( ^ω^)とモンスターのいる農場のようです

7 名前: ◆4br39AOU.g 投稿日:2011/09/12(月) 01:42:42.27 ID:vtIXnb5MO
拝啓天国の父上様母上様。
突然魔物の嫁を貰ったり、ケンタウロスが住み着いたりと波瀾万丈の農場ですが、
またもや困ったことが起こっています。



( ^ω^)

ξ゚听)ξ


<コッ…コケーッ!コケーッ!
川 ゚ -゚)「まぁそう暴れるなって。別に捕って食おうってわけじゃないんだ」

<コケーッ!コケーッ!
川 ゚ -゚)「ただちょーっと腹が減ってだな」

<コッコケッ!?コケーッ!
川 ゚ -゚)「足の指一本でいいんだ。頼むよ」

<コケーッ!コケーッ!コケーッ!
川 ゚ -゚)「先っちょだけ、先っちょだけ、な?」





なんか魔物がニワトリ食おうとしてます。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:44:14.66 ID:vtIXnb5MO



※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※




( ^ω^)とモンスターのいる日常のようです


【ラミア が あらわれた!】




※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:44:41.19 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)

ξ゚听)ξ「?」

<コケーッ!コケーッ!
川 ゚ -゚)「そんなに驚くことはないだろう。ちょっと舐めただけだ」

<コケーッ!コケーッ!
川 ゚ -゚)「……羽根が邪魔で味がしないな。むしっていい?」

<コケーッ!コケーッ!コケーッ!
川 ゚ -゚)「強情なニワトリめ……」







( ^ω^ )「魔物だぁーーーーーーーー!!」

ξ*゚听)ξ「だー!」


川; ゚ -゚)「うぉっ!?な、なんだ!?」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:46:16.25 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「こいつぁラミアじゃねーか!妖艶な姿で男を誑かすピッチモンスターだぜぇ!」

ξ*゚听)ξ「びっちー!」

川 ゚ -゚)「ピッチとは失礼な。私は花をも恥じらう乙女だ」


( ^ω^)「ばっきゃろいこんちくしょー!ウチのニワトリに手ぇだすとは許せん!成敗してくれるわぁ!!」

ξ*゚听)ξ「せーばいー」

川 ゚ -゚)「……ほう。人間無勢が私に勝てるとでも?」


( ^ω^)





( ^ω^)(ぶっちゃけ勝ち目ないわ)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:47:45.86 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「……ツン、ちょっと離れてるお」

ξ゚听)ξ「なんでー?」

( ゚ω゚)「今からブーンは修羅と化す!」

ξ;゚听)ξ「おぉ〜!」

( ゚ω゚)「さぁ!離れるんだお!ツン!」

ξ゚听)ξ「あいあいさー!」


川 ゚ -゚)「……勝てぬとわかって子供を逃がしたか。その点は褒めてやろう」

( ^ω^)「勝てない……?誰がそう決めたお!今のブーンには守るものがある!」

(#^ω^)「そう簡単には……負けられないんだお!!」

川 ゚ -゚)「ふん……ほざけ。弱い人間が何を言う。……恨むならば何も守れなかった自分の弱さを恨むのだな」


川#゚ -゚)「くらうがいい!灼熱の業火を!!」

(;^ωと)「うわああああああああ!!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:49:06.66 ID:vtIXnb5MO
川#゚ -゚)

(;^ωと)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)





川; ゚ -゚)「……ダメだ。お腹が空いて力が出ない」

( ^ω^)「さっきまでの空気はなんだったんだお……」

ξ゚听)ξ「おわったー?」

( ^ω^)「おっ。もう入ってきてもいいお」

川; ゚ -゚)「腹減った……」グーキュルルル…

( ^ω^)「……なんか食うかお?」

川 ゚ -゚)「頼む」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:50:21.73 ID:vtIXnb5MO
川*゚ -゚)「ふー……食った食ったー」

( ^ω^)「ラミアもパン食うんだ。てっきり肉食かと」

川 ゚ -゚)「肉は好きだが、体はどちらかと言えば人間に近いからな。肉以外もいける」

ξ゚听)ξ「ツンもごはんー」

( ^ω^)「はいはい。今用意するおー」

川 ゚ -゚)「……それにしても驚いたな」

( ^ω^)「何がだお?」

川 ゚ -゚)「ハーピーの子供と一緒に暮らす人間がいるとは。しかも随分懐かれているとみた」

( ^ω^)「そんなに珍しいかお?」

川 ゚ -゚)「ああ。ワイバーンがあくびしながら飛んでるときに口の中に虫がはいっちゃってパニクって落ちるくらい珍しい」

( ^ω^)「例えがわかりにくすぎる……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:51:55.92 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「そうだ。腹が一杯になったから火の魔法使えるぞ」

( ^ω^)「いいおそんな物騒なの使わなくて……」

川 ゚ -゚)「遠慮するな。私の一番の得意技なんだ。結構すごいぞ?」

ξ*゚听)ξ「ほのおー!」

川 ゚ -゚)「ほら、このハーピーの子も見たがってることだし」

( ^ω^)「……わかったお。でも外に向かってやってくれお」

川 ゚ -゚)「わかっているとも」


川#゚ -゚)「行くぞ!燃え盛れ!しゃくn(;'A`)「おいブーン大変だ!」うかよ!!」


( ^ω^)川 ゚ -゚)「「あ」」


('A`)「へ?」

ゴォォォォォッ!!
<ぎゃあああああああああああああああああああああ!!

