅効果を持つという話を聞いていた。
それを考えると、灰衣の男が魔法使いならそれを求めていても不自然ではない。

( ゚д゚)「どうやら灰衣の男が盗賊を使っていたのは、メシューマに輸送される朱玉を奪う為だったらしいぞ」

( ^ω^)「そういうことかお……」

从 ゚∀从「で、失敗したから正攻法に切り替えたってわけだな」

375 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:01:23 ID:iUiFWFnc0

その間に直接メシューマに朱玉を奪いに行っていた可能性もあるが、
それが叶わなかったのかもしれないとミルナさんが言い添える。

ただ、その場合はメシューマも灰衣の男が危険な存在だと認識してるはずだろうから、
余計にメシューマの意図がわからない。

( ^ω^)「てか、闘技大会の開催も随分遅くないですかお? 僕達がポスター見たのだいぶ前ですおね」

メシューマの記念日というのがいつだったかは記憶にないが、あの告知の時期からすれば時間が経ち過ぎていると思う。

(‘_L’)「ニューソク王家との折衝でずれ込みました」

( ^ω^)「なるほど。でも、ちゃんと話がまとまってないなら強行開催に近いんですかおね」

下手すれば一触即発な空気だが、そういった経緯があるにも拘らず、ニューソク王家の方針は静観という事らしい。
やはりメシューマだけでなく、ニューソク王家側の対応も不自然な気はする。

(;^ω^)「ここまで話を聞いて思うのは……えーっと、何と言いますか……その……」

(‘_L’)「おかしな部分が多過ぎて、何がなんだかわからないというのが正直な所ですね」

( ゚д゚)「それに加えて、相当ヤバそうな状況でもある」

376 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:02:14 ID:iUiFWFnc0

4人はそれがわかった上で参加するつもりらしい。
正直、下手に関わるべきではない状況だと判断せざるを得ないが、そうも言ってられないのだろう。

( ^ω^)「それでドクオさん、東の賢者ですかお」

(‘_L’)「ええ、その位の力が必要な状況だと判断しましたので」

( ^ω^)「そうですおね。まあ、いやがらないんでどうしようもないんですけど」

どうしたものかと考えるも、いい案は浮かばない。
ドクオさんに匹敵する力のある魔法使いといえば、思い付くのは2人いるが、どちらも厳しいだろう。

思い付いた1人、西の賢者にそんな義理はないだろうし、コンタクトを取る手段もない。
もう1人、宮廷魔術師は確実に王の側に立つだろうから、立場上、参加は出来ないだろう。

( ^ω^)「他に手段はなかったんですかお? 騎士団長を続けてた方が、別の手を打てた気もしますお」

参加するのは他の人に任せて、フィレンクトさんは騎士団長の立場でしか出来ない事をやった方が、
もう少し状況を改善させられたのではないかと思う。

377 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:03:50 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「仰るとおりですが、どうにも納得がいきませんでしたので」

亡くなった団員の為にも、この件は自分で解決したいのだとフィレンクトさんは静かながらも力のこもった声で答える。
感情で動くのは愚かだとわかっているが、今回はそうしたいのだと。

从 ゚∀从「それでいきなり騎士団長辞めちまうんだから、馬鹿だろ、こいつ?」

(;^ω^)「いや、そこまでは思わないけど、まあ、ちょっと短絡的かなあとは……」

元騎士団長をこいつ呼ばわりはいかがなものかと思いもしたが、前はおっさん呼ばわりしてたし、
それだけ4人は親しくなっているのだろう。

(‘_L’)「馬鹿で結構。ですが、今回だけは私にも譲れないものがあるんですよ」

从 -∀从「ま、その気持ちはわからなくもねえさ」
  _
( ゚∀゚)「だから俺達も協力するんだしな」

( ゚д゚)「うむ」

(∪^ω^)「わんわんお!」

378 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:05:04 ID:iUiFWFnc0

ハインさん達の言葉にフィレンクトさんは頷き、短く礼を述べた。
状況を考えれば、闘技大会に参加する事はかなり危険があるだろう。
その上で協力をすると決めたハインさん達は、フィレンクトさんの想いをよく理解してるのだと思う。

