- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:03:06.68 ID:Px+9c2dy0
2.ネクラ
東の果てに、小国があります。
その名をペケジェ王国。
ペケジェ王国は人口700人ほどの小さな国です。
港町にそこそこ近く、この国に吹く風は潮の匂いを含みます。
(*'A`)「やったwwwww俺の勝ちwwwww」
( ^ω^)「さすがはドクオ様ですお! いよ、ゲーム名人!」
('A`)「このゲームにはあるコツがあってな、聞きたいか?」
( ^ω^)「有り難きお言葉」
ゲームに興じる王子、名をドクオ王子といいます。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:05:52.69 ID:Px+9c2dy0
小さなお城、少ない家来、あまり恵まれていない容姿を持つ彼は、とてもゲーム好きです。
今も、召使いのブーンと最新型3DTVゲームに興じています。
(;´・_ゝ・)「王子! 大変です!」
('A`)「どったの」
そこに大臣が駆け込んできました。
大臣の手には、あるお触れが書かれた紙が。
そう、ドラスタ王国のツンデレ姫がさらわれ、彼女を助ければ結婚できる、というお触れです。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:09:13.53 ID:Px+9c2dy0
(*'A`)「おお! 齢22にしてドラスタ王国の姫と結婚できるのか!」
(*´・_ゝ・)「そうです! これでペケジェ王国も将来安泰!」
(;'A`)「ってなるかボケ! 魔女狩りなんてできるわけないだろ! さすがに現実見てるっつーの!」
(´・_ゝ・`)「ノリでいきましょ? ね?」
(;'A`)「ノリで死ねるか!」
もしも大国、ドラスタ王国と密な繋がりが生まれれば、小国ペケジェはたちまち大国の仲間入り。
しかしドクオ王子はそれを拒みました。
地位や名誉に興味が無いから、ではなく、命が惜しいからです。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:13:24.60 ID:Px+9c2dy0
そう、魔女は大変恐ろしい存在です。
彼女たちは100年、1000年、いえ、永遠の時を過ごすともいわれ、不死身の肉体を持ちます。
さらに魔法という妖しい術を使うので、まともな勝負になりません。
かつての人間と魔女の戦では、多くの民の命が流れました。
最終的には、魔女は最果ての大地へ逃げ、人間たちの勝利となりましたが、戦の傷跡は今も残っています。
今を生きている者たちは、みな「魔女には関わりたくない」と思っています。
('A`)「―――というわけだ。ノーサンキューじゃあなアバヨお元気で」
(´・_ゝ・`)「もったいない。ツンデレ姫といえば世界一美しいアホということで有名なのですよ」
(;'A`)「そりゃあ知ってるけどさ。命かけてまで、って感じだ」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:17:10.97 ID:Px+9c2dy0
( ゚ω゚)「王子! 旅に出ましょう!」
(;´・_ゝ・)「うわっ」
(;'A`)「えっなにっ?」
黙って話を聞いていた召使い、ブーンが突如立ち上がり、叫び出しました。
王子も大臣も引いています。
( ゚ω゚)「旅ですお旅! 見渡す限りの地平線! 青い空! 深き森の奥に住むエルフとドワーフ!
襲い来るモンスター! 命からがらのスペクタクル! そして最後に待つのは絶世の美女!」
('A`)「あのなあ」
( ;ω;)「旅に出たいお〜こんなオタク王子の世話で一生を終えるのはいやだお〜」
(#'A`)「あのなあ」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:20:49.22 ID:Px+9c2dy0
ブーンはとうとう泣いてしまいました。
('A`)「旅って、いってもなあ」
しかしドクオも、同じ気持ちでした。
このままゲームをやって、適当に王の座につき、毎日ふんぞり返るだけの日々を送る。
もしもそのような未来であるとしたら、それは果たして、生きているといえるのか。
「死んでないだけよりは、生きていたいよなあ」
ぼそっと呟いた彼の一言を、大臣は聞き逃しておりませんでした。
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