- 6 名前:以下、雑談にかわりまして本編をお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 19:52:23.09 ID:JfDpwXje0
□ □ □
ξ;゚−゚)ξ(大丈夫、ただボタンを押すだけ。それだけ……)
私の右手の親指は、握り締めた携帯の通話ボタンに掛けられていた。
画面には昔から馴染みのある家庭用電話の番号、今でもそらで唱える事が出来る。
あのバカは携帯を部屋に置きっぱのまま家をうろつくので、こっちの方が出る確率は高いんだけど……
ξ;゚听)ξ(おばさんが出てくれた方が話しやすいかも……)
左手に握り締めた二枚のチケット、それをチラリと見て勇気を振り絞る。
……そう、これは単純に、ブーンと遊園地に行くだけ。
折角のチケットが勿体無いから、とりあえず馴染みのある友達を誘うだけよ。
ξ;゚−゚)ξ(ええいっ、もうどうにでもなれ!)
携帯のボタンを押し込み、耳へと当てる。
幾度かの呼び出し音が鳴り響いたあと、受話器が上がる音がした。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 19:54:17.22 ID:JfDpwXje0
『もしもし、ボクだお。どちら様ですかお?』
たしかアイツの家の電話はナンバーディスプレイだから、会話相手を特定できるはずなんだけど……
ξ;゚听)ξ「津出ツンです。ブーン、『ボク』だとどこの家に掛かったか解らないわよ。
ちゃんと『内藤です』とかって言いなさい!」
( ^ω^)『おっおっ、冗談だお。ツンからの電話だって事は解ってるお』
ξ;゚听)ξ「まったく……」
いけない、アイツのペースに飲まれて本題を忘れそうになってる……
ξ ゚听)ξ「ともかく……ブーン、明日予定は空いてる?」
( ^ω^)『おっおっ、明日はRPGのレベル上げに費やす予定だお』
ξ;‐凵])ξ「その予定、明後日にしなさい。
実は今日クーからね、遊園地のチケットを貰ったの」
( ^ω^)『あっ、わかったお。それに皆で行くって話かお?』
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 19:55:52.57 ID:JfDpwXje0
ξ ゚听)ξ「いや、実はそのチケットが二枚しかなくて……
クーは用事があるからって、私にくれたのよ」
( ^ω^)『へー、クーも羽振りがいいお。別の日にいけばいいのにお』
ξ ゚听)ξ「ブーン、『TYBARO』って知ってる?」
( ^ω^)『もうすぐ雷雲市にオープンする予定の―― あっ、もしかしてそのチケットかお!?』
ξ ゚ー゚)ξ「ご名答。明日プレオープンがあってね、それのチケットなのよ」
( ^ω^)『うーん、面白そうだけど……わかったお、ドクオに断りの電話をいれとくお』
ξ ゚听)ξ「ちょっと待って、なんでドクオが出てくるの? 明日の予定はレベル上げじゃ――」
( ^ω^)『いや、ドクオと二人でやる予定だったんだお』
ξ;゚听)ξ「アンタ達そんな寂しい事やってるの!? せめて対戦ゲームとかにしなさい!」
俺達は平穏に過ごせないようです
(,,゚Д゚)<『その7:塊マンボ! 〜 5th BLT Sandwich Mix 〜』だぞ、ゴルァ!
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 19:57:09.64 ID:JfDpwXje0
△ △ △
('A`)「まあ、明日用事が入った事はよくわかったが……」
( ^ω^)『ごめんお……じゃあ、また今度だお!』
('A`;)「あっ、ちょっと待―― ちっ、切れたか……」
いきなり電話をかけてきて、明日の予定が無理になったと伝えてきたブーン。
まあそれ自体はいいんだが……
('A`;) (結局アイツ、断った理由を言わなかったな……)
理由を聞いても、ごにょごにょと誤魔化すばかり。
そんなにやましい事なのか……?
('A`) 「(さーて、じゃあ明日は――) ……んあ?」
手元に握りっぱなしだった携帯が、一昔前に流行った曲を奏で出す。
この着メロが流れるという事は……珍しいな、あいつからかけて来るなんて。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 19:58:35.64 ID:JfDpwXje0
('A`)「あー、もしもし?」
『もしもし、私だ。今いいか?』
('A`;)「一応名前言えよな、クー。用事は何だ?」
川 ゚ -゚)『いいか、ドクオ。いきなりですまないが真面目な話がある』
('A`;)「ん……なんだ?」
川 ゚ -゚)『お前は、ツンの事が好きなのか?』
('A`;)「………………はい?」
……本当にいきなり何を聞いてるんだ!?
川 ゚ -゚)『おっと、ツンにはブーンがいるとか、そんな事を言い訳に出すなよ。
純粋に、ツンを異性として愛しているかどうか……それを確認しておきたい。
大丈夫、勿論誰にも口外しない。私とドクオだけの秘密だ』
('A`;)「それは……」
川 ゚ -゚)『建て前とかはいい。ドクオの素直な気持ちを聞かせてくれ』
素直な気持ち、か……
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 19:59:47.62 ID:JfDpwXje0
('A`)「……正直な所、俺にはツンを親友としか見て取れない。
そりゃ何度か仕草とかにクラッと来た事はあるが……
付き合いたいとかという感情は、正直あまりないな」
川 ゚ -゚)『……わかった、それがドクオの本心なんだな』
('A`)「ああ。それに言い訳とかではなく、あの二人にはハッピーエンドを迎えてほしいしな」
川 ゚ -゚)『ドクオ…… さすがにそのセリフは痛いぞ』
…………泣いてないぞ、これは目から出た汗だからな。
川 ゚ -゚)『OK、じゃあ次の話に移ろう。
そっちの明日の予定は開いてるか?』
('A`)「明日か……少し前にフリーになった所だ」
川 ゚ -゚)『……もしかして、ブーンと遊ぶ約束でもしてたのか?』
('A`)「ちょい待て、なぜ解るんだ?」
川 ゚ -゚)『多分元凶は私だからだ。実はな……』
〜 〜 〜
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:00:59.80 ID:JfDpwXje0
('A`)「なーるほど、二人がデートにねぇ……
しかしクーも欲が無いな。折角のチケットをツンにあげるなんて」
川 ゚ -゚)『いや、実はな……チケットは全部で五枚あるんだ』
('A`;)「えっ?」
川 ゚ -゚)『あの二人の仲が進展しないからな。まあこんなきっかけでもないと無理だろ』
('A`)「で、残ったチケットはどうするんだ?」
川 ゚ -゚)『その話を今からする所だ。ドクオ、お前は尾行の経験あるか?』
('A`;)「あー……まあ一応は」
あれは中学二年の事、今でも思い出したくないランキングのベスト3に入る出来事だ。
小悪魔的……というよりは悪魔的な女から、ある同級生の尾行を頼まれ……というより強制され――
…………何の縁か知らないが、そういえばあの女の苗字も砂緒だったな。
川 ゚ -゚)『よし、なら話は早い。明日ツン達をこっそり見守らないか?』
('A`)「あー……やっぱりそれか」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:03:07.83 ID:JfDpwXje0
少し心は痛むけど、興味の方が大きいな。
あいつらが二人だけの所って見たことないし……
('A`)「わかった、参加しよう」
川 ゚ -゚)『それじゃ明日の7時、枠手家商店街入り口のコンビニで待ち合わせな』
('A`;)「……早すぎないか? それにそんな所で待って何をするんだ?」
川 ゚ -゚)『家から尾行するには早い方がいいからな。ちゃんと変装道具を用意しとけよ』
('A`;)「おいおい、朝から尾きっ切りかよ……」
川 ゚ -゚)『あと朝飯は抜いて来てくれ。コンビニでアンパンと牛乳を買うからな』
('A`;)「これまたベタな……あっ、そういやショボンには声をかけたのか?」
川 ゚ -゚)『明日は用事があるから無理らしい。色々詳しそうだったから協力を仰ぎたかったのだが』
('A`)「そっか……」
ショボンは前に昼飯時の話題で、尾行についての豆知識を話してた事があったからな。
他にも色々変わった知識があるから、ぜひ一緒に尾行して欲しかったんだが……まあ仕方ないか。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:06:12.06 ID:JfDpwXje0
川 ゚ -゚)『よし、じゃあまた明日な』
('A`)「ああ、じゃあな」
しかしトレンチコートに探偵帽で来てもおかしくないノリだな、クーの奴は。
せめて普通の格好で来る事を願おう……
○ ○ ○
そしてあっという間に翌朝、ブーンやツンの家の最寄になるコンビニに俺はいた。
変装用にと普段は被っていない帽子を身につけ、度が入ってないメガネをつけている。
こんぐらいでばれなければいいんだが……
(0A0-) (まっ、ばれたときはそのときだな)
しかしクーの奴遅いな、もう約束の時間を過ぎてるんだが。
普段は正確に時間を守る奴だけど……寝坊でもしてるのか?
とりあえず雑誌でも立ち読みしながら時間を潰すか。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:09:16.49 ID:JfDpwXje0
そして待つ事十分ほど……
「ドクオ、待たせたな」
(0A0-)「クーか、ようやく―― 」
川 ●-●)「やあ、おはよう」
(0A0;)「……なんだ、その格好?」
不必要にでかいサングラスや、刑事が被ってそうな黒い帽子はまだいい。
黒いシャツに黒いコート、黒いジーンズ、黒い靴……
よくここまで来れたと言いたくなるほどの不審者っぷりだ。
川 ●-●)「闇に溶け込む格好をイメージしたが……どうだ?」
確かに闇に溶け込むにはピッタリかもしれない。
だが今は朝の7時過ぎ、太陽の活動時間が始まったばかりだ。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:12:04.90 ID:JfDpwXje0
(0A0;)「……いや、明らかに目立ってるだろ」
現にコンビニ内にいる他の客もこっちをチラチラ見てるようだし……
ってかレジにいる店員が明らかに警戒してる……
川 ●-●)「そうか? 一応アドバイスを参考にしたんだがな」
(0A0-)「アドバイスって誰の?」
川 ●-●)「シューと兄者だ」
(0A0;)「OK、今度からは人選を考えような」
その二人に頼んでまともな答えが返ってくるはずないだろ……
川 ●-●)「ともかく、さっさとアンパンを牛乳を買って移動するぞ」
(0A0-)「へいへい、りょーかい」
川 ●-●)「馬鹿な……こんぶを置いてないだと……?」
(0A0;)「だからそういうのは止めとこうな!?」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:15:07.74 ID:JfDpwXje0
こっちを注視してくる通行人の視線を掻い潜りながら、ブーン宅が見える所まで移動する俺達。
電柱の影に張り付いて民家をじっと眺めるその姿はどう見ても…… 通報されない事を願っておこう。
川 ●-●)「おっ、このアンパン凄いな。中に餅が入ってるぞ」
(0A0-)「その分牛乳との相性が悪いな……おっ、向こうから来るのツンじゃないか?」
ξ*゚ー゚)ξ 〜♪
川 ●-●)「あらまあ。鼻歌なんて歌っちゃってますよ、奥さん」
(0A0-)「ノリノリですね、奥さん……って、この小芝居は何だよ」
ξ*゚听)ξ 〜 、!
