- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:13:54.28 ID:GxdZUwl3O
- 拝啓天国の父上様、母上様。
勇者として旅に出てもう何年でしょうか。
今さらながら僕は勇者らしい旅ができています。
(;・∀・)「頼むよ〜。一晩だけ、一晩だけ」
( ´皿`)「んなこと言われてもねぇ……金がないんじゃなぁ」
(;・∀・)「この通り!世界平和のためだと思って!僕、勇者なんで」
( ´皿`)「お前さんみたいなもやしっ子が勇者?冗談ならもっとおもしろいものにしてくれ」
( ・∀・)「ほら、証拠の剣」
( ´皿`)「ようこそいらっしゃいました勇者様。ささ、最上級のお部屋へどうぞ。なに、お代はいりませんよ」
……うん、勇者らしいよね!
すごい勇者っぽいよね!!!
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:14:58.54 ID:GxdZUwl3O
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
( ^ω^)とモンスターのいる農場のようです
【とうぞく が あらわれた!】
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:16:40.17 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「う〜ん。やっぱ最上級の部屋だけあるなー」
( ・∀・)「広いしベッドはフカフカだし、最高だね」
( ・∀・)「あとは美味しい手料理でもあれば言うことないんだけどなぁ……」
ガチャ
( ´皿`)「失礼します。勇者様、お食事をお持ちしました」
( ・∀・)「あ、ありがとう。そこにおいといて」
( ´皿`)「はっ……」
( ・∀・)「……?どうしたの?」
( ´皿`)「……実は、勇者様に折り入ってご相談がありまして」
( ・∀・)「相談?」
( ´皿`)「はい」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:19:11.05 ID:GxdZUwl3O
- ( ´皿`)「この町は、昔は随分と栄えていました。海も近く、多くの物資が集まってきますので」
( ・∀・)「あー、確かにいろんなものがいっぱいあったよね。……めちゃくちゃ高かったけど」
( ´皿`)「……申し訳ありません。そうというのも、ここ最近の不況が原因なのです」
( ・∀・)「そうだね。ほとんど人通り無かったし」
( ´皿`)「実は最近、この町に魔物が出るのです。しかも一匹や二匹ではなく、大量に」
( ・∀・)「……それは大変だ」
( ´皿`)「そのせいで多くの住人が出て行ってしまいました」
( ´皿`)「町の男衆で退治しようとしたのですが、歯が立たず。
王国の魔物狩りに依頼しようにも、ここからはかなり距離もありますし……」
( ´皿`)「お願いします勇者様!どうか我々を助けてください!!」
( ・∀・)「……」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:21:18.35 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「わかりました」
( ´皿`)「!」
( ・∀・)「この勇者モララーに全てお任せを。人々を苦しめる悪しき魔物を見事打ち倒して見せましょう!」
( ´皿`)「おお……!ありがとうございます!ありがとうございます!」
( ・∀・)「いえ、当然のことです」
(*・∀・)「なんたって僕は勇者ですからね!!」
( ´皿`)「さすが勇者様!私らにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!!」
(*・∀・)「あーはっはっはっ!もっと!もっと褒めて!」
( ´皿`)「キャー!勇者様カッコいい!抱いて!」
(*・∀・)「いやいやいやいやいやいやいや、それほどでもあるよ!」
( ´皿`)「ささ、料理をどうぞ。いくらでもおかわりはありますから」
(*・∀・)「ありがとう!」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:23:47.98 ID:GxdZUwl3O
- ―翌日―
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「どうしよう」
( ・∀・)「なんか勇者っぽいとこ見せたくてオーケーしちゃったけど……」
( ・∀・)「大体この町の男達が戦って勝てなかった相手に僕一人で戦えと……?」
( ・∀・)
( ・∀・)「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理」
( ・∀・)「だってアレだし。ブーンの農場出てからなぜかスライム以外の魔物と出会わなかったからレベルアップしてないし」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:25:13.15 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「……逃げよかな」
( ・∀・)「……いや、ダメだ。宿屋の主人にあそこまでしてもらって逃げるわけには行かない」
( ・∀・)「せめて心だけでも勇者でいたいからな!」
( ・∀・)+
( ・∀・)「……しかし、どうしたものか」
「おい!待ちやがれこらぁっ!!」
「あひゃーっ!?」
( ・∀・)「なんだなんだ?」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:27:08.32 ID:GxdZUwl3O
- 以#`゚益゚以「捕まえたぞこのコソ泥め!」
(#*゚∀゚)「はーなーせーっ!!」
( ・∀・)「どうしたの?」
以#`゚益゚以「こいつがうちの商品盗みやがったんだよ!」
(#*゚∀゚)「りんごを一個盗っただけだろ!そんなんでケチケチすんじゃねーよ!バカみたいに高い値段で売りやがって!」
( ・∀・)「……ちなみにいくら?」
以`゚益゚以「10,000」
( ・∀・)「……ジンバブエドル?」
以`゚益゚以「ポンド」
( ・∀・)「たけーよ」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:29:47.75 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「りんご一個で一万ポンドってなんだよ。時代が時代なら家建つぞ」
以`゚益゚以「鋼の剣は200,000ドルだ」
( ・∀・)「聞いてねーしたけーよ。あとなんで通貨バラバラなんだよ」
以`゚益゚以「スマイルは100円だ」
( ・∀・)「金とんなよ」
( ・∀・)「……まぁ、こんなに高い料金に設定する側もどうかと思うが、泥棒はよくないなぁ」
