川 ゚ -゚)想い出のようです(^ω^ )(・∀・ )('A`;)

208 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:05:54.60 ID:0a+qbx+z0
夜の病院の廊下はなぜこうも暗いのだろう。
無意味に不安を煽っているだけではないだろうか。
空間がゆがんでいく。廊下がねじれていく。
時間が長く永く引き伸ばされていく。
秒針が一つ進む間に、いくつもの後悔と不安が私を襲う。
頭は妙に冴えていて、でも現実感を失っていて
体は自分のものではないような気がした。
買ったばかりの指輪が光っている。
つい数時間前の楽しかった出来事が何年も前の事の様に感じる
買ったばかりの服に血がべっとりとついている。
あのドクオの歌は何だったのだろう。
あの時、私はどうしようもない自己嫌悪と向かい合った。
自己嫌悪も自己愛の一種だというのなら、あれはまた違うのかもしれない。
自分を肯定するもの全てが否定されたような感覚だった。
時間が永い。
事後の話し合いのために残った兄さんはまだこない。
ブーンの診断結果もまだこない。
泣くこともできず、弱音を吐くこともできず
私はじっと時が過ぎるのを待っていた。

第四話「平穏」

209 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:08:40.88 ID:0a+qbx+z0
( ^ω^)「バンドやるお!」

翌日目を覚ましたブーンが最初にいったセリフがこれであった。
これにはさすがのクーもあきれかえった。
それがライブで調子に乗って病院に運ばれた人間の言うセリフだろうか。
しかし本人はいたって本気で、ブーンはキーボードをやるお!などとほざいている。
じゃあ誰がドラムをやるんだブーンよ!ドクオか?
ドクオがスティック持ってドラムをたたくのか?ドクオはボーカルだろう!
絵的にドラムはお前だろう!
そう思った作者であったが、おそらくブーンは

( ^ω^)(ドラムはvipQにないからいらないお!それよりも兄者さんかっこよかったお!)

くらいに思っているのであろう。やれやれだ。

211 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:09:52.62 ID:0a+qbx+z0
それにしても、この「バンドをやろう!」というセリフはやや危険なものがある。
すでに何度も描かれてきたお決まりのストーリーに乗っかってしまう可能性があるからだ。
勇気を出してライブにいった若者がそれに刺激されてバンドを始める。
なんともありがちなストーリーではないか。退屈すぎる。
ここまで見てきてわかると思うが、この物語にそんな青春は許容されない。
なぜならこの兄弟に未来はないからだ。
今現在作者の頭にあるストーリーでは、非常に近い将来この兄弟に悲劇が起きる予定である。
あるものは人を殺め
あるものは犯され
あるものは愛する人を失い
あるものは一人寂しく野垂れ死ぬ。
そんな悲しすぎるストーリーが固まりつつある。
その運命に対し、作者が愛着を持ちだしたこの兄弟はどこまで抵抗できるのか。
作者v.s.兄弟
物語に秘められたもう一つの戦いにもぜひ注目していただきたい。

212 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:10:50.28 ID:0a+qbx+z0


('、`;川「ブーン!」

昼ごろに母ペニサスが駆けつけた 。いきなり旅行中の息子が二人同時に入院したと聞いていてもたってもいられなかったのだ。
出張中のショボンはこられなかったようだがそれはまあ仕方ないだろう。

( ^ω^)「母ちゃん・・・」
('、`;川「ブーン!大丈夫?痛いところない?」
('、`;川「倒れたって聞いて、お母さん心配で心配で。」
( ^ω^)「ブーンは平気だお!心配かけたお。」

213 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:11:47.26 ID:0a+qbx+z0
それでもペニサスは全く安心できない様子で、担当医に何度も質問を重ねた。
医師いわくブーンは安静にしていれば大丈夫らしかった。ただ、当たり所が頭なだけに一週間は様子を見ることになった。
こうしてブーンは陸上部の大会に不参加となった。

( ^ω^)(これであと一週間はプラスにいられるお。)

まったく呑気なやつである。しかしこういうおめでたい奴は不思議と好かれるらしい。
母ペニサスの到着から遅れること30分。なんとこの人まで駆けつけた。

214 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:12:44.86 ID:0a+qbx+z0
ξ;゚听)ξ「ブーン!」

ツンである。
彼女はブーンを見るやいやなブーンに抱きつきキスをした。ツンとペニサスの前で。
ブーンとツンについてはいずれかなりの行をさくからいいとして、今はしばし二人の痴話を聞いてみよう。

ξ;;)ξ「ああブーン。大丈夫!?ああ・・私・・・」
( ^ω^)「つん・・・」
ξ;;)ξ「私・・・ブーンがいなくなったらって・・・心配で・・それで・・・」
( ^ω^)「ツン、ブーンは大丈夫だお。」
( ^ω^)「心配かけたお。でもツンの気持ちはとてもうれしいお。」
ξ;;)ξ「ブーン・・・愛してるわ。」
( ^ω^)「ツン・・・愛してるお。」
川 ゚ -゚)「お前らそこまでだ。」

216 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:14:24.93 ID:0a+qbx+z0
見ていられない。そう思ったクーは二人に割り込んだ。このままではブーンとツンのザワールドだ。
しかも二人のやり取りを見てなぜかペニサスまで涙している。

川 ゚ -゚)(まったく。なんなんだ私の周りの人間は・・・)

作者に言わせれば第二話のお前らもそう変わらないぞ。



226 名前: ◆jPpg5.obl6 投稿日:2009/07/14(火) 01:43:19.03 ID:0a+qbx+z0


('、`;川「ドクオ!」

デジャブだが少し違う。今回はドクオだ。
ブーンをツンに任せたペニサスとクーは、二人でドクオのもとに向かったのだった。

( ・∀・)「あ、母さん。」
('A`)「・・・あ・・・・」

ドクオはすこぶる元気だった。口内に怪我があるだけで他に外傷はなし。
恐らく何かにぶつかった衝撃で噛んでしまったのだろうとのことだった。
ドクオ自身ライブの途中からの記憶はなく、あの歌についても全く覚えていないということだった。

