- 45 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:29:03.31 ID:CWLDQZ+20
第八話 夢魔
外は暗闇。すっかり陽が落ちて照らされることのない城は相変わらず不気味な雰囲気を漂わせる。
そんな中でも怖気付くことなく城に近づく者がいた。
「・・・」
ギィ─
城の扉が開く。
- 47 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:30:32.25 ID:CWLDQZ+20
城の中も当然暗闇。普通ならば何も見えない城の中。
(-A-)「んぐー・・・んぐー・・・」
「・・・」
そんな中を迷うことなく、いびきの聞こえる方へ進む。
すたすたすたすたすたすたすた
- 49 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:32:18.50 ID:CWLDQZ+20
- (-A-)「んぐー・・・んぐー・・・」
(よく寝てるね。あの時はいびきなんかしてなかったけど)
(あれでよく生きてたなぁ)
(・・・さて)
何者かは手をドクオへ伸ばし、そっと頭に添える。そして─
「・・・いただきます」
パチン!
- 50 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:33:46.74 ID:CWLDQZ+20
lw´‐ _‐ノv「!?」
シャンデリヤに灯りがついた。その灯りはその場の二人を照らす。
一人は昼間の女性、そしてもう一人は─
( ФωФ)「何をしておる。シュール=スォーネ」
lw´‐ _‐ノv「・・・ありゃ、まずったかな」
( ФωФ)「何をしていると聞いておるのだ、答えろ。」
- 51 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:36:03.10 ID:CWLDQZ+20
シュールはドクオから手を離し、二階のロマネスクに視線を移して話し始める。
lw´‐ _‐ノv「なんてことないさね、ちょっと腹を満たそうとしただけさ」
( ФωФ)「・・・やはり人間ではなかったか、まさかドクオを食おうと考えるとはな」
lw´‐ _‐ノv「・・・へぇ、気づいてたんだ。」
lw´‐ _‐ノv「どこでしくったかな?」
( ФωФ)「・・・・・・良い夜をとは」
( ФωФ)「昔、ある吸血鬼から教えてもらった言葉じゃ」
- 52 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:37:36.84 ID:CWLDQZ+20
lw´‐ _‐ノv「なるほど、まさか悪魔同士の挨拶を知っていたとはね。うかつだったよ」
( ФωФ)「・・・悪魔、じゃと?」
lw´‐ _‐ノv「ん?」
( ФωФ)「・・・悪魔とは一体何じゃ。答えろ。」
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv「は?」
- 53 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:39:14.68 ID:CWLDQZ+20
lw´‐ _‐ノv「・・・何言ってるさね、悪魔は悪魔。それ以上説明しようがないよ」
( ФωФ)「・・・まあよい、まともに答えるとも思っとらん」
lw´‐ _‐ノv「心外だなぁ真面目に返したつもりなのに」
( ФωФ)「ドクオから離れろ」
lw´‐ _‐ノv「さて、どうしようかな。まだなんにも食べてないし」
∩( ФωФ)∩
lw´‐ _‐ノv
- 54 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:40:52.72 ID:CWLDQZ+20
パァン!
ロマネスクが大きな音を立てて手を叩く。爆発が起きる。
照準はシュール。だが─
( ФωФ)「!?」
つ⊂
爆発が起きた瞬間、そこにシュールはいなかった。
lw´‐ _‐ノv「あっははははは」
- 55 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:43:00.66 ID:CWLDQZ+20
lw´‐ _‐ノv「なんだ、あんたも人間じゃないじゃん」
(;ФωФ)「・・・な・・・・・・」
飛んでいる。いつのまにか背中から大きな翼が生え、城の中を羽ばたいていた。
(;ФωФ)「・・・貴様は一体・・・」
lw´‐ _‐ノv「そろそろ本当の自己紹介をしようか。あたしの名前はシュール=ドレアム。
誉れ多いサキュバスさ」
- 56 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:45:17.59 ID:CWLDQZ+20
(;ФωФ)「サキュバス・・・?」
lw´‐ _‐ノv「誤解してるみたいだから言うけどあたしはそいつの体を食べる気はないよ
食べるのは夢、さ」
(;ФωФ)「・・・何を言っておる」
lw´‐ _‐ノv「あんたは?何者?」
- 57 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:47:00.45 ID:CWLDQZ+20
(;ФωФ)(・・・)
(;ФωФ)「火の精霊じゃ、ハーフだがな」
lw´‐ _‐ノv「ま、そんなとこだろうね。火を使える悪魔がいるなんて聞いたこともないし
精霊だったらそんな姿してないしね」
lw´‐ _‐ノv 「それでも、悪魔を知らないのは恥じた方がいいよ。精霊さん」
- 58 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:49:02.49 ID:CWLDQZ+20
シュールは城の外へ飛びながら移動する。それを見たロマネスクは慌てて追いかける。
二階から一階へ、そして外へ。
lw´‐ _‐ノv「〜♪」
(;ФωФ)「まて!」
lw´‐ _‐ノv「・・・おっと、そうだった。」
ロマネスクに向きなおし─
lw´‐ _‐ノv「ドクオが起きたら伝えといてよ」
(;ФωФ)「!?」
lw´‐ _‐ノv「この間の夢、すっごくおいしかったよって」
(;ФωФ)「!!!」
- 59 名前: ◆8ucKZ4ro3.[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21:50:44.83 ID:CWLDQZ+20
- lw´‐ _‐ノv「んじゃね、良い夜を」
(#ФωФ)「な・・・待て!どういうことだ!おい!!」
(;ФωФ)「・・・くそ!!」
シュールは最後のロマネスクの言葉に耳を貸すことなく森の上空を羽ばたいていった。
残されたロマネスクはただ立ち尽くしている。
やがてシャンデリヤの灯りがフッと消え、暗闇からはドクオのいびきだけが響く。
(-A-)「んぐー・・・んぐー・・・」
(;ФωФ)(・・・)
混乱していたロマネスクを、嵐の後の静けさが落ち着かせていた。
第八話 終
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