- 4 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 14:56:29 ID:HP9PWHYU0
-
○登場人物と能力の説明
( ^ω^)
→この世界の『作者』。
/ ,' 3 【則を拒む者《ジェネラル・キャンセラー》】
→あらゆる力及び力の法則を『解除』する《特殊能力》。
从 ゚∀从 【正義の執行《ヒーローズ・ワールド》】
→『英雄』が負けない『世界』を創りだす《特殊能力》。
( <●><●>) 【連鎖する爆撃《チェーン・デストラクション》】
→相手の手負いを『連鎖』させる《特殊能力》。
( ´ー`) 【全否定《オールアンチ》】
→なにも受け付けない《拒絶能力》。
( ・∀・) 【常識破り《フェイク・シェイク》】
→自然のうちに『嘘』を混ぜる《拒絶能力》。
(゚、゚トソン 【暴君の掟《ワールド・パラメーター》】
→『拒絶』化してしまった、それまでは『拒絶』ではなかった少女。
_
( ゚∀゚) 【未知なる絶対領域《パンドラズ・ワールド》】
→存在してはならない『領域』を創りだす《特殊能力》。
( ´_ゝ`) 【771《アンラッキー》】
→『不運』を引き起こすが、『能力者』でも『拒絶』でもない男。
(*゚ー゚) 【最期の楽園《ラスト・ガーデン》】
→『楽園』を『保守』し、そちらにワープする《特殊能力》。
.
- 5 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 14:57:31 ID:HP9PWHYU0
-
○前回までのアクション
( ´ー`)
→襲来
_
( ゚∀゚)
/ ,' 3
从 ゚∀从
→応戦
( ・∀・)
(゚、゚トソン
→戦線離脱
.
- 6 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 14:58:13 ID:HP9PWHYU0
-
从 ゚∀从「う……らぎられ…?」
_
( ゚∀゚)「……。」
ハインリッヒはそこで、ジョルジュのほうを見た。
彼は険しい顔こそしているものの、言葉を発そうとか、そんな様子は見られなかった。
そのため、その事実はどうであれ、ハインリッヒは少し訝しい気持ちになった。
( ´ー`)「『開闢』の専属ドクター、ジョルジュ=パンドラ」
キリヒラ
( ´ー`)「未来を『開闢』くことができなくなったから、次は『革命』にまわったってか。ケッサクだねぇ」
_
( ゚∀゚)「『拒絶』のお前は、感情なんか籠めてしゃべらねえ。そんな挑発に乗ると思うか?」
( ´ー`)「おーおー怖い怖い。もう解析されちまったか」
ネーヨが、嘲るような様子でジョルジュに言った。
だが彼の言葉は正しかったようで、ジョルジュはまるで涼しい顔をしていた。
――ジョルジュは。
.
- 7 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 14:58:50 ID:HP9PWHYU0
-
从;゚∀从「え、いや、同僚=c…ちが…、……裏切り……?」
( ´ー`)「へッ」
/;,' 3「は、ハイン―――!」
从;゚∀从「なんだ、クソジ」
从 ゚∀从「―――――え」
――ハインリッヒは、さっきの今だからだろうか
二人のやり取りを見ていて、すっかり動揺してしまっていた。
それを見て、ネーヨがにんまりと笑う。
その笑みは、視覚的に見ればなんてことのないふつうの笑みであったが
どこか、限りなく邪悪なそれのように見えた。
そのことが、その場にいる彼ら―― 『革命』の者に、戦慄を与えた。
そして、ネーヨは鼻で笑ったかと思うと、動いた=B
先ほど見せたような瞬間移動でもなければ、のしのしと歩いてくるわけでもない。
言い換えるならば、ネーヨは、走った=B
.
- 8 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 14:59:25 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「……肩」
从;゚∀从「イ゙っ――」
ネーヨは、涼しい顔のまま、走った。
そのときの、脚が地を蹴る――砕く=\―音は、やはり彼らにも威圧感を与えるものだった。
ハインリッヒに迫ると同時に、ネーヨがつぶやく。
直後、ハインリッヒは、ネーヨにそのとき咄に向けた左肩に、異変を感じた。
ごりっ――と云う音が鳴った。
从; ∀从「―――ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アアアッ!!」
( ´ー`)「……膝」
从;゚∀从「ッ!!」
.
- 9 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 14:59:59 ID:HP9PWHYU0
-
ネーヨのつぶやき≠ヘ止まらない。
次にそう言ったのを聞いた瞬間、ハインリッヒは全身の肌が冷たくなった。
从; ∀从「―――ギッ……――――!!」
ネーヨは、ハインリッヒの左足の膝を、
膝から先が本来曲がるべきでない方向に向くように蹴った。
今度は、めり、と云う音が聞こえた。
大きな木材が、重量に耐えかねて折れてしまったときのような音だった。
/;。゚ 3「は、ハインリッヒ――」
アラマキが、己にかかっている負荷をも忘れて、半ば枯れた声で呼びかける。
だが、声量的に大きいその声よりも、ネーヨの声は重くのしかかってきた。
( ´ー`)「……心臓」
从; ∀从「――ッ!」
.
- 10 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:00:32 ID:HP9PWHYU0
-
思わずハインリッヒはちいさく悲鳴をあげた。
あげずには、いられなかった。
膝を折られ――いや、骨折ではない。症状的には、脱臼が近い。
そうして立っていられないようになったハインリッヒは、思わず地に倒れこむ。
その姿を真上から見下ろしたネーヨは、次にそうつぶやいてから、足を、彼女の躯の上にあげた。
つまさきが空に向けられている。かかとで、「それ」を踏み潰すつもりなのだろう。
そうわかると、ハインリッヒは泣きそうになった。
从; ∀从「あッ……―――ァァアアアああああああああああああ!!」
( ´ー`)「うるせーよ」
そして、そのままかかとでハインリッヒの
.
- 11 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:01:07 ID:HP9PWHYU0
-
从; ∀从「――ガ……。」
――心臓を踏み潰そうとするのを、ゼウスが妨げた。
持ち前の初速で二人のもとに向かったかと思えば、その勢いを以てハインリッヒを横から蹴り飛ばした。
( ´ー`)「……なんだ、ゼウス」
( <●><●>)「……」
◆
/;,' 3「け……蹴り飛ばした=H」
_
( ゚∀゚)「最善手だ。……さすがは、ゼウス。もう【全否定】を理解しやがった」
/;,' 3「なに?」
.
