- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 00:22:58.98 ID:+UhBve/bP
ああおにちくしょう、己れは泣く。
ひと喰いたまふことなかれ。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 00:26:36.46 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)兄者。
べつにみたらし団子狂ではない。
彼の残機は百八以上あるぞ。
(´<_` )弟者。
ある意味いちばん人間を愛している人喰い。
一番好きな部位は、心の臓。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2009/10/27(火) 00:39:06.13 ID:+UhBve/bP
- ( ´_ゝ`)「むぐう……むぐう。む?」
( ´_ゝ`)「……」
(;´_ゝ`)「おいこら、鬼畜生、莫迦。用事があるから朝に起こせと云うたろうが!」
(´<_` )「朝から濡れ衣を着せるな、風邪をひいたらどうしてくれる」
(;´_ゝ`)「何処からどう見ても、夕方だろうが!」
(´<_` )「あんた、この村は知っていると云っていたじゃあないか。この村、ゆうやけ村のこと。」
( ´_ゝ`)「あっ」
(´<_` )「自分で、この村は四六時中、茜色の空をしていると、自慢げに云っていた癖に、まったく」
( ´_ゝ`)「誰だって、間違いはある。して、今は何時だ」
(´<_` )「朝ごはんの時間だ。腕をおくれ。」
( ´_ゝ`)「それは、己れがおはぎを食ってからだ」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[訂正] 投稿日:2009/10/27(火) 00:43:26.12 ID:+UhBve/bP
(´<_` )「こんにちの、用事とは何だ。」
( ´_ゝ`)「お前も知っているだろう、もらの奴に逢う。」
(´<_` )「もらか。もらなら、喰っても支障はないだろう。喰っていいか」
( ´_ゝ`)「あの自尊心の塊が、自分の肉体をどうこうされるのを、よしとするわけないだろうが」
(´<_` )「嗚呼、たまには、兄者以外も喰いたいものだ…」
( ´_ゝ`)「我が儘を云うな、我が儘を。だいたい、もらを喰ったら、お前もらになっちまうだろ。
もらの顔で、人を喰いたいだの、なんだの云われたら適わんぞ。」
(´<_` )「じゃあ、たまには、拷問してから喰ってもいいだろうか。前に云ったろう、少し味が変わるんだ。」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 00:48:20.33 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「グロくない拷問があるんなら、考えてやってもいいが」
(´<_` )「じゃあ、水責めとか、角材の上におもむろに座ってみるとか、どうだ。」
( ´_ゝ`)「寒いのも、熱いのも、お断りだ。もっと、やられる方のことも考えてから、拷問をしろ。」
(´<_` )「何を、考えりゃいい」
( ´_ゝ`)「つまりだ、やられて嫌なことはするんじゃないってことだ。
もっと、相手がされて嬉しいなあと思う拷問をするんだよ。」
(´<_` )「そうは云うが、兄者よ。それは不平等じゃあないか。
やられる方も、もっとやる方の立場とか、心情だとか、考えるべきだろう。
平等は与えられるものじゃなく、双方の努力が必要なんだ。」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 00:59:23.90 ID:+UhBve/bP
- ( ´_ゝ`)「お前、最近めっきり、平等だとか、不平等だとか云うようになったなあ。
というか、お前、人は生まれながらに平等であれ、って云うのが持論じゃなかったっけ。
己れの記憶違いか?まあ、そんなわけはないから、お前が矛盾しているんだろう。」
(´<_` )「俺は平等をあいしているから。
しかし、兄者。そりゃあ、理想の話しだよ。理想がそのまま現実になるなら、世話がない。
理想を現実とせんがため、おのおのの努力が必要なんだ。」
( ´_ゝ`)「はん。もっともらしいこと云いやがる。
ふたつほど、教えておいてやろう、弟者。だれにでも平等なやつなんて、人間じゃねえ。
んでもって、平等を愛する奴ってのは、往々にして、ひとを殺しやがる。
人がひとの命を奪うなんて最高の不平等を犯しておいて、我々は平等なんだと高らかに唄う。
まあいいや、聞いておいてやろう、それで、やられる方に必要とされる努力とはなんぞや。」
(´<_` )「つまり、火であぶられたり、水に漬けられたり、つめを剥がされたりすることを、嬉しく思えってことだ。」
( ´_ゝ`)「朝ごはんは、無し。さあ、出かけよう」
(´<_` )「不平等が過ぎるぞ、兄者…」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 01:19:58.22 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「おうい、もら。もらのすけ、もらたろう、もらじろう。もら、もら、もらやぁい。」
(´<_` )「五月蝿いぞ。常識を弁えろ、兄者。」
(;´_ゝ`)「お前と出逢ってうン十年、この台詞、毎日云っている気がするぞ。
外では、名前を呼ぶな!」
( ・∀・)「やーぁやぁやぁ、やぁ!兄者じゃないか!兄者!兄者!僕の旧友!
