- 3 名前:以下、雑談にかわりまして本編をお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:08:30.58 ID:cv0n/Ds+0
八月の空は、青く澄み渡っていた。
朝っぱらからぎらつく太陽も普段は煩わしく思うが、今日はそれも歓迎できる。
なぜなら今日は……
ヽ('∀`*)ノ 「ビバ、キャンピンディ!!」
(* ^ω^)o彡゚ 「キャンプ! キャンプ! だお!!」
ξ;゚ー゚)ξ「まったく……テンションが高すぎじゃないかしら?」
川 ゚ -゚)「そういうツンも顔がニヤけてるぞ」
(`・ω・´)「まあまあ、喜んでもらえたようで良かったよ」
(* ^ω^)「あっ、今日はお世話になりますお!」
('A`*)「よろしくお願いします!」
(`・ω・´)「いやいや、こちらこそよろしくだよ」
(´・ω・`)「兄さん、本当にありがとね」
シャキンさんの計らいによる、六人での一泊二日のキャンプ。
費用は全てシャキンさん持ち、何という太っ腹。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:10:25.17 ID:cv0n/Ds+0
(`・ω・´)「さて、ここでたむろしてても仕方ないし、そろそろ移動するぞ」
('A`*)「了解!」
(* ^ω^)「お願いしますお!」
さっそく駅前に止めてあるワゴンへと乗り込む俺達。
運転席は勿論シャキンさん、助手席にはショボンが着いた。
その後ろはツンとクー、最後尾に俺とブーンが座る形だ。
トランクの辺りには見慣れない荷物の山。
キャンプにどれほど荷物が必要か解らないが、色々と楽しめそうな気がするな。
とにかく今日は、目一杯楽しむとしますか!
俺達は平穏に過ごせないようです
(`・ω・´)<今回は、『その7:塊マンボ! 〜 3rd Forestcamping Mix 〜』だ。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:12:41.37 ID:cv0n/Ds+0
今回は遅刻者はいなかったので、予定通りの時刻に出発できた。
キャンプ場までは三時間はかかるらしいので、それまでは車内で適当な会話を――
ξ*゚听)ξ「早速おやつターイム!」
('∀`*)「気がwww早過ぎwww」
(* ^ω^)「まだ出てから10分も経ってないおwww」
ξ ゚ー゚)ξ「OK、じゃあ後ろの席はおやつ抜きで」
('A`;)「すいませんでしたっ!」
( ;ω;)「勘弁してくれおっ!」
ξ ゚听)ξ「あ、シャキンさん。苦手なものってあります?」
(`・ω・´)「いや、特には無いな。しかし俺の分は別にいらな――」
ξ ゚听)ξ「何言ってるんですか!? 折角だから皆で楽しみましょうよ!」
(`・ω・´)「ん、わかった。俺の分は少しだけでいいからな」
ξ ゚听)ξ「そうね……まずはきのこの山からいきますか」
川 ゚ -゚)「きのこの……山、だと?」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:15:10.16 ID:cv0n/Ds+0
ξ ゚听)ξ「そ、きのこの山」
川 ゚ -゚)「フッ、まさか君がそんなものを好きだとは思わなかったよ」
ξ;゚听)ξ「クー、あんたまさか――」
川 ゚ -゚)「どう考えてもたけのこの里が優秀だろ」
ξ;゚听)ξ「ハァッ!? あんな甘ったるいだけの駄菓子のどこがいいのよ?」
川 ゚ -゚)「何を言う、ツン。きのこなんてチョコとクラッカーが調和してないだろ?
その点たけのこは両者が一体となり、完璧な味を醸し出している……
正直きのこ厨はチョコとクラッカーでも食ってろって話だ」
ξ#゚听)ξ「何言ってるの!? ちゃんと持ち手としての役割があるじゃない!
たけのこって粉を噴いて見た目も綺麗じゃないし……」
川 ゚ -゚)「見た目でいってもきのこは無いだろ……
開封時には半分近くバキバキになってるじゃないか」
ξ ゚听)ξ「それも楽しんでこそのきのこ派よ!
ブーン! 当然あんたもきのこ派よね!?」
(; ^ω^)「……ごめんお、ツン」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:17:38.44 ID:cv0n/Ds+0
ξ;゚听)ξ「えっ、まさか――」
(; ^ω^)「たしかにきのこにはきのこの良さがあるお。
でもボクは、あのビスケットのサクサク感に嘘はつけないお!」
川 ゚ -゚)「ほう、流石ブーン。食いしん坊なだけに話が解るじゃないか」
ξ;゚−゚)ξ「ブーンだけは……信じてたのに……」
川 ゚ -゚)「ふははははっ、これで2対1! さあ、どう出る?」
ξ;゚听)ξ「ぐっ……このままだと……」
(´・ω・`)「クー、悪いけどそれは違うよ」
川 ゚ -゚)「なっ……?」
(´・ω・`)「あのチョコのどっしりとした満足感……
とてもじゃないけど、たけのこなんかには出せないね」
川 ゚ -゚)「まさかっ、貴様……」
(´・ω・`)「そう、僕はきのこ派だ! そして兄さんもね!」
(;`・ω・)「いや、俺はどちらでもいいんだが……」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:20:08.65 ID:cv0n/Ds+0
川 ゚ -゚)「……しかし、これで2VS2のイーブンか」
ξ ゚听)ξ「そうね、だったら――」
(´・ω・`)「こんなときは――」
( ^ω^)「決まってるお……ドクオ!」
('A`;)「んあ?」
しばらく展開についていけなかったが、まあこの流れだと――
ξ ゚听)ξ「ドクオは当然きのこ派よね?」
川 ゚ -゚)「ドクオは当然たけのこ派だよな?」
( ^ω^)「ドクオに全てかかってるお!(るよ)」(´・ω・`)
▲ ゴゴゴゴゴゴ・・・ ▲
 ̄ U
まあそうなるよな…………だが、俺の答えは決まってる。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:22:39.54 ID:cv0n/Ds+0
('A`)「悪いな、皆……俺はきこりの切株派だ!」
川 ゚ -゚)「きこ……」
(; ^ω^)「りの……」
ξ;゚听)ξ「切……」
(;´・ω・)「株……」
……こうして第一次きのこVSたけのこ戦争は、俺の発言により休戦状態となった。
その後車内では『ポッキー VS フラン VS トッポ』の三つ巴の戦いが勃発しそうになるが、
まあそれはまたの話という事で……
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:25:09.77 ID:cv0n/Ds+0
道の駅での早めの昼食を終え、車は峠道を進む。
車内では相変わらずバカ話が続いている。
ξ ゚听)ξ「古今東西、ブルボンのチョコ菓子ー!