- 12 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:01:40 ID:HP9PWHYU0
-
ハインリッヒは、トップスピードに乗ったゼウスに横から蹴られたことで、十メートルほど飛ばされた。
彼が本気で蹴っていれば、骨が砕けていただろう。
そのことを踏まえると、彼は彼女を攻撃するつもりで蹴ったわけではなさそうだった。
その一連の動きを見届けて、ネーヨは、目の前に立っているゼウスをにらみつけた。
ゼウスの表情は、いつもと寸分も違っていなかった。
_
( ゚∀゚)「もしあそこでプロメテウスの足を押さえようとしていたら、一緒にぺちゃんこになってたぜ」
/ ,' 3「………?」
二人が膠着状態に入ったのを見て、ジョルジュは言い始めた。
距離こそ空いているが、耳を澄ませば、彼らには互いの声が聞こえた。
二人のもとに向かおうとして、そしてゼウスの動きを見てぴたりと止まったアラマキ。
ジョルジュは、彼に歩み寄りながらそれを続けた。
_
( ゚∀゚)「『英雄』の蹴りは『拒絶』しなかったようだが……おそらく、もう元に戻してやがる」
_
( ゚∀゚)「だとすると、だ。もし今、あいつがプロメテウスの足を押さえにかかってたら――」
_
( ゚∀゚)「そのゼウスの力をも『拒絶』して、『英雄』もろとも、踏み潰してた……ってところだな」
.
- 13 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:02:12 ID:HP9PWHYU0
-
◆
( ´ー`)「今の俺に敵うやつはいねぇ。おめえの今の行動がそれを証明している」
( ´ー`)「……だってのによ」
( ´ー`)「どーして、ジャマすんだ?」
( <●><●>)「……」
ネーヨが、単刀直入に訊いた。
決して嘘を言っているわけではない――
どれも真実だらけの言葉を前に、ゼウスは黙るしかなかった。
( ´ー`)「それか、あれか」
( ´ー`)「『同盟だから』……とか、ぬかすつもりか?」
( <●><●>)「………フン」
( ´ー`)「フン、じゃねえよ。答えろ」
( <●><●>)「逆に、こちらが問いたいものだ」
( ´ー`)「なに?
.
- 14 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:02:43 ID:HP9PWHYU0
-
ネーヨが目を細める。
一方のゼウスの顔は、依然けわしかった。
( <●><●>)「なぜ……」
( <●><●>)「なぜだ、プロメテウス」
( <●><●>)「どうして、よりにもよって貴様が……『拒絶』になったのだ」
.
- 15 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:03:20 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「……」
( <●><●>)「……」
ネーヨはそう問われて、開きかけだった口が、きゅっと閉まってしまった。
口角は――伸びている。気を悪くしたとか、そういうわけではなさそうだ。
しかしそれでも、あきらかに、
その瞬間、ネーヨは、さきほどまでとは違う雰囲気を漂わせた。
( <●><●>)「『拒絶』にボスたる存在がいることは、わかっていた」
( <●><●>)「だが、あらゆる意味において、貴様だけはその候補にはあたっていなかったのだ」
( <●><●>)「ネーヨ=プロメテウス……、貴様は―――」
.
- 16 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:03:52 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「やめようぜ、そういうの」
( <●><●>)「!」
ゼウスが続けて言葉を紡ごうとしたのを、
ようやく開いた口で、ネーヨは妨げてきた。
同時に、一歩前に踏み出していた足を元に戻す。
完全に、体の向きをゼウスのほうに向けた。
( ´ー`)「おめえの言いたいこたぁ、手にとるようにわから」
( ´ー`)「……だけどよ、『開闢』が動いてたのは、もうずっと前の話」
( ´ー`)「……いま、俺たちは、互いに別の人間となってんだよ」
( ´ー`)「『拒絶』のプロメテウスに、『革命』のゼウス」
( ´ー`)「……そして俺は、おめえの知っているプロメテウスでは、」
.
- 17 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:04:28 ID:HP9PWHYU0
-
「ない」。
その瞬間、ゼウスの胴体が引きちぎられた。
.
- 18 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:05:01 ID:HP9PWHYU0
-
_
( ;゚∀゚)「ぜッ――ゼウス!!」
( <○><○>)「ッ………!」
( ー )「いいか、よく聞け、おめえらァ!」
_
( ゚∀゚)「!」
ゼウスは、下半身は五メートルほど離れた場所に、
上半身はその場に横たわるかのように、落ちた。
どさっ、という音を残して。
続けて、ネーヨは大きな声を出した。
彼が大きな声を出すなど、ジョルジュにとっては考えられないような出来事だった。
同時に、ネーヨは地面を思いっきり右脚で踏む。
直後、その場で交通事故でも起こったかのような轟音が響いた。
踏み込んだ場所が砕かれ、岩石の集合体のようになった土が盛り上がる。
それに右脚を呑まれたままの状態で、ネーヨは続けた。
声の相手は、『革命』の皆だ。
.
- 19 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:05:38 ID:HP9PWHYU0
-
アンチ
( ー )「俺は、『拒絶』 ッ!」
( ー )「ただ、能力者を嫌う!
世界を嫌う!
運命を嫌う!
自分を嫌う!
なにもかもを嫌う!」
( ー )「憎悪、殺意、怠惰、腐敗、幻滅、落胆、狂気、恐怖、絶望、そして―― 拒絶!」
( ー )「人間の持つ、あらゆる負の感情の、集合体!」
( ー )「そんな最悪の精神体の具現化=I そいつが、俺だッ!!」
( ー )「すなわち――」
( ー )「 『オールアンチ』!!」
.
- 20 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:06:13 ID:HP9PWHYU0
-
( ー )「理性、感情、抑制――その、全てを捨てた男!」
( ー )「ただの生物と成り下がった男の、望むことはたった一つ!」
( ー )「満たされる≠アと!」
――― その瞬間
『革命』 の皆は、背筋がぞわり、とした。
( ´ー`)「【ご都合主義】も、【手のひら還し】も、【常識破り】も」
( ´ー`)「その、全てを駆逐したおめえたちに、俺が挑む!」
( ´ー`)「俺がいま望むことは―――」
.
- 21 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:06:45 ID:HP9PWHYU0
-
おめえたちの心を、 『 拒
. 絶 』 で、すべて埋め尽くすことだ
.
- 22 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:07:19 ID:HP9PWHYU0
-
ブーンは自らのパラレルワールドに迷いこんだようです
第二部 : 拒絶
第三十四話 : vs【全否定】U
.
- 23 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:07:57 ID:HP9PWHYU0
-
◆
( ;゚ω゚)「……ッ…!」
その瞬間、内藤武運は身震いした。
自分が戦うわけではないとわかっているのに。
ネーヨの声を聞いて、心の底から、恐怖を感じた。
――また、一方で
( ;゚ω゚)「………つ、ついに……」
( ;゚ω゚)「ついに……はじまってしまったのか、お……っ!」
.
