( ^ω^)は自らのパラレルワールドに迷いこんだようです

284 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:18:31 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
  ・はじめに
 
 
  作者はイメージソングを流すことを推奨しておりますが
  YouTubeに原曲があげられてなかったので、URLは貼っていません。
 
  該当する歌を私的に持っていれば問題ないのですが、
  持ってない場合は代わりの動画や音声を探していただくことになります。
 
  別になかったら楽しめない、とかじゃないので
  「そこまでして聴こうとは思わない」と思っていただいても、まったく問題ありません。
 
  ただ、歌詞・メロディ・雰囲気と三拍子そろってこのお話にぴったりな歌なので
  作者としては各自で用意していただくか、「弾いてみた」系の動画で代用していただくことを推奨しております。
 
 
 
 
 
 
.

285 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:19:04 ID:4yU0H10g0
 
 
 
○登場人物と能力の説明
 
( ^ω^)
→この世界の『作者』。
 
/ ,' 3 【則を拒む者《ジェネラル・キャンセラー》】
→あらゆる力及び力の法則を『解除』する《特殊能力》。
 
从 ゚∀从 【正義の執行《ヒーローズ・ワールド》】
→『英雄』が負けない『世界』を創りだす《特殊能力》。
 
( <●><●>) 【連鎖する爆撃《チェーン・デストラクション》】
→相手の手負いを『連鎖』させる《特殊能力》。
 
( ´ー`) 【全否定《オールアンチ》】
→なにも受け付けない《拒絶能力》。
 
( ・∀・) 【常識破り《フェイク・シェイク》】
→自然のうちに『嘘』を混ぜる《拒絶能力》。
 
(゚、゚トソン 【暴君の掟《ワールド・パラメーター》】
→『拒絶』化してしまった、それまでは『拒絶』ではなかった少女。
  _
( ゚∀゚) 【未知なる絶対領域《パンドラズ・ワールド》】
→存在してはならない『領域』を創りだす《特殊能力》。
 
( ´_ゝ`) 【771《アンラッキー》】
→『不運』を引き起こすが、『能力者』でも『拒絶』でもない男。
 
(*゚ー゚) 【最期の楽園《ラスト・ガーデン》】
→『楽園』を『保守』し、そちらにワープする《特殊能力》。
 
(#゚;;-゚) 【夢幻の被写体《エン・ドレッサー》】
→『夢幻』に続く『世界』を創りだしてしまう少女。
 
 
.

286 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:19:44 ID:4yU0H10g0
 
 
 
○前回までのアクション
 
(#゚;;-゚)
→『撮りなおし』
 
( ´_ゝ`)
→登場
 
( ´ー`)
→動揺
 
 
.

287 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:20:39 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
(#゚;;-゚)
 
 
 ――無地のセーターは、サイズにあっていないのか、ぶかぶかだ。
 指先が少し見える程度で、セーターの丈は彼女の股を覆うほどにある。
 
 顔には複数の絆創膏が見受けられ、
 またその華奢な躯を見る限り、身体は弱いのだろうと思わせられる。
 
 
 しかし。
 そんな少女を見て、内藤は
 
 
 
 
( ;゚ω゚)
 
 
 
 彼女のどこを見たのか、眼球が飛び出しそうなほど目を丸くし、彼女を凝視していた。
 
 
 
 
.

288 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:21:10 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 ――このとき、内藤の思考回路には、様々な障害物があった。
 まず、死んだはずのゼウスたちが、ネーヨの手を借りずに蘇ったこと。
 ネーヨが『拒絶の精神』を崩すという、信じられない光景も見た。
 
 突如として現れたアニジャといい、彼の発した言葉といい
 ただでさえ、内藤は、情報処理が追いつけていない現状にある。
 
 そんななか、彼女が現れた。
 そのせいで余計に、内藤はわけがわからなくなった。
 
 人間は、一瞬に処理できる情報量には限りがあるとされている。
 内藤の場合、最初の二つが重なってきた時点で、既に処理が滞るようになってしまった。
 
 
 
从 ゚−从「………?」
 
 
 顎をもがれ、顔面を剥がされ、四肢を奪われ、頭を爆発させられた。
 そんな、幾度もの「拒絶」を受けて、ハインリッヒは半ば、放心状態にあった。
 
 しかしそれでも、まだ自我は残っている。
 『英雄』としての補正か、それともただの偶然か。
 
 そのため、彼女でも、気づくことはできた。
 いま、この場に充満している、『異常』を漂わせている空気に。
 
 
.

289 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:21:41 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 そのため、そちらのほうに、ハインリッヒも視線を向けた。
 内藤が凝視し、ネーヨが動揺し、『革命』のほかの皆が黙認している――元凶に。
 
 身体を向けると同時に淡い風が吹いて、彼女の左目にかかっていた白い髪を流す。
 数秒両眼が見えたが、それも束の間、すぐに左目は長い髪に隠れてしまった。
 
 
 
 しかし、それは右目だけを見ていても、わかった。
 「元凶」を見ると、ハインリッヒは、目を見開いたのだ。
 
 だが、それは内藤のと同じものではない。
 まったく別の理由で、彼女は見開いたわけである。
 
 
 
从 ゚−从
 
(#゚;;-゚)
 
从 ゚−从
 
 
 
从 ゚∀从「……………え?」
 
 
 
.