(;*゚∀゚)「うー……」
以#`゚益゚以「まったくふてぇ野郎だ!役人に突き出してやる!」
( ・∀・)「まぁまぁ、反省してるみたいだし、許してやってよ」
以#`゚益゚以「だがここで許したらまたいつ同じ事をするかわからんだろう!」
( ・∀・)「ほら、僕に免じて……ね?」ケンチラミセーノ
以;`゚益゚以「なっ……そ、その剣は……!」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:31:32.91 ID:GxdZUwl3O
- 以;`゚益゚以「ゆ、勇者様でしたか!お見苦しいところを……」
( ・∀・)「いいよ、そんな畏まらなくても。ほら、君もりんご返して」
(;*゚∀゚)「あーい……」
以;`゚益゚以「いや、それは差し上げます!」
( ・∀・)「ダメダメ。こういうのはちゃんとしないとね」
以;`゚益゚以「は……。では、お言葉に甘えて」
( ・∀・)「あとね、いくら魔物が出てお客が全然来ないからってあんまり高い値段にしちゃダメだよ」
以;`゚益゚以「はい……気をつけます」
( ・∀・)「魔物は僕がなんとかするからさ、もっと安くしてよね」
以`゚益゚以「は、はい!」
( ・∀・)「じゃありんごを貰おうか。いくら?」
以`゚益゚以「100です」
( ・∀・)「円?」
以`゚益゚以「ユーロ」
( ・∀・)「たけーよ」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:33:30.48 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「君ももうこんなことしちゃダメだよ」
(;*゚∀゚)「あひゃ……」
( ・∀・)「じゃあ、僕は行くから」
(*゚∀゚)「……」
( ・∀・)「ふぅ……。良いことしたあとは気分がいいはずなのになぁ……」
( ・∀・)「魔物をどうするか考えたら気が重いなぁ」
(*゚∀゚)「勇者なのにか?」
( ・∀・)「勇者って言っても弱いからなー」
(・∀・;)「……ってなんでついてきてんの!?」
(*゚∀゚)「あ、りんご食うか?」
( ・∀・)「え?あ、うん」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:35:07.85 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「……ん?このりんごってもしかして……」
(*゚〜゚)「ん?さっきの店で盗って来た奴だ」ショリショリ
(;・∀・)「ちょ……!返したんじゃなかったの!?」
(*゚∀゚)「あひゃひゃひゃ!バカじゃねーの?オレが盗ったりんごが1個だけだとでも思ったか!」
(;・∀・)「え……?」
(*゚∀゚)「あいつに捕まったのもワザとだし!でなきゃこのオレ様があんなのに捕まるわけねーだろ!」
( ・∀・)「ワザと捕まったって……なんで」
(*゚∀゚)「りんごを1個だけ盗むフリをして捕まりゃあ大体説教だけで済むからな!他の獲物は安全に持って帰れるって寸法さ」
( ・∀・)「……うーん。ずる賢い」
(*゚∀゚)「りんごの他にも金目の物を適当に盗んできてやったぞ。剣、盾、指輪etc.」
(;・∀・)「そんなに!?」
(*゚∀゚)「この大盗賊つー様にかかりゃチョロいもんよ!」
( ・∀・)「いや、その小柄な体のどこに隠してるのかと」
(*゚∀゚)「あひゃひゃひゃ!企業秘密だ!」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:36:37.38 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「とにかく、盗んだ物は返してきなさい」
(*゚∀゚)「いいんだよ!お前、村に現れる魔物を退治すんだろ?」
( ・∀・)「……まぁ、そうだけど」
(*゚∀゚)「じゃあこれは報酬の前借りってことで!」
( ・∀・)「そう言われてもなぁ……」
(*゚∀゚)「堅いこと言うなって。オレも手伝ってやるから」
( ・∀・)「手伝う……?」
(*゚∀゚)「魔物退治するんだろ?」
(;・∀・)「そんな!危ないよ!」
(*゚∀゚)「あひゃひゃひゃ!安心しな!俺はそんじょそこらの雑魚にやられるほどヤワじゃないぜ!」
(;・∀・)「で、でも……」
(*゚∀゚)「なんだよ。そこまで疑うならステータス見てみろ」
( ・∀・)「ステータス?」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:38:28.97 ID:GxdZUwl3O
- (*゚∀゚)「スタートボタン押したらメニューがでてくるだろ?」
( ・∀・)「あ、本当だ。なにこの機能。というかスタートボタンの存在を今知ったよ」
【(*゚∀゚):つー せいべつ:おんな しょくぎょう:とうぞく】
レベル:20
HP:167
MP:51
ちから:32
たいりょく:31
まりょく:28
すばやさ:61
うん:33
SAN値:100
( ・∀・)「ごめん。数値化されてもよくわかんない」
(*゚∀゚)「オレもよくわかんね!」
( ・∀・)「……とりあえず、君はすごく素早いんだね」
(*゚∀゚)「盗賊だしな!」
( ・∀・)「ところでこのSAN値って?」
(*゚∀゚)「0になると発狂するらしいぞ」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:40:32.69 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「じゃあ僕のステータスは……っと」
【( ・∀・):モララー せいべつ:おとこ しょくぎょう:ゆうしゃ(笑)】
レベル:94
HP:875
MP:7
ちから:5
たいりょく:4
まりょく:4
すばやさ:124
うん:255
SAN値:100
(*・∀・)「すげぇ!僕レベル94だ……」
(:・∀・)「ってなんだこれ!HPとすばやさと運以外低っ!レベル94なのに低っ!!」
(:・∀・)「あとなんだよこの職業『ゆうしゃ(笑)』って!」
(;*゚∀゚)「……お前本当に勇者か?力が5って……」
( ・∀・)「……今まで運だけで生きてきたってのがよくわかるよね」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:42:47.41 ID:GxdZUwl3O
- (;*゚∀゚)(うー……。勇者についていけば世界中のお宝がオレの物!とか考えてたけど……なんか雲行きが怪しいな)
( ・∀・)「しっかしひどいなーこれ。……今さらか」
(;*゚∀゚)(……でも、一応勇者としてやってこれてるみたいだしなー)
( ・∀・)「あ、次のページってボタンがある。【とくせい:にげあし さいせいりょく ぼんようせいばつぐん】……なんだこれ」
(*゚∀゚)(……まあいいか!ヤバくなったらさっさと逃げりゃいいんだし!)
