- 4 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:30:05.90 ID:acHl5leu0
- 病名:先天性黒斑病
遺伝子疾患の一種であり4000人に1人の割合で発症する。しかしその遺伝性は認められず、発症は偶発的なものである。
外見的な特徴として、生後3日以内に身体の一部に黒い染みのようなものができ、1歳までに体の一部が完全に黒く染まる。
川 ゚ -゚)「どうしたドクオ。」
( ^ω^)「早くするお。」
人は、最初は1つだった受精卵が分裂を繰り返し、やがてそれが完全な人の形になる。しかし、細胞分裂にはその回数に限りがあり、それはそのまま人生のタイムリミットとなる。
(;'A`)「ちょっとまって・・・」
( ・∀・)「うおー!本当に客がいる!」
- 6 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:31:01.49 ID:acHl5leu0
- 先天性黒斑病の患者はその細胞分裂できる回数が極端に少ない。
( ^ω^)「おっおっ!皆で肩組んで掛け声するお!」
('A`)「いや・・・そういうのはちょっと・・・」
患者の生後1か月までの生存率:81.1%
5歳までの生存率:75.4%
10歳までの生存率:74.6%
15歳までの生存率:73.9%
川 ゚ -゚)「いいじゃないか。やろう。」
( ・∀・)「いいね。やろう。」
18歳までの生存率:56.7%
20歳までの生存率:13.5%
22歳までの生存率:2.3%
- 7 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:31:43.23 ID:acHl5leu0
- (;'A`)「え・・・ちょっと・・・あ・・・」
( ^ω^)「今日のライブ、絶対成功させるお!」
25歳までの生存率:0%
川 ゚ -゚) ( ・∀・)「おーーーーーー!」(^ω^ )('A`;)
かつて先天性黒斑病の患者は“鬼の子”と恐れられ、その親は“鬼”として裁かれた。
したがって、親は生まれた我が子の体に黒い染みがあると、その日の内に子を川へ流した。
川は我が子の体にある“穢れ”を洗い流してくれると信じていたのだ。
現在、先天性黒斑病は治療法こそないが完全に解明されていた。
しかし田舎では未だに差別が根強く、黒斑を持つ乳幼児の水死体は後を絶たない。
- 9 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:32:28.64 ID:acHl5leu0
川 ゚ -゚)想い出のようです(^ω^ )(・∀・ )('A`;)
第一話「家族」
- 10 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:33:15.96 ID:acHl5leu0
- まだ午前中であるにもかかわらずクーは帰り支度をしていた。
言うなれば夏休みの第0日目。試験終了のチャイムはそのまま夏休み開始のゴングとなり、教室は歓声と悲鳴に包まれていた。
夏休みというのは不思議なもので、どんなに学校が好きな青春おめでた野郎でも、夏休みも家にこもりっきりであろうネクラニート予備軍でも一様に嬉しいものだ。
川 ゚ -゚)♪
いつもは素っ気ないクーですら鼻歌の一つでも歌いたい気分になる。
ましてや英語と数学という悪魔のような組み合わせの試験を乗り切った直後なのだ。
ξ゚听)ξ「クー、帰りましょ。」
川 ゚ -゚)「ああ。」
試験の答え合わせ。夏休みの計画。目前に迫った大会。追試。
やたらと騒がしい教室を後にし、クーとその親友ツンは家へと向かった。
- 11 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:34:04.52 ID:acHl5leu0
- *
ひとたび後者を出るとたちまち二人は後悔しだした。
こんな時間に外に出るものではない。校門までの道のりが揺らめいているではないか!
うんざりするもここにいたってしょうがない。二人は校舎の陰から一歩踏み出す。
とたんに肌が焼ける幻聴が聞こえた。
ξ゚听)ξ「しっかし暑いわね。」
川 ゚ -゚)「夏だからな。」
ξ゚听)ξ「夏なんて来なくていいのに。」
川 ゚ -゚)「そうしたら夏休みはなかったかもしれないな。」
ξ゚听)ξ「それは困るわね。」
夏は暑い。
そんな当たり前の事でもいざ夏が来るまで忘れていたりする。
肌に深く突き刺さる日光。
土と草の蒸せた匂い。
グニャリと歪む空気。
空気を満たす蝉の声。
そういった暑さは、やはり夏独特のものなのだ。
- 12 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:34:50.67 ID:acHl5leu0
- 今年の夏休みは何かが起きる!