( ゚д゚)「しかし、どうするかな。東の賢者殿がいないとなると、他に当ては……」

从 ゚∀从「数合わせでここにいるやつらから誰か連れてくか?」
  _
( ゚∀゚)「4人で十分だろ」

(‘_L’)「そうですね、安易に他人に事情を話すわけにもいきませんから」

(‘_L’)「対魔法戦闘が心許無いですが、致し方ありません

4人は僕の方は見ずに話し出す。
そこに何の意図はなかったとしても、何となく4人がどうしたいかはわかってしまった。
今回の件は危険過ぎて僕は巻き込めないと思っているのだろう。

( ^ω^)「……あの」

確かに、今回の話は僕の手に余るような大事だと思う。
話に聞く灰衣の魔法使いの強さも、国家絡みの話も、僕がしゃしゃり出てどうこう出来る話ではない。

379 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:05:58 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)「僕も参加していいですかお?」

しかし、僕の口を吐いていたのは、その思いとは真逆の言葉だった。

从 ゚∀从「駄目だ」

(;^ω^)「即答かお……」

いきなり出鼻をくじかれ、居並ぶ皆の顔を見渡すも、どうやら全員ハインさんと同意見の様である。
皆を代表してフィレンクトさんが断る理由を述べようとしたが、言われなくてもわかっているので僕はそれを制した。

( ^ω^)「危険なのはわかってますし、僕じゃ荷が勝ち過ぎてるのもわかってますお」

( ゚д゚)「それがわかっているなら、俺達が言いたいこともわかってるんだろ?」

( ^ω^)「ええ、だけど、その上で僕がそう言った理由もわかってるおね?」

( ゚д゚)「それは……」

危険だとわかっていて僕が口出しした理由も、ミルナさん達が僕に対して思っている事と同じなのだ。
如何にこの4人とはいえ、今回の件はかなり危険な戦いになる。
4人が手練の使い手だとしても、全くの魔法対策無しであの灰衣の男に挑むのは無謀だ。

380 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:07:58 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)「実際に灰衣の男を目にしたわけじゃないけど、話に聞いた通りの力があるなら」

( ^ω^)「魔法防御の1つも張れないパーティーだと、即全滅するお?」

そう言い切った僕の言葉に4人共押し黙る。
それがわかっていたからこそ、ドクオさんに助力を仰ぎに来たのだ。
4人だけで挑むのは自殺行為だと理解しているはずである。

それに一応は闘技大会という名目があるが、灰衣の男がルールを遵守するとは考え辛い。
優勝賞品を得るまでおとなしくしている可能性もあるが、それは楽観論過ぎるだろう。

(‘_L’)「だとしても、私はブーン殿を巻き込むわけにはいきません」
  _
( ゚∀゚)「4人で無理なら、今から別の魔法使いに当たるさ」

( ^ω^)「……僕だって、亡くなった騎士さん達とは楽しくお話させてもらったんだお」

( ^ω^)「仇を取りたいって気持ちは同じだお」

僕は思わず立ち上がり、強い口調で皆に言葉を向ける。
そんな僕に、フィレンクトさんは穏やかな笑みを浮かべ、平素よりも更に落ち着いたトーンで僕に言う。

(‘_L’)「……ありがとうございます。ブーン殿のその気持ちだけで、亡くなった団員達もきっと満足です」

381 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:09:02 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「ですが、彼らも貴方を危険に巻き込む事はきっと望んでいないと思います」

( ^ω^)「けど……」

川={- -})「はい、ストップ」

(;^ω^)「お……」

不意にクーが僕らの間に割って入った。
相変わらず紙袋を被ったままの間抜けな格好だが、その言葉に有無を言わせぬ力があるように感じられたのは、
流石というべきだろうか。

( ^ω^)「何だお、今クーは関係ないお? 黙っててくれお」

川={- -})「少し頭を冷やせ、ブーン。彼らがどうしてお前を誘わないかわかるだろ?」

( ^ω^)「わかってるお。けど、僕だって皆と同じ気持ちだお?」

( ^ω^)「危険だとわかってて、そのまま見て見ぬふりをして行かせるわけにはいかないお」

ジョルジュさん達は僕にとって友達だ。
彼らが僕を心配してくれてるのと同じ様に、僕も彼らの事を心配しているのだ。

383 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:10:04 ID:iUiFWFnc0

川={- -})「わかっているさ。私だって可能なら手助けをしたいとこだ」

川={- -})「だが、今の私が参加しても足手纏いになるのは目に見えている」

( ^ω^)「けど、僕なら、魔法が使える僕なら少しは役に立てるお」

そう言って僕はジョルジュさん達の方を見回す。

( ゚д゚)「正直に言えば、東の賢者に頼れない今、俺達が知っている魔法使いの中ではブーンが一番頼りになるだろう」

从 ゚∀从「おい、ミルナ!」

( ^ω^)「それなら……」

( ゚д゚)「だが、今回は駄目だ」
  _
( ゚∀゚)「わかるだろ? このおっさんが騎士団長を辞めてまで参加しようとしてんだ」
  _
( ゚∀゚)「はっきり言えば、生命を落とす覚悟も決めている」

