- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:10:03.23 ID:LX1I1IAGP
誠に残念なお知らせなのですが、貴方は人間しか食べてはいけません。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 01:12:27.17 ID:LX1I1IAGP
「おまえは一体全体どうしてそういうことをするんだ。
非道いじゃないか。人間のすることじゃあないぞ。」
「何でって、こうしなければ生きられないのだから、仕方がないだろう」
「こうって、ひとを食べることか。」
「そうだ。」
「お前は、人を喰わねば生きていけないのか」
「そうだ。」
「そうか。」
「ならば、己れを喰えばいい。」
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:13:40.24 ID:LX1I1IAGP
誠に残念なお知らせなのですが、貴方は中々死ねません。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:23:54.05 ID:LX1I1IAGP
( ´_ゝ`)「なんだなんだこのシケた村は。この己れが来たのに女子が出迎えに来ないとは、巫山戯てやがる」
(´<_` )「今まで出迎えられたことがあったか?」
( ´_ゝ`)「究極的に考えてみると、無かったな。」
(´<_` )「それならば、あんたが究極的に巫山戯ていると考えるのが妥当だろうな、恐らく」
( ´_ゝ`)「恐らくたあなんだ。己れは恐らくとかきっととか多分とか、そういった言葉がでぇ嫌いなんだ。」
(´<_` )「びっぷ人ならではの美しい心遣いをそう云う風に言ってしまうのは、感心しないな」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:25:16.19 ID:LX1I1IAGP
- ( ´_ゝ`)「お前が人間について語るのか、こいつはおかしいな」
(´<_` )「何がおかしい。あんたは知らないかもしれないが、俺はある一点を覗いては人間と同じだぞ」
( ´_ゝ`)「その一点が致命的だぞ」
(´<_` )「大体、それを言うならあんただってある一点が人間として、いや生き物として致命的だ」
( ´_ゝ`)「ああ五月蝿い五月蝿い、それで結局お前の言いたいことは何なんだ」
(´<_` )「つまり、あんたが究極的に巫山戯ているということが、間違いがないということだよ」
( ´_ゝ`)「ぶっころ」
(´<_` )「ははは」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:33:05.27 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「おや、看板があるぞ。この村はソーシキ村というらしい」
( ´_ゝ`)「ソーシキというと、葬式のことか」
(´<_` )「どうしてなかなか、美味そうな名前だな」
( ´_ゝ`)「死体なんぞ、お前、喰うのか」
(´<_` )「兄者」
(;´_ゝ`)「名を呼ぶんじゃない!ちゃんと人が居ないのを確かめてから言ってるだろうが、いちいち五月蝿い奴だなあ」
(´<_` )「人が居ないなら、名を呼ばれても構わんだろうが」
(;´_ゝ`)「ああもう、お前は屁理屈ばかりこねやがって!」
(´<_` )「その言葉、あんたに百回くらい書き取らせてやりたいよ」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:41:36.56 ID:LX1I1IAGP
( ´_ゝ`)「ふうん、成る程々々、皆喪服を着ているな。中々そそるものがあってよろしいな」
(´<_` )「さっきの質問の、答えだが」
(´<_` )「喰えるか、喰えないかで答えるなら、喰えるぞ」
( ´_ゝ`)「お前は本当に、下種い奴だなあ」
(´<_` )「下種に幾度となく助けられるあんたは、つまり、下種以下の存在ということか。」
(;´_ゝ`)「お前、己れがいないと、ロクにおまんまにもありつけない癖に、よく言うな」
(´<_` )「あんたはもしかして気付いていないのかもしれないが」
(´<_` )「俺が居ないとあんたは死ぬが、あんたが居なくなっても、俺は生きていけるんだぞ」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:49:22.99 ID:LX1I1IAGP