アルフォート」 パンパン
( ^ω^)「チョトス」 パンパン
('A`)「ホワイトロリータ」 パンパン
川 ゚ -゚)「ルマンド」 パンパン
(´・ω・`)「エリーゼ」 パンパン
(;`・ω・)「カントリーマアム……」
ξ ゚听)ξ「シャキンさんアウトー!」
(´・ω・`)「兄さん、カントリーマアムは不二家だよ」
(;`・ω・)「そうなのか……というかなぜ君達はそんなに菓子類に詳しいんだ?」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:34:11.58 ID:LftaUu+D0
それから十分も立たない内、シャキンさんが嬉しそうな声を上げた。
(`・ω・´)「おっ、そろそろ見えてきたぞ」
ξ ゚听)ξ「あの辺りがそうですか?」
( ^ω^)「おおっ、広そうな芝生だお!」
('A`)「その向こうは……川か?」
(´・ω・`)「結構大きいね。あれなら泳げるんじゃない?」
川 ゚ -゚)「しかし完全に野外だな。てっきりキャンプの施設を使う物だと……」
(`・ω・´)「久しぶりのキャンプだから本格的に行きたくてな。
知る人ぞ知る穴場だ、おそらく俺達以外の人はいないだろう」
ξ*゚听)ξ (プライベートキャンプ……この機に……) ボソボソ
('A`;)「……ツン、何か言った?」
ξ;゚听)ξ「えっ、いや! 何も言ってないわよ!」
うっすらとブーンという単語が聞こえた気がしたが……
まあ聞かなかった事にしておきますかね。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[回線トラブル、ID変更] 投稿日:2010/08/05(木) 22:35:28.77 ID:LftaUu+D0
○ ○ ○
ξ ゚听)ξ「シャキンさん、こんな感じでどうですか?」
(`・ω・´)「うん……このくらいロープがしっかり張られていれば大丈夫だな」
( ^ω^)「おっおっ、こっちも見てほしいお」
(`・ω・´)「わかった、今向かおう」
目的地についた俺達がまず始めたのは、ベースキャンプの設置だ。
ツンとブーンはテント立て、ショボンとシャキンさんは料理スペースの確保。
そして俺とクーはトイレや生ゴミ処理のための穴掘りとなった訳だが……
('A`;)「しかし山の中に穴を掘るのって大変だな……」
川 ゚ -゚)「泣き言を言うな。サバゲをやるならこんな経験ぐらいあるだろ」
('A`)「やった事無いっつーの。クーはあるのか?」
川 ゚ -゚)「いや、当然無いが……」
('A`;)「なら何でそんな事言うんだよ!?」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:38:01.67 ID:LftaUu+D0
なんとか三箇所に穴を掘り終わり、車から持ってきた布とポールで二箇所を囲う。
これをそれぞれ男女のトイレとして使うらしい。
('A`)「はー、疲れた……」
( ^ω^)「おっおっ、こっちも終わったお!」
テントは二人用のが三つ。俺とブーン、ツンとクー、ショボンとシャキンさんという組み合わせだ。
まあ男女は分けないといけないし、順当な組み合わせではあるかな。
(`・ω・´)「お疲れだな、皆。晩飯までは時間があるから泳いできたらどうだ?」
('A`)「泳ぐって……そこの川ですか?」
たしかに水着を持ってくるようには言われていたが……
てっきり明日の帰りに海に行くものかと思ってたぜ。
(`・ω・´)「しばらく上流に歩いて右に曲がると、泳ぐのに適した場所がある。
くれぐれも水の事故には気をつけてくれよ」
ξ ゚听)ξ「解りました、充分気をつけます。
……クー、早く着替えましょ」
川 ゚ -゚)「あっ、ちょっと待ってくれ」
自分達のテントへと消えていく二人。
体育の時は高校指定のスク水だったが、果たして二人はどんなのを着てくるのか……
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:40:20.95 ID:LftaUu+D0
さっさと水着に着替えた男三人組。
流石に海パン一丁だと抵抗があるので、各自適当なシャツを羽織っている。
ちなみに三人とも無難な柄のトランクスタイプ。特に語る事は無い。
(´・ω・`)「しかし二人は遅いね……いくら女子と言えども時間がかかり過ぎない?」
('A`)「……試しに覗いてみるか?」
(; ^ω^)「……ツンに殺される覚悟、ドクオにはあるかお?」
('A`;)「だよなー……」
無用なトラブルを起こしても仕方ない。
命はまだ惜しいしな……
「やあ、またせたな」
('A`)「おっ、ようやk――」
(´・ω・`)「ん、どうし……」
声に釣られてテントへと向いた俺達。それを待っていたのは――
川 ゚ -゚)「ん? どうしたんだ? そんなボーっとした顔を並べて……」
青色ビキニへと着替えたクーの姿だった。だったが……
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:42:19.41 ID:LftaUu+D0
(; ゚ω゚)「ダイナマイト、だお……」
( A *)「正直…………反則……」
(;´・ω・)「ドクオ、鼻血が出てるよ……」
何なの、あの胸!? あそこまで大きかったっけ?
授業の時はそんなに大きくは見えな……まさか、スク水で押さえつけられてたのか!?
ξ )ξ オカシイナンデヨカミサマッテイルノカナスコシグライナラトッテモバレナインジャナイカシラドウセフタツモアルンダシ
(; ^ω^)「って、ちょっ!? ツン、気を確かに持つお!!」
こちらはトロピカルカラーのタンキニ、スカート付き。
正直かなりの高得点ではあるが……まああれには負けるよな。
川 ゚ -゚)「さて、さっさと移動するぞ」
('A`*)「あ、ああ……」
(;´・ω・)「だからドクオ、鼻血が……」
ξ ∀ )ξ ソウヨネコレハゲンカクヨネアンナノガムネニツイテルナンテアリエナイシイヤソモソモオッパイナンテソウゾウジョウノ
(; ゚ω゚)「ツーーーン!!」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:45:16.50 ID:LftaUu+D0
○ ○ ○
シャキンさんが話した通り、川上に向かってしばらく歩くと支流があった。
その先は急に川幅と深さが広がり、たしかに溜め池のようになっている。
全力で泳げるほどの広さはないが、軽く遊ぶくらいの広さは充分あるな。
とりあえず適当な所で上着を脱ぎ、川へと入る俺達。
冷たい水が緩やかに流れ、火照った体を心地よく冷やしてくれる。
( ^ω^)「おおっ、魚がいるお!」
('A`)「晩飯確保に狙ってみるか?」
(´・ω・`)「網があればいけるかもしれないけど……」
川 ゚ -゚)「釣り道具とかは持ってないのか?」
ξ ゚听)ξ「たしか魚が隠れてる岩に別の石をぶつけて、
衝撃で気絶したのを捕まえるって漁のやり方を聞いた事が……」
時間が経つと、さすがにツンも持ち直してきたな。
未だにクーの胸元へとチラチラ視線がいってる様ではあるが……って――
(# ^ω^)「ぬおおっっ!! これぐらいの石ならどうだお!?」
ξ;゚听)ξ「ちょっ、危ないわよ! そんな大きなものを!?」
('A`;)「手がプルプルしてるじゃねーか!」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:47:14.50 ID:LftaUu+D0
(# ゚ω゚)「どっせええええいっっ!!」
頭二つ分はありそうな石を頭上に掲げたブーンは、ためらいも無く足元へと振り下ろした。
凄い音が辺りに響き渡り、叩きつけられた石がパックリと二つに割れて欠片が散らばる。
(;´・ω・)「危なっ――!」
(* ^ω^)「ふぅっ……どうだお? 魚は取れたかお?」
ξ# )ξ「アンタねぇ……!! 一歩間違えれば誰かが大怪我よ!?」
(; ^ω^)「ちょっ、いくら上着が無いからってじかに首絞めは――ってギブ! ギブだお!」
川 ゚ -゚)「おお、ネックハンギングツリー」
('A`;)「流石に持ち上がっては無いがな……」
持ち上がらなかったのが不満だったのか、そのまま後ろの川へとブーンを突き落とすツン。
……流石に追撃でお腹を踏みつけて沈めるのは危ないんじゃないか?