その予感はおそらく全国共通のものであろう。
我らがクーも例にもれず(顔には決して出していないが)その期待にない胸を膨らましていた。
結論から言うと、予感は当たって期待は外れるといったところになるが、それはもう少し先の話だ。
川 ゚ -゚)(さて、これから一月以上どうしようか。)
川 ゚ -゚)(結局部活には入らなかったしな。)
川 ゚ -゚)(旅行にでも行くか?)
川 ゚ -゚)(いっそ海外に短期留学・・・・・・そんな金は我が家にはないな。)
とにもかくにもクーは何かをしようと考えていた。
しかし、それがすべての始まりというわけではない事を強調しておこう。
因果律と言うものは常に複雑に絡み合っている。
そして因果律に始まりはない。
どんなに突飛に見えることもそれまでの経過に基づいた必然であり、同時に、その後の出来事に影響を与える要因でもある。
例えばこんなことだ。
- 13 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:35:30.97 ID:acHl5leu0
- ξ゚听)ξ「あーあ。どこかにいいオトコいないかしらね。」
男子は坊主頭がデフォルトなこの片田舎において、ツンはかなり目立つ。
と言うのもツンは所謂ハーフで、その自慢のブロンドヘアをクルクルと巻いているのだ。
その顔も価値観も日本人離れしたものがあり、幼いころからマドンナの地位を絶対的なものにしていた。
川 ゚ -゚)「君にはブーンが居るじゃないか。」
ξ゚听)ξ「あれはただの腐れえn
( ^ω^)「ツン!」
ξ;゚听)ξ「わっ!なっ、何!?」
( ^ω^)「付き合ってくれお!」
突然現れて衝撃的な発言をしたこの肉付きの良い青年。それも絶対的マドンナに対してである。
彼もツンに魅せられ儚い夢を抱いてしまった哀れな男の一人なのだろうか?
答えは否である。彼はツンの幼馴染であり、sneg?を地で行くスーパー憎いやつなのだ。
彼もこの物語の重要な登場人物なので是非名前くらいは覚えていただきたい。
ブーンだ。変な名前だが仕方がない。
- 14 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:37:12.65 ID:acHl5leu0
- ξ;゚听)ξ「え・・・は?え!?ツキアウ??え!?」
( ^ω^)「ブーンと付き合ってくれお!」
ξ;゚听)ξ「ツキアウって、え!?突き合う・・・じゃなくて付き合うってこと?」
( ^ω^)「だお。」
ξ////)ξ「ばっ馬鹿!何言ってんのよいきなり!!」
( ^ω^)「いやかお?」
ξ////)ξ「いっ・・いやじゃないっていうかその・・・」
ξ////)ξ「断ったら可哀そうだから・・・別に・・・その・・・」
( ^ω^)「じゃあ決まりだお!」
ξ////)ξ「はっ初めてなんだから優しくしなさいよね!」
川 ゚ -゚)(おちつけツン。)
こうしてブーンは幼馴染に対する告白をあっさりとすませてしまった。
いままで数多の男の告白を鼻であしらって来たツンもついにブーンによって攻略されたのである。
この大事件は翌日には町中の男の耳に入ることになる。
ツンにしてみれば長年密かに(ブーンにはバレバレのようだったが)想いを寄せていた相手だ。
いくら町のマドンナいえどそんな相手にいきなり告白されたら動揺もする。
問題はブーンだ。
ツンデレな女と鈍い男という幼馴染の鉄板ネタをいきなり潰しにかかりやがった。
これじゃ恋愛モノを書くにはネタ不足ではないか!フツメンのくせこの野郎。許すまじ!
- 16 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:38:16.90 ID:acHl5leu0
- ( ^ω^)「じゃあブーンはこれから部活だから、帰ったらメールするお。」
ξ////)ξ「わかったよ!さっさと行きなさいよ!」
( ^ω^)「お。ばいばいだお!」
まあ・・・なんともツンデレの扱い方に慣れたものだ。
そんな彼は何を隠そう陸上部!ぽっちゃりなのに!
