( ^ω^)踊る!枕投げ戦争のようです

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:30:09.56 ID:uqIQaunAP
( ^ω^)「…お?」

その部屋の時計の長針が9時に差し掛かろうとしたとき、ブーンは目を覚ました。
彼は3度目を瞬かせ、真っ暗な世界を見つめる。
右手を人差指で両目を擦るとき、ブーンは自分が横になっていることに気が付いた。

背の向きを変え、左手で床に触れた。

( ;^ω^)「……畳?」

目から得られる情報がない代わりにザラザラとした織目が指先からしっかりと伝わる。
鼻の奥に来る独特な檜の香りが部屋中に漂い鼻腔を刺激する。
ゆらゆらと揺れる脳がうまく働かず、一つ一つの疑問を解消する事すらも彼にとっては困難なようだ。

( ^ω^)「ここは…どこなんだお?」

見知らぬ部屋にいた人間が一番最初に疑問に思う素晴らしい質問だ。
だが、その質問に答えてくれそうな人物はいない。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:31:56.80 ID:uqIQaunAP
ブーンは床に触れた左手に体重を掛け、上体を起こした。
鈍く痛む頭を押さえながら辺りを見渡す。
夜目に慣れてきたのか、うっすらとではあるがブーンは部屋にある物を確認できるようになっていた。

( ^ω^)「……和室?」

六畳ばかりの部屋、中央には木製のテーブルがあった。
さらに奥に2畳ほどの部屋がありその先には窓があった。
部屋が見渡せるのはそこから来る月明かりのおかげかもしれない。

隅には座布団が積まれており、襖や障子に掛け軸もあるようだ。
その他にテレビや金庫に冷蔵庫、天井には白熱灯なども確認でき、ブーンは自分はタイムスリップしたのではないと呟いた。

それにしてもここは一体どこなのだろうか、とブーンは考えを巡らせた。
ここはブーンの部屋ではない。そもそもネカフェ難民のブーンに部屋など存在しなかった。
さらに言えば、ブーンはこんな部屋など今まで一度も来たことがなかった。

( ^ω^)「ここは…旅館かお?」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:32:52.77 ID:uqIQaunAP
( ^ω^)「何なんだお…この部屋は」

ブーンはこの部屋に来た記憶もなかった。
どれだけ思い出そうとしても、この部屋で寝ていた経緯を辿ることができなかった。
一体自分の身に何があったのか…?ブーンは把握できずにいるようだ。

( ^ω^)「拘束されてた様子は無い…か」

ブーンは壁に手を掛け立ち上がった。
明りを求め、スイッチを探す。
ブーンは部屋を調べるべく、手探りで闇を掻いた。

壁から壁へ。スイッチらしき物の感触を必死で探す。
ブーンが壁から手を離し1枚の襖に差し掛かったその瞬間、

( ;^ω^)「んお?」

川 ゚ -゚)「こんばんは」

襖がガラガラと音を立て、勢いよく開かれた。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:34:06.68 ID:uqIQaunAP
突然の光にブーンは一瞬怯んだが、次第に慣れ始め、数秒後にはそこにいる女性の顔を直視できるようになった。

( ;^ω^)「…………え?」

川 ゚ -゚)「おはようございます内藤様。会場の準備が整ったので、ご同行願います」

( ;^ω^)「え?え?いったい何の事だお?」

会場、準備、……いったい何の話なのかブーンは分からなかった。
そして目の前に現れた女性。薄く染めた茶髪に真黒なスーツを身に纏っている。
顔立ちも良く、スタイルや姿勢も良い。

よく言えば誰にも好かれる容姿。悪く言えばモブキャラだ。(実際モブ)

川 ゚ -゚)「申し遅れました。私は今回の大会運営係です。」

ハッと気がついたように女性は深々と頭を下げた。
ブーンの顔はますます困惑した表情になっていった。

( ^ω^)「大会?……いったい何の話だお?」

川 ゚ -゚)「内容につきましては下のロビーでお話します」

( ;^ω^)「……」

表情を変えず淡々と説明を続ける女性。
ブーンは言葉を失ってしまった。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:35:10.35 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくれお」

ブーンは彼女の申し出に答える前に、ここまでの状況を整理することにした。

1.ブーンはこの女性(あるいは関係者)によってここまで連れてこられた
2.その理由は大会に参加するため?
3.その大会についてはこれから下のロビーで説明がある

( ;^ω^)「………」

一番肝心なポイントが分からないままだ。
いったいなんの大会だというのだ。
それを聞かなければどうする事も出来ない。
ブーンは余計にこんがらがってしまった。

( ;^ω^)「その大会っていうのは……何」

川 ゚ -゚)「その点につきましてはロビーでチュートリアルを行うので大丈夫です」

( ^ω^)「いや大丈夫って……」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:35:56.27 ID:uqIQaunAP
川 ゚ -゚)「とにかく、内藤様が状況を把握する為にはロビーに向かうのが一番かと……」

確かにその通りだ。とブーンは感じた。
ここにいても事態は何も変わらないだろう。

( ;^ω^)「……………………」

( ;^ω^)「じゃあ……」

川 ゚ -゚)「決まりですね。行きましょう。」

女性はブーンの話を喰う様に話した。
ブーンもこの女性に抵抗する事をやめ、素直に従うことにした。
ブーンは首を1回縦に振ると、玄関に綺麗に置いてあった自分の靴を履き、外に出る。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:37:01.20 ID:uqIQaunAP
外は長い廊下が続いていて、まさに旅館と感じるような殺風景な風景だった。

川 ゚ -゚)「こちらです」

女性の指示に従い、ブーンは廊下を歩く。
ブーンはそこで一つ質問を思い出した。

( ^ω^)「あの………」

ブーンはそこでこの女性の名前を知らないことに気付く。

川 ゚ -゚)「何でしょうか?」

( ^ω^)「えーと…あなたのお名前は?」

川 ゚ -゚)「私はこの大会の運営補佐を務めます、クーと申します」

( ;^ω^)「えっと………クー…さん」

川 ゚ -゚)「はい」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:39:20.59 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「ここは…いったいどこなんだお?」

エレベーターに辿りつき、2人の足は止まる。
クーはエレベーターのボタンを押し、2人で箱の到着を待つ。
さっきの質問は流されたのかと思ったブーンであったが、クーは丁重に話し始めた。