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:53:17.04 ID:vtIXnb5MO
チーン…
(:::A:::)プス…プス…


ξ゚听)ξ「しんだー」

川; ゚ -゚)「す、すまん……突然飛び出してくるから……」

( ^ω^)「気にすんなお。とりあえずこの死体邪魔だから捨ててくるお」

(゚A゚)「扱いひどすぎないですか!?」

( ^ω^)チッ

(゚A゚)「また舌打ちかよ!!」


川; ゚ -゚)「私の炎を喰らってピンピンしてるとは……こいつ本当に人間か?」

( ^ω^)「こいつを人間扱いするなんて人間に失礼だお」

川 ゚ -゚)「む……すまん」

(゚A゚)「に・ん・げ・んですぅぅぅ!!」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:54:57.11 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「……で?何が大変なんだお」

(;'A`)「あぁ、そうだそうだ!大変なんだよ!実は昨夜村でな、ラミアが……」

川 ゚ -゚)

('A`)「で……た……」





(゚A゚)「ラミアだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ξ゚听)ξ「だー!」

(゚A゚)「助けて殺されるぅぅぅぅ!!」

( ^ω^)「さっき思いきり殺されかけといて何を今さら……」

川 ゚ -゚)「……おい。村でラミアが出てどうしたんだ」

(゚A゚)「ひいぃぃぃぃぃぃ!!」

( ^ω^)「いいから話を続けろお。あとキモイ」

(゚A゚)「キモイは余計だろ!!」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:56:52.55 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「……で?ラミアが出て?」

(;'A`)「あ……ああ。それで、死人も出てるんだ」

( ^ω^)「……そりゃあ穏やかじゃないおね」

(;'A`)「めったに魔物が襲ってこないから村はパニックだ。それで、一応お前にも伝えとこうと思ってな」

川 ゚ -゚)「……その村に、何か魔法を使ったような跡はなかったか?」

('A`)「え?えぇと……確かでっかい氷柱が出来てたな……」

川 ゚ -゚)「……そうか」

(;'A`)「……ってなんだってお前はラミアと一緒にいるんだよ!!」

( ^ω^)「落ち着くお。少なくとも村を襲ったのは彼女じゃないお」

川 ゚ -゚)「!」

(;'A`)「な、なんでそんなこと……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 01:58:34.92 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「彼女は昨夜はこの家から出てないお。村に行けるはずがないお」

(;'A`)「えっ……?」

( ^ω^)「昨日の夕方に腹空かせて倒れてるとこを拾ったんだお。
それから食うだけ食って豪快ないびきをたてて寝てたお。おかげでブーンも寝不足だお」

(;'A`)「……マジ?」

( ^ω^)「そうだおね?ツン」

ξ゚听)ξ「んー?」

( ^ω^)「ほら、ツンもああ言ってるお」

(;'A`)「いや、思いきり疑問系でしたよね」


( ^ω^)「とにかく、そういうことなんだお」

('A`)「……まぁ、お前がそう言うならそういうことにしとくよ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:00:25.15 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「これからどうするんだお?」

('A`)「俺は村に戻って対策を考える。これでも一応モンスター学者だからな」

( ^ω^)「そうかお」

('A`)「……じゃ、お前も気をつけろよ」

( ^ω^)「はいおー」




川 ゚ -゚)「……なぜあんな嘘をついたんだ?」

( ^ω^)「ああ言った方が手っ取り早かったからだお。村を襲ったのは君じゃないお?」

川 ゚ -゚)「なんでそう思ったんだ。確証はないだろう」

( ^ω^)「ニワトリ相手に『先っちょだけ、先っちょだけ』とか言ってる奴が人を殺すだなんて思えないおー」

川 ゚ -゚)「……そうか」


川 ゚ -゚)(……というか、そこ聞かれてたのか。恥ずかしい)

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:01:56.06 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「で、村を襲ったラミアに心当たりがあるのかお?」

川 ゚ -゚)「……いや、知らないな」

( ^ω^)「……そうかお」

ξ゚听)ξ「?」

( ^ω^)「お。ツンは気にしなくていいお」

ξ゚听)ξ「わかったー」


川 ゚ -゚)「……それじゃあ、世話になったな」

( ^ω^)「お?なに言ってるんだお?」

川 ゚ -゚)「もうそろそろ私はおいとましようかと……」

( ^ω^)「あきません……あきませんでぇ、奥さん」

川 ゚ -゚)「いや、まだ未婚だが……」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:03:25.76 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「ニワトリを襲おうとして、飯を食ったあげく、友人を黒こげにしたのに、
何もしないで帰って行くとは道理に反するんじゃあありませんかい?」

川 ゚ -゚)「あいつはお前の友人だったのか」

( ^ω^)「……」




( ^ω^)「ごめんやっぱそれは無しで」

川 ゚ -゚)「む、承知した」


( ^ω^)「ともかく、拾われて食べ物を与えられたら犬でもその家の番ができるんだお」

川 ゚ -゚)「……つまり、何か礼をすればいいんだな」

( ^ω^)「おっおっ。早い話がそう言うもんだお」

川 ゚ -゚)「しかし私は人間が喜ぶような物は持っていないぞ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:04:43.60 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「へっへっへっ……物が無いなら体で払うってのが決まりでしょうが……」

川; ゚ -゚)「か……体だと!?」

( ^ω^)「最近全然してないんでねぇ……色々たまってるんですわ」

川; ゚ -゚)「そんな……ま、まだ昼間だぞ?」

( ^ω^)「時間なんて関係ないねぇ……やろうと思った時にやるもんさ……」

川; ゚ -゚)「……先に言っとくが、私はまだ経験がないんだ……」

( ^ω^)「まぁ魔物だし、経験がないのは仕方ねぇなぁ」

川; ゚ -゚)「だから……その……優しくしてくれ」




( ^ω^)「いや、それは納得しかねる」

川 ゚ -゚)「えっ」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:06:24.63 ID:vtIXnb5MO
( ゚ω゚)「初めてだからって優しくすると思ったか!ビシバシ厳しくしてやんよ!」

川; ゚ -゚)「えぇっ!?いや、ちょっとまだ心の準備が……」

( ^ω^)「ツンにも手伝ってもらうから大丈夫だお。三人でやるお」

川; ゚ -゚)「3!?三人で!?」

(#^ω^)「えぇいまどろっこしい!!ちょっと動くなお!!」

川; ゚ -゚)「わっ!ちょ……何を……っ!?ど、どこを触って!?」



<アーレー!!