( ´_ゝ`)「……べ、別の警護人を頼めばどうということはない」
(´<_` )「俺より強いやつなんて、居るのか?」
( ´_ゝ`)「居るだろうさ、…・・・たぶん」
(´<_` )「おや、己れは恐らくとかきっととか多分とか、そういった言葉がでぇ嫌いなんだ、とは誰れの言葉だったかな」
(;´_ゝ`)「一秒前から、過去だ!己れは、過去を振り返らない人間なのだ!」
(´<_` )「まあいい。俺より強い奴が居たとして、そいつに給料、払えるのか」
Σ(;´_ゝ`)
(´<_` )
(;´_ゝ`)
(´<_` )
(;´_ゝ`)「あ、宿屋だー」
(´<_` )「話しを逸らすな」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 01:56:59.99 ID:LX1I1IAGP
(゚、゚トソン「いらっしゃいませ、……」
( ´_ゝ`)「二人分の、部屋はあるか」
(゚、゚トソン「ご用意しましょう」
(゚、゚トソン「・・・」
(゚、゚トソン「床のご用意は、二人分の方がいいですか?」
( ´_ゝ`)「? そりゃそうだろう」
(´<_` ) 「鈍感だといいこともあるんだな」
( ´_ゝ`)「お前はまた何を言っている。」
(゚、゚トソン「お名前のほう、いかがいたしましょう」
( ´_ゝ`)「んん?ああ」
( ´_ゝ`)「よく聞けよ」
( ´_ゝ`)「パブロ、ディエーゴ、ホセー、フランシスコ・デ・パウラ、ホアン・ネポムセーノ、
マリーア・デ・ロス・レメディオス、クリスピーン、クリスピアーノ、デ・ラ・サンティシマ・トリニダード、だ」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:06:05.00 ID:LX1I1IAGP
(´<_` ) 「なんでまた、そう人を困らせるんだ」
( ´_ゝ`)「可愛いもんだろう、あれくらい」
(´<_` ) 「なんだ。気付いていたのか」
( ´_ゝ`)「何に?」
(´<_` ) 「あの女主人に、同性愛者扱いされたことに」
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`)「ちょっとこの、三日間掃き続けた下着を、あの女主人の帽子として進呈してくる」
(´<_` ) 「流石の俺も止めるぞ、それは」
(#´_ゝ`)「くそう、誰が好んで自分と同じ顔をした下種とむんずほぐれつねんごろにゃんにゃんしなけりゃならんのだ」
(#´_ゝ`)「お前もなあ、気付いていたらもっとすべきことがあるだろう」
(´<_` )「喰っていいのか」
(;´_ゝ`)「駄目だ駄目だ!これだから下種は困る」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:14:22.33 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「そうは言うが、それはあんたが俺に満足に食べさせてくれないからだろう?」
( ´_ゝ`)「お前が、多くを求めすぎているという可能性を考えろ」
(´<_` )「兄者が満足させてくれないのなら、村に出てニ、三人、生娘を喰ってしまうのも、いた仕方ないことだ」
(;´_ゝ`)「この、外道が!」
(´<_` )「女はいいぞ。なんせやわいから。一度喰えば、男なんぞ喰う気にもならん。
不思議と処女の方が美味く感じたもんだ。」
(;´_ゝ`)「くっそ、お前のせいで何人の悲しい童貞が生まれたと思ってる!」
(´<_` )「ああ、懐かしい、また喰いたいなあ」
(;´_ゝ`)「あああ、わかったよ!今晩は好きなだけ己れを喰いやがれ!」
ミセ;゚Д゚)リ |ドア| (;´_ゝ`) (´<_` )
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:19:51.94 ID:LX1I1IAGP
- ミセ;゚Д゚)リ 「かあさん!かあさん!あの二人、ホモだよ!」
(゚、゚;トソン「シッ、あんまり大きな声で言うもんじゃないよ!」
ミセ;゚Д゚)リ 「だって!初めてみた!ホモ!」
(゚、゚トソン「きっと、故郷で虐げられて、行くあてもなく放浪しているんだよ、そっとしておいておあげ」
(゚、゚トソン「お布団を一組、もっていってあげなさいな」