川 ゚ -゚)「ここは『ひまわり温泉』という創業53年の老舗の旅館です」

( ;^ω^)「ひ、ひまわり温泉?」

川 ゚ -゚)「岐阜県です」

( ;^ω^)「岐阜!?」

ブーンが飛び上がるほど驚いたのと、エレベーターが到着したのはほぼ同時だ。
都民のブーンはなぜ自分が岐阜なんかにいるのかが分からなかった。

( ;^ω^)「なんで僕は岐阜なんかにいるんだお!?」

川 ゚ -゚)「乗って下さい」

( ^ω^)「え?あっ、はい」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:41:56.86 ID:uqIQaunAP
話半分で中断され、僕はおずおずとエレベーターの中に入る。
クーはエレベーターの中のボタンを押し、また動かなくなった。
エレベーターのドアは閉まり、箱はゆっくりと下がっていく。

川 ゚ -゚)「…申し訳ありませんが、あなたは我々が強制的に連れてきました」

( ;^ω^)「……え」

川 ゚ -゚)「夜道を歩いているところを狙い、気絶させここまで運びました」

( ;^ω^)「な、何で!?」

ブーンは怒りなど湧くよりも疑問が先行してしまった。
この大会の意図がさっぱり掴めなかったからである。

川 ゚ -゚)「忘れたとは言わせませんよ」


川 ゚ -゚)「『スローラー・ブーン』」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:43:20.09 ID:uqIQaunAP
( ;゜ω゜)「なっ………!!」

ブーンは驚愕のあまり体が硬直してしまった。

( ; ω )「何故…その名前を…」

そして次の瞬間にはブーンは全てを理解した。
大会とは何なのか。
僕が連れ去られた理由は何なのか。

川 ゚ -゚)「1階に到着しました」

エレベーターが1階に到着し、扉が開く。
ブーンはゆっくりとエレベーターから降りた。
まっすぐに伸びた廊下をしばらく歩くと大きな両扉が見えた。

川 ゚ -゚)「ブーン様が最後ですので」

クーはドアノブをしっかり掴み、扉を開けた。
中の部屋はまさにロビーというに相応しい空間だった。
床には真っ赤なペルシャ柄の絨毯が敷かれており、その上にいくつかの椅子が並べられていた。
部屋の中央には小さな台座があり、その上には四方に向けられた4つの液晶のディプレイが。
そして部屋の中には十数人ほどの人間がいた。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:44:22.99 ID:uqIQaunAP
(´・ω・`)「………」

ξ゚听)ξ「………へぇ」
  _
( ゚∀゚)「やっと来たか…」

全員がブーンの方へ顔を向ける。
会場には重い雰囲気が漂っており人々は集まることもなくバラバラと立っていた。

クーのように黒服を着ている人間と、自由な格好をしている人間の2種類に分けられていた。
黒服は全員壁に整列し、会場を眺めていた。
そのうち、一人の黒服を着た男が台座の上に立った。

爪'ー`)「え〜それでは皆さんお揃いのようなので、この大会の開会式に移らせていただきたいと思います」

ブーンは顔をあげ、会場を見渡した。
ここにいる全員と戦わなければならないのだ。
今のうちからどんな奴なのか把握しておかなければ。

( ;^ω^)「…………………」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:45:28.38 ID:uqIQaunAP

('A`)

貧相な顔の男。

(,,゚Д゚)

筋肉隆々な男。

(´・ω・`)

ニット帽を深く被った男。

('、`*川

スタイルのいい女。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:46:40.44 ID:uqIQaunAP

ξ゚听)ξ

巻髪の女。

( ・∀・)

タートルネックにスーツを重ねた服を着た男。

( ФωФ)

アスリートが着るようなスポーツウェアを着た男。
  _
( ゚∀゚)

全身を真っ白な服を着た男。

( ;^ω^)「………」

ブーンはぐっと身構え鋭く観察した。
このメンバーと戦う事になることを知っていたからだ。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:47:41.49 ID:uqIQaunAP
爪'ー`)「それでは開会式を行いたいと思います。司会は私…フォックスが務めさせていただきます」

壇上にいる男はフォックスと名乗った。
ブーンは観察を止め、フォックスの話に耳を傾ける。

爪'ー`)「大会を始めるに当たり…大会運営委員会会長であるお二人に御挨拶を願います」

フォックスがそう言うと、頭上のディスプレイの画面が突然光り出した。
そこには2人の人物が映し出された。

('A`;)「なっ…!!」

( ;ФωФ)「…どういうことだ!?」

( ;・∀・)「まさか…あんた達が運営とは…」

騒がしくなる会場。
その対象はどうやら画面に映った二人に向けられているようだ。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:49:03.33 ID:uqIQaunAP
( ´_ゝ`)『やあ、ようこそ勇敢な戦士達』(´<_` )

そこに映っていたのは2人の若い男性だった。
顔がよく似ている。
双子だろうか。

( ;^ω^)「流石グループが何故…」

ブーンもこの人物達を知っていた。
いや、義務教育を果たしていれば誰しも一度は教科書で見たことがある。

( ´_ゝ`)『今日は我々が開催したゲームへの参加、まことに感謝する』

(´<_` )『君達は世界中から選ばれた実力者だ』

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:50:03.47 ID:uqIQaunAP
流石グループ―。
全世界で指折りの業績、利益を誇る企業の一つだ。
その創業者であり、グループの頂点に立っているのがこの男達、「流石兄弟」だ。

( ´_ゝ`)『今から君達には最後の一人になるまで殺し合ってもらう』

(´<_` )『まあ……ここに来たんだ。その覚悟があってのことだろう』

( ; ω )「…………」

やはりか、とブーンは落胆した。
ここで行われるのは殺し合い。
しかも、ただの殺し合いではない。


( ´_ゝ`)『それでは始めようか………』

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:53:00.09 ID:uqIQaunAP
( ´_ゝ`)『枕投げ…………をな……』











            枕を投げ合うのだ。




     【( ^ω^)踊る!枕投げ戦争のようです】

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:54:43.54 ID:uqIQaunAP
【枕投げ-まくらなげ(Makura-nage)】

枕投げとは、西暦1000年にこの国で発祥した古来から伝わる武術、格闘技である。
術者は枕を武器に、時には防具として用いて戦う。
枕投げとは言っても、決して投げるだけではなく、枕をグローブ代わりにして相手に拳を当てたり、膝に巻きつけて蹴りつける方法など、様々な戦い方がある。