290 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:22:12 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 最初はそれを把握できずただ放心状態のままであったが
 やがて意識が覚醒し研ぎ澄まされていくと、それの正体を掴むことができた。
 おぼろげだった思考から、それの存在意味を推し測る
 
 までもなく、彼女は、その少女を見て、反応を示した。
 
 
 
从 ゚∀从「―――あ――っ」
 
 
 ハインリッヒが、震えながら、右足を前に向ける。
 その所作を見たのか、少女も、それまで無愛想なままだったのが一変、
 歳相応と言える柔和な笑みを溢れんばかりに浮かべて、同様にハインリッヒのほうに駆け出した。
 
 内藤とネーヨも含む周りの皆は、それを見届けていた。
 許容だとか妥協だとか、と云うものではない。
 彼らも同様、情報処理が追いついていなかったのだ。
 
 
 
 やがて、二人は抱き合った。
 
 
 
.

291 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:22:48 ID:4yU0H10g0
 
 
 
从 ;∀从「ッ―――でぃ! でぃイイ!!」
 
(#^;;-^)「……!」
 
 
 背の低いハインリッヒと、更に背の低い少女。
 ハインリッヒは彼女を抱き上げるように背中を反る。
 抱き上げられた少女も、歓喜を表現しているのか、足をぱたぱたとさせた。
 
 
 情報処理が追いついたのか嫌気が刺したのか、
 その光景を見かねた男、アラマキが、彼女たち以外のつくる静寂を破った。
 
 
 
/ ,' 3「……なにが、あったんじゃ」
 
 
 
 ぽつり、と一言。
 それを見て、次に我に返ったのは、内藤だった。
 
 ハインリッヒと少女が抱き合うのを見て、
 若干の霧が残っていた記憶が、完全に鮮明になったのだ。
 
 
 
.

292 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:23:19 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ;^ω^)「――……じーさん。」
 
/ ,' 3「な、なんじゃ」
 
 
 ネーヨは、まだ呆然としている。
 内藤は今のうちに、彼女――セーターの少女の正体を告げておく必要があった。
 
 
( ;^ω^)「昨日……ハインリッヒと戦ったときのこと、覚えてるかお?」
 
/ ,' 3「……むろん」
 
( ;^ω^)「思い出すんだお。あのとき、僕が言った―――」
 
 
 
 
 
 
 
   ( ;^ω^)『カゲキ三姉妹≠ェ揃ってないだけましだけども……
.         じーさん、最悪だお』
 
 
   ( ;^ω^)『そこの、カゲキ三姉妹の次女、ヒート。
.         扱う能力は――【大団円《フィナーレ》】ッ!!』
 
 
 
 
.

293 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:23:54 ID:4yU0H10g0
 
 
 
/ ,' 3「……カゲキ三姉妹=c…?」
 
 
 内藤は、うなずいた。
 
 
( ^ω^)「【劇の幕開け】」
 
( ^ω^)「【大団円】」
 
( ^ω^)「……そして、あと一人、末っ子の『能力者』」
 
( ^ω^)「それが……彼女」
 
 
 
( ^ω^)「【夢幻の被写体】」
 
 
 
.

294 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:24:33 ID:4yU0H10g0
 
 
 
/ ,' 3「ど、どんなコムスメなんじゃ」
 
 
 ――あのときの戦いを思い出し、アラマキは少し声を詰まらせた。
 『英雄』となり反則じみた補正を受ける、ハインリッヒ。
 そんな彼女が勝つしかないような『脚本』を手がける、ヒート。
 
 この二人だけでアラマキは為す術がなかった、というのに
 更にもう一人、『英雄』を補佐する『能力者』がいる、というのだ。
 アラマキとしては、動揺しないほうが難しかった。
 
 そしてあのとき、内藤は内藤で、「彼女」の存在を、恐ろしく思った。
 その理由は、至極単純。
 
 
 
 
 ディ=カゲキは、「悪魔」なのだ――
 
 
 
 
( ^ω^)「……『エン・ドレッサー』」
                        カ ッ ト
( ^ω^)「平たく言えば、『世界』を『撮りなおし』する……そんなもの。」
 
( ^ω^)「……そして―――」
 
 
 
.

295 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:25:04 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
( ^ω^)「原作最強の《特殊能力》」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

296 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:25:42 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
/;,' 3「!?」
 
(;#´ー`)「………あんだと?」
 
/ ,' 3「!」
 
 
 内藤の言葉があまりにも予想外すぎて、アラマキは思わず動じてしまった。
 だが、動じたのは彼だけではなかった。
 
 ネーヨ=プロメテウス。
 パラレルワールド最強クラスの『拒絶』、彼もまた、動じてしまったのだ。
 
 それがあまりにも奇妙な光景のように思えて、
 アラマキは思わず、ネーヨの顔をまじまじと見てしまった。
 
 
 
( <●><●>)「……話が、見えませんね」
 
( ;^ω^)「僕も見えてないお!
.      でも、僕がわかってる範囲で現状を言うなら―――」
 
 
 
 
 
( ;^ω^)「さっきまで幾度となく巻き戻った『時』」
 
( ;^ω^)「……それを引き起こしたのは、ネーヨ……あんたじゃない」
 
 
 
( ^ω^)「ディ。そこにいる、ハインリッヒの……妹だった、ということだお」
 
 
 
 
.