ジョルジュさんは強い口調ではっきりとそう宣言した。
それが冗談でない事は、その目を見ればわかる。

384 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:11:38 ID:iUiFWFnc0

( ^ω^)「その可能性を少しでも軽減する為にも、魔法使いが、僕がいれば……」

从 ゚∀从「お前が参加するとなると、ツンも黙っちゃいないぜ?」

(;^ω^)「お、それは……」

ハインさんから飛び出した、予期せぬ言葉に僕は思わず返答に詰まる。
確かにこの事を聞けばツンはきっと心配するし、自分も付いていくと言いかねない。

从 ゚∀从「お前を誘うって事は、ツンも誘うって事になる。お前が入るなら、ツンも断る理由がねえしな」
  _
( ゚∀゚)「てか、誰かを押しのけても加わるだろうな」

川={- -})「間違いないな」

(;^ω^)「……」

僕だけならいいが、ツンまで巻き込みたくはない。
そのくらい危険な戦いになると思う。

でも、ジョルジュさん達をこのまま送り出すわけにもいかない。
僕は頭を抱え、再び席に座る。

そんな僕の元に、ミルナさんの膝の上から抜け出したわんわんおが、慰めるように寄り添って来た。

385 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:12:34 ID:iUiFWFnc0

(∪^ω^));-ω-)「参加、考え直しませんかお?」

(‘_L’)「灰衣の男が魔王の朱玉を得てしまえば、事態は更に悪化する可能性が高いのです」

( ゚д゚)「ここで引くわけにはいかんな」

(;-ω-)「ですおねー」

となると、僕はどうするべきか。
全員が納得するだけの力を示し、無理矢理にでも加わるか。
それともドクオさん、もしくはそれに並ぶ力を持つ人を探すかだ。

( ^ω^)「やっぱモナー王に談判するとか……は、もう当然やってるんですおね」

从 ゚∀从「その結果がこのおっさんの有様だからな」

(‘_L’)「騎士団長の位に未練はありませんよ。一介の冒険者として生きていくのも悪くないでしょう」

( ^ω^)「フィレンクトさん、奥さんとかはいらっしゃらないのですかお?」

(‘_L’)「生憎、仕事一筋でしたので……」

386 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:14:43 ID:iUiFWFnc0

从 ゚∀从「仕事一筋ったって、騎士団長ならそういう話はいくらでも舞い込んで来ただろうに」

そう言ってハインさんは視線をフィレンクトさんから僕の後方に移した。
その意を察したのか、僕の後ろにいたクーが顔を隠していても笑っているとわかる楽しげな口調で返す。

川={- -})「元騎士団長様はそういう話を悉くお断りされていたようですね。聞いた話によると……」

(‘_L’)「……店員さん、王宮の内情にお詳しいようですが、それ以上続けられるとこちらにも考えが」

川;{- -})「えっと、ご、御注文は他にありませんか、お客様?」

从 ゚3从「何だよー、最後まで言えよなー?」

普段はだいぶ男らしい性格のハインさんだが、やはり女性というべきか、こういう話は意外とお好きな様である。
注文を受け、そそくさとカウンターの方に戻るクーに不満をぶつけている。

(‘_L’)「まあ、独り身で良かったと思いますよ。連れ合いがいれば、今回の様な行動は取れなかったでしょうし」

そう自嘲気味に笑うフィレンクトさん。
先のクーの話は僕も続きが気になるので、今度聞いてみようと思う。

387 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:16:51 ID:iUiFWFnc0

(^_L^)「……ブーン殿もそれ以上の詮索は御遠慮くださいますね?」

(;^ω^)「え、ええ、勿論ですお」

僕の視線がクーの方に向いていたからか、考えていたことを見透かされ、先に釘を刺されてしまった。
笑顔を向けながらも目が全く笑っていないフィレンクトさんの様子からするに、
これは下手に詮索すると危険かもしれない。