( ・∀・)「うわ、技欄スッカスカ。なぜかテンプテーション ※※ってのがあるけど……なんだこの米印」
(*゚∀゚)「おい、いつまでステータス画面見てるんだ」
( ・∀・)「だっておもしろいんだもん」
(*゚∀゚)「魔物やっつけに行くんだろ!魔物の居場所に見当はついてんのか?」
( ・∀・)「あー……君は何か知らない?」
(*゚∀゚)「知らねー!それと、オレは『君』じゃなくて『つー』だ」
( ・∀・)「あ……じゃあ、よろしくね。つーちゃん。僕のことはモララーでいいよ」
(*゚∀゚)「おう!よろしくな!」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:44:26.29 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「つーちゃんは本当になにも知らないの?」
(*゚∀゚)「知らねー!」
( ・∀・)「盗賊ネットワーク的なのを期待したんだけどな……」
(*゚∀゚)「同業者同士で情報をやり取りすることなんかないからな!せっかくの獲物を横取りされるかもしれないし」
( ・∀・)「んー……。じゃあ、まずは村人に聞き込みをしてみようか」
(*゚∀゚)「あひゃっ!」
≡≡≡(「∵)「(「∵)「(「∵)「(「∵)「【それから】
( ・∀・)「あのー、すいません」
| ^o^ |「ぶき や ぼうぐ は そうびしないと いみが ないよ」
( ・∀・)「少し聞きたいんですが」
| ^o^ |「ぶき や ぼうぐ は そうびしないと いみが ないよ」
( ・∀・)「もしもし?」
| ^o^ |「ぶき や ぼうぐ は そうびしないと いみが ないよ」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:46:08.88 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「……ダメだ。同じことしか言ってくれない」
| ^o^ |「ぶき や ぼうぐ は そうびしないと いみが ないよ」
(*゚∀゚)「こういうモブキャラの会話がループするのはRPGじゃよくある話だからな!」
| ^o^ |「ぶき や ぼうぐ は そうびしないと いみが ないよ」
( ・∀・)「……他の村人もこんなんかな。そうだと困るなぁ」
| ^o^ |「ぶき や ぼうぐ は そうびしないと いみが ないよ」
(*゚∀゚)「魔物の居場所を教えてくれる奴なら1人くらいはいるんじゃねーの?」
| ^o^ |「ぶき や ぼうぐ は そうびしないと いみが ないよ」
( ・∀・)「そうだね。仕方ない。手当たり次第聞いてみるか」
| ^o^ |「ディグダの あな」
(;・∀・)(;*゚∀゚)「「!?」」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:47:40.22 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「もしもし」
| ^o^ |「ちくしょう! まものに いえを こわされちまった!」
( ・∀・)「魔物の居場所を知りませんか?」
| ^o^ |「ローンが あと ななねんも のこってたのに!」
( ・∀・)「変にリアルな設定だな」
(*゚∀゚)「おい、お前」
\(^o^)/「こんな まものだらけの むらになんか いられるか! おれは こきょうに かえる!」
(;*゚∀゚)「あ、おい!待てよ!!」
( ・∀・)「どうしたの?つーちゃん」
(;*゚∀゚)「なんか【樹海→】って書いてある先に走って行っちゃった」
( ・∀・)「……大丈夫だよ。僕らが一回村を出て、また入ってきたら復活してるだろうから」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:47:40.22 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「すいませーん」
(^q^)「まもの? それなら ひがしのもりをぬけたさきの どうくつに すんでるよ」
( ・∀・)「えっ?」
(^q^)「まもの? それなら ひがしのもりをぬけたさきの どうくつに すんでるよ
(*゚∀゚)「あひゃっ!ビンゴだな!」
( ・∀・)「東の森を抜けた先か……。よし!早速行こう!」
(*゚∀゚)「おっしゃー!腕が鳴るぜー!」
(^q^)「まもの? それなら ひがしのもりをぬけたさきの どうくつに すんでるよ」
「……そう。そこにここを襲った魔物がいるのね」
(^q^)「まもの? それなら ひがしのもりをぬけたさきの どうくつに すんでるよ」
「さっき人間が2人向かったみたいだけど……大丈夫かな」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:50:11.55 ID:GxdZUwl3O
- ―ひがしのもり―
( ・∀・)「うーん……。いかにも魔物が出てきそうな雰囲気だよね」
(*゚∀゚)「でもさっきから全然出てこねーな。雰囲気だけだ」
( ・∀・)「そっちの方が楽でいいけどねー」
(*゚∀゚)「だなー」
(*゚∀゚)「ところでその魔物ってどんなんなんだ?」
( ・∀・)「……あー、どんな魔物かまでは聞いてなかったね」
(*゚∀゚)「どーすんだよ。敵がわからなかったら対策しようがないだろ?」
( ・∀・)「わかってて対策したとしてもどうしようもないからねー」
(*゚∀゚)「そういやお前ってめちゃくちゃ弱かったもんな!」
( ・∀・)「傷つくからやめて」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:52:04.37 ID:GxdZUwl3O
- (*゚∀゚)「でもさー、そんな弱いのによく魔物やっつけようと思ったよな」
( ・∀・)「腐っても勇者だからね。それに、剣が使えなくても魔物をなんとかすることはできるんだよ?」
(*゚∀゚)「魔法か?」
( ・∀・)「違うよ。戦わずに済ます方法さ」
(*゚∀゚)「なんだ?魔物と話し合いでもすんのか?あひゃひゃひゃひゃ!おもしろいな!それ!」
( ・∀・)「でしょ?」
(*゚∀゚)「……あれ?もしかして本当に?」
( ・∀・)「まあね」
(*゚∀゚)「お前……変なこと考えんだなー」
( ・∀・)「まあね」
(*゚∀゚)テクテク
( ・∀・)テクテク
(*゚∀゚)「しっかし敵出ねーなー」
( ・∀・)「なんでだろうねー」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:53:24.37 ID:GxdZUwl3O
- ―ディグダの あな―
( ・∀・)「結局なにも出ずに問題の洞窟に来たよ」
(*゚∀゚)「尺的に大丈夫なのか?短すぎるとあれじゃないのか?」
( ・∀・)「さあ……」
( ・∀・)「ま、僕らとしては楽だからいいけどねー」
(*゚∀゚)「だなー」
( ・∀・)「でも、この中に何がいるんだろう」
(*゚∀゚)「結構でかい穴だからな、割とデカいのが出てくるんじゃねーか?」
( ・∀・)「……そんなの出てきたら勝ち目ないね」
(*゚∀゚)「……お前って本当によく勇者やってこれたよな」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:55:06.42 ID:GxdZUwl3O
- (;・∀・)「うっ……中は真っ暗だ」
(*゚∀゚)「そうか?少しは光が入ってるから見えなくもないぞ」
( ・∀・)「つーちゃん見えるの?」
(*゚∀゚)「まぁな!盗賊は夜が勝負時だし!」
( ・∀・)「じゃあ悪いけど先導してくれないかな?」
(*゚∀゚)「おう!任しとけ!」
(*゚∀゚)テクテク
( ・∀・)テクテク
( ・∀・)(なんだろう、すごい情けない気分なんだけど)
(*゚∀゚)「どうかしたか?」
( ・∀・)「……いや、なんでもないです」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:56:56.77 ID:GxdZUwl3O
- (*゚∀゚)「……なんもいねーな」
( ・∀・)「出かけてる最中とか」
(*゚∀゚)「出かけるって?村は襲われてなかったな」
( ・∀・)「ほら、食べ物探してたりとか」
(*゚∀゚)「……そうかなー?」
( ・∀・)「とにかく、もう少し探してみよう。僕もちょっと目が慣れてきたし」
(*゚∀゚)「わかった」
【しばらくして】」(∵」)≡≡≡≡
( ・∀・)「うーん……」
(*゚∀゚)「やっぱ何もいなくねーか?」
( ・∀・)「いないねぇ」
(*゚∀゚)「情報が間違ってたんじゃねーの?」
( ・∀・)「そうかなぁ……」
(*゚∀゚)「一旦戻ろうぜ」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 21:58:49.44 ID:GxdZUwl3O
- ドンッ!
