- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/26(土) 00:05:26.80 ID:Zep2dNXrO
- 此処は相変わらず退屈な学校、の二階ベランダ。
そこには少年と、少年を囲む何人かの日常が居た。
まあ、相変わらず少年の目には日常は入っていないのであるが。
('A`)「・・・」
本を読む少年に何か話し掛けるのであるが少年は全く耳を貸しそうにない。
少し前、少年は日常に絡まれ怪我をした、その経験のせいで余計に日常を視界に入れたくないのだ。
('A`)「頭痛くなるなこれ」
少年が読んでいるのは村上春樹著の「ノルウェイの森」である。
正直、少年は話が頭に入っていないのであるが。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/26(土) 00:06:19.87 ID:Zep2dNXrO
- ('A`)「・・・・」
少年は一度本を置き、相も変わらずうるさい日常達の声から身を守る為に耳を塞ぎ目を閉じた。
・・・それは、いささか失敗であった。
('A`)「・・・あ」
突然少年の身体が日常によって担ぎ上げられ、そして宙へと、ベランダの外へと、落とされる。
・・・頭のどこかで怒ったのか、日常の癖に。そう冷静に考えている自分がいる。
大きく目を見開く少年が最後に見たのは、冷たく笑う日常達で。
大きく宙を掻く手によって解放された耳で聞いたのは、冷たい日常達の声だった。
「は・・・、俺らの話をきかねぇからこうなるんだ」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/26(土) 00:07:34.31 ID:Zep2dNXrO
「デレ!デレ・・・!」
誰かが俺を呼んでいる。懐かしい誰か。
「また俺を置いて、いってしまうのですか」
ああ、また私は貴方を置いていってしまうのでしょうか。
それだけは嫌、それだけは。
「デレ・・・」
嫌なのに身体が動かない。
この感覚は、俺が前に経験したような。
そうだ。死ぬ時の、かんかk从 ∀从「デレ!!」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/26(土) 00:08:45.40 ID:Zep2dNXrO
- ('A`)「・・・っ」
川 ゚ 々゚)「ああ、良かった」
少年が目を覚ますと、そこは病院で、目の前に泣きそうな顔をした少女が居た。
('A`)「俺?ここは?・・・高、岡?」
混乱した様子で辺りを見回す少年に少女は泣きそうな顔を少し綻ばせこう答える。
川 ゚ 々゚)「ああ、デレ、デレ。助かったのです。誰かに突き落とされて、また転落して・・・」
その言葉で少年は全てを思い出した。
今までのいきさつと、前世の記憶を。
('A`)「病院・・・助かったのか・・・」
安心した様子を見せ、そして両手で顔を隠した。
( A )「そうだね、良かった。もう、残していくのは嫌だった」
目から少量の涙を流す少年を見て、少女は少し驚きながら聞く。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/26(土) 00:10:04.17 ID:Zep2dNXrO
- 川 ゚ 々゚)「デレ、記憶、が」
戻ったのか、と。
('A`)「ああ、はい、元通りだ。思い出しました」
定まらない口調でそう言う少年に、目の前の少女は嬉しそうに笑った。
川 ゚ 々゚)「ああ、デレ、五千の長い時を越え今再び出会えましたね」
('A`)「俺は、忘れてたけど、長かった。本当に長かった」
川 ゚ 々゚)「さあ今こそ婚礼の準備を・・・!」
嬉しそうに笑いながらそう言った少女と、混乱しながらも頷く少年。
そしてその二人を部屋の外から悲しそうに、けれどどこか嬉しそうに眺める友人がいた。
最終話 「巡り巡って非日常」 了
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/26(土) 00:10:45.94 ID:Zep2dNXrO
- ・・・。
さて、晴れて少年の記憶は戻り、この非日常の話はここで終わりである。
その後の少年と少女、そして友人がどうなったか?
それは、日常を生きる君達の想像に任せよう。
前世と今世を、巡り巡って非日常という名の日常を生きる君達に。
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