从 ゚∀从「で、どうするよ?」
  _
( ゚∀゚)「どうもこうも、俺ら4人で何とかするだけだろ」

( ゚д゚)「いや、反対はしたが、ブーンの言う事ももっともではあるんだ」

(‘_L’)「当日までまだ少し時間があります。他を当たってみるべきでしょうね」

( ^ω^)「じゃあ、僕もドクオさんを探してみますかお。……当てはないんで期待しないでくださいお」

(∪^ω^)「わんおー」

現状、ここで僕が参加すると言い張るのは無理だろう。
ならば僕は僕に出来る事をやろうと思う。

388 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:18:12 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「そうして頂けるとありがたいです。よろしくお願いします」

( ^ω^)「明日にでもまた庵の方を見て来ますお」

从 ゚∀从「そういや、東の賢者様はいつぐらいからいねえの?」

( ^ω^)「結構前だお。僕らがナカノヒトに行くより前からだし」
  _,
从 ゚∀从「だいぶ前だな。もうどっかで野垂れ死んでんじゃねえの?」

( ^ω^)「ドクオさんは腐ってるけど賢者だお。そう簡単にはくたばらないと思うお」

从 ゚∀从「まあ、簡単には死ななさそうな顔してっけどさ」

(∪^ω^)「わんわんおー」

( ゚д゚)「しかしすまんな、お前の意向にそぐえなくて」

( ^ω^)「しょうがないお。それに……」

( ゚д゚)「それに?」

( ^ω^)「何でもないお。まあ、当日は見物ぐらいは行かせて貰うお」

390 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:19:45 ID:iUiFWFnc0

フィレンクトさん達はあくまで闘技大会という形で灰衣の男と対峙するつもりの様だが、
向こうがルールに従うかはわからないのだ。
場合によってはこちらもルール無視で乱入する事は可能かもしれない。

( ^ω^)(今それ言うと止められるかもしれないから黙っておくお……)
  _
( ゚∀゚)「んじゃ、そういう感じで続きは明日に回すとして、今日は飲もうぜ」

( ゚д゚)「お前はもう飲んでるだろうが」

(∪^ω^)「わんお」

(‘_L’)「今日はそれもいいかもしれませんね。皆久しぶりのヴィップでしょうし」

从 ゚∀从「珍しいな、あんたが率先して酒を飲もうなんて言うとは」

(‘_L’)「私だって空気は読めますよ。ブーン殿も一緒にどうですか? 今日は私がおごりますよ?」

( ^ω^)「そうですね、色々話したいこともありますし……」

「そいつは太っ腹な話だな。俺にも一杯おごって貰えるかい?」

391 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:20:33 ID:iUiFWFnc0

不意に、僕とフィレンクトさんの会話に聞き覚えのある野太い声が割って入る。
僕は、振り向くより早くその身に染み付いた煙草の臭いでそれが誰だか予測出来ていた。
   _、_
(-( ,_ノ` )y━・~「バーボンを、ロックで頼む」

( ^ω^)「シブサワさん! お久しぶりですお、ってか何でここに?」

声の主、シブサワさんは僕に軽く片手を挙げて返し、空いていた席に座った。
聞きたい事は色々あるが、彼の職業柄、このタイミングで現れたのは恐らく偶然ではないのだろう。
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「ま、何となく用件の察しはついてるかもしれんが……」

从 ゚∀从「なあ、あいつ誰だっけ?」

( ゚д゚)「ナカノヒトで会っただろうが。国の諜報機関のってやつだ」

从 ゚∀从「ああ、いたな、あの口臭い……」
  _、_
( ,..ノ` )y━・~「……サッシノトオリ、ココニキタノハ」

(;^ω^)「だから、そんなに気にならないですからちゃんと口開けてしゃべってくださいお」

∪^ω^)..
  _、_
( ,..ノ` )y━・~「……ドウブツハショウジキダヨナ」

(;^ω^)「わんおはきっと煙草の臭いが気になるだけですお」

392 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:22:49 ID:iUiFWFnc0

僕はわんわんおをひとまずクーに渡し、それがすぐ様シャキンさんにさらわれるのを見つつ、話を仕切り直した。
シブサワさんがここに来たのは、十中八九フィレンクトさん達がここに来た事と関係があるのだろう。
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「ご察しの通りさ。……久しぶりだな」

