- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:21:22.72 ID:4Q3vEGCD0
(; ω )「ひぃ、ひぃ、ふぅぅぅ・・・」
トウキョウを出て二時間ほど走った。
僕以外の生き物はみんな夢の中なのだろうか。
僕が吐く息以外の物音一つしない、静かな、暗い森の中、できるだけ音を立てないよう、控えめに深呼吸をした。
ツンは、ツンは。無事グンマに辿り着くことができたただろうか。
(; ω )「もしくは、」
殺されてしまっただろうか、“彼等”に。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:23:14.69 ID:4Q3vEGCD0
ツンのことは心配で心配でたまらない。
いつもは強気だが、ちょっとしたことで落ち込んだり、泣いたりしたりしてしまうツン。
だいたい、彼女だって女の子だ。僕よりはるかに体力は劣る。
そんな彼女の心配をせずにはいられない。
だけど、こんなところで立ち止まってるわけにもいかない。
はやく僕も、グンマへ向かわなければ。
疲れきった身体に鞭打ち、再び足を前へ前へと運ぶ。
(;^ω^)「ひ、ひざが満点大笑いだお・・・」
そんな些細な呟きも、命とりとなってしまう。
「おい、あっちから声がしたぞ」
「例の逃亡者か・・・?」
(;^ω^)「ッ!!!」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:27:11.79 ID:4Q3vEGCD0
- まずい。周囲への警戒が緩んでいた。
さすがにこれだけトウキョウから離れれば大丈夫だと高を括ってしまっていた。
(;^ω^)(このまま隠れてるかお・・・?それともこの場からすぐ立ち去るか・・・)
後者が厳しいことを、全身を吹き出る汗が物語っている。
走り続けて数時間、体力はとっくに底をついていた。
ならば、と近くの茂みに身を潜める。今宵は月も星も顔を出しちゃいない。
大人しくしていれば、そう簡単には見つからないだろう。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:29:16.79 ID:4Q3vEGCD0
「やっぱり気のせいか?」
「いや、確かに聞こえたはずなんがな・・・」
「お前疲れてんだよ。ただでさえ昨日の雨のせいで一日遅れたんだ、こんなとこで油売ってたら明日までにグンマに着かないぞ」
「あ、あぁ、そうだな・・・」
「モララーさんに目ぇつけられちまったら大変だからな」
その言葉を皮切りに、二人の男は再び歩きだした。
遠ざかっていく足音。ホッと胸を撫で下ろす。だが、
「誰だ、お前ら」
(;^ω^)(!)
背後から、野太い声がした。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:31:51.33 ID:4Q3vEGCD0
「なっ・・・!」
二人の男の方から、うろたえるような声があがった。
そして、懐中電灯をこちらに向け、僕の後ろの男と対峙する。
さっきのお前“ら”という言葉を聞くかぎり、それはおそらくーーー僕にではなく彼等に向けて放ったものだろう。
(´・_ゝ・`)「ここは立入禁止区域のはずなんだがな・・・」
懐中電灯に照らされて見えた男の顔には、下品な笑みが貼り付いていた。
「くそっ、トウキョウの追っ手か・・・・!」
どうやら後ろの男はトウキョウ、そして二人組の男達は反トウキョウ組織に属しているらしい。
どうせならさっき助けを乞えばよかったと、少し後悔。
だが、そうしていれば僕も彼等同様、後ろの男に見つかってしまっていたことだろう。
この、憎き、“都民”に。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:34:40.98 ID:4Q3vEGCD0
(´・_ゝ・`)「貴様ら・・・トウキョウの者ではないな・・・?」
「あぁ、そうだ」
「あんなきたねえ所に住めるかよ!」
男が叫んだのとほぼ同時に、発砲音が森に響く。
どうやら、彼等が後ろの男に向かって撃ったらしい、が、
(´・_ゝ・`)「・・・・・・」
この暗さだ、外してしまったのだろう。男は平然と立っている。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:35:37.98 ID:4Q3vEGCD0
「チッ・・・!」
男に変化がないのを見て、今度は何度も引き金を引く。僕にまで当たりそうで怖いが、動くわけにはいかない。
じっと銃声が止むのを待つ。
後ろの男が死んだのを確認したら、彼等に助けを求めよう。
彼等もグンマへ行くらしい。一人だと不安でたまらなかったが、僕も武器を持つ彼等についていくことが出来れば、大分楽な道のりとなるだろう。
そんな期待に胸を膨らまし、緊張のため強張っていた頬が少し緩む。
だがしかし
鳴り終わった銃声の後に聞こえたのは
(´・_ゝ・`)「ん?もう弾切れか」
信じられない、言葉だった。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:38:03.00 ID:4Q3vEGCD0
「ば・・・かな・・・」
何故生きている、何故声が聞こえる。
まさか銃弾を避けたのか?