(;*>∀<)「ひゃんっ!」
(;・∀・)「ちょっ!つーちゃん大丈夫?」
(;*゚∀-)「いってて……。こんなとこに壁なんかあったか?」
( ・∀・)「壁……?」
{ }
( ・∀・)「壁というか……柱?」
(*゚∀゚)「柱ぁ?それにしてはゴツゴツしてないか?」
;;;{ };;;ゴゴゴゴゴゴ
(;・∀・)「こいつ……!動くぞ!?」
(;*゚∀゚)「な、なんだなんだ!?」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:01:04.72 ID:GxdZUwl3O
- <;*゚∀゚)↑「いったいなんなn」
< * ∀ )
(;・∀・)「つーちゃん!?どうしたの!?」
< * ∀ )「上」
( ・∀・)「上?」
<; ∀ )↑「!?」
(* ∀ )「……見た?」
( ・∀・)「……うん」
(* ∀ )「……何が見えた?」
( ・∀・)「……目玉」
ゴゴゴゴゴゴ;;;<●>;;ゴゴゴゴゴゴ
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:02:54.56 ID:GxdZUwl3O
- (* ∀ )「……どうする?」
( ・∀・)「どうするってそりゃあ……」
(;*゚∀゚)(;・∀・)「「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
(#メ;;;<●>;;)「ゴガァァァァァァァァァア!!」
洞窟内に響く巨大な咆哮。
鼓膜が破れるんじゃないか、とか考える暇はなかった。
逃げる―――その一点のみにモララーは集中していた。
巨大な体躯、丸太数十本もの太さがある腕、脚。
全身の筋肉は暗がりでもその存在を主張し、何より一番の特徴といえば、その目だろう。
頭の中心にある巨大な一つ目。
――――通称サイクロプスと呼ばれる巨人である。
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:05:13.89 ID:GxdZUwl3O
- 巨人種に共通して言えるのはその圧倒的な力の強さと知性の低さだ。
壊したいから壊す、殺したいから殺す。
つまり、本能の赴くままに行動する生物なのである。
(;*゚∀゚)「おい!話し合うんじゃなかったのか!?」
(;・∀・)「大人しく話を聞いてくれると思う!?つーか意外と速いなあの巨人!」
(;*゚∀゚)「一歩が無駄にでかいんだよ!」
このサイクロプスはモララー達を“壊す”対象として認めてしまったようだ。
一体どんな大木から作ったんだとつっこみたくなるような巨大な棍棒を片手に、モララー達を追い立てる。
(;・∀・)「ところでこいつどこまで追ってくるのかな!?」
(;*゚∀゚)「わっかんねぇよ!!」
(;・∀・)「もう洞窟出るよ!」
(#メ;;;<●>;;)「ウガァァァァァ!!」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:07:51.31 ID:GxdZUwl3O
- モララー達が洞窟を抜けた。
しかし、サイクロプスは足を止めない。
(;・∀・)「しつこいなこいつ!」
(;*゚∀゚)「さすがの俺も疲れてきたぞ!!」
逃げても逃げてもサイクロプスは追いかけてくる。
ここでモララーの頭に一つの懸念事項が生じた。
このままどこまでも追いかけてくるとしたら、どこへ逃げればよいのか。
このまま森へ入り、真っ直ぐ進めば村に着いてしまう。
村を避けたとしても、いずれは誰かに迷惑がかかるだろう。
それに、体力がどれだけもつかもわからない。
ならば……
(#・∀・)「ここで……止める!!」
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:09:30.47 ID:GxdZUwl3O
- モララーが剣を抜き、突然振り返った。
サイクロプスに思いきり蹴飛ばされた。
十数m吹っ飛んだ。
(;*゚∀゚)「モララー!?何やってんの!?」
;;(#ノ∀メ);;「いや……、このまま逃げてもどうしようもないかなって思って……。だったらここで迎撃しとこうかな……って……」
(;*゚∀゚)「だとしても敵の位置とタイミングくらい考えろよな!!」
(メ;;;<●>;;)「……」
モララーとつーの上に巨大な影が落ちる。
つーが見上げると、もうすぐそこにサイクロプスがいた。
体長は15mくらいだろうか。
洞窟の中では見えなかったが、体には無数の傷がある。
ギョロリ、と単眼が動き、2人をじっと見据えた。
(;*゚∀゚)「……ちっ!やるしかないのか……」
つーはナイフを構え、サイクロプスに向き直る。
そのすぐ後ろではモララーが後頭部をおさえてめそめそと泣いていた。
結構強く打ちつけたみたいだ。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:11:12.06 ID:GxdZUwl3O
- (;*゚∀゚)「さぁて……このデカブツをどうすっかね」
(メ;;;<●>;;)「……」
つー自身、このサイクロプスに勝てるとは思っていなかった。
というか、熟練の戦士や凄腕の魔法使い以外で巨人に勝てる人間がいるのだろうか。
逃げることも考えたが、それは今は得策ではないだろう。
現段階でモララーを置いて逃げたところで、サイクロプスはモララーでなく、
つーを追いかけてくる可能性が高いと考えられるからだ。
(*゚∀゚)(巨人はトロいからな……。よっぽどのことが無きゃ攻撃受けることもないだろ!)