(‘_L’)「お久しぶりですね」

シブサワさんとフィレンクトさん、教会と騎士団、裏と表の違いはあれど、国家の要職に就く者同士、旧知の仲らしい。
どことなく、2人の間に緊張感が漂っている様に感じるのは気の所為だろうか。

(‘_L’)「私を止めに参られたのですか?」

フィレンクトさんの言葉に、ジョルジュさん達が武器に手を伸ばし、身構えようとしする。
しかし、フィレンクトさんはそれを制した。
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「……話は聞いている。だが、そういった命令は受けてねえさ」

(‘_L’)「そうですか」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「意外か?」

(‘_L’)「……いえ、辞職を簡単に受理された時点でそのような気はしていました」

394 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:23:46 ID:iUiFWFnc0
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「そうだな。……受けているのは、余計な事は考えずに、現状の任務続行という指示だけさ」

(‘_L’)「それは暗にこの件に関わるなと言われているわけでしょう?」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「さてね」

シブサワさんは大袈裟に肩をすくめると、お酒のコップを傾ける。
額面通り受け取るなら、ニューソク王家もフィレンクトさんの行動を黙認しているという事になるのだろうか。

( ^ω^)「シブサワさんが今受けてる任務って……お、これって聞いてもいいんですかおね?」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「よくはねえが、まあ、お前さんは既に関わってるからな」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「例の精霊兵器さ。マルタスニムを追っている」

从 ゚∀从「……」

( ^ω^)「まだ捕まってなかったんですおね」

まだなどと言ってしまったが、実際に対峙してみて思うのはマルタスニムは結構な使い手で、頭も悪くない。
如何にシブサワさんとはいえ、そう簡単には捕まえられないだろう。

395 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:31:16 ID:iUiFWFnc0

( ゚д゚)「俺達が灰衣の男の調査をしていた時も、マルタスニムの情報は全く出て来なかったな」
  _
( ゚∀゚)「こりゃどっかに隠れてやがるな」

( ^ω^)「ほとぼりが冷めるまで潜伏してるつもりかもしれんおね」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「そんなとこだ……と俺も思ってたんだが、つい最近奴に動きがあってな」

(‘_L’)「……それはひょっとして」
  _、_
( ,_ノ` )y-・~「ああ、恐らくあんたの考えてる通りだと思うぜ」

シブサワさんは薄く笑い、短くなった煙草を灰皿に押し潰す。
フィレンクトさんはそんなシブサワさんを瞬き1つせずに見詰めていた。
  _、_
( ,_ノ` )「奴も闘技大会に現れる」

(;^ω^)「おー……それは……」

何故マルタスニムが闘技大会に姿を現すのかとか疑問は浮かぶが、シブサワさんの確信に満ちた顔を見るに、
その情報に間違いはないのであろう。
となると更にフィレンクトさん達に魔法使いが必要になって来る。

396 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:32:26 ID:iUiFWFnc0
  _
( ゚∀゚)「丁度良いじゃねえか。あの悪党も俺らがとっ捕まえれば話がはええ」

( ゚д゚)「そうだな……だが、奴もかなりの魔法の使い手という話だったな」

(‘_L’)「そのようですね。ですが、その話を聞いた以上、見過ごすわけにはいきませんね」

見かけ次第、捕縛すると言うフィレンクトさん達だが、灰衣の男と同じく、一筋縄では行かないかもしれない。
マルタスニムに関われば、当然危険は増す事になる。
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「ま、あんたならそう言うと思ってたさ」

(‘_L’)「私は不器用な生き方しか出来ませんから」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「おっと、皮肉を言ってるわけじゃねえぜ? 気分を害したなら謝罪しておこう」

(‘_L’)「いえ、お気になさらずに。自分が要領が悪い事は重々自覚しておりますので」

仏頂面で答えるフィレンクトさんに、シブサワさんは苦笑を浮かべる。
見た所、この2人は知り合いではあるがそう仲が良いわけでもなさそうだ。
どちらかといえば、フィレンクトさんがあまりシブサワさんを好ましく思っていないのではなかろうか。
  _
( ゚∀゚)「で、あんたは何しに来たんだ? 俺達がそいつを捕まえたら引き渡せって言いに来たのか?」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「なかなか良い線を突いてくるな。当たらずとも遠からずさ」

397 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:33:17 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「ならば安心して下さい。マルタスニムを捕まえたら貴方に引き渡す事を約束しますよ」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「そいつはありがたい。勿論、礼は出すぜ?」

