思い出屋さんのようです

36 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:18:16 ID:fN0bIPPEO

 古びた物で溢れる、狭い店の中。
 壊れかけた時計の不安定な針の音だけが響く空間に、人は居ない。

 店の奥、狭い廊下の先。
 紙の破れた襖の向こう側から聞こえる呼吸音。

 襖の向こうには女が一人、布団にくるまってもぞもぞと。


川 ゚ -゚)「フラグ立たねー……どこで選択肢間違ったんだよ……要介護にしかならねーぞ……」


 エロゲをプレイしていた。



   【思い出屋さんのようです】



川 ゚ -゚)「あ、死んだ」

37 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:20:05 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「はー……フラグ厳しいだろこれ……あうあう言ってないでイベント起こせよ……」

( ΦωΦ)「ぅおーい白目女ー、居るかー」

川 ゚ -゚)「あーこっちこっちー飯ー」

( ΦωΦ)「居住区か……店開けてるなら出ろよ……っと、入るぞ」

川 ゚ -゚)「へいへーい」

( ΦωΦ)「…………何しとる」

川 ゚ -゚)「エロゲ」

( ΦωΦ)「いや、働け」

川 ゚ -゚)「別窓で株転がしてる」

( ΦωΦ)「いや、いや…………まあ良いや……」

川 ゚ -゚)「それよりこれなかなかフラグ立たないんだよ」

( ΦωΦ)「知らんよ」

川 ゚ -゚)「こいつのエンディングだけ見れてないんだけど」

( ΦωΦ)「知らんよ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:22:06 ID:fN0bIPPEO
川 ゚ -゚)「あ、祐一君、今日の飯は? 牛丼?」

( ΦωΦ)「杉浦だよ、おでんだよ」

川 ゚ -゚)「はちみつくまさん」

( ΦωΦ)「何語?」

川 ゚ -゚)「ノリわりーなお前」

( ΦωΦ)「いや、元ネタ知らんし」

川 ゚ -゚)「まあ良いやおでん食う、割り箸取って」

( ΦωΦ)「何で自宅で割り箸なんだよ……ほれ」

川 ゚ -゚)「奇跡って起きないから奇跡って言うんですよ」

( ΦωΦ)「奇跡は起きるから奇跡って言うんだよ」

川 ゚ -゚)

( ΦωΦ)

川 ゚ -゚)「ぽんぽこたぬきさん」

( ΦωΦ)「あのね、分かりにくいネタを引っ張るのやめてくれる?」

川 ゚ -゚)「おでんうめー」

39 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:24:15 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「肉まん食いてぇ」

( ΦωΦ)「おでん食いながら言う事か」

川 ゚ -゚)「明日は肉まんで」

( ΦωΦ)

( ΦωΦ)「山盛りの肉まんだけで良いな」

川 ゚ -゚)「えっ……あっ……えっ……?」

( ΦωΦ)「良いな」

川 ゚ -゚)「……はい……」

( ΦωΦ)「全く……アホな事言ってないで仕事しろってんだ」

川 ゚ -゚)「だって客こねーし、仕事してるし」

( ΦωΦ)「株転がしは別」

川 ゚ -゚)「さっき大損したけどな」

(;ΦωΦ)「おいぃい!?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:26:37 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「ま、良いや……それよりロマ男」

( ΦωΦ)「うん?」

川 ゚ -゚)「思い出って何かあるか?」

( ΦωΦ)「まあ人並みには」

川 ゚ -゚)「例えば?」

( ΦωΦ)「例えば……うーん……そう言われると思いつきにくいが……」

川 ゚ -゚)「何で、人間は思い出を手放すんだろうな」

( ΦωΦ)「……忘れるから?」

川 ゚ -゚)「それだけじゃない」

( ΦωΦ)「…………」

川 ゚ -゚)「思い出には、良いものと悪いものがある
      忘れてしまった過去と同じように、忘れてしまいたい過去のように」

( ΦωΦ)「まあ……そう、だな」

41 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:28:32 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「忘れてしまいたい思い出、忘れてはいけない思い出、忘れてしまった思い出
      私はまだ、忘れてしまった思い出にしか触れた事しかない、けど、」