(#メ;;;<●>;;)「グァゥォォォォォ!!」
サイクロプスが棍棒を大きく振り上げて、一気に振り下ろす。
その一撃は地面をえぐり、あたりに飛び散った石つぶての一つがモララーに直撃した。
今度は側頭部をおさえて泣き出した。
確かにあれは痛い。
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:13:20.88 ID:GxdZUwl3O
- 一方のつーは、その隙にサイクロプスの足下へ潜り込んでいた。
(#*゚∀゚)「っしゃくらぇぇぇぇ!!」
その足へナイフで連撃を放つ。
……が、その厚い皮に守られた足に傷をつけることはできない。
つーはもう一度攻撃を試みてみるが、サイクロプスは痛くもかゆくもないようだ。
一方モララーはもう回復したのかようやく立ち上がり、尻についた土を払っていた。
(;*゚∀゚)「だめだ!こいつビクともしねぇ!!」
( ・∀・)「……うーん。どうしたものかねぇ」
(*゚∀゚)「……落ち着いてんなー」
( ・∀・)「焦ったってどうしようもないからねー」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:15:06.50 ID:GxdZUwl3O
- (#メ;;;<●>;;)「ゴガァァァァァァァァァア!!」
のんびり会話している2人に腹が立ったのか、サイクロプスが棍棒を振り下ろす。
つーはそれを左に避け、モララーは攻撃の隙にサイクロプスの後ろに回りこんだ。
(;*゚∀゚)(速いっ……!?やっぱり腐っても勇者か!?)
(#・∀・)「くらえ!!」
体を90度ひねり、力の限り斬りつける。
それはちょうど人間でいうアキレス腱のあたりに直撃し―――
(メ;;;<●>;;)「?」
なぜか剣がすごい勢いで吹っ飛んだ。
(;*゚∀゚)「え?ちょ……えぇぇ!?」
(lii ∀ )「いてぇ……手首超いてぇ……」
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:16:50.81 ID:GxdZUwl3O
- (;*゚∀゚)「何やってんのさ!?剣飛んでっちゃったぞ!!」
( ・∀・)「うむ。この世界には作用反作用の法則というものがあってだね」
(;*゚∀゚)「聞いてないってば!!」
(#メ;;;<●>;;)「ゴガァァァァァァァァァア!!」
( ・∀・)「おっと」
(;*゚∀゚)「あぶねぇっ!!」
巨人の攻撃をひらりとかわし、モララーはそそくさと剣を拾いに行く。
つーはと言うと、巨人の攻撃をギリギリでかわし、そんなモララーの様子を茫然と眺めていた。
(;*゚∀゚)(なんだよあいつ……。強いんだか弱いんだか……)
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:18:39.51 ID:GxdZUwl3O
- (#メ;;;<●>;;)「ウガァァァァァァ!!」
( ・∀・)「はっはー、当たらないよー」
(;*゚∀゚)(すっげぇ身軽だし……)
(#メ;;;<●>;;)「グォォォォァァァ!!」
( ・∀・)「やーいやーい、こっこまでおいでー」
(*゚∀゚)(……待てよ?今なら逃げれるんじゃね?オレ)
(;#)∀ )「やーいや……ほぐぅっ……!?」
(*゚∀゚)(あ、木にぶつかった)
(#メ;;;<●>;;)「フーッ!!フーッ!!」
(;#)∀@)「いたたたた……。あー、クラクラする」
(;*゚∀゚)(おいおいおい……ちょっとマズいんじゃねーか?)
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:20:16.59 ID:GxdZUwl3O
- (#メ;;;<●>;;)「ウガォォォォォォェ!!」
(;*゚∀゚)「モララー!!」
(#)∀・)「んぁ?」
モララーの視線の先には、巨大な棍棒。
それは勢いを増しながら自分の方へと落ちてきている。
防御しようにしても、剣はまだ向こうに落ちたままだ。
そう認識した時にはモララーに逃げ道はなかった。
死んだ、と思った瞬間。
何かがモララーに激突した。
その衝撃に抗うことはできず、モララーの体が宙に浮く。
棍棒が視界の右方向へと移動していく。
視線をそちらに移すとそこには小柄な少女がいた。
( ・∀・)「あっ――――」
―――その上に、棍棒は容赦なく振り下ろされた。
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:22:14.66 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)
今さっき起こったことを理解するのには少し時間がかかった。
棍棒が振り下ろされた先には、巨大なクレーター。
考えるよりも先に、体が動いた。
そのクレーターの中心から少しズレた位置に少女が倒れていた。
(;* ∀ )「……ったくよぉ……、こんなの……オレの性にあわねぇのに……」
( ・∀・)
モララーは無言でつーの体をそっと抱き上げた。
再び振り下ろされた棍棒は、そちらを見ることなく回避する。
(;* ∀ )「あひゃひゃ……地面が柔らかかったのが……救いかなー」
( ・∀・)「喋らないで」
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:24:10.17 ID:GxdZUwl3O
- (;* ∀ )「おい……どうすんだよ……、オレを抱えたままじゃ……逃げれねぇだろ……?」
( ・∀・)「逃げる……?逃げるわけないだろ?」
少し離れた位置にある木の陰に、つーの体を横たわらせ、モララーはサイクロプスに向き直る。
その目には覚悟の色が伺えた。
( ・∀・)「……僕は、勇者なんだから」
(#メ;;;<●>;;)「ウゴガァァァァァア!!」
サイクロプスが再び棍棒を振り上げた。
モララーはその瞬間に、股下をくぐり抜け、剣のある場所へと一目散に駆けていく。
サイクロプスはゆっくりと振り返り、モララー目掛けて棍棒を振り下ろした。
しかしモララーには当たらない。
ようやく剣を拾ったモララーは、すぐに体を切り返し、サイクロプスの前に立つ。
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:25:36.13 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)(隙が大きいから攻撃のチャンスは多いけど……こいつの皮膚に剣は通らない)
( ・∀・)(考えろ、頭を使え。ギコに言われただろ……)
( ・∀・)(とにかく、僕の力でも攻撃が通る場所を……)
(メ;;;<●>;;)
( ・∀・)(―――あった!!)