(0A0;)「やべ、さっきこっち見なかったか?」
川 ●-●)「気のせいだ、なによりこっちの変装がばれるはずが無いだろ?」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:18:11.39 ID:JfDpwXje0
_, ,_
ξ ゚听)ξ …………
(0A0;)「めっちゃこっち睨んでるし!」
川 ●-●)「しかたない、ここは一時撤退を――」
三 ξ#゚д゚)ξ マテヤコラァッ!
川 ●-●)「全軍に撤退命令! 彼方からの来訪者を信号弾でエスコート!」
(0A0;)「日本語でOKだからな!?」
〜 〜 〜
ξ;゚听)ξ「はあっ、はあっ……まったく、覚えてなさいよ……」
(0A0-)「ふうっ、行ったか……」
川 ●-●)「偶然空の段ボール箱があったから助かったな」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:21:22.25 ID:JfDpwXje0
俺達はツンがいなくなった事を見計らい、それぞれが隠れた段ボールから路地裏へと這い出した。
この変装も今はする必要は無いかな…… 別にAAの改変が面倒臭い訳じゃ(ry
('A`)「しかしどうする?」
川 ゚ -゚)「彼女達の行き先は決まっている。そこで網を張るぞ」
('A`)「TYBAROに先回りか……クー、その格好で行くのか」
川 ゚ -゚)「流石にこの格好は目立つような気がしてきたんだが……
しかしこれ以外に着替えを用意してないんだよ」
('A`;)「いやいや、最初に気付けよな……」
「ふっふっふっ……話は聞かせてもらったわ」
('A`;)「……ん? 今の声は……?」
川 ゚ -゚)「周りには誰もいないが……」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:24:25.54 ID:JfDpwXje0
「どうやら困ってるみたいね……力を貸してもいいわよ?」
川 ゚ -゚)「だとさ。どうする?」
('A`)「そっか、なら力を――」
「……ただし、ドクオ君が『ああっ、ダメッ……そんな大きなの入んないよ……』って言ってくれたらね。
切なく狂おしいありあまるパトスをギュンギュンにこめて、顔を赤らめて恥じらいながら……」
('A`)「……断固辞退しよう」
川 ゚ -゚)「わかった、絶対やらせる」
('A`;)「ぜってーやらねーよ! そもそも何でやるのが俺なんだよ!?」
川 ゚ -゚)「私には被害が全く及ばないからな、問題ないだろ」
('A`;)「やる俺にとっては大問題なんだよ!」
川 ゚ -゚)「男は度胸、何でもやってみるものさ」
('A`;)「男としての大事な何かを失うだろ、絶対……」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:28:21.61 ID:JfDpwXje0
「ふふふっ、まあ別にドクオ君がやらなくてもかまわないけど。
でもその場合、変な格好のクーと二人きりになっちゃうよー?」
('A`;)「ぐっ……痛いところを突いてくるじゃないか」
川 ゚ -゚) ヒソヒソ(なあ、ところでこの声聞き覚えがないか?)
('A`;) ヒソヒソ(てかさっきから俺達の事を名指しだしな)
川 ゚ -゚) ヒソヒソ(それにこの声の発生源……そこにある箱じゃないか?)
('A`;) (そこって……俺達が隠れた段ボール以外には――」
____
/ /.. /|
| ̄ ̄ ̄ ̄| ,|
|開けるな | .|
|_(;;゚;;..)_|/
('A`;) (うわあっ……いつの間にか怪しい箱が出現してるし)
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:30:04.45 ID:JfDpwXje0
____
/ /.. /| 「ふふっ……さーて、ドクオ君はどうするのかなー♪
| ̄ ̄ ̄ ̄| ,| ほらほら、はやく吐いちゃいなよ。楽になれるぜ……」
|開封厳禁| .|
|_(;;゚;;..)_|/
('A`) ヒソヒソ(どうする……開けるか?)
川 ゚ -゚) ヒソヒソ(OK。ドクオ、頼んだぞ)
('A`;) ヒソヒソ(俺かよ、まあいいけど……) パカットナ
∧∧
_(*゚ー゚)__ 彡
ミ / / つつ ./\彡 「やっぱアタシとしては、最初は嫌がり頬とか染めちゃってさ、
ミ/| ̄ ̄ ̄ ̄|\/ それでもしぶしぶと、顔を真っ赤に染めながら話すのが…………」
| 貴腐人 | .|
|_(;;゚;;..)_|/
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:33:08.45 ID:JfDpwXje0
('A`;)「…………」
(*゚ー゚)「…………」
('A`)
ミつ
ミ ____ミ
ミ / /.. /| パタンッ!
| ̄ ̄ ̄ ̄| ,|
|蜜柑×橙| .|
|_(;;゚;;..)_|/
('A`)「……クー、ガムテを」
川 ゚ -゚)「了解した」
◎⊂ ('A`) フウイン カンリョウ!
____
/ // ../| 「ちょっ、何を……あれっ!? 蓋が開かないし!?」
| ̄ ̄| |. ̄| ,|
| ナマモノ | .|
|_(;;゚;;..)_|/
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:36:06.42 ID:JfDpwXje0
('A`)「さーて……じゃあTYBAROまで向かいますか」
川 ゚ -゚)「まあそれがいいかもな」
('A`)「あっ、あとそのコートと帽子は外していけよな。 ……ってか暑くないのか?」
川 ゚ -゚)「凄い、よく解ったな。ドクオはエスパーの才能でもあるのか?」
('A`;)「いやいや、誰だって解るだろ……」
川 ゚ -゚)「この脱いだコートは……駅のコインロッカーでも使わせてもらうか」
('A`)「まあ何にせよ、早く行こうぜ」
川 ゚ -゚)「そうだな、彼らが先に着くと面倒だし……」
____
/ // ../| 「ちょっとー! 誰か助けてー!!」
| ̄ ̄| |. ̄| ,|
| 腐注意 | .|
|_(;;゚;;..)_|/
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:39:27.34 ID:JfDpwXje0
□ □ □
( ^ω^)「おっおっ、そろそろ到着かお?」
ξ ゚听)ξ「やっぱ人多いわね……」
駅から出ているシャトルバスにしばらく揺られていると、目の前に巨大な建造物が見えてきた。
あれがTYBAROの名物、直径100mの大観覧車『ホイール・オブ・フォーチュン』か。
日本最大って訳ではないらしいけど、やっぱりこの大きさは圧倒されるわね……
( ^ω^)「ツンの持ってるのはガイドマップかお? ちょっと見せてほしいお!」
ξ ゚ー゚)ξ「折角だから一緒に見ようよ。ブーンってどんなのが好きだっけ?」
( ^ω^)「うーん……コーヒーカップが好きだお!」
ξ ゚听)ξ「コーヒーカップ的なのは……あった、14番の『テンパランス』ね。
お化け屋敷『デス13』と絶叫マシン『デビル』の間にあるわ」
(; ^ω^)「なんて不吉な所にあるんだお……」
川д川「それは必然……ここを設計した人の浅知恵よ」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:42:17.19 ID:JfDpwXje0
(; ^ω^)「ううおっ! なっ、誰だお!?」
ξ;゚听)ξ「や、山村先生……なんでこんな所に……」
真後ろの席からダラリと体を伸ばしている山村貞子先生……はっきり言って怖い。
家庭科の先生なんだけど、いつ見ても何とも言えないオーラを纏ってるのよね……
川д川「TYBAROに行く以外の目的で、このバスに乗るの……?
この遊園地のアトラクションの名前……由来は解る?」
ξ ゚听)ξ「タロットを元にしてるんですよね? ガイドのここに書いてありますし……」
川д川 ブツブツ(そう…………明らかに言葉の語呂だけ利用して……
タロットの意味すら解さず……適当に並べていって……)
ξ;゚听)ξ「あ、あのー……先生?」
川д川「こんな適当な並びだと、いつかきっと災いが……」
( ゚д゚ )「まあまあ貞子、それくらいにしておけ。無粋だぞ」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:45:09.98 ID:JfDpwXje0
川д川「……ごめん、ダーリン」
ξ;゚听)ξ (ダ、ダーリン……!?)
( ゚д゚ )「すまないな、相方が失礼な真似をしてしまって。
話を聞いた所だと、君達はVIP高校の生徒かな?」
(; ^ω^)「あっ、はい、そうですお!」
( ゚д゚ )「僕の名前は山村ミルノカ、この貞子先生の夫だ」
ξ ゚听)ξ「……あれ? そういえば三年生辺りの教師をやってませんか?
何度か職員室で見かけた記憶が……」
( ゚д゚ )「それはきっと僕の従弟、湖池ミレヤの事だね。
僕自身はしがないフリーのカメラマンだよ」
( ^ω^)「おおっ、じゃあ取材ですかお!?」
( ゚д゚ )「いや、今日は完全に私用だよ。編集長から余ったチケットを頂いてね。
普段いろんな所を飛び回ってるから、こんな時ぐらいは家族サービスをしようと思って」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:48:23.46 ID:JfDpwXje0
ξ ゚听)ξ「そうなのですか……そういえば子供さんは?」
( ゚д゚ )「後ろの方にいるよ、あとから紹介しようね」
( ^ω^) ヒソヒソ(やっぱり子供いたのかお……)
ξ ゚听)ξ ヒソヒソ(噂は本当だったのね……)
川д川「……到着、したようね」
ξ;゚听)ξ「あっ、いつの間に……」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあさっさと降りるお!」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:51:06.13 ID:JfDpwXje0
入り口前にあるロータリーに止まったバスから、私達は降り立つ。
近代的なものをイメージしたゲートの向こう側には、さまざまなアトラクションが見えた。
( ^ω^)「うわっ、凄いお! はやく行かないかお!?」
ξ ゚ー゚)ξ「ちょっと待ちなさい、折角だから山村先生のお子さんを見ておかない?」
バスから降りてくる先生を待つ私達、はたしてどんな子供なのか……?
そんな事を考えてると、バスから一人の女の子が飛び出してきた。
⌒゚ル*・ヮ・ル「わーいっ! TYBAROだー!!」
( ゚д゚ )「こらこら、ルル。そんなに走ると危ないぞ」
川д川「まったく……すこしはリリを見習わないとね」
⌒*リ´・-・リ「うん……あれ、お兄ちゃん?」
後からバスを降りてきた山村夫妻。
それに手を引かれて降りてきた別の女の子が、ブーンの顔を見つめてきた。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:54:08.00 ID:JfDpwXje0
(; ^ω^)「おっおっ……どちらさまだったかお?」
⌒*リ;´・-・リ「えっ、覚えてないんですか!? そんな……」
ξ;゚听)ξ ヒソヒソ(こらっ、ブーン! 泣きそうになってるじゃないの!)