ミセ;゚Д゚)リ 「わ、私が?」
(゚、゚トソン「小遣いが欲しいなら手伝いなさい」
ミセ;゚ー゚)リ 「うう…」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:25:29.08 ID:LX1I1IAGP
(´<_` ) むしゃむしゃ
(;-_ゝ∩)「どうだ、これで文句ないだろう!」
(´<_` )「何度も云うが、」
(´<_` )「腕は、あんまり美味くない」
(;-_ゝ∩)「腹はグロいからお断りさせろ!」
(´<_` )「内臓…」
(;-_ゝ∩)「引きちぎられる感覚が怖いからお断りさせろ!」
(´<_` )「胃くらい、いいだろう。小さいし。」
(;-_ゝ∩)「いやだあああ」
(´<_` )「よいしょ」
ぐちゃり。
ぶちっ
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:29:00.56 ID:LX1I1IAGP
(;-_ゝ∩)「グロい音がしたぞ今!」
(;´_ゝ∩) チラッ
(´<_` ) むしゃむしゃ
(;-_ゝ∩)「うわああああ」
(´<_` )「美味しいぞ」
(;-_ゝ∩)「嬉しくないぞ!」
(´<_` )「ああ、そうだ、そんなに怖いなら、」
(´<_` )「目を喰ってやろう」
(;´_ゝ∩)「んなっ?!」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:33:53.95 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )「目玉は、コリコリしていて美味しい。」
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )「ほうら、怖くなくなったろう」
(; _ゝ∩)「前々から思っていたが、お前は完全に悪役だな」
(´<_` )「俺は、そんなに悪くないよ」
(; _ゝ∩)「お前、人を殺すのは、悪いことだぞ。とてもな。その上喰うってんだから、これ以上の悪行はないだろう」
(´<_` )「でも俺は、人間しか喰わないだろう。
他の人間のほうがいろんなものを喰ってるから、そいつらの方が悪いだろう」
(´<_` )「腕、もう一本食べていい?」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:41:14.93 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )むしゃむしゃ
(; _ゝ )「うう……血なまぐさい」
(´<_` )「兄者、しっかり食べないと。肉が少し減っているぞ」
(; _ゝ )「ああ畜生、目もないのに、お前のむかつく顔がありありと浮かんで腹が立つ」
(´<_` )「あんたの顔じゃないか、もっと好いてやれよ。だいたい、俺はただあんたの身体を心配してるだけだというに」
(; _ゝ )「お前のその忠告は、己れの為じゃあなくって、お前が食べるときの心配だろう」
(; _ゝ )「そんな心配をするんなら、お前が美味いものをとってくればいい。
農民が手間暇かけて、農作物に美味しい水と肥料とを遣るようにな。」
(´<_` )「害虫退治なら、やっているじゃないか」
(; _ゝ )「あぐ、だから、内臓は、気持ち悪いから…」
(´<_` )「でも、これが美味いんだよなあ。」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:50:59.35 ID:LX1I1IAGP
(´<_` ) むしゃむしゃ
(´<_` ) 「さっきの話しの続きだがね、他の奴等のほうが悪いといったろう」
(; _ゝ )「己れは今この場、この惨劇といって相応しい場において、加害者たるお前が
未だ人間のつもりでいるところに究極的な意義を唱えたいね」
(´<_` ) 「その被害者たるあんたがそんな風に能弁に意義を唱えておいて、
よくもまあ人間面していられるなあと俺なんかは思うわけだが」
(´<_` ) 「脳みそは…」
(; _ゝ )「駄目!喋れなくなるから!」
(´<_` ) 「美味しいのに」
(´<_` ) 「……そんな悪い奴等を食料とするように産み落とされた俺は、もしかしたら、
人間以外の生き物にとっての、神なんじゃないかと思うわけだ」
(; _ゝ )「ケッ、じゃあ、さしずめ己れはパンと葡萄酒か」
(´<_` ) 「脳みそ食べられないなら太ももの肉いただきまーす」