( ゚ω゚) ガバゴボガボガボ・・・
ξ ゚听)ξ「まったく、だれも怪我が無かったからよかったものの……」
怪我より酷い事になりそうなのが一名いるのですが……
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:50:13.96 ID:LftaUu+D0
○ ○ ○
('A`)「しかし、けっこう遊べるもんだな……」
小川の一角で適当に過ごしていると、気付けば二時間は過ぎていた。
体感時間と太陽の傾きから考えると……今は三時を回った位かな?
今の俺は、河原にある大きな岩の上で日向ぼっこ中だ。
('A`)「ん? 誰かの携帯鳴ってるぞー」
俺のすぐ脇にある荷物をまとめて置いた場所から、単調なメロディーが流れてくる。
(´・ω・`)「あっ、僕のだね。こっちに投げてくれない?」
('A`)「投げるって……お前今川の中心にいるじゃねーか。
もし落としたらどうするんだよ?」
(´・ω・`)「完全防水だから問題ないよ。象が踏んでも壊れない一品さ」
('A`;)「大層なもの持ってるな……ほれっ!」
(´・ω・`)「よっと、ありがとね。あー、兄さんか。もしもしー……」
兄さんって事はシャキンさんか。何の話なんだろう?
(´・ω・`)「うんうん、わかった。皆に伝えるよ、それじゃ」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:52:28.79 ID:LftaUu+D0
('A`)「何の話だった?」
(´・ω・`)「そろそろ帰らないかって。スイカ用意してるらしいよ」
川 ゚ -゚)「前回サブタイになったにも関らず、結局出てこなかったスイカか」
( ^ω^)「サブ……タイ…………?」
ξ;‐凵])ξ「ブーン、あまり深く考えないで……」
( ^ω^)「おっおっ、ともかく戻るかお?」
ξ ゚听)ξ「そうね、そろそろ休憩したいし」
川 ゚ -゚)「捕まえた魚はどうするんだ?」
あれからもブーンは魚取りを続け、岩の隙間に逃げ込んだ物を一匹ゲットしている。
今は川の脇にある水溜りの中で、ゆったりと身を泳がせているが……
( ^ω^)「一匹だけ焼くのも可哀想だから、逃がしてあげるお」
ξ ゚ー゚)ξ「まあそれが賢明ね」
狭い水溜りの中で逃げ回る魚を捕まえ、再び川へと戻すブーン。
( ^ω^)ノシ「頑張って生きるんだお、バイバイだおー!」
一見凄くいい奴に見えるが、捕まえたのはブーンなんだよな……
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:55:14.71 ID:LftaUu+D0
○ ○ ○
「もうちょっと前だおー!」
「違う、右だよ」
「だから左の方を――」
「左側2m上空だ」
(=A=;) (くそっ、好き勝手言いやがって……)
今俺は目隠しをしながら木の棒を手にし、広げられたビニールシートの上を右往左往している。
目指すは丸くて大きなスイカ……まあ夏の定番であるスイカ割りの真っ最中という訳だ。
ダミーの石やビーチボールを避けながら、四人の声を頼りにして探しているが――
「あともうちょい前だお!」
「だから右の方だって」
「もっと左――ってかむしろ後ろの方ねw」
「少し左の上空にフワフワ浮かんでいる。全力で行け」
四人ともてんでバラバラの事を言っている。
くじ引きで決められた一人は必ず本当の事を言っているはずだが……
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:56:33.65 ID:LftaUu+D0
「もうちょい前、1mだお!」
ブーンの声はいつもより上擦ってる気が……
嘘を吐いてるからか、それとも本当の事を言わなければならないからか?
「60゚ くらい右に2m前進、そこにあるよ」
こちらはいつもとまったく変わらないショボンの声。
ポーカーフェイスだから判別し辛いんだよな……
「左後ろに10歩進めばいいわよw」
ツンの声は明らかに笑っている。
……これは違うだろうな。
「体半分左に進んで、上段で振り落とせ。
上空のスイカを叩き落せるぞ」
一番冷静に話しているのはクーだが、内容が内容だ。
空中って何だよ、空中って……もうちょいまともな嘘を吐けよな。
しかし実質ブーンとショボンの二択か。
もうちょいヒントがあれば……
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:58:04.37 ID:LftaUu+D0
俺はとりあえず二人の意見だけにしぼり、ゆらゆらと動いてみる。
これで相手の出方を見て……
「もうちょい前……いや、ちょっとだけ左だお!」
「右に45゚、距離は変わらず2mだね」
「そろそろ残り時間よ」
「だから左の上空にあると……」
スイカの位置は毎回変わるので、俺の前にやった人の場所は参考にならない。
いや、待てよ……
(=A=) (ブーンの言ってた場所って、確かダミーの石がある場所じゃ……)
さっき足に当たったビーチボールとの距離と最初の配置を考えると、そんな気がしてくる。
ふっ、障害物は動かしてないのが仇になったな!
(=A=)「ショボン、スイカまで案内頼む!」
「……了解。もうちょい右に……ちょっとだけ左……よし、そのまま二歩進んで」
(=A=)「この辺りか?」
棒の先に何かが当たる。これは来たか!?
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 22:59:14.70 ID:LftaUu+D0
(=A=)「くらええぇっ!」
スイカらしき物に向け、勢い良く手にした棒を振り落とす。
手に伝わる確かな手応え、そして弾ける水の音…………水の音?