ああ、なんと、その身に宿りし海色を、煎じて飲めば万病を、そのまま飲めば、死を殺すとな!
自己犠牲の塊、僕の旧友、あにじゃ、アニジャ、ANIJA、兄者じゃあないか!」
(;´_ゝ`)「く・そ・が!」
( ・∀・)「口が汚いぞ、兄者。これくらいの戯言は、ひさびさの友人との再会には、良いスパイスだっていうのに。
現に僕と君はもう百年は逢ってなかったはずだのに、最早僕は、一昨日に君とすれ違ったかのような心持。
これも全て僕のお陰、さあさ、崇め奉れ。ところで、百年経っても変わらない、この美しさについて、どう思う?」
(;´_ゝ`)「百年経っても変わらない、その気持ちの悪さに、乾杯!」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 01:30:07.56 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「相も変わらず、にゅうそくかぶれの家だのう。何処で調達するんだ、こんなもの。」
( ・∀・)「元の生まれがニュー速だから、幾らでも伝手はあるもんさ。
まあ、僕ほど生きてしまえば、伝手がない土地ってのも中々ないんだけどね」
( ´_ゝ`)「ほら弟者、これが前に己れが云ってた、べっどだぞ。」
(´<_` )「成る程、不味そうだ。」
(;´_ゝ`)「もとより、喰うものじゃない!」
( ・∀・)「おや。弟者と云うのは、人喰いの名前かい。」
(´<_` )「そうだ、人を喰う人間の、名前だ。」
( ・∀・)「ふうん、まだ一緒に居るとは思わなかった。
兄者やい、まさか、グロいのが平気になったわけじゃあないのだろう。
よく一緒に居られるな。しかも、名を弟者とは。姿形もあいまって、
これじゃあ、共に母さまの腹に宿り、共に産声を上げた盟友のようにしかみえないぞ。」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 01:43:35.65 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「あのなあ、云われなくても、己れはこいつを弟か、そうでなければ、己れの餓鬼のように思っているんだって。
じゃなきゃ、連れて歩くわけないだろうが」
( ・∀・)「成る程、なるほど。しかし君もまっこと奇怪な奴だなあ。
自分の本当の弟の屍を食んだ人喰いを、弟や吾子のように思うなんて。
ふつうは、憎むもんじゃあないのかい。」
(´<_` )「喰うと云えば、思い出した。俺ァ、あんたを喰いたいんだが。
腕の一本や二本、かまやしないだろう」
( ・∀・)「僕は、兄者と違って、自己犠牲の観念ってのはないんだ。
持つのは自己愛だけなんでさ。」
(´<_` )「兄者が意地悪をして、朝ごはんも喰ってねェんだ。
頼むよ、四大賢者がひとり、もららーさんよ。」
( ・∀・)「こいつは驚いた。兄者よ、自分の子を餓死させる心積もりか。」
( ´_ゝ`)「朝飯を抜いたくらいで、餓死なんかするもんか…」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 01:58:19.28 ID:+UhBve/bP
- (´<_` )「父上、兄上。あなたさまの愛息子の、愛弟の、腹と背中が、ひっつき申しますぞ」
( ´_ゝ`)「元よりくっついてるだろうが、糞息子に、糞弟が。」
( ・∀・)「弟者、人間以外はまったく、喰わんのか。
ニュー速から取り寄せた、クッキーという菓子があるのだが、どうだ。」
( ´_ゝ`)むしゃむしゃ
( ・∀・)「まったく、お前の父さまだか、兄さまだかは、行儀が悪いなあ。」
(´<_` )「代わりに謝っておきましょう。何、下げる頭なら幾らでもありますよ、出来た息子で、弟なんで。
さきほどの質問だけど、喰えるか、喰えないかって究極的に問い詰めたら、喰える。
しかし、あんたらだって、人間を喰えるか、喰えないか究極的に問い詰めたら、そりゃあ、喰えるだろう。
そいつとおんなじでさ、俺ァ、人間以外は、何があったって喰いたくないね。」
( ・∀・)「はあ、成る程。……そうだ、そうだ。地下にいいものがあるんだった。ちょいと待て」