- 24 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:08:28 ID:HP9PWHYU0
-
それまでは、『現実』を知っておきながらも、どこかしら現実逃避していたふしが見られた。
確かに、いま、我々は『拒絶』と戦っているのだ、という実感こそしていたものの
それでもどこか、「こうなること」に対しての現実味をもてないでいた。
それは、内藤がこの世界の人間ではないこと。
この世界は、自分が創りだした世界であること。
その世界に住まうのは、同じく創作上の存在であること。
それらの要因すべてが、彼から現実味をある程度奪い上げていたのだ。
しかし。
( ´ー`)「次は……じーさんにすっか」
/;,' 3「っ! ……ほう」
( ´ー`)「安心してくれ。今すぐ殺そうってハラじゃ、ねえからな
/;,' 3「その慢心が、いつまで続くかわかればい」
( ´ー`)「ん?」
/ 。゚ 3「イ゛ッ」
( ; ω )「ッ!」
.
- 25 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:08:58 ID:HP9PWHYU0
-
いま、目の前に広がっているのは、あきらかに戦いだ。
物語のボスに、力としては心もとない主人公サイドの登場人物たちが戦いを挑む、無謀な地獄絵図だ。
いままで、幾度となく、「このこと」は危惧してきた。
【全否定】にだけは、絶対に、相手をしてはいけないのだ。
【ご都合主義】も、その「絶対に相手をしてはいけない人物」だった。
『現実』――つまり、いま自分がこうして生きている概念的フィールドを掌握していた男なのだから。
【手のひら還し】も同様である。
『因果』――事象として自分たちをつないでいる連続的反応を、狂わせるのだから。あの少女は。
【常識破り】に至っては、その最たるものだ。
『真実』――『現実』や『因果』がどうであれ、概念的に存在するそのコタエをも一蹴される以上は。
.
- 26 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:09:35 ID:HP9PWHYU0
-
だが。
それでも、【全否定】だけは。
ネーヨ=プロメテウスという男だけは、相手取ってはならない。
いままで――パラレルワールドに迷いこんでから、内藤はずっとそう思ってきた。
それを、防げなかった。
/;,' 3「がああああああああああああああッ!!!」
( ´ー`)「あれ。そーいやおめえ、はなから左腕ねえんだな」
( *´ー`)「おお。ってことは、もう両腕が使えなくなった≠フか!」
_
( ;゚∀゚)「……、………ッ!!」
/;,' 3「―――ア゙ア゙ア゙ア゙アアアアアアッッ!!」
( ;^ω^)「………な、…んだって……?」
.
- 27 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:10:08 ID:HP9PWHYU0
-
いま、ネーヨの口から、あまりにも残酷な声が聞こえたような気がした。
それは決して、アラマキの放っている絶叫に掻き消されることはなかったものだ。
心臓が、硬くなったような感じがする。
ポンプの作用がうまく働いていない、というほうがいいかもしれない。
硬直寸前の心臓が、なんとか血液を送ろうとして、結果、内藤は息苦しさなどを覚えた。
――目は、背けたい。
だが、背けてはならない。
それが「現実」を甘受すること――では、ない。
目を背けてしまっては、『拒絶』を甘受することにつながってしまうから――
( ;゚ω゚)「 ッ ! ! 」
直後、内藤は、この拒絶を甘受したくなった。
胃の底から、酸の強い液体を吐き出した。
.
- 28 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:10:47 ID:HP9PWHYU0
-
( *´ー`)「こーいつが噂のだるま≠ゥ! こりゃーいい眺めだ!」
( ; ω )「―――ゲ――……」
ネーヨのそのラフな服装には、派手な色がついていた。
単色でもっとも人間に吐き気を促す、どす黒い赤色が。
それも、一目見ればそれが飛沫であったことがわかるような模様で、だ。
ネーヨは、右手に何か、太いものを持っている。
太い、棒状の、ごつごつとした表面のものだ。
それがなにかは、情景を見るまでもなくわかった。
その棒の断面は、ネーヨの服にある模様と同じ色をしている。
断面の中央には、白い円形のものが。
アラマキの右腕が
.
- 29 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:11:24 ID:HP9PWHYU0
-
/ 。゚ 3「 」
その瞬間、アラマキはこの上ないほど、目を見開いた。
それまでは開いているのかすらわかりづらかった眼が、完全に開ききっている。
眼球の成す円形が窺えるほどだ。
眼球に張り巡らされた血管が浮き出ており、その焦点はあってない。
口も、同様に、完全に開ききっていた。
張った顎骨から、彼の顎の形状が肉眼でもよく窺える。
詩的な表現をするなら、それはその口から魂が抜けていくような情景であった。
それを見て、ネーヨはけらけらと笑った。
普段寡言で笑うことも少ないネーヨが、見るからに満面の笑みをこぼしている。
その光景が、彼をよく知るジョルジュとモララーにとっては、あまりにも異様な光景に見えた。
いや、実際にこれは、異様だった。
あまりにも異様すぎる、光景だった。
.
- 30 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:11:59 ID:HP9PWHYU0
-
从 ;∀从「わあああアアアアアアアアアアッ!!」
ハインリッヒは、ゼウスに助けてもらった=B
少し遅れつつも上体を起こしたのだが
そのときに見た光景が
/ 。゚ 3
( < ><○>)
从 ;Д从「―――アアアアアアアアアアアアアアアアア!!! アアアアアッ!!」
両腕をまるまる失ったアラマキ。
下半身をまるまる失ったゼウス。
同志の、異型だった。
.
- 31 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:12:33 ID:HP9PWHYU0
-
( *´ー`)「お、まだまだ」
/ 。゚ 3「 力゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アッ!!!」
――続けてネーヨは、アラマキの脚に着目した。
アラマキの右腕を捨てて、そのまま己の右手を振りかざした。
照準は――アラマキの左足の、付け根。
アラマキが抵抗をする間もなく、狙ったどおりの場所に、ネーヨの拳が入った。
瞬間、めり、という音が聞こえた。
しかし、ネーヨの腕は、なんの抵抗も受けなかったかのごとく、するりと通った=B
彼の拳の勢いにあわせて、アラマキの左足付け根から下はあさっての方向に飛んでいった。
何が起こったのか把握できないまま。
アラマキの視界は、ぐらり、と動いた。
――いや、「視界」としては既に、その機能を失っていたのかもしれない。
とにかく、片足を失った≠アとでバランスを崩したアラマキは、そのまま地に倒れこんだ。
依然、眼も口も開かれたまま。
.