( ΦωΦ)「いつかは、忘れてしまいたい思い出にも、触れてしまう」

川 ゚ -゚)「……怖いよ、思い出は
      私はどんな思い出だろうと、求めるなら売らなきゃならん」

( ΦωΦ)「だが、それも求めると言う事は、忘れてはいけない思い出だったのではないか?」

川 ゚ -゚)「わかんねぇよ……私は人の記憶を覗けるわけじゃない
      ただちょっと特殊能力があるだけで、私だって人間なんだ」

( ΦωΦ)「……」

川 ゚ -゚)「見たくない、聞きたくない、触れたくない、触れてほしくない
      そんな、思い出しちゃいけないような思い出に、私は触れて、売るんだ」

( ΦωΦ)「……この仕事は、嫌か?」

川 ゚ -゚)「悪い仕事じゃないさ、だって喜ぶ人間の方が多い
      ……でも、ジジイが言ってたんだ、思い出屋はつらい仕事だって」

42 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:30:34 ID:fN0bIPPEO

( ΦωΦ)「…………嫌なら、辞めれば良い、誰も責めんよ」

川 ゚ -゚)「嫌じゃない、でも怖い……ジジイの言葉の意味を理解する日は絶対に来る」

( ΦωΦ)「だが……」

川 ゚ -゚)「私が今、仮店主を辞めたら」

( ΦωΦ)「む」

川 ゚ -゚)「姉ちゃんが戻ってくるまで、誰が、誰かが求める思い出を売るんだ」

( ΦωΦ)「……」

川 ゚ -゚)「怖いけど、一応は責任感はあるんだ
      だから、怖いけど辞められない、やめられないとまらない」

( ΦωΦ)「かっぱえびせん」

川 ゚ -゚)「シリアスぶち壊すな」

( ΦωΦ)「ごめん」

43 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:32:19 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「本当は怖くて店に立ちたくないけど、立つよ」

( ΦωΦ)「……ああ」

川 ゚ -゚)「だから、ちょっとは褒めてくれよな」

( ΦωΦ)「ああ……今度、肉食わせてやる」

川 ゚ -゚)「倍頑張る」

( ΦωΦ)「うん頑張れ」

川 ゚ -゚)「……」

( ΦωΦ)「どした?」

川 ゚ -゚)「何でもない、店行く」


 ひとつ、嘘をついた。

 人の記憶は覗けないと言ったが、本当は


 本当は、思い出に触れた瞬間、私の中に流れ込む。

 痛みとか、悲しみとか、人の思い出の感触を、私は共有する事になるんだ。

44 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:34:17 ID:fN0bIPPEO

 外は、陽炎がたつほどに暑い。
 けれど店の中は、空調も無いのに、常にひんやりとした空気が占めている。

 居住区から店に入った瞬間、私を包むのはむせかえる様な埃のにおい。
 そして、おいてけぼりを食らった悲しみと、虚無感。


 私は昔、祖父が営んでいたこの店が好きだった。
 わけのわからない物ばかりのここは、最高の遊び場だった。

 だが一度、祖父が思い出を売るところを見た。

 思い出を売った祖父は泣きそうな顔で、思い出を買った客は、真っ青な顔で。


 客が出ていってから、祖父は不思議そうな私に言う。


  『この仕事は、つらいなあ』


 その言葉は、今亡き祖父の言葉の中で、一番重くて、強くて、気持ちが詰まっていた。

45 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:36:57 ID:fN0bIPPEO

 いつも気丈で、でも飄々としていて、変なジジイだった。
 でもその時だけは、それは祖父ではなく、一人の人間の顔だった。

 祖父が亡くなって、姉が跡を継ぐと聞いた時、私はほっとした。
 姉ちゃんには悪いけど、私はこの仕事をしたくなかったんだ。

 祖父の顔が頭にちらついて、怖くてしょうがなかったこの仕事。

 なのに、姉ちゃんは「武者修行に出る」とか言ってどっかに行きやがった。

 私に、店を託して。


川 ゚ -゚)(……最初は、嫌だったんだけどなあ)