モララーがサイクロプスの方へ駆ける。
そのまま攻撃するのかと思いきや、サイクロプスの近くで止まり、剣を鞘に収めた。
(;* ∀ )(あいつ……何をする気だ……?)
( ・∀・)
少し離れた位置からつーが見守っている中、モララーはサイクロプスに背を向け……
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:26:51.98 ID:GxdZUwl3O
- (・∀・ ) ,,)__) プリンッ
(* ∀ )
(メ;;;<●>;;)
尻を出した。
( ・∀・) つ,)__)「やーいやーい、デクノボー!」ペチンペチン
ついでに自分の尻を叩き出した。
(* ∀ )
(メ;;;<●>;;)
(#メ;;;<●>;;)「ウンガァァァァァァァァァァァァア!!」
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:29:25.35 ID:GxdZUwl3O
- 怒り狂ったサイクロプスはモララーの頭上に思い切り棍棒を振り下ろす。
モララーが尻をしまいながらそれをかわすと、棍棒は強く地面に打ちつけられた。
今までより明らかに力が籠もった一撃により、巨大な棍棒の半分ほどが地面にめり込んだ。
( ・∀・)「今だ!!」
モララーは棍棒に飛び乗り、そのままサイクロプスの腕を駆けていく。
サイクロプスはもう一方の腕でモララーを払い落とそうとするが、モララーはそれを軽々とかわしていく。
(#・∀・)「今までいろんな魔物に追い回されて身に付けた回避術を舐めるなよ!!」
若干かっこ悪い台詞を吐きながら、モララーはサイクロプスの肩まで一気に駆け上がった。
(メ;;;<●>;;)
( ・∀・)
ギョロリ、と大きな単眼がモララーに向けられる。
モララーはそこまでの勢いそのまま、剣の柄に手をかけその眼目掛けて跳躍した。
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:30:58.08 ID:GxdZUwl3O
- 全身を肉の鎧で固めたサイクロプスの唯一の弱点。
それは大きな単眼だ。
いくら体中に筋肉をつけたとしても、目だけはどうしようもない。
モララーが見つけた、己の攻撃が通る唯一の場所だった。
(#・∀・)「くらえぇぇぇ!!」
剣を逆手に持ち替え、上から振り下ろす形でサイクロプスの眼球を貫いた。
剣は容易に強膜を破り、深々と突き刺さる。
破れた隙間から半透明の液体が吹きこぼれた。
(;メ;;;< >;;)「ガギャァァァァァァァァァ!!」
(;#)∀ )「そげぶっ!!」
弱点を貫かれ、痛みに悶えながらもサイクロプスはモララーを叩き落とす。
十数メートルの高さから地面に叩きつけられ、モララーは変な声を上げた。
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:32:34.63 ID:GxdZUwl3O
- (;メ;;;< >;;)「アギャァァァァァァァァァア!!!?」
サイクロプスはしばらくその場でのたうち回り、やがて動かなくなった。
モララーが腰をさすりながら起き上がる。
そこにヨロヨロと覚束ない足取りでつーもやって来た。
(;*゚∀゚)「やった……のか?」
(;・∀・)「つーちゃん!?動いて大丈夫なの!?」
(;*゚∀゚)「ああ……、まだ体中痛むけど、問題ないぜ」
(;・∀・)「そっ……かぁ、よかったー」
(;*゚∀゚)「でも、まさか本当に倒しちまうなんてな……ケツ出したときには気が狂ったのかと思った」
(*・∀・)「いやん見られてたんだ」
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:34:44.23 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「とにかく、村に戻ろう。早くつーちゃんの怪我の治療しないと」
(;*゚∀゚)「悪いな……」
( ・∀・)「……謝るのは僕の方だよ。僕のせいでつーちゃんをこんな目に遭わせちゃったんだから」
(*゚∀゚)「あひゃ……」
モララーがつーをおぶり、村へと歩きだそうとした時だった。
一定の間隔で繰り返される地響き。
そう、まるで何かの足音のような……。
(;・∀・)「っ!!」
その時、宿屋の主人の言葉がモララーの脳裏をよぎった。
―――しかも一匹や二匹ではなく、大量に
……そう、村を襲ったサイクロプスはあれ一匹だけではなかったのだ。
(;・∀・)(早く逃げないと……!)
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:36:17.68 ID:GxdZUwl3O
- しかし、村へ向かう道への一歩は、踏み出されることはなかった。
( ・∀・)
(メ;;;<●>;;)
モララー達の上に落ちる、大きな影。
いつの間に回り込まれたのか、それとも元々外にいたのが戻ってきたのか。
退路が塞がれていた。
(;・∀・)「そんっ……な……」
地響きが近づいてくる。
どれだけの数がいるかわからないが、複数のサイクロプスを相手にする自信はない。
それにモララー自身、先ほど地面に叩きつけられた時にダメージは受けているのだ。
また同じような動きができる確証は、ない。
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:38:15.62 ID:GxdZUwl3O
- (;・∀・)(くっ……考えろ、考えろ、考えろ!!)