(; ^ω^) ヒソヒソ(そんな事言われても……思い出せないものは思い出せないお)
⌒*リ´ - リ「いや、別に覚えてないならいいんです……」
ξ;゚听)ξ「ごめんね、このブーンがバカだから……
ほらほら、そんな帽子で顔を隠そうとしないで――」
( ^ω^)「ん? 帽子…… ああっ! もしかして橋から落ちた子かお!?」
⌒*リ´・ー・リ「あっ! はい、そうです! 思い出してくれたんですね!」
( ^ω^)「あれから危ない事はやってないかお?」
⌒*リ´・ー・リ「勿論です! あの時は本当にありがとうございました!」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:56:35.52 ID:JfDpwXje0
ξ;゚听)ξ「ちょっとブーン、二人で盛り上がられても困るわよ」
川д川「橋から落ちた……? 聞き捨てならないわ」
(; ^ω^)「おっ……えーっと、話しても大丈夫かお?」
⌒*リ´・-・リ「あっ、はい。実は飛ばされた帽子を取ろうとして、橋から落ちかけた事があって……
その時このお兄ちゃんが私を捕まえて、助けてくれたんです」
ξ ゚ー゚)ξ「……へー。ブーンもなかなかやるのね」
川д川「そういえば前にそんな事言ってたわね……内藤君、素敵ね」
(* ^ω^)「おっおっ、照れるお……」
⌒゚ル*・ヮ・ル「母さーん!! 早く行こうよー!!」
川д川「まったく、ルルは……ともかくありがとうね、内藤君。
今度お礼に呪念がこもったパワーストーンをあげるわ……
封印のお札を剥がしてから、嫌な相手に渡すとイチコロよ……」
(; ^ω^)「いや、お気持ちだけで結構ですお……」
⌒*リ´・ー・リ「じゃあね、お兄ちゃん! バイバイ!」
( ^ω^)ノシ「バイバイだおー!」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 20:58:00.33 ID:JfDpwXje0
ξ ゚听)ξ「……行ったわね」
( ^ω^)「ねえ、ツン。あの親子に関して少し思った事があるんだお」
ξ ゚听)ξ「ええ、私も。多分考えてる事は同じね」
ξ;゚听)ξ ((顔が似てない……)) (^ω^ ;)
(; ^ω^)「……もしかして貞子先生も髪型を変えれば、あんなのになるんじゃないかお?」
ξ;゚听)ξ「ある意味最大のミステリーね……ともかく、私達も行きましょ!」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:00:20.38 ID:JfDpwXje0
△ △ △
二人が連れ立ってゲートへと入って行くのを、俺達は建物の陰から見張っていた。
('A`)「よしよし、二人とも入っていったか」
川 ゚ -゚)「しかし貞子先生が子供を連れてるとは……貴重なシーンが見れたな」
('A`)「さーて、どうする? 俺達も後を追うか?」
川 ゚ -゚)「そうしたいのは山々だが……流石に園内でこの格好はな」
('A`;))「だから途中で着替えてからくれば良かったのに……」
川 ゚ -゚)「その分の手間が勿体無いだろ。ともかく、早く追わないと見失うぞ」
('A`)::゚)「まあそれもそうだな、とりあえず中に入ってから――
ん? どうしたクー? こっちを見たまま固まって……?」
「秘技! C・Q・C!」
(゚A゚;)「ぐべあっ!! だっ誰かが腕を…… ダメっ! そっちには曲がらな――!!」
(#*゚ー゚)「まったく……あれから抜け出すのにどれだけ苦労したと思ってるの?」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:03:15.92 ID:JfDpwXje0
川 ゚ -゚)「なんだ、しぃか……いきなりドクオの後ろから現れたからビックリしたぞ」
(#*゚ー゚)「そうでないとおしおき出来ないからね……後を追いかけるのにもどれほどの労力が……」
(゚A゚;)「ダメ! 折れる、ギブ! ギブ!」
川 ゚ -゚)「……で、そろそろドクオを開放してやってくれないか?
正直警備員とかが来ると面倒だし、何より五月蝿い」
(*゚ー゚)「……まあそれもそうね、はいっ」
(;A;)「うっうっ……指先動いてくれないし……」
川 ゚ -゚)「で、何の用だ? わざわざ憂さを晴らすためだけに後を追った訳でもあるまいし……」
(*゚ー゚)「ええ、本題に入らせてもらうわ。実はね、私達もTYBAROに入りたいの。
それでね、余ってるチケットを譲ってもらえたらなーって……」
川 ゚ -゚)「別に構わないが……『私達』? 余ったチケットは一枚しかないぞ。
それに何の見返りも無く渡すのは流石に――」
(*゚ー゚)「もちろん、それ相応のお礼はさせてもらうわ」 ペチンッ
(,,゚Д゚)「はっ! ただいま参上しました!」
(*゚ー゚)「ギコ君、カバンの中身を……」
('A`;) (なんだ? この小劇は……ってかギコどこから来た!?)
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:06:28.97 ID:JfDpwXje0
川 ゚ -゚)「これは……」
('A`)「服……それにカツラ? それにこの謎の機械達は……」
(*゚ー゚)「あの二人を見届けるのを徹底サポートさせてもらうわ。
変装道具に双眼鏡、盗聴器に発信機……より取り見取りよ」
('A`;)「いやいや、どこでこんな物を……」
(*゚ー゚)「それは禁則事項です」
('A`;)「懐かしい返しで攻めてきたな、オイ」
(*゚ー゚)「ともかくコールかドロップかっ! さっさと決めてもらおうじゃないかっ、クー!!」
川 ゚ -゚)「じゃあコールで」
('A`;)「少しはノってやれよ!」
(*゚ー゚)「……OK、じゃあクーはこの袋、ドクオ君はこの袋を……
そうね、そこのトイレでも使って着替えてきて。
ウィッグはこんな風に髪をまとめて、しっかり固定するのよ」
しぃは彼女の特徴でもある、左右二つのはねた癖毛を抑えながら実演する。
彼女が手を上げると同時に跳ね上がる癖毛……形状記憶合金?
……まあいい、とりあえず着替えて来るか。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:09:22.28 ID:JfDpwXje0
○ ○ ○
(*゚ー゚)「あっ、ドクオ君! お帰りー」
「ちょっといいか、しぃ……」
(*゚ー゚)「ん? もしかしてサイズ合わなかった?」
「いや、サイズは恐ろしいほどピッタリだった。それはそれで問題だが、それより――」
| l「`ヽl
ミd川 A`;ル「なんだよ、この格好は!?」
上は黒のピッチリシャツに、下は黒のズボンと茶色のブーツ。腕には黒のバンド。
どうみても…………凄く……超兵です…………
ミd川 A`;ル「これは変装っていうよりコスプレ――」
(#*゚−゚)「こらっ、もっと口元を引き締める!」
ミd川 ‐`;ル「……こ、こうか?」
(*゚ヮ゚)「OKOK! 背の高さは足りないけど、雰囲気はまずまずね!」
まったく……世界の悪意が見えるようだよ……
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:12:03.48 ID:JfDpwXje0
「悲観的な顔をするな、ドクオ」
ミd川 ‐`ル「この声は……クーか?」
「違う。私の名前は――」
| | レ"`ヽ.|
|(| | ゚ -゚ノ| 「……いや、クーでいい。そう呼びたければそう呼べ」
ミd川 ‐`ル「…………」
|(| | ゚ -゚ノ|「…………」
……どうするんだよ、この微妙な空気は。
(*゚ー゚)「うんうん、やっぱり王道は正義よねー」
|(| | ゚ -゚ノ|「ともかくこれなら二人にはバレそうにはないな。ありがとう、しぃ」
(*゚ー゚)「いやいや、ともかくミッションはこれから! 頑張って行きましょ!」
|(| | ゚ -゚ノ|「はっ! 超兵として、任務を忠実に果たします!」
とりあえず一期か二期か統一しろよな……
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:15:12.61 ID:JfDpwXje0
|(| | ゚ -゚ノ|「で、肝心のミッションはどうするんだ?」
(*゚ー゚)「その前に……ギコ君、あれを頼んでいいかな?」
(;,,゚Д゚)「あれって……まさかアレか?」
(*゚ー゚)「そう、アレ」
ミd川 ‐`;ル「さっきからアレアレばっかりで話進んでないぞ」
(,,゚Д゚)「まったく……まあペニサスの事もあったし、別にいいか」
|(| | ゚ -゚ノ|「ペニサス……という事は、まさか――」
(*゚ー゚)「……二人とも。今から起こる事は他言無用でね」
(,, Д )「しゃーねーな、久しぶりにやるか……」
ゴキゴキと音を立てながら、ギコの体が変形していく。
そしてそこに現れたのは――
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:18:30.33 ID:JfDpwXje0
∧∧
(,,゚Д゚) < は、はにゃーん・・・
⊂ ⊃
〜| |
し`J
ミd川 ‐`;ル「ねっ、猫に!?」
(*゚ー゚)「ふっふっふっ……実はね、ギコ君は猫になる事が出来るの!
なんでそんな事が出来るかは、説明に一時間以上は必要だからはしょるわね」
……ある程度の驚きはあるが、まあ先日に同じタイプのキツネを見ているからそこまで衝撃はない。
それより俺のいるクラスはどうなっているんだよ…… 変人と人外ばっかりじゃねーか。
|(| | ゚ -゚ノ|「しかし外見上はどうみても猫だが……非常に鳴き声が嘘くさいな」
∧∧
(;,,゚Д゚) < にゃ、にゃにゃにゃん!?
(;*゚ー゚)「うーん……まあ鳴かなければなんとかなるかな?
ギコ君、こっちこっち」
しぃは持ってる鞄の空きスペースへと、猫になったギコの体を詰め込む。
なるほど、これなら一人分のチケットで入る事が出来るな。
(*゚ー゚)「それじゃ作戦を説明するわね! まずは――」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:21:42.28 ID:JfDpwXje0
○ ○ ○
(* ^ω^)「ツン、次は何に乗るかお?」
ξ*゚ー゚)ξ「そうねー……この17番の『スター』なんてどう?