ミセ; Д )リ |ドア| (; _ゝ ) (´<_` )
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 02:58:07.65 ID:LX1I1IAGP
ミセ; Д )リ
ミセ; Д )リ
ミセ; Д )リ「………ァッ、」
ミセ*;Д;)リ「う、うえええ、げほっ、あ……」
ミセ*;Д;)リ「、ああ、あっ、」
ミセ*;Д;)リ「おかあさあああああああああ!!!」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:00:44.53 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )「食事の最中に、騒々しいなあ」
(; _ゝ )「っていうかバレてるじゃねえか!さっさと逃げるぞ!」
(´<_` )「もうちょっと食べてから……」
(; _ゝ )「ド阿呆!さっさと担げ!」
(´<_` )「そう簡単に言うがな」
(´<_` )「兄者は美味そうなみたらし団子を担いで走れるか?」
(; _ゝ )「そんなもん担ぐか!べたべただろうが!」
(´<_` )「兄者だってベタベタだぞ。血で」
(; _ゝ )「お前もうすでに血まみれだろ!さっさとしろ!」
(´<_` )「はいはいむしゃむしゃ」
(; _ゝ )「喰ってんじゃねー!」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:08:40.13 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「宿屋の前に凄い人だかりが出来ていたぞ」
(; _ゝ )「そんな他人事のように……今己れたちは何処に居るんだ」
(´<_` )「宿屋の屋根の上に。夜風が気持ちいいだろう」
(; _ゝ )「ああもう、さっきまで血の匂いで鼻が曲がりそうだったからな」
(´<_` )「俺はあの匂い、好きだぞ」
(; _ゝ )「酒の匂いだって、みたらし団子の匂いだって、あんなに充満してたらいやだっての」
_
( ゚∀゚)「相も変わらず、キチガイだなお前ら」
(; _ゝ )「弟者逃げろ!」
(´<_` )むしゃむしゃ
(; _ゝ )「この莫迦野朗があ!」
_
( ゚∀゚)「あんたも苦労してんねえ」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:19:10.47 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「長岡さん、食事中はそういうの困ります。常識をわきまえてください」
_
( ゚∀゚)「ハッ、なんだそりゃ、冗談のつもりかよ」
_
( ゚∀゚)「お前等二人とも、非常識の塊の癖して」
(; _ゝ )「こいつの悪口はいいけど己れの悪口は許さんぞ!」
(´<_` )むしゃむしゃ
_
( ゚∀゚)「……吐き気がすらあ。おい鬼畜生、此処で会ったが百年目」
(´<_` )「流石にそれは、古すぎやしないか」
_
( ゚∀゚)「うるせえ、うるせえ!そいつを寄越しやがれ!もう、時間がないんだよ!」
(´<_` )「俺だって、食事の時間が足りなくて困ってるんだが」
_
( ゚∀゚)「一緒にすんな、鬼畜生!俺は、あいつを、はいんを助けるために…」
(´<_` )「だから、俺だって生きるために喰ってんだから、邪魔するなって。」
_
( ゚∀゚)「人を喰わなきゃ生きられねーんなら、 野垂れ死にやがれ!」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:27:23.86 ID:LX1I1IAGP
(; _ゝ )「ああもう弟者、こいつから逃げ切ったら腸でも脳みそでも喰っていいから、早く」
(´<_` )「……お前は、実際に人しか喰っちゃいけない存在になったことがないからそんなことが云えるのだ」
_
( ゚∀゚)「ああそうだ、俺はそんな鬼畜生じゃあねえからな!ちっと考えればわかるだろうが、
そんな存在に生まれた時点で、お前は死ぬべきだったんだよ!」
(´<_` )「はっ、言ってくれるわ。ならば、兄者を殺して煎じなきゃ生きられないような病気の身体に生まれた
お前の嫁子とて、死ぬべきじゃあないのかむしゃむしゃ!」
(; _ゝ )「口に食べ物を入れたまま格好いい台詞を吐くな!」
_
( ゚∀゚)「五月蝿い、五月蝿い………はいんは、はいんは…」