地響きがもうすぐそこまできている。
もう一刻の猶予もない。
だが状況を打破する策も見当たらなかった。
万事休す――――
「人間も魔物も二種類に分けられるわ。話せば理解してくれるのと、何を言っても無駄なの。あなたはどっちかな?」
真水のような、透き通った声がその場に響き渡る。
モララーがふと視線を移せば、顔面を巨大な氷筍で貫かれたサイクロプスの姿が見えた。
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:40:31.22 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「……え?」
ズズン、とサイクロプスの巨体が崩れ落ち、辺りに土埃が舞った。
その影から姿を現したのは―――
o川*゚ー゚)o「ま、聞くまでもないよね」
―――長髪を風に靡かせる、1人の美しい少女だった。
( ・∀・)「え?あ……」
o川*゚ー゚)o「ちょっと下がってて」
( ・∀・)「あ、はい」
モララーは言われるがまま、その少女の背に隠れた。
彼女の纏う衣服は布が少なく、露出が多いものだった。
そんな中でも腰布から伸びるスラッとした長い脚がモララーには随分と魅力的に思われた。
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:42:10.69 ID:GxdZUwl3O
- (メ;;;<●>;;)(メ;;;<●>;;)(メ;;;<●>;;)(メ;;;<●>;;)(メ;;;<●>;;)(メ;;;<●>;;)
o川*゚ー゚)o「団体さんのご到着ね」
先ほどの地響きの原因であるサイクロプスの集団が現れても少女は涼しい顔だ。
サイクロプス達を一瞥すると、両手を広げ、何かをぼそぼそと呟き始めた。
それに伴い、周囲の温度がどんどんと下がっていく。
;;(;・∀・);;「おぉぉぉぉ!?寒いぞぉぉぉぉ」
;;(;*゚∀゚);;「あひゃ……寒いのは苦手だぜ……」
少女の頭上に無数の氷筍が形成されていく。
それの向く先はもちろん、サイクロプス達だ。
o川*゚ー゚)o「さぁて、と。散々おいたしてくれちゃったみたいだね。だから……」
o川*゚ー゚)o「みんな死んじゃえ♪」
- 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:44:45.19 ID:GxdZUwl3O
- 地獄絵図、とはこのことを言うのだろうか。
氷筍はサイクロプス達の体のあちこちを貫いていった。
それは頭と言わず腹と言わず、どこかしもも、だ。
動きの鈍重な巨人がそれを避けることなどできるわけなく、順調に体中を貫かれていく。
それから数秒と立たず、そこ一帯は血の臭いが充満し、道にはいくつものサイクロプスの死骸が積み重なっていた。
(;・∀・)「……」
(;*゚∀゚)「……」
モララーとつーは口をあんぐりとさせたまま固まっている。
突然現れた少女が人間の技とは思えないほどの魔法でサイクロプスの集団を全滅させたのだから。
o川*゚ー゚)o「大丈夫?」
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:46:42.81 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「え?あ、うん。ありがとう、おかげで助かったよ」
o川*^ー^)o「そう。よかった」
(;*゚∀゚)(なんだ……?こいつ。この体の一体どこにあんな魔力が……)
( ・∀・)(……ん?この子、誰かに似てるような……)
o川*゚ー゚)o「とにかく、魔物も退治したんだし、村へ戻りましょう。背中の彼女、怪我してるんでしょう?」
( ・∀・)「う、うん。そうだね」
( ・∀・)(誰だっけなー思い出せないなー)
o川*゚ー゚)o「ほら、早く早く!」
( ・∀・)「あ、待ってよ」
-=≡ ∵)【それからしばらくして】
( ´皿`)「いやぁ、さすが勇者様。まさかあの巨人共を見事ヌッ殺してくださるとは」
( ・∀・)(僕ほとんど活躍してないけどね)
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:48:38.82 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「あ、そういえば彼女は?」
( ´皿`)「彼女……と申しますと?」
(*゚∀゚)「オレのことか?」
( ・∀・)「つーちゃん。もう動いて大丈夫なの?」
(*゚∀゚)「あひゃひゃひゃひゃ!いつまでも寝てるのなんて性にあわないからな!」
( ・∀・)「そっか……。よかった」
(*゚∀゚)「あひゃっ。心配かけたな」
( ´皿`)「おやおや。その子でしたか。わたしゃてっきりあちらの方かと」
( ・∀・)「あちらって……あっ」
o川*゚ー゚)o「やっほー」
- 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:50:13.61 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「君か。あの時はありがとうね」
o川*゚ー゚)o「いいのいいの。気にしないで」
o川* ー )o「あんな低脳共……死んで当然だわ。魔族の名折れよ」
( ・∀・)「え?なに?」
o川*゚ー゚)o「ううん。なんでもないよ」
(*゚∀゚)「でもお前さー。そんな格好してたら風邪ひくぞー?」
o川;*゚ー゚)o「う……、いいじゃない!私の趣味なんだから!」
( ´血`)「いやはやまったくけしからん。特に太もも」
( ・∀・)「鼻血出てんぞおっさん」
o川*゚ー゚)o「ところで、あなた達はこれからどうするの?」
( ・∀・)「これから?」
(*゚∀゚)「あひゃ……」
- 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:52:01.44 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「僕は今まで通り魔王城への旅を続けるよ」
o川*゚ー゚)o「あまり強くないみたいだけど?」
( ・∀・)「はっはっはっ。魔王相手に剣を使うようになったら負けだろうねー」
( ´皿`)「……さらっとわたしらの希望を打ち砕かんでください」
( ・∀・)「大丈夫大丈夫。弁論には定評のあるモララーさんだから。話が通じればなんとか説得してみせるさ」
(*゚∀゚)「弁論に定評があるなんて初めて聞いたぞ」
( ・∀・)「王国では『詭弁のモララー』と呼ばれてたし」
( ´皿`)「……勇者が詭弁使わないでください」
( ・∀・)「つーちゃんはどうすんの?」
(*゚∀゚)「オレ?」
(*゚∀゚)「そうだな……」
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:54:08.09 ID:GxdZUwl3O
(*゚∀゚)「おし!オレはモララーについてくぞ!いろいろとあって退屈しなさそうだしな!!」