(=A=;)「なっ、ハズレ!?」
「ドクオ、ちょうど時間切れだ」
慌てて目隠しを外し、成果を確認する。
目の前に広がるのは水浸しになったビニールシートと、割れた水風船の欠片。
('A`)「じゃあブーンの方がスイカ……あれ?」
ブーンの話していた場所には俺の予想通り、ダミーの石があるだけだ。
ってか、ビニールシートの上にスイカが見当たらない気が……
ξ ゚ー゚)ξσ「あっちを見なさい、あっちを」
そんな事を言われても、そこには何も――
('A`;)「なあっ!?」
ツンの指差す先にあったのは、宙吊りにされたスイカ。
張り出した枝に吊るされたそれは、俺の頭上より高い位置にあって……
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:00:19.25 ID:LftaUu+D0
('A`;)「ってか解るかよ、こんなの! 反則じゃないか!?」
(´・ω・`)「ルール上は『スイカはビニールシートの上より外側へ置いてはいけない』だからね。
君は時々恐ろしく勘が働くから、こっちも全力でやらせてもらったよ」
('A`;)「出しすぎだろ、全力……」
川 ゚ -゚)「ちゃんと私がサポートしたと言うのに」
あんな内容信じられるかよ…… ってか短時間でよく吊るせたな……
(´・ω・`)「さて、次は僕の番だね。じゃあくじ引き頼むよ」
ビニールシートの真ん中まで移動し、目隠しをつけるショボン。
後はくじ引きでスイカを置く人と案内する人を決める訳だが……
('A`) ヒソヒソ(なあ、俺にスイカ置かせてくれない? ちょっとリベンジしてやりたくてな)
川 ゚ -゚) ヒソヒソ(別にいいんじゃないか? 言うからにはバレない位置に置けよ)
よし、じゃあこっちも全力を見せてやるとしますか……
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:03:40.20 ID:LftaUu+D0
○ ○ ○
(`・ω・´)「いいか、ひっくり返してしばらく蒸らしておくんだ。
底を叩いちゃダメだぞ、飯ごうが壊れるからな」
川 ゚ -゚)「わかりました、まかせてください」
ξ ゚听)ξ「シャキンさん、肉の大きさってこの位でいいですか?」
(`・ω・´)「ちょっと見せてくれ……そうだな、その厚さで頼む」
(´・ω・`)「別のビニールシートを継ぎ足すのは反則でしょ」
('A`;)「まだ言ってるのかよ……それを言うなら木に吊るすのも反則だろ」
結局スイカを割れる者は無く、スイカは食後のデザートになる事になった。
今は晩飯のための準備をしている真っ最中だ。
( ^ω^)「おっおっ、火加減はこのくらいでいいかお?」
(´・ω・`)「そうだね、いいと思うよ」
('A`)「野菜もOK、あとはツンの肉待ちだな」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:06:49.53 ID:LftaUu+D0
( ^ω^)「ツーン、まだかおー?」
ξ;゚听)ξ「うるさいわね、ちょっと待っててよ!」
(;`・ω・)「そこまできっちり同じ厚さに切らなくてもいいぞ……」
川 ゚ -゚)「ところでショボン、そのお湯が入った鍋は何だ?」
(´・ω・`)「パスタを茹でるための鍋だよ」
('A`;)「キャンプでパスタって……どうなんだ?」
(´・ω・`)「ふっふっふっ、まあ出来上がりを楽しみにしといて」
ξ ゚听)ξ「肉切れたわよー」
('A`;)「早っ!? さっきはまだ半分以上あっただろ?」
ξ ゚ー゚)ξ「まっ、本気を出せばこんなものよ」
川 ゚ -゚)「途中から肉の厚さのバラつきが多いがな」
ξ ゚听)ξ「焼けば一緒よ、焼けば!
厚さはどうでもいいらしいしね」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:09:23.58 ID:LftaUu+D0
(`・ω・´)「よーし、じゃあ肉焼き始めるぞー!」
(´・ω・`)「僕はパスタを作ってるから、先に始めといて」
( ^ω^)「おっおっ、しかし美味しそうだお!」
(`・ω・´)「知り合いの牧場から貰った物だからな。味は保障しよう」
ξ ゚听)ξ「鉄板の準備出来てますよ」
(`・ω・´)「油はちゃんと脂身で敷いてあるな、よしよし……」
川 ゚ -゚)「野菜は何時いれます?」
(`・ω・´)「まずはしばらく肉を炙ってからだ」
( ^ω^)「おおっ、いい音だお!」
('A`)「音だけでご飯いけそうだな……」
(`・ω・´)「おっ、そうだ。ご飯を人数分よそってくれないか?」
('A`)「あー、じゃあ俺がやっときます」
( ^ω^)「おっおっ、おっにくおにくー♪」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:12:09.14 ID:LftaUu+D0
('A`)「ご飯入れて来まし――」
( ^ω^)「ハグッ、ハグハグッ!!」
('A`;)「もう食ってる!?」
ξ#゚听)ξ「生焼けを勝手に食べない!!」
(; ゚ω゚)「ブモホッ!? み、鳩尾が……」
ξ ゚听)ξ「フン、自業自得よ」
川 ゚ -゚)「ところで、ブーン。君の吐き出した肉が私のシャツにべったりなんだが……」
(; ^ω^)「そ、それは……」
川 ゚ -゚)「あーあ、気に入りの服だったのになー、どうしてくれるのかなー?」
(; ^ω^)「さ、さー……」
川 ゚ -゚)「『さー』……何だ?」
(; ^ω^)「さー、サーセンwww」
川 ゚ -゚)「…………」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:15:15.02 ID:LftaUu+D0
(; ^ω^)「あ、あのー……クーさん?」
川 ゚ -゚)「シャキンさん、豚の丸焼きは料理できます?」
(`・ω・´)「ん? やった事は無いが……」
川 - )「解りました、では私がちょうどいい大きさに解体しておきます。
美味しい豚料理期待してますから」
(; ^ω^)「ちょっ、肉切包丁を振り上げるのは……」
('A`;)「クーがキレるのは久々だな……」
ξ ゚听)ξ「珍しいわね、記念に撮影しとこ」
(´・ω・`)「パスタ出来たけど……何なの、この状況?」
倒れたブーンの上に馬乗りになり、包丁を振り上げてるクー。
彼氏のピンチを淡々と撮影しているツン。
それらを横目に見ながら黙々と肉を焼くシャキンさん。
……俺が説明してほしいぐらいだ。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:18:03.23 ID:LftaUu+D0
* * *
(´・ω・`)「それでは、この場を提供してくれたシャキン兄さんに感謝しつつ……カンパーイ!」
川 ゚ -゚) ゚ー゚)ξ 『カンパーイ!!』 (`・ω(^ω^ ('A`)
( ^ω^)「ハグッ、フグフグゥッ!!」
('A`;)「相変わらずキモい――って何!? これ肉なの!? ウマッ!?」
(`・ω・´)「ソースも自信作だからな。バンバン食べてくれ」
ξ;゚听)ξ「ってかこのパスタの味……」
(´・ω・`)「ん? 口に合わなかった?」
ξ ゚听)ξ「いえ、美味しすぎて憎たらしいだけよ。その腕全部私に分けてくれない?」
川 ゚ -゚)「店に出せるレベルだな。二日に一回ぐらい私のために作らないか?」
(´・ω・`)「悪いけど両方断らせてもらうよ、時々ならいいけど……」
ξ ゚听)ξ「じゃあ左手の中指と薬指だけでいいわ」
(;´・ω・)「腕が欲しいって物理的な意味!?」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:21:14.04 ID:LftaUu+D0
(`・ω・´)「追加の肉焼けたぞ」
(* ^ω^)「肉ッ! 食わずにはいられないおっ!」
ξ ゚听)ξ「あっ、じゃあこっちの皿にもお願いします」
川 ゚ -゚)「はら、野菜も焼けたぞ。食え食え」
( ^ω^)「おっ、ありがとだお!」
川 ゚ -゚)「……ツン、ブーンは野菜を食べるのか?」
ξ;゚听)ξ「別に野菜嫌いって事はないけど……どうしたの?」
川 - ) ボソボソ(豚のくせに……)
('A`;)「相当根に持ってるな、クーの奴は」
(´・ω・`)「そもそも豚だったら野菜を食べるんじゃ……」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:24:24.85 ID:LftaUu+D0
ξ;゚听)ξ「しかし、いい加減気を治してほしいものね」
(´・ω・`)「まあこんな事もあろうかと……」
川 ゚ -゚) ボソボソ(焼き豚よりは、やっぱり餃子に……)
(´・ω・`)「まあまあ、クー。これでも飲みなよ」
つ旦
川 ゚ -゚)「これは……」
(´・ω・`)「好きでしょ? ルートビア」
川 ゚ -゚)「……フン、まあ今日の所は勘弁してやるか」
('A`;)「クーもあれが好きなのか……」
ξ ゚听)ξ「ってか、なんでショボンはその事を知ってたの?」
(´・ω・`)「シューから聞いたんだ。砂緒会では定番の飲み物らしいよ」
('A`;)「ちょっと待て、砂緒会って何だ!?」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:27:10.26 ID:LftaUu+D0
( ^ω^)「熱々のソーセージにピリ辛ダレ、そしてホカホカ白ご飯……正直たまらんお!」
(`・ω・´)「米もまだ残ってるからな、どんどん食べてくれ」
ξ ゚听)ξ「そういえばウインナーとソーセージの違いって何なのかしら?」
('A`)「うーん……英語とフランス語とか、そういう呼び方の違いじゃないか?」
川 ゚ -゚)「ん、何だ? 二人とも由来を知らないのか?
