('A`)バケモノが暮らすお城のようです

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:28:39.28 ID:yn8xCS7x0
ドクオは城の中で一夜を過ごした。
暗闇だった昨夜に比べて城の中は朝日が差し込み、城内は明るい。

(-A-)「んぐー・・・んぐー・・・」

( ФωФ)「・・・寝坊も変わらんか、まあこれは性質じゃから仕方のないことだが・・・」

∩( ФωФ)∩「わしを待たせるとはいい度胸じゃなぁ、ドクオ」

ロマネスクは両手を前に構え、勢いよく手を叩く。
パン!と乾いた音が響くと同時にドクオの眼前で小さな爆発が起きた。

ドォン!
(;゚A゚)「うぉあ!?なんだ!?」

( ФωФ)「起きたか、今程度の爆発で起きるとは寝坊も多少はマシになったようじゃな」

(;'A`)「・・・今やったのお前か?ていうか今のは・・・?」

( ФωФ)「それも説明せんといかんか、面倒な奴じゃ。まぁいい、とりあえず覚えてる事を全て話せ。今すぐじゃ」

(;'A`)「え・・・今から・・・?いやあの・・・腹減ったんだけど」

( ФωФ)「だめじゃ、話せ」

('A`)(・・・俺、こいつが嫌になって飛び出したんじゃないのかな・・・?)

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:29:56.57 ID:yn8xCS7x0
('A`)「・・・何から話したもんかな」

( ФωФ)「まずわしが知りたいのはどの辺りから記憶がないかということじゃな」

('A`)「それもまた曖昧な話だけど・・・・俺が覚えてるのは名前、この城に住んでたこと、そしてお前がいたこと。
    そんで飛び出した理由、何故あそこで寝ていたか、記憶がないのか・・・何者なのか・・・それらは覚えてない・・・」

( ФωФ)「・・・あそことは?」

('A`)「ん?」

( ФωФ)「あそこで寝ていたと言っていたじゃろう、あそことはどこじゃ」

('A`)「・・・そこの森を抜けたところにある草原だ。気が付いたらそこで寝ていた」

( ФωФ)「・・・ふむ」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:31:51.92 ID:yn8xCS7x0
ロマネスクはアゴで手を押さえ、ドクオの前を右往左往しながら何かを考える。
やがて何かに気づいたのか、顔を少し上げてドクオのほうに向き直す。

( ФωФ)「・・・自分が何者かわからないと言ったな」

('A`)「・・・ああ、あんたが何者かも知りたいね」

( ФωФ)「・・・そうじゃのう・・・お前にわしはどう見える?」

('A`)「・・・爺口調の変な奴、プラス変な力を持っている。
    ・・・・・・どう考えても普通の人間じゃないよな・・・」

( ФωФ)「そう、人間ではない。バケモノじゃ。ついでにいうとお前もバケモノなんじゃぞ。」

('A`)「・・・はぁ?」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:34:29.01 ID:yn8xCS7x0
( ФωФ)「サラマンダーというのを知っているか?」

('A`)「・・・わざわざ聞くなよ、知るはずないだろ」

( ФωФ)「それもそうじゃな・・・サラマンダーというのは火の精霊のことじゃ。トカゲの姿をしていると言われているが
       そんなことはない、実際は姿などないんじゃが・・・今は関係ないのでそれはおいておこう。」

('A`)「ふーん・・・・・・火の精霊ね・・・あんたと何か関係が?」

( ФωФ)「人間とサラマンダーのハーフ、それがわしじゃ。」

('A`)「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・・・・」

( ФωФ)「つまりは精霊なのじゃぞ?もっと崇めるなりいい加減ソファから立つなりせんかバカモン」

('A`)「・・・それで俺はなんなんだ?」

∩( #ФωФ)∩

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:39:07.72 ID:yn8xCS7x0
パン、パン
ロマネスクが手を叩き、ドクオの両足付近を小さく爆発させる。

(;゚A゚)「うわ!なんだ!?」

( #ФωФ)∩「ほぅら、まだ信じられないか!?こうか!?こうか!?」
    ⊃彡
(;'A`)「信じる!信じるからやめて!死んじゃう!!」

( ФωФ)「まったく・・・そのぐらいで死ぬものか、もう面倒だから色々ハショるぞ。
       お前は人間と吸血鬼のハーフじゃ。」

(;'A`)「・・・」

∩( ФωФ)∩「・・・」

(;'A`)「・・・信じるから手は下ろして・・・いや下ろしてください」

( ФωФ)チッ

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:42:33.38 ID:yn8xCS7x0
('A`)「えっと・・・じゃあなにか?俺も手を叩いたりすれば爆発とかできるの?」