(‘_L’)「いえ、結構です。我々はお金が……」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「おっと、話は最後まで聞くもんだ。そうだな、礼金は先払い……」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「この俺の力ってのはどうだ?」

(;^ω^)「へ? それって……」

黙って話を聞いているつもりだったが、思わず変な声が漏れ、シブサワさんに聞き返していた。
シブサワさんは僕の方を見てにやりと口の端を歪める。
そして僕の問いに答えようとしたようだが、それより早くフィレンクトさんが口を開いた。

(‘_L’)「貴方はこの件に関わらぬよう、厳命されているのでは?」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「いいや、そんな事は一言も言われてないぜ? 表向きはな」

(‘_L’)「それなのに何故……」

398 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:34:21 ID:iUiFWFnc0
  _、_
( ,_ノ` )y-・~「おいおい、さっき言っただろ? 俺が申し付かっているのは現状の任務続行って指示だって」

(;^ω^)「聞きましたけど、それは暗に関わるなって言われてるのと同じ事なんですおね?」
  _、_
( ,_ノ` )y-・~「さあ? 生憎、俺はあんまり頭がよろしくないんでね。命令通り任務を遂行するしか出来ないんだよ」

シブサワさんはそう言うとまた短くなった煙草を灰皿に押し付ける。

任務を遂行するに当たり、最も成功確率の高い手段を模索した所、
都合よく凄腕の連中が捕縛対象と同じ闘技大会に参加しようとしているという噂を聞き付けたので、
それに加わろうとここに来たのだとシブサワさんは言う。

( ^ω^)「目的を考えれば、話の筋は通っていると思いますけど……」

僕は視線をフィレンクトさんの方に向ける。
シブサワさんが協力してくれるのなら悪い話ではないと思うが、全く裏がないとは言い切れない。
何にせよ、決めるのはフィレンクトさん達だ。

(‘_L’)「……貴方は現在、彼の直属ではないのですか?」
  _、_
( ,_ノ` )「何の話かは知らんが、俺はずっと教会のエージェントだぜ?」

399 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:36:00 ID:iUiFWFnc0

そう言ってわざとらしく肩をすくめるシブサワさん。
若干話が見えないが、何となく推測出来る部分もある。
色々な断片情報から判断するに、この不可解な状況の中心にいるのはあの人なのではなかろうか。

( ^ω^)(ツンの勘が当たっちゃったかもしれんおね……)

まだそうだと決まったわけではないが、それを抜きにしても今回のこの状況は納得出来ない点が多過ぎる。
どう考えても、ニューソク王家の対応は不自然なのだ。

だからこそ、フィレンクトさんは騎士団長を辞めたのだろうし、シブサワさんも今回の様な行動に出たのかもしれない。
であるならば、シブサワさんの申し出は受けた方がいいのではないかと個人的には考える。

(‘_L’)「わかりました。貴方に協力していただけるのならば、我々は大いに助かります」
  _、_
( ,_ノ` )「そいつは重畳」

(‘_L’)「皆もかまいませんよね?」
  _
( ゚∀゚)「おっさんがいいならかまわねえぜ」

从 ゚∀从「ああ、かまわねえよ」

( ゚д゚)「実力は聞き及んでいるしな。あとで手合わせを願いたい」

400 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:37:29 ID:iUiFWFnc0
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「恩に着る。よろしく頼むぜ」

シブサワさんは新たに煙草を取り出して火を点ける。
その顔には任務用とは思えない、満足そうな笑みが浮かんでいた。
  _
( ゚∀゚)「これであと1人か」

( ゚д゚)「シブサワがいれば対魔法は事足るだろうし、5人でもかまわんだろ」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「評価してくれるのはありがたいが、俺の魔法は守りより攻めの魔法だからな」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「というわけで、もう1人はこいつに頼もうかと思うんだが」

(-_-)「ど、どうも……」

(;^ω^)「って、ヒッキーさん!? いつの間に?」

シブサワさんが指し示す、後方にある別のテーブル席に座っていたのは、
このヴィップ町の教会の司祭であるヒッキーさんだった。

(;-_-)「ハハハ、一応シブサワさんと一緒に入って来たんだけどね。どうも気付かれなかったみたいで……」

401 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:38:49 ID:iUiFWFnc0

どうやらシブサワさんはフィレンクトさん達より先に、ヒッキーさんにこの話を持ち込んでいたらしい。
確かに防御魔法に長けたヒッキーさんなら適役かもしれないが、性格的にあまり戦闘向きな人ではないと思う。

