('A`)バケモノが暮らすお城のようです

3 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 15:02:34.55 ID:yWWLoU2I0
第三話  飢餓


ドクオにあらかた説明し終えたロマネスクは、窓からドクオが外へ出るのを確かめて布団に入った。
ロマネスクの部屋は広く、壁際にはびっしり詰まった本棚と、部屋の中央にある木製のベッド、そしてカーテン付きの窓がある。
数百年を共にしたせいか、この城には内外に無駄な装飾など一切無く、さっぱりしているの一言で表せる。

( ФωФ)「・・・久々にあんなに話したもんじゃ、人間はわしのことを不気味がるからのう」

( ФωФ)「ドクオは大丈夫じゃろう、奴は人間の姿に限りなく近い」

( ФωФ)「・・・・・・わしは・・・」

( ФωФ)「・・・ZZZ」


5 名前: ◆8ucKZ4ro3. 投稿日:2009/02/01(日) 15:04:29.36 ID:yWWLoU2I0
一方

(;'A`)「・・・改めてみると随分長いもんだなこの坂は・・・
    これって帰る時今以上に疲れるんだよな・・・・・・?」

ドクオは丸一日何も食べていない状態で城の近くの崖、そこから下に続く坂道をゆっくり下っている。
空腹の為かちゃんと立てず、壁に手をつけて前方に上半身を反らして歩く。

('A`)「そもそも何で城に食料がないんだよ・・・誰があんなとこに城なんか─」

('A`)「・・・ん?誰が城を建てたか・・・?」

('A`)「・・・そういえば何百年もあそこに立ってるんだよな・・・・・・?」

('A`)「・・・・・・何百年も?有り得るのか・・・?」
グゥーッ

(;'A`)「・・・考えるのは後にしよう、余計腹が減りそうだ・・・
    ・・・・・・・・・くそ・・・・・・」

(;'A`)「・・・」

7 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 15:06:30.24 ID:yWWLoU2I0
言葉では言うものの、やはり気になるものは気になる。
城に帰ったときにロマネスクに聞きたいことを少しでも探ろうとしてしまう。

('A`)(あの城を建てたのは人間なのか?)

('A`)(・・・記憶を無くす前の俺は城を探していたんだよな・・・)

('A`)(・・・いや、城の製作者は別に関係ないか。・・・記憶がないってのがここまで厄介とは・・・)

('A`)(・・・・・・草原で起きた時、何となくその前まで走ってたと思った。)

('A`)(仮に走ってたとしたら・・・何故?)

('A`)(・・・やっぱり理由が見つかんないんだよなぁ・・・考えても無駄なのか・・・?)

9 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 15:09:06.42 ID:yWWLoU2I0
ドクオが坂を下ること十数分、遂に下りることはできたが足はガクガクしている。
体力の限界だろう。ついにはその場に倒れこんでしまった。

(;'A`)「ふぅ・・・ふぅ・・・」

(;'A`)「・・・これは・・・・・・やばいな・・・・・・一日食わないだけでこんなことになるとは・・・」

(;'A`)「・・・いや、そもそも最後にいつ食ったか覚えてないのか・・・・・・・・・ぁー・・・・・・」

坂を下りても村まで結構な距離がある。そして現時点と村の間にはまたもや森がある。
森を進まなければ村につけない、精神的にもかなり追い込まれている状態だ。
ドクオはそのまま目を閉じて少し休むことにした、が─

ガサッ

(;'A`)「─!」

10 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 15:11:08.62 ID:yWWLoU2I0
草の擦れる音でハッとする、すぐそこに何かがいる。
凶暴な動物の場合、逃げることも戦うこともできない。
いや、凶暴でなくとも動物でなくとも、最早動ける状態ではないのだ。

(;'A`)「・・・・・・ま・・・・・・・ずい・・・・・・・・・・な・・・・・・・」

動けない、ならばこの音の原因が動物ではないように

(;'A`)「・・・・・・・・・に・・・・・・・・・・・・・・・・んで・・・あり・・・・・ま・・・・・・よう・・・・」

人間でありますように、じっと音のした方を見つめてそう祈る。


そして音の正体を見て唖然とする。そこにいたのは─

11 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 15:13:14.77 ID:yWWLoU2I0

( ^ω^)


豚のような、人間のような。


( ;゚ω゚)「おお!?大丈夫かお!?」

人語を発した、一応身の危険は無くなったと思うべきか。
かすれた声で力を振り絞り、こちらも人語をもって返す。

(;'A`)「・・・いや・・・・・・やばい・・・・・・腹・・・・・・が・・・・減ってるんだ・・・・・・」

13 名前: ◆8ucKZ4ro3. 投稿日:2009/02/01(日) 15:16:44.20 ID:yWWLoU2I0
( ;^ω^)「・・・腹?外傷は特にないのかお・・・?」

(;'A`)「・・・ああ」

( ;^ω^)「そ、そうかお。空腹でこんなとこで倒れるなんてブーンでも中々できないことだお旅人さん」

(;'A`)(・・・ブーン?名前か?・・・・・・う)

 ガクッ
((‐A‐))

( ;゚ω゚)「おお!?し、しっかりするお!今村に連れていくお!」

15 名前: ◆8ucKZ4ro3. 投稿日:2009/02/01(日) 15:19:09.07 ID:yWWLoU2I0
豚は、もとい太った男はドクオを担ぎ森の中へ入ろうとする。
しかし大人一人を担いで、背の高い草を掻き分けながら進むのは骨が折れる。
村に着く前にこちらも力尽きてしまいそうなほどに。

( #^ω^)「なんでこんなに草が多いんだお!こうなったら─!」

16 名前: ◆8ucKZ4ro3. 投稿日:2009/02/01(日) 15:20:56.56 ID:yWWLoU2I0
男は一旦ドクオを下ろし、両手を広げて思いっきり地面に叩き付けた。
すると目の前の草木が急速に枯れ始め、みるみる内にしなびて、さっきまで草によって道を阻まれていたのが
草によって道ができている。これなら進むのは訳ないだろう。

( ;^ω^)「急がないと!」

再びドクオを担ぎ、豚は森を人間とは思えない速度で走る。
豚に踏まれた草は見事なまでに粉末状になっていた。


第三話 終



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