- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/20(水) 20:45:49.09 ID:WtKm9y7X0
5.鉄の足
ある日、ペケジェ王国のドクオ王子は、ゲームをしている最中に呼び出されました。
呼び出したのは、ペケジェ王、つまりドクオ王子の父親です。
( "ゞ)「お触れの件は聞いているな?」
ペケジェ王国の王、デルタはドクオに問いました。
('A`)「まあ、聞いてるっちゃ聞いてるけど…」
ドクオの返事はあまり歯切れがよくありません。
彼は父親に呼び出されてから、いやな予感を感じていたのです。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/20(水) 20:49:10.59 ID:WtKm9y7X0
( "ゞ)「わしはな、これは運命じゃないかと思ってるんだ」
(;'A`)「いい歳して何いって」
( "ゞ)「まあ聞け。最近のおまえは、よくない。とても! よくない。わかるな?」
(;'A`)「あぁ…」
ドクオは細い体をさらに縮ませて、父親の耳に痛い話を聞いています。
彼にも自覚はありました。
堕落した自分をどうにかしなければいけない、という思いはあったのです。
( "ゞ)「いい機会だと思った。おまえは違うのか」
(;'A`)「だってぇ…いや、まあ…あの」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/20(水) 20:52:07.96 ID:WtKm9y7X0
( "ゞ)「どうした。言いたいことがあるなら話せ」
(;'A`)
ドクオは俯いたまま、黙ってしまいました。
しかし、そんな彼に慣れているデルタ王は、同じように黙り、じっと彼の返事を待ちました。
一分、五分、十分、そして三十分が過ぎた頃、ようやくドクオ王子は口を開きました。
(;'A`)「無理………だよ」
( "ゞ)「どうして」
(;'A`)「俺は、だって、こんなだし…」
( "ゞ)「こんな、というのは?」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/20(水) 20:56:05.94 ID:WtKm9y7X0
(;'A`)
( "ゞ)
ドクオはズボンのすそをギュッと握りしめて、肩を震わせています。
(;'A`)「俺なんか、闘う以前にさ、逃げることすら出来ないもん。こんな足じゃ…」
( "ゞ)「それは好都合だ。立ち向かうしかないのなら、覚悟は決めやすいだろう」
(;'A`)「と、父ちゃんは俺に死んで欲しいの?」
( "ゞ)「そんな訳があるか! 阿呆!」
ドクオはどうしていいかわからず、足の先をもじもじさせています。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/20(水) 20:59:05.84 ID:WtKm9y7X0
少しの間が空いたあと、デルタ王が口を開きました。
( "ゞ)「昔この国に」
('A`)「え?」
( "ゞ)「ある博士がいた。彼は医療から兵器まで、様々な分野を研究しその成果を上げていた。
名をシャキーン博士という」
('A`)「ああ…知ってる。これを作った人でしょ?」
指先で、太ももの辺りを突っつきました。
( "ゞ)「そうだ。今はもうこの国にはいない。生きているかどうかもわからない」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/20(水) 21:05:45.54 ID:WtKm9y7X0
('A`)「シャキーン博士が、どうし…」
( "ゞ)「彼はたくさんのものを開発していた。
中には彼にしかわからないような、用途不明な発明品もある。
研究所では、今も彼が発明したものを使って研究を進めている」
('A`)「へえ。でも、それが…」
( "ゞ)「つい最近のことだ。ある発明品に、“ドクオへ”というメッセージが書かれているのを見つけた」
(;'A`)「俺?」
( "ゞ)「そうだ。だから私は、より強い運命を感じているのだ」
(;'A`)「ちょ、ちょっと意味がわかんないんだけど」
( "ゞ)「彼がおまえの為に作ったのは、その両足だけではないんだよ」
ドクオはズボンのすそをまくり上げ、足のすね辺りに目線を落としました。
人の骨格を模したむき出しの鉄が、室内の照明を受けて、鈍い青色を放っておりました―――。
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