いや、弾は外れたわけではない。それは彼の白いスーツに空いた穴が証明している。
だが、そこからは一つの傷口も伺えないし、何よりーーー
(´・_ゝ・`)「はぁ、無知ってほんと、かわいそう」
平然な顔で顔で立っているこいつが、自身の異常さを際立たせている。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:39:42.74 ID:4Q3vEGCD0
「な、何だこいつは・・・!?」
「くっ、応援を呼ばれるとやっかいだ!逃げるぞ!」
その場を発とうとする二人。だが、
(´・_ゝ・`)「だめだよ、逃げちゃ。」
男が右手を頭上に挙げる。
(´・_ゝ・`)「《ロック・ハンド》」
小さくつぶやき、掲げた手をそのまま振り下ろした。
瞬間、ズドン、と何か重いものが落ちて来る鈍い音が響く。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:40:49.39 ID:4Q3vEGCD0
「ば、かな・・・」
「まさか、こいつ・・・!」
(´・_ゝ・`)「初めて会った人には自己紹介しなきゃ、ね。」
そう言いながら、男はポケットからおもむろに小石をとりだし、そのまま彼等に向かって投げた。
「がっ・・・!目が・・・!!」
(´・_ゝ・`)「僕はね」
男は手を前に伸ばす。
ああそうか、こいつはーーー
(´・_ゝ・`)「ーーー『能力者』デミタス。はじめまして、哀れな蟻ちゃん。そして」
ーーーさようなら
そう言い終わらないうちに、彼等は「デミタス」の掌から突如放たれた大きな岩石に、押し潰された。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:45:23.12 ID:4Q3vEGCD0
地面に落ちた岩は凄まじい勢いで転がり、木を数本薙ぎ倒した後、動きを止めた。
再び森は静まりかえる。
彼等はもうーーー
生きてはいないだろう。
(´・_ゝ・`)「手向けだよ、ほら(笑)」
彼らがいた場所に、ポケットから取り出した小石を
放り投げ、ふぅ、とため息をつく。
(´・_ゝ・`)「さて・・・・・・」
デミタスの発した言葉に、僕の心臓は縮み上がる。
ばれたか?いや、大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせるが、僕の鼓動は次第にその激しさを増していく。
デミタスに聞こえてしまいそうなほどに。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:48:19.95 ID:4Q3vEGCD0
(´・_ゝ・`)「もう遅い・・・・・・トウキョウに帰らなきゃな・・・・・・」
僕と反対の方を向き、デミタスが呟いた。
気付かれていないのか?
僕はホッと胸を撫で下ろす。勿論、音を立てないように。
僕はこのままここで一夜を過ごすわけにはいかない。デミタスが立ち去ったら、僕も早くここを去らないと−−−
(´・_ゝ・`)「その前に、汚いネズミを掃除してやらなきゃな」
(;^ω^)「〜〜〜ッ!!!」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:51:40.23 ID:4Q3vEGCD0
いつの間にか、十数歩先でデミタスがこちらを見ていた
(;^ω^)(はやく、逃げないと・・・!)
そんなことは考えるまでもなく本能で理解している。
だが、足が震えて上手く立ち上がることさえできない。
理由は恐らく疲労のせいだけじゃない。
僕は恐れているのだ。目の前の男を。
怖くて怖くて、仕方がないのだ。
どうしようもなく足がすくむ。
(´・_ゝ・`)「自己紹介、してくれる?」
(;^ω^)「あ、あっ、ぁあ、」
声にならない声をあげる。口の中がカラカラだ。
僕の情けないうめき声を聞いたデミタスは汚く笑い、右手を大袈裟に突き出す。
怖い、いやだ、いやだ、
(´^_ゝ^`)「やっぱりいいや(笑)」
―――頭の中を、走馬灯が駆け巡る。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 13:55:07.17 ID:4Q3vEGCD0
超スローになる感覚の中で、僕の視界が灰色で埋まったーーー
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:00:04.17 ID:4Q3vEGCD0
ーーー20XX年、突然世界各国で起こった天変地異。それは人間が今まで長い年月を重ね作り上げてきた社会を、たった半年で崩壊させた。
世界の人口は約3000万にまで減少。
アフリカ大陸、南アメリカ大陸などは、数百年の間の回復が見込めないほど、大きなダメージを受けた。
もはやそこに政府も秩序も国境もなにもかも存在せず、ただ暴力が全てを支配する日々が続く。
そんな中、唯一社会の機能を保ったままでいる国、日本。
規模は小さいながらも、今や世界で唯一の軍事力を持つ国となった。
世界の人口の4割も、日本人である。
当然の如く、日本が世界のあらゆる地域を治めることになり、もはや世界には日本という国しか存在しなくなった。
・
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:06:32.98 ID:4Q3vEGCD0
しかし、その日本も、国内で大きな問題に見舞われていた。
それは、東京都が突如進め出した『日本統一計画』。
国内を一つにまとめ、一致団結しようというスローガンのもとで始められたこの計画。
しかし、その真の目的は
―――統一という名の全国征服であった。