枕投げは西暦1000年に、とある二つの部族が戦の際に枕を投げ合ったことにより生まれた武術である。
そこから幾千もの時を超え、今では人々に愛される国民的スポーツとなった。

しかし今現在、枕投げはスポーツとして存在はしているものの、武術として枕投げをすることは法律で禁止されている。
それは今から40年も前、まだ枕投げが武術として知られ、男が極める道の一つとなっていた頃、当時の政府へのクーデターとして学生運動が行われた。
そこでで枕が使われ、1000人以上もの死者を出したことが原因となっている。

政府は法で枕投げを縛り、スポーツ用にスタイルを大きく変えた。
これにより、いくつもの枕投げ道場は閉館し、ラスコーリニコフは苦悩し、野田総理はオフサイドした。

しかし、裏社会ではまだ武術としての枕投げは存在しており、表には出ずひっそりとその伝統を受け継いでいる。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:56:04.84 ID:uqIQaunAP
( ´_ゝ`)『それでは、チュートリアルを』

爪'ー`)「はい」

そう言うと、壇上に立っていた男……フォックスが画面に向かって一礼をし、ブーン達にも頭を下げた。

爪'ー`)「ルールは簡単です。最後の一人になるまで個人で用意していただいた枕を投げ続けて下さい」

そう言うと、突然フォックスは右手を挙げた。
それを合図に、壁に立っていた黒服の女性達が動き出した。

川 ゚ -゚)「当館の地図でございます。どうぞ」

隣にいたクーが、ブーンに1枚の紙を渡した。
ブーンはそれを恐る恐る受け取る。

爪'ー`)「時間は無制限、行動範囲はこの旅館内のみとなります」

爪'ー`)「出入り口の封鎖はもちろんのこと、全てのガラスや壁は強化素材を使用しているのでご安心を」

脱走は不可能。
遠回りにフォックスはそう言った。
しかし、そうしたのも、ここにいる参加者は決してそんな真似はしないであろうと言う前提の上でフォックスは言葉を濁したのであった。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:57:13.68 ID:uqIQaunAP
爪'ー`)「そして気になる賞金ですが……」

爪'ー`)「会長の志向により、30億手配することが決まりました」

(;*゚ー゚)「なっ……!」

ξ;゚听)ξ「さ、30億!?」

参加者がどよめく。
彼らは自分達の予想していた金額を遥かに超えていたからだ。

( ;・∀・)「ふっ……ふふふっ……面白い」
  _
( ゚∀゚)「腕が鳴るねぇ……!」

勝てば大金、負ければ死。
ハイリスクハイリターンは彼らの心を大いに奮い立たせた。

爪'ー`)「説明は以上になりますが………他になにか質問はございますか?」

賞金の話が終わると全てのルール説明が終了した。
こんなにも大雑把なルールなのも、この試合の自由性と、集まったベテランの枕投げ師達への絶対的な信頼から生まれることだろう。
フォックスは絶対に質問は無いだろうと考えていた。

( ^ω^)「……ちょっといいかお?」

その時、ブーンが手を挙げた。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:58:13.80 ID:uqIQaunAP
爪'ー`)「何でしょう」

( ^ω^)「僕は……今、枕を持っていないお。どうすればいいんだお?」

ブーンがその質問をフォックスに投げた瞬間、会場が湧いた。
笑うものもいれば、呆れる者もいた。

('A`)「ああ?お前はここに何しに来たんだ?」

(,,゚Д゚)「ははは!こりゃあとんだ間抜け野郎だな!!」

(´・ω・`)「…………………」

爪'ー`)「ええ、貴方はそうでしたね」

フォックスがそう言うと、会場の笑い声はピタリと止んだ。
まさか運営側が容認していたこととは誰も思わなかったからだ。

爪'ー`)「ゲスト参加である内藤様には特別にこちらでご用意しました最高級の枕を支給します」

('、`*川「……ゲスト?」

ふと、参加者の女性が尋ねる。

爪'ー`)「ええ、実はこの大会、運営するにあたってどうしても後一人だけ人数が欲しかったのですが……」

爪'ー`)「招待状を送っても不参加の方が多かった為、仕方なく招待状を送った方の中から抽選で1名、突然ではございますがここへお呼びしました」

そう説明を加えると、フォックスは深々とブーンに向かって頭を下げた。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 22:59:21.33 ID:uqIQaunAP
ブーンは驚かずにはいられなかった。
このように拉致されたのは参加者の中でブーンただ一人だけだったからだ。
他の参加者は全て同意のもとでここへ来たというのだ。

爪'ー`)「そういうことなので、大会が始まる前に内藤様には運営の者から渡しておきます」

( ^ω^)「………………」

('A`)「はっ!自分の枕じゃねえのに参加するなんて……命知らずも良いとこだな」

貧相な顔の男はブーンに向かって悪態吐いた。
その言動はまるでブーンの死を決めつけたような言い方だった。

爪'ー`)「それでは……他に質問も無いようなので、始めましょう」

爪'ー`)「それでは会長、開会の辞をお願いします」

そうフォックスが言うと、再び中心は画面へと切り替わった。

( ´_ゝ`)『ああ』

(´<_` )『それでは、参加者の諸君、健闘を祈っている』


( ´_ゝ`)『Boy's be pillow ! (少年よ枕を抱け)』(´<_` )

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:00:10.12 ID:uqIQaunAP
そう言うと画面に映し出されていた映像が消え、モニターの電源が落ちた。

爪'ー`)「……それでは、大会を開始しましょう」

フォックスがそう言うと、ロビーのドアが開かれた。

爪'ー`)「では名前の呼ばれました方からお一人ずつ部屋にお戻りいただき、準備を済ませ待機をしていて下さい」

爪'ー`)「全員が部屋に戻って20分後に開始いたします」

その説明に続いて、フォックスは呼名を始めた。

爪'ー`)「エントリーNo.1ドクオ様」

('A`)「あ、俺か」

そう言うと、貧相な顔の男は黒服の女性と共に部屋を出た。
どうやら一人一人に数字があるのだとブーンは気付いた。

爪'ー`)「エントリーNo.2ツン様」

ξ゚听)ξ「はいはい」

続いて呼ばれたのは金髪巻き髪の女だった。
こんな女性まで戦うのか…と、ブーンは思わずにはいられなかった。
その後も途切れることなく呼名は続いた。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:01:26.07 ID:uqIQaunAP
爪'ー`)「エントリーNo.3ロマネスク様」