- 32 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:13:15 ID:HP9PWHYU0
-
( *´ー`)「右脚だけ置いといてやろうかなァ?」
/ 。゜3
( *´ー`)「でも、人を正味のだるま≠ノするなんて、滅多にねえことだかんな」
( *´ー`)「記念だ、右脚ももらうか」
/ 。゜3
地に倒れこんだアラマキの、右脚付け根。
ネーヨはそこに標的を絞り、かかとを振り下ろした。
ネーヨは、己の『拒絶』――【全否定】で
物理的に発生する力の抵抗を『拒絶』しているため、アラマキの右脚はすっ≠ニもげた。
( *´ー`)「ぶゎっはははははは!! だるま≠セだるま=I」
从 ;Д从「―――ヤアアアアアアアアアアアああああああああああああああ!!!」
アラマキは、四肢を失った。
.
- 33 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:13:48 ID:HP9PWHYU0
-
_
( ;゚∀゚)「……プロメ、テウス………?」
ジョルジュは一応、彼がやってきた時点で距離はある程度とっていたが、
その行動と光景、そして彼の態度を見て、更に数歩、じりじりと後退した。
あまりにも、異様すぎたのだ。
自分も「マッド・サイエンティスト」の揶揄に恥じぬ、狂った研究を続けてきたが
そんな過去を持つ彼にしてみても、この光景は異常としか思えなかった。
人の腕や脚をもぐ、まではあったとしても、自分は決してそれで笑う≠アとはない。
だが。
( *´ー`)「あーっはっはっはっはっはっはっは!!
. すげえ、サッカーボールじゃねえか! ぶっはははは!!」
ネーヨは笑っている≠フだ。
それが、狂人が前提の『拒絶』だとわかっていても、おかしいとしか思えなかった。
狂気を目の当たりにして吐き気を覚えることは、過去にそうそうなかったというのに、だ。
.
- 34 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:14:20 ID:HP9PWHYU0
-
从 ;Д从「――――アアアアアア―――ッ!!」
( *´ー`)「……次は、おめえだな」
从 ;Д从「 ッ!!?」
ジョルジュでさえ吐き気を覚えるほどの光景を見て、
ハインリッヒは発狂寸前となっていた。
アラマキの恐ろしさは知っている。
【則を拒む者】として、嘗て、今のように痛めつけられたことがある。
ゼウスの恐ろしさも知っている。
【連鎖する爆撃】を前に、てんで歯が立たず、一方的な『恐怖』を植えつけられた。
だが。
その二人が、あっという間に、ヒトの原型を壊された。
目の前に瞬間移動≠オてきた、この男に。
.
- 35 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:14:51 ID:HP9PWHYU0
-
( *´ー`)「どう可愛がってやろうかなァ」
从 ;∀从「 ヵ゛ 」
ハインリッヒに逃げる隙も与えず、ネーヨはすぐさま彼女の首根っこを捕らえ、持ち上げた。
体躯のちいさなハインリッヒが、体躯の大きなネーヨに軽々と持ち上げられる。
先ほどまで適応させていた『拒絶』は解除しているのだろう、
ハインリッヒは首をきりきりと痛めてくるネーヨの握力を、この上なく恐ろしく思えた。
从 ;Д从「あああああああああああ! あああああッ!!
. あああああああああああああああああああああっ!!!」
( *´ー`)「おーおー、安心しろ。スグに殺しやしねーっての」
ハインリッヒはがむしゃらに四肢をじたばたさせる。
それはまるで、子供が必死に足掻いているような光景にも見えた。
それが滑稽に思えて、ネーヨはまだ何もしていないのに、笑った。
.
- 36 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:15:26 ID:HP9PWHYU0
-
从 ;Д从
どうせなら、モララーに殺されるほうがよかった。
あのときワタナベに素直に殺されるべきだった。
ショボンに成す術がないまま朽ちていきたかった。
仲間割れのときに殺されたかった。
ゼウスの放つ爆撃のなかで焦げ死んでおくべきだった。
アラマキを前にヒートの助力を頼まないほうがよかった。
生まれてこなければよかった。
――ハインリッヒが突如としてそう思った理由は、実に簡単だった。
ネーヨに殺すつもりはない≠ゥらだ
.
- 37 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:15:59 ID:HP9PWHYU0
-
( *´ー`)「情にゃあ興味ねえしよ。どうしてくれようか」
从 ;Д从「八゙アアアアアアァァぜえええええええええええええ!!!」
( ´ー`)「うるせえよ」
从 ;%,;从「 ッ ! ! 」
ハインリッヒが「離せ」と泣き喚く。
それを鬱陶しく思ったネーヨは、空いている左手、親指以外四本を
開きっぱなしの彼女の口の中に突っ込んだ。
そして、ハインリッヒの顎を掴み、思いっきり下に引っ張った。
ゴリ、という音が、骨を伝って自分の耳にはっきりと届いた。
直後にやってくる、電気が走ったかのような痺れと痛み。
ハインリッヒは、顎をもがれた。
だが、これだけではなかった。
ネーヨは、もいだ顎を、ハインリッヒの目の前に突きつけてきた。
.
- 38 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:16:44 ID:HP9PWHYU0
-
从 ;%,;从「!!!」
( *´ー`)「おっほ! クチから下がねえっつー顔もなかなか見ごたえあるな!」
ハインリッヒは、目を瞑っておくべきだった、と後悔した。
――いや、後悔する精神的余裕すら、なかった。
目の前に突きつけられた顎が、グロテスクすぎたためだ。
耳のほうに伸びていた顎骨の両端、はがされた肉、皮。
滴り落ちる血の雫に、むき出しとなった歯の並び。
しかも、それが自分のものだ、とわかっているのだ。
彼女にとっては、死を自ら選びたくなるほど、その苦痛はひどいものだった。
( *´ー`)「オンナは顔が命、ってムカシよく聞かされてよォ」
( *´ー`)「そのたびに言ってやったんだ、『ツラの皮が厚い奴が』ってなァ」
( *´ー`)「……おめえも、ツラの皮、厚いのか?」
从 ;%,;从「!?!!」
今度は、顔面を覆っている皮に手を出した。
.
- 39 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:17:18 ID:HP9PWHYU0
-
びりっ
( *´ー`)「おお! こりゃーいい眺めだ!!」
从;:。,ァ'i;゙*リ
皮膚、として顔面を覆っているそれは、
もがれた顎の部分から額にいたるまで、きれいにちぎられた。
赤黒として、湿っぽさが感じられる、肉。
筋肉、その筋が編み物のように張り巡らされている。
上唇に隠れていた歯はくっきりと見えていたが、その白はやがて赤に侵されていった。
瞼が消えたため、ハインリッヒのぱっちりとした目、瞳――は、もはやただの眼球となった。
从;:。,ァ'i;゙*リ
童顔だったハインリッヒは一転
ただの人体模型のようにグロテスクな女へと変わった。
このときになって、ハインリッヒは抵抗するのをやめた。
.