二つとも昔のドイツの人名から来ているんだ」
ξ ゚听)ξ「へー、そうだったの」
川 ゚ -゚)「有名な逸話だ。7世紀の初頭辺り、ドイツの北部にあった田舎町での事だ。
肉屋のウィン一族の者が、腸に詰めた肉を塩茹でにした保存食の作り方を開発した」
('A`)「なるほど、ウィン一族だからウインナーか」
川 ゚ -゚)「その美味しさと保存性から、早々に町の新名物となったが……
隣町のソルセ家の者が、その評判に目を付けた。
彼らは当時の首都であったスロヴェーチェに移り住み、そこで大々的に販売を始めたんだ」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:30:08.79 ID:LftaUu+D0
( ^ω^)「『ソーセージ』としてかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、そうだ。勿論飛ぶように売れ、たちまち国中へと広まるほどのヒットを上げた。
当時の最高権力者、ヴァンヘルイン三世も好んでいたという記録も残されている。
……だが、当然ウィン家の一族はいい思いをしない。自分達が作った物が盗まれたんだからな」
('A`)「まっ、そりゃ当然だな」
川 ゚ -゚)「しかし時既に遅く、『ソーセージ』という呼び名は国中に定着してしまった。
今では一応『ソーセージ』がポピュラーな言い方ではあるが、
ウィン家に敬意を払い『ウインナー』と呼ぶ人も少なくはない……という訳だな」
ξ ゚听)ξ「ウインナーにそんな深い話があったなんて……」
( ^ω^)「おっおっ、ボクはこれからはウインナー派で行くお!」
('A`)「中々興味深い話だったな、ありがとな」
(;´‐ω‐)「……クー、その話どこから聞いたの?」
川 ゚ -゚)「例の叔父さんだが……どうした?」
(´・ω・`)「その話、真っ赤な嘘。大嘘だよ」
川 ゚ -゚)
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:33:50.31 ID:LftaUu+D0
('A`;)「そうなのか?」
(´・ω・`)「本来ソーセージは『塩漬け』を表す、ラテン語から来てるんだよ。
ウインナーはオーストリアのウイーン式ソーセージの事。
ちなみにフランクフルトも都市の名前だよ」
川 ゚ -゚)
ξ;゚听)ξ「ちょっとクー、大丈夫?」
(´・ω・`)「そもそもソーセージは3000年以上の歴史がある食べ物だよ。
ちなみに日本に伝わったのは第一次世界大戦時に、ドイツ人によってだね」
川 ゚ -゚)
ξ;゚听)ξノシ「おーい、生きてるー……?」
(´・ω・`)「まあ細部は違うかもしれないけど、概ねはそんな感じだね」
( ^ω^)「おおっ、ありがとだお!」
川 ゚ -゚)
ξ;゚听)ξ「へんじがない ただのしかばねのようだ ・ ・ ・ 」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:36:33.53 ID:LftaUu+D0
○ ○ ○
BBQも終わりに近づいた頃には、すっかり日も暮れていた。
今は皆でデザートのスイカをシャクシャク食べている最中だ。
('A`)「はあーっ、食った食った」
( ^ω^)「いやー、幸せだお……」
ξ ゚听)ξ「シャキンさん、本当にご馳走様でした」
川 ゚ -゚)「ショボンもありがとな、パスタ美味しかったよ」
(´・ω・`)「いやいや、喜んで貰えてよかったよ」
(`・ω・´)「……そういえば、ショボンは普段学校ではどんな感じなんだ?」
ξ ゚听)ξ「学校で……そうですねー」
('A`)「端的に言うなら、『優等生』って所だと思います」
( ^ω^)「真面目で淡々としているお」
川 ゚ -゚)「かと言って堅苦しい訳でもないな」
(;´・ω・)「なんか聞いててくすぐったいんだけど……」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:39:33.06 ID:LftaUu+D0
ξ ゚ー゚)ξ「とりあえず、本当にいい親友です」
( ^ω^)「裏でしっかり纏めてくれるサブリーダーって所かお?」
川 ゚ -゚)「まっ、リーダー的な人はいないがな」
そういやそうだな。大体五人で適当に相談して、その場のノリで方針が決まるというか……
(`・ω・´)「いやいや、上手く学生生活をやれている様で良かったよ」
(´・ω・`)「だから大丈夫だって……」
ξ ゚听)ξ「そういえば、昔のショボンってどんな感じなんですか?」
('A`)「あんまり中学の頃の話をしないんですよね」
まあそれはクーにもいえる事なんだが……
(`・ω・´)「そうだな……ショボンは、10歳の頃からしばらく海外で暮らしていたんだ」
(;´・ω・)「……っ!? 兄さん!!」
どうしたんだ? 急にショボンの声が荒くなったような……
(`・ω・´)「なんだ、これくらい言ってもいいじゃないか」
(#´・ω・)「この事は機を見て話をしようと……はあっ、もういいけど」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:42:17.02 ID:LftaUu+D0
( ^ω^)「海外ってどこだお?」
(`・ω・´)「モスカウ王国……いや、今は共和国だったな」
モスカウ共和国は、西の大陸の北東に位置する小国だ。
数年前に大規模なクーデターがあり、王国から共和国へと変わっている。
ξ;゚听)ξ「内紛とかが盛んだったと思うけど……大丈夫だったの?」
(´・ω・`)「……まあ、僕が暮らしていた地区自体は激戦区から外れていたね」
('A`)「そういや何でそんな所に住んでたんだ? やっぱ両親の仕事の関係?」
(´・ω・`)「まあ発端はそんな所だね、内紛に巻き込まれて二人とも死んじゃったけど」
ξ;゚听)ξ「……えっ!?」
('A`;)「いや、ゴメン。マジで」
(´・ω・`)「気にしなくていいよ、両親の不注意だったから。
テロの危険が高い時に首都まで行って……」
川 ゚ -゚)「……割とドライだな」
(´・ω・`)「まあ、そうかもね」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:45:16.98 ID:LftaUu+D0
(´・ω・`)「まあしばらくの間知った人の世話になってたんだけど……
一年半ほど前に兄さんと会って、こっちに移り住む事になったんだ」
(`・ω・´)「中学時代はややギクシャクしてたので不安だったんだが……
まあ君達の様子を見てると大丈夫そうだな」
しかし、ショボンにそんな過去があったとは……
(´・ω・`)「まあ、そんな気にしないでよ。もう昔の事だしね」
川 ゚ -゚)「…………」
('A`;)「まあショボンがそういうなら……」
本人が気にしてないなら、変な気遣いをかける方が迷惑かもな。
(´・ω・`)「さっ、こんな話は終わりにしよう。
兄さん、たしかアレがあったよね?」
(`・ω・´)「そうだな、もう暗いしな。車から取ってこよう」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:48:14.38 ID:LftaUu+D0
シャキンさんが車に戻って、段ボール箱を二つほど持ってくる。
その蓋が開かれた時、俺達は絶句する事となった。
(; ^ω^)「凄いお……」
ξ;゚听)ξ「これは……」
俺達の前にある物、その正体は様々な種類の花火。
一応こんな時の定番アイテムだろうが……問題は、その量だ。
(;`・ω・)「適当に用意させてもらったが……多かったか?」
(´・ω・`)「一週間は連続で出来そうな量だね」
('A`;)「軽い店なら開けそうだな」
川 ゚ -゚)「検問に引っ掛ったら捕まるな、間違いなく」
段ボール二箱分の花火……こんなに一杯どうしたんだ?
