- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[ありがとうございます] 投稿日:2009/09/23(水) 22:25:34.68 ID:gddTLEbGO
- 私は群衆の中心に立つ。私の周りの多くの人間が幸せそうな顔をしている。幸せそうな彼らの傍らに、小学生くらいの背丈の生き物がいた。
その生き物こそが、彼らを笑顔にする理由である。
それらは、私たち人間に自由とゆとりをくれる生き物。いつからか、私たちはそれらと共存して生活していた。
私がなぜ群衆の中、じっと立っているのか。それは、私が20歳になったからである。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:26:48.20 ID:gddTLEbGO
- 市の職員「それでは、AAをまだ所有しておられない方はこちらの受付へどうぞ。」
市の職員の一人が、ザワザワと賑わう市役所駐車場で声をあげた。
私と同じようにAAをまだ所有していない、20歳になった人々がゾロゾロと列を作り、指示通りに進んだ。私も同じように列にまじり歩いた。
市の職員「え〜では、住民票と・・・はい。名前が・・・はい。職業は・・・今はなし。と・・・」
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:28:34.80 ID:gddTLEbGO
- 私の前にあった長い列がなくなり、駐車場に用意された長テーブルに紙で受付と書かれた、受付の前に私が立つと、すぐに受付の市の職員は私がどういう人間か調べはじめた。
私は言われるがままに住民票や保険証を提示し、事前に名前などを記入したプリントを渡した。
市の職員「えーはい。はい。でしたらぁー。えー・・・」
市の職員「ペットになさるAAのご希望等はありますか?」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:31:03.71 ID:gddTLEbGO
- 職員は、私にAAの希望をたずねてきたが、私は同世代の友人もおらず。さらに、父も母もAA制度が出来てからも、AAをペットにしようとは考えなかったために、AAについて詳しい知識がなかった。
市の職員「あぁ。そうなんですか。えっ、とですねぇ〜簡単に言うと2つに別れるんですよ」
市の職員「我々の言語を理解し話すやつ。と、そうではないやつ」
市の職員「ま、詳しい事はこちらの'AAと仲良く楽しく暮らすための105のルール'を読んでください」
市の職員「じゃ、さっき言った2つでしたらどちらがいいでしょうかね?」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:33:12.69 ID:gddTLEbGO
- 去年から成人式終了後に、成人を対象にAA所有登録会場が開かれるようになった。
AA制度は、希望する者にAAを無償で国が与える権利であり、所有は義務ではない。そのため、以前はAAをペットとする者が少なく、AA制度を疑問視する声が多かった。
しかし、社会不況や犯罪率の増加など社会にゆとりがなくなっていくと共に、AAをペットとする者たちが増えていった。
市の職員「はいはい。じゃ、言語理解の方で。じゃ、市役所裏のAAセンターに行ってこの書類をわたしてください。」
職員は忙しそうにそう言った。それもそうだろう。2年前から、成人式ほど忙しくうんざりする日は市の職員にはないはずだ。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:35:37.23 ID:gddTLEbGO
- センター職員「はい。こちらがあなたのAAになります。それで、このプリントとファイルを読んでいただければ、全部わかりますから。では、はい」
センター職員も忙しくゆっくりと説明はしていられないようで、私は分厚いファイルと3枚の黄色のプリントと私の腰ぐらいまでの背丈のAAを素っ気なく渡された。
私「ブーンくん?」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:37:32.97 ID:gddTLEbGO
- ( ^ω^)「よろしくですお」
私「よろしく」
笑顔が微笑ましいAAだった。私は、直に触れて見てAAの良さを実感した気がした。なんというか、とても温かな気持ちになれたのだ。
( ^ω^)「お腹すきましたお」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:38:35.26 ID:gddTLEbGO
- 私のペットのブーンは、とても明るく活発で純粋な性格のようで、常時ニコニコと笑いながら私の返事を待たずにマシンガンのようにベラベラと言葉を発した。
( ^ω^)「うはwwwwうまいおwうまいおこのステーキwwwいい人のペットになったお」
寡黙で人見知りな私には最適なAAかもしれない。言語理解タイプのAAで正解だった。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:39:55.66 ID:gddTLEbGO
- ( ^ω^)「ふぅー食ったお。ファミレスって場所は最高だおww」
私「満足したかい?」
( ^ω^)「しwたwおww最高だおww」
( ^ω^)「お!?」
( ゚ω゚)「おー!!?」
私「ど・・・どうしたんだい?」
( ;^ω^)「大変だお!!早くファミレスをでないといけないお!」
私「ど・・・どうしたんだい?」
( ゚ω゚)「いいからでるんですおwww」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:42:22.17 ID:gddTLEbGO
- 私は、ブーンに言われるがままにファミレスを出た。ブーンはすばしっこく、そのためブーンに引っ張られていた私は、会計でお釣りを貰う余裕すらなかった。
ファミレスを出た後も、ブーンは私を離そうとせずに走り続けた。私は、ブーンに引っ張られながら転ばぬようにするのが精一杯だった。