- 40 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:18:04 ID:HP9PWHYU0
-
( *´ー`)「ぶはは……、…。」
( *´ー`)「おい、なんか反応しろよ」
( *´ー`)「鏡見るか? 目をつぶそうか? 今度は肉をはがそうか?」
从;:。,ァ'i;゙*リ
( ´ー`)「……ああ。顎がねえから、クチ利けねえのか。トチったな」
( ´ー`)「おもしろくねえじゃねーか」
从;:。,ァ'i;゙*リ
( ´ー`)「……抵抗しろよ」
从;:。,ァ'i;゙*リ
.
- 41 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:18:36 ID:HP9PWHYU0
-
ハインリッヒは、気絶したのか、脳が生命活動を停止させたのか。
それこそわからないが、とにかく、ハインリッヒは動かなくなった。
それを、ネーヨは、この上なくつまらなく思った。
いわば、ハインリッヒはヒーローでもなければ、能力者でも、まして人間でもない。
ネーヨにとっての、使い捨ての玩具となっていたのだ。
肉を、剥ぐ。
皮を、剥ぐ。
骨を、剥ぐ。
気を、剥ぐ。
命を、剥ぐ。
本人に拒絶心を植え付けることで、自分の心に潜む拒絶を押し付けることができて
それによる拒絶で顔を歪ませる相手を見て、自分は心から満悦に浸ることができる。
相手に異様すぎる暴力を振るうことは、間接的に自分を満たすことになるのだ。
つまり、自分を満たすために食糧となる牛や魚を殺すのと同義である。
違うところは、牛や魚は食という生理的欲求であるのに対して、
こちらは拒絶、満悦という心理的欲求であるという点だ。
言い換えれば、形として残らない欲求なのである。
食欲は一時的であるとは言えゴールがあるのだが、
快楽にゴールは―――
.
- 42 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:19:07 ID:HP9PWHYU0
-
从;:。,ァ'i;゙*リ
( ´ー`)「萎えちまった」
( ´ー`)「あとは……」
_
( ;゚∀゚)「……」
( ´ー`)「………お。」
ネーヨは、壊れた玩具をその場に落とした。
四肢のうち半分壊れた二つが、歪な形になる。
顔は地面についたせいで、砂が顔に張り付き、更にグロテスクな様となった。
だが、それはもうハインリッヒではない、ただの「ゴミ」だ。
ネーヨが彼女――いや、「それ」に気を払うことはさっぱりなくなっていた。
同僚の娘だから、という感慨も、この時は既に消えうせていた。
次の標的は――ジョルジュ=パンドラ。
白衣を風にはためかせ、ネーヨからは距離をとっており、顔はもう歪ませている。
ネーヨは、笑った。
.
- 43 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:19:45 ID:HP9PWHYU0
-
_
( ;゚∀゚)「チッ!」
( ´ー`)「やっぱ、メインディッシュはこうでねえとな」
ネーヨと目があった瞬間、ジョルジュは逃げた。
ジョルジュの足は、速い。
いや、動作の一つひとつが、速いのだ。
少なくとも、ハインリッヒの首元を一瞬で締め上げられるほどには。
そんなジョルジュは、一目散に駆けた。
逃げた。
目の前の「拒絶」を、拒絶しようとした。
その様――「拒絶」を拒絶しようとする様――を見て、ネーヨは震え上がった。
気持ちよかったのだ。自分に抗ってみようとしてくれる、彼が。
だから、彼はその行動に最大限の感謝を示すべく、瞬間移動した。
ム シ
物理法則を、『拒絶』。
.
- 44 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:20:19 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「よう、パンドラ。しばらく」
_
( ;゚∀゚)「て、手品みてーなコトに使いやがって……!」
コ レ
( ´ー`)「【全否定】のこッか?
んな、大それたことにしか使っちゃいけねえって制約はねぜ」
( ´ー`)「むしろ、俺の『拒絶』から逃げようとすんだから、それを防ぐって意味じゃあ最大の使い方だ」
_
( ;゚∀゚)「そりゃーどうも…。」
ジョルジュはそこで、逃げるのをやめた。
まだ、広場内から抜け出せていない。
ふと首を回せば、そこには異型と化した三人の同志を見ることができる。
それをしなかったのは、拒絶を目の当たりにしたくなかったからだ。
諦めて、ネーヨと対峙した。
が、構えをとり、臨戦態勢に入っているところが、彼らしくないと言えた。
平生の彼ならば、ポケットにでも手をつっこみ、不敵な笑みをこぼすところだ。
いかにも警戒している、というのが伝わり、更にネーヨは快楽を感じた。
こうして、抗ってくれようとしてくれるだけで、快楽を感じるのである。
そして、ジョルジュ――玩具が、快楽を与えてくれないほど壊れてしまったら、捨てる。
心が拒絶で埋め尽くされた末に、殺す。もしくは、物としてそこらに放置する。
それが『拒絶』としての、欲求の満たし方だった。
.
- 45 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:20:49 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「どーだぁパンドラ、この眺めは。最高だと思わねえか」
_
( ;゚∀゚)「最近、俺ぁ近視でよ。よく見えねーや」
( ´ー`)「じゃあ目の前に突きつけてやろうか?」
_ ウチケ
( ;゚∀゚)「フン。冗談でさえ『拒絶』しちまうってわけか」
( ´ー`)「おめえも味わえよ。この、絶景を」
そう言って、ネーヨは再び、瞬間移動。ジョルジュの背後についた。
そしてジョルジュが反応しきれないうちに、彼の首根っこを捉える。
殺しはしない。ハインリッヒのときと同様、持ち上げるのだ。
が、ジョルジュの背は、平均的とは言えハインリッヒよりは高い。
結果、背伸びせざるを得ない状況になった、といったところで済んだ。
なにをされているのかわからないジョルジュは、抵抗しようとした。
が、それよりも、ネーヨのほうがはやかった。
空いている左手で、ジョルジュの頭を鷲づかみにし、無理やり視線を広場のほうに向けた。
ジョルジュは、いま自分が何をされようとしているのか、がわかった。
異型と化した同志たちを、無理やり網膜に焼き付けさせようという考えなのだ。
.