そもそもこの計画は東京都以外の道府県からは(都民にも反対派がいたのだが)賛成を得られていなかった。
しかしある日の朝、人々の知らぬ間にそれは実行されていた。
東京都は、世界で唯一の軍事力をもってして、埼玉県を無理矢理“統一”したのだ。
軍事力といっても、それは戦闘機や戦車など、原始的なものでしかないのだが
しかしそれは何の対抗措置ももたない今の国の、世界の人々にとっては脅威そのものである。
統一された埼玉県の人間は、ほとんどが殺され、残ったわずかな県民も、都民の奴隷として扱われることとなった。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:10:10.30 ID:4Q3vEGCD0
日本中の人々は震えた。
明日は自分達が殺されるのではないか。
もう自分達は、トウキョウに屈するしかないのか。
だが、ただ怯えているだけではなかった。
多くの人々が、不安を『トウキョウ』への怒りへと変え、『反・トウキョウ』の動きが全国で勃発した。
しかし、武力を持たない彼等の行動は、トウキョウの統一に対し、何の意味も成さなかった。
一つ、また一つ、県が、故郷が、命が、失われていく。
人々は絶望し、もはや彼等に未来などは見えなかった。
しかしその魔の手が香川県へと達したとき、異変が起こった。
統一に向かった軍隊が大きな被害を受け、撤退を余儀なくされたのである。
トウキョウは初めてのことに、混乱する。
一体何が起こったのか。
手がかりとなるのは、香川から敗走した軍隊が持ち帰った唯一の映像。
その中身は驚くべきものだった。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:14:14.46 ID:4Q3vEGCD0
- 『ひひひひっ、殺せ、殺せぇい!』
『いやああああああ!!』
『撃て撃て撃て!!!』
『ママー!!!うぼおおおおお!!!』
あちこちであがる怒声、悲鳴。
トウキョウの県内侵入からわずか1時間で、高松市は血の町へとその姿を変えていた。
人々は成す術もなく町とともに蹂躙されていく。
流れる血は留まることを知らない。
人々は止まない攻撃に疲弊し、その顔には絶望の色が浮かんでいる。
―――だが突如、異変が起こった
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:18:13.69 ID:4Q3vEGCD0
- 『うわああああああっ!!』
この戦いで初めてとなるトウキョウ兵の悲鳴。
彼の乗っていた戦車が貫かれたのだ。
白い、麺によって。
『ど、どうした!?』
『なっ、なんだこれはぁあぁっ!』
驚愕する兵士だか、すぐに我にかえり、その麺の出所を探る。
どうやら戦車から15メートル程離れたうどん屋から、『麺』がのびてきたらしい。
(#-_-)『許さない・・・・・・』
うどん屋ののれんをくぐって現れた割烹着を身に纏う歳30程の男。
香川県内ならどこにでもいる、うどん屋の店長だ。
ただ、彼が普通のうどん屋と違う点を挙げるならば。
ξξξ(#-_-)ξξξ
大量の極太麺が、彼の身を包み込むように浮かんでいるということだ―――
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:23:31.40 ID:4Q3vEGCD0
『な、なんだあれは・・・!』
『かまわん、撃て、撃てぇ!!!』
その場にいたトウキョウ兵数十人が一斉にうどん屋に向かって発砲する。
雨のような弾丸がうどん屋を襲わんとする。
しかしその鉄の塊は一つとして、彼の身に届くことはなかった。
『ば・・・かな・・・』
彼を襲った弾丸その全てが、彼の身の回りを漂ううどん麺によって叩き落とされていたのだ。
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:28:04.64 ID:4Q3vEGCD0
- 『ば、化け物・・・ッ!』
『ふざけるな!うどんに・・・うどんなんかに・・・!』
( _ )『今まで怖くて隠れてた・・・みんなの悲鳴が聞こえても、助けたくても、足が震えて動けなかった・・・・・・』
(#-_-)『でも!今は違う!うどんが、香川が、僕を、みんなを!!!』
助けてくれるッ!!!
その叫び声と同時に、うどんが一斉にトウキョウ軍へと弾丸のような早さで伸びてくる。
戦車が壊される音、兵士の叫び声。
ちょうど五台目の戦車が壊された時、映像は途切れた―――
・
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:32:33.08 ID:4Q3vEGCD0
- この『香川事件』を皮切りに、各地で同じような、所謂『能力者』の報告が相次いで起こるようになった。
彼等の存在は、県内へのトウキョウの侵入を許さなかった。
しかし、その数はあまりに少ない。
一県に一人以上の能力者が現れることはなく、彼らを避けての各地での統一活動は続いた。
また、統一された県の能力者の中には、トウキョウへ寝返る者もあり―――
ここにきてトウキョウ対道府県の戦いはさらに激しさを増すことになった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:37:27.30 ID:4Q3vEGCD0
(‘_L’)「と、ここまでの状況をまとめてみたのですが」
スーツを着た長身の男が、淡々とした口調で目の前の、灰色の高級スーツを身に纏い、派手な柄のネクタイを締め
机に偉そうに踏ん反り返る小太りの男に投げ掛ける。
( ´∀`)「ふーむ・・・・・・まあ、なんとかなるモナよ」
そう言って窓の外に目をやる。
東側の壁が全面ガラス張りになっており、東京都を一望できるこの部屋は、第二東京都庁の最上階である。
