( ・∀・)モララーは隠居暮らしのようです。

4 名前:まとめサイトURLは後ほど貼ります ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 19:55:18.31 ID:EFC1GAYW0
(* ^ω^)「ひょほー!」

ブーンが丘を駆け下りる。
草を足でかき分ける音
風が耳を過ぎる音
肌で感じる抵抗
全てが新鮮で気持ちがいい。

(* ^ω^)「おふん!」

坂道が終わると同時にブーンが転ぶ。
勢いそのままゴロゴロと回転していくが、当のブーンは楽しそうに叫んでいるだけだった。

(* ^ω^)「はー…。サイコーだお…。」

滲んだ汗と高くなった体温。
息が弾むことすら楽しく思える。

街の公園などではこんな体験はできない。
これだけ広い土地がないのもあるが、やはり人が多いのが問題点だ。

だから、こんだけ走り回っても全く人にぶつからずにいれるのはとても嬉しいことなのだ。

ξ;゚听)ξ「ちょっと大丈夫ー?」

7 名前:まとめサイトURLは後ほど貼ります ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 19:57:38.09 ID:EFC1GAYW0
丘の上から少女の心配する声が聞こえてきた。
彼女は、ツン=デ=ジェレイト。名の有る貴族の一人娘だ。
服装は…夏の制服だった。

そう、今日はインドラの日なのだ。
普通に学校があって、普通にみんなが仕事をする日。

なのに、彼らはこのモララーの隠居に来ている。
なぜか。

( ・∀・)「このペンダントをあげるよ。」

ツンが来たその日
モララーはツンにもブーンと同じような約束を交わした。
それから、ある一つのペンダントをブーンへ渡したのだ。

金色の細いチェーンにかけられた瑠璃色の指輪だった。

( ^ω^)「これは…?」

( ・∀・)「それは、転移魔法を凝縮させたペンダントさ。
      魔力を込めれば、魔法陣が発生して僕の所へ飛んでくる仕様になっている。」

(; ^ω^)「え? でも、僕は魔法は得意じゃないですお。」

騎士として育った父。母はどちらにも属さない普通の人。
力や素早さはブーンは突出しているものの、魔法に関してはほぼからっきしであった。

9 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 19:59:54.10 ID:EFC1GAYW0
( ・∀・)「うん。だから、その魔法を発動させるのはツンちゃんにお願いするんだ。」

ξ゚听)ξ「なるほど。じゃあ私がそのペンダントをブーンから掻っ攫えばいつでもココへ来れるってわけですね?」

(; ^ω^)「酷いお…。」

( ・∀・)「そういうことはナシにしてね。」

モララーは告げる。
もしもここに来るならば、二人で来ること。
片方だけがココへやってくるなんて絶対にないようにすること。

( ^ω^)「何でですかお?」

( ・∀・)「例えばツンがもしも病気になったら、ブーン君は家に居ざるをえないよね?」

( ^ω^)「平日はそうですおね。」

( ・∀・)「そういう時は、ちゃんとツンちゃんの看病に行って欲しいんだ。
      人との関わりだけは、絶対に断っちゃいけない。」

(; -∀・)「まぁ、また喧嘩でもして土に埋められるなんてことがないようにするための措置でもあるんだけどね。
      そこんところ忘れないように。」

ξ゚听)ξ「つまり、いつまでも私達が仲良しで居られるようにモララーさんはこんな面倒な処置を?」

10 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:01:28.14 ID:EFC1GAYW0
( ・∀・)「そういうこと。僕の人生はもうこれから下っていくばかりだけど、君たちは違う。
      多くの人と出会い、多くの人と別れていく。
      そういう経験は、絶対に生きていく上で役に立つ。」

( ・∀・)「僕みたいな魔法しか取り得のないような人にベッタリではダメだよ。」

( ^ω^)「なんだかよくわからないけど…つまりは、ぼくとツンが一緒に来ればいいってことですおね?」

( ・∀・)「うん。」




――――という理由である。
街道を一時間歩いて、少しだけ山を登る。
後はペンダントを使えば、3時間の山をたったの数秒で登れる。

だから彼らは、平日の学校帰りにモララー宅へ訪問することができたのだ。

ξ゚听)ξ「……。」

丘の上で、小さな子みたいにはしゃぐブーンを放置し、ツンは手を握りこんだ。

ξ゚听)ξ「凄かったなぁ…私の力じゃないとはいえど…気分は良いものね。」

握った手に少しだけ魔力を込める。
ほんのり光を帯びて、手が輝く。

11 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:03:13.21 ID:EFC1GAYW0
この程度の魔力をペンダントに込めただけで…超高度魔法が使えたのだ。
蒼い魔方陣、変化していく身体。
ただスイッチを入れただけの感覚だが、やはり自分の魔力で行ったという感覚は忘れられない。