    ≡≡≡┏( ∵)┛【それからそれから】┏( ∵)┛



川 ゚ -゚)「……おい」

( ^ω^)「お?」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:07:41.20 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「なんだ、これは」

( ^ω^)「えっ、モップ」

川 ゚ -゚)「尻尾に布を撒いた理由は」

( ^ω^)「ラミアの尻尾って拭き掃除にむいてそうだなーって」

ξ*゚听)ξ「おそーじー」


川 ゚ -゚)「……」


川#゚ -゚)「ややこしいことを言うな!!」

(;^ω^)「えぇっ!?なんでキレられたの!?」

川#゚ -゚)「体で払えと言ったろう!どういうことだ!!」

( ^ω^)「だからその体で(働いて対価を)払えって」

川#゚ -゚)「最近全然シてないからたまってるといったろう!!」

( ^ω^)「最近(掃除を)してないから(ほこりとかが)たまってるって……」

川#゚ -゚)「わかるか!!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:09:47.30 ID:vtIXnb5MO
ξ゚听)ξ「なんでおこるのー」

川; ゚ -゚)「ぐっ……理由をこの無垢な少女に教えるなんて出来ない……!」

( ^ω^)「はいはいなんでもいいから早く掃除するお」




ξ*゚听)ξ「ぱたぱたー」

(;^ω^)「けほっけほっ!ツン!ブーンに埃を落とさないでくれお!」

川 ゚ -゚)「おい、私はどこを拭けばいいんだ」

( ^ω^)「とりあえずは窓を拭いてくれお。ツンが上の全部埃を落としてから床の掃除をするお」

ξ*゚听)ξ「ぱたぱたー」

川 ゚ -゚)「……楽しそうだな」

ξ*゚听)ξ「たのしー」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:11:27.18 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「次は掃き掃除だお」ザッザッ

ξ゚听)ξ「ごみひろったー」

( ^ω^)「おっおっ。じゃあそれはゴミ袋に……」

( ∵)ゴェ

( ^ω^)


( ^ω^)「なにこいつ」

川 ゚ -゚)「グレムリンだな。捨てると後々後悔するぞ」

( ^ω^)「……ツン、生き物はゴミじゃないから捨てちゃダメだお」

ξ゚听)ξ「わかったー」

( ∵)ゴェェェ

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:12:58.10 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「最後に拭き掃除だお」

ξ゚听)ξ「ふきふきー」

川 ゚ -゚)「……私は歩くだけでいいのか」

( ^ω^)「君の場合歩くという表現が正しいかわからないけどまぁそれでいいお」

川 ゚ -゚)「それで掃除になるのか……」


(((((( 川 ゚ -゚)ズリズリ


( ^ω^)(動くたびに波打つ尻尾が汚れを絡め取っていく……)

( ^ω^)(常に尻尾に布をつけていれば、移動してる間に床が綺麗になる)

( ^ω^ )(どうですか奥さん、一家に一台ラミアを置いては?)

( ^ω^)(なーんつってなwwwww)


ξ゚听)ξ「ブーンたのしそー」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:14:24.16 ID:vtIXnb5MO
―夕刻―

川; ゚ -゚)「ふぅ……」

( ^ω^)「お疲れさまだお。おかげで随分綺麗になったお」

ξ*゚听)ξ「ぴかぴかー」

川 ゚ -゚)(……しまった。もう日が暮れてしまう)

( ^ω^)「もう遅いし、夕飯食べていくといいお」

川 ゚ -゚)「……いや、遠慮しておく」

( ^ω^)「遠慮なんてするなお。またお腹を空かして行き倒れになるお」

川 ゚ -゚)「……いいんだ」

( ^ω^)「でも……」


川 ゚ -゚)「くどい」

( ^ω^)「そう言うなお。夕飯がどうしてもいやなら、代わりにブーンが出かけてる間にツンの面倒見ててくれお」

川 ゚ -゚)「!」

( ^ω^)「だから、もうちょっとここにいるお」

川 ゚ -゚)「お前……」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:16:04.46 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「……許せっ!!」

ゴォッ
(;^ω^)「うお!?あちちちち!?」

ξ;゚听)ξ「ブーン!?」


川 ゚ -゚)「……すまない。だが、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないんだ」

川 ゚ -゚)「世話になった。さらばだ」

ゴォォォ
(;^ω^)「あ、待つお!ってあちちちち!!」

ξ;゚听)ξ「おみずー!」

(;^ω^)「コップ一杯のお水!!気持ちは嬉しいけどできればバケツに汲んでほしかったお!!」

ξ;゚听)ξ「きえないー」

(;^ω^)「そりゃコップじゃね……ってあちちちちちちち!!」

(*ノ∵)ノゴェェ…

(;^ω^)「お前いつ沸いてきた!つーか火に当たってんじゃねぇお!消すの手伝え!」

ξ;;)ξ「きえないー」

(;^ω^)「ツンちゃんはコップじゃなくてバケツ使おうね!?」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:17:44.32 ID:vtIXnb5MO
(;^ω^)「なんとか火は消し止めたお……」

ξ;゚听)ξ「あつかったー」

( ^ω^)「……でも、大分時間を食っちゃったお」

ξ゚听)ξ「?」


( ^ω^)「ツン。ブーンはちょっと用事で出かけてくるお」

ξ゚听)ξ「ようじー?」

( ^ω^)「お。そうだお。遅くなるから、先にご飯食べて寝てるんだお」

ξ゚听)ξ「ブーンはー?」

( ^ω^)「ブーンは後で食べるお。ちゃんと留守番できるおね?」

ξ゚听)ξ「できるー」

( ^ω^)「おっおっ。さすがツンだお。えらいお」

ξ*゚听)ξ「えへへー」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:19:16.65 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「……じゃあ、行ってくるお」