( ФωФ)「馬鹿かお前は、それはわしがサラマンダーの能力を継いでいるからじゃ。そんなこともわからんか馬鹿め、馬鹿!」

('A`)ウツダシノウ

( ФωФ)∩「誤解もしておる、手を叩けばいいのではなく音を立てればよい。ほれ」

ロマネスクが昨夜と同じように指パッチンを鳴らすとシャンデリヤの蝋燭に火がついた。

(;'A`)「・・・はぁー便利なもんだな、俺にも何かあるんじゃないのか?」

( ФωФ)「あることはあるがお前の場合は危険でな、多用せんと誓うなら教えてやろう」

('A`)(あんたのも十分危険だよ)「・・・わかった、誓おう。もったいぶらずに教えてくれ

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:45:10.59 ID:yn8xCS7x0
( ФωФ)「生物の血を吸えば体が爆発的に活性化する。吸血鬼らしい能力じゃよ」

(;'A`)「血を吸うって・・・俺そんなことしてたの?」

( ФωФ)「ごくたまにな、数十年前にお前が暴れて城を半壊させたことがあった
       知人に頼んでこの城も少しはマシになったが・・・あんな惨劇は繰り返したくないのでな」

('A`)「・・・俺って何歳なの?」

( ФωФ)「知らん、数百年生きているのは間違いないはずじゃ。わしとその数百年の間暮らしておったからな。」

('A`)「・・・あ、もしかして俺が飛び出したのって・・・」

( ФωФ)「延々と二人きりの生活に嫌気がさしたのじゃろう、嫁探しと言って飛び出しおったわ」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:46:58.71 ID:yn8xCS7x0
('A`)「・・・なるほどな、大体のことはわかった。あと気になるのは・・・」

( ФωФ)「何故記憶がないのか・・・じゃな。八年の間になにがあったかはわしにもわからん」

('A`)「・・・だよなぁ・・・何してたんだっけな・・・・・・」


長い沈黙が二人を包む

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:50:22.96 ID:yn8xCS7x0
( ФωФ)「・・・しかし」

('A`)「ん?」

( ФωФ)「お前は記憶をなくしてるはずなのにわしのことは覚えているとはな、少し嬉しいぞ」

('A`)「・・・・・・俺は・・・俺が城の扉に手をかけた時、頭痛と懐かしい感じがしたんだ。頭の中から何か湧き出そうな感じで・・・
    その時、お前のことも出てきた・・・んだと思う」

( ФωФ)「・・・城、か。城に入ってきた時のお前は、この城を探していたような口ぶりだったが・・・」

('A`)「・・・探していた・・・?・・・そういえばそうだな・・・」

('A`)「・・・何か関係があるのか・・・?」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:51:52.73 ID:yn8xCS7x0
( ФωФ)「なんにせよ、じゃ。腹が減っておるのじゃろう?その調子で腹をすかして夜まで待つがいいぞ
       夜になったら獣を狩ってきてやろう」

('A`)「・・・今行けよ」

( ФωФ)「・・・わしは光が嫌いでな」

('A`)「ああ・・・そんなこといってたね。じゃあ下の村に行って何か探してくるよ」

( ФωФ)「その前に着替えてこんか、ボロボロではないか」

('A`)「・・・それもそうだな・・・あ・・・俺の部屋は・・・?」

( ФωФ)「ソファの後ろの部屋じゃ、わしは夜まで寝るのでな」

('A`)「ええ・・・寝るのかよ・・・人のこと起こしておいて・・・」

∩( ФωФ)∩

===('A`)「おやすみー」

( ФωФ)フン

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/31(土) 16:54:39.22 ID:yn8xCS7x0
ドアを開けると強風が吹いてきた、窓が割れているのだ。
ドクオの部屋はタンスと窓しかない、ベッドも机もない質素な部屋は以前の生活をそのまま表している。

('A`)「・・・ま、ソファで寝るからこんなんで当たり前か・・・」

部屋の中に入り、一息ついてタンスの中を見た。
何十着もの真っ黒のスーツから一つを取り出し、着替えて外へ出る。
城の扉を開けると雲がかっている空が真っ先に目に入った。

('A`)「俺が、吸血鬼のハーフ・・・ね・・・」

ゆっくりとした足取りでドクオは崖の坂道へ歩いていった。


第二話 終


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