297 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:26:17 ID:4yU0H10g0
 
 
 
(;#´ー`)「―――なに?」
 
( ´_ゝ`)「そうだ」
 
(;#´ー`)「ッ…」
 
 
 内藤が、そう言ったところで
 向こうのほうにいたアニジャが、こちらのほうに歩み寄ってきた。
 それを見て思わず、ネーヨは臨戦態勢に入ってしまった。
 
 ――死んで、ない。
 それどころか、ピンピンしている。
 そんなアニジャが、ネーヨや内藤のいる場所に向かってきた。
 
 
 
( ´_ゝ`)「……俺が、ここに戻ってきた理由」
 
( ´_ゝ`)「それは、あいつの前に……あんたを、封印する必要ができたからだ」
 
(;#´ー`)「………ほォーう。おもしれえじゃねえか」
 
( ´_ゝ`)「笑ってられるのも今だけだぞ、旦那」
 
(;#´ー`)「なんだと?」
 
 
 
 
( ;^ω^)「(…?)」
 
( ;^ω^)「(どうして……この二人が、競り合ってるんだお…?)」
 
 
 
.

298 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:26:53 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´_ゝ`)「まだ、気づかないのか?」
 
(;#´ー`)「………?」
 
( ´_ゝ`)「いま、そこの『作者』とやらが、言ったではないか」
 
( ´_ゝ`)「時を巻き戻していたのは、旦那ではない=c…と」
 
(;#´ー`)「……、……。」
 
 
 
( ´ー`)「…………っ!」
 
 
 
 そこで、ネーヨの顔が豹変った。
 しかし、「怒り」や「拒絶」が爆発したのではなく――
 
 
 
 
( ´ー`)「‥‥‥‥‥待て。」
 
 
 
 
 ―――「無」に帰したような顔に、なったのだった。
 
 
 
 
.

299 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:27:26 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「……旦那にあのことを聞けていて、よかったよ」
 
( ´_ゝ`)「あれを聞いていなかったら、俺は、このことを思いついていなかった」
 
 
 
 そこでアニジャが、声を低くする。
 思い出すのは、一時間も経っていない過去のこと。
 
 バーボンハウスで、ネーヨと二人で話していたときのことだ。
 
 
 
 
                  イ マ
   『けどよ、それは現在を生きるから″Rえねえんだ』
 
   『やつらがここを去るときに残した言葉、そいつが全てよ』
 
   『たとえ世紀の喧嘩師でも………』
 
   『時≠ノは、抗えねえ』
 
 
 
.

300 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:28:00 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´ー`)「……あ………。」
 
( ´_ゝ`)「時≠『拒絶』してゼウスたちを蘇らせるのは……二重の意味で不可能だ」
 
( ´_ゝ`)「ひとつ。『拒絶』を、外部の対象に適用させることはできない」
 
( ´_ゝ`)「そして、もうひとつ。」
 
 
 
 
 
   『俺たちは、ふつーの人は、現在を生きている≠スァ言ったよな』
 
   『言ったな』
 
   『つまり、だ』
 
   『その現在≠踏み外すと、なにも存在しない次元≠ヨ直行するんよ』
 
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「もしほんとうに『拒絶』しちまうと、旦那、あんたは……今頃、消えてる≠だ」
 
 
 
 
.

301 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:28:31 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ;^ω^)「でッでも!」
 
( ´_ゝ`)「?」
 
 
 ネーヨ――ではなく、内藤が、その話に加わった。
 「時には抗えない」。それは、なによりこの『世界』を創った内藤本人がよく知っている。
 彼がこういう持論を用いて、「時」に関する設定を盛り込んだのだから。
 
 思わぬところからの声に、アニジャは少しぽかんとした。
 しかし、話を無視する――などというつもりはなかったようだ。
 
 
 
( ;^ω^)「ハインリッヒといい、ジョルジュといい……あんたといい」
 
( ;^ω^)「誰もかれもみんな、進化≠オてるんだお!」
 
( ;^ω^)「だから、あるいはその可能性も―――」
 
 
 
 ――しかし。
 代わりに、アニジャはため息を吐いた。
 
 
 
( ´_ゝ`)「……どうやら、俺は、『作者』だからといってあんたを買いかぶっていたようだ」
 
( ;^ω^)「なんだって……?」
 
 
 
.

302 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:29:02 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´_ゝ`)「まあ、混乱するのもおかしくはないが……」
 
( ´_ゝ`)「そこで、あの子供だ」
 
( ´_ゝ`)「【夢幻の被写体】……だっけか。」
 
( ´_ゝ`)「ほんとうは、やつが……時を巻き戻していた」
 
( ;^ω^)「えっと、……ああ。そう、…だお。」
 
 
( ´_ゝ`)「時に『作者』」
 
( ;^ω^)「え、な…なんだお」
 
( ´_ゝ`)「いま、あんたは【夢幻の被写体】を最強≠ニ言ったが……その理由は、なんだ?」
 
( ;^ω^)「んなもん、言うまでもないお」
 
 
 
.

303 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:29:32 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ;^ω^)「ふつうは、どんな『能力者』でも時≠ノは抗えない」
 
( ;^ω^)「……でも。」
 
( ;^ω^)「ディ=カゲキ。……やつは、その掟を大きく破ることができるんだお」
 
 
 
( ;^ω^)「エン・ドレッサー」
 
( ;^ω^)「時≠、それまでの時間軸≠フなかのある一点に戻してしまう《特殊能力》」
 
( ;^ω^)「この能力がある限り……ディを、殺すことはできない」
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「……一方で。」
 
( ´_ゝ`)「【全否定】……やつは、ほんとうは時に抗えていなかった=v
 
( ´_ゝ`)「……とすると、どうなる?」
 
( ;^ω^)「どうなる、って………」
 
 
 
.

304 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:30:06 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( ;^ω^)「ネーヨが時≠抗えなくて」
 
 
( ;^ω^)「ディが、時≠操れて……」
 
 
( ;^ω^)
 
 
( ^ω^)
 
 
 
 
 
 
 
 ――――え?
 