最上階はこの部屋一つに丸々使われているが、この広い部屋には、現東京都知事のモナー、
そして彼が絶対の信頼をおく秘書のフィレンクト以外の人間が足を踏み入れることは決してない。
( ´∀`)「しかし・・・・・・もっと『能力者』について詳しく解ればもっと楽なんだがモナね」
(‘_L’)「それについてですが、」
フィレンクトがモナーを真っすぐ見つめて言う。
(‘_L’)「こちらに寝返った『能力者』の証言からいくつか解ったことがあります」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:40:16.20 ID:4Q3vEGCD0
( ´∀`)「わかったこと?」
モナーはデミタスの方を振り返りながら尋ねる。
すっかり弾力を失い、しわだらけになった顔が作り出す一見温和に見える彼の表情。
それが、微かに緩む。
まるで、デミタスの報告を楽しみにしているように。
(‘_L’)「先ず一つは、彼等の能力は彼等自身の出身地、つまり都道府県から与えられたものだということです」
( ´∀`)「?どういうことモナ?」
(‘_L’)「デミタス盛岡や、他の能力者によると、頭の中で県の声・・・・・・いや、意思・・・を聞いた、というか、理解した・・・・・・というか」
( ´∀`)「なんじゃそりゃ」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:44:56.56 ID:4Q3vEGCD0
- (‘_L’)「とにかく、彼等は故郷の意志により、『能力者』となったということです。」
(‘_L’)「しかし、故郷の声を聞けるものは一都道府県あたり一人しかいません。それが何故かははっきりしませんが」
( ´∀`)「ふぅん・・・・・・まあいいモナ。それ以外では?」
(‘_L’)「二つ目は、恐らく全ての能力に発動条件があるということ。能力者の証言や、映像の様子からみて、ほぼ間違いありません」
( ´∀`)「なるほど、それを把握できれば戦いが楽になるかもしれないモナね」
(‘_L’)「そして最後にもう一つ、」
フィレンクトが溜息混じりに言い放つ。
(‘_L’)「今このトウキョウに、敵の『能力者』が一人、忍び込んでいます」
・
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:51:36.47 ID:4Q3vEGCD0
(;゚ω゜)「〜〜〜ッ!」
僕は死を覚悟した。
目の前の岩をかわすことは、できないだろう。
思えば生まれた時から狭いトウキョウの中で生きてきた。
自由に町を、走り回ってみたかった。
一度でいいから、綺麗な朝日を見たかった。
ツンは、ツンはーーー
無事だろうか。
最期まであいつのことを考えるなんて、僕もお人よしだなあ
そんなことを考え、瞼を閉じる。
ーーーだけど、それが僕の“最期”
となることはなかった。
(;´・_ゝ・`)「!?」
僕の顔を砕かんと猛進していた岩が、僕の鼻先で、白い麺に貫かれて、そしてそのまま力無く地面に落ちた。
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:55:23.20 ID:4Q3vEGCD0
- (;^ω^)「おっ・・・お?」
突然の出来事に頭がついて行かない。なんだこれ?麺?
(-_-)「ふう、なんとか間に合った、かな?」
声のする方へ目をやる。
どうやら目の前の「麺」はそちらからきたものらしい。
いつの間にか顔を覗かせていた月に照らされたその男は、冴えない顔をし、白い割烹着を身に纏っていた。
そしてその右手に、白い麺が収束していく。
彼が僕を助けてくれたのか。
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14:58:18.95 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「いや、アウトだ」
少し離れた場所から、別の声。
そちらを見ると、さっき岩に潰された二人のそばに座り込み、覗き込んでいるいる男がいた。
暗くて表情は伺えないが、さっきの声色には、確かに悲しみと、そして怒りが込められていた。
( ・∀・)「合流が遅いと思って来たら・・・クソっ」
(-_-)「モララーのせいじゃないよ・・・」
そんなやり取りをしながら、割烹着の男が僕を庇うように僕とデミタスの間に割って入る。
この二人は、さっきデミタスにやられた人達の仲間なのだろうか。
そうだとしたら、彼等もまた反トウキョウ組織の一員ということになる。
(;^ω^)「た、助かった・・・のかお・・・?」
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:02:19.10 ID:4Q3vEGCD0
(´・_ゝ・`)「誰だよ、お前ら」
先程まで突然の邂逅にポカンとしていたデミタスが不意に口を開く。
そうだ。こいつがいるんだ。
武器を持った人二人を相手に、傷一つ負わずに一瞬で殺してしまう『能力者』。
簡単に助かろうなんて甘い考えはしないほうが良さそうだ。
だが、さっき現れたこの二人も恐らくーーー
(-_-)「『能力者』だよ。君と同じ、ね」
言い終わるやいなや、裾から長さTメートル程の白い鞭のような物を取り出し、振りかぶる。
デミタスとの距離は10メートル程ある。このままでは到底届かないだろう。
だが
(-_-)「シッ!!!」
(´・_ゝ・`)「!!」(^ω^;)
横に振り払われたそれは、僕(おそらくデミタスも)の予想を裏切り、うどんのように伸びていき
周りの木々を薙ぎ倒しながらデミタスに襲い掛かる!