(´<_` )「なあ兄者、こんなやつ、殺してもかまわんだろう。」
(; _ゝ )「駄目だ駄目だ!己れの夢に出てきてしまう!」
(´<_` )「うなされてたら、ちゃんと喰ってやるから」
(; _ゝ )「お前、喰いたいだけだろう!」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:35:01.59 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「はァ、なんだかんだ云って、兄者、こいつに同情しているんだろう。」
(; _ゝ )「命を狙われて、同情するわけないだろう!そんなお人よしに生まれついた覚えはねえ!……」
(´<_` )「ふぅん。」
(´<_` )「えいっ」
(; _ゝ )「うおお?!」
_
(;゚∀゚)「貴様……何を考えている?」
(´<_` )「おいしいごはんがたべたいな」
(; _ゝ )「手足四本に内臓あらかたと、もう十分喰ったろうが!」
(´<_` )「でもほら、若い娘の乳房とかは、格別だから。」
(´<_` )「ちょっと、喰ってくる。ああ、ソレはあげるから、俺の邪魔をしてくれるなよ。」
(; _ゝ )「おっとじゃあああああああ?!」
(´<_` )「おや。久しぶりだな、名前を呼ばれるのは。」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:41:32.13 ID:LX1I1IAGP
- _
(;゚∀゚)「流石、鬼畜生だぜ……」
_
(;゚∀゚)「あんたも、運が悪いなあ、こんなに喰われて、挙句にこんな仕打ちだもんなあ」
(; _ゝ )「……はいんとやらは、悪いのか」
_
( ゚∀゚)「……ああ、悪い。寝ている時間の方が多い。生きているほうが不思議だと医者も匙を投げやがる。
はいんははいんで、あの畜生が言っていたように、そうなる運命だから仕方ないと笑いやがるし。」
( _ゝ )「そうか…」
_
( ゚∀゚)「しっかし、寝小便垂れてたようなガキの頃に聞いた話が、まさか本当で、
そんで俺がこの恩恵に預かれるたあ、思ってもみなかった」
( _ゝ )「まったく、びっぷ中に伝わってるんじゃないかというくらい、有名になってしまったな」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:48:58.09 ID:LX1I1IAGP
_
( ゚∀゚)「しかし、本当なんだろうな。例のアレは、何処にある」
( _ゝ )「何故に自分の弱点を曝け出すようなことをすると思うんだ」
_
( ゚∀゚)「頼むよ、なあ、あんたの身体ン中、ぐっちゃぐちゃに捏ね繰り回したくなんかねえんだ」
( _ゝ )「……はあ。己れを一回、殺さないと出てこねえよ。そうじゃなきゃ、アイツが喰ってるだろうよ」
_
( ゚∀゚)「云われてみれば、そうだな」
_
( ゚∀゚)「……しかし、悪いな。信じてもらえやしないだろうが、本当に悪いと思ってるんだぜ。」
( _ゝ )「お前が何を思っていようと、結果としては殺されるンだから、どうでもいい。」
_
( ゚∀゚)「そうか。……そうだな。すまん。」
_
( ゚∀゚)「……すまん。」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 03:54:06.07 ID:LX1I1IAGP
ぐちゃり
ぬぷっ
_
( ゚∀゚)「嗚呼、これが…」
_
( ゚∀゚)「婆さまから聞いた通りだ。美しい……」
_
( ゚∀゚)「海を此処に閉じ込めたかのような……美しい、その石を、煮出して、それを一滴飲めば。」
_
( ゚∀゚)「どんな病もたちどころに治り、その石を飲み込めば…」
_
( ゚∀゚)「その者に、永遠の命を与える……」
_
( ゚∀゚)「半信半疑ではあったが、この美しさをみると、どうも本当なのだろう……」
_
( ゚∀゚)「この美しさ、奇跡をも信じられる…」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:02:41.03 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「半信半疑で人を殺すたあ、これは鬼畜生だなあ」
_
(;゚∀゚)「うわっ?!」
(´<_` )「俺なんかは、ただひとつ、こいつは美味しいだろうという確信を持ってでしか、殺さないからな」