(`・ω・´)「知り合いの倉庫に眠っていたものだ。
いらないというから分けてもらったんだが……」
(; ^ω^)「線香花火が大量に……千本ぐらいあるんじゃないかお?」
ξ ゚听)ξ「無理して全部消費しなきゃいけない訳じゃないだろうから……
シャキンさん、早く始めませんか」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:51:41.78 ID:LftaUu+D0
○ ○ ○
河原のすぐそばにある、地面がむき出しになっている所まで俺達は移動した。
点火用のロウソクに消火用のバケツ、準備は万端だ。
( ^ω^)「それじゃ、準備できたかお?」
('A`)「OK、バッチリだ」
(´・ω・`)「こっちもだね、じゃあ……兄さん、合図とってよ」
並んで膝を下ろしている俺達三人の前には、膝丈ほどの高さはある筒花火が設置されていた。
少し離れた所に作られた休憩スペースには他の三人の姿があり、俺達の姿を遠巻きに眺めている。
(`・ω・´)「俺か……? まあいい。
ではこれより、バーボンハウス主催の花火大会を始める。
くれぐれも怪我をしないようにな。各自、点火!」
シャキンさんの合図と同時、持っていたライターで導火線に火をつける。
点火したのを確認した俺は、急いでシャキンさん達が待つ所まで駆け寄った。
川 ゚ -゚)「おつかれー、ジュースいるか?」
('A`)「今点けたのを見終わってからな」
振り返った俺の目に入ってきたのは、色取り取りに変わる三本の火柱と、手前でこけているブーンの姿。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:54:15.94 ID:LftaUu+D0
* * *
(; ^ω^)「あー、まだ鼻がズキズキするお……」
ξ ゚听)ξ「お疲れー、何飲む?」
( ^ω^)「何か甘い物がいいお!」
ξ ゚听)ξ「じゃあ……MAXジョージアね」
('A`)「あー、ツン。俺にも炭酸系のを取ってくれ」
(´・ω・`)「はい、手持ち花火用意できたよー」
('A`)「わかった。ツンも行かないか?」
ξ ゚听)ξ「私はもうちょいゆっくりしてるから」
( ^ω^)「さっそく二本同時点火だお!」
('A`)「OK、なら俺は三刀流だ!」
川 ゚ -゚)「私の花火は百八本まであるぞ」
(; ^ω^)「ちょっwww 太過ぎwww」
('A`;)「最早タイマツみたいになって――ってバカッ! こっち向けんな!」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/05(木) 23:57:09.79 ID:LftaUu+D0
川 ゚ -゚)「汚物は消毒だー」
(゚A゚;)「熱ッ! 熱いから!」
ξ*゚∀゚)ξ「アハハハハハッ!! ドクオがカラフルだし!!」
(; ^ω^)「あのー……その右手に持っているのは、もしかして――」
ξ*゚听)ξ「なーによー、一本しかないからあげないわよー」
(;´・ω・)「ちょっと兄さん! 何でクーラーボックスにカシスオレンジが入ってるの?」
(・ω・´;)「家の冷蔵庫にあったのを適当に突っ込んだんだが……すまん、混じっていたようだな」
ξ*゚ー゚)ξ「ねえ、ブーン。あんたのとこにもこのジュースしいれてよー。
とってもおいしいのよー!」
(; ^ω^)「だからそれはジュースじゃないお! それにもう売られてるお!」
ξ*゚听)ξ ノシ 「えー、じゃあ今度ガロンで用意しといてーwww」 ペシペシ
(; ^ω^)「ガロッ――ちょっ、ポコポコ殴ってくるなお!」
(;´・ω・)「ちょっと、ツン。あんまりブーンを苛めるのは――」
ξ*゚听)ξ「なによー。いくらショボンでも、ブーンはわたせないんだからねっ!」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:00:24.24 ID:Vcso3g6w0
(´・ω・`)「いや、そんな話じゃないし……」
ξ*‐凵])ξ「ブーンはねっ! ノーマルなのよ! 薔薇とか百合とか関係ないの!」
(;´・ω・)「バラはともかく、ユリって……」
ξ*゚ー゚)ξ「ブーンはねっ、わたしのものなのよ!」 ぎゅー
(;*゚ω゚)「だ、抱きつわえsrdt胸が顔にっつぇfyぐひっじこおおおpl!!」
ξ* )ξ「ブーン……アタシは、あんたのことが…………」 ガクッ
(;´・ω・)「ちょっと、大丈夫?」
ξ*‐凵])ξ ……ZZZ
(;*^ω^)「…………寝ちゃったかお」
(´・ω・`)「やれやれ……」
( ^ω^)「まったく……しょうがないお、ちょっとテントまで連れていってくるお」
(´・ω・`)「大丈夫? ライト持つよ」
( ^ω^)「いや、シャキンさんからヘッドライトを借りるから大丈夫だお。
ショボンはゆっくりしてるといいお」
(´・ω・`)「足元には気をつけてね」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:03:58.82 ID:Vcso3g6w0
( A iil)「し、死ぬかと思った……」
(´・ω・`)「あっ、お疲れー。クーは?」
('A`)「あっちの方でシャキンさんと花火をやってるよ。
何でも聞きたい事があるからって……あれ? ブーンとツンは?」
(´・ω・`)「ツンが間違ってお酒を飲んじゃってさ……
今ブーンがテントに連れて行ってる所だね」
('A`)「こっちが花火に追い回されてる間に、向こうは仲良く逢引かよ……」
(´・ω・`)「ブーンにそんな事をやる勇気あると思う?」
('A`)「……いや、ないな。千円賭けてもいい」
(´・ω・`)「だよねぇ……」
川 ゚ -゚)「ん、どうした? そんなしんみりした顔を並べて」
('A`)「おっ、戻ってきたか」
川 ゚ -゚)「聞きたい事は聞けたからな。それより二人とも花火をしないのか?