( ФωФ)「うむ」

大柄の男。

爪'ー`)「ショボン様」

(´・ω・`)「…………………」

無口な男。

爪'ー`)「ジョルジュ様」
  _
( ゚∀゚)「おう」

常に笑顔を作っている男。

爪'ー`)「ギコ様」

(,,゚Д゚)「っしゃあ!!」

大声な男。
続々とロビーから出て言った。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:02:56.70 ID:uqIQaunAP
爪'ー`)「エントリーNo.7……内藤様」

( ;^ω^)「!!」

ブーンは驚いた。
ゲスト参加であるが故に、呼名されるのは最後だと思っていたからだ。
しかし、特に文句をつけるほどのことでも無かったのでブーンは無言でドアの方へ歩きだした。

川 ゚ -゚)「それではこちらへ」

帰りもクーがブーンの先導を担当した。
ブーンはクーの後に続きロビーを後にした。
その後、ペニサス、モララーの名前が呼ばれ、全ての参加者が各部屋に戻った。

ブーンは長い廊下をクーと共に歩く。
その途中、クーはブーンにあるものを渡した。
川 ゚ -゚)ノ□「これが今回、ブーン様が使う『羽毛枕』でございます」


【羽毛枕(うもう-まくら)】

枕の中に羽毛を詰めた枕。
羽毛の感触が頭を守り、柔らかい質感を持っている。
一番定番の枕。公式戦ではこの枕が使われる。
羽毛アレルギーの方にはお勧めしない。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:04:19.90 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「そうかお……わかったお……」

そうこうしている間に、二人はブーンが元々いた部屋に到着した。
クーが中に入り、ドアを開け電気を点ける。

川 ゚ -゚)「それでは開始の合図がアナウンスで流れるまでの間、この部屋で待機をお願いします」

川 ゚ -゚)「7時20分までこのドアはオートロックされていますので、ご注意ください」

ブーンはクーの話に首を縦に一度だけ振った。
クーも頭を下げ、ブーンが部屋に入ったのを確認すると、扉をゆっくりと閉めた。
部屋に鍵が掛る音だけが響いた。

( ;^ω^)「………………」

ブーンは頭を掻き毟り、貰ったばかりの枕に顔をうずめた。

( ; ω )「どうしてこうなったんだお……」

ブーンは何度もその言葉を繰り返した。
そのうち足の力が抜け、その場に膝を着いた。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:05:11.91 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「……………」
 つ□⊂

ブーンは顔を枕から外し、枕を見つめる。
ブーンの顔の跡がくっきりと枕に残っていた。
そして次第に枕は形をその跡は次第に形を取り戻していき、まっ平らな張りのある生地に戻った。

ブーンは思い出す。
これまでのことを。



そして、ブーンは考える。


何故自分がここにいるのかを。



何故自分は戦わなくてはならないのかを。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:06:01.56 ID:uqIQaunAP
数年前、ブーンは一流のプロ枕投げ選手だった。
ブーンには才能があった。
デビューからわずか1年半でタイトル戦で勝利を収め、瞬く間に世界王座まで上り詰めた。
五輪ではいくつもの金メダルを収め、全ての階級でベルトを手にした。

ブーンは両腕に枕を付け、ラリアットで敵をダウンさせることから、その姿を称えて「ブーン」と呼ばれるようになった。

ブーンは枕投げに愛された。
気付けば、世界にブーンを超える枕投げ師は居なくなっていた。
ブーン自身もそんな自分に奢ることなく、日々精進に励んでいた。

しかし、そんなブーンの人生を狂わす絶対的な出来事が起こってしまう。

ある日、ブーンは交通事故に遭ってしまった。
幸いにも、そこまでスピードの出た来るまでは無かったため、命に別状はなかったが、
自分の身を庇う為に腕を出してしまった為、右腕に怪我を負ってしまった。

日常生活にはなんら問題はなかったが、枕投げ師のブーンにとって、この傷はただの傷では済まなかった。
医者にはもう枕は投げれないだろうと言う宣告を受け、ブーンは絶望の地まで落ちてしまった。

しかし、それはブーンのプライドが許さなかった。
ブーンはそれでも試合に立とうと決めた。
そしてブーンは許されることのない禁断の手段に手を出してしまう。


ドーピング。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:07:37.57 ID:uqIQaunAP
ブーンは薬物を摂取し、痛みを和らげた。
おかげで、ブーンは試合に出場し、そのベルトを守り続けた。
だが、そんな日々も長くは続かなかった。

ブーンのドーピング疑惑が浮上し、そしてその検査によりあっさりとバレてしまった。
ブーンは逮捕され、拘留された。当然、枕投げ協会はブーンの選手権を剥奪し、協会は復帰を認めなかった。
そしてブーンは数年の間、刑務所に勤め、出所した。


それがつい先日のことだった。

( ;^ω^)「もう……やることはないと思っていたのに……」

ブーンは心に固く誓っていた。
「もう枕を一切投げない」 と匙を投げた。枕投げなのに匙を投げた。
しかし、ブーンは強制的に戻されてしまった。
この枕投げの世界に。

( ;^ω^)「噂には聞いていたけども……まさか本当に存在するとは……」

( ;^ω^)「【闇の枕投げ】……!」


闇の枕投げとは、武術としての枕投げを受け継いでる者達が、人目に触れることのない場所で行う
枕投げの戦いや大会のことである。
別名「まっくら」とも呼ぶ。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:08:42.38 ID:uqIQaunAP
ブーンは殺し合えと言われたその瞬間にこの大会は闇の枕投げだということに気付いた。
確かにブーンは枕投げで世界を取った男だ。
しかし、それはあくまでもスポーツにおける枕投げであり、武術の枕投げとはまた意味が違う。

ブーンの腕の怪我は刑務所にいる間にすっかり完治し、枕も投げられるようにはなっていた。
だが、刑務所にいた間のブランクもあり、突然戦えと言われても不可能な話だ、とブーンは思った。

( ;^ω^)「何で僕が……それになんだお招待状って……」

ブーンは招待状の存在を知らなかった。
刑務所から出所したブーンはポストの中など一切目もくれず、ただひたすらこれからのことだけを考えていた。
しかし、呼ばれたからには逃げ出すこともできない。
ブーンは納得のいかない状況でも酷く冷静でいた。