( *^ω^)「こんにちわだお!!」
ξ゚听)ξ「あら?あなたブーンじゃない」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:44:20.26 ID:gddTLEbGO
- ブーンが急いで店を出た理由は、これだった。
どうやら知り合いのAAが道を歩いているのを、店から見かけたようだ。相手は、可愛いらしい女の子のAAだ。
( *^ω^)「ひひさしぶりお!君がペットになってから3ヶ月ぶりの再会だお」
ξ゚听)ξ「あら、そんな事を覚えてるわけ?キモいわね。だから今までペットに選ばれなかったのよ」
ξ゚听)ξ「あら、べ・・・別に飼い主さんが悪いとかじゃないからね!」
( *^ω^)「ふふwwツン♪」
この女の子AAはとても気が強く、ブーンは軽く罵倒されていたが、それでもなぜかブーンは喜んでいた。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:46:11.31 ID:gddTLEbGO
- ( ^ω^)「そういえば、ツンの飼い主さんはどこだお?」
ξ゚听)ξ「え?あー。あたしの飼い主ね。あいつ、おっそいのよー行動がっ!だから私は先に歩いてたわけ」
私「それじゃ、迷子かい君は?」
ξ゚听)ξ「はぁ?私は、先に歩いているだけよ!!バカじゃない!?あのね、AAはペットだからってガキじゃないんだからね」
私「し・・・失礼」
( ^ω^)「怒られたおwww」
その時、私の背後から「ツン」と叫ぶ声が聞こえた。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:49:00.41 ID:gddTLEbGO
- 大きな声をあげながら走ってきた女性は、私とブーンと話していたAAの側に立つと、呼吸を整えながら私に向かって話しだした。
女「す・・・すいません!!ど、ど、どーもっ!すいません!このAAが何か迷惑かけてしまったのならはわわらわぁらぁ」
( ^ω^)「落ち着きなさいおwwww」
ξ゚听)ξ「あんたが言うんじゃないわよ!ブーン!それに、あたしは迷惑なんてかけてないんだからね!!」
女「あぁぁあ!!すいません!!すいません!!」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:51:29.50 ID:gddTLEbGO
- 私は、目の前で慌てる同年齢くらいの長い黒髪の大柄な女性に挨拶をした。
女性の目は、前髪が覆っていてよく見えなかったが、大きく真ん丸な目をしているのは微かにわかった。
髪は寝癖なのかボサボサとしていて、着ている服は青に黄色にオレンジと変にカラフルで、不思議な模様があるロングスカートをはいている。
私「いえいえ、謝る必要なんてありませんよ」
女「すすすいません」
ξ゚听)ξ「ふん」
( ^ω^)「なんかツンの飼い主、面白い飼い主だお」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:52:33.78 ID:gddTLEbGO
- 女「あららら、可愛いAAですね」
私「はい。実は、ついさっきペットにしたばかりでして」
女「へぇーそうなんですか?可愛いなぁ〜名前は?」
( ^ω^)「ブーンですお!」
女「ブーンくん!ブーンくんはいい笑顔してますねぇ」
私「ありがとうございます。ブーンも喜んでるはずです」
( ^ω^)「ま、当然だおwwwwおwおwおw」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:54:34.01 ID:gddTLEbGO
- 女「あららら、可愛いAAですね」
私「はい。実は、ついさっきペットにしたばかりでして」
女「へぇーそうなんですか?可愛いなぁ〜名前は?」
( ^ω^)「ブーンですお!」
女「ブーンくん!ブーンくんはいい笑顔してますねぇ」
私「ありがとうございます。ブーンも喜んでるはずです」
( ^ω^)「ま、当然だおwwwwおwおwおw」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[間違った] 投稿日:2009/09/23(水) 22:55:47.05 ID:gddTLEbGO
- ξ゚听)ξ「なによ!!ブーンばかり!!」
女「ちょちょ!ツン!!ダメでしょ!すす・・・すいません」
私「ツンちゃんも可愛いAAですね」
ξ*゚听)ξ「なっっ!!死ね!」
私「えぇ!?」
女「あああ!!すすすすいません!しゅみまぶべぼば」
( ^ω^)「おwwおっwww眠くなったおw」
私「いやいや、なんだか楽しい時間でした。ブーンも眠いみたいですし、ここで」
女「はい。どうもすいませんでしたっ!!ではでは」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:57:29.60 ID:gddTLEbGO
- 自宅のアパートへと戻るとブーンは私の部屋を走り回った。ブーンが走った後は、部屋のものが散乱し、私は片付けるのが大変だったが、なんだか楽しかった。
( ^ω^)「眠かったのに、なんだか力がwみwなwぎwってwきwたw」
私「夜だからあまり騒いではダメだよ」
( ^ω^)「じゃ、こっそり騒ぐおwww」
私「あ、ブーン。し・・・静かにっ」
( ^ω^)「ブーンwwwww」
20年間、友人とよべる者がいなかった私は、なんだかこの騒がしさがとても嬉しかった。なんだかこれから楽しくなりそうな気が、私にはしていた。
( ^ω^)「飼い主さん!なんか大家さんって人がきましたお」
私「あわわわ」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/23(水) 22:58:32.77 ID:gddTLEbGO
- ( ^ω^)ペットのようです
第1話 おしまい☆
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