まだ一割も消費してないぞ」
('A`)「そうだな、こんな大量の花火をする機会なんてあまり無いし……
ただ人に向けるのだけは頼むから止めてくれ」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:06:15.49 ID:Vcso3g6w0
△ △ △
('A`;)「だいぶやったなあ……」
(´・ω・`)「箱の中身は全種類コンプしたんじゃない?」
川 ゚ -゚)「それでもまだ一箱半は残ってるがな」
('A`)「どうする? そろそろやめるか?」
(´・ω・`)「ブーンがまだ戻ってこないけど……先に止めていいかな?」
川 ゚ -゚)「まったく……テントが愛の巣になってない事を祈るばかりだな」
('A`;)「それは嫌すぎるな……」
ここまで帰りが遅いと、万が一が無いとは言い切れない。
('A`)「まあそん時は、俺のテ――」
川 ゚ -゚)「もしそうなっていたら、野宿決定だな……
ん、何か言ったか?」
……いや、何も言ってない。言ってないぞ!
(´・ω・`)「あっ、ブーンが帰ってきたよ」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:09:23.50 ID:Vcso3g6w0
(メメ´ω`)「お疲れだお、みんな…………」
('A`;)「いやいや、明らかにそっちの方が疲れてるだろ!」
(´・ω・`)「一体何があったの?」
(メメ´ω`)「寝かせようと思ったら寝惚けて抱きつかれて、そのまま顔を噛まれて……
引き剥がそうとしたら蹴られて、殴られて、絡み付かれて……」
川 ゚ -゚)「ある意味幸せなシチュに聞こえるんだが」
(メメ´ω`)「殴られるのに耐えれるならそうかも知れないお……」
(´・ω・`)「そういえば花火どうする? もうそろそろお開きにしようと思ってたんだけど」
(メメ´ω`)「ボクはもう眠りたいお……」
('A`;)「じゃあ終わるか。シャキンさん、片付けはどうします?」
(`・ω・´)「一応降水確率は0%だが、通り雨が降るといけないからな。
濡れたら困る物だけ片付けて、後は朝になってからにしよう」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:12:31.52 ID:Vcso3g6w0
○ ○ ○
シャキンさんの片付けを手伝い、テントに戻った頃には10時を回っていた。
後は寝るだけなのだが……
( ‐ω‐) 「ファー! ブルスコファー! ……ZZZ」
('A`;)「ね、眠れん……」
隣の寝袋の主が、とことん俺の安眠を妨害してくる。
寝言に歯軋り、極めつけには寝袋を飛び出して蹴ってくる始末だ。
それでも何とか眠ろうとしてみるが、うとうとした辺りで起こされるというサイクルの繰り返し。
('A`;)「今何時だよ…………って、もう日付変わってるし……」
喉渇いた。水でも飲みにいくか……
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:15:09.61 ID:Vcso3g6w0
テントを抜けると、上には満天の星空が浮かんでいた。
中学まで俺の住んでいた所はかなり田舎だったが、それでもここまでの星空は見れないだろう。
携帯の灯りを頼りにして、夕飯を食べた場所まで移動する。
キーパーから水を一杯飲み、とりあえず一息をついた。
('A`)「しっかし、本当に星が綺麗だな……」
耳を澄ませば、山の虫達の鳴き声に、木々が風に煽られるざわめきの音。
……これでブーンのいびきがうっすらと聞こえてこなければ最高なんだがな。
('A`)「……あれ?」
少し離れた方に、チラチラとした光が見える。
オレンジ色の淡い光、ライターの炎に見えたが……
('A`;)「人魂だったら嫌だな……」
ややおっかなびっくりな足取りで、その炎の方に近づいて行く。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:18:15.62 ID:Vcso3g6w0
炎が消えた後も、細かな燃えカスの様な光がまだ灯っているのが見えた。
そしてそれを持つ、しゃがみ込んだ人影の姿もだ。
('A`)「ってあの光は――」
やがて燃え残りの火の玉がパチパチと音を鳴らし、火の粉を飛ばしていく。
……炎の正体が線香花火だと俺が気付くと同時、それを持っていた人影がこちらに気付いた。
川 ゚ -゚)「ドクオか。こんな夜遅くにどうした?」
('A`;)「それは俺も聞きたいが……ブーンが五月蝿くて眠れなくてな」
川 ゚ -゚)「そうか……私もちょっと寝付けなくてな。
ちょろまかした線香花火を黙々と消化していた所だ」
クーの足元には大量の花火の軸が捨てられている。
一体いつからやってるんだ……?
('A`)「俺もやっていいか?」
川 ゚ -゚)「そこに置いてあるから勝手にやってくれ」
手探りで花火を袋から取り出し、ライターで火をつける。
クーの花火からしばらく遅れて、俺の奴もパチパチと爆ぜ始めた。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:21:33.39 ID:Vcso3g6w0
('A`;)「あっ……くそっ、落としちゃったか」
川 ゚ -゚)「根気が足りんぞ、根気が」
クーの手元には未だに火の玉がある。
地味に上手いな、こいつ……
('A`)「リベンジだ、リベンジ」
川 ゚ -゚)「そんなので私に勝と――ちっ、落ちたか」
('A`)「どうせなら一緒に始めるか?」
川 ゚ -゚)「ふっ、私には勝てないだろうがな……」
クーの手元の火で二人の花火を同時に点す。
最初は勢いよく燃え、少し落ち着いた後にパチパチと爆ぜ始める。
川 ゚ -゚)「……なあ、ドクオ」
('A`)「なんだよ、動揺させようたって無駄――」
川 ゚ -゚)「もし今この時間に、君の両親が死んだとしたらどう思う?」
俺の手元の火球が、ポトリと地面に落ちた。
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:24:06.31 ID:Vcso3g6w0
◇ ◇ ◇
月が山の間から顔を出し、ドクオの顔が照らし出される。
さすがは月明かり、昔の人が農業をやってただけの事はあるな。
('A`;)「ちょっ、いきなり何言い出すんだよ!?」
川 ゚ -゚)「ドクオ、今日のショボンの言葉を覚えてるか?」
('A`)「……モスカウの件か?」
川 ゚ -゚)「そう、その時にショボンが話した言葉だ」
涼しい顔をして、サラリと言いのけたあの一言。
(´・ω・`)『まあ発端はそんな所だね、内紛に巻き込まれて二人とも死んじゃったけど』
(´・ω・`)『気にしなくていいよ、両親の不注意だったから』
(´・ω・`)『まあ、そんな気にしないでよ。もう昔の事だしね』
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:27:35.92 ID:Vcso3g6w0
川 ゚ -゚)「私は、彼があんなにサラリと言えた事がまだ理解できない。
両親の死をあんなに軽く受け止められる事が……」
('A`;)「だからと言って、いきなり死ぬとか言われてもな。ちょっと不謹慎だぜ」
川 ゚ -゚)「……すまない、たしかにそうだな。
しかしだ、実の親だぞ、実の親。しかも殺されてるというのに、あんなのうのうと――」
('A`)「俺は別に、あんな反応もあるんじゃないかと思うがな」
川 ゚ -゚)「…………そうなのか?」
('A`)「男だし、あまり親にべったり好き好きって事は言えないと思うぜ?