かなりの絶叫系らしいわよ」
( ^ω^)「おっおっ、ならそれにするお! そうと決まればはやく行くお!」
ξ;゚听)ξ「ちょっ、ブーン! そっちじゃないわよ!」
ミd川 ‐`ル「……こちら『電池』、ターゲットはアトラクションのスターに向かった。
先回りして『カード』の準備に入ってほしい。どうぞ」
|(| | ゚ -゚ノ|『こちら『桃子』、ちょうどスターの近くにある売店にいる。
『カード』の準備は良し。二人が接近しだい作戦を開始する。どうぞ』
ミd川 ‐`ル「こちら『電池』、健闘を祈る。以上」
|(| | ゚ -゚ノ|『了解した、まかせろ。以上』
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:24:20.03 ID:JfDpwXje0
ミd川 A`;ル (ふぅっ……)
とりあえず施設内に入った俺達は、まずは手分けをしてブーン達を探し出した。
幸いすんなりと見つける事が出来、後はばれないように尾行。
ツンはブーンと行動するのに夢中なようで、こっちには全く気付いてないみたいだが……
ブブブ ・・・
ミd川 A`ル「ん、クーからか?」
ポケットに入れたトランシーバーが振るえ、着信を知らせる。
外見上は普通の携帯にしか見えないので、通話中も不審に見られる事はない。
ミd川 A`ル「もしもし、こちら『電池』――」
(#*゚−゚)『こらっ、ちゃんと口元を引き締めなさい!』
ミd川 ‐`;ル「すっ、すまない! ……ってかどこから見てるんだ!?」
周りにそれらしき影は全く見えないが……
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:27:37.29 ID:JfDpwXje0
(#*゚−゚)『そんな事はどうでもいいのっ! 次に腑抜けた口をしたら監禁だからね!』
ミd川 ‐`;ル「か、監禁!?」
(#*゚ー゚)『そう、白いマスクと拘束具付きでね! 三年ぐらいは閉じ込めるから!』
駄目だ、もう突っ込む気すらおきない……
(*゚ー゚)『ん? 『桃子』が目標に接触したみたいね』
☆ ☆ ☆
( ^ω^)「おっおー、あれがスターかお!?」
ボク達の正面の方には、大きな柱を中心にしてグルグル回転する円盤が見えてるお。
柱にそって上下しながら、奇想天外な回転をする円盤……『時が止まるほどの衝撃』が売り文句らしいお。
ちなみにあれを上からみると、席が星の形に並んでるそうなんだお。だからスターっていうらしいお。
ξ ゚听)ξ「ブーン、いけそう?」
( ^ω^)「あのくらい余裕だお! さっそく乗ることにするお!」
ξ ゚ー゚)ξ「大体30分待ちって所か……まあじっくり待ちますかね」
時間はたっぷりあるし、体力も余裕だお!
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:30:35.17 ID:JfDpwXje0
( ^ω^)「しかし今日も暑い――」
「あっ……」 ドンッ
(; ゚ω゚)「ひゃおおおおん!? 冷たいおっ!?」
ξ;゚听)ξ「ちょっ! ブーン、どうしたの!?」
いきなり背中に冷たい物がかかったお!? 冷たいお!
後ろの人がジュースでも溢したのかお!?
(# ^ω^)「ちょっと、何する――」
|(| | ゚ -゚ノ|「ごっ……ごめんなさい。ついボーっとしてしまって……」
ボクが慌てて後ろを振り向くと、そこにはかなりの美人さんがいたお。
どうやら美人さんが持ってる紙コップの中身が元凶みたいだけど……
(;*^ω^)「おっ、おおー……美人さんだお」
ξ#゚ー゚)ξ「…………」 ガンッ
(; ^ω^)「ちょっ、無言で足を踏むなお!」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:33:02.30 ID:JfDpwXje0
|(| | ゚ -゚ノ|「すいません、お怪我はないでしょうか? つい暑さでフラッとしてしまって……
ちょっと後ろを向いてください、背中を拭きますね」
美人さんがハンカチを出して、背中に散ったジュースを拭き始めたお。
ジュースは透明な炭酸飲料みたいだから、染みになる心配はなさそうだお。
( ^ω^)「気にしないで下さいお、この暑さなら仕方ないお」
ξ ゚听)ξ「…………」
どうしたんだろう、ツンはじっと美人さんの顔を見つめてるお。
もしかして知り合いなのかお?
|(| | ゚ -゚ノ|「はい、これで大丈夫だと思います。どうもすいませんでした」
( ^ω^)「おっおっ、だから気にしないで下さいお。ボクは大丈夫だお!」
|(| | ゚ -゚ノ|「そうですか、それは良かったです。それでは――」
ξ ゚听)ξ「……ちょっと待ちなさい!」
|(| | ゚ -゚ノ|「な、なんですか?」
ξ ゚听)ξ「アンタ……いったい何者なの?」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:36:29.55 ID:JfDpwXje0
|(| | ゚ -゚ノ|「何者と言われても……ただ彼氏と一緒にここに遊びに来ただけですが……」
ξ ゚听)ξ「へー、その彼氏さんはどこにいるの?」
|(| | ゚ -゚ノ|「今ちょうど彼の分の飲み物を買いにいってる所ですね」
明らかに敵意丸出しで食って掛かるツン。
これはあんまりよろしくないお……
(; ^ω^)「おっおっ、ツン。突っかかるのは止めるお!
ボクは飲み物の件は気にしてないから、引っ込むお」
ξ ゚听)ξ「私もただ飲み物をかけただけなら怒らないんだけどね……」
(; ^ω^)「ツン、後ろに回って何を―― うひゃあっ! ちょっ、なにを……」
いきなりボクのズボンの後ろポケットへと手を突っ込むツン。
手つきがくすぐった……あっ、そこはダメだお!
(;*^ω^)「ハァッ、ハァッ……」
ξ ゚听)ξ「……で、これは一体何なのかしら?」
ツンはボクのポケットから取り出した何かを持ちながら、美人さんに詰め寄ってるお。
少し分厚いカードの様な物、ゲームか何かのメモリーにも見えるお。
ボクはそんなもの知らないけど、なんでボクのポケットに入ってたんだお?
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:39:06.85 ID:JfDpwXje0
|(| | ゚ -゚ノ|「……? 私は何も知らないのですが……」
ξ#゚听)ξ「嘘言わない! どうせアンタが背中を拭いた時に入れたんでしょ!?」
|(| | ゚ -゚ノ|「私は全く知りません……何か証拠があるのですか?」
ξ#゚−゚)ξ「ぐっ、指紋とか調べたら一発なんだろうけど……
とにかく、アンタ以外に考えられる人はいないの! 何のつもり!?」
(; ^ω^)「ツン、もうよすお。ボクは気にしないお」
ξ#゚听)ξ「だからアンタはまたそう言って……悔しくないの!?」
(; ^ω^)「おっおー…… いや、でも……」
ダメだお、こうなったツンは聞く耳を持たないお。
後ろポケットに妙な物があったのは気になるけど、このままこの人を疑うのも ――
「やいやいやい、オメーら!! 俺の女に何してやがる!?」
ξ;゚听)ξ「ん、何!?」
|(| | ゚ -゚ノ|「この声は、アレr ――」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:42:18.45 ID:JfDpwXje0
ミdリ '∀|lレ「勝手に俺の女に手を出すとは、いい度胸してんじゃねえかっ!? オイ!」
ξ;゚听)ξ「…………」
|(| | ゚ -゚ノ|「…………」
(; ^ω^)「…………ドクオ、何してるんだお?」
ミdリ;'A|lレ「ええっ、一発特定!?」
ξ;゚听)ξ「いや、どうみてもドクオじゃない…… ってことは、もしかしてこっちはクー?」
|(| | ゚ -゚ノ|「ちっ、この大根役者が……」
ミd川 ‐`;ル サササッ 「ま、待て! じゃあこれならどうだ?」
( ^ω^)「おっ、それなら解り辛いお」
ξ ゚听)ξ「まっ、たしかにそれなら何とか変装にはなってるわね」
ミd川 A`;ル「ちくしょう! だからこの作戦はダメだって言ったのに!
しぃのバカヤロー!!」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:45:00.44 ID:JfDpwXje0
ξ#゚ー゚)ξ「さーて……で、なんであなた達二人がここにいるのかしら?
それも変装なんかしちゃって……」
|(| | ゚ -゚ノ|「いや、違う。私は砂緒クーなどという人物ではない」
ξ#゚听)ξ「……誰もその苗字は言ってないわよ。
朝の件も含めてじっくり話し合いしましょうかね……!?」
|(| | ゚ -゚ノ|「ふっ、NOといったら?」
ξ#゚听)ξ「パンチと蹴り、どっちからがいい?」
|(| | ゚ -゚ノ|「おお、怖い怖い。この対策法は一つしかないな」
クーらしい人は、ポケットから何かを取り出したお。
丸めた紙屑にも見えるそれを高く持ち上げて、それで――
|(| | ゚ -゚ノ|「はははっ! また会おう、津出ツン君!」
クーがそれをいきなり地面に叩きつけて、それと同時に軽い破裂音がしたお。
そしたら凄い量の白煙が吹き上げて、辺りをあっという間に覆い隠したお。
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:48:46.34 ID:JfDpwXje0
ξ;゚听)ξ「ケホッ……こらっ、待ちなさい!」
「待てと言われて待つ奴はいない。ドクオ、行くぞ」
「ちょっ、待てよ! 周りが凄い騒ぎになってるんだが……」
確かにさっきから軽く注目を浴びてたけど、今はそれどころじゃ無くなってるお。
突然の煙に周囲の人たちがパニックを起こしてるお。
なんか事故とか火事とかいう単語も聞こえてきてるし……
(; ^ω^)「ツン、ボクたちも逃げるお!」
ξ;゚听)ξ「確かにその方がいいわね。覚えてなさいよ、二人とも……」
ツンの顔が恐ろしい形相になってるお。
二人の運命に合掌だお……
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:52:23.96 ID:JfDpwXje0
△ △ △
(*゚ー゚)「じゃあ、今回の反省会いってみよー」
('A`)「変装して近づくという、しぃの作戦が悪かったと思う」
川 ゚ -゚)「ドクオの演技不足が原因だな」
(*゚ー゚)「アタシもそれに一票で。二対一で元凶はドクオ君に決定!」
('A`;)「ぐっ、卑怯な……そもそもしぃの余計な指示が原因だったんだよ!」
(*゚ー゚)「えー、でもアレ君よりはハレ君の方が強そうじゃない?」
('A`;)「んな事知らねーよ!」
川 ゚ -゚)「ともかく警戒している今、二人に接触するのは危険だな。次の策略を考えないと……」
(*゚ー゚)「ふっふっふっ……アタシが失敗した時の事を考えてなかったと思う?