(´<_` )「それじゃあ、今まで喰った人間の数でも数えて、待っておこう。」
( ´_ゝ`)むしゃむしゃ
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 02:11:42.35 ID:+UhBve/bP
(´<_` )「六百九十九、七百、七百一、」
( ・∀・)「やあや、待たせたね。何処にしまったか、とんと忘れたもんで。これが良いものだよ。」
('A`)
( ´_ゝ`)「うわっ。なんだこれは。干物か。何故干物に鎖をぐるぐると巻いているんだ」
( ・∀・)「ふはは、聞いて驚くがいい。こいつは、屍人だ。
弟者よ、幾らでも食んでよいぞ。なんせ、生きてないから、死ぬこともない。
云うなれば、不老不生。そのくせ、一丁前に意思は持ってやがるんで、暴れる、暴れる。
それでこの鎖ってわけよ。」
(´<_` )「おいもら、俺は確かに死体も喰えるが、流石にこいつはお断りする。
生が全くないどころか、死の塊じゃないか。不味いどころの話じゃないぞ。
こんなもの喰うくらいなら、そこのくっきーを食べてやるわ。」
( ・∀・)「何だ、残念だ。まったく、お前ときたら、本当になんの役にも立たないんだな。」
('A`)
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 02:26:40.63 ID:+UhBve/bP
( ・∀・)「ふうん、しかし、確か君の海の石、死人にやれば息を吹き返すって話しじゃなかったかい。
このドクオにやってみれば、どうなるんだろうね。何せ、生まれたながらに死んでいる存在だ、
生き返るなんてこと、あるんだろうかね。」
(´<_` )「なに。それは、初耳だ。そうなのか、兄者」
( ´_ゝ`)「これは、あの愚鈍行列には知られてないから、云うんじゃないぞ…。
あいつらに伝わったが最後、まァた世界中に知らせまわって、
より一層狙われる身になっちまう。」
( ・∀・)「ああ、そうだ。知るひとぞ知る話だった君の海の石の話し、
いまやもう寝物語として世界中で、母が子に伝えているんだっけ」
( ´_ゝ`)「不老不死と、万病薬ンとこしか、あいつらには知られてねえはずだが、
それでも十分過ぎるほど、客が来るわ来るわ。
その前は、まったく欲深い魔術師だとか、そういう奴等ばっかだったのに、
あいつらのせいで、まったく善良なにんげんまで、己れのところに来やがるんだ、
やってられるか、こん畜生。」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[訂正] 投稿日:2009/10/27(火) 02:44:13.12 ID:+UhBve/bP
( ・∀・)「不老不死や、病気を治すために、誰かを殺す輩を善良と呼ぶか否か、
いささか疑問には思うがね。つくづく、君は情に厚いところがあって、それがよくもわるくもあるな。
しかし、死人を生き返らせるなんて、庶民の夢だよ。
それが知れたら、今の十倍は客が来るだろうよ。しっかり秘密を守ることだね。
死んだ人を生き返らせたいなんていう奴は、よっぽど愛に生きてるんだろうから。
まさに君の弱点だ。ほぼ間違いなく、君は自己犠牲に走ってしまうよ」
( ´_ゝ`)「どいつも、こいつも、忌々しい。情なんて持った覚えがないっての。
それからな、己れの弱点はただひとつ。つまり、グロいものだ。」
( ・∀・)「嘘はあまり感心しないな。
まあ、君のつける嘘なんて、それくらいだろうから、好きなだけ吐くといい。」
(´<_` )「はは。兄者ともらは、仲がよいな。」
( ´_ゝ`)「当たり前だ。そうでなけりゃ、わざわざ逢いにくるもんか。
だいたい、弟者は知らないだろうが、こいつこそがまさに情が厚いんだぞ。
こう見えて。ああ、絶対そうは見えないだろうが、己れも信じがたいのだが、ほんとうの話しだ。」
(´<_` )「まったく信じがたい話だ。
しかしながら、残念なことに、兄者は嘘をつかないことを俺は知っているし、