- 46 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:21:38 ID:HP9PWHYU0
-
_
( ;゚∀゚)
( < ><○>)
「魔王」「全知全能」のはずのゼウスが、下半身を引き裂かれ、地に突っ伏す様。
/ 。゜ 3
「武神」「国軍最強の戦士」のはずのアラマキが、四肢をもがれ、だるま≠ニ化した様。
从;:。ァ'i;゙*リ
「英雄」「レジスタンス」のはずのハインリッヒが、顔を文字通り壊され、人外になった様。
――― どれもが、拒絶に満ち溢れていた ―――
.
- 47 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:22:17 ID:HP9PWHYU0
-
_
( ; ∀ )「………ッ…。」
( ´ー`)「目に焼き付けろ。そんために、おめえは最後まで残しといてやったんだ」
_
( ;゚∀゚)「……!」
瞼の上から皮膚を引っ張られているため、目を閉じることはできない。
それでもその異様すぎる光景は見たくないがため、
ジョルジュはなんとか、眼球だけでもあさっての方向に向けて、目をそらそうとした。
それを見たネーヨは、苛立った。
すぐさま、左目を潰した。
_
( ; ∀゙)「――ッ!!」
( ´ー`)「目ェ背けてんじゃねえよ。甘受しやがれ、クソが」
眼球は、一般人が思っているよりも、ずっと硬い。
少なくとも、俗にいう「目潰し」で目を潰せないほどには硬いのだ。
かなり強い弾力で、だからこそ、転んだりして目を打っても、潰れたりなどはしない。
ム シ
だが、ネーヨはそれを『拒絶』した。
ジョルジュの眼球は、まるでそれが豆腐であるかのように、あっさり潰された。
.
- 48 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:23:04 ID:HP9PWHYU0
-
『拒絶』しないで――力ずくで眼球を潰すこともできたが、ネーヨはそうはしなかった。
そうすると、目の反対側にある骨が砕けるからである。
へたに衝撃を与えて気絶、死亡などされては困るのだ。
片目になったジョルジュの、躯の向きを四十五度変える。
その眼球ひとつで広場全てを納められるように、だ。
そうすれば、どこに眼球を向けても、視界のどこかには同志の様が見受けられるようになる。
( ´ー`)「どうだ。これが、『拒絶』だ」
_
( ;゚∀゙)「―――ッ……。…!」
再び、その光景――地獄絵図を見せ付けられる。
目を背けたくても、やり場がない。
目を閉じたくても、閉じる猶予がない。
そして徐々に、ジョルジュは震えるようになった。
その光景があまりにも異様すぎたから、だけではない。
カ ワ
嘗ての同志であったネーヨ=プロメテウスが、ここまで豹変ってしまったから、である。
.
- 49 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:23:54 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「苦しいか。死にてえか。拒絶してえか」
_
( ;゚∀゙)
( ´ー`)「どれもこれも、原因はおめえにあんだ」
_
( ;゚∀゙)
( ´ー`)「そうだろ? ……パンドラ」
( ´ー`)「あんとき……おめえは、裏切った」
( ´ー`)「ヘーラーも、カゲキも、ゼウスも……おめえのせいで、消えちまった」
( ´ー`)「そして……俺もだ」
.
- 50 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:24:53 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「もはや人間じゃーありえねえチカラを持った、ゼウス」
( ´ー`)「今の俺を……も、超える、最強の『能力者』、ヘーラー」
( ´ー`)「国軍を動かす地位と権力を持った、カゲキ」
( ´ー`)「それに、俺とおめえ」
( ´ー`)「……考えうる限り、最強の面子がそろった、自警団『開闢』」
「それを、おめえは………潰したんだ。」
.
- 51 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:25:30 ID:HP9PWHYU0
-
_
( ; ∀゙)「……………ッ…!!」
ネーヨが、淡々と、声を潜ませて、言う。
それが、今までの奇行のどれよりも、ジョルジュにとっては恐ろしかった。
なによりも拒絶したいもの――だった、のだから。
( ´ー`)「……で、この絶景」
( ´ー`)「こいつを引き起こしたンも、おめえだ」
( ´ー`)「そうだろ?」
( ´ー`)「おめえが俺たちを裏切ったりしなけりゃ」
( ´ー`)「俺がこーなることも」
( ´ー`)「『拒絶』どもが動くことも」
( ´ー`)「『革命』が生まれることも、なかった」
( ´ー`)「おめえが、全ての惨劇を招いたんだ」
.
- 52 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:26:18 ID:HP9PWHYU0
-
_
( ; ∀゙)「 ……、……‥‥ ‥ 。 」
( ´ー`)「よく考えたら、おめえは害悪もイイとこだな」
( ´ー`)「『開闢』っつー、サイコーの自警団を一晩にして潰すし」
( ´ー`)「『拒絶』っつー、サイアクの連中を面白半分で生み出すし」
( ´ー`)「アニジャを、利害一致を掲げて利用するしな」
( ´ー`)「俺は、あいつは言うほどきれーでなかった。口数の少ねえ男は、きれーじゃねえぜ」
( ´ー`)「……でも。あいつは、おめえと『拒絶』の両方に関わっちまったから、殺すしかねえ」
( ´ー`)「どれも、おめえの勝手な興味、好奇、娯楽、趣味、生業で、メチャクチャにされたんだ」
_
( ; д゙)「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 、 」
( ´ー`)「答えろよ、パンドラ。」
( ´ー`)「どうなんだ、おい。」
.
- 53 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:26:50 ID:HP9PWHYU0
-
ただでさえ、ゼウス、アラマキ、ハインリッヒの皆が異様なまでに
いたぶられているのを見て、精神体はぼろぼろになっていたのだ。
加え、内藤と同様、【全否定】だけは相手してはならない、とわかっていた。
その【全否定】は嘗ての同志で、また今ネーヨが列挙したことはどれも『真実』だ。
モララーにしかごまかすことができない、『真実』。
つまり、ジョルジュはそれを甘受するしかない。
一方で、【未知なる絶対領域】では、どう足掻いても、【全否定】に勝つことはできない。
防御として使う以外には、相手を『パンドラの箱』に閉じ込めて殺す――と
およそ能動的には使うことのできない《特殊能力》であるのだから。
そしてネーヨは、その『パンドラの箱』をこじ開けることができる。
ゼ ロ
勝機は『絶望的』。
物理的にも、精神的にも、勝機は『絶望的』だ。
戦闘という面において、自分がネーヨに勝つことはありえない。
また、様々な『真実』が、目を閉じても耳を塞いでも、己を攻撃してくる。
ここでネーヨが口を閉ざしても、ジョルジュの体力は一方的に削られていく。
「絶望的」以外に相応しい言葉が見つからないほど、まさに「絶望的」だった。
.