実はすでに第二の矢は放たれてるのよ!」
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:54:15.00 ID:JfDpwXje0
☆ ☆ ☆
ξ*゚ー゚)ξ「さっきのお店のクリームコロッケ、美味しかったね」
(* ^ω^)「おっおっ、デミバーグも美味しかったお」
あの騒動から二時間。今は手短なレストランで、遅めのお昼ご飯を食べ終えた所だお。
値段はちょっと高めだったけど、味は抜群だったお。ツンも機嫌が戻ったようで何よりだお。
ξ ゚听)ξ「さーて、昼からはどこ回る?」
( ^ω^)「どうしようかお……あっ、三時半からシアターで映画をやるみたいだお」
ξ ゚听)ξ「あっ、ちょっと前に流行ってた奴ね。じゃあこれを見る事にする?」
( ^ω^)「じゃあそうするお。でもまだ時間があるお」
ξ ゚听)ξ「しばらくそこのベンチで休憩しときましょ。
ちょっと用があるから、先に座って待ってて」
ツンはちょっとした広間のベンチを指差した後、売店の方に向かっていったお。
( ^ω^)「ふぅ、どっこいしょだお」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 21:57:21.01 ID:JfDpwXje0
ベンチに座って、青空を眺めるボク。今日も気温は真夏日だお。
でも適度に風があるし、ベンチは木陰にあるから涼しいお〜。
( ‐ω‐)「ふぅ……ZZZ」
ξ#゚听)ξ「……こらっ、寝るの早過ぎ!」
(; ^ω^)「んあっ!? もう朝かお!?」
ξ;゚听)ξ「なに寝惚けてるのよ……はい、これ」
( ^ω^)「おおっ、ソフトクリームかお! ありがとうだお!」
ξ ゚ー゚)ξ「やっぱ暑い日はこれよねー」
( ^ω^)「まったくだお……そういえばこれ幾らだったかお? ボクがお金出すお」
ξ ゚听)ξ「別にいらないわよ、お昼はブーンに奢ってもらったし」
( ^ω^)「いやいや、チケットを持ってきたのはツンだお。
だから食べ物関係は全部奢らせてくれお」
ξ;‐凵])ξ「いちいちうるさいっ! せっかくなんだから好意を受け取りなさい!」
( ^ω^)「おっお、じゃあいただく事にするお。ありがとうだお!」
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:00:04.33 ID:JfDpwXje0
△ △ △
/
[日] < オッオー、アマクテ オイシイオ !
ナニ アタリマエナコト イッテルノ ・・・
川 ゚ -゚)「恐ろしいほど感度が良好だな、この盗聴器は」
(*゚ー゚)「でしょでしょー!? 高かったのよ、これ!」
('A`;) (なぜこんな物を持ってるかは聞かんぞ……)
俺達は今、ブーン達が居るベンチから遠く離れた、別の休憩所にいる。
そしてこの音はどうやって拾っているかというと――
川 ゚ -゚)「しかしギコには悪い事をさせてるな。あとで鰹節でも買ってやるか」
(*゚ー゚)「そんな物じゃ喜ばないって。意外と甘い物が好きなんだよ、ギコ君は」
川 ゚ -゚)「チョコは駄目だぞチョコは。猛毒らしいからな」
(*゚ー゚)「えっ、でもギコ君しょっちゅう食べてるよ?」
川 ゚ -゚)「うーん……やはり普通とは体の作りが違うのかもな」
発信機付きの首輪を付けたギコが、こっそり二人を追っているらしい。
たしかにこれなら、まず気付かれないだろうな。
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:03:45.78 ID:JfDpwXje0
/
[日] < ヒャオン !? ナッ、ナンダオ !?
ドッ、ドウシタノ ?
('A`)「んっ? 動きがあったぞ、今」
/
[日] < イヤ、ナニカガ アシニ アタッタンダオ !
ワタシハ ナニモ シテナイケド・・・
川 ゚ -゚)「これはもしや……」
/
[日] < モウスコシデ・・・ ヨシ、ツカマエタオ !
(;*゚ー゚)「ちぃっ! 捕まったのか、あのドジめ……」
('A`;)「……どうする? 今から助けにいくか?」
(*゚ー゚)「いや、でも……大丈夫! それでもギコ君なら……ギコ君ならなんとかしてくれる!」
('A`;)「ならいいんだがな……」
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:06:00.81 ID:JfDpwXje0
□ □ □
いきなり奇声を上げたブーンが、突然ベンチの下へと潜り込んでいく。
何かが足に当たったとか言ってたけど……
ξ;゚听)ξ「ちょっ、いきなり何してんのよっ!?
周りの人みんなこっち見てるわよ!」
( ^ω^)「待ってくれお、もう少しで……よし、捕まえたお!」
ブーンが何かを抱えてベンチの下から出てくる。
これって……猫?
∧∧
(;,,゚Д゚) < ・・・ふ、ふみぃやぁぁぁぁおん
ξ;゚听)ξ「……な、なんか変な声で鳴く猫ね」
( ^ω^)「ベンチの下にいたお。穴に詰まって逃げられなかったみたいだお」
ここのベンチは、足元の部分の左右が板に囲まれていて、そこに飾り穴が開いている。
どうやらその穴から逃げようとして、うっかり詰まった所をブーンが捕まえたみたいだけど……
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:08:28.25 ID:JfDpwXje0
ξ ゚听)ξ「しかし、本当に見た事のない猫ね……」
ブーンががっしりと猫を捕まえてる間に、体をチェックする。
短毛で、ちょうど茶色と金色を混ぜ込んだような毛色。
面構えはスラリとしたハンサム顔。でもどこか慌てたような表情ね。
( ^ω^)「おっ、このヌコ首輪をしてるお!」
首輪って事は、誰かが連れ込んだのが逃げたのかしら?
ξ ゚听)ξ「わりと立派な首輪ね……あれ?」
標識でもつけてないかと思って喉元を調べたんだけど……
( ^ω^)「んー……? 何かの機械、かお?」
ξ;゚听)ξ「そう、みたいね……」
これって……さっきクーから没収した物に似ている。まさか……いや、でも……
ξ# )ξ「そっか、あの二人……」
まさかこんな可愛い子まで利用するなんて……もう許さない!!
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:10:09.40 ID:JfDpwXje0
ξ )ξ「……ねえ、ブーン。ここでしばらく待ってもらえない?
あと猫ちゃん貸してもらっていい?」
(; ^ω^)「おおおっ、おっ! わっ、わかったお!」
なぜかたじろいでいるブーンから猫ちゃんを借りて、私は近くの建物へと走る。
裏手の人がいない場所へと回った私は、ポケットの中の携帯を握り締めた。
ξ ‐凵])ξ「『桜色の波紋』……」
言葉と同時、私の体を中心として魔力の輪が広がっていく。
普通の人には見えないその輪はやがてある場所へとぶつかり、そこから反響してくる。
ξ#゚ー゚)ξ「見つけた…… 『暗幕』、『跳躍』!」
次に唱える呪文の効果で、身を隠すためのベールを作る。
薄い桜色の粒子に包まれた私の足に、これまた桜色の強い光が灯る。
ξ#゚∀゚)ξ「待ってなさいよ、二人とも……」
なぜか猫ちゃんがガタガタふるえているけど、そんなのは気にしない。
私は両脚で強く地面を蹴り、空高くへと舞い上がった。
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:12:11.99 ID:JfDpwXje0
△ △ △
/
[日] < ミツケタ・・・ アンマク、チョウヤク !
川 ゚ -゚)「……? ツンは何を言ってるんだ?」
(*゚ー゚)「よくわからないけど……暗幕?」
二人がのんきな顔でスピーカーを見つめているが……これって絶対あれだよな?
クラス内ではたぶん俺だけが知っている、ツンの隠された能力『魔法少女』。
その実力は折り紙付き、実際に威力を見た事のある俺なら解る。
/
[日] < マッテナサイヨ、フタリトモ・・・
('A`;)「おい、今すぐここから離れるぞ!」
川 ゚ -゚)「なぜだ? 先ほどまでツンがいた位置からここまではかなり離れてるぞ。
もっと向こうが近づいてからでもいいのではないか?」
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:15:09.65 ID:JfDpwXje0
クーは当然ツンの事実を知らないから、そんな事が言えるんだろう。
でもツンの事だ。俺達の場所なんてとっくに特定していて、全力で向かっているに違いない。
('A`;)「いや、とにかくここから――」
俺が椅子から立ち上がると同時、後ろから軽い音がした。
そう、まるで人が少し高い所から着地したような――
「奇遇ね、二人とも……」
川 ゚ -゚)「…………」
:: (;*゚д゚):: 「…………」
……駄目だ、後ろを振り向けない。後ろを振り向いたが最後、俺の命が消し飛ぶ予感がする。
ってかしぃの顔怖いよ、何を見たんだよ!? あとクーはよく無表情でいられるな!?
「あら、しぃもいるの……見たところ、偶然会った訳じゃなさそうね……」
(;*゚−゚)「ぐぐぐぐうぜんですなにかの間違いです!!!!」
川 ゚ -゚)「…………」
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:17:41.18 ID:JfDpwXje0
('A`;)「あ、あのさ、ツン――」
「人と話すときは顔を向けろって、先生に教わらなかった……?」
('A`;)「あっ、すいませんです、はい……」
俺は意を決して後ろを向く。そこにいたのは――
/i iヽ
! !、 ___ / ノ
ヽ ヽ、 ,彡フ ̄  ̄ヽミミ、/ /
ヽ フ'' く /
_ 〉' ヽ/,_
(ヽi, /;ヽ i/ )
i ! ,,_____ノ、i;;iヽ、_____、 i i
! 'ヽ__●ノ' 'ヽ_●,ノ ,ノ i
ゴゴゴゴゴ ξ# )ξ ゴゴゴゴゴ
'!, ヽ`t-,、__, -'イ/ /
ヽ ヽt,=,='='=イi /
\ `'"~⌒~"' ノ
`-- ^-- '
(゚A゚;)「ぴぎゃああああああぁぁっっ!!」
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:19:01.33 ID:JfDpwXje0
ξ# ー )ξ「どうしたの? 人の顔を見るなり悲鳴を上げちゃって……」
鬼だ、鬼がいる!!
('A`;)「ちょ、調子のってすいませんでしたぁぁっっ!!」
椅子から即座に飛び降り、地面へとひれ伏す。
無理! このままだと絶対殺される!!