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:07:55.01 ID:4Q3vEGCD0
木をマッチ棒をヘし折るが如く薙ぎ倒していく白い鞭。
進路上にある全てのものを破壊していくそれは、鞭というよりもむしろ
―――とてつもなく刀身の長い剣のように思われた。
あんなのをまともにくらってはどうしようもない。だが―――
(´・_ゝ・`)「《ロック・ハンド》!!」
デミタスが巨大化した右手をかまえ、そのまま白の一閃を受け止める。
凄まじい破裂音が鳴り響く、が。
(´・_ゝ・`)
デミタスはポケットに左手をつっこんだまま、依然涼しい顔をしている。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:11:59.17 ID:4Q3vEGCD0
- 攻撃を受けた彼の手は、まるで岩のようにゴツゴツとしていた。
というよりも、その見た目といい、あの攻撃を防ぐ
頑丈さといい、それはまるで岩そのものだった。
・・・もっとも、本物の岩がさっきの一撃を喰らったら粉々になってしまうだろうが。
(-_-)「シッ!」
いつの間に取り出していたのか、鞭を持つ手を左に変え、フリーになった右手から間髪入れずに放ったのは、白い槍のようなもの。
やり投げのようなフォームから放たれたそれは、空気を裂きそうな速さでデミタスを目掛けて飛んでいく。
(´・_ゝ・`)「ふん・・・」
だがデミタスは、体を縦にひねりそれを難無くかわす。
的を外した白い槍は、そのまま木々を裂きながら森の奥へと消えていった。
- 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:15:50.46 ID:4Q3vEGCD0
- 体をひねったまま、デミタスは右手を振り上げる。
(´・_ゝ・`)「《ロック・ハンド》」
掲げた右手には、いつの間にか巨大な岩が乗っていた。
(´・_ゝ・`)「ふんっ!!」
直径5メートルはあろうかというそれを、ひねった体の反動を使い、ボールを投げるかのように割烹着の男目掛けて放つ。
(-_-)「《太麺》!」
割烹着の男が叫ぶと、先程僕の命を救った麺の何十倍倍もの太さの麺が彼の身体を纏うように現れた。
加速した岩が麺にぶつかる。
凄まじい衝突音が鳴り響き、なんと、岩が粉々に砕けた。
あれはとんでもない強度の麺らしい。
岩を防いだ麺が彼の身体から離れる。
だがその目前には
(;^ω^)「!!!」
(-_-)「ッ!!」
(´・_ゝ・`)「《ロック・ハンド》」
デミタスが迫っていた
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:19:07.92 ID:4Q3vEGCD0
デミタスの岩の右手がバランスボール並の大きさに巨大化する。
(;-_-)「くそっ!」
割烹着の男が身体を離れた麺を再び纏おうとする、
が
(#´・_ゝ・`)「おらぁッ!!!」
(; _ )「ぐぎっ!」
それよりも早く、デミタスの拳が彼を襲った。
凄まじい勢いで地面にたたき付けられた彼は、派手にワンバウンドし、身体が宙に浮く。
だが二度目の着地の直前に、先程の麺をクッションのように身体と地面の間に挟み込み、その勢いをころした。
- 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:23:36.34 ID:4Q3vEGCD0
(´・_ゝ・`)「ちっ、まだ能力を使う余裕があるのね」
(;-_-)「く、そっ、さっきの岩は・・・」
(´・_ゝ・`)「そ。あんたに接近する俺を視界から消すためだけに撃ったんだよ」
まあ、とデミタスは言葉を続ける。
(´・_ゝ・`)「あんたも『能力者』なんだからあのくらい避けるのはわけなかったろうにな」
そう言いながら、デミタスは僕の方を向いた。
(;^ω^)「うぁっ、あっ」
- 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:27:20.08 ID:4Q3vEGCD0
- デミタスが言っていることはわかる。
後ろに、僕がいたから、避けられなかった。
僕を守ろうとしてくれた。
そして、それをデミタスに狙われた。
僕のーーー
(; ω )「僕の、せいで・・・」
なあ、とデミタスが声をあげる。
(´・_ゝ・`)「そいつ、邪魔だろ?」
(;^ω^)「っ!」
(;-_-)「くっ!」
- 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:33:05.48 ID:4Q3vEGCD0
- 一歩、一歩、デミタスが近付いてくる。
その足音は、僕にとっては死のカウントダウンだ。
デミタスの歩みに合わせ、後ずさりをする。
だが
(; ω )「ぐあっ!?」
足が絡んでその場に倒れ込んでしまった。
デミタスは失笑する。
そしてポケットから小石を二つ取り出し、僕目掛けて投げる。
カン、と音がして僕の後頭部に直撃した。
それを見て笑いながら、歩みを進めるデミタス。
その足音がボリュームを増していく。
割烹着の男が麺で守ろうとしてくれる。だが、麺は力無くぐったりとしていて、僕の体まで届かない。
そしてついに、デミタスが僕の目の前で、立ち止まった。
- 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:36:52.92 ID:4Q3vEGCD0
- (; ω )「う、あっ、」
(´・_ゝ・`)「有り難く思えよ、能力者。俺がわざわざお前のお荷物を撤去してやるんだから」
(;-_-)「させ・・・ない!」
(;´・_ゝ・`)「うおっ!」
割烹着の男が鉛筆程の大きさの麺を数本、デミタスに向かって飛ばす。
油断していたのだろう、ガードが遅れ、デミタスの体に直撃する、が
(;-_-)「くそっ、やっぱりか・・・」
それらはデミタスの身体を貫くことなく、地に落ちてゆく。
(´・_ゝ・`)「そう、僕の《ロック・ハンド》が僕に及ぼす効果は手の岩石化だけじゃない」