 
 
 
 
 
.

305 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:30:36 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( ;´ー`)「………待て……待て!」
 
( ´_ゝ`)「つまり、そういうことだ、『作者』」
 
( ´_ゝ`)「この、ディ=カゲキ」
 
( ´_ゝ`)「言い換えるなら―――」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
        ダンナ
( ´_ゝ`)「 『拒絶』 を拒絶できる、唯一の 『能力者』 ……というわけだ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

306 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:31:09 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――― 『終焉』 の音がした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

307 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:31:40 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「―――あああああああああああああああああああああ!!! …げほっ!」
 
 
 
 
 
 内藤は、その可能性に、気がついた。
 
 彼の勘違い、それは「【全否定】は進化した」ということだった。
 
 
 
 
 進化していなかった≠フだ。
 
 そして、進化していなかったからこそ
 
 ネーヨは内藤の描いた設定――この『世界』の概念――に従い
 
 時≠『拒絶』することは、できない。
 
 
 
 
.

308 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:32:14 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
   (   ー )『満たされることのない「世界」』
 
 
   (   ー )『はたして俺は、そんなもんまで、「拒絶」できンのか』
 
 
   (   ー )『俺の「拒絶」と、おめえの「世界」』
 
 
   (   ー )『勝負といこうぜ……「作者」。』
 
 
 
 
 
 
 
 内藤の『世界』とネーヨの『拒絶』との、勝負。
 
 
 
 
 
 
.

309 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:32:44 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
   (   ー )『この「世界」は、おめえがつくったわけじゃねえ』
 
 
   (   ー )『となると、ひょっとすると――って、思ったわけよ』
 
 
   (   ー )『「たとえ世紀の喧嘩師でも、時には抗えない」――。』
 
 
   ( ´ー`)『――……抗って、やったぜ。 ………「作者」』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 内藤は―――勝っていたのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
.

310 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:33:17 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「……俺は、頃合を計っていた」
 
( ´_ゝ`)「ネーヨの旦那を倒すには、ただ【夢幻の被写体】をぶつければいいわけではない」
 
( ´_ゝ`)「むしろ、無策で彼女を放り込めば、先に彼女が拒絶に呑まれ、結果負ける」
 
( ´_ゝ`)「……なら、どうすればいいか」
 
( ´_ゝ`)「どうにかして、『拒絶の精神』に……」
 
 
 
( ´_ゝ`)「少しでも、ほんの少しでもいい。」
 
( ´_ゝ`)「ダメージが、欲しかった。」
 
 
 
( ; ー )「!!!」
 
 
 
 ネーヨが、それまでの彼とは決して思えないほど、動揺の色を見せる。
 冷や汗が地面に滴り落ちた。
 これで、もう三滴目だった。
 
 
.

311 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:33:50 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「……『不運』だったな。」
 
( ´_ゝ`)「ディ……とか言ったか」
 
( ´_ゝ`)「あの娘がいる限り………」
 
 
 
 
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「あんたは、永久に、満たされないこの『世界』を生きることとなる」
 
 
 
 
 
 
 
 
.

312 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:34:24 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 

 
 
 
 ――動いたのは、次の瞬間だった。
 ネーヨが、アニジャの首を、先ほどと同じように吹き飛ばしたのだ。
 
 その動作は荒く、醜く、無様で、
 拳に籠められていた力以外は、当初のそれに比べてひどく劣ったものとなっていた。
 
 あまりに一瞬――瞬殺=B
 その動きを見れば、彼らは嫌でも、わかるのだ。
 ネーヨが、ついに本気をだした=\―と。
 
 ネーヨは、アラマキと違って、武道などは極めていない。
 ただ、圧倒的なステータスで、相手を圧倒して今まで戦ってきたのだ。
 
 アラマキを大きく凌駕する破壊力に、ハインリッヒを大きく凌駕するスキル。
 この二つを以てすれば、武道なんてものがなくとも、九分九厘、彼は戦いに勝利する。
 
 
 
 そんな彼が怒ったら=B
 
 言うまでもなく、ただ闇雲にそのチカラを振り回す、モンスターとなるだろう。
 そのスタートダッシュが、つまりアニジャの瞬殺≠セった。
 
 
 
.

313 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:34:58 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( # Д )「がああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
 
(#゚;;-゚)「……?」
 
从;゚∀从「っ―――」
 
 
 アニジャを殺した直後。
 ネーヨは迷いなく、ハインリッヒ――に抱かれているディのほうに飛び掛った。
 ジェット機でも飛んできたのか、と疑わざるを得ない動き。
 ハインリッヒが反応しきる前に、彼女たちは、ネーヨの先制を許してしまった。
 
 一瞬で右腕を大きく振りかぶり、もう一瞬でそれを振り下ろす。
 瞬きする間も与えず、ネーヨは、その二人をとたんに粉末状にした。
 
 
 
 しかし、そのままネーヨが快進撃を続けることはなかった。
 次――誰でもいい。誰かを、瞬殺≠オようと思って方向転換したとき。
 ネーヨの網膜に映る『世界』は、景色を変えた。
 
 先ほどまでいた場所に、立ち尽くしていたのだ。
 つまり、『世界』が――リセットされた。
 それを身を以て実感して、ネーヨは頭の中が真っ白になった。
 
 
 
.