ξ゚听)ξ「教科書にすらまともに載ってない空間転移魔法…
      やっぱりモララーさんは凄いなぁ…。」

身体を大の字にして、空を見た。
この大きな空はモララーさん。
対する自分はそこらへんの小石みたいなものだ。

どうすればあそこまで大きくなれるのだろう。
全てを包み、全てを見渡せる。そんな大いなる空に、成れたらなぁ。

自分がどれだけ修練を積んでも、白魔術師である母にすらまだ届くことなんて出来そうにない。
もしも寝る間を惜しみ、俗世を忘れた修行をしたとして…それでも10年はかかるだろう。
大魔術師のモララーさんには、きっと死ぬまでかかっても……。

ξ゚听)ξ「……そうだわ!」

起き上がり、思いついたことを再び頭の中で整理する。
別にモララーと同じ地平になる必要は無い。
自分は自分で、あの人はあの人なのだから。
けど、近づくことはできる。
だから、出来ることをやろう。

ツンは、モララーに修行をつけてもらうことを決意した。

12 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:06:27.53 ID:EFC1GAYW0
(; ・∀・)「え? 修行?」

ξ゚听)ξ「はい!」

( ´ω`)「いいなぁ、ツンは。そうやって修行頼めるんだもんねぇ…。」

机に肘をつき、グッと拳を握り詰め寄るツン。
横ではブーンがダルそうに腰をかけていた。
ツンの意気に反し、モララーはちょっと引き気味である。

(; -∀-)「う〜〜ん……。」

彼は唸った。
教えることはできる。自分がやってみた修練法を伝授すればいいだけだ。
だが、果たしてそれは良いことなのだろうか。

デレの娘であるとはいえ、まだ彼女との交流は浅い。
本当に自分の力を教えるに足る人物なのかは見当がつかない。

ξ;゚听)ξ「だ、ダメですか!?」

(; -∀-)「ダメ…ってわけでもないけど…。」

ξ*゚听)ξ「じゃあ、オッケーですか!?」

(; ・∀・)「良いってわけでもないんだよね…。」

ξ;゚听)ξ「どっちなんですか!!」

14 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:11:47.03 ID:EFC1GAYW0
(; ・∀・)「いや、まだツンちゃんは13歳…一年生でしょ?
      もしも誰かに差をつけたいとかそんな理由なら、ちょっと教えるわけにはいかないかなぁ。」

ξ;゚听)ξ「えぇ〜?」

(; -∀-)「ただでさえ、デレさんの素質を色濃く受け継いでいるんだツンちゃんは。
      それに加えて僕が色々教えたら、きっと力の制御は難しくなる。
      幼いキミにはちょっと……ねぇ。」

ξ;゚听)ξ「むぅ…。」

( ・∀・)「焦ることはないよ。お母さんの背中を見て育ってるみたいだし、キミは良い魔術師になる。
      僕が保証するよ。」

ξ*゚听)ξ「……ありがとうございます。」

( ^ω^)「ぼくは?」

( ・∀・)「ブーン君もだよ。ロマネスクさんにしっかり教わりなさい。」

( ^ω^)ゞ「了解ですお!」

( ・∀・)「じゃあ、僕はちょっと森の方に行ってくる。
      紅茶の葉っぱ切らしてたから、取りに行くんだ。」

( ^ω^)「じゃあ、僕とツンでその間に畑仕事やっておきますお!」

ξ;゚听)ξ「え!? 私も?」

15 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:14:14.56 ID:EFC1GAYW0
( ^ω^)「当然だお。ココで駄弁るためだけにぼくらは来たんじゃないお。
      お手伝いをしながら、遊ぶのが義務なんだお!」

ξ;--)ξ=3「ちぇ〜。わかったわよ。」

( ・∀・)「それじゃ、お願いしようかな。」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「「はーい。」」