その両手を広げた独特のポーズで彼は校舎へブーン!!と駆けて行った。
ξ////)ξ「・・・」
川 ゚ -゚)「・・・ツン。」
ξ////)ξ「なっなによ!」
川 ゚ -゚)「いたな、いいオトコ。」
このあとクーは家に着くまでポコスカと殴られなければならなかった。
これもまた因果である。
- 17 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:39:50.92 ID:acHl5leu0
- *
( ・∀・)「おかえりんこ!」
川 ゚ -゚)「ただいま。モラ兄さんは今日も学校をさぼったのか?」
( ・∀・)「あー・・・三年生は授業選択によっては今日テストが無いんだ。」
( ・∀・)「だから今日は休み。一足早い夏休みさ。」
クーの兄らしきこの青年。名をモララー。
茶色の髪といい耳に光るピアスといい、いかにもイマドキといった風貌である。
ギターばかり弾いてろくに勉強もしない彼は今もギターの練習の真っ最中であった。
川 ゚ -゚)「お母さんは?」
( ・∀・)「今日パート。」
川 ゚ -゚)「そうか。」
川 ゚ -゚)「・・・」
川 ゚ -゚)「そういえばさっきおもしろいものを見たぞ。」
( ・∀・)「んー?」
川 ゚ -゚)「ブーンがツンに告白してた。」
冷蔵庫を開けて牛乳を取り出し、食器棚からコップも取り出した。
部屋にはギターの音だけが響いている。
コップは透明だった。
- 18 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:41:02.82 ID:acHl5leu0
- ( ・∀・)「へー!あいつらまだ付き合ってなかったんだ。」
川 ゚ -゚)「今は付き合ってるぞ。」
( ・∀・)「いやそうだけどさ・・・」
( ・∀・)「あいつら小学校からずっと毎朝一緒に登校してるんだぜ!?」
川 ゚ -゚)「そういう距離感ってものがあったんだろう。」
コップに牛乳を注ぐと、それはコップの内壁と同じ形で空中に静止した。
しばらくそれを眺める。
大切なのは中身と容量であって、形なんてものに意味はない。
けれども宙に浮いた形のある牛乳はじっと見ていても不思議と飽きない。
艶めかしさすら感じる。
肉体が気圧によってかろうじてその形をとどめているかのように、どこか危ない感じがする。
クーは時々、そんなとりとめのないことを考える。
- 20 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:41:49.30 ID:acHl5leu0
- 川 ゚ -゚)(無理やり気持ちをごまかそうとすると、どうもいけないな。)
やがてコップに水滴が付き始めたので、クーは小さく舌打ちをして一気に飲み干した。
川 ゚ -゚)「ねえ。」
( ・∀・)「いいよ。」
川 ゚ -゚)「まだ何も言っていない。」
( ・∀・)「クーが『ねえ』って言う時は、ね。」
川 ゚ -゚)「まったく、モラ兄さんには勝てないな。」
汗で濡れた制服と下着を脱ぎながら、クーはモララーの首に腕をからませた。
モララーの首も汗で濡れていた。
- 21 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:42:40.88 ID:acHl5leu0
- *
( ><)「ドクオくん!一緒に帰るんです!」
('A`)「あ・・・うん・・・」
所変わって同じ町のとある中学校。
試験の後も授業があるこの学校は明日から夏休みだというのに午後3時の鐘が鳴るまできっちり授業をして、おまけに宿題もどっさり出した。
それでも夏休みはうれしいらしい。受験を控えた彼ら三年生でさえはしゃいでいるのだから間違いないだろう。
( ><)「今日から夏休みなんです!うれしいんです!」
('A`)「そうだね・・・」
( ><)「ドクオくんは何か夏休みの予定はあるんですか!?」
('A`)「いや・・・何も・・・」
( ><)「僕はあるんです!」
- 22 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:43:24.60 ID:acHl5leu0
- 見てお分かりのように彼らは先ほどで言うネクラニート予備軍である。
こいつ( ><)の名前は・・・まあどうでもいい。モブだ。
問題はもう片方のこいつ('A`)である。名をドクオ。
何が問題って、この物語のタイトルを見てほしい。
いる!こいつが、いる!