自分の脳みそにかけて、信じるほかあるまい。」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 02:55:14.07 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「なんと、こいつはな…!」
( ・∀・)「ところで、弟者。兄者を喰うところを見せておくれ。」
(´<_` )「あいわかった。兄者の旧友の願いとあらば、叶えざるを得ない。」
( ´_ゝ`)「己れのまわりには、敵しかいないのか…。いいのか、もら。小奇麗なかぁぺっとを、汚してしまうぞ。」
( ・∀・)「いいさ、いいさ。見物料だと思えば、それくらい。」
( ´_ゝ`)「己れのところにやってこない見物料なんぞ、払わんほうがましってもんだ…」
(´<_` )「いただきます」
( ・∀・)わくてか
('A`)
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 03:06:40.35 ID:+UhBve/bP
- ごり、
ぐちっ。
( ∩_ゝ`)「音が、音が……」
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )「耳を喰っても、音は聞こえちまうし、どうしようも出来んぞ。」
(´<_` )むしゃむしゃ
( ・∀・)「おい弟者。何処が、一番美味いんだ」
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )「ごくん。ああ、えっと、単純に美味いのは、心臓だわ。
多分、生の象徴なんだって、無意識に思ってンだろう。
自然と生命力が集まって、美味い。つまり、生命力ってのが、美味さの秘訣ってこと。
だから、女子供が俺の好物」
( ・∀・)「へえ、ますます外道めいてやがる。でもお前、人間のつもりでいるんだろう。
不思議なことに、この干物もそうなんだよ。まあこいつは、人間を喰わないから、外道じゃあないが、
そんかわし、何も出来なくって、場所だけとりやがる。あまつさえ、そこらへんの物を壊しさえするんだから、たまんねえや。」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 03:12:14.41 ID:+UhBve/bP
- (´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )「殺せばよかろう」
( ∩_ゝ`)「だから、もう、死んでるンだろ。死ぬってのは、生きてるものだけの特権だっての」
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )「ふうん。腹、割るぞ」
ぐちゃ。
( ∩_ゝ`)「うう…」
ずるずる
(´<_` )むしゃむしゃ
( ・∀・)「そうそ。特権であり、運命であり、生きる理由であり、生きたことの罰でもあるよ。
罰を背負うから、仕合せがある。まあ、こいつは、罰の塊だけども。
なあ、お前、実際のところ、どうして欲しいンだ?」
('A`)
( ・∀・)
('A`)
( ・∀・)「shit!」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 03:20:54.57 ID:+UhBve/bP
(´<_` )むしゃむしゃ
( ・∀・)「女子供が美味いと云ったが、兄者はどうなんだ。」
(´<_` )「知っての通り、兄者ってやつの生命力は、底知れず。
他のやつなんか比べ物にならんくらい、美味いんだ。
俺が食って非常に美味かったやつのなかに、子供を三人宿した女もいたけども、
そいつより美味いから、やっぱり兄者は流石なんだ。」
( ∩_ゝ`)「其処まで云うなら、隙を見て他のにんげんを喰おうとなんてするじゃない」
(´<_` )「いくら究極的に美味かろうが、何十年と同じ味を喰ってたら、飽きたって仕方ないだろうが。」
( ・∀・)「いやはや、やっぱり、外道だなあ。」
( ∩_ゝ`)「そうだそうだ、鬼畜生めが」
( ・∀・)「鬼畜生たあ、傑作だ。しかし、鬼を莫迦にしてるんだか、弟者を莫迦にしてるんだか、わかったもんじゃない。」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 03:51:09.98 ID:+UhBve/bP