('A`;)「ほら、クーも早く頭を下げるんだ!!」
川 - )「…………」
(;*゚−゚)「き、気絶している……」
無理もないか、あのツンから直視されたんだからな……
ξ# ∀ )ξ「さあ。そろそろ何でこんな事をしたか、みっちり聞かせてもらいましょうか……」
クーは気絶してるようだし、しぃも怖がるばかりだ。
仕方ない、俺が正直に今回の経緯を話すしかないか。
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:20:05.83 ID:JfDpwXje0
('A`;)「あのー、実はだな。昨日クーから電話があって――」
とりあえず順を追って説明していく。
二人を尾行する事になった事。純粋に興味本位なだけだった事。
二人の恋路を邪魔する気は全く無い事。むしろ二人の恋を応援している事。
ξ ゚ー゚)ξ「ふーん、そうなの。応援ねー……」
('∀`;)「あ、ああ。さしずめ恋の天使って奴だな!」
ξ ^ー^)ξ「そっかー、天使さんなのかー」
('∀`;)「そ、そうだぜ。あはははは……」
ξ ^ー^)ξ「あははははっ!」
('∀`;)「あ、あはははっ……」
なぜだろう? ツンはご機嫌に見えるのに、背中からは嫌な汗が噴き出してくる。
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[軽く猿った、間隔3分にします] 投稿日:2010/10/09(土) 22:24:11.46 ID:JfDpwXje0
ξ ^ー^)ξ「ねえ、天使さん達。この後はどうするの?」
('A`;)「あー、いや。そろそろ家に帰ろうかなーとか――」
ξ ^ー^)ξ「お家? 帰る場所が違うでしょ?」
('A`;)「……えっ?」
ξ ー )ξ「天使さんなんだから、天国に帰らないとね……
大丈夫、嫌でも私が連れていってあげるわよ」
('A`;)「の、No Thank you !!」
ξ ー )ξ「別に遠慮はいらないんだけど……」
ツンの差し出した右腕の先で、バチバチという効果音と共に光の球が大きくなっていく。
('A`;)「ちょいまて、こんな所でそんな事をしたら――」
いくらなんでも、こんな周りに人がいる場所では魔法を使うはずが――
ξ ー )ξ「あら、気付いてなかったの?」
ツンの言葉で、俺はようやく気付いた。
いつの間にか俺達のいる机をぐるりと囲むように、桜色の壁が存在していた。
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:27:01.07 ID:JfDpwXje0
('A`;)「あー、これって……あれ?」
ξ ー )ξ「うん。中で何があっても、周りにはまったく気付かれない。
当然逃げる事も無理よ。 ……さーて、じゃあそろそろ始めようかな?」
ツンの手の先にある球から、まるでイバラのような、トゲトゲした蔓が生えてくる。
どう見ても悪役の技じゃないか、それって……?
('A`;)「あ、あのー……まずは対話から――」
ξ# )ξ「問答無用!!」
―― この日の俺の記憶は、そこからプッツリと途切れている ――
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:30:01.00 ID:JfDpwXje0
▽ ▽ ▽
(´・ω・`) (ふぅ。買い物リストはこれで終了、っと)
今日の僕は、兄さんから頼まれた買い物をするため、電車を乗り継いで色々な店を回っていた。
兄さんは妙に食材にこだわる癖があり、一般的な小売では手に入らない物がけっこうある。
今日行った店のほとんどが個人経営の小さな店で、オーナーさんとは顔なじみ。
色々な話を聞けるので、月に一度頼まれるこの買い物を僕も楽しみにしている。
雷雲市にある最後の店にいって、珍しい香辛料を手に入れた頃には、空はもう赤く染まり始めていた。
道を歩いていると、遠くの方に大きな観覧車が見える。
多分もうすぐオープンするテーマパークの物だね。
(´・ω・`) (そういえば今日がプレオープンだったっけ……)
クーから誘われていたけど、この用事があるからパスしたっけな。
まあ確かにプレオープンの話も面白そうだったけど……こっちの用事も大事だしね。
兄さんの事だから理由を話せば代わりに行っただろうけど、そこまで迷惑はかけたくないし。
(´・ω・`) 「(それにこっちの仕事も楽しみにしてるし……) ――あれ?」
駅に向かう交差点、右側の道から見慣れた二人組が歩いてくる。
ドクオとクー、二人は今日ブーンとツンを尾行するって言ってたけど……
せっかくこんな所であったんだ。今日の成果でも聞いてみるかな?
(´・ω・`)「おーい、二人ともー ……」
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:33:01.93 ID:JfDpwXje0
( A ) イヤムリデスゴメンナサイセナカダケハカンベンシテイヤダカラッテハナノアナニクルノハ・・・
川 - ) ウマレテキテゴメンナサイ ウマレテキテゴメンナサイ ウマレテキテゴメンナサイ ・・・
(;´・ω・) (なっ、何があったのーっ!?)
ぶつぶつ呟きながら道中を歩く二人。
周りの人が距離を置いてるのは気のせいじゃないだろう……
( A ) ハイハフタツアルカラッテカタホウナクナッテイイワケジャナイデスシ・・・
川 - ) ウマレテキテゴメンナサイ ウマレテキテゴメンナサイ ・・・
(;´・ω・)「……うん、見なかった事にしよう」
きっとよく似た別人だよ、そうに違いない。
あの二人は駅に向かってるようだし、今日はバスで帰ろう。
そういえばブーンとツンは、まだあっちにいるのかな……?
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:35:37.62 ID:JfDpwXje0
□ □ □
シアターでの上映が終わって私達が外に出た頃には、日の光はだいぶ傾いていた。
映画は話題になっただけの面白さはあり、最後の方なんかちょっと泣いちゃったわね……
ξ*゚听)ξ「映画、中々良かったね!」
( ^ω^)「おっおっ、終盤の主人公が恋人を抱いて滝に飛び込むシーンが良かったお!」
ξ ゚ー゚)ξ「『僕が君といるなら、死という運命ぐらい簡単に跳ね返せる』……だっけ?
あんなベタなセリフでも演出しだいで凄くかっこよくなるのね……」
( ^ω^)「あと悪役がヘリで追ってくるシーンで、主人公が――」
ξ ゚听)ξ「最後の夜にヒロインが言ったセリフも――」
とりあえず手頃なベンチに座って、映画の感想を言い合う。
むぅ、ブーンとは感動したポイントがちょっとずれてるのかも……
( ^ω^)「……そういえばツン、この後はどうするのかお?」
ξ ゚听)ξ「これといって考えてないけど……もしかして疲れた? 帰る?」
( ^ω^)「いや、あの観覧車に乗ってみたいんだお!」
ブーンが指差す先では、このTYBARO名物の大観覧車がゆっくりと回っている。
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:37:57.65 ID:JfDpwXje0
ξ ゚听)ξ「今からあれに乗るの? だいぶ時間かかると思うけど……」
たしか昼の時点でも、一時間以上待ちとかってアナウンスがあったはず。
今から夜景狙いの人が増えると思うから、下手をするともっと時間がかかるかも――
(; ^ω^)「えー…… でも折角ここに来たんだから、ぜひ乗ってから帰りたいお!」
ξ;‐凵])ξ「はいはい、わかったわかった! じゃあさっさと並びましょ」
(* ^ω^)「ありがとだお、ツン!!」
……実は私も少し乗りたかったんだけど、つい釣れない態度を取ってしまう。
まったく、もっと素直にならなきゃ駄目なのかもね……
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:39:57.90 ID:JfDpwXje0
○ ○ ○
……それからおよそ二時間後。私達は小さなコンテナの中で、向かい合って座っていた。
この観覧車は十数人は乗れる大型の物と、精々4、5人しか乗れない貸切用の二つある。
貸切用の方は別料金がかかるので、私達は大型のに乗ろうとしたんだけど……
川д川「あら、あなた達…… まだいたの……」
(; ^ω^)「おっおっ、そうですお」
( ゚д゚ )「ちょうどよかった。実は貸切用のコンテナに乗ろうとしたんだがね、
そっちの方が風で強く揺れるという放送を聞いてから、娘が怖がるんだ。
よければこの貸切用のチケット、もらってくれないかな?」
乗る寸前でばったりと貞子夫妻に会い、ご厚意に甘えて貸切用のコンテナへと移る事にした。
( ^ω^)「おおっ、街の灯りがきれいだお!」
ξ ゚ー゚)ξ「ホントね……」
だんだんとコンテナは高度を増し、雷雲市全体の夜景が見えてくる。
観覧車自体も様々な色に輝いているみたいだけど、中からじゃわからない。
帰りに遠くからじっくり見てみようかな?
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:42:32.13 ID:JfDpwXje0
( ^ω^)「……おっ? このボタンは何だお?」
ξ ゚听)ξ「ん? ボタン?」
入り口とは反対側の窓の下、そこに確かにボタンがある。
ブーンが躊躇なくそのボタンの一つを押し込んだ時、頭上から音声が聞こえてきた。
『南東に広がる湖は今北戸湖という名称で、面積はおよそ――』
ξ ゚听)ξ「……どうやら、ガイドのようね」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあこっちは――」
ブーンが別のボタンを押すと、ガイドが止んで落ち着いた曲が流れ始めた。
どうやらこのボタンは、コンテナ内に流せる音楽を決めるボタンみたいね。
ξ ゚听)ξ「この曲、ここのテーマソングのアレンジじゃない?」
( ^ω^)「おっおっ、たしかにそうだお!」
わりと派手だった曲調だったのが、見事にしっとりとした落ち着いた曲へと変わっている。
私達は少しの間、その曲を聴きながら窓の外に流れる夜景を見て過ごしていた。
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:44:02.22 ID:JfDpwXje0
やがて観覧車は頂上付近へと差し掛かってきた。
遠くの方にはうっすらとだが、新速市らしき街の光も見える。
ξ ゚ー゚)ξ「そういえばブーン、昔もこうやって観覧車から夜景を見たことあったよね?」
「んあー、そうだったかお?」
こんな絶景から目を逸らすのは勿体無いので、窓の外を見たまま会話を続けていく。
ξ ゚听)ξ「覚えてない? ほら、小学校に入る前、お互いの家族で行ったじゃない」
少し離れた県への泊りがけの旅行。あそこの遊園地はまだあるのかしら?
「おお、そういえば行ったお! 昼にはツンと二人して迷子になったお!」
ξ ゚听)ξ「そんな事あったっけ? 覚えてないや……」
「ツンが着ぐるみの熊を追いかけて、ボクは止めようとしたけど無理だったお。
その日の午後はずっと迷子センターで二人して遊んでいたお」
ξ;‐凵])ξ「あー、あったあった……」
あの時はたしか保護者が私の母さんしかいなかった。
で、母さんは昼の間ずっとベンチで居眠りしてたのよね。
まったく、家の母さんは昔っからマイペースなんだから……
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:46:06.53 ID:JfDpwXje0
「で、夕方に迎えにきたツンのお母さんと一緒に、レストランでご飯を食べたんだお。
あの時のカツカレーは美味しかったお……」
ξ;゚听)ξ「あいかわらず食べ物の事は良く覚えてるわね……
で、その後は観覧車に乗って――」
待って、その時の会話ってたしか――
〜 〜 〜
そ ゚ー゚)そ「ねぇねぇ、ブーン君。将来の夢って何?」 (※私の母)
(*^ω^)「おっおっ! ブーンは、ツンのおよめさんになるんだお!」
リ*・凵E)ル「ちがうでしょ! アタシがおよめさんになるの!
ブーンはアタシのおむこさんなんだから!!」
そ ゚ー゚)そ「あらあら……じゃあブーン君、娘をよろしく頼むわね」
〜 〜 〜
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 22:48:04.92 ID:JfDpwXje0
当時の私は何を言い出してるのよっ!!
いけない、あのバカがこの事を思い出したら……
ξ;゚听)ξ「ブーン! と、とりあえず夜景を楽しみましょ!