モララーは歩いて森の方へ行った。
自家栽培するよりも、森で取れた茶葉の方がおいしいらしい。
だから彼は畑で茶葉の栽培を行っていなかったのだ。

( ^ω^)「じゃ、やるお!」

ξ゚听)ξ「面倒ね…。」

目の前に広がる土色の大地。
綺麗に等間隔に植えられている植物は見ごたえがあるものだ。
しかし、この状態を保つにはやはりそれないの労力が居る。

今日は雑草むしりをすることになっていた。

( ^ω^)「ほい、ほい、ほいっと♪」

16 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:17:37.13 ID:EFC1GAYW0
邪魔な草をブチブチと抜いていく。
騎士のブーンはこういう肉体労働は大得意。
自身も楽しんでやっているので、問題はまったくなかった。

ξ#゚听)ξ「んもー! 制服汚れるじゃないの!」

彼女の方は問題大有りだった。
歩けば革靴が土で汚れる。
葉で蠢く虫は気持ちが悪い。
しゃがめば短いスカートが……これ以上は言わないでおこう。

とにかく、ツンは畑仕事が嫌いだった。

( ^ω^)「ツン、大丈夫かおー?」

軍手に包まれた雑草を大量に掴んだ手を振って、ブーンが聞く。
彼も制服だが、裾を折り曲げて半ズボン状態にしている。
靴も動きやすいし、汚れても問題は無いものだ。

ξ#゚听)ξ「なんであんたは軍手してんのよ!」

( ^ω^)「お? だって、来るときはいつも持ってくようにしてるから…」

ξ゚听)ξ「貸して。」

(; ^ω^)「えー? 手が荒れるお…。」

17 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:20:37.68 ID:EFC1GAYW0
ξ゚听)ξ「私の手はどうなってもいいと?」

(; ^ω^)「う〜…わかったお。」

雑草を一度地においてから、ブーンは軍手を投げ渡した。
ツンは片方キャッチできなかった事に腹を立てながらも、軍手をはめる。

ξ;゚听)ξ「青臭っ!」

( ^ω^)「そりゃ草むしってたんだから当然だお…。」

ξ゚听)ξ「しかもなんだかジットリしてるし…」

( ^ω^)「ごめんお…。」

ξ#゚听)ξ=3「…ったくなんでこんなこと私がしないといけないのよ…。」

敬愛するモララーの所へ来て、色々話を聞く。
それだけのはずだったのに…
修行は断られるは、畑仕事はさせられるはでいいことなし。
だが愚痴を言いながらもツンはしっかり草むしりを行っていた。


ξ゚听)ξ「…ん?」

それはやけに根っこの強い雑草だった。

18 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:21:42.46 ID:EFC1GAYW0
ξ#゚听)ξ「雑草の分際で…生意気ね! こn…」

ξ;゚听)ξ「キャッ!?」

何かが千切れる音が聞こえた。
根の強さに反し、その雑草の葉は余りにも脆く
根っこ以外は全て、ツンの手に持っていかれてしまった。

ξ;-听)ξ「いったぁ〜。」

その拍子にツンはお尻を強かに打ちつけてしまった。

(; ^ω^)「だ、大丈夫かお!? ツ…」

(* ゚ω゚)「…ン……。」

ブーンは思考を停止させられた。
視線が目の前で転んだ少女に釘付けになってしまったからだ。
いや、正確には…
その少女のスカートと足の隙間から覗ける白い三角地帯に…だった。

19 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:23:56.37 ID:EFC1GAYW0
ξ#///)ξ「――――ッッ!!!」

(; ゚ω゚)「びゃぁああああ!!!!」

次にブーンが見た風景は朱に染まりかけた空。
ツンの風魔法によって宙へ舞い上がってしまったのだ。

(; ゚ω゚)「ごぉおおおめぇえええんんんんぉおおおおお!!!」

ξ# )ξ「しばらくそうしてなさい…。」

怒りながらツンは畑作業に戻ろうとした。
そして気づく。

ξ゚听)ξ「…そうよ!」

(; ^ω^)「へ…」

(; ゚ω゚)「おわぁああ!!??」

急に風が止まり、あなたに…ではなく地面に急降下。
そんなに高度はなかったが、危険ではある。

21 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:26:13.52 ID:EFC1GAYW0
(; ^ω^)「ほいさぁ!!」