314 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:35:34 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( # Д )「!!?」
 
 
( ;^ω^)「効くわけないお! 【夢幻の被写体】は、殺されたらオートで発動する=I」
 
( ;^ω^)「能力そのものを対策しない限り、ディを殺すことはできない!」
 
 
.                   スキル
( ;^ω^)「……そしてあんたの『拒絶』は、他人には効かない=I!」
 
( ;^ω^)「カンゼンに、あんたを封印できるんだお!」
 
 
 
 内藤は少し溜めてから、言った。
 
 それを聞いたハインリッヒは、あることに気がついた。
 「あっ」と声を漏らしてから、彼女は、殺されたばかりとは思えない落ち着いた様子で、言った。
 
 
 
从 ゚−从「………、」
 
从 ゚∀从「……じゃあ、それって」
 
 
 
 
.

315 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:36:05 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       オールアンチ
从 ゚∀从「【 全 否 定 】の ……文字通りアンチ≠カゃねえかよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

316 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:36:41 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
(  ゚ω゚)「!」
 
( # ー )「!」
 
 
 アンチ。
 特定のものを拒み、絶するもの。
 ピンポイントで対策するものや唯一それに優位にたてるもの。
 
 ――その対象にとっては、とんでもないとしか言いようがない存在。
 
 
 
(  ゚ω゚)「………アンチ……!」
 
 
 
 『アンチ』。
 この言葉もまた、内藤の脳に、ズシンと響いた。
 
 今まで、幾度となく放ってきた言葉、『アンチ』。
 だというのに、また、内藤は、その言葉に、輝きのようなものを感じた。
 
 
 
.

317 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:37:13 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ―――今まで、形こそ違えど、さまざまな『アンチ』を見てきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

318 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:37:45 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
   (´・ω・`)『 「現実」 とは、時に残酷だ! 惨事だ!
.         災厄だ! 最悪だ! 皮肉だ! 理不尽だ!
.         卑怯だ! 不平等だ! そして、拒絶だ!』
 
 
 苦しい現実を、アンチ。
 
 
 
 
 
.

319 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:38:15 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
   从'ー'从『全部、そう全部だ。
..        巻き戻してやる。
..        跳ね返してやる。
..        入れ替えてやる。
..        「反転」 させてやる』
 
 
 醜い因果を、アンチ。
 
 
 
 
 
.

320 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:38:45 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
   ( ;∀;)『ギャッハハハハハ!! んな 「嘘」 に騙されてんじゃねーよ!』
 
   ( ;∀;)『 「真実」 はいつだって外見と中身が違うんだよ! ギャッハハハ!』
 
 
 
 悲しい真実を、アンチ。
 
 
 
 
 
.

321 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:39:27 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ―――そして、今。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

322 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:39:58 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
( # ー )「て……てめえええエエエエエエエッ!!!」
 
 
( ´_ゝ`)「ッ」
 
       カ ッ ト
(# ;;- )「『撮りなおし』!」
 
 
( # Д )「―――ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!?」
 
 
 
 
 
 
.

323 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:40:33 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――― この世で最大の『アンチ』が、繰り広げられている ―――
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

324 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:41:23 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
   ( ^ω^)は自らのパラレルワールドに迷いこんだようです
 
 
     第二部 「拒絶」
     第三十八話 「vs【全否定】Y」
 
 
    → Image Theme Song of Part Second "Anti"
 
    『 in the Mirror / Acid Black Cherry 』
 
 
 
 
 
 
 
.

325 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:41:54 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( # ー )「チッ―――!」
 
 
 ――さすがのネーヨにも、学習能力は備わっている。
 ただ闇雲に襲い掛かろうとするのは、やめるようになった。
 
 『拒絶』の『アンチ』として降臨した少女、ディ=カゲキ。
 彼女を殺そうとこそ思うが、しかし複数回に渡りそのことごとくを「拒絶」されたのを見てもなお、
 続けて彼女を殺そうとは思うことができなかったようだ。
 
 
(#゚;;-゚)「……。」
 
 ディが、ちいさく震える。
 それを見て、ハインリッヒは、彼女の前に出た。
 
 その表情は凛としたもので、
 『革命』である以前に一人の姉である――
 そう思わせるようなものであった。
 
 
从 ゚∀从「……紹介するよ」
 
从 ゚∀从「私の……妹、だ。」
 
 
.

326 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:42:26 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 ネーヨに、ちいさく、囁きかけるかのように言う。
 それを聞いて、ネーヨは反応を見せた。
 しかしその声は、ネーヨとは思えないほど、実に荒いものであった。
 
 
( # ー )「フザけんのも、程々にしろよ……!」
 
( # ー )「『カゲキ』の名を持つ女は、この世に二人しかいねえ!」
 
( # ー )「一人がてめえの親で、一人がてめえだッ!」
 
( # ー )「俺は知らねえぞ! ディ=カゲキなんてヤツぁ!!」
 
 
 恫喝。
 近くの木々を鳴かせるほど、その声は重く大きなものであった。
 それを聞いて、まだ幼さの残る少女が耐えられるはずもない。
 
 ディはちょこんと、ハインリッヒの服を引っ張った。
 その手は、震えていた。
 
 
(#゚;;-゚)「………。」
 
从 ゚∀从「……大丈夫、だから」
 
 
.

327 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:43:22 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 ハインリッヒが宥める一方で、ネーヨの声は続く。
 
 
( # ー )「なんだ、エンドレッサーなんてよォ!!」
 
( # ー )「時間軸≠操るだァ!?」
 
( # ー )「どーして……なんで!」
 
 
( # ー )「俺は、オールアンチだぞ!」
 
( # ー )「全てを、否び、拒む者だ!!」
                             オレ
( # ー )「なんで……てめえみてえなガキに、『拒絶』が通じねえんだ!!」
 
 
(# ;;- )「…………。」
 
从 ゚∀从「……おい」
 
(#´ー`)「なんだ! まただるまにされてェか!!」
 
 
.