(;^ω^)「何でこんな依頼受けちゃったんですかお?」

(-_-)「それは、まあ、上の命令というもので……」

(;^ω^)「何と横暴な……」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「まあそう言うなよ。それだけ腕を買ってるって事さ」

ヒッキーさんには防御魔法を張る事に専念してもらうから、敵を倒せとは言わないとシブサワさんは言う。
それにしたって危険な事には変わりないわけだし、本人の意思を無視して連れて行くのは少々酷いのではなかろうか。

(-_-)「一応僕も納得してこの依頼を受けてますよ」

( ^ω^)「お、でも……」

(-_-)「あのような非道な行いをする人間を、野放しにしておくわけにはいきませんしね」

そう言ってヒッキーさんは広げた自分の両の手の平に視線を落とす。
あの時、ナカノヒトの町で救えなかった生命を思い起こしているのかもしれない。

402 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:39:35 ID:iUiFWFnc0
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「何か異論はあるかい?」

(‘_L’)「我々としてはありがたい申し出ですが、本当によろしいのですか?」

(-_-)「はい、微力ではありますが、私の力が役に立てるのであれば、是非」

ヒッキーさんの返答に、フィレンクトさんは深々と頭を下げる。
ジョルジュさん達も異論はないようなので、パーティーはこの6人に決まりそうだ。
  _
( ゚∀゚)「よし、面子も揃った事だし、これで心置きなく飲めるな」

( ゚д゚)「お前は最初から飲みっ放しだろうが」

(‘_L’)「ヒッキー殿も一杯いかがですか?」

(‘_L’)「聖職者の方にお酒をお勧めするのもなんですが、今日くらいはおごらせてください」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「おいおい、それは俺に対する当て付けか?」

( ^ω^)「シブサワさんは聖職者って柄じゃないですから」

川={- -})「明らかに犯罪者面だしな」
  _、_
(;,_ノ` )y━・~「言うね、小僧共」

404 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:41:57 ID:iUiFWFnc0

(;-_-)「えっと、クーさん? でいいんですよね?」

(-_-)「すみません、その私の留守中はトソンさんに教会を頼む事になりそうなのですが」

川={- -})「それはまあ、仕方ないだろうな。安心しろ、やらかさないようにちゃんと目は光らせておくから」

(-_-)「よろしくお願いします」

ヒッキーさんはクーに頭を下げてコップを受け取ると、フィレンクトさんにお酒を注いでもらっている。
別に聖職者の飲酒禁止なんて法はないのだが、慣例的に聖職者が人前で酔っ払うのは良しとされていないので、
控える人が多いだけだ。

だが今日くらいはいいだろう。
これから共に戦う、仲間の固めの盃だ。

(‘_L’)「ハイン、貴女が言う様に、ヴィップの町に来て良かったです」

( ^ω^)「お? ヴィップに来る事はハインさんが提案したのかお?」

从 ゚∀从「ん……、まあな」

405 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:43:49 ID:iUiFWFnc0

从 -∀从「確信があったわけじゃねえが、ここに来れば何とかなりそうな気がしたんでな」

そう言ってハインさんは少し照れ臭そうに頭を掻く。
自分の中では、ここが一番いい町だと思うからと。

(`・ω・´)「へー、お前の口からそんな言葉が飛び出すとはな」

从*゚∀从「う、うるせえな、俺がそう思ってちゃ悪いかよ?」

(`・ω・´)「いいや、悪かないさ。この町の住人としては嬉しい限りさ」

(`・ω・´)「ほい、追加の酒だ。おい、クー、サボってねえで仕事しろよ」

シャキンさんはいくつかの木製のジョッキをテーブルに置くと、クーを引っ張ってカウンターの方に戻っていった。
並べられたジョッキの1つがハインさんによって僕の方に寄せられる。

从 ゚∀从「お前も飲めよ。フィレンクトのおっさんのおごりだからさ」

( ^ω^)「折角なんでいただくお。あ、シャキンさん、何かツマミもくださいお。肉とか肉とか」

楽しい空気に水を差すのも無粋なので、僕はありがたくお酒の入ったジョッキを受け取る。
僕はハインさん達の無事を願い、ジョッキを高く掲げた。

406 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:45:20 ID:iUiFWFnc0

从 ゚∀从「心配すんな。きっちり仕事を果たして帰ってくるからさ」

( ^ω^)「うん、この面子なら僕が心配するのも失礼な話だお」

同じくジョッキを高く掲げたハインさんとジョッキを打ち合わせる。
乾いた音が響き、お酒の飛沫が宙に舞った。
  _
( ゚∀゚)「おい、ミルナ、一勝負と行こうぜ?」