どうやらモブではなさそうだ。ということで少しこいつらの会話を聞いてみよう。
- 23 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:44:19.15 ID:acHl5leu0
- ( ><)「今度の火曜日に『淫☆生徒会室3〜会長の命令はゼッタイよ〜』が発売されるんです!」
('A`)「へえ・・・そうなんだ・・・」
( ><)「前作の『淫☆生徒会室2〜学園の悩みはおクチで解決!〜』のゲーム性をそのままに、グラフィックが大幅に増えているらしいんです!」
('A`)「・・・うん・・・」
( ><)「さらに、第一作の『淫☆生徒会室〜生徒会長のイケナイ秘密〜』で出てきたミカタンも出てくるらしいんです!」
('A`)「・・・そうなんだ・・・たのしみだね・・・」
(*><)「たのしみなんです!」
- 24 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:45:09.45 ID:acHl5leu0
- ドクオのために弁護しよう。ドクオはエロゲなどやった事ない。そしてやる気も無い。
ではなぜこんなモブとつるんでいるのか?それはこのモブ以外に友達がいないからである。
ドクオは生まれつき2つの障害を持っていた。
そのうちの一つが精神障害であったため、ドクオは人付き合いに難があった。
そこで、同様に友達がいなかったこのモブはエロゲでモノにした女の自慢をする相手としてドクオに目をつけたのだった。
軽蔑の対象である障害者であっても、話す相手がいないよりはマシ。
そういう思いがこのモブにはあった。だから会話は一方的なものだったし、中身のないものだった。
え?作者は( ><)が嫌いかだって?
そんなことはない。むしろ好きだ。
そんなことより、この二人に近づく影がある。何かが起きそうだな、うん。
- 26 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:45:56.09 ID:acHl5leu0
- <ヽ`∀´>「おい!なに気持ち悪い会話をしてるニダ。」
(;><)「あ・・・」
(;'A`)「あ・・・」
<ヽ`∀´>「おかげで不快な思いをしたニダ。謝罪と賠償を請求するニダ。」
無茶苦茶な要求をするこの青年の名はニダー。
モララーと同じ高三だが、地元の中高生を何人か束ねてカツアゲに近いことをしていた。
ニダーには関わるな。ドクオのような者にとってこれはこの町で生きていくための必須ルールであった。
学校もなく一人ぶらついていたニダーはひどく退屈していた。そこにカモが現れた。ニダーにとって、それだけのことだった。
(><;)「ドクオくん!僕は急用を思い出したんです!さようならなんです!」
(;'A`)「え・・・」
三( ><)ビュン
<ヽ`∀´>「待つニダ!」
三( ><)(待たないんです!)
<ヽ`∀´>「・・・まあいいニダ。あいつはあとで殺すニダ。」
((;'A`))gkgkbrbr
<ヽ`∀´>「おい、お前。」
((;'A`))「は・・・はい・・」
<ヽ`∀´>「ツラ貸すニダ。」
- 27 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:46:54.70 ID:acHl5leu0
- この後の展開は書くまでもないだろう。
ニダーとその友人に蹴られ、殴られ、財布を取られて服まで破かれた彼はとぼとぼとと家まで帰った。
(;A;)「うう・・・・ヒック・・・・」
差別の多い田舎である。精神障害者である彼の人生は悲惨そのものであった。
しかし、より彼を苦しめていたのはもう一つの病気。先天性黒斑病であった。
かつて鬼の子として殺されるはずだった彼は拾われ、奇跡的に一命を取り留めた。
だが彼の苦難はそれだけで終わらなかった。
顔の左半分を占める黒斑。
親が自分を殺そうとしたという事実。
鬼の子として自分を恐れる周囲の人間。
あと数年しか残されていない時間。
精神障害によってまともに人と接することも出来ない。
自分の苦しみを伝えることも出来ない。
笑いながら未来を夢見るみんなは、いともたやすく暴力を振った。
孤独偏見差別暴力絶望孤独罵声暴力差別孤独恐怖絶望偏見暴力暴力暴力絶望孤独。
- 28 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:47:49.71 ID:acHl5leu0
- ここまで悲惨な状況にあって、しかし彼はこうは考えなかった。
すなわち、