328 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:43:54 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 ――だるま。
 この言葉を聞いたとたん、ハインリッヒは、四肢の骨の髄から震え上がった。
 
 やはり、最強の『拒絶』だ。
 この局面においても、相手に「拒絶」を植えつけることをやってのける。
 妹の手前で虚勢を張っているハインリッヒの、その偽りを打ち砕きにかかった。
 
 
 平生では、ハインリッヒのメンタルは脆弱だ。
 しかし、このときは「平生」ではなかった。
 
 姉なのだ。
 すぐ後ろに守るべき存在がいる限り、
 ハインリッヒは、この程度では心が折られることはなかった。
 
 
 
从 ゚∀从「つまり……」
 
从 ゚∀从「時間だとか、そんなもんは……『全否定』できねーってことだよな?」
 
(#´ー`)「………、……」
 
从 ゚∀从「――……?」
 
 
 ハインリッヒは純粋に疑問を持ってそう質問をしたのだが、しかしネーヨは返答に窮した。
 特に他意はなかったため、ハインリッヒはどうしたのだ、と思った。
 
 そして、その疑問を解消したのは、ネーヨではない男となった。
 『不運』を携える男、アニジャ=フーンだ。
 
 
.

329 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:44:29 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´_ゝ`)「……そうじゃ、ないんだ」
 
从 ゚∀从「なに?」
 
 
(#´ー`)「………ダマれ。」
 
 
( ´_ゝ`)「『全否定』。」
 
( ´_ゝ`)「それは、相手を消すんじゃなくて、自分がそこから逃げるスキルだ」
 
( ´_ゝ`)「……だから、どんな対象であれ、『拒絶』するだけならなんだってできる」
 
 
(#´ー`)「……そのクチを、閉ざせ。………命令だ」
 
 
( ´_ゝ`)「そうだろ? ……『作者』。」
 
( ;^ω^)「お……え?」
 
( ´_ゝ`)「? 間違っていたか?」
 
( ;^ω^)「あ、いや、その……。合ってる、お」
 
从 ゚∀从「………?」
 
 
.

330 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:45:10 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´_ゝ`)「……つまり、だ」
 
( ´_ゝ`)「結論を言おう。『英雄』よ、その質問の答えはノーだ」
 
从 ゚∀从「……?」
 
 
 ハインリッヒは、想定していなかったほうの答えが返ってきたため、少したじろいだ。
 その理由も、至極もっともなものであった。
 
 
从 ゚∀从「じゃ、じゃあ、……なんで」
 
 
 
 
 
 
从 ゚∀从「時間を、『全否定』しねえんだ?」
 
 
 
 
 
.

331 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:45:47 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( # ー )「………てめえら……また殺されてえのか……?」
 
 
( ´_ゝ`)「その理由も、答えてやろう」
 
( ;^ω^)「! どッ、どうしてそれを――」
 
( ´_ゝ`)「なあに。ここに来る前に、本人から聞いたのでな」
 
( ^ω^)「!」
 
 
 
 アニジャはそう言って、顔にうっすらと負の感情を漂わせながら、視線を落とした。
 
 あれは、ネーヨからの逃走劇が始まる、前。
 
 アニジャが【全否定】を封印する術を思いついたときのことだ。
 
 
 
 
 
.

332 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:46:20 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
   ( ´ー`)『けどよ、それは現在を生きるから″Rえねえんだ』
 
   ( ´ー`)『やつらがここを去るときに残した言葉、そいつが全てよ』
 
   ( ´_ゝ`)『たとえ世紀の喧嘩師でも………』
 
   ( ´ー`)『時≠ノは、抗えねえ』
 
 
 
   ( ´ー`)『一方で、こんな説もある。時間の流れは川の流れと似ている≠チてな』
 
   ( ´_ゝ`)『あ、ああ』
 
   ( ´ー`)『この時の流れってのは、川で表現すんのはお門違いってこった』
 
   ( ´_ゝ`)『――え?』
 
   ( ´ー`)『俺が表現すんなら、そうだな』
 
   ( ´ー`)『時の流れってのは、弾丸だ』
 
 
 
   ( ´ー`)『俺たちは、ふつーの人は、現在を生きている≠スァ言ったよな』
 
   ( ´_ゝ`)『言ったな』
 
   ( ´ー`)『つまり、だ』
 
 
 
 
 
   ( ´ー`)『その現在≠踏み外すと、なにも存在しない次元≠ヨ直行するんよ』
 
 
 
 
.

333 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:46:50 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
从 ゚∀从「―――! ってことは……!」
 
( ´_ゝ`)「ああ。」
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「旦那は、『全否定』できないんじゃない」
 
( ´_ゝ`)「『拒絶』したくない≠チてところだ」
 
( ´_ゝ`)「『拒絶』したら、そこに自我はいなくなる」
 
( ´_ゝ`)「そして、『拒絶の精神』はその自我にあるんだからな」
 
( ´_ゝ`)「一度現在≠踏み外すと………なにも存在しない次元≠ヨ直行する」
 
 
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「……そして旦那は、その一線の一歩手前で……踏ん張っている」
 
 
 
 
 
 
 
.