それは、枕投げが関与している状況だからか、それとも格闘家であるブーンのタフな精神力なのか、ブーン自身にも分からなかった。

( ;^ω^)「とにかく……僕は……生き残らなければならないんだお……」

ブーンはあれこれ悩んだ末、この勝負を乗ることにした。
しかし、あくまでも生き残るため。
自分から殺しに行くなどということは絶対にしないと、心に固く誓った。

ブーンは腕に嵌められた時計を確認した。
針はもうまもなく規定の20分を指そうとしていた。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:09:43.02 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「始まるのかお……?」

世界王者であったブーンだが流石に不安は拭えなかった。
スポーツと殺し合いには……乗り越えられない壁がある事をブーンは知っているからだ。
ブーンは覚悟を決めたが、この大会だけは慎重に取り組むことにした。

その時、部屋のスピーカーから音が流れた。

『それでは、開枕(かいちん)です。全てのロックが解除されます』

放送と同時に、部屋の鍵が外れた音がした。

( ;^ω^)「は、始まったお……枕投げ!!」

ブーンは自分の心臓が高鳴っているのを感じた。
それは高揚でも恐怖でもない別の感情だった。

( ;^ω^)「………!!」

一時はここに隠れていようと思ったブーンだが、ここでは万が一に敵に出くわした場合、むしろ袋叩きに遭う可能性がある為、部屋を出ることに決めた。
ブーンは意を決してドアを恐る恐る開ける。
ドアの向こうはさっき通った時と何も変わらず、ただひっそりとしていた。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:10:49.03 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「…………」

ブーンは枕を構え、部屋を出る。
人の気配は無い。
チャンスだ、ブーンはそう思った。

ブーンは一目散に駆け出し、エレベーターを目指す。
こんな狭い廊下で戦うよりも、さっき集まったロビーで戦った方がいい、そうブーンは考えた。
長い廊下を駆け出し、突き当たりを左に曲がる。
その瞬間だった。

( ;^ω^)「!!」

目の前に何か物体が飛んできた。
ブーンはとっさに脇に上体を傾けた。
その物体は、ブーンの頬を掠め壁に当たった。

( ;^ω^)「くそっ!!……何が……!」

その時、ブーンは自分の頬から血が流れていることに気付いた。
その血はさっきの物体によるものだと判断するのに時間はかからなかった。

「フフフ……大変そうですねぇ……ブーンさん」

廊下の奥から唸るような低い声が聞こえてきた。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:11:49.39 ID:uqIQaunAP
( ・∀・)「初めまして。モララーと言います」

( ;^ω^)「!!くそっ……もうかお…」

ブーンの目の前に現れた男は参加者の一人であった。
名をモララー。エントリーNo.は10。
モララーは足元に落ちていた枕を拾い上げる。
そこでブーンは、さっき投げられたものは枕だと言うことに気付いた。

( ・∀・)「光栄ですよ。まさかあの『スローラー・ブーン』と戦うことができるなんて…!」

( ;^ω^)「やっぱり……知ってたのかお」

( ・∀・)「当たり前じゃないですか。枕を投げる人間で貴方を知らない人間なんていませんよ」

モララーはブーンのファンだった。
TVに映し出されるブーンの姿を見て育った言っても過言ではなかった。
しかし、モララーがこの世界に身を投じたのはブーンとは全く関係の無いことだった。

( ・∀・)「あなたのその枕……どうやら『羽毛枕』のようですね」

( ;^ω^)「……?何言ってんだお?枕投げは羽毛枕だけ……」

( ・∀・)「アッハハハハハハハハハハハハハハ!!ほ、本気で言ってるのですか?アッハハハハハハハハ!!」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:13:50.64 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「……?」

その時、ブーンの言葉を遮るようにモララーは甲高い声で笑い出した。
ブーンはモララーが何故笑っているか全く分からなかった。

( ・∀・)「冗談はやめて下さいよ……武術のことくらい知ってますよね?」

( ;^ω^)「な、何のことだお……?」

( ・∀・)「まさか羽毛だけなんて……ウッ…ハハw」

( ;^ω^)「……………?」

( ・∀・)「…………………まさか、本当に知らない……んですか?」

ブーンのたじろぐ反応を見て、モララーの笑顔がだんだんと真顔に変わっていった。
実際、ブーンはモララーの言っていることが何を指すのかさっぱり分からなかった。

( ・∀・)「……わかりました。貴方は本当にスポーツ馬鹿だったようですね」

そう言うと、モララーは枕を構え、腰を落とした。

( ・∀・)「教えてあげますよ……武術による枕投げは……」

( ・∀・)「羽毛だけじゃないんですよ!!」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:15:03.65 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「!!くっ…!」

そう言った瞬間、モララーはありったけの力で枕をブーンに向かって投げつけた。
突然のことにブーンは驚いたが、直ぐに体勢を整え枕で身を防いだ。

( ・∀・)「無駄だ」

ブーンは枕と枕をぶつけ、弾かせようと思っていた。
しかし、事態はブーンの思惑とは異なる状況に転がった。
二つの枕が接触した瞬間、ブーンの枕カバーがモララーの枕によって引き裂かれたのだ。

( ;^ω^)「なっ!?」

ブーンは咄嗟に危険を感知し、枕を振りモララーの枕を弾き飛ばした。

( ・∀・)「見ましたか?これが僕の流派……『そば殻流』!!」


【そば殻枕(そばがら-まくら)】

名前の通り、枕の中に蕎麦の実のそば殻が入っている枕。
そば殻の量によって枕の高さを調節できる。
形を変えやすいので肩こりになりにくい。
動かすとシャリシャリという音を出すが、慣れるとこの音だけで眠れる。
そば殻の刺激が頭に食い込むのも御愛嬌。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:16:07.82 ID:uqIQaunAP
( ・∀・)「このそば殻枕はただ打撃を与える枕ではありません」

モララーは懐から2つの枕を取り出すと、一挙に走り出した。

( ;^ω^)「!!」

ブーンも迫ってくるモララーに対応し、枕で体を守ろうとした。
しかし、先程の攻撃を思い出し、寸前で避けるという選択肢に戻った。
モララーはブーンに近付くと腕を大きく振りかぶり、ブーンに枕を叩きつけた。

( ・∀・)「そば殻枕は相手を削り!!」

( ;^ω^)「!?」

( ・∀・)「抉る!!」

ブーンはモララーの攻撃を避けたが、腕に枕を掠めてしまった。
その瞬間、ブーンの服が裂けその箇所から止め処なく血が吹き出た。
傷は浅かったが、肩から肘までの範囲を引き裂いた。
モララーのセリフは鬼鮫とはまったく関係ないってばよ。