_
(;゚∀゚)「んなことで威張ってんじゃあねえ!今更、何しに来やがった!てめえの主人はこの通り、
もう死んじまったよ!」
(´<_` )「お前さんが殺したんだろう。この後に及んで、無責任な奴だなあ。」
(´<_` )「何しに来た、とな。聞きたいことがあって来たのだ。」
(´<_` )「お前さんは、俺を鬼畜生だと云う」
_
(;゚∀゚)「ああそうだ、てめえなんぞ」
(´<_` )「人間じゃない、か?」
_
(;゚∀゚)「よぉくわかってんじゃねえか!」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:10:21.26 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「其処だよ、俺が聞きたいのは。」
(´<_` )「俺は、人間の女と人間の男とが交わって、人間の女の股からおんぎゃあと産まれてきた。」
(´<_` )「そのうえおまけに、人間の形もしているぞ。交わればきっと子もこさえることが出来るだろう。」
(´<_` )「何故その俺が人間じゃないなどといえるんだ。」
_
(;゚∀゚)「人間を、喰うからだ!」
(´<_` )「人間を喰わなきゃ、人間か。」
(´<_` )「じゃあその辺のウサギも、豚も、牛も、馬も、人間か?」
_
(;゚∀゚)「屁理屈を……」
(´<_` )「屁理屈は、お前等のほうだ。人間から産まれて、人間の形をしている奴を捕まえて、
でもお前は人間喰うから鬼だよプップー、なんて餓鬼の戯言としか思えない」
(´<_` )「大体、ちょっと偉い人間になれば、人間の肉は喰わん代わりに、
貧しい人間の尊厳やら財産やらを食いつぶして生きているのが大半だ。
結果貧しい人間は死ぬわけだから、人間を喰ってるようなもんじゃあないか。」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:17:48.93 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「お前とて、おかしな話しだ。人をくわにゃ生きていけないなら死んでしまえと云ったその口で、
嫁子を生かすために死んでくれと云うのだからな」
_
(;゚∀゚)「五月蝿い、うるさい!」
_
(;゚∀゚)「俺は、愛しているんだ、はいんを!だから、」
(´<_` )「愛に免じて許せと云うか?」
_
(;゚∀゚)「そうだ!お前にはわからんだろうが…」
(´<_` )「いんや、わかるさ。」
(´<_` )「俺も、俺を愛しているから。だから」
(´<_` )「生きるためにお前を殺して、喰っちまっても、許してくれるよなあ?」
_
(;゚∀゚)「な、にをっ!」
(´<_` )「許せよ。そうじゃなきゃ公平じゃないだろ、兄者は許したんだから。」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:22:53.53 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「お前の人生最大の不覚はさ、兄者を殺したことなんだよな。」
(´<_` )「兄者が居たら、俺はお前を殺さなかったんだから。」
(´<_` )「兄者を殺したから、お前は殺される。まあ、当然の摂理なわけだが。」
(´<_` )「それじゃあ、
頂きます。」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:26:17.70 ID:LX1I1IAGP
( ´_ゝ`)「むぐう」
( ´_ゝ`) 「……」
( ´_ゝ`)「……みたらし団子?」
(´<_` )「当たりだ。お早う兄者、そろそろ起きるだろうと思って団子を買ってきた。」
( ´_ゝ`)「おうおう、気が利くな………何で起きるってわかったんだ」
(´<_` )「美味しそうな匂いがしたので…」
(;´_ゝ`)「団子のことだよな?!そうだと言ってくれ!」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:29:10.30 ID:LX1I1IAGP
( ´_ゝ`)むしゃむしゃ
(´<_` )
( ´_ゝ`)むしゃむしゃ
(´<_` )
( ´_ゝ`)「……喰う?」
(´<_` )「いいのか?」
(;´_ゝ`)「団子だ団子!」
(´<_` )「それはいらないな」