ほら、あっちの方とか綺麗なんじゃない!?」
とりあえず話題逸らしに走る私。
……あれ? なかなか返事が返ってこないんだけど……
ξ ゚听)ξ「……ブーン?」
私はブーンの方へと振り向く。そこで私が見たのは――
( ‐ω‐)
ぼんやりとした室内灯に照らされる、目を閉じたブーン。
……その周りを、幾重も重なった黒い鎖が囲んでいた。
- 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[猿さん襲来] 投稿日:2010/10/09(土) 23:01:01.31 ID:JfDpwXje0
ξ;゚−゚)ξ「っ! いつの間に!?」
慌てて伸ばした私の手は、軽い衝撃と共に弾かれた。
黒い鎖を境界として、見えない壁が存在している。
「ツン、はやく携帯を取るぽ!」
ξ;゚听)ξ「わかってるわよ、『春風と共に――』!!」
腰から響いた声に従うまでもなく、携帯を手に取り呪文を唱える。
数秒もしないうちに、私の格好は白のヒラヒラ衣装、つまりは魔法少女っぽい衣装へと変わった。
手に取った携帯はステッキへと変わり、ストラップだった毛玉は膨らんで私の肩へと跳び乗る。
./・ω・;ヽ「この魔力……只者じゃないぽ!」
この生き物は『ぽ』。古代に超文明があった頃に作られた愛玩生物で―― って、説明してる暇はないわね。
ξ;゚−゚)ξ「この強さは……」
変身するまでは、まったく魔力を感じさせなかった黒い鎖。
しかし今の状態になってみると、とてつもない魔力をおびている事が解る。
正直な所私の全力でも、傷が付くかどうかさえ怪しい。
でもこのままだとブーンは……!
- 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:03:11.48 ID:JfDpwXje0
『―― あーあー、テステス……』
ξ;゚听)ξ「っ!? この声は……!」
突如コンテナ内に流れていたBGMが止み、スピーカーから声が流れる。
機械で声でも変えてるのか、中性的でのっぺりとした声。
『あー、どうやらちゃんと聞こえているようだね。良かった良かった』
ξ;゚−゚)ξ「ダサい仮面の男……」
『……いくら何でもそれは酷い言い草じゃないかな?
たしかにカッコいいデザインとは言い難いけどね』
私が止めるべき相手、仮面を付けた謎の人物。
美術館の屋上で戦った記憶が、一瞬脳裏を過ぎる。
どこかからこの中を見てるの……!?
『おっと、僕の姿を探そうとしても無駄だよ……あと先に忠告しておこう。
その中から出たり、大規模な魔力を使ったりとかは考えないように。
愛しの彼の身が心配ならね……』
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:06:16.06 ID:JfDpwXje0
ξ#゚听)ξ「ブーンをどうする気よ! 何が目的なの!?」
『前者の解答は、まあ見て解るように人質って所だね……
ちなみに人質が彼だけだと思ったら大間違いだよ』
その言葉と共に、窓の下の方で魔力が膨れ上がる。
夕方に私達が映画を見ていた、多目的シアター。
その屋根の上へと、不可視ではあるけど巨大な魔力の塊が生まれた。
『今あそこのホールでは、大勢のマスコミを呼んでプレゼンテーションが行われている。
そんな真上で、この魔力の球が爆発したらどうなると思う……?』
ξ#゚−゚)ξ「ぐっ……」
……あの大きさの魔力が爆発したら、ホールのほとんどは消し飛んでしまうに違いない。
とてもじゃないけど私の力量では止めるのは無理そうだし……
『さて、後者の質問に答えよう。
僕が望むのはただ一つ……君との対話だよ』
ξ#゚听)ξ「……対話?」
『そうだよ。こういう状況でも作らないと、君とは冷静に話せないと思ってね』
ξ#゚−゚)ξ「よく言うわよ、どう見ても脅迫じゃない!」
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:08:12.93 ID:JfDpwXje0
『ははっ、手厳しい事を言ってくれるね。
まあいいさ。この機会に、是非僕の目的を聞いてもらおうと思ってるんだ。
きっと聡明な君なら、僕の考えに賛同してくれると思うけど……』
ξ ゚听)ξ「何よ、ありもしない有名人の弾圧にでも対抗しようとしてる訳?」
『……悪いけどそういう対応に困るのはやめてくれないか。
君の相棒からは何か聞いてないのかい?』
ξ ゚听)ξ「聞いてる。たしか救世主がどうのこうのだったわね」
『ふふっ……なんだ、知ってるんじゃないか』
ξ#゚听)ξ「バッカじゃない!? 神様にでもなった気なの!?」
『……いやいや、さすがにそこまで自意識過剰じゃないよ。
ただ、真実を知ってしまった者としては行動しない訳にはいかないのでね……』
ξ ゚−゚)ξ「真実……?」
『ああ、君はやっぱり知らないんだね。まあ君の相棒が知っているとも思えないが……』
ξ#゚听)ξ「何をごちゃごちゃ言ってるの! 早く真実ってのを言いなさい!」
『じゃあ君に伝えておこう。人類は、近い将来に滅亡する運命にある』
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:10:23.80 ID:JfDpwXje0
ξ;゚听)ξ「…………」
……は? 今滅亡とか言わなかった?
ξ;゚听)ξ「…………何よ、それ。『な、なんだってー!?』とでも言えばいいの?」
『まあ信じられないのも無理はないかもね……
君はなぜ古代文明が滅亡したか、理由を聞いてるかい?』
ξ ゚听)ξ「古代神が暴れて、それを封印するために二つの水晶が作られた。
しかし人々はその水晶の力を求めて、新たな戦いを起こした……でしょ?」
『うん、正解ではあるよ。でも、肝心な所が抜けてるね。
なぜ古代神が暴れる事になったか、君は知ってるかい?』
ξ ゚听)ξ「人工生物を作る過程で、偶然発見された――」
『いいや、それは違う。古代神は目覚めるべき必要があり、目覚めたんだ』
ξ ゚听)ξ「目覚める必要……?」
『人類はその当時、人類にとっての『天敵』と戦っていた。
そしてその『天敵』にとっての弱点が、古代神だったのさ。
古代神が蘇った事で『天敵』は消え、人々は古代神を崇めたという訳だよ』
- 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:12:01.60 ID:JfDpwXje0
ξ;゚−゚)ξ「てん、てき……?」
えーっと、ちょっと待ってよ……
その当時、『天敵』と呼ばれる何かの存在があって、人類はそれと戦っていた。
で、『天敵』にとっての天敵である古代神が蘇り、その『天敵』はいなくなった。
で、人々は古代神を神と崇めたけど、その神が暴走を始めた……?
『僕も当時にいた訳じゃないから知らないけど、おおむねそれで合ってると思うよ』
ξ;゚听)ξ「(考えを読まれている……?) ちょっと待ってよ、じゃあ……
アンタ達の目的は古代神を蘇らせる事なのよね?」
『そうだよ。そして君の次の質問にも、イエスと答えさせてもらおう』
ξ;゚−゚)ξ「っ!? なんて事……」
考えが読まれている事よりも、相手の答えの方がショックだった。
私が次にしようとした質問、それは――
「その『天敵』は近い将来、この時代に現れるの?」
- 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:15:04.85 ID:JfDpwXje0
『くくくっ……いや、イエスと言うには少し語弊があるな。
実はその存在は、すでに現れてはいるんだよ』
ξ;゚听)ξ「…………」
『もっともまだ力が足りないようで、すぐに逃げ帰ったようだけどね。
時期さえくれば、その『天敵』によって人類は駆逐される……』
ξ;゚−゚)ξ「…………」
『それを防ぐため、僕は古代神の復活を急いでいるんだよ』
ξ ゚听)ξ「……一ついい? その話って本当なの?」
『間違いないさ。古代からの記録、事情、形跡……全てが真実だと教えてくれる』
ξ ‐凵])ξ「で、アンタ達はその『天敵』とやらを防ぐために、古代神を蘇らせる。
その古代神が過去に何をしたかを知っていて……」
『そうだよ。何も考え無しでやるほど、僕も愚かではないさ』
ξ ゚听)ξ「昔の人が束になってようやく封印したのを、アンタ達は制御できるの?」
『……君は以前から一つの誤解をしているようだね。
それにあの事実は知らないのか……』
ξ#゚听)ξ「いちいち誤魔化さないでっ! 誤解とか事実とかって何よ!?」
- 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:17:03.90 ID:JfDpwXje0
『よし、まずは誤解から解いておこうじゃないか。
君はあんた達という表現をよく使うけど……これは僕一人の計画だ』
ξ;゚−゚)ξ「一人……」
てっきり何かの組織が動いてると思い込んでいたけど……
いや、でもそっちの方が都合がいい。あの男を止めれば終わりって事だし。
『じゃあ次は、君が知らない事実を教えておこう。
そもそも君は、魔力のメカニズムを正確に知ってるのかい?』
ξ ゚听)ξ「…………」
『人は何かを強く願った時、特別なエネルギーを発する。
いわゆる「根性」、「気合」、「精神力」……これらの力は全て、現実世界へと干渉する。
もっとも及ぼす威力はほんの微々たる物だけどね、本人も気付かないほどの』
ξ ゚−゚)ξ 「…………」
『けれどこれらの力を利用し、現実に多大な影響を及ぼす能力を持つ者がいる。
そう、それが僕や君のような存在……魔法使いと呼ばれるものだ』
ξ ゚听)ξ (願いを叶えた時、じゃなくて願いを叶える時?)