川 ゚ -゚)(でも……やるしかないんだ、任されたから)

川 - -)"(…………私は、ただ人よりかなり美人でスタイルが良いだけの、人間なのに)


 いつか訪れる、仕事がつらいと思う日。
 それに怯えながら、私は店に立って、時おり訪れる客に思い出を売る。

 それが今の、私の日常なのだ。

46 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:39:10 ID:fN0bIPPEO
川 - -)

川 - -)(こうしてると倍美人に見えるな……間違いなく……)

川 - -)(たまには弱い面を見せるのも美人には必要な事よ……ククク……)

( ΦωΦ)「おい白目」

川 - -)(これで愚かなロマ男も私を美人だと言わざるをえん筈だ)

( ΦωΦ)「おい白目女、無視するな」

川 ゚ -゚)「お前ってホントKY」

( ΦωΦ)「懐かしいなKY、それより客だぞ」

川 ゚ -゚)「え?」

( ^Д^)「こんちゃーす」

川 ゚ -゚)

( ^Д^)

川 ゚ -゚)「よう、元同級生のプギャー君」

( ^Д^)「久しぶりです元同級生の直野変態」

川 ゚ -゚)「ロマ男、塩」

47 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:40:46 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「んだよ……何で高校の元同級生ばっか来んだよここ……」

( ^Д^)「俺の前にも誰か来たの? 元後輩の杉浦」

( ΦωΦ)「先日は伊藤さんが来ました、元先輩のプギャーさん」

( ^Д^)「伊藤どうだった? 元気してた?」

( ΦωΦ)「相変わらずこの白目女となかむつまじく」

川 ゚ -゚)「ねーよ、ねーよ」

( ^Д^)「そんなに大事なのそれ」

川 ゚ -゚)「つか音もなく入ってくんな、入店からやり直せ」

( ^Д^)「やだ外暑い」

川 ゚ -゚)「ロマ男塩、塩買って来ただろ塩」

( ΦωΦ)「この岩塩の事が」

川 ゚ -゚)「よし貸せ、投げるぞ」

( ^Д^)「それは痛い、物理的に痛いからやめろ」

48 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:42:30 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「なにーもーお前も思い出ー?」

( ^Д^)「思い出?」

( ΦωΦ)「かくかくしかじか」

( ^Д^)「説明するのめんどい事だけは伝わった」

( ΦωΦ)「じゃ、あっちの棚にどうぞ」

( ^Д^)「どこまでも投げっぱなしジャーマンかこの店」

川 ゚ -゚)「あ、待て」

( ^Д^)「ん? 説明?」

川 ゚ -゚)「代金持ってるのかこいつ」

( ^Д^)「銭ゲバ……圧倒的銭ゲバ……!」

( ΦωΦ)

( ^Д^)

( ΦωΦ)「ざわつかんよ」

(´^Д^)ショポーン

49 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:44:56 ID:fN0bIPPEO

( ^Д^)「棚つっても……何があるんだここ……」

( ΦωΦ)「なんか気になるの持ってきてー」

(^Д^ )「ジャンプ読みながら言うなー」

( ΦωΦ)「あ、これコミックバンチです」

(^Д^ )「まだあったのそれ」

( ΦωΦ)「蒼天の拳が始まってすぐの」

(^Д^;)「古すぎない!?」

( ΦωΦ)「北斗の拳に謝ってほしいレベル」

(^Д^;)「ああ、うん……否定しない……」

( ΦωΦ)「なんかあったー?」

(^Д^;)「そんな投げやりに……まだ見てないよ……」

川 ゚ -゚)「とろくっせーぞ、さっさとしろ」

(^Д^ )「お前に言われるとムカつく」

50 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:47:09 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「おいそれ続きどうなるんだ」