334 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:47:43 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( # ー )「ガアアッ!!」
 
( ;´_ゝ`)「……っ!」
 
 
 話しすぎたか。
 そう思った直後、アニジャの目の前に、鬼のような形相を浮かべたネーヨが立ちはだかった。
 その瞬間、思わず、アニジャは仰け反った。
 
 目の前に在る『拒絶』。
 自分の体内にある拒絶心が自分から飛び出したかのような、錯覚。
 【夢幻の被写体】がいる限りは――とは思いつつも、
 やはり免疫がついたと言えるほどメンタル面は強まっていなかった。
 
 
 
 怖いものは、怖いのだ。
 
 
 
( # ー )「………やっぱり……」
 
( # ー )「てめえは……はなっから……俺をつぶすハラで来てたんじゃねえか……!」
 
( ´_ゝ`)「……説得力こそないが、あのとき言った言葉が全てだ。他意――」
 
( # ー )「よく……ぬけぬけと、言えるぜ。ボケが」
 
( ;´_ゝ`)「……グ。」
 
 
.

335 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:48:13 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 アニジャの胸倉を掴み、持ち上げる。
 長身のアニジャだが、つま先を伸ばさないと地に足をつけることができなくなった。
 内藤のときと一緒で、アニジャも、やはり恐怖と錯覚するほどの拒絶を感じた。
 
 ディは、動かない。
 彼女も心に拒絶を抱えているのだ。
 いたずらに『撮りなおし』することでネーヨの神経を逆撫でするのは
 却って自身の体内に潜む拒絶心を増幅させることにつながるのでは、という直感を胸に抱いていた。
 
 
( # ー )「なにが、弟を殺すから、だァ?」
 
( # ー )「日頃から俺たちのなかにいたんだから、よォーく、わかってんだろ」
 
 
( # ー )「敵にまわすべき相手と、そうでない相手との見分け方だ」
 
( # ー )「少なくとも、『拒絶』の連中だけは敵にしてはいけない=v
 
 
( # ー )「……違うか?」
 
( ;´_ゝ`)「俺は、誰にも、敵意を向けてなどいない」
 
( # ー )「じゃあ、今すぐそこのガキを始末しろ」
 
( ;´_ゝ`)「……それは、できない」
 
( # ー )「なんだと?」
 
 
.

336 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:48:46 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 自分の首を絞めるような彼の手に、キリキリと更に力が籠もる。
 それに更なる苦痛を感じるアニジャだが、しかし自我だけは手放すつもりはなかった。
 たとえ恥を晒すことになっても、プライドを捨てることになっても。自我、だけは――と。
 
 
( # ー )「てめえ、自分で自分の言ってること、わかってんのか?」
 
( ;´_ゝ`)「でたらめなことは言わないようにしてるぞ」
 
( # ー )「俺も、『拒絶』の一人だ」
 
( # ー )「『拒絶』に敵意を向けてないのに、あんのクソガキを連れてきた、ってか」
 
( # ー )「どォーいう神経してやがんだ、てめえ」
 
( ;´_ゝ`)「つまり、あの娘を連れてきたのは敵意以外の動機からなるってことだ」
 
( # ー )「ほォォ〜〜。どういう意味だ」
 
 
 
( ;´_ゝ`)「……俺は」
 
 
.

337 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:49:30 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「あんたに、消えてもらいたくないんだよ」
 
 
 
( ´_ゝ`)「ここで……この戦いを、終わらせたいんだ」
 
 
 
 
 
 
 
.

338 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:50:26 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 アニジャのそのときの声は一瞬、その場の空気を支配した。
 ちいさな声だったのに、その場にいた者全員の耳にそれは残った。
 それほど、ちいさいのに、しかし重いものだったのだ。
 
 
 
( # ー )「………」
 
( ;^ω^)「………」
  _
( ゚∀゚)「………」
 
 
 先ほどまで声を荒げていたネーヨを黙らせたほどには
 アニジャのその声は、確かな重みを帯びていた。
 
 そして、その重みを感じたのは、なにもネーヨだけ、ではなかった。
 内藤も、ジョルジュも、ゼウスも、アラマキも。
 最初から黙っていた者に、更なる重しを載せにかかったのだ、この声は。
 
 
.

339 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:51:05 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´_ゝ`)「……もう、充分だろ」
 
( ´_ゝ`)「あんたは……見てきたはずだ」
 
( ´_ゝ`)「拒絶する≠アとの、末に見えるものを」
 
( # ー )「……。」
 
 
 
( ´_ゝ`)「拒絶≠選んだ者の未来には、なにもない≠カゃないか」
 
( ´_ゝ`)「ショボンも、ワタナベだってそうだ」
 
( ´_ゝ`)「ヤツらは、『現実』だの、『因果』だのを拒絶しようとしていた」
 
( ´_ゝ`)「それに敵うようなスキルも、手にしていた」
 
( ´_ゝ`)「そのスキルは本物で、確かに、みごとにそういったものを否定することはできていた」
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「だが、『現実』はどうだ。『因果』は、どうだった。」
 
 
 
.

340 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:51:41 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
   从 ゚∀从『なにが現実を受け入れる≠セあ? 受け入れてねえじゃねーか』
 
   从 -∀从『……「自分が死ぬ」と云う 「現実」 を……な』
 
   (´゙ω゚`)『あ――――』
 
 
 
 
   ( ;^ω^)『ッ!』
 
   从;Д;从『――カァァッ―――ああああっあッ!! ―――〜〜!!』
 
   ( ;^ω^)『……! 「反転」 不可の即死°Zかお!』
 
 
 
 
 ―――ネーヨもアニジャも知る由のない、「未来」。
 
 しかし。
 
 還ってこなくなった≠フを見れば、それは見るまでもなく明白だった。
 
 
 
 
.