「あと数年こんな苦しい思いをしてから死ぬくらいなら、もう死んでしまおう。」
と。
なぜなら彼には家族がいたからだ。少し変わった、かけがえのない家族が。
- 29 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:48:44.75 ID:acHl5leu0
- *
(;'A`)「・・・ただいま。」
( ^ω^)「ドックンおかえりだお。遅かったおね。」
('A`)「あ・・お兄ちゃん・・・・ただいま・・・」
恐る恐る家に帰ったドクオを最初に待ち受けていたのは、部活を終え先に帰宅していたブーンであった。
ブーンはボロボロのドクオを見て何があったのかを一瞬にして悟った。
これまで何度もいじめにあって来たドクオだが、ここまでむごい事をする奴はそういない。
( ^ω^)「ニダー達・・・かお?」
('A`)「うん・・あ・・・でも・・・」
('A`)「僕だって・・・その・・・」
( ^ω^)「かばうなお!」
('A`)「・・・」
( ^ω^)「自分を傷つけた奴らをかばって何になるんだお!」
('A`)「・・・」
- 30 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:49:31.91 ID:acHl5leu0
- 勘違いしてほしくないので言っておくが、ブーンは基本アホキャラである。
馬鹿ではないが、著しいアホである。作者は今後、硬い決意を持ってそのアホっぷりを描いていこうと思う。
( ・∀・)「騒がしいね。どうしたの?」
( ^ω^)「兄さん。ドックンがニダーたちにやられたお。」
('A`)「・・・」
( ・∀・)「あー、本当だ。」
( ・∀・)「ま、同情はしないよ。わかるね?」
('A`)「・・・うん・・・」
( ・∀・)「がんばれ。しかたない。かわいそう。」
( ・∀・)「もうそういう言葉は聞き飽きた。そうだろう?」
('A`)「・・・うん・・・」
( ・∀・)「問題は今後どうするかだ。わかるね?」
('A`)「・・・うん・・・」
- 31 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:50:23.73 ID:acHl5leu0
- モララーは慰めなんて偽善にすぎない事を知っていた。本当ははらわたが煮えくりかえっているのだがそれは決して顔には出さない。
ドクオの残りの人生を明るくするためには、ドクオ自身が強くなるしかないのだ。
( ・∀・)(まあ、次もこんな事があるようならニダーはぶち殺そう。)
差別には毅然とした態度で挑む。それが、モララーが学んだこの町で生きていくための必須ルールであった。
( ・∀・)「まあとりあえずご飯にしようか。母さんとクーが作ってるからもうすぐできるはずだよ。」
- 32 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:51:05.22 ID:acHl5leu0
- *
さて、前置きが長くなったが今一度この物語の中心となる家族のメンバーを紹介しよう。
( ・∀・)「絶対にあげないんだからな!」
意地悪で弟妹思いな高三のモララー。
川 ゚ -゚)「私も断る。」
素直でクールな高一のクー。
( ^ω^)「ならドックンからもらうおwwwwww」
マイペースで明るい同じく高一のブーン。
('A`)「・・・あ・・・・・・」
内気で優しい中三のドクオ。
- 33 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:52:06.89 ID:acHl5leu0
- ('、`川「こらこらドクオがかわいそうでしょ。ドクオ、すぐ新しいコロッケ揚がるからまっててね。」
これは母。名をペニサス。
( ^ω^)「おっ。ブーンももらうお!」
('、`川「あんたはこれでおしまい。」
( ;ω;)「ぞれ゛だげは!ぞれ゛だげは許じでぐれ゛お゛!」
('、`川「だが断る!」
( ・∀・)「時に妹よ。」
川 ゚ -゚)「私か?」
(;・∀・)「うん、まあそりゃね。」
( ・∀・)「で、借りてたCDを返すよ。ありがとう。」
川 ゚ -゚)「別にかまわない。」
( ・∀・)「しかしクーにあんな趣味があるとは思わなかったよ。」
( ;ω;)「おーん!おーん!」
- 34 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:52:55.76 ID:acHl5leu0
- (´・ω・`)「ドクオ。学校の成績はどうだった。」