ξ゚听)ξ「いってらっしゃいー」




    ≡≡≡≡┓( ∵)┏【いっぽう】┏( ∵)┛【そのころ】┏( ∵)┛


―村―


('A`)「くっくっくっ……さぁラミアよ、来るならこい!」

   λ λ
∠  ゚Д゚) ナメーン

('A`)「こちらに用意したるはおおなめくじ十匹」

('A`)「蛇はなめくじを苦手とするから、このなめくじでラミアを囲み、一網打尽にする!」

('A`)「完璧だ……完璧過ぎて穴が見つからない……」

('∀`)「そしてこれを気に村のみんなが俺を見直して、モテモテウハウハ状態!!」

('∀`)「ゆくゆくは仕事ぶりを評価されて王国公認のモンスター学者に!!」

('∀`)「人生のサクセスストーリーが始まるぜwwwww」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:20:54.34 ID:vtIXnb5MO
ガササッ

('A`)「む!現れたか魔物め!!」


「……あれー?今日は一人しかいないんだー。残念」


('A`)「姿を現せ!!そこにいるのはわかっている!」


o川*゚ー゚)o「ふふっ……せっかちねぇー。そういう男はモテないぞ?」

o川;*゚ー゚)o「……ってうわ、顔からしてキモい。こりゃモテないわー……」

(゚A゚)「ほっといてください!!」


('A`)「……だが、そんな余裕もそこまでだ!覚悟しろ!!」

o川*゚ー゚)o「あれ?この私とやる気?後悔するよー?」

(#'A`)「それはこっちのセリフだ!行け!なめくじ軍団!!」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:22:14.31 ID:vtIXnb5MO
ウゾゾゾゾ

      λ λ
  ,,,,∠  ゚λ λ      λ λ λ
   ,,,,∠  ゚Д゚) ,,,,∠  ゚Д゚)Д゚)
    λ λ
,,,,∠  ゚Д゚)



('A`)(……自分でやっといてなんだけどキモい)

o川;*゚ー゚)o「何これー、キモいんですけど……」

('A`)(だが……効果はテキメンみたいだ。これで勝つる)

o川;*゚ー゚)o「やだー。なめくじきもーい……。だから……」




o川*゚ー゚)o「みんな死んじゃえ♪」




('A`)「えっ……」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:23:45.89 ID:vtIXnb5MO
その瞬間、ドクオはまるで氷を直に肌に当てられたかのように錯覚した。
視界に映るのは生きて動いていたそのままの姿で氷漬けにされたなめくじ達。


(;'A`)「え……?今……何が……?」

o川*゚ー゚)o「何って魔法だよ?私の得意の氷の魔法」

(;'A`)「魔法?でも、あんな一瞬で……」

o川*゚ー゚)o「あはは。今のあなたすっごくイイ顔してるよ?」


o川*゚ー゚)o「ねぇ……もっと見せてよ、その顔」

(;'A`)「あ……ひっ……!?」


完全に腰を抜かしたドクオは尻餅を着いて情けない声をあげるのみだった。
逃げようとしているのか、必死に足を動かしてはいるが、その足は地面の上を滑るのみ。
もはや地を蹴るということもできないようだ。


o川*゚ー゚)o「ふふ……。足をバタバタさせちゃって……かわいい」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:25:44.92 ID:vtIXnb5MO
クスクスと笑うラミア。
その表情はすでに美しい女性のそれではなく、肉食獣のものと成り変わっていた。


o川*゚ー゚)o「さぁ……、どうやって殺してほしい?体の端からゆっくり氷漬けにしてあげようか?」

(;'A`)「あ……」


長い尾を引きずり、ラミアがドクオの前へと移動する。

ドクオは死を覚悟した。
昔のことを思い出してみたが、いい思い出は見当たらなかった。
だから―――



(#;A;)「殺すならその前に一発ヤらせろこのやろぉぉぉぉぉ!!」

o川;*゚ー゚)o「……は?」



それが精一杯の彼なりの抵抗だった。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:27:19.95 ID:vtIXnb5MO
(#;A;)「ガキの頃はいじめられて、大人になってもいじめられて、女の子と手をつないだことすらなくて」

(#;A;)「友達も1人しかいなくて、貧乏だから贅沢もできなくて、女の子と手をつないだことすらなくて」

(#;A;)「働け働けってみんないうから学者になったのに、みんなからは変態扱いされて、女の子と手をつないだことすらなくて」


o川;*゚ー゚)o「そんなに女の子と手つなぎたかったの……?」


(#;A;)「こんなクソみたいな人生送ってきたんだ!せめて最期くらいいい思いしたっていいだろ!」

(#;A;)「だから……!!」


o川*゚ー゚)o「ごめん生理的に無理」


(#;A;)




('A`)

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:29:43.69 ID:vtIXnb5MO
o川*゚ー゚)o「あー……、じゃあせめて最期はひと思いに殺してあげるね」

(;A;)「いやじゃぁぁぁぁぁ!!このまま死にたくないよぉぉぉぉぉ!!」

o川*゚ー゚)o「大丈夫、安心して。一瞬だから」

(゚A゚)「安心できるか!!」


刹那、ドクオは先ほどと同じような冷気を感じた。
思わず後ずさりをするが、冷気は身体から離れていかない。


o川*゚ー゚)o「あはは。逃げても無駄だよ?」


つきまとう冷気が運んでくるのは死への恐怖。
自分もあのナメクジ達のように氷の彫像に変えられてしまうのだろうか。

死が実感されていくにつれて、ドクオの頭の中はいやにすっきりとしていった。



('A`)(……ナメクジと一緒に彫像ってどんな罰ゲームだよ)

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:31:10.65 ID:vtIXnb5MO
o川*゚ー゚)o「じゃあ……凍っちゃえ!」