341 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:53:03 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´_ゝ`)「結果として、現実じゃあ、拒絶できなかった≠だ」
 
( ´_ゝ`)「『因果』に従って、『現実』のままに、二人は、死んだ」
 
( ´_ゝ`)「……つまり、そういうことだったんだ」
 
( # ー )「なにが……イいてェんだ……!」
 
 
 
 ネーヨが、怒りをかみ殺したような声で、訊く。
 相対的に冷静さを増したアニジャは、大きく息を吸って、ゆっくりそれを吐いた。
 
 
 そして、
 
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「拒絶なんてものは」
 
 
( ´_ゝ`)「ただの情けない足掻きにすぎなかった、ってことだ」
 
 
 
 
.

342 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:53:38 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´_ゝ`)「ショボンなんかが好例じゃないか」
 
( ´_ゝ`)「ヤツのスキルは、カンペキに『現実』を拒絶している」
 
( ´_ゝ`)「自分の思い通りに『現実』を操れるんだから」
 
( ´_ゝ`)「……しかし。結局ヤツは、『現実』に呑まれて、死んだ」
 
 
( ;^ω^)「………モララーも、だお」
 
( ´_ゝ`)「ん……そうなのか?」
 
 
 声を発した内藤に、アニジャが応じる。
 内藤はようやく現状を呑み込めたようで、その声に動揺は見られなかった。
 
 
 
( ;^ω^)「モララーも……死んだ=v
 
( ;^ω^)「【常識破り】なんて、『真実』を押し隠すために存在するかのようなスキルを持って」
 
( ;^ω^)「モララーにトドメを刺したもの……それは、ほかでもない『真実』だお」
 
( # ー )「!」
 
 
.

343 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:54:15 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ;^ω^)「おかしいお。ヤツは、『真実』を拒絶できる男なのに、『真実』に殺された」
 
( ;^ω^)「『フェイク・シェイクはまだ死んでない』んだから、対抗手段はあった筈……なのに」
 
 
 そこで、一呼吸置く。
 すると、自分がいまいかに緊張しているか、がわかった。
 
 一度意識しだすと、頭から離れない。
 頭を空っぽにするかのように意識をネーヨに向けて、話に戻った。
 
 
 
( ^ω^)「………それを見ても、やっぱりわかることはあるお」
 
( # ー )「………、」
 
 
( ^ω^)「拒絶……何度も言われたように、それはつまり精神体だお」
 
( ^ω^)「その、個々の精神体が、やれ現実だの、やれ真実だの、」
 
( ^ω^)「そんな、この世の規律に対抗した結果が……それだ」
 
 
 
.

344 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:54:53 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
( ^ω^)「なにかを拒絶しようと思う心なんて、脆弱なものなんだお」
 
 
( ^ω^)「だからこそ……僕たちは、涙を流す」
 
 
( ^ω^)「……拒絶したくても、できないものを前にして」
 
 
 
 
 
 
 
 
.

345 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:55:46 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
(#´ー`)「………。」
 
 
 
 ――そのとき、ネーヨは、顔をあげた。
 
 怒りで影が映えていた彼の、その目には――
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※テーマソングここまで
 
 
 
.

346 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:56:18 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( ^ω^)「……ネーヨ」
 
(#´ー`)「やっと、俺の名を呼んだな」
 
( ^ω^)「おっ」
 
 
 
 そうだったっけか。
 
 意外なことを衝かれて、内藤は少し気まずさを覚えた。
 頭を掻いて、しかしその手はすぐにおろす。
 
 
 そして、ネーヨに、視線を真っ向からぶつけた。
 もう、彼から逃げよう、とは思わなくなっていた。
 
 
 
.

347 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:57:03 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ^ω^)「わかったお?」
 
( ^ω^)「アニジャは……あんたを拒絶しにきたんじゃあない」
 
( ^ω^)「……その、拒絶そのものを拒絶しにきたんだ」
 
( ^ω^)「だから………」
 
 
 
 
 
( ^ω^)「……もう、終わりにしよう」
 
 
 
 
 
 
.

348 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:58:03 ID:4yU0H10g0
 
 
 
( ´ー`)「………。」
 
 
 ネーヨの顔から、なにかが、すぅーっと抜けていくのがわかる。
 毒素が抜けたような顔をして、ネーヨは、ふぅ、と息を吐いた。
 それを見て、内藤は、ほッとした。
 
 いま、明らかに、空気が変わったのだ。
 依然無味無臭、無色で無音。
 
 しかし、それまでこの場を支配していた混沌のうねりのような『拒絶のオーラ』が
 いま、確かに、消えたのである。
 
 
 内藤は、胸を撫で下ろす。
 視認こそしていないが、ほかの皆も、おそらく、胸を撫で下ろしていることだろう。
 図らずも、内藤の顔面に安堵の色が浮かんできた。
 
 ネーヨに、歩み寄る。
 ネーヨの表情に、変わりはなかった。
 
 
 
 ――終わったんだ。
 そう思うと改めて、内藤に、ある実感が生まれた。
 
 
 
 
 ―――僕は、生きている。
 
 
 
.

349 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:59:01 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
( ´ー`)「……。」
 
 
( ^ω^)「……終わったんだお」
 
 
( ^ω^)「全てを拒絶するあんたでさえ、全てを拒絶できるわけではなかった」
 
 
( ^ω^)「もう……終わったんだ」
 
 
( ´ー`)「…。」
 
 
( ^ω^)「…。」
 
 
( ´ー`)
 
 
 
 
 
(   ー )
 
 
 
 
 
 
.

350 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 01:59:52 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

351 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/05/02(木) 02:01:03 ID:4yU0H10g0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                  知らねえよ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.


戻る 次へ

inserted by FC2 system