( ゚д゚)「俺にはわんおちゃんを愛でるという重大な用件があるので断る」
  _
( ゚∀゚)「何だよ、ノリわりぃな。よし、じゃあわんおに酒飲ますか」

(; ゚д゚)「止めろ。わかった、受けてやるからそれは絶対にやるなよ?」

(*`・ω・´)「はーい、危ないですからわんおちゃんはこっちで遊びましょうねー」
つ∪^ω^)「わんおー」

川={- -})「おい、シャキン、注文入ってんぞ? 遊んでないで仕事しろ!」

(‘_L’)「誠に申し訳ないですが、よろしくお願いします」

(-_-)「こちらこそ、よろしくお願いします」

407 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:47:03 ID:iUiFWFnc0
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「お前らさっきから堅苦しいな。もう少しラフな感じでいいだろ?」

(‘_L’)「私は貴方ほど雑に出来ておりませんので」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「おやおや、こいつは手厳しい」

それぞれ話も弾んでいるようで、この分ならパーティーは上手くまとまりそうだ。
あとは皆が無事で帰って来る事を願うだけである。

从 ゚∀从「……でも、1個だけ気になってる事があるんだよな」

( ^ω^)「お? 何だお?」

从 ゚∀从「いやさあ……」

ハインさんは言葉を切り、居並ぶ面々を見回す。
視線が一巡りし、僕の方に戻って来ると言葉の続きを口にした。

从 -∀从「ブーン達と組んでた時に比べると、何か一気にパーティーの平均年齢上がったなあってさ……」

ハインさんの言葉に、皆はぴたりと口を閉じた。
無言ながらも皆の視線がある人達に集中しているのはわかる。

409 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:48:30 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「……私は彼より若いですが」
  _、_
(;,_ノ` )y━・~「大差ねえだろ。自分は関係ないって顔すんなよ」

(‘_L’)「私からは貴方ほどの加齢臭はしませんし」
  _、_
(;,_ノ` )y━・~「俺だってしねえよ。まだまだお肌ピチピチだからな」
  ボソッ
川={- -})「……知らぬは本人ばかりなり、ってね」

(‘_L’)「……」
  _、_
( ,_ノ` )y━・~「……」

(;^ω^)「さ、さあ、飲みましょうお!」

僕は押し黙る2人にジョッキを押し付け、努めて明るく振舞ってみせる。
ハインさんには余計な事を言わぬよう、目配せをしてみたが伝わっただろうか。

(‘_L’)「別に気にしてませんよ。年はとるものですし、長く生きた分の経験の力は示しますから」

( ^ω^)「そうですおね。経験は何事にも変えられない強さの基盤になりますおね」

410 名前:名も無きAAのようです:2012/10/01(月) 22:49:56 ID:iUiFWFnc0

(‘_L’)「時にブーン殿、貴方のお店で薬草化粧水なる消臭効果の高い化粧水があると聞いたのですが」

(;^ω^)「いや、どこで聞いたか知りませんがそんなのないですし、めっちゃ気にしてるじゃないですかお」
  _、_
( ,..ノ` )y━・~「マッタク、モトキシダンチョウサマトモアロウモノガ、ブザマナモンダナ」

(;^ω^)「あんたもちゃんと口開けてしゃべれお! どんだけメンタル弱いんだお」

僕はなし崩し的に2人のおっさんの愚痴を聞く羽目になった僕は、ハイペースで酒も飲まされてしまう。
この分だと、明日のお店の営業に響きそうだ。

(‘_L’)「ブーン殿は薬草研究家だと聞き及んでおりますが、そういったアンチエイジング的な……」

(;^ω^)「誰ですかお、そんな事言ったのは? てか、そういったジャンルの商品は考えてませんお」
  _、_
( ,..ノ` )y━・~「ジュクネンノシブミッテヤツガダナア……」

(;^ω^)「あんたもいい加減はっきりしゃべれお。何て言ってるか聞こえねえお」

案の定、この日のお酒が響いた僕は、翌日のお店は午後からしか開けられなかった。



     第四十五話 集う者達 終


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