「させるか!!」



ドクオの身体が凍りつくのが早いか、真っ赤な炎がドクオを飲み込み、ラミアへと向かっていく。


o川;*゚ー゚)o「ちょ……!?」


ラミアに炎が迫る。
しかしその炎はラミアに届くことなく寸前で虚空へと消えていった。


o川*゚ー゚)o「……もー、あっぶないなー。火傷したらどうすんの?」



川 ゚ -゚)「……やはりお前だったか、キュート」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:33:12.59 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「大丈夫か!人間!」


(:::A:::)プス…プス…


川 ゚ -゚)「くっ……間に合わなかったか」

(゚A゚)「いやあんたのせいだよ!!」

o川;*゚ー゚)o「うわ……ピンピンしてる……。キモイ……」

(゚A゚)「だからキモイのは関係無いだろ!?」


川 ゚ -゚)「……まぁいい。元気なら下がっていろ」

o川*゚ー゚)o「あれ?姉さん、そんな人間を庇うの?」

('A`)「姉さ……えっ?」

川 ゚ -゚)「ああ……あいつは……キュートは私の妹だ」

('A`)(美人蛇姉妹キタ!)

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:35:38.25 ID:vtIXnb5MO
('A`)「姉妹……か」

川 ゚ -゚)「ああ、そうだ」

o川*゚ー゚)o「そうよー。この界隈では少しは名の通った姉妹だったんだよ?」


川 ゚ -゚)「……昔の話だ」

o川*゚ー゚)o「あの頃は楽しかったよね。2人で人間をいっぱい殺してさ」

(;'A`)「!?」

川 ゚ -゚)「勘違いするな。降りかかった火の粉を払っただけだ。それになるべく命までは奪わないようにしていたろう」

o川*゚ー゚)o「……だから甘いって言われるのよ。姉さんは」

川 ゚ -゚)「お前の殺人願望が異常なだけだ」


o川*゚ー゚)o「……」

川 ゚ -゚)「……」


('A`)(いや、待てよ?この2人に絞め殺されるなら本望かも……)

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:37:07.94 ID:vtIXnb5MO
会話が止み、2人の周りの空気が変わった。
姉妹の対面とは思えないほどピリピリしたそれに、さすがのドクオも息を呑む。


o川*゚ー゚)o「私とやるの?」

川 ゚ -゚)「お前がさっさと帰るならば許してやるがな」

o川*゚ー゚)o「あははっ。姉さんも言うようになったねー」


o川*^ー^)o「姉さんじゃ絶対に私に勝てないのにね」


キュートと呼ばれたラミアは歪んだ笑みを浮かべ、全身から滲む殺気でドクオ達を威圧した。
一方の姉の方は無表情のまま、笑顔の妹を見つめている。
その表情からは何を考えているかは想像ができない。


(;'A`)「お、おい……大丈夫なのか?」

川 ゚ -゚)「ん?何がだ?」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:38:35.93 ID:vtIXnb5MO
(;'A`)「お前の妹さん、随分自信満々みたいだが……」

川 ゚ -゚)「ああ。私がどうあがいてもあいつは殺せない。だがむこうは簡単に私のことを殺せるはずだ」

(;'A`)「そんな……!」

川 ゚ -゚)「大丈夫だ。あいつが疲れて帰るまで粘ればいいだけだ」

(;'A`)「……できるのか?」

川 ゚ -゚)「……」



ドクオ問いに対する返事は、なかった。
その沈黙が意味することを理解したドクオも、それきり言葉を発することはなかった。

再びその場を静寂が包む。
二匹のラミアは互いの出方を伺っているのか、少しも動こうとしなかった。

ラミアが扱うのは強力な魔法。
もし直撃しようものなら致命傷は免れないだろう。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:41:14.42 ID:vtIXnb5MO
勢いのままキュートを飲み込むかと思われた炎は、やはりその身に届くことなく虚空へと消えていった。


(;'A`)「そんな、なんで魔法が当たらないんだ!?」

川 ゚ -゚)「簡単な話だ。私とキュートの魔力の差がそれほどまでに大きいということさ」

(;'A`)「魔力の……差?」

川 ゚ -゚)「お前は、あいつが全力で私たちに向かってきていると思うのか?」

(;'A`)「は……?」


そこまで言われて、ドクオは気づいた。
無表情のまま自分に語りかけるラミアの息は荒くなっていて、額には脂汗も浮かんでいる。
しかし、キュートは相変わらず余裕の表情で、クスクスと笑いながらこちらの様子を伺っているのだ。


(;'A`)(そんな……あっちはもう何度も魔法を使ってるのに、こっちの攻撃を打ち消す余力を残してるのか!?)

川 ゚ -゚)「……逃げるなら、今のうちだぞ」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:43:14.00 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「今ならお前1人を逃がす時間くらいなら作ってやれる」

(;'A`)「けど……」

川 ゚ -゚)「何をためらう必要がある。私は魔物だぞ?魔物に同情するのか?」

(;'A`)「……で、でも」

川 ゚ -゚)「……まったく。歯切れの悪い男だ。顔も悪いし」

(゚A゚)「今顔の話必要でした!?」


o川*゚ー゚)o「さっきから何を話してるの?なんか逃がすとか顔が悪いとか聞こえたけど」

(゚A゚)「顔のとこは聞き逃さないねぇ!」

o川*゚ー゚)o「……姉さんは、なんでそんな人間なんかを守ろうとするの?」

川 ゚ -゚)「誰かを助けるのに理由がいるかい?」

o川*゚ー゚)o イラッ

川 ゚ -゚)「すまん」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:45:46.53 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「だが、今の言葉もあながち間違っているわけではないんだ」