( ΦωΦ)「友人いわく、ペラッペラの最終回らしい」

川 ゚ -゚)「北斗の拳に謝れよ……」

( ΦωΦ)「何だろうなあこの何とも言えない気持ち……」

( ^Д^)「持ってきたぞー」

( ΦωΦ)「あーんじゃそこ置いてー」

( ^Д^)「君ホントに適当だね今回……」

( ΦωΦ)「知人相手なんで」

川 ゚ -゚)「なんだこれ、エロ本?」

( ^Д^)「うん」

川 ゚ -゚)

( ^Д^)

川 ゚ -゚)「私、お前だけは許さない」

(;^Д^)「なんでェ!?」

51 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:48:08 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「お前せっかくの、せっかくのシリアス回だと思ったのに……お前って最低……」

(;^Д^)「わけわかんない理由でキレられてんの俺!?」

川 ゚ -゚)「わけわかんねぇのはお前だよ!! 何だよ思い出がエロ本て!! 死ね!!」

(;^Д^)「真顔のままキレないで下さいッ!?」

川 ゚ -゚)「あんたってばサイテーねッ!!」

(;^Д^)「もう良いよ分かったよサイテーで良いから!!」

川 ゚ -゚)「しかも何だよこのエロ本、創刊20年前だぞ、リアル骨董品だぞ」

(;^Д^)「まあ……俺らが生まれてるかないかくらいのだけど……」

川 ゚ -゚)「あーもーいーやしねー」

(;^Д^)「えぇぇぇ……?」

川 ゚ -゚)「はいはい思い出の世界へれっつらごー」

(;^Д^)「うおっまぶしっ!」

52 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:50:11 ID:fN0bIPPEO


 『プギャー』

 『な、何? とーちゃん』

 『お前、俺の本棚から何か持っていかなかったか?』

 『い……いや……知らないよ……?』

 『…………そうか、なら良い』

 『う、うん…………』

 『もし持っていってたらケツから尻小玉抜いた』

 『尻小玉!? とーちゃんカッパ!?』

 『誰がハゲだあああああああ!!!!』

 『うわあああかーちゃあああああああん!!!!』

53 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:52:25 ID:fN0bIPPEO


 『ふぁぁ……おはよー……』

 『……』

 『……』

 『ど、どうしたのかーちゃん……』

 『何でもないよ、朝ごはん食べなさい』

 『と……とーちゃんのは……?』

 『……』

 『……何で……庭で正座してるの……?』

 『ご飯……食べなさい……?』

 『ヒッ……は、はい……』

 『……』

 『……』

54 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:54:24 ID:fN0bIPPEO


( ^Д^)「…………ハッ」

川 ゚ -゚)「……」

( ^Д^)「そうか……このエロ本は……親父がコレクションしてたエロ本……」

川 ゚ -゚)「……」

( ^Д^)「それを幼い俺が勝手に取って……翌朝、リビングの机に……!」

川 ゚ -゚)「……」

( ^Д^)「ごめん、親父……あれからエロ本の行方が解らなくてかーちゃんが怖くなったんだ……」

川 ゚ -゚)「……」

( ^Д^)「そっか……もうすぐ親父の誕生日だから、これを……
      ありがとう、直野……俺、やっと親父にちゃんと謝れるよ……!!」

川 ゚ -゚)「……色々、言いたい事はある」

( ^Д^)「え?」

川 ゚ -゚)「すべてをまとめて、この言葉を贈ろう」

川 ゚ -゚)「死ね」

(;^Д^)「えぇぇぇ!? 感動的な話だったよぉおおおお!?」

川 ゚ -゚)「うん、死ね」

(^Д^;)「す、杉浦!!」