(;´_ゝ`)「くそう、人生損してる奴め…」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:35:15.63 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「俺はとても、お腹が空いている…」
(;´_ゝ`)「何故だ」
(´<_` )「何故ならば、兄者はもう四日ほど寝ていたからだ」
(;´_ゝ`)「なんと」
(´<_` )「如何に不老不死の兄者といえど、石ころからの再生はキツかったらしいな」
(´<_` )「再生途中で食べたらいかんだろうと、日に日に美味しそうになっていく兄者を見ながら、
俺はとてもおなかが減った。生に近づくほど、美味そうな匂いがしたんだ。
だから起きるときはそりゃあもう美味そうだったぞ。」
( ´_ゝ`)「己れぁ、そんな説明を聞くために再生したんじゃあないんだが…」
(;´_ゝ`)「あ、そうだ、お前その四日間一体…」
(´<_` )「約束をちゃんと守って、他の人間を喰わず、兄者の残りだけを食べて過ごしてたぞ。」
( ´_ゝ`)「そうか、それは……それもまあ聞きたくなかったな…」
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:42:23.85 ID:LX1I1IAGP
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)「長岡のやつは、どうなった。殺したのか。」
(´<_` )「まあ、それが道理ってもんだろう。」
( ´_ゝ`)「殺したから殺されるのは道理かもしれんが、結局は己れは死んでないし、
喰べられるのはあまり道理ではないな。」
(´<_` )「待て待て、誰が喰ったといった。兄者はその体質故に異常に美味いが、
普通の、しかもあんな中年の男なんぞ不味くて喰えたもんじゃないぞ。
大体、長岡を喰っていたら、今俺は長岡の姿をしているはずじゃあないか。」
( ´_ゝ`)「長岡喰ったあと己れを喰えば解決じゃないか」
(´<_` )「なんということだ。俺の想像以上に、兄者は賢かった」
( ´_ゝ`)「お前が、己れを莫迦にしすぎなんだよ。」
( ´_ゝ`)「……はあ。」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:47:47.16 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「落ち込むでない、兄者」
( ´_ゝ`)「誰が落ち込むか。己れを殺した男だぞ」
(´<_` )「そうそう、本当の話をすると、あいつ、人殺しと俺が罵ってやったら酷く落ち込みやがって、石だけ置いて帰っちまったんだ」
( ´_ゝ`)「なにっ。」
(´<_` )「だから、そう落ち込みなさんなよ」
( ´_ゝ`)「だから、誰が落ち込むものかと!団子が美味いから、己れは仕合せだ!」
(´<_` )「それはよかった。よく食べて、よく肥えてくれよ。あと日光とかにも当てたほうがいいか?」
(;´_ゝ`)「そこまで農民を見習うんじゃあない!」
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:53:21.69 ID:LX1I1IAGP
(´<_` )「……なあ、兄者よ。やっぱり、俺は人間だと思うんだ。ンでさ、あんたは人間じゃあないんじゃないのか。」
( ´_ゝ`)「はア?」
(´<_` )「だってよ、あんたときたら殺されそうになっても人は殺さねえわ、同情して殺されちまうわ、
おおよそ人間とは思えないことしかしねえんだよ。」
( ´_ゝ`)「だから、誰が同情したと……だいたい、情は人間の特性ってか、人間特有のもんだろうが。」
(´<_` )「違うな。人間だけが持つ、特性は。」
(´<_` )「嘘、だよ。あんたは嘘がつけないから、やっぱり人間じゃあないよ。」
( ´_ゝ`)
(´<_` )
(;´_ゝ`)「なんだよ!やっぱ嘘じゃねえか!」
(´<_` )「ははは」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/25(日) 04:54:41.06 ID:LX1I1IAGP
ちなみに、のちにそうしき村は、地図から消えたそうな。
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