( ;^ω^)「!!な……何を……」

( ・∀・)「驚いたでしょう?これが枕の本質ですよ」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:17:39.89 ID:uqIQaunAP
( ・∀・)「スポーツの枕投げは枕本来の能力を活かさないまま終わってしまう」

( ・∀・)「枕にはそれぞれの能力がある。それを最大限に引き出すのが武術による枕投げです」

武術とスポーツの壁はそこにある、モララーはそう結論付けるように言った。

( ・∀・)「そば殻枕は通称『卸し金』。触れるものを全て削る力を持っています」

( ;^ω^)「枕カバーを破いたのもそれが原因かお……」

( ・∀・)「ええ。もう少しで貴方の顔も無くなっていたところでしたけど……ねっ!!」

モララーはもう一度枕を構え、ブーンの顔面に向けて叩きつける。
ブーンは宙返り、モララーから距離をとる。
モララーの攻撃を間一髪で避けた。

( ・∀・)「一撃では殺さず、じわりじわりと相手の体力を減らす技、それが『そば殻枕流』!!」

ブーンはモララーの攻撃の恐ろしさを瞬時に理解した。
あの攻撃を一々喰らっていては、相手に一撃も当てることなくやられてしまうだろう。
ブーンは必死に攻撃を避けながら考えた。
どうしたらモララーを倒せるか、と。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:18:51.71 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「ぐっ……なにも思いつかないお……」

ブーンは打開策を考えることを止め、逃げることだけに専念した。
しかし、ここでブーンは格闘家としての経歴が裏目に出てしまうことになった。
ブーンは常にリングの上で攻めの戦い方をしていたおかげで、相手から長い距離を取る方法を知らなかった。
その為、モララーとブーンの距離は一向に広がることなく攻防が続いた。

( ・∀・)「退屈ですよブーンさん。もっと仕掛けてきて下さいよ!TVで見せてくれたように」

モララーはブーンを何度も煽りながら攻撃を続けた。
しかし、ブーンにはその煽りに乗れるほどの精神的余裕はなかった。

( ;^ω^)「くっ……!!どうしたら……」

( ・∀・)「……………」

( -∀-)「どうやら……私は貴方を買い被り過ぎていたようだ……」

( ・∀・)「ならば……もうお遊びは終わりにしましょう」

そう言うと、モララーは殴るのを止め、ブーンと距離をとった。

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:19:50.27 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「……?」

( ・∀・)「お見せしましょう。『そば殻枕流奥義―歯車―』!!」

そう言うと、モララーは高く跳び上がり、両手に握られた枕をブーンに向かって投げつけた。
その2つの枕には凄まじいほどの回転が掛っていた。

( ;^ω^)「うっ……なっ!?」

その速度は先程モララーが投げた時よりも断然上がっており、ブーンは避けることができなかった。
ブーンは枕で頭を隠した。
しかし、2つとも防ぐことはできず、一つはブーンの枕に当たり枕を引き裂いたが、モララーのそば殻枕はブーンの足を強く、深く抉った。

( ;゚ω゚)「うっ……うおおおおおおおおお!!」

ブーンの右脚から大量の血が出た。
咄嗟にブーンは手で傷口を押さえる。
回転が掛ったそば殻枕は桁違いに威力、が上がっていた。

( ・∀・)「ふん……外したか」

( ;゚ω゚)「う………うう…」

ブーンは困惑していた。
まさか闇の枕投げがここまで枕を殺人道具として使っているとは思っていなかったからだ。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:21:37.60 ID:uqIQaunAP
( ・∀・)「もう動きは封じました。これで終わりにしましょう。」

モララーは枕を構えてゆっくり歩いてきた。
ブーンもわずかな力を振り絞り、枕を握る。

( ;^ω^)「せめて……せめて僕にも能力があれば……………」

その時、ブーンはあることを思い出した。
それはモララーの言葉だった。

≪( ・∀・)「枕にはそれぞれの能力がある。それを最大限に引き出すのが武術による枕投げです」≫

それは即ち、言いかえれば、

『羽毛枕にも能力があるのではないだろうか』

( ;^ω^)「!!」

ブーンは気付いた。
この羽毛枕にも能力があるのだと。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:23:51.18 ID:uqIQaunAP
( ・∀・)「もう終わりにしましょう……」

モララーはそう言うと、枕をサイドに構えた。
歯車を地面と平行に投げつける、モララーはそう考えていた。
モララーの目には俯いたブーンがいた。
もはやモララーの心にはブーンに対する憧れや尊敬という気持ちはこれっぽっちも存在していなかった。

( ・∀・)「これで最後です!『そば殻枕流奥義―歯ぐる………っ!?」

( ;・∀・)「なっ……なっ!?」

その瞬間、ブーンが握った枕から何か白い物体らしき物っぽい奴が大量に放出した。
その物体らしきものっぽい奴は一気にブーンの体を包み込んだ。

( ;・∀・)「こ、これは……羽根…?」

ブーンを包んだ物体は羽根だった。
羽根はブーンが持っていた枕から止め処なく溢れ出てきた。

( ;・∀・)「くっ……悪足掻きを……!!」

モララーは必死に羽根を枕で払うが、羽根は一向に避けようとはしなかった。

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:25:28.86 ID:uqIQaunAP
(  ω )「終わりだお。モララー」

( ;・∀・)「!!ど、どこだ!!」

モララーはブーンを探すが、羽根でどこにいるのか全く分からなかった。

(  ω )「感謝するお……モララー。おかげで僕も羽毛枕の能力に気付いたお」

(  ω )「羽毛枕の能力は羽根の放出……羽根を出すことで自分の姿をくらませることができるお」

( ;・∀・)「こ、小賢しい真似を…………っ!!」

その瞬間、モララーは背中に重い衝撃を受けた。
咄嗟に振り向くが、そこにブーンの姿は見当たらなかった。

( ;・∀・)「くそ!!出てこい!!」

モララーは大きく枕を振るが、空を切るばかりであった。

(  ω )「直に羽根も消えるお……それまでに僕の攻撃に耐えられるかお?」

( ;・∀・)「何を言っ……ぐあっ!!」

その瞬間、モララーは強く後頭部を枕で殴られた。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:27:44.02 ID:uqIQaunAP
( #・∀・)「ふ、フザけやがって……!!」