少なくとも俺なら恥ずかしくて、ショボンみたいに気にしてない態度を取るな」
川 ゚ -゚)「……そう、なのか」
やはりショボンも、心の中では寂しがってる……のか。
('A`;)「しかし、クーならその位の事はすぐに理解出来そうなものだがな……」
川 ゚ -゚)「そうか?」
('A`)「……いや、やっぱクーなら解らないかもなw」
ちょい待ち、どういう事だ?
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:30:09.74 ID:Vcso3g6w0
川 ゚ -゚)「……普段ドクオは私の事をどう思っているんだ?」
('A`)「冷静で頭はいいが、時々変な事をする奴。無表情」
川 ゚ -゚)「失礼な、私ほど感情表現が豊かな人間はいないぞ」
('A`;)「今まで目を隠す以外のパターン見てないっつーの!
せめて汗ぐらいは出せよな!?」
まったく、一応汗をかいた事もあるのだが……
川 ゚ -゚)「あと『美人』の項目が抜けてるぞ」
('A`;)「……とりあえず、『自信家』という項目が加えられたな」
川 ゚ -゚)「自信家、大いに結構だ」
('A`;)「まったく、なんで俺の周りはこんな奴ばっかりなのかね……」
川 ゚ -゚)「ショボンとツンは常識人じゃないのか?」
('A`)「確かにショボンは常識人だが、ツンは存在が――
あっ、いや! ツンも常識人だな!」
……なーんか怪しい事を言ってくれるじゃないか。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 00:33:56.74 ID:Vcso3g6w0
川 ゚ -゚)「んー? ツンがどうしたんだー?」
('A`;)「だから何も無い……ってか真顔で迫ってくるなよ!」
む……おかしいな。私としてはニヤニヤ顔のつもりだったが……
川 ゚ -゚)「そんなに私は無表情だったのか……」
('A`;)「今更落ち込まれても……それにまだ無表情だし」
……流石にそこまで言われると腹が立つ。
川 ゚ -゚)「よし、これでどうだ?」
('A`)「どうと言われても……いつもと変わらないが」
馬鹿なっ!? 満面の笑みを浮かべてるというのに!
川 ゚ -゚)「じゃあこれなら……」
('A`)「いや、だから変わってないから」
むぅ、怒り顔も駄目か……
m9 川 ゚ -゚) 9m「じゃあこれなら……」
('A`;)「馬鹿にしているのはよくわかるが……表情じゃないからな、それ」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[久しぶりだね、猿さん] 投稿日:2010/08/06(金) 01:00:02.69 ID:Vcso3g6w0
△ △ △
川 - )「中学の頃、機械女と言われた事があった。
当時は意味が解らなかったが……そういう事だったのか」
あーあ、すっかり落ち込んじゃったか……
しかし本人が気付いてなかったとは思わなかったぜ。
('A`)「まあ、別にいいんじゃないか? クーらしいというか……
別に無表情なのが気持ち悪い訳じゃないし……」
川 ゚ -゚)「そ、そうか……」
傍から見ると解り辛いが、少し嬉しそうな顔になるクー。
一応一学期間は友達付き合いをしているので、この位の変化なら掴めるのだ。
川 ゚ -゚)「まあ確かに高校に上がってからは、人付き合いも上手く行くようになったしな。
中学の頃と比べると……」
……どうやら中学の頃はだいぶ苦労したようだな。
大方無愛想な奴とか思われて、付き合いが薄かったんだろうな……
('A`)「まっ、その分今を楽しめばいいだろ!」
俺も中学の頃は友達があまりいなかったから、少しはクーの気持ちが解る。
せいぜい一組のラブラブ(?)カップルに思いっきり巻き込まれていたぐらいだ。
今もあいつら元気にしてるのかな……いや、元気に決まってるな、あいつらなら。
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/08/06(金) 01:02:58.95 ID:Vcso3g6w0
川 ゚ -゚)「そうだな。ツンにブーン、ショボン。シューにヒート……それにドクオ。
クラスの皆には本当に感謝してるよ」
('A`)「……まったくだな。今日のキャンプもショボンがいてくれたおかげだし」
……俺がこの高校に入学した裏には、ある一つの偶然があった。
受験の時に保険で他の高校も受けていて、受かったそちらの方にもそこそこ興味があったのだ。
結局どちらにするか悩んだあげく――俺が取った手段はコイントスだった。
まあそのコインが指し示した結果、今こうしてVIP高校に在籍してるわけだが……
('A`)「あの時裏が出てたら、今ここにはいないんだよな……」
川 ゚ -゚)「……裏? 何のことだ?」
('A`;)「あっ、いや! 気にしないでくれ!」
もし裏が出た世界があったとしても、そこの俺がどんな生活なのかは解らない。
今以上にリア充してるかもしれないし、引きこもり一直線なのかもしれない。
……ただ一ついえる事、それは表を出した自分は全く後悔してない事だ。
ようやく半ばを過ぎようとしている夏休み、もっと楽しんでいかないとな!
【次回へ続く】
- 70 名前:【次回予告】 投稿日:2010/08/06(金) 01:05:04.30 ID:Vcso3g6w0
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( ゚∀゚)「なあ、最近の話を見て思ったんだが……」
('A`)「ん、何をだ?」
_
( ゚∀゚)「タイトルに反して、けっこう平穏に過ごしてるんじゃないか?」
('A`)「…………」 パチンッ
_
(; ゚∀゚)「あれっ、何か黒服の男がわらわら出てきてるんだけど!?
えっ、俺囲まれてない!? 何か体掴んでくるし! どこ連れてく気!?」
('A`)「さて、次のストーリーは――」
皆が待ちわびた夏休み、嫌いな奴など存在しない!
海に山川、肝試しに虫取り、花火大会にスイカバー!
正直イベントてんこ盛り、お化けが出たら撃ちまくれ!
そんな次回、第7話:『塊マンボ!』
戦ってはいけないんだ、僕たちは!
< チョッ、ドリルトカ…… ムリッ、ゼッタイムリ!
('A`)「なんか意味不明な言葉が最後にある……ってあれ?」
< イヤ、ハイラナイカラ! ダレカタスケテー!
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