- 54 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:27:21 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「……」
_
( ; д゙)
( ´ー`)「………」
_
( ; д゙)
( ´ー`)「…………イった、か。」
――ジョルジュは、気絶していた。
とうとう、精神体が、耐え切れなくなったのだ。
そうとわかったネーヨは、ハインリッヒのときと同様、彼をその場に捨てた。
もう使い道がなくなったのだから。
玩具で遊ぶ人が、使えなくなった玩具を捨てるのは、当然だ。
それに、思いいれがない限りは。
そして、ネーヨに、「思いいれ」 なんてものはこれっぽっちもなかった。
過去のネーヨは死んだ≠フだから。
.
- 55 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:27:53 ID:HP9PWHYU0
-
ゼウス。
アラマキ。
ハインリッヒ。
ジョルジュ。
『革命』の面々は、ものの一瞬で、みごとに全滅してしまった。
それも、物理的に痛めつけられて、ではない。
皆、精神的に痛めつけられ、再起不能となっていたのだ。
ゼウスが、その好例だ。
彼の場合、あわよくば、上半身だけでも動くことくらいはできたはずである。
だが、そうしない。
できない≠フだ。
( ´ー`)「……さあて」
ネーヨは、ぐるり、と躯の向きを変えた。
遠くのほうに隠れている、二人≠フほうに目を向ける。
そのうちの一人――は、震え上がった。
( ´ー`)「……これも、おめえが描いてたシナリオだった、ってか?」
( ´ー`)「『作者』……さんよ」
( ; ω )「………ッ。」
.
- 56 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:28:28 ID:HP9PWHYU0
-
ネーヨの涼やかな眼が、しっかりと内藤を捉える。
内藤は逃げ出したりはせず、彼の視界に刻まれるがまま、となった。
『作者』だからこそ
設定≠ノ関しては、ほかの誰よりも知り尽くしているのだ。
その設定≠ゥら推測すれば
今ここで内藤が逃げ出すと、ネーヨは、いくら内藤が相手でも、躊躇いなく攻撃する。
そのため、内藤は、「動かないこと」が最善だ、という考えに至った。
( ´ー`)「……不思議な気持ちだ」
( ´ー`)「ほんとうなら、おめえにも拒絶を味わってもらうところなんだけど、よ」
( ´ー`)「なんでか、そんな気分にはなんねえんだわ」
.
- 57 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:29:05 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「おめえは、『能力者』じゃねえどころか、抗う術すら持っちゃいねえ」
( ´ー`)「つまり、おめえに何かしても、満たされるこたァねえ」
( ´ー`)「だから、気がノらねえのか」
( ´ー`)「久々に、うめえ酒を呑ませてもらった」
( ´ー`)「『開闢』のとき以来だわ。いい酒飲み、会ったことなかったからな」
( ´ー`)「そんな情が、未だに俺んなかに巣食っていやがんのか」
( ´ー`)「それとも、だ」
( ´ー`)「おめえが『作者』だから=A俺はおめえをいたぶろうと思えねえのぁ」
.
- 58 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:29:37 ID:HP9PWHYU0
-
( ; ω )「……?」
( ´ー`)「ま、んなもん、知らねえ。どうでもいいんだけど、よ」
( ; ω )「……」
( ;^ω^)「………。」
内藤が、顔をあげる。
ネーヨは、こっちに近寄ってこようとはしない。
それは、内藤にとって幸福だったのか、不幸だったのか――
ネーヨは、閑話休題とばかりに、俯いてかぶりを振った。
そして、もう一度顔をあげ、内藤に話しかける。
距離はあるが、しかし声はしっかりと耳に届いていた。
.
- 59 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:30:10 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「……もう、満たされる術はなくなった」
( ´ー`)「はえーよな。つい少し前に、動いたばっかだってのによ」
( ´ー`)「モララーやワタナベらと違って、俺はカンペキな『拒絶』を手に入れちまった」
( ´ー`)「だから……その分、味気なくなっちまうんよ」
( ´ー`)「わかるだろ。ゲームとかで、敵のレベルを低くしても、楽しいンは最初だけってヤツだ」
( ;^ω^)「……。」
コイツ
( ´ー`)「最初は……【全否定】さえあれば、毎日が快楽で満たされるって思ってた」
( ´ー`)「けどよ。そんなのは、ほんの数日だけだ」
( ´ー`)「毎日、さまよったぜ。満たされるモンはねえかな、ってな」
( ´ー`)「で、『パンドラの箱』に閉じ込められてたショボンと出会った。ありゃーいつだっけな。忘れちまった」
( ´ー`)「そこからは、四人の――いや、三人の『拒絶』と行動をともにした」
( ´ー`)「同志や仲間、なんてモンじゃねえ」
( ´ー`)「ただ、そうしときゃあ、いつか満たされる日がくるんじゃねえか、って」
( ´ー`)「非論理的じゃああるが、そう思ってたんよ」
( ´ー`)「そんな日が続いたが、だからといって俺を心の底から満たしてくれるやつァいたか」
( ´ー`)「結論から言うと、さっぱりだった」
.
- 60 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:30:47 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「ほかの『拒絶』をものの見事に駆逐したんだ」
( ´ー`)「ちったァ、俺を楽しませてくれる、満たしてくれる――そう、期待したんだがよ」
( ´ー`)「結局、このザマだ」
( ;^ω^)「…。」
( ´ー`)「余計に『拒絶の精神』が膨れ上がっただけで終わっちまった」
( ´ー`)「……ここまで全て、おめえの書いたシナリオだった、ってか?」
( ;^ω^)「………」
内藤が、重い口を、開く。
( ;^ω^)「……いや」
( ´ー`)「!」
( ;^ω^)「確かに、僕は……『作者』だ」
( ;^ω^)「でも……この世界を動かしてるのは、僕じゃないお」
.
- 61 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:31:17 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「……ほう」
( ´ー`)「そう言えるだけン根拠、あんのか?」
( ;^ω^)「当然」
( ;^ω^)「僕の創った『世界』」
( ;^ω^)「それに、あんたはおろか、『拒絶』すらいなかったんだから」
( ´ー`)「…!」
ネーヨは、眉をぴくりと動かした。
少なからず動揺した――ところだったのだろう。
しかし、彼が動揺を表にするなど、平生ではまず考えられないことであった。
そう考えると、内藤の今の言葉は、ネーヨの想像を大きく上回っていたものだったようだ。
.