モララーは反撃に殴られた方向へ枕を振るが、当たった感触はなかった。

( ;・∀・)「ぐっ!!………ぐわっ!!」

しかし、ブーンの攻撃は止まらなかった。
モララーの視界が奪われたこの機会を活かし、あらゆる方向からモララーを殴りつけた。
モララーは一方的に殴られ続け、右に左に体が飛んだ。
いつからモララーが血を吐き始めたのか、ブーンの他知る由もなかった。



(#;;∀;;)「はぁ……はぁ……」

宙に舞う羽根が収まった時、モララーの体はボロボロになっていた。
体中に痣を作り、顔は大きく腫れた。足の震えは誰の目にもはっきりと分かるほど大きかった。
しかし、モララーは耐えた。
足の震えは残っているが、羽根さえ止まれば反撃ができると考えていたからだ。

( ^ω^)「……ものすごいタフだおね」

モララーの前にブーンが現れた。
今では二人の体力は逆転していた。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:29:05.48 ID:uqIQaunAP
(#;;∀・)「コ……コロス……オマエハ……コロス!」

モララーは渾身の力を込めて、枕を握る。
そして、枕をブーンに向けて叩きつけた。

(;;#・∀・)「うらああ!!」

( ^ω^)「無駄だお」

その瞬間、ブーンはモララーの枕を自分の枕で弾いた。

(;#・∀・)「なっ…!!?」

( ^ω^)「もう、その攻撃は効かないお」

(;#・∀・)「馬鹿な……!そば殻枕を弾くことなんてできないはず……!」

( ^ω^)「そのそば殻枕を良く見てみるお」

( ;・∀・)「え?………………ああ!!」

その枕の表面にはびっしりと羽根が付着していた。

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:30:04.71 ID:uqIQaunAP
( ^ω^)「僕が捲いた羽根の目的は自分の位置を隠す為では無いお」

( ^ω^)「あんたのそば殻に食い込ませる為……、そしてその効果を無効にする為」

( ^ω^)「もはやその枕は羽毛枕以下だお」

( #・∀・)「そ、それがどうした!!俺のテクニックがあればお前なんざ……!!」

( ^ω^)「まだ分かってないおね」

( #・∀・)「ああ!?」



( ^ω^)「その、何の能力も使わない世界で僕は王者になったんだお?」



その瞬間、ブーンはモララーの懐に入り、思いっきり枕で殴りつけた。

( ; ∀ )「ぐがっ…!!」

その後、顔面を3発殴り、太ももに向かって枕を叩きつけた。
その時間、わずか3秒。
モララーは全く手も足も出なかった。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:31:23.01 ID:uqIQaunAP
( ^ω^)「これでラストだお」

ブーンは枕を宙に放り投げた。
そして体をひねり、ダンスのように片足を軸にして一回転する。
モララーはその体勢からブーンが何を仕掛けてくるか予想が付いた。
しかし、モララーはどうすることもできなかった。

( ; ∀ )「まっ待ってく――」



( #゚ω゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああ!!」


ブーンは枕が下りてくるのと同時に枕を蹴り、靴底を喰いこませた。
そして、そのままモララーの腹に枕を当てた。
モララーの腹からバキバキと音が鳴った。
あまりの強烈な蹴りにモララーはその場に立っていられなくなり、勢いよく後ろへ吹き飛んだ。

( ; ∀ )「ぐあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

モララーは大量の血を吐きだし、その場に倒れた。
白目を剥き出し、鼻からも耳からも血液が垂れた。
ピクピクと体を揺らしていたが、しばらくしてモララーは動かなくなった。

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:32:22.24 ID:uqIQaunAP
( ;^ω^)「…………………」

( ;^ω^)「……………………か、」

( ;^ω^)「勝った…………のかお?」

ブーンは戦いに勝利した。
しかし、その実感が今ひとつピンとこなかった。

( ; ω )「……………」

それでもブーンは感じたことがあった。
それはもうこの大会から抜け出すことはできないのだということ。

( ; ω )「戦いたくないんだお……」

ブーンは迷っていた

( ; ω )「どうすれば……いいんだお」


「死ねばいいんだよ死ねば」

突如、ブーンの背後から声がした。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:33:17.50 ID:uqIQaunAP
(,,゚Д゚)「隙だらけなんだよ!!」

( ;゚ω゚)「!!」

突然の一撃、それはとても鋭く、重かった。
ブーンは咄嗟に枕で身を守ったものの、威力が強く、その反動で飛ばされてしまった。

( ;^ω^)「ぐっ……あんたは……!」

(,,゚Д゚)「俺か?俺はギコっつうんだ。よろしくな」

目の前には髭を生やした筋肉質な男がいた。
男はギコと名乗った。
ブーンはギコの体を見る。
しかし、どこにも枕らしきものは見当たらなかった。

( ;^ω^)「?…?」

(,,゚Д゚)「ギコハハハハハハ!なんだ?枕を探してんのか?」

嘲笑う様にギコは言った。

(,,゚Д゚)「そんなに知りたきゃ教えてやるよ!俺の枕は……」






(,,゚Д゚)「腕枕だ!!」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:35:59.67 ID:uqIQaunAP
【腕枕(うで-まくら)】

2人の人間が並列して寝そべるときに、片方の人物がもう一人の頭の下に腕を敷く。
その腕のことを腕枕という。
基本的に腕枕をするのは男性、あるいは親で、その腕に頭を乗せるのは女性あるいは子供とされている。(例外もある)
されたこともしたことも、経験の無いものにはこれ以上のことは書けない。


( ;^ω^)「う、腕枕!?」

(,,゚Д゚)「ああそうさ!俺は数々のトレーニングをこなし、枕よりも攻撃に特化した腕を作り上げた!」

(,,゚Д゚)「枕なんざ使わなくとも人なんて簡単に一捻りだ!!」

ギコは誇らしげに腕を見せた。
バランスが悪いと言わざるを得ないような、腕のサイズだった。
世紀末リーダー伝たけしを読んだ事のある者はイメージしやすい。

( ;^ω^)「ぐっ……!」

ブーンは身の危険を感じた。
それはギコの強さにではなく己の体力に対してだった。
ブーンはさっきのモララーとの戦いにより深手を追っていた。
この状況で戦うのは厳しいだろう。