(´・_ゝ・`)「全身を、岩石のように、堅く、強くする」
さっき銃弾が効かなかったのはそのせいだったのか、と僕は思い出した。
そんなことを考えている余裕はないのに。
- 158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:40:09.32 ID:4Q3vEGCD0
- (;-_-)「だが大きさを変えられるのは・・・」
(´・_ゝ・`)「そう、右手だけだ」
まあ、とデミタスが拳を振り上げる
(´・_ゝ・`)「一般人(こいつ)にはそんなもん使う必要もないがな」
(; ω )「ーーーぁ」
そしてそれは、僕の顔目掛け振り下ろされた。
まただ。スローモーションになる僕の感覚。
拳がやけにゆっくりに見える。
割烹着の男が、麺を左手に取り出す、が間に合わないだろう。
拳が、目の前まで迫る。
その一瞬、視界の端に黒い人影が―――
- 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:45:18.68 ID:4Q3vEGCD0
( ・∀・)「おっと」パシィ
(´・_ゝ・`)「!」(;^ω^)
僕の目の前に迫ったデミタスの拳を、受け止める、若い風貌の男。
先程しゃがみ込んでいた男だろう。黒いコートに身をつつみ、耳にはイヤホンを付けている。
さっきは暗くて見えなかった整ったその顔からは、一切の感情が読み取れない。
デミタスは手を振り払い、バックステップで大きく距離をとる。
(;-_-)「遅い、よ、モララー・・・」
( ・∀・)「悪いなヒッキー。ちょうど食欲無かったもんだから時間くっちまった」
モララーと呼ばれたその男は、綺麗に食べられたリンゴの芯を左手につまんでいた。
- 189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:49:09.35 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「てかあれだけちゃんと準備しとけ、って言ったのに・・・お前今朝うどん食わなかったろ」
(;-_-)「あれはモララーがうんこ長引いたせいで出発が遅れたから食べる時間がなくなったのが原因だろ!」
あー、と言葉を濁す黒コート。
( ・∀・)「とりあえずこいつ、ノシとくか」
デミタスの方を見据え、言う。
(´・_ゝ・`)「そういやさっきいたな、お前も」
( ・∀・)「まさか失念してたのか?敵の数も把握できないようなボンクラをトウキョウは使ってるのか?」
(#´・_ゝ・`)「は?いや覚えてたから!忘れるわけないから!」
- 198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:53:16.00 ID:4Q3vEGCD0
( ・∀・)「!」
叫びながらモララーへと凄まじい速さで接近する。
(#´・_ゝ・`)「おおおおおぉっ!!」
(;・∀・)「っとお!」
振り下ろされた拳を、すんでのところでかわす黒コート。
デミタスは間髪入れず連続で拳を繰り出す。
だがその一つも黒コートに直撃することはない。
全てをギリギリで、かわしている。
(#´・_ゝ・`)「ちょこまかと・・・!!」
(;・∀・)「ふぅ・・・」
デミタスから距離をとり、一息つく黒コート。
(#´・_ゝ・`)「ったく何なんだよ!お前らは!」
( ・∀・)「青森県の『能力者』モララー。てかさ、相手のことを尋ねるときはまず自己紹介してからなんじゃないの?礼儀も知らない馬鹿なの?」
(#´・_ゝ・`)「・・・岩手県の『能力者』、デミタスだ!!!」
デミタスが手をモララーに向かって突き出す。
(#´・_ゝ・`)「《ロック・ハンド》!!」
- 208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15:57:53.49 ID:4Q3vEGCD0
- 割烹着の男と僕を襲った岩の大砲が、再びその手から放たれる。
( ・∀・)「うおー」
だがそれに一切臆すようなそぶりを見せず、岩に向かってゆくモララー。
そして体を少し屈め、岩をいとも簡単にかわし、デミタスに急接近する。
その左手にはナイフが握られていた。
(´・_ゝ・`)「!」
( ・∀・)「そいや!!!」
デミタスの横を通り過ぎるモララー。
ナイフでの斬撃は無理があったのか、突き出した左手の刃の中腹程で真っ二つになっていた。
肝心のダメージはというと、デミタスのズボンを切り裂く程度のものだった。あれでは本体へのダメージは無に等しいだろう。しかし
(;´・_ゝ・`)「てめぇ・・・!」
( ・∀・)「自分では隠してるつもりだったのか?」
- 213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:03:22.09 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「さっきから少し離れた場所で戦いを見せてもらっていたよ。目の前の相手ばかりに目が向いていて、僕のことをマークしていなかったお前をな」
( ・∀・)「だからかな?右手の大きさを変える、もしくは岩の大砲を撃つ毎に『ポケットから石を捨てる』という行為を僕に思いっきり見せ付けてくれたね」
(´・_ゝ・`)「・・・・・・ちっ」
そうだったのか、全く気付かなかった。
でも思い返せば、最初からやたら石ころを投げていたな。こいつ。
(;-_-)「つまり『石を捨てる』のが奴の発動条件・・・?」
(;^ω^)(よくわかんないけど今がチャンス・・・!?)
( ・∀・)「・・・いくよ」
懐からもう一本ナイフを取り出し、再びデミタスに向かってモララーが駆け出す
- 217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:07:52.02 ID:4Q3vEGCD0
- 矢のような速さでデミタスに急接近。能力者は肉体も強化されるのか。
それともあれが彼の能力か?