川 ゚ -゚)「私が助けたいと思った、これが主だ」

o川*゚ー゚)o「……」

川 ゚ -゚)「それに……私は人間の持つ『温かさ』を知っている」

川 ゚ -゚)「他の魔物にはない、何にも囚われない純粋な『温かさ』だ」


o川 ー )o


キュートの顔から笑顔が消えた。
その表情からはどこか寂しそうな、恨めしそうな感情が伺われる。


川 ゚ -゚)「……お前にはわからないだろうな。人間の良さというものが」



o川# ー )o「わからないね!!」


(;'A`)「ひっ!?」

川 ゚ -゚)「……」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:49:05.84 ID:vtIXnb5MO
大声と共に溢れ出した冷気。
それの元となったのは怒りか、嫉妬か。
ただ姉に向けられた視線は怒りに満ちていて、
その身から溢れる冷気からはどこか悲しさにも似た何かが感じられた。


o川# ー )o「甘い……甘いよね、姉さんは」


川 ゚ -゚)「……すまん、人間」

(;'A`)「……へ?」

川 ゚ -゚)「どうやらもうお前1人逃がすことすらできそうにない」


キュートの体から大量の魔力が染み出す。
そして魔力は冷気となり、周囲の空気を凍らせる。
あの妖艶な笑顔はどこえやら、その表情は般若を彷彿させた。
そして声もそれまでの陽気な調子とは打って変わったものとなっていた。


o川 ― )o「もう、いいよ」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:51:08.97 ID:vtIXnb5MO
o川 ― )o「もう知らない」


o川 ― )o「死んじゃえ」


キュートの右手が上げられる。
あれが下がったら、自分は死ぬのだろうか。

ドクオがそんなことを考えた時に、その声が聞こえた。


「おーい!」

o川 ― )o「!」

(;'A`)「この声……」

川 ゚ -゚)「…………あのバカ」


(;^ω^)「はひっ……はひっ……。い、いくら農場で働いてるからってここまでマラソンはキツいお」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:53:16.80 ID:vtIXnb5MO
(;'A`)「ブーン!?」

( ^ω^)「おっ!ドクオ!大丈夫そうで虚しさ半分悔しさ半分だお!」

(゚A゚)「何期待してくれてんだよ!」


川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「君も大丈夫そうでよかったお」

川 ゚ -゚)「……何しにきた」

( ^ω^)「何しに……って助けに来たに決まってるお。どうやらタイミングはばっちりだったみたいだおね」

川 ゚ -゚)「……ああ、これ以上無い最高のタイミングだ」

( ^ω^)「……お?」



o川 ― )o「おしゃべりは終わった?」

( ^ω^)



( ^ω^)(なんか爆発寸前の魔物がいるんですが……)

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:55:11.61 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「……けど、ここでむざむざやられるブーンじゃないお」

(;'A`)「はっ……!まさか、ブーンの奴、この状況を打破する秘策が!?」

川 ゚ -゚)(……無い気がする)


( ^ω^)「こんな危険な場所に何の用意もせずにくると思ったかお?それは甘いお……」



( ^ω^)「こっちなは蛇の苦手なおおなめくじがいるんだお!そう簡単にやられはしないお!」

   λ λ
∠  ゚Д゚) ナメナメーン


('A`)

川 ゚ -゚)

o川 ― )o



( ^ω^)「……やだ何この空気」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:57:31.13 ID:vtIXnb5MO
o川 ― )o「それだけ?」

( ^ω^)「え?あ、はい」

o川 ― )o「ッ!」

(;^ω^)「ああっ!?なめくじさんが一瞬で氷漬けに!」

o川 ― )o「面白いね、人間さん」

(;^ω^)「いや全然おもしろそうな顔してな……っておお!?」シュルシュル


(;'A`)「あっ……!?ブーン!!」

川; ゚ -゚)「……バカが!」


キュートの長い尻尾がブーンを締め上げる。
両腕は自由ではあるが、締める力が強く、ブーンは為すすべがなかった。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 02:59:14.07 ID:vtIXnb5MO
川; ゚ -゚)「キュート!やめろ!そいつは関係ないだろ!」

o川 ー )o「関係ない……?」

川; ゚ -゚)「そうだ!そいつはお前に危害を加える気は無かったはずだ!だから離してやれ!」

o川 ー )o「姉さんはこの人間にご執心だね」

(; ω )「ぐ……ぎぎ……ぎぶ、ぎぶぅ」

o川 ー )o「このまま絞め殺したら、姉さんどんな顔するかな?」

川; ゚ -゚)「やめろ!」


('A`)(ブーン……あんなに密着して……ちょっと羨ましいかも)



川; ゚ -゚)「どうして……どうしてお前は人間を襲う!人間を殺す!!」


o川 ー )o「どうして?そんなの、決まってるじゃない」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:01:09.94 ID:vtIXnb5MO





o川 ー )o「人  間  だ  か  ら」







川; ゚ -゚)「なっ……?」


(; ω )「ただ……人間ってだけで殺すのかお……。ずいぶん……野蛮なんだおね……」

o川# ― )o「黙れ!!人間の癖に!!」

(; ω )「ぐぇぇ……お、折れるぅ……」ギリギリ

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:03:03.48 ID:vtIXnb5MO
o川# ― )o「人間だからって殺すのが野蛮?よく言えたものね!!」

o川# ― )o「じゃあ人間が魔物を殺す理由はなに!?」

(; ω )「それ……は……」

o川# ― )o「言えないでしょう?代わりに言ってあげる、それは『魔物だから』よ!」

o川# ― )o「人に危害を加えた加えないに関係なく、魔物だから殺す」

o川# ― )o「なのに逆の立場になったら『危害を加えるつもりはなかったから殺すな』?ふざけないでよ!!」

(; ω )「……」

o川# ― )o「人間が『魔物だから』って理由で魔物を殺すなら、私は『人間だから』って理由で人間を殺すの」

o川# ― )o「ねぇ、私なんか間違った事言った?ねぇ?」

(; ω )「……」

o川# ― )o「ほら答えられない!それって自分が間違ってるって認めたってことだよね!」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:05:07.97 ID:vtIXnb5MO
(; ω )「……確かに……間違ってるおね……」