- (´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )むしゃむしゃ
( ・∀・)「同じ顔が、同じ顔を喰って、喰われてってのは、グロテスクだが、何処か芸術的でもあるなあ。
しかし、兄者、喰われるってのはどういう気分なんだ。」
( _ゝ`)「見ての通り、いいもんじゃねえよ、グロいからな。でもまあ、形容し難いんだよな。
吐き気がするンだが、胃がねえし、腹が気持ち悪いとは思うんだが、
実際のところ、気持ちいいくらいに風通しがいいし。」
( ・∀・)「はは、まあ、その分の働きはしているんだろう、弟者は。
此処六十年は、僕に助けを求めてないんだから、そういうことだろ。」
( _ゝ`)「助けを求めたことなんて、ほんの数百回だろう。
それ以外の何千回は、お前や、つんや、内藤やらの、お人よし集団どもが、
その持ち前の情を発揮したってだけじゃないか。」
( ・∀・)「弟者、これからも、よろしく頼むよ、この莫迦を。
もう僕ら、最早じぶんの死を恐れるなんてこたあ流石にないが、
それでも親しいひとの死は、どうしたって、避けたいんだよ。」
d(´<_` )むしゃむしゃ
( _ゝ`)「頑張ってくれるだろうさ。己れのためじゃなく、自分のおまんまのために」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2009/10/27(火) 03:51:58.82 ID:+UhBve/bP
- (´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )むしゃむしゃ
(´<_` )ごくん。
(´<_` )「ご馳走様でした」
( ・∀・)「お粗末様」
( _ゝ )「粗末たあ、なんだ…」
( ・∀・)「さてさて、兄者、再生の時間だぞよ。
実は僕、これが見たかったんだ。何度見ても、美しいから。」
( _ゝ )「こっちは、疲れるだけで、一文の得にもならんというに、気楽なもんだ。
はあ。」
ぐいぐい、
ぬちゃぬちゃ。
びきり、びきり。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 04:03:01.01 ID:+UhBve/bP
( ・∀・)「はああ、やっぱり、美しいねえ。
弟者のいうところの、生命力とやらが、溢れているからかもしれんなあ。」
( ´_ゝ`)「それは、迷惑な話だこと。」
(´<_` )「しかし兄者、いつもより具合がよさそうだな」
( ´_ゝ`)「どうも、昔なじみがいると、いつもより気が強くなるらしいな。」
( ・∀・)「普段は、そんなに酷いのかい。」
(´<_` )「酷いのに、酷くないふりをしていて、困る。」
( ´_ゝ`)「そう思うなら、食事の回数を減らせ…。」
(´<_` )「本当なら、朝と昼と晩のほかに、間食を五回は挟みたいところを、
いちにちに二回で済ませている、この涙ぐましい努力を兄者が知らぬとは、
これはもう、間違いなく、悲劇だな」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 04:16:38.79 ID:+UhBve/bP
- ( ´_ゝ`)「じゃあ、また近いうちに逢おう。」
( ・∀・)「うん、うん。今日は楽しかったよ。特にハプニングが起きたわけじゃあないけれど、
それこそがひとの仕合せってもんだ。弟者はわかるかな。」
(´<_` )「俺は、人間だから、わかるぞ。今日も飯が美味かった。」
( ・∀・)「そう、そういうことだ。これは、存外、弟者は人間に近いのかもしれないなあ。」
(´<_` )「もらもなかなか、性格が悪いな。」
( ´_ゝ`)「見ての通りだ。」
( ・∀・)「顔がいいから、許される。
そう考えると、折角便利な身体なのに、兄者しか食べられないってんなら、意味ねえやな。」
( ´_ゝ`)「……見ての通りだ。ああ、くそ。」