加速したまま突きの構えをとる。
だがモララーが目前に迫ったときーーー
(´ _ゝ `)「・・・ひひっ」
( ・∀・)「!」
(;-_-)「なッ・・・!」
その目の前には、巨大な岩が。
(#´゜_ゝ゜`)「ちねええええええええええええええええ!!!」
振り下ろされる岩。懐中電灯に照らされて光り舞う、ナイフの破片。モララーがいた場所には、巨大なクレーターができていた。
(;^ω^)「〜〜〜ッ!」
- 225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:14:34.32 ID:4Q3vEGCD0
(*´゜_ゝ゜`*)「ひゃあああああっはああああああ!!しんだ!しんだ!しんだ!」
何故
(;-_-)「発動条件は満たしていないはずじゃ・・・!」
(*´・_ゝ・`)「馬鹿はおまえらだおまえら。俺が石を捨てていたのは能力使用後。」
(*´^_ゝ・`)「つまり今適当に石を拾ってすてりゃオッケーなんだよ!!!」
(;-_-)「そんな・・・」
(´^_ゝ・`)「しかしあいつもホント馬鹿だな!勝手に推理して勝手に死ぬとか探偵漫画の使い捨て探偵かよ!マジもうホントバカ過ぎておなかいた」
( ・∀・)ノシ -3ポン
(´・_ゝ・`)「 ーーーい・・・?」
デミタスの頭に、モララーの手がやさしく置かれた。
- 229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:18:43.43 ID:4Q3vEGCD0
- (;´・_ゝ・`)「っ!」
振り払われる腕をかわし、距離をとるモララー。
(-_-)「あ、勝ったな」
それを見ながら、ぼそりと呟く割烹着。さっきまで焦っていたのが嘘みたいに冷静だ。
(;´・_ゝ・`)「なぜ生きてる?」
( ・∀・)「なんでか?さっき自分でもやってたじゃん」
(#´・_ゝ・`)「質問に答えろよ・・・!」
- 231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:21:08.26 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「めくらまし」
(´・_ゝ・`)「!」
( ・∀・)「ヒッキーに対してお前がやったことを、俺もやっただけだよ」
( ・∀・)「ただし、お前の岩を使ってな」
なるほど、自らの岩でデミタスの視界が埋まった刹那、
それを狙って避けたわけか
(;´・_ゝ・`)「だがなぜ俺が岩を撃ってくるとわかった!?発動条件を勘違いしていたんじゃ・・・」
- 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:26:42.34 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「あれはヒッキーが言っただけだ。俺は始めから仮説を二つ立てていーーー」
(´・_ゝ・`)「ふっ!」
デミタスが殴り掛かる、が、体を軽く揺らし難無くかわす。
( ・∀・)「っと、全く。人の話を聞けよ。ここ俺の見せ場なんだからさ」
(´・_ゝ・`)「ちっ・・・」
( ・∀・)「とにかく、俺が立てた仮説は、『能力使用後に石を捨てる』『能力発動中は石を触る』のどちらかがお前の発動条件だってこと」
(´・_ゝ・`)「・・・」
( ・∀・)「体の堅さは特性、つまり発動条件の要らない能力だろうと予想し、さっき言ったように巨大化、発射のときのことを考えたんだよ」
- 235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:30:50.81 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「だが前者はヒッキーの《ウィップ・手うち》を防いだ後、石を捨てずに能力を使っていたから、間違いだとわかった」
( ・∀・)「だから後者だと思いポケットから石を落としてやろうと、ナイフでズボンを切った」
( ・∀・)「だがお前はそこらの石を拾って取り繕おうともしなかった」
(´・_ゝ・`)「・・・」
( ・∀・)「意味もないのに、石を捨てるなんて隙を見せるような行為をするくらいだから、能力発動条件に関係することだと思っていた」
( ・∀・)「だが、石の補充をしないお前を見て、俺は新たな仮説をたてたよ」
(;-_-)「結構いきあたりばったりなんだね・・・」
- 241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:34:19.83 ID:4Q3vEGCD0
- (´・_ゝ・`)「!」
( ・∀・)「ただのフェイクか、もしくは『回数条件』の為に残り回数のカウント、とかかな?それにしては捨て忘れたりしてたけど」
(´・_ゝ・`)「・・・ちっ」
(-_-)「だけどなんで岩を撃ってくるってわかったの?」
( ・∀・)「こいつはさっきのやりとりで俺に通常打撃は当たらないって思い知らされてるからな」
( ・∀・)「不意をついての一撃必殺のカウンター・・・能力も明らかにしていない俺を倒すにはそれしかない」
(´・_ゝ・`)「だから俺の攻撃を誘うよう、わざと直線的に突っ込んできたのか・・・!?」
( ・∀・)「今頃気付いたのか。やーいバーカ」
(#´・_ゝ・`)「だが俺は発動条件がバレただけだ!」
確かに。あそこまでやっといてわかったのはその発動条件とやらのみ。
このままじゃ勝負は長引くことにーーー
( ・∀・)「いや、もう終わりだよ」
(´・_ゝ・`)「・・・何だと?」
( ・∀・)「・・・悪魔の果実」
- 246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:38:43.52 ID:4Q3vEGCD0
- (´・_ゝ・`)「・・・あぁ?」