- 62 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:31:50 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「……そか」
( ;^ω^)「?」
――が、眉はすぐ元に戻った。
いつも通りの涼しい顔つきで、ちいさく、ぽつりと呟く。
その姿がどこか、哀愁で満ちていたように思われた。
( ´ー`)「……じゃあ。ハナシは、ここまででいいか」
( ^ω^)「!」
内藤は、背筋がぞわりとした。
.
- 63 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:33:01 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「いっぺん、試してみたかったんよ」
( ´ー`)「俺は、ほんとうに全てを否定できるのか=v
( ´ー`)「……ほんとうに『全否定』なんざしたら、世界の規律が崩壊しちまう」
( ´ー`)「だから今まではセーブしてたんだけどよ……」
ネーヨが、ポケットに手を突っ込む。
少々前かがみになったせいで、顔に影ができた。
( ー )「満たされることのない『世界』」
( ー )「はたして俺は、そんなもんまで、『拒絶』できンのか」
( ー )「俺の『拒絶』と、おめえの『世界』」
( ー )「勝負といこうぜ……『作者』。」
.
- 64 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:33:53 ID:HP9PWHYU0
-
( ;^ω^)「……、……?」
内藤は当初、彼の言わんとする意味がわからなかった。
一瞬、やはり自分も殺されるのか、と思ったのだが
どうやら、それはただの杞憂に過ぎなかったようなのだから。
しかし、そんな疑問も、結果論的に言えば、
誰に言われるでもなく、解決されることとなった。
ネーヨは、とんでもないものを『拒絶』したのだ。
.
- 65 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:34:23 ID:HP9PWHYU0
-
( ー )「『拒絶』は、自分の内的干渉にしか発動できねえ」
( ー )「だが……」
( ー )「広義的に捉えりゃあ、『拒絶』のハバは広がるんじゃねえか?」
.
- 66 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:35:00 ID:HP9PWHYU0
-
( ー )「『いっぺん死んだら、生き返らねえ』」
( ー )「『いっぺん四肢を失ったら、戻らねえ』」
( ー )「『いっぺん胴体を引き裂かれたら、戻らねえ』」
( ー )「『いっぺん顔を壊されたら、戻らねえ』」
( ー )「『いっぺんめんたま潰されたら、戻らねえ』」
( ー )「んなもん―――」
.
- 67 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:35:41 ID:HP9PWHYU0
-
( ´ー`)「……知らねえよ。」
.
- 68 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:36:23 ID:HP9PWHYU0
-
直後。
血が大量に流れ
胴体から引きちぎられた四肢や下半身
顎や顔の皮などで溢れていた広場が
元に戻った=B
.
- 69 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:36:53 ID:HP9PWHYU0
-
( ;^ω^)「……。」
( ;^ω^)
( ^ω^)
( ;゚ω゚)「―――ナアアアアああああああああっ!!?」
从 Д从
( < >< >)
/ 3
_
( д )
.
- 70 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:37:30 ID:HP9PWHYU0
-
从 Д从
从 Д从「……」
从 ゚Д从「………?」
( < >< >)
( <●><●>)
( <●><●>)「…?」
/ 3
/ 。' 3「!」
/ ,' 3「……?」
_
( д )
_
( ∀ )「……ン…。」
_
( ゚∀゚)「………!?」
.
- 71 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:38:20 ID:HP9PWHYU0
-
【全否定】。
己を満たしてくれないこの『世界』を―――『全否定』した。
( ;゚ω゚)「(―――戻した!!!)」
――内藤がそのことに驚いたのには、理由があった。
大きく分けて、二つ。
うち、一つ。
( ;゚ω゚)「(負傷――完治!)」
( ;゚ω゚)「(百歩譲って、それはいいとしても、だ!)」
( ;゚ω゚)「………なんで……位置関係まで、戻ってるんだお……?」
.
- 72 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:39:03 ID:HP9PWHYU0
-
ゼウス、ハインリッヒ、アラマキ、ジョルジュ。
『革命』の面々の立ち位置は、彼らが攻撃を受ける前。
元の場所に、立っていた。
それは、「戻った」とは少し違った。
言うなれば、「時を巻き戻した」――だった。
一戦を交える前の状態に、戻ってしまっていたのだ。
そしてそれが、内藤が驚いた、第二の点。
ネーヨが、時の流れを拒絶した≠ニいうこと。
それもそうだろう。
【全否定】であろうと―――『時』には、決して抗えないのだ。
嘗て、アニジャに対し、ネーヨ本人が言ったように。
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- 73 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:39:50 ID:HP9PWHYU0
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( ー )「…………成功、だ。」
( ;^ω^)「ッ!! ま、まさか、あんた―――ッ!!」
「復活した」四人はきょろきょろして、現状を把握しようとしている。
その間に、内藤は声を張り上げて、訊いた。
――そして、帰ってきた答えに、なにより「拒絶」を抱いた。
( ー )「この『世界』は、おめえがつくったわけじゃねえ」
( ー )「となると、ひょっとすると――って、思ったわけよ」
( ー )「『たとえ世紀の喧嘩師でも、時には抗えない』――。」
( ´ー`)「――……抗って、やったぜ。 ………『作者』」
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- 74 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:40:21 ID:HP9PWHYU0
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( ;゚∀゚)「ッ! お、おい内藤!!」
( ;゚ω゚)
( ;^ω^)「――! なんだお!」
現状を真っ先に把握したジョルジュが、慌てた様子で内藤を呼びかけた。
我を失っていた内藤であったが、すぐに還ってきては、応じる。
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( ;゚∀゚)「ぷ、プロメテウスのやつ、なにをしやがった!!」
落ち着いて、冷静に、落ち着いて―――
そうして答えようと思っていた内藤であったが、このときばかりは、落ち着いてなど、いられなかった。
自然と、声が、速く、大きく、荒くなる。
頭が沸騰しそうなほど、思考回路はいま、オーバーヒートを起こしていた。
そう考えると、声を発せただけまだよかった、と言えた。
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- 75 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:40:53 ID:HP9PWHYU0
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( ;゚ω゚)「や――やりやがった!」
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( ;゚∀゚)「や……りやが、った…?」
( ;゚ω゚)「進化<b!」
( ;゚ω゚)「『拒絶』できないはずの『時間軸』まで、『拒絶』しやがった!」
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( ;゚∀゚)「時間……だと……?」
( ;゚ω゚)「つまり―――」
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- 76 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/04/02(火) 15:41:39 ID:HP9PWHYU0
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終わらない。
永久に続く、拒絶。
悪夢、絶望を軽く凌駕した――拒絶。
終わることのない『世界』で
これから、絶え間なく続く 「拒絶」 が、幕を開けようとしていた。
今からはじまる 「拒絶」 に、終わりなど―――ないのだ。
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