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 04:28:28.16 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「さて、今はいったい何時くらいだ。四六時中、こうも茜空じゃあ、検討がつかん。
うつくしい夕焼けも、こういうときは困る。」
(´<_` )「二時だぞ、兄者。おやつが喰いたい。」
( ´_ゝ`)「何時でも、喰いたいくせに。じゃあ、出るか。じゅうぶん余裕がある。
夜には次のむらへ、つけるだろう。」
(´<_` )「しかし、いったいどういうわけで、ゆうやけ村はゆうやけなんだろうな。」
( ´_ゝ`)「ああ、そりゃ。」
( ´_ゝ`)「もらだよ。」
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 04:43:44.54 ID:+UhBve/bP
(´<_` )「はて、どういうことだ。」
( ´_ゝ`)「もらには妻が居てな、その方は夕焼けをすきだった。
すきなものと聞いたら、もらの次に夕焼けと答えるような方だった。」
(´<_` )「しかし、あの家には、もらと、干物のほかには何の気配もなかったぞ。」
( ´_ゝ`)「もう、どれくらい前だかな。ずっと、ずーっと、前だよ。
殺されちまったんだ。でれの、もらの妻の、その身体に秘められた、魔術のせいで。
彼女の血を飲めば、なんと、空を自在に飛び回ることが出来たんだ。」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「せめて、血だけを頂戴すればいいところを、あれだけひどく、殺しやがって。
殺して、さらに、……いや。
でれは、もらが愛しただけあって、とてもうつくしいひとだった。
それを、あんなふうにできるんだから、ほんとうに、莫迦だ。
莫迦は、高いところがすきっていうが、奴等、その典型を地でいったんだろうな。
空を飛ぶのなんて、鳥だけに任せておけばいいのによ。」
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 04:54:35.66 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「なきがらを、見つけたのも、夕方だった。
あんまりじゃないか、こんなのあんまりじゃないかって思って、
己れは云ったんだ、己れの石をつかって、でれを生き返らせようって。
そうしたら、殴られた。殴ったくせして、もらは泣いた。
殴られたのは己れで、殴ったのがもらなのに、もらは泣いた。
湖や、海が出来てしまってもおかしくないくらい。」
(´<_` )「そうか。だから、ゆうやけなんだな。」
( ´_ゝ`)「そうだ。だから、ゆうやけなんだ。」
(´<_` )「もらは、毎日、でれを思い出すのか」
( ´_ゝ`)「ああ。毎日、四六時中、夕焼けがあの村を照らす限り、思い出してる。
でも、実は、夕焼けが青空になっても、夜空になっても、
もらはでれを忘れたりしないんだよ。」
(´<_` )「そうなのか。」
( ´_ゝ`)「当たり前だ。そんなんだから、もらに、人間だと云ってもらえないんだぞ。」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 05:06:18.99 ID:+UhBve/bP
( ´_ゝ`)「この村がゆうやけ村なのは、ただひとつの理由からだ。
つまり、でれがゆうやけを好きって理由だ。もらの次に。」
(´<_` )「じゃあ、このゆうやけは、でれのものか。」
( ´_ゝ`)「おう弟者、なかなか、いい線をいったぞ。でも、まだまだだ。
このゆうやけは、でれと、もらのものだよ、間違いなく。
な、な。これだから、もらは情に厚いってんだよ。」
(´<_` )「うむ。もらは、性格が悪いけど、いい人間だ。」
( ´_ゝ`)「ああ、まったく、そうだ。気持ち悪いけど、いい人間だよ、もらは。」
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/27(火) 05:08:10.58 ID:+UhBve/bP
それから何年経っても、ゆうやけ村の名前が変わることは、
ずっと、ずーっと、なかったそうな。
戻る 次へ