o川# ― )o「なっ……?」

(; ω )「だから……君も間違ってるんだお……」

o川# ― )o「何を言って……!!」

(; ω )「ぐぇぇ……せ、せめてブーンの言い分を全部聞き終わるまで折らないでぇぇ」メキメキ…

o川# ― )o「言い分!?どうせ醜い命乞いをするだけでしょ!!」

(; ω )「今の君には……そう聞こえるかもしれないお」

o川# ― )o「知ったような口を利くなぁ!!」

(; ω )「うぎぃ……お、折れるぅぅ……」ミシミシ…ペキ…


川; ゚ -゚)「キュート!やめるんだ!」

o川# ― )o「うるさい!外野は黙ってて!」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:07:23.29 ID:vtIXnb5MO
川; ゚ -゚)「その人間は『魔物だから』といって魔物を殺す人間じゃない!」

o川# ― )o「だから何!?こいつだけ例外的に見逃せばいいの!?」

川#゚ -゚)「そうじゃない!そういう人間もいるってことを考え直せ!!」

o川# ― )o「そうだね!考え直そうか!じゃあ人間も魔物を手当たり次第に殺すのはやめてくれるかな!?」

川; ゚ -゚)「っ……」


(; ω )「……堂々巡りだお」

o川# ― )o「何か言った!?」

(; ω )「そうやって……互いに互いを傷つけあってたら……どちらかが全滅するまで終わらないお……」

o川# ― )o「だったら私が終わらせてやる!人間なんか皆殺しにしてやる!!」

(; ω )「……それしか道は無いのかお?」

o川# ― )o「他の選択肢?魔物が全滅しろってこと!?」

(; ω )「……殺し合い以外の道だお」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:09:41.07 ID:vtIXnb5MO
o川# ― )o「そんなもの……!あるわけないでしょ!」

(; ω )「……」

o川# ― )o「あんただって、私を殺せる状況にいたら殺すでしょ!?」

(; ω )「殺さないお」

o川# ― )o「嘘だっ!!今はあんたにそんな力がないからそんなことが言えるんだ!!」

(; ω )「力があったとしても……ブーンは君を殺さないお」

o川# ― )o「そうやって口だけは綺麗事言っちゃってさぁ!いざその時になったら簡単に手のひらを返すんだよね!!」


o川# ― )o「あの父親みたいに!!」


川 ゚ -゚)「!」

(;'A`)「父親……?どういうことだ……?」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:12:12.06 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「……私たちの父親は人間だったんだ」

('A`)(異種姦キタ!)

川 ゚ -゚)「優しい人だった。あの人に可愛がってもらった記憶は今でも残ってる」

o川# ― )o「でも王国の魔物狩りの人間が来たらあっさりと私たちを見捨てた!」

川 ゚ -゚)「だからあれにはきっと何かワケが……」

o川# ― )o「でもそのせいで母さんは殺されたのよ!!どんな理由があったとしても許せない!!」

(; ω )「それが……君が人間を憎む理由かお……」

o川# ― )o「ええ!そうよ!だから私は人間なんて信じない!!」

o川# ― )o「あんただって、嘘をついてるんでしょ!?ねぇ人間さん!?」

(; ω )「……」

o川# ― )o「人間なんてみんなそうよね!自分勝手で、乱暴で、醜い種族!!」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:14:31.68 ID:vtIXnb5MO
o川# ― )o「人間なんて……人間なんて……!」

o川# ― )o「みんな死んじゃえばいいんだっ!!!」

(; ω )「かっ……ぁ……」ミシ…ミシ…


川; ゚ -゚)「やめろ!キュート!!」



キュートの叫びが一帯に響き、大量の冷気が広がっていく。
ブーンの体は強く締め上げられ、また冷気の発信源に近いために少しずつ凍りついていった。

それを見た姉のラミアが炎の魔法を唱えようとするが……


o川# ― )o「っ!?」

(; ω )「この……風……は?」


それよりも早く、一陣の突風がその場を駆け抜けた。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:17:06.39 ID:vtIXnb5MO
突然の風に、その場にいた全員が怯んだ。
そして、風と共に姿を現したのは


ξ#゚听)ξ「ブーン、いじめちゃだめー!!」


o川; ― )o「なっ……!?」

(; ω )「ツン……!?」


子ハーピーのツンだった。

ツンは風に乗り、上空を滑空。
急降下してキュートに爪を立てる。


o川; ― )o「ぐ……」

ξ#゚听)ξ「ブーンかえせー!」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:19:22.38 ID:vtIXnb5MO
鋭いかぎ爪による連撃に、たまらずキュートはブーンを離してしまった。
地面を転がるブーンに慌ててドクオ達が駆け寄っていく。


(;'A`)「ブーン!大丈夫か!?あと絞められてるときどんな感触だった?」

(;^ω^)「死ねよお前。いつつ……アバラが何本かやられてるかもわかんね」

川 ゚ -゚)「それだけですんでるなら十分だ。今のうちに逃げろ」

(;^ω^)「だめだお!まだツンが……」


そう言ってブーンが振り向いた瞬間だった。
ブーンの耳元を何かがすごいスピードで通り過ぎて行き、キュートのわき腹に突き刺さった。


o川; д )o「がっ……!?ぐぅ……!?」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:21:58.92 ID:vtIXnb5MO
(;^ω^)「な……、今、何が?」


(,,゚Д゚)「まったく、危ないことをしやがる。……ツンもお前も」

(;^ω^)「ギコ!?」


唖然としていたブーン達の後ろから現れたのは、ケンタウロスのギコだった。
左手に弓を持ち、すでに二本目の矢をつがえている。


(,,゚Д゚)「さて……と。そこのラミアちゃん。人間相手にちょっとおいたが過ぎるんでねーの?」

o川; ― )o「ぐ……」

(;^ω^)「ま、待つおギコ!殺しちゃダメだお!」

(,,゚Д゚)「あぁん?何言ってんだ。こいつはお前を殺そうとしてたろ。
それに生かしといたらまたいつ人間を襲うかわからん」

( ^ω^)「でも、殺しちゃダメだお」

(,,-Д゚)「……わかったよ」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:24:10.03 ID:vtIXnb5MO
o川; ― )o「何……?情けをかけたつもり?」