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:37:35.27 ID:uqIQaunAP
(,,゚Д゚)「そんじゃあまあ、手始めに軽く死んでくれよ」

( ;^ω^)「!!」

ギコは駆け出し、ブーンに急接近した。
ブーンも後退し、ギコと距離を取ろうとした。

( ;^ω^)「ぐっ!!あ…っ!」

その時、ブーンの膝がガクッと落ちた。
先程のモララーの攻撃が今になって効いてきた。

(,,゚Д゚)「ギコハハハハハハ!!そんな怪我じゃあ立つのもやっとか!?ああ?」

ブーンは覚悟を決め、守ることに徹することにした。
体を丸め、枕を構える。
その瞬間だった。

(,,゚Д゚)「!!」

何者かがブーンの体を飛び越え、ギコに向かって行った。
ギコは体にブレーキを掛け、防御態勢に入った。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:38:26.89 ID:uqIQaunAP
ギコの腕に一発の攻撃が入る。

(#,,゚Д゚)「………………ああ?」

( ;^ω^)「あ、あれ?」

何時まで経っても来ない攻撃が気になり、ブーンは恐る恐る頭を上げた。
そこには一人の男が立っていた。

('A`)「……お前はたしか……ギコだな?」

そこにはドクオがいた。
エントリーNo.1、チュートリアルの際にブーンに突っかかってきた男だ。

(,,゚Д゚)「はっ……やるのか?いいぜ2人まとめて相手してやるよ」

('A`)「2人?」

(,,゚Д゚)「てめえの後ろに転がってるアホのことだよ!!」

( ;^ω^)「……………」

('A`)「あっお前だったのかよ」

ドクオは振り返り、ブーンを見た。
今の今までドクオはブーンの存在に気付きもしなかった。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:39:42.58 ID:uqIQaunAP
('A`)「何だお前……開始早々ボロボロかよ」

( ;^ω^)「いや……」

ブーンは否定しようとしたが、まったくもってその通りだったのでそのまま引っ込んだ。
ブーンにとって今の状況は最悪だった。
このコンディションで2人も相手にしなければならないからだ。

('A`)「まあいいや。体力が復活したら勝負に参加しな」

( ;^ω^)「は?」

('A`)「俺は戦闘意欲が無い奴を狙うのは好きじゃないんだ」

そう言うと、ドクオは倒れたブーンには目もくれずギコの前に立ちはだかった。

(,,゚Д゚)「何だお前……そいつを庇うのか?」

('A`)「いや……怪我人と相手するよりもお前と戦った方が楽に勝てそうだと思っただけよ」

(#,,゚Д゚)「………………てめぇ……」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:40:59.78 ID:uqIQaunAP
(#,,゚Д゚)「そうかそうか!!そんなに原形をとどめないほど殺されたいか!!」

('A`)「自分の願望なら短冊にでも書きな。俺が叶えてやるぜ」

そう言うと、二人は同時に駆け出した。
その時ブーンは気付いたのだが、ドクオは何も武器を持ってはいなかった。
ブーンは、まさかギコと同様に腕枕使いかと思ったが、彼の貧弱な腕を見る限りではそうは思えなかった。

二人の体がぶつかり合う。
その先制を取ったのはギコだった。

(#,,゚Д゚)「おらぁ!!」

ギコは腕で思い切り殴りつけ、地面に叩き落とした。
その後、全体重を腕に乗せ、ギロチンのように倒れたドクオに圧し掛かる。
その後何度も腕を倒れたドクオに押し付けた。

もはやドクオの原型は留めていなかった。
倒れたドクオの下の床には亀裂が入っていた。

(;,,゚Д゚)「はぁ……はぁ……いけねぇ…つい全力を出しちまったぜ。」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:41:54.55 ID:uqIQaunAP
ついに、落ち着いたのかギコはゆっくりと体を起こした。
その時、ギコの背後から声が飛んできた。

('A`)「なんだ?ストレス解消は俺じゃなくて良かったのか?」

(;,,゚Д゚)「!!」

ギコはハッとなって後ろを向いた。
そこには枕を構えているドクオが立っていた。

('A`)「お前の弱点は………足だ」

ドクオは大きく枕を振り、ギコの脛を強く叩いた。
ギコの足は鈍い音を立て、膝からガクンと崩れた。

(;,, Д )「ぐあっ!!」

('A`)「お前が今まで殴っていたのは俺じゃねえ……抱き枕さ」


【抱き枕(抱き-枕)】

抱き枕とは本来寝るときに頭の下に敷いて使用する枕を抱きかかえる形にしたものである。
大きさには様々なものがあり、小さいものから身の丈を超えるものまで様々だ。
最近では枕カバーに好きなアイドルやキャラクターがプリントされたものが人気のようだが、
購買層は決まって腕枕を人間にしてあげる事ができない者である。

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:43:54.58 ID:uqIQaunAP
('A`)「お前は今までずっと俺の抱き枕を攻撃してたんだよ」

(;,, Д )「ぐっ……おのれぇ……!!」

ドクオはゆっくりと倒れたギコに近付く。
ギコは痛みで足を押さえるのが精一杯だった。

('A`)「これで終わりだ。『抱き枕流奥義-痛枕-』」

そう言うと、ドクオは等身大の抱き枕を振り上げた。
カバーにプリントされた華奢な姿の少女は手でその小さな胸を隠していた。

('A`)「俺のとっておきだ。特と味わえ」

ドクオは一気にギコの頭に目掛けて枕を振り下ろした。
その衝撃によりギコの頭は地面に叩きつけられ、亀裂の入った地面は下の階まで吹き飛んだ。

(;,, Д )「うおおおお痛ええええええ!!」

ギコは叫びながら下の階に叩きつけられる。
その衝撃で床が砕け、さらに下の階まで落ちて行った。
ギコは倒れ、気絶した。

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/09/19(月) 23:45:04.26 ID:uqIQaunAP
('A`)「…………………所詮、愛の前に人は無力さ」

その時、ドクオはブーンがいないことに気が付いた。

('A`)「まさか…………一緒に落ちたのか?」

そのまさかだった。
ブーンは先程のドクオの一撃によりギコと一緒に落ちて行った。

('A`)「………………………」

('A`)「………………………」

('A`)「まあいい。こんなことをしている場合じゃねえ」

ドクオは枕を拾い上げると、そそくさとその場を後にした。
ブーンとはまた会えるだろう、ドクオはその時根拠もないことを思っていた。


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