( ΦωΦ)「今ちょっと呼吸するのに忙しいんで」

(^Д^;)「お前の肺はどうなってんのよォオッ!!?」

55 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:56:12 ID:fN0bIPPEO

川 ゚ -゚)「うん」

(;^Д^)「う、うん……?」

川 ゚ -゚)「有り金と金品全部置いて消えろ」

(;^Д^)「カツアゲ!?」

川 ゚ -゚)「あと二度と私と同じ空気を吸うな」

(;^Д^)「それ真っ向から死ねって言ってるよねッ!?」

川 ゚ -゚)「死ねって事だよ、言わせるなよ恥ずか死ね」

(;^Д^)「もうやだこの無表情女ッ!?」

川 ゚ -゚)「わかったからさ、ほら」

(;^Д^)「わ、分かったよ……金払うから……」

川 ゚ -゚)「ううん、命置いてって」

(;^Д^)「もう本気で死んでほしくなってるよねェ!?」

川 ゚ -゚)「だから何度も言わせるなって」

(^Д^;)「助けて杉浦ッ!!」

( ΦωΦ)「今ちょっと心臓動かすのに忙しいんで」

(^Д^;)「育まれたばかりの命かお前はァアッ!!?」

56 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 21:58:31 ID:fN0bIPPEO

(;^Д^)「な、なんだよもう……大体、杉浦ってもっと真面目なキャラじゃ……」

( ΦωΦ)「これの相手を真人間ができますかね」

( ^Д^)「ああごめん、無理だわ」

川 ゚ -゚)「岩塩持ってきたぞー」

(;^Д^)「殺す勢いで投げる体勢やめて!?」

川 ゚ -゚)「もうわかった、金も命もいらない」

(;^Д^)「へ?」

川 ゚ -゚)「お前の未来を奪う」

(;^Д^)「やっぱり殺すつもりだよね!?」

川 ゚ -゚)「いや、お前の思い出をご近所さんに広める」

(;^Д^)「社会的に死ッ!?」

( ΦωΦ)「ご利用ありがとうございましたー」

(^Д^;)「この子ったら可能な限り関わらないようにしてるゥッ!?」

57 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 22:00:17 ID:fN0bIPPEO

(;^Д^)「もう良い帰る! 五千円おいて帰る!!」

川 ゚ -゚)「あ、待て」

(;^Д^)「足りない!?」

川 ゚ -゚)「お前エロゲするよな」

(;^Д^)「あ、はい……まあ……」

川 ゚ -゚)「ちょっと攻略法だけ教えてけ」

( ^Д^)「あ……はい、わかりました……」

( ΦωΦ)「じゃ、我輩は晩飯の用意あるから帰るわ」

川 ゚ -゚)「おつかれー」

( ^Д^)「お、おつかれー……?」

( ΦωΦ)「さようなら プギャーさん」

(;^Д^)「永の別れみたいに言わないでぇえッ!?」

58 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 22:02:05 ID:fN0bIPPEO


( ゚∋゚)チチ チュンチュン


( ^Д^)「あー……疲れた……」

川 ゚ -゚)「何で徹夜で鍵ゲー三本まとめクリアしてんだろ……」

( ^Д^)「泣いたー……」

川 ゚ -゚)「泣きすぎて鼻いてぇ……」

( ^Д^)「やっぱ芸術は良いね」

川 ゚ -゚)「私は奇跡と人生も良いと思うぞ」

( ^Д^)「うん、泣き√多いしね」

川 ゚ -゚)「しっかしエロゲなのにエロの不要さ異常だなこれ」

( ^Д^)「まあ大事なファクターではあるけどねぇ」

川 ゚ -゚)「あー腹減った、なんか作れ」

( ^Д^)「冷蔵庫なんかある?」

川 ゚ -゚)「なんもねぇよ」

59 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[>>57と>>58の間] 投稿日:2011/07/02(土) 22:03:23 ID:fN0bIPPEO