( ^ω^)「……いや、違うお」

o川; ― )o「ならなんで殺さないのよ」

( ^ω^)「言ったお。ブーンは君を殺さないって」

( ^ω^)「それに、知ってほしいんだお。人間がどんな生き物か」

( ^ω^)「確かに君の言うとおり、人間は自分勝手で、嘘つきで、野蛮な種族かもしれないお」

o川 ― )o「……」

( ^ω^)「でも、人間にはもっといいところもたくさんあるんだお」

( ^ω^)「ちゃんと話し合えば殺し合う必要なんてなくなるはずなんだお」

o川 ― )o「……そんなの、ただの妄言よ」

( ^ω^)「ブーンの言葉が嘘かどうかの答えは、自分で見つけてくれお」

o川*゚―゚)o「……ふん」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:26:18.09 ID:vtIXnb5MO
o川*゚―゚)o「……仕方ないから今回は見逃してあげる。あなたも……この村も」

( ^ω^)「おっ」

o川*゚―゚)o「でも次会った時はどうなっても知らないわよ」

( ^ω^)「その時は話し合いから始まればいいおね」

o川*゚―゚)o「……さあね」


( ^ω^)「あ、行く前に傷の手当てを……」

o川*゚―゚)o「いらない。ラミアの治癒能力ナメないでよね」

( ^ω^)「おっ」

o川*゚―゚)o「……変な人間」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:28:03.27 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「……」

('A`)「よかったのか?」

川 ゚ -゚)「何がだ」

('A`)「何も言わなくて。……妹なんだろ?」

川 ゚ -゚)「別に、私から言うことはもうないさ」




ξ;;)ξ「ブーンー」

(;^ω^)「おっ、ツン!?」

ξ;;)ξ「しんぱいしたー」

(;^ω^)「それは謝るお。でも、次からはあんな危ないことしちゃダメだお」

(,,゚Д゚)「危ないことさせた本人が何を言うか」

(;^ω^)「……面目ないお」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:30:10.45 ID:vtIXnb5MO
( ^ω^)「……じゃあみんな帰るお」

ξ゚听)ξ「おなかすいたー」

( ^ω^)「お?晩ご飯先に食べてていいって言ったお?」

ξ゚听)ξ「ブーンといっしょがよかったー」

(*^ω^)「こやつめ」

( ^ω^)「君も一緒に夕飯食べてくおね?えーと……」

川 ゚ -゚)「クーだ。迷惑じゃないならそうさせてもらおうかな」

( ^ω^)「おっ。よろしくだお、クー。あと一つ聞いていいかお?」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

( ^ω^)「クーに名前を教えたら婚姻成立とかしないおね?」

川 ゚ -゚)「別にしないが……お前、私と結婚したいのか?」

( ^ω^)「どうしてそうなった」

('A`)「俺も晩飯……」

( ^ω^)「くんな、野垂れ死ね」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:31:58.08 ID:vtIXnb5MO
      ┗(∵ )┓≡≡≡【翌日】≡≡≡┏( ∵)┛


( ^ω^)「さーって、今日も1日頑張るおー」

ξ*゚听)ξ「おー!」

川 ぅ -゚)「……ふぁ。……毎日こんな朝早いのか?」

( ^ω^)「農家の朝はこんなもんだお。これから一緒に暮らすなら慣れてくれお」

川 ゚ -゚)「……しかし、本当に良かったのか?」

( ^ω^)「何がだお?」

川 ゚ -゚)「いや、私なんかを家に置いてくれて……」

( ^ω^)「全然構わないお。それにまたどこかで行き倒れになったら困るお」(家にいてくれたら掃除も楽だし)

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:33:57.38 ID:vtIXnb5MO
川 ゚ -゚)「そうか。安心した」

( ^ω^)「おっおっ。じゃ、これからよろしく頼むお」

川 ゚ -゚)「ああ、嫁としてしっかりブーンをサポートしてやろう」

( ^ω^)「おっ、それは心づy…………嫁?」

川 ゚ -゚)「えっ?違うのか?」

( ^ω^)「えっ、だって名前交換はなんもないんじゃないの」

川 ゚ -゚)「いや、お前が『一緒に暮らそう』って人間流のプロポーズしてきたんじゃないか」

( ^ω^)

川 ゚ー゚)「どうした。美人の奥さんをもらって今さら驚いてるのか。
照れなくてもいいぞ。なんなら今抱きついてきてもいいんだぞ?」

( ^ω^)



( ^ω^ )


( ∵)/~【おしまい】

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/12(月) 03:55:38.41 ID:vtIXnb5MO
【('A`)先生のモンスター図鑑】

新しく出会ったモンスター


川 ゚ -゚) o川*゚ー゚)o ラミア:妖魔種

上半身が人間の女性、下半身が蛇の魔物。
一般的に美しい女性の姿をしているのが多いため、隠れファンも多いとか。
蛇の体をしているが、食生活は人間とあまり変わらない。
種族には女性しかいないため、子孫を残すために人間の雄と交尾するのだが……その方法もあまり穏やかではないらしい。
高い魔力を持ち、様々な魔法を使いこなす。
が、同種でも魔力の差はいろいろあるようだ。
また、最近の調査でわかったことだが、なめくじは特に苦手ではないらしい。


   λ λ
∠  ゚Д゚) おおなめくじ:魔獣種

おおきななめくじ。敵は浸透圧。
ぶよぶよしていて殴ったり蹴ったりしてもあまり効かない。
そのぬるぬるボディは一部の層に大人気だ。
またその体にはコラーゲンが豊富に含まれているとかなんとか。
ちなみに何人かは経験があると思うが、食べると恐ろしく生臭い。


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