( ・∀・)「アダムとイヴの話は知ってるか?」
(#´・_ゝ・`)「今更宗教なんて流行る世の中じゃねーよ」
( ・∀・)「リンゴってのはな、人間を狂わせてしまう果物なんだよ」
( ・∀・)「神でさえも、逆らうことのできない、圧倒的洗脳」
( ・∀・)「俺達青森県民はそのリンゴを司る」
(;´・_ゝ・`)「まさか・・・」
( ・∀・)「《アダムズ・アップル》」
(;´ _ゝ・`)「っあ・・・」
(;^ω^)「!」
(-_-)「・・・」
突如倒れるデミタス。
体は力無く横たわり、ぴくりともしない。
- 255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:43:45.22 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「まだ意識あるだろ?てか俺が残してやってんだけど」
(´゜_ゝ `)「あ・・・あ゛っ・・・」
デミタスが小さく呻く
( ・∀・)「冥土の土産に教えてやるよ。俺の能力」
(´”_ゝ。`)「ああ゛っ゛・・・い゛ぃ゛」
( ・∀・)「俺の発動条件は『リンゴを食べる』だ。だから最初の時点では戦いに参加しなかった」
( ・∀・)「俺はこの時点で『読唇術』『俺の声を意識して聞いた人間の洗脳』が使えるようになる」
( ・∀・)「とはいってもどっちも怒る、悲しいとか大雑把な感情が分かったり、指の角度を無意識に10゜傾けさせるとかしょぼいやつだけど」
( ・∀・)「だが殴り合いにはこれだけあれば十分だ。俺はこの能力を使いお前の能力の回避、分析をした」
((´∴ _ゝ。`))「ぎいぃ゛いぃっ・・・さま゛あ゛ぁ゛ぁっ」
( ・∀・)「・・・だが俺の能力はこれだけじゃない」
- 260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:48:12.69 ID:4Q3vEGCD0
- ( ・∀・)「俺は他人の体に触れると、その部位のコントロール権を奪うことが出来る」
( ・∀・)「ただし、頭を触ったときには・・・」
(((((´゚゚_ゝ。`)))))「ああ゛あ゛あぁ゛あ゛ぁあ゛あ゛ああ゛ぁぁ゛」
( ・∀・)「ーーーその『個人』そのものを支配する」
(((((´゚゚_ゝ。`)))))「あがあ゛があ゛ぎあがぁ゛あ゛ぁぃがぎああ゛あ゛あがあ゛ぁぁ゛」
今までにないくらい大声をあげながら、芋虫のようにデミタスが転がる
( ・∀・)「いわゆる『心』というやつも思いのままだし、体だって自由自在に動かせる」
( ・∀・)「例えば舌を噛ませたり、わざと心臓止めたり、ね」
(´ _ゝ `)「・・・ぁ」
突如声が止み、デミタスはそのまま動かなくなった。
- 267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 16:56:01.61 ID:4Q3vEGCD0
(-_-)「・・・死んだ、か」
( ・∀・)「まあね。生かしておく理由がない」
(-_-)「それもそうだね」
( ・∀・)「・・・ところで、君はどちら様?」
(;^ω^)「っ!」
やばい
敵じゃないとわかってても、さっきの闘いを目の当たりにしていたせいで、緊張してしまう。
(-_-)「トウキョウに・・・まぁ、あいつは岩手だったけど、・・・襲われてたってことは、トミンじゃない・・・よね?」
(;^ω^)「い、いえ・・・トウキョウから逃げてきたんですお」
(;-_-)「はあぁ!?」(・∀・;)
(;゜ω゜)「す、すいませんでしたあああああッ!!!」
- 270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 17:00:31.78 ID:4Q3vEGCD0
急に驚くもんだから、なぜか謝ってしまった。
とことん臆病が身に染み込んでいる。
(;-_-)「んな馬鹿な・・・」
(;・∀・)「嘘は言ってない、な・・・」
例の読心術だろうか。
心を読まれるのは何だかはずかしいが
おかげで変な誤解をされずにすみそうだ。
(;・∀・)「事情はともかく・・・君はトウキョウの手のものではないみたいだね・・・」
(;-_-)「とにかく、この子もつれて早く向かおう」
( ・∀・)「・・・そうだな・・・君!」
(;^ω^)「はっ、はいですお!」
( ・∀・)「悪いが、君もついて来てくれないか?」
王国『グンマ』へ―――
―――――――――――――・・・・・・・・・・・・
- 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 17:06:14.39 ID:4Q3vEGCD0
・・・・・・ーーーーーーシンジュクのとある寂れたバー
( ゚¥゚)キュッキュッ
暗く、少し青がかった店内には、店主と、カウンターに座る長身の男が一人
( )「・・・」
( ゚¥゚)(喋らない客だなあ・・・)
( ゚¥゚)「お酒、飲まないんですか」
( )「あ、お酒飲めないんです・・・」
( ゚¥゚)「はあ・・・」
( ゚¥゚)(何しに来たんだよ・・・)
( )(雰囲気出るなあ・・・)
( ゚¥゚)キュッキュッ
( )「水・・・くれませんか?」
( ゚¥゚)「あ、はい」( ゚¥゚)コポコポ
( ゚¥゚)つ「どうぞ」コトン
( )「どうも」
- 284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 17:10:15.77 ID:4Q3vEGCD0
- ( ゚¥゚)(何か頼む気ないなら帰れよ・・・)
( )「あの・・・」
( ゚¥゚)「は、はい」
('A`)「・・・下野カスター、ありますか?」
・・・・・・・・・続く
( ゚¥゚)「ないです」
('A`)「そ、そうですか・・・」
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