「こいつだよこいつ、こいつクリア出来ねんだ」

「ああ、これか……途中データあるの……?」

「ほい」

「あー、これじゃ駄目だわ……フラグ折れてる……」

「マジかよ……」

「こっちのキャラはクリアした?」

「おうよ」

「じゃあスチル埋まるね……あと」

「ん?」

「これはエロゲじゃなくて、奇跡」

「…………うん、わかった、わかったから」

「クリアしちゃうかー」

「おー」

60 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 22:04:19 ID:fN0bIPPEO

( ΦωΦ)「こんしゃーす」

川 ゚ -゚)「あ、飯」

( ^Д^)「お」

( ΦωΦ)「……まだ居たのプギャーさん……」

( ^Д^)「付き合わされまして」

( ΦωΦ)「はいはい、これ昼飯だから勝手にお食べ」

川 ゚ -゚)「…………」

( ^Д^)「…………あの、」

( ΦωΦ)「肉まん」

川 ゚ -゚)「……いただきます」

( ^Д^)「い、いただきます……?」

川 ゚ -゚)「うめぇ……けど……」

( ^Д^)「あの……肉まんだけ……?」

( ΦωΦ)「だけ」

61 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 22:06:32 ID:fN0bIPPEO

( ^Д^)「しかし、お前らも変な関係だよなあ」

( ΦωΦ)「変な人には言われたくないわけで」

( ^Д^)「ひでぇ……でも反論する体力もねぇ……」

川 ゚ -゚)「まあ幼馴染みだしなあ」

( ^Д^)「付き合ってたりとかしないの?」

( ΦωΦ)「はは、ないない」

川 ゚ -゚)「ないけどお前に言われると腹立たしい」

( ΦωΦ)「はは、オメガワロス」

川 ゚ -゚)イラッ

( ^Д^)「ふーん……直野は顔だけは良いのになあ」

川 ゚ -゚)「顔が良ければ天下も取れるっつーの」

( ^Д^)「ぐぬぬ」

62 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 22:08:22 ID:fN0bIPPEO

( ΦωΦ)「我輩はあんまそう言うの興味ないし」

( ^Д^)「枯れてんなー青少年」

川 ゚ -゚)「お前はどうなのよ」

( ^Д^)「相手がいたらこんなとこで肉まん食わねぇし」

川 ゚ -゚)「ですよねー」
( ΦωΦ)「ですよねー」

( ^Д^)「わーい肉まん投げ付けてー」

川 ゚ -゚)「食い物粗末にすんなよ、お百姓さんに土下寝しろ」

( ^Д^)「さーせん、おいしいです」

川 ゚ -゚)「ロマ男、喉乾いた」

( ΦωΦ)「ほれ」

川 ゚ -゚)「真夏にわざわざ熱々の汁粉って何?」

( ΦωΦ)「嫌がらせ」

川 ゚ -゚)「プギャー、イッキ」

( ^Д^)「死ぬ」

63 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします 投稿日:2011/07/02(土) 22:11:57 ID:fN0bIPPEO
川 ゚ -゚)「よし、飯食ったし寝るわ」

( ^Д^)「おー、じゃあ俺も帰って寝るわ」

川 ゚ -゚)「またエロゲしにこいよー」

( ^Д^)「おー」

川 ゚ -゚)(眠気に負けてツッコミが全くねぇ……)

( ΦωΦ)「やれやれ……何をしとるやら」

川 ゚ -゚)「まあ楽しかったよ」

( ΦωΦ)「その紙幣はどうした」

川 ゚ -゚)「あいつの財布からかすめとった」

( ΦωΦ)

川 ゚ -゚)「……あいつ、帰っても寝れないと思うわ」

( ΦωΦ)「え?」

川 ゚ -゚)「だってあいつの思い出に触れた時さ、流れ込んできたんだよ」

川 ゚ -゚)「異様なまでの父親の怒りが」

( ΦωΦ)

( ΦωΦ)「おやすみ」

川 ゚ -゚)「おやすーん」


 後日、ボコボコのプギャーさんが泣きながら店に来たのは言うまでもなかった。



おわり。


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