『魔力の元となるもの……そうだな、「気力」とでも言おうか。
実はそれ自身は量の差自体はあるけど、誰だって持っている物だ』
- 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:19:12.40 ID:JfDpwXje0
『だが、それを魔力に変改する才能は、ごく限られた人にしか出来ない。
特に僕や君のような、自由自在に多大な魔力を操れるような者はね』
ξ ゚听)ξ「…………」
『……ここで重要な事実。それは、『全ての人間は魔力の源を持っている』事だ。
そして人類は進化していくにつれ、その一見不必要な力を段々と増幅させていった……』
ξ ゚听)ξ「…………」
『つまり早い話が、現代の人間は古代人と比べ、とてつもない基礎能力差があるわけさ。
それも一回りとか二回りとかそんなレベルじゃない、まさに桁違いと言うべき物だ』
ξ ゚听)ξ「……つまり、あなた一人でも充分計画は進められると、
それだけの力はあるとでも言いたい訳ね」
『ああ、そうだ。その自信はある……と言いたいが、実は一つだけ懸念材料がある。
それは他でもない、君の事だ』
ξ;゚听)ξ「……私?」
『認めたくは無いが正直な所、君は僕に匹敵するほどの魔力がある。
今のところは僕の方が有利だが、君に引っ掻き回されると厄介なんだよ』
- 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:20:58.80 ID:JfDpwXje0
『まあこれで、僕の真意は伝わったはずだ。僕は私利私欲の為ではなく、人類の為に動いてる訳さ。
計画に協力して欲しいとまでは言わない、ただおとなしく僕の行動を見ていてくれないか?』
ξ ゚听)ξ「…………」
『さあ、君の答えを聞かせてもらおうか?』
ξ ゚−゚)ξ「……その前に一つだけいい? なら何であんな事をしているの?」
『……あんな事、とは?』
ξ#゚听)ξ「決まってるじゃない! 無関係の人に魔力を渡している事よ!」
『ああ……なんだ、その事か。いいじゃないか、ギブ&テイクの関係で。
全ての人は魔力の源を持っている事は君に話したよね?』
ξ ゚听)ξ「聞いてる、けどそれが何の関係があるのよ!」
『僕は通常では叶わない相手の願いを叶える為に、魔力を少しだけ分けてあげる。
そして願いを叶えた相手から、余剰分の気力を回収していく……
だれにも迷惑をかけていない……いや、むしろ願いを叶える分だけ善行だと思うけどね』
ξ ゚听)ξ「……アンタは本気でそう考えてるのね」
『ん? 何か言いたいのかい?』
- 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:23:26.68 ID:JfDpwXje0
ξ ゚听)ξ「自分が心から思う真の願いを、魔力なんてチートで叶えるなんて馬鹿げてる。
特に人から与えられたものなら尚更ね」
『……ふーん、それが君の考えかい』
ξ#゚听)ξ「人類の『天敵』? 滅亡する? それがなんだってのよ!
そんな物その時にどうにかすればいい事よ!
少なくとも今危険を冒してまで古代神を目覚めさせる事はないじゃない!」
『なるほど、なるほど……それが君の本心なんだね?』
ξ#゚听)ξ「何度でも言うわ、アンタの考えは間違っている!
私の考えが正しいかどうかは解らないけど、アンタが間違ってるのは確かだわ!」
『そうか、僕の意見に同意してくれる気は無いか……』
ξ#゚−゚)ξ「ええ! これっぽっちも、万に一つも、天地が引っくり返っても可能性は無いわね!」
『……そこまで否定してくれるとはありがたいじゃないか。
おかげで僕も決心がついたよ』
ξ ゚听)ξ「……決心?」
『君を完膚無きほどに叩き潰す覚悟さ。どうやら君は僕に応じる気はなさそうだしね……
賛同してくれる意思が欠片ほどでもあったなら、こうはしなかったんだけどね』
- 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:25:19.85 ID:JfDpwXje0
ξ ゚听)ξ「悪いけど、私はアンタに易々とやられるほど甘くないわよ」
『ふっ、まあいいさ。今はまだその時期ではない。
最後に一つ贈り物を贈ってから終わりにしよう』
ξ ゚听)ξ「贈り物……?」
『君の強い意思に送る、賞賛の花火さ』
男の言葉と同時、ホールの屋根にある魔力が凝縮を始める。
ξ;゚−゚)ξ「花……ッ!」
まさかこいつ……ホールを吹き飛ばす気なの!?
『そこからゆっくりと眺めているがいいさ。眺めは最高だろ?』
ξ;゚听)ξ「待って! そんな事をしても何の意味もないじゃない!」
『ククク……もし君が僕に協力してくれるなら止める、と言ったらどうする?』
ξ;゚−゚)ξ「っ……何て卑怯な……」
『さあ、君はどう答えてくれるんだい?』
ξ )ξ「…………、よ」
- 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:28:25.49 ID:JfDpwXje0
『ん? よく聞こえなかったけど――』
ξ#゚听)ξ「NOよ! アンタの言う事なんか聞いてられない!
ホールを吹き飛ばす!? やれるもんならやってみなさい!
私が全力をかけて止めてみせるんだから!」
『……解ったよ、じゃあそこから指を銜えて見てるんだね』
ξ#゚听)ξ「そんな事させな―― っ!?」
ブーンの周りに浮かんでいた鎖が分解し、こちらに向かって飛んでくる。
ξ#゚听)ξ「『桜色の障壁』!!」
とっさに私は防御のため、魔力の壁を張った。だけど――
『無駄だよ、その程度では……』
黒い鎖はまるで水を抜けるかのように、何の抵抗も無く障壁を越えてくる。
鎖はそのまま私の周りに再集合し、黒い光を放ちながら高速で回転しだす。
ξ;゚−゚)ξ (っ!? 動けない!)
まるで体が石にでもなったかのように、指先一つさえ満足に動かせない。
魔力を放とうとしても、体の外へ出そうとした所で弾き返されるし――
『さて、ショータイムの始まりだよ。じっくり見てるんだね』
唯一動かせる視線の先では、ホールの上の魔力が更に凝縮していき、そして――
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[またまた猿] 投稿日:2010/10/09(土) 23:31:23.89 ID:JfDpwXje0
極限まで凝縮された魔力は、そのまま空高くへと跳ね上がる。
観覧車の最上部より更に高く、雲にまで届くかという距離まで高速で登りきった。
ξ;゚听)ξ (えっ……!?)
そしてそのまま魔力は幾つかの塊へと分かれ、ゆっくりと降下を始める。
程よい高さまで落ちた魔力はそれぞれ、色取り取りな光を八方へと散らす。
空が七色の光に染まった数刻後、幾つかの軽い爆発音が響いてきた。
ξ;゚−゚)ξ「は、花火って……言葉通り?」
張り詰めた緊張が解け、くたりと床にしゃがみ込む私。
いつの間にかあの鎖もどこかに消えてるし……
『……はははっ、楽しんでくれたかい?』
ξ;゚−゚)ξ (んな訳ないでしょ!?)
『仮にも人類を救うはずの僕が、無益な殺生をするはすがないさ。
まあともかく、今夜は有意義な時を過ごせたよ。君とゆっくり語る事が出来たからね』
ξ#゚听)ξ「……私にとっては最悪の時間だったけどね」
- 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:33:08.60 ID:JfDpwXje0
『まあ君のデートを邪魔したのは良くなかったね。
……ただ、今回の事で僕を少しでも理解してくれると嬉しいよ』
ξ#゚听)ξ「ええ、絶対ボコボコにするべき相手って理解できたわ」
『……そうか、まあそれでもいいさ。とにかくツン君……いや、プラナス・チェリー。
次に戦う時が来たら、僕も容赦はしない。それまでつかの間の平穏を楽しむんだね』
ξ#゚听)ξ「私だって容赦しないわよ! 絶対アンタをブッ倒すんだからっ!」
『じゃあ、またの機会に…… あ、そうそう。愛しの彼にかけた魔法はもうすぐ解けるよ。
はやくその格好を止めたほうが、色々とめんどくさい事にならずに済むと思うけど?』
ξ#゚听)ξ「誰が愛しの彼よ! こいつとは只の……っ!」
私が言い切る前にスピーカーから流れていた声が止まり、再びBGMが流れ出す。
最初の方からこっそり撒いていた魔力探知の呪文にも、結局ずっと何の反応も無かったし……
ξ ゚听)ξ (私の呪文の勢力圏外から魔力を使ってる……
いや、もしくは何らかの方法で探知できなくしてるのかも)
まあとにかく、あの男を捜しても無駄な気がする。
あの男の忠告に従うのはしゃくに障るけど、ブーンにバレても面倒だし――
ξ;‐凵])ξ (とりあえず、この事はしばらく置いとこう……)
私が元の服装に戻って数分後、ブーンは無事に目を覚ました。
- 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:41:05.42 ID:JfDpwXje0
./‐ω‐ ヽ「……ごめんぽ、ツンを騙す気はなかったぽ」
ξ ゚听)ξ「じゃあ、やっぱり嘘だったの?」
./・ω・ ヽ「いや、ちょっとそれも違うぽ。
ぽはもともと愛玩用の魔法生物って事は言ってるぽ?」
ξ ゚听)ξ「うん、それは知ってるけど――」
./・ω・ ヽ「……実は、ぽはそれほど魔力そのものに関しての知識が無いんだぽ。
大昔に人から聞いた記憶はあるけど、ただそれだけぽ。
古代神が暴れたのは確かに知ってるけど、『天敵』なんて初耳だぽ」
ξ ゚听)ξ「そうなの……」
./・ω・ ヽ「……ツンをこんな事に巻き込むんじゃなかったかも知れないぽ。
もしかしたら、あの男は本当に『天敵』を倒すために行動してて、
ぽ達がやってるのは人類にとって邪魔な行為なんじゃ……」
ξ ‐凵])ξ「はい、そこでストップ!」
./・ω・;ヽ「ぽ……」
ξ ゚ー゚)ξ「ぽは古代神の怖さは知ってるんでしょ? で、それを蘇らせないのが目的。
……私も過去のイメージを見たけど、あんなのはこの世にいちゃいけないの」
./・ω・ ヽ「ツン……」
- 162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:44:48.48 ID:JfDpwXje0
ξ*゚ー゚)ξ「そもそもぽに私を騙せるほどの技量があるわけ無いしね。
古代人とは格違いの魔力をなめないでよ?」
./・ω・*ヽ「……ツン、ありがとうだぽ。ぽはツンに出会えてよかったぽ」
ξ*゚听)ξ「まっ、とにかく……これからは特訓あるのみね!
あんな変態仮面なんかに負けてられないわ!」
./・ω・ ヽ「ぽも微力ながら応援させてもらうぽ!」
あの仮面男……絶対にいつかまた会うはず!
その時はコテンパンにしてやるんだからっ!!
- 164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/09(土) 23:49:48.76 ID:JfDpwXje0
:÷: :÷: :÷:
……そうか、やっぱり君は敵対する道を選ぶんだね。
まあそうであってこその君だ、あっさり仲間になっては面白くない。
ともかく今は、残る二つの水晶を追うしかない。
なぜか全く反応に現れない青と碧色の水晶片。
早く見つけないと計画に支障が出てしまうが……
……いや、自分に課せられた宿命では、かならず近い内に蘇らせる事が出来るはずだ。
『奴ら』から人類を守るため、そして――
【次回に続く】
- 166 名前:【次回予告】 投稿日:2010/10/09(土) 23:51:46.70 ID:JfDpwXje0
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( ゚∀゚)「最近の朝晩は冷え込むようになってきたな」
('A`;)「一応作中ではまだ夏だからな、そういう話はやめてくれ。
で、次の話になるわけだが――」
皆が待ちわびた夏休み、嫌いな奴など存在しない!
海に山川、肝試しに虫取り、花火大会にスイカバー!
正直イベントてんこ盛り、虫を取る時は足元に注意!
そんな次回、第7話:『塊マンボ!』
馬鹿は来る……必ずな
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( ゚∀゚)「で、結局いつまで7話を引っ張るんだ?」
('A`)「最悪の場合、15532回って事もあるんじゃ……」
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(; ゚∀゚)「いや、さすがにそれは無いだろ……無いよな?」
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