('、`川「ああ、本当によかったわ・・・」
('、`川「あなた達が入院したって母さん聞いて心配したのよ。」
( ・∀・)(・・・)
( ・∀・)「母さん、今回は全部僕の責任だ。」
( ・∀・)「こんな無茶な旅行を断行したからこうなった。」
('、`川「いいえ、あなただけの責任ではありません。」
('、`川「たしかに今回の旅行は唐突だったけど、モララーなりの考えがあったはずよ。」
( ・∀・)「・・・」
('、`川「ドクオ達を都会の風に当てたかった。そうでしょう?」
('、`川「だからお父さんとお母さんは旅行を認めたのよ。」


227 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:45:30.75 ID:0a+qbx+z0
ペニサスとショボンの教育方針はとてもわかりやすいものだった。
子供と真正面から向き合う。
しかしそれは決して容易にできることではない。その理由は主に二つある。
一つは子供が親からどんどん離れるということ。
そもそも人生の最初の四分の一は親離れの歴史でしかないと作者は思う。そして同時に人生には子離れの歴史もある。
子供は大人になろうとする。大人になろうとして親から離れる。
子供は親離れして初めて親の偉大さがわかるのだが。
そしてもう一つは子供と向き合うとき、子供も自分の事を見るということ。
また作者の意見だが、大人になるというのは可能性を捨てることだと思う。
無限の可能性のほんの一つを選択し我々は生きている。あるものはそれを生き様といい、あるものはそれを汚れと言う。
子供と向き合ったとき、子供はそのことに気づいてしまうのだ。
それでもショボンとペニサスは子供と向き合った。たった一つの嘘を除いて。

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/07/14(火) 01:48:02.28 ID:0a+qbx+z0


( ^ω^)「バンドやるお!」

THEデジャブ第二段。その日の内に退院したドクオを引き連れブーンの病室に一同が会した時のことである。
さすがにしつこいぞブーン。しかし今回は、そんなブーンに賛同するものがいた。

('A`)「うん・・・」
( ・∀・)「へー。いいんじゃない。」

この二人だ。

230 名前: ◆jPpg5.obl6 投稿日:2009/07/14(火) 01:49:56.40 ID:0a+qbx+z0
川 ゚ -゚)「いやしかし、楽器はどうするんだ。」
( ^ω^)「ブーンはキーボードをやるお!あと音響もだお!」
川 ゚ -゚)「そんなの持ってないだろう。」
( ・∀・)「それは大丈夫。あてがある。」
川 ゚ -゚)「いやしかし・・・」
( ^ω^)「やるお!」

こうして本当にバンドを組むことになったらしい。
話し合いの結果、モララーがギター、クーがベース、ブーンが兄者的パート、ドクオがボーカルになった。
ドラムは?と思うそこの君。その答えはこうだ。

( ^ω^)「ドラムはいらないお!vipQにもドラムはなかったお!」

まったくもって音楽をなめているとしか言いようがない。
特にクーはドラムの不在とドクオのボーカルに猛反対したのだが、何も知らない(または覚えていない)ブーンとドクオには勝てなかった。
では何故、ロックに詳しいモララーがドラムの不在などと言う愚にもつかない決定を容認したのか。
実は音響機材の提供主とも関係あるのだが、このときモララーは密かにある計画を立てていたのだ。懲りない男である。

232 名前: ◆jPpg5.obl6 投稿日:2009/07/14(火) 01:51:31.83 ID:0a+qbx+z0
( ^ω^)「いっぱい練習するお。」

ブーンがなぜここまでバンドにこだわるのかは前記のとおりだ。単にブーンとロックがぴたりとはまっただけのこと。
それよりもドクオについて少し説明しようと思う。
ご存じドクオは人見知りが激しい。そんな人がステージに立って歌うことなど出来るはずがない。
でもドクオはここにきて変わりだした。害でない他人を知った。
もちろん、ドクオの決断など元の田舎に戻れば一瞬で吹き飛んでしまうかもしれない。それでもドクオは歌おうと思った。
自分にも何かできるかもしれない。
その思いは絶望だけの人生に一筋の光を差し込んだ。

234 名前: ◆Fq93F1zmDWDK 投稿日:2009/07/14(火) 01:54:45.95 ID:0a+qbx+z0
('A`)(みんなが僕の事を見直してくれるかもしれない。)
('A`)(みんなが僕に優しくしてくれるかもしれない。)

まるで某アニメの主人公を思わせる発言だ。特に二番目。

('A`)(僕にだってできるんだ。)
('A`)(お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒なら!)

236 名前: ◆jPpg5.obl6 投稿日:2009/07/14(火) 01:58:17.68 ID:0a+qbx+z0
ドクオはまだ気づいていなかった。彼の恐るべき才能に。
彼が世界中に絶望をまき散らすのはもう少し先の話だ。

川 ゚ -゚)「兄者は音響のプロだ。楽譜も読めないブーンとはわけがちがう。」
ξ゚听)ξ「大丈夫。私が教えるわ。」
( ^ω^)「おっ。ありがたいお。」
ξ゚听)ξ「べっ別にあんt(ry

さて今回の話はここまでである。とても平和な、幕間的な回だ。
しかし何度も言うがこの物語に青春は許容されない。

( ・∀・)「ドクオは歌がうまいもんなー。」
(*'A`)「えへへ・・・」

彼らは束の間の平穏を謳歌していた。

第四話「平穏」 終わり


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