( ・∀・)「僕に?」
(*゚∀゚)「おう!旅で道連れああ無情って言うだろ!」
( ・∀・)「うん、言わないね」
(*゚∀゚)「まぁいいじゃねーか。ここで会ったのもなんかの縁なんだしよ」
( ・∀・)「一緒に来てくれるのは嬉しいよ。でも、また危険な目に遭わせちゃうかも……」
(*゚∀゚)「んなこと気にすんなって!ハゲるぞ!」
( ・∀・)「この歳でハゲてたまるか」
( ・∀・)「……けど、つーちゃんが一緒に来てくれるのは凄く嬉しいよ」
(*゚∀゚)「あひゃっ……?」
(*//∀/)「ば、バカやろう!照れるじゃねぇか!!」
( ・∀・)(1人旅の辛さといったらねー……って言おうと思ったけどやめとこ)
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:56:10.85 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「……君はどうするの?」
o川*゚ー゚)o「私?そうね……」
o川*゚ー゚)o「ねぇ、あなたは魔王城に行って何をするの?さっき弁論が〜……とか言ってたけど」
( ・∀・)「ちょっと交渉をね。……友達に頼まれたんだ」
o川*゚ー゚)o「魔王さm……魔王と交渉しろって頼むなんて、変な人間ね」
( ・∀・)「『魔王だってきっとみんなが誤解してるだけで、ちゃんと話し合えば殺し合う必要なんてなくなるはずだお』ってね」
o川*゚ー゚)o「!」
(*゚∀゚)「確かに変なやつだなー」
( ・∀・)「ねー」
o川*゚ー゚)o「……あいつか」
- 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 22:57:58.45 ID:GxdZUwl3O
- o川*゚ー゚)o「……ふふっ。でも、その変な人間の言葉をそのまんま実行するあたり、あなたも変な人間よね」
( ・∀・)「そうかなー?」
(*゚∀゚)「十分変だと思うぞ」
( ・∀・)「えー……」
o川*゚ー゚)o「……じゃあ、私もその変な人間の仲間になっちゃおうかなぁ」
( ・∀・)「えっ……?それって……」
o川*゚ー゚)o「私もあなたの旅についてってもいい?それなりの戦力にはなれると思うんだけど」
(*・∀・)「うん!ありがとう!大歓迎だよ!」
(*゚∀゚)(あれ、オレの時となんか温度差が……)
- 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 23:00:00.92 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「じゃあ、自己紹介だね。僕はモララー。勇者だよ。…………一応」
( ・∀・)「で、こっちが……」
(*゚∀゚)「つーだ!盗賊やってる!」
( ´皿`)「えっ?盗賊……?」
( ・∀・)「気にしないで。ていうかまだいたのかあんた」
o川*゚ー゚)o「私はキュート。ラm……魔法使いよ。氷の魔法が得意なの。よろしくね」
( ・∀・)「よろしくね、キューちゃん」
o川;*゚ー゚)o「へっ!?キューちゃ……!?」
( ・∀・)「あ、嫌だった?」
o川*゚ー゚)o「……いや、嫌じゃないよ」
( ・∀・)「そっか。ならよかった」
- 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 23:01:57.55 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「じゃあ早速だけど次の町へ向かおうか」
(*゚∀゚)「えー?もう行くのか?」
( ・∀・)「まぁね。あまりここに長居するわけにもいかないし」
( ´皿`)「そんな、遠慮なさらずに。ゆっくりしていってくださいよ」
( ・∀・)「1日でも早く世界平和が訪れるようにするためには、1分1秒でも早い行動が必要なんです」
( ´皿`)「そう……ですか」
( ・∀・)(……パーティーの中にこの町で盗みを働いた奴がいるからここには居づらいとは言えない……)
( ´皿`)「では、せめてお礼の品を……」
( ・∀・)「いや、いいです。もうもらいました」
( ´皿`)「……?」
- 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 23:03:42.76 ID:GxdZUwl3O
- ( ・∀・)「よし!じゃあ行こうか!虹色の明日へ!!」
(*゚∀゚)「いや、そのノリはちょっとな……」
o川*゚ー゚)o「……うん」
( ・∀・)「ホワイトホールな白い明日の方がよかったかな」
(*゚∀゚)「いや、そういう意味じゃなくてだな」
o川*゚ー゚)o(……大丈夫かな。こいつらについていって……今さら心配になってきた)
( ∵)/~【おしまい】
- 157 名前:おまけ 投稿日:2011/10/31(月) 23:04:44.90 ID:GxdZUwl3O
- ―今日の内藤家―
(;^ω^)「ふぅ。とりあえずはこんなとこかお」
ξ゚听)ξ「ただいまー」
ノパ听)「がうー」
( ^ω^)「おっ。おかえりお。ちゃんとできたかお?」
ξ*゚听)ξ「できたー」
( ^ω^)「うんちは?」
フルフル
((ノパ听)))「うきゅー」
( ^ω^)「しなかったかお。……まぁ、お疲れ様だお」
( ^ω^)「フサのお散歩」
- 159 名前:おまけ 投稿日:2011/10/31(月) 23:05:37.28 ID:GxdZUwl3O
- ミ,,゚Д゚彡
( ^ω^)「じゃあ2人とも、手を洗ってくるお。そうしたら朝ご飯だお」
ξ*゚听)ξ「ごはんー!」
ノハ*゚听)「ぎゃぉー!」
ミ,,゚Д゚彡「ブーン、ブーン」
( ^ω^)「なんだお?」
ミ,,゚Д゚彡「フサギコ犬じゃないから。狼男だから。1日2回散歩しなくても大丈夫だから」
( ^ω^)「散歩はどうだったかお?」
ミ*゚Д゚彡「楽しかったから!やっぱり自分の縄張りを歩き回らないと気が気じゃないから!」
( ^ω^)「おっおっ。そうかお」
( ^ω^)(……今度犬小屋も作るかお)
( ∵)/~【今日の内藤家:おわり】
- 162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/31(月) 23:06:27.45 ID:GxdZUwl3O
- 【故:('A`)先生のモンスター図鑑】
新しく出会ったモンスター
(メ;;;<●>;;) サイクロプス:巨人種
キュクロープスとも呼ばれる。代表的な巨人種の一つ。
額に大きな単眼を持つのが特徴の魔物。
知性が低いと言われる巨人種の中でも最も知性が低い種でもある。
しかし知性が低い分、力や凶暴性が非常に高い。
弱点はその特徴的な単眼。
巨大な眼球は脳とも直結しているようで、ここを潰せば大概絶命する。
だがそこを攻撃すること自体がなかなか困難であるので、なるべく出会いたくない魔物だ。
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