これは父。名をショボン。
('A`)「うん・・・まあまあかな・・・体育は駄目だったけど・・・」
('A`)「音楽は一番だったよ・・・・」
(´・ω・`)「そうか。さすがだね。」
(*'A`)「うん・・・」
( ;ω;)「おーん!おーん!」
以上がこの家族のメンバーである。
続いて団らん風景を描きつつ、この家族の成り立ちについて少し触れてこの第一話を締めようと思う。
- 35 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:53:37.89 ID:acHl5leu0
- ('、`川「さあさあ皆。コロッケ第二陣が揚がったわよ。」
( ;ω;)「お゛な゛が ず い゛だ お゛!!」
('、`川「だ が 断 る !」
( ;ω;)「おーん!おーん!」
('A`)「あ・・・僕の・・あげようか・・・」
( ^ω^)「そんな悪いお!是非いただくお!」
('、`川「まったく・・・」
モララーとブーンとドクオの三人は実の子供ではなかった。
拾ったのだ。家の前の河原から。
- 36 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:54:28.33 ID:acHl5leu0
- 川 ゚ -゚)「友達の影響でな。気に入らなかったか?」
( ・∀・)「いやいや。すごく気に入ったよ。」
( ・∀・)「思うにロックの原点はやはり反骨精神だ。反社会性。体制への抵抗。既成の概念や価値観の破壊。」
川 ゚ -゚)「・・・」
( ・∀・)「そういう意味ではさわやか青春バンドなんてロックじゃないね。ポップスだ。」
( ・∀・)「だからクーの趣味は最高にロックだったよ。気に入った。」
川 ゚ -゚)「・・・そうか。」
( ^ω^)「もぐもぐお!」
3人は先天性黒斑病だった。
したがって4000人に1人の病気がこの家には3人もいることになる。
モララーは右腕の肘より先が黒く、ブーンは右肩から鳩尾にかけて、ドクオは顔の左半分が黒かった。
- 38 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:55:15.28 ID:acHl5leu0
- ( ^ω^)「ごちそうさまだお!」
('A`)「ごちそう・・・さm
( ^ω^)「どっくん!アイス食べるお!」
('A`)「え・・・だって・・いま食b
( ^ω^)「ブーンはドデカジャンボWチョコバナナプリンバーにするお!」
川 ゚ -゚)「おいおいそれ以上食べたらさすがにぽっちゃりどころじゃ済まなくなるぞ。」
( ^ω^)「ブーンはまだまだ成長期だお。平気だお。」
( ^ω^)「そういうクーこそもっと胸あたりが成長したほうg
川 - )
クーだけが実の子で、クーだけが健康だった。
でも、両親は私彼らを平等に扱った。
- 39 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:56:04.76 ID:acHl5leu0
- ( ・∀・)「はいはい、俺たちは避難しようね〜。」
(;'A`)「え?・・・あ・・・」
当然差別は激しかった。前記の通り、特にドクオは恐怖の目で見られた。
リストラ・入店拒否・投石や怪文書はもちろん、クーを含めた兄弟全員が幼稚園への登園を事実上拒否されたこともあった。
(´・ω・`)「やれやれ。」
('、`川「ふふふ。」
しかし彼らは戦った。
特にモララーとブーンはドクオに対し、その闘い続ける生き様を見せることで励まし続けた。
一人として卑屈にならず主張し続けた。
結果、この町での差別は少しづつ改善され、ついには励ましの声さえ上がるようになった。
そして、この家族は町で一番有名になった。
- 40 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/13(月) 02:56:55.36 ID:acHl5leu0
- (;^ω^)「非常に悪かったお。反省してるお。」
川 - )
(;^ω^)「もう言わないお。だから落ち着いてくれお。」
川 - )
(;^ω^)「本当に・・・
川 - )スッ
(;^ω^)「ちょ・・・」
川 - )ユラッ
(;゜ω゜)!!
<GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!
これは、そんなちょっと変わった家族の物語。
第一話「家族」 終わり
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