着地の瞬間に腕と足を地に打ちつける。
首をあげて安全性をアップだ!
なんとか受身を取り、ブーンは事なきを得た。

ξ゚听)ξ「なんで気づかなかったのかしら。」

と、ツンは畑を出て丘の方へ歩き出した。
空中でグルグル回されて平衡感覚を失いかけていたブーンが後を追う。

(; ^ω^)「ど、どうしたんだお?」

ξ゚听)ξ「最初からこうすればよかったのよ。」

丘の上へ立つツン=デ=ジェレイト。
ここからは一面の畑を見ることができる。
だから、ツンは両手を広げて前に突き出したのだ。

ξ゚听)ξ「ね?」

そして魔力を込めて…地面に這わせた。
応じて、ポンポンと音が聞こえてくる。
畑の地面に蔓延った雑草たちが、根ごと抜けていっているのだ。
それも独りでに。

22 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:30:44.82 ID:EFC1GAYW0
( ^ω^)「……な」

(; ゚ω゚)「何をやってるんだお!!!!????」

ξ;゚听)ξ「ちょっ!?」

ブーンが急にツンに飛びついた。
集中力が切れ、魔法が解ける。雑草たちの一人抜根はそこで停止してしまった。

ξ*゚听)ξ「な、何すんのよ!?」

ツンはブーンに組み伏せられる形になってしまった。
突然のことに彼女は何の冗談だと少し戸惑う。

しかし、彼は本気で怒っていた。

(# ゚ω゚)「なんでこんなことしてんだお!? 答えるお!!」

ξ;゚听)ξ「ちょ…何よいきなり?」

(# ゚ω゚)「この畑に魔法を使っちゃダメなんだお!!
      ここの野菜は全部無魔法なんだお!!!
      土も水も光も全部! 自然によるものなんだお!!!!」

ξ#゚听)ξ「痛いわねぇ! 離してよ!!」

(; ゚ω゚)「はぐっ!?」

25 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:34:16.64 ID:EFC1GAYW0
膝蹴りが男の急所に入った。
経験上、彼女はどれほど痛がるかを目の当たりにしたことがあるので少し手加減をしていた。
だが、それでも痛いものは痛い。
手を離し、股間を押さえてブーンはうずくまってしまった。

ξ;゚听)ξ「なんでそんなに怒るのよ?
       別に野菜には魔法を使ってないわよ?」

(; -ω゚)「それでもダメなんだお……前にモララーさんが言ってたお。
      雑草抜きに魔法を使っても、土にその魔力が蓄積される。
      だから、例え野菜自体に魔法をかけなくても……効果は表れるんだお。」

ξ;゚听)ξ「……!! な、何でそのことを先に教えないのよ!?」

(; ^ω^)「知ってると思ったんだお!!」

ξ;゚听)ξ「……で、でも弱い魔法だし、すぐに止めたから大丈夫よきっと!」

(; ^ω^)「モララーさんならきっとすぐに気づくに決まってるお!」

ξ;゚听)ξ「じゃあどうするのよ!?」

(; ^ω^)「ぼくに聞かれたって困るお!」

ξ#゚听)ξ「少しは頭使いなさいよ!! このバカデブ!」

(# ゚ω゚)「な、なんて言ったお!? いくらツンでも怒るお!!」

ξ#゚听)ξ「もう怒ってるじゃないの! そんなのもわかんないの!?」

26 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:37:23.53 ID:EFC1GAYW0
(; ・∀・)「どうしたんだい、二人とも?」

ガミガミと言い争っている二人の間にモララーが割って入った。
茶葉取りが終わり、そろそろ日が暮れるから家に帰そうと彼らを呼びにきたのだ。
仲良く草むしりをしているものだと思ったが…どうやら予想は違っていたみたい。

モララーは、詳しく状況を聞く。
彼らは少し考えたが、正直に話すことに決めた。
彼の前で嘘をついても、きっとバレるだけだ。

(; ^ω^)「そ、その…ぼくが軍手で草を抜いてて、
      そんでツンに軍手を貸してって言われて、投げてよこしたら…」

いつもの快活的な声ではなく、うじうじと人差し指同士をツンツンしながらブーンは話す。

ξ#--)ξ「あー、まどっころしいわね! そこから言わなくてもいいの!」

腕を組んでそんなブーンを叱るツン。
そのままモララーへ向き合って、とにかく結果だけを教えた。

ξ;゚听)ξ「雑草抜きが面倒になって、私が魔法で引っこ抜いちゃったんです。
       それでちょっとブーンと喧嘩しちゃって…。」

(; ・∀・)「ありゃりゃ…。」

モララーは怒るのではなく、そのまま畑へ向かった。
そして土を触ったり、少しだけ掘ってみたりしている。

28 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:39:41.79 ID:EFC1GAYW0
( ・∀・)「………。」

(; ^ω^)「ど、どうなんですお…?」

その後ろでブーンが心配そうにモララーの背を見つめている。
ツンは二人から少し離れて、まだ腕を組んで険しい表情で彼らを見つめていた。

( ・∀・)「…土に蓄積した魔力自体は微小なものだね。
      これなら、三日もあれば自然と浄化されるから大丈夫だよ。」

(; ^ω^)「ほ、ホントですかお!? 良かったぁ…。」

ξ゚听)ξ=3「ね、言ったでしょ? 大丈夫だって。
        あんたが心配しすぎなのよ。」

( ^ω^)「…………ちょっと待つお。」

状況が悪くないのはわかった。
だが、それだけでこの問題は片付けていいわけがない。
ブーンはツンの前に歩いていき、言った。

( ^ω^)「大丈夫だったにせよ、ツンはいけないことをしたんだお。
      ちゃんとモララーさんに謝らないとダメだお!!」

ξ;゚听)ξ「はぁ?」

29 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:40:59.34 ID:EFC1GAYW0
いつも自分の後ろをくっ付いて来ていたような奴が急に説教してくる。
それにツンは無性に腹が立ってつい言い返してしまった。

ξ#゚听)ξ「大体、あんたが先に魔法使用禁止って言わなかったのが悪いんでしょ!?」

(# ^ω^)「何言ってるんだお!? それとこれとは話が別だお!
      とにかく、ツンは謝るお! それだけの問題じゃないかお!!」

ξ#゚听)ξ「わかんない奴ね! もう一回言うけど、あんたが魔法禁止って言っておけばこんなことにならなかったの!!
       つまり、あんたのせいで私は悪いことをしてしまったのよ!? むしろ、謝るのはあんたの方じゃないの!?」

(# ^ω^)「なんでぼくが謝るんだお!? ぼくは何もしてないじゃないかお!!
      やったのはツンだお!!!」

( ・∀・)「はい、そこまで。」

(# ^ω^)「……!!」

ξ#゚听)ξ「……!!!!」

(; ^ω^)「…!? !!  !?」

ξ;゚听)ξ「? ?? !?」

30 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:44:55.27 ID:EFC1GAYW0
モララーは指先を二人の喉元に突きつけた。
直接ではなく、延長線上にあるようにしてだが。

それだけで二人は口をパクパクさせ始めた。
苦しいわけでも痛いわけでもない。
声を出しているはずなのに、音が響かないのだ。

あまりにも喧嘩が酷いので言葉では止めることができそうにない。
そう判断し、モララーは声の発生を停止させる魔法を使用したのだ。

( ・∀・)「状況は僕にもちゃんとわかったよ。」

二人の頭に手を置いて、優しい口調でなだめる。

( ・∀・)「どっちが悪いかなんて僕は問わない。
      確かにいけないことだけど、一応野菜たちは無事なんだからこの件はもう良いよ。」

( ・∀・)「けど、ツンちゃん。これで僕は確信した。
      魔法以前に、キミには足りないものがある。
      それがわかるまでは、絶対に何も教えないからね。」

ξ;゚听)ξ「!? !! !!!」

( ・∀・)「…今日はもうお帰り。暗くなるからね。」

そう言ってモララーは転移魔法の詠唱を開始した。

31 名前: ◆hCHNY2GnWQ 投稿日:2009/03/05(木) 20:47:51.02 ID:EFC1GAYW0
次に目を開けると、そこは夕暮れ時のVIP街道。
近くまで送ってくれたみたいで、ちょっと歩けば正門まで行ける場所だった。

( ^ω^)「……。」

ξ゚听)ξ「……。」

発声停止魔法が解けたというのに、二人は無言のまま街の方へ歩いていった。
ツンはスタスタと前へ進む、ブーンはその数メートル後ろを歩いている。
実際の距離だけではない。
二人心の距離も、同